説明

放射線療法のための送出修正システム

【課題】放射線療法での治療シノグラムにおいて、生理学的な又はその他の運動に起因する患者又は患者の部位のリアルタイムの修正動作を行う。
【解決手段】患者43の治療部位をあらわす予め計算された部分シノグラム41を、従来の法手法による治療計画ソフトウェア59から遅れることなく患者全体についての治療シノグラム57を得るように組み立てる。前記部分シノグラム41は、それらの対応する部位の表現の通り修正され、且つ実際の患者の特定の寸法に一致させるべく操作される。この構成されたシノグラムは、繰り返し最適化のために直接的に又はその出発点として使用されても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
――
(連邦後援研究又は開発に関する陳述)
――
(発明の技術分野)
この発明は、概して、腫瘍又は類似物の治療のための放射線療法装置に関し、特に、治療範囲の形状における運動又は変化に対処すべく放射線治療計画を迅速に修正するためのコンピュータ化された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景技術)
放射線療法のための医療装置は、高エネルギ放射線により腫瘍組織を治療する。そのような放射線は、X線放射、あるいは加速された電子、プロトン、ニュートロン又は重イオンであっても良い。放射線の量及びその配置は、当該腫瘍が破壊されるのに充分な放射線を受けること、及びそれを取り囲む非腫瘍組織への損傷を最小とすることの両者を確実にするために正確に制御されなければならない。
【0003】
患者に対する線量を制御する、1つの高度に正確な方法は、その強度及び/又はエネルギが独立に制御され得る多くの個々の放射線を発生する放射線源を採用することである。これは、各々1つの放射線を制御する一連のシャッタにより、又は患者を横切って移動される単一変調放射線によりなされるであろう。前記放射線の発生源は、その軌道が平面状であるときには、患者の1スライスを、あるいはその軌道がらせん状であるときに、患者のいくつかのスライスを照射すべく該放射線の平面内で、患者の周囲を軌道を描いて回る。異なる角度における放射線強度及び/又はエネルギを適切に選択することにより、該スライス内の複雑な領域が、正確に照射されるであろう。角度の関数としての各ビームの変調のマッピングは、「治療シノグラム」を形成する。
【0004】
本出願と同一の譲受人に譲渡され、1994年5月31日に発行され、そして引用により個々に組み込まれた米国特許第5,317,616号(特許文献1)は、1つのそのような機械の構成及び必要なビーム強度及び/又はエネルギの計算の方法を角度の関数として記述している。
【0005】
そのような放射線療法システムにより提供される線量の配置における改良された精度を利用するために、放射線治療計画は、患者のコンピュータ断層(CT)画像に基づいても良い。当該技術分野において知られているように、CT画像は、患者についての異なる角度において取得される多くの投影画像の数学的な再構成により生成される。典型的な扇状ビームCT収集において、扇状ビームの発生源は、該扇状ビームの各放射線の減衰が投影を得るための角度の関数として計測される限り、患者の1スライスを照射すべく前記扇の平面内で患者の周囲を軌道を描いて回る。したがって、該CT収集の幾何学は、放射線療法の幾何学と非常に良く類似している。
【0006】
各CT投影は、患者の「スライス」による前記扇状ビームの減衰を示す1次元ライン画像を形成する。まとめて、各角度におけるこれらのライン画像は、「減衰シノグラム」を形成し、そしてそれらは、フィルタ逆投影のような良く知られたアルゴリズムを用いて、当該スライスの2次元断層画像に再構成され得る。それ自体では難解なシノグラフィックデータは、通常は最早ユーザにより使用され又はアクセスされることはない。
【0007】
前記CT画像を用いて、放射線医は、腫瘍領域を調べ、そして該腫瘍を治療するのに用いられるであろう(腫瘍像に関して識別される)ビームの角度と強度及び/又はエネルギを決定する。自動化されたシステムにおいては、医師が、治療の領域についての腫瘍領域及び線量の上限と下限を識別する線量マップを作成した後に、コンピュータプログラムが、ビームの角度と強度及び/又はエネルギを選定する。
【0008】
前記線量マップに基づく治療計画の準備は、最新の高速コンピュータ上でさえも時間がかかる操作である。それゆえに、患者のCT画像は、放射線治療の時よりも以前に収集される。その結果、患者は、概して、放射線治療の間に、該患者がCTイメージングの間にあるときとは、同じ位置には存在しないであろう。患者を適切に位置合わせすることの問題は、長時間にわたって多数の異なるセッションにおいて治療が生じるときに、悪化する。
【0009】
本発明と同一の譲受人に譲渡された米国特許第5,673,300号(特許文献2)は、放射線治療の直前に第2のCT画像を取得し、そのCT画像のシノグラムを、放射線治療計画に用いられた原CT画像のシノグラムと比較することにより、患者の運動を判定する方法を記述している。この比較は、該放射線治療機械を制御するのに用いられる治療シノグラムに直接適用し得る患者の運動の指示をもたらす。この発明は、CT画像の減衰シノグラムと放射線療法治療の治療シノグラムとの間の近接した類似性を認識することによって、治療シノグラムに対する患者の誤った登録の検出及び訂正を著しく簡略化する。
【特許文献1】米国特許第5,317,616号明細書
【特許文献2】米国特許第5,673,300号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
(発明の簡単な要約)
本発明者らは、治療シノグラムへの線量マップの、時間を消費する転換をバイパスすることによる、治療シノグラムを直接的に修正する上述の技術は、患者の運動に対するリアルタイム補正を可能とすることを認識している。そのような補正は、同時発生の断層像撮像走査から、又は生理学的運動を計測するために用いられる良く知られたトランスジューサから、リアルタイム運動を推論し得る。「扇状ビーム」を補正するための改善された方法は、このシノグラムの直接的な使用を容易にする。
【0011】
前記発明者らは、基本的な構成における運動を適応させるべくシノグラムを取り扱うための能力は、患者の標準的な要素の治療を表現する予め計算された部分シノグラムを組み合わせることにより、治療シノグラムを生成する新規な方法を可能とすることもまた認識している。これらの標準的な要素は、特別な患者の解剖構造と上述した技術に従って修正される部分シノグラムとを対応させるように移動され得る。前記部分シノグラムは、それから組み合わされ、且つ直接的にあるいは繰り返し治療計画ソフトウェアのための開始ベースとして、使用される。
【0012】
特に、次いで、本発明は、放射線ビーム軸(該放射線ビーム軸は患者について所定の角度範囲に配置可能である)に沿って分離された、個々に強度及び/又はエネルギが変調された放射線の、放射線ビームを与える放射線療法機械を操作する方法を提供する。第1の位置における患者に対して、行についての放射線ビーム軸の所定の角度についての異なる放射線の強度及び/又はエネルギ、そして列についての前記ビーム軸の異なる角度についての所定の放射線の強度及び/又はエネルギを与える治療シノグラムが受信される。放射線治療の間に、前記第1の位置から第2の位置への患者の運動を示すデータも受信され、且つ前記治療シノグラムの各所定のビーム軸角度について、前記示された運動に従って、前記治療シノグラムの対応する行が変更される。
【0013】
したがって、本発明の一つの目的は、患者の位置決めエラーだけでなく、例えば呼吸及び心臓の運動に起因するような生理学的な運動についても、患者の運動のリアルタイム補正を可能とすることである。治療シノグラム上での直接操作は、そのようなリアルタイム制御も可能にさせる。
【0014】
前記運動は、患者の前記治療シノグラムの準備と同時発生的な計画断層撮影画像を、放射線療法の間に撮られる患者の断層撮影画像の監視と比較することによって検出され得る。これに代えて、患者の運動は、例えば呼吸又は心拍又は計測され得る外部の標準マークのような生理学的な信号を入力として受信するモデルによって判定され得る。
【0015】
そして、本発明のその他の目的は、放射線療法のセッティングにおけるリアルタイムベースでの患者の運動の検出の方法を提供することにある。
前記治療シノグラムの修正は、前記所定のビーム軸に垂直な患者運動の成分に従って治療シノグラムの行に対応してシフトされても良い。
【0016】
そして、本発明のその他の目的は、リアルタイムで実行され得るような治療シノグラム上の非常に単純な操作を提供することにある。
前記治療シノグラムの修正は、前記所定のビーム軸に平行な患者運動の成分に従って治療シノグラムの行に対応してスケールされても良い。
【0017】
そして、本発明の他の目的は、高度に効果的な扇状ビーム放射線療法機械の幾何学配置に向けられる前記治療シノグラムのより洗練された修正を提供することにある。
【0018】
本発明は、部分シノグラムのライブラリの準備も意図しており、各部分シノグラムは、第1のモードにおける患者要素についての、シノグラムの行における、放射線ビーム軸の所定の角度における異なる放射線の強度及び/又はエネルギ、並びにシノグラムの列における、前記ビーム軸の異なる角度についての所定の放射線の強度及び/又はエネルギを与える。患者要素の表現のセットは、放射線治療を必要とする所定の患者をモデル化するように第2のモードにおいて組み合わせ配列され得る。前記第1と第2のモードの間の患者要素における変化は、改変データ内に取り込まれ得る。この改変データは、該改変データに従って患者要素の各々の部分シノグラムを修正するために用いられ、且つ該部分シノグラムは、前記患者の治療シノグラムを発生するために組み合わせられ得る。
【0019】
そして、本発明の他の目的は、広大な治療計画操作の必要性なしに治療シノグラムを生成するために単純に組み合わせられ得るテンプレートシノグラムを準備するために治療シノグラムを直接的に修正する能力を利用させることである。改変データは、患者要素の位置又は寸法における変化を示しても良く、後者は、単純な幾何学的形状であっても良く、特定の臓器をモデル化しても良い。
【0020】
そして、本発明の他の目的は、近似的な治療シノグラムの組立を許容するのに充分な患者要素の有限のライブラリを提供することにある。
こうして構成される治療シノグラムは、線量マップに一層良く整合させるべく、さらに最適化されても良い。
【0021】
そして、本発明の他の目的は、繰り返しの数及びそれによって治療シノグラムを準備するために必要とされる時間を低減し得るような線量の最適化のための改善された開始点を提供することにある。
【0022】
本発明の上述のそしてその他の目的及び利点は、以下の説明から明らかになるであろう。該説明においては、その一部を形成する添付図面が参照され且つそこでは、本発明の好ましい実施形態が図解により示されている。そのような、実施形態は、しかしながら、発明の全ての範囲を表現する必要はなく、本発明の範囲を解釈するためには、本文中の特許請求の範囲を参照すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(本発明の詳細な説明)
放射線療法機械
図1を参照するに、本発明と共に用いるのに適する放射線療法機械10は、カンチレバー状に支持されたトップ部14を有する放射線通過可能なテーブル12を含んでいる。前記テーブルトップ部14は、デカルト座標系22のz軸に沿って延びるトラック16に沿う前記テーブル12の動きによって、放射線療法機械10の環状ハウジング20のボア18内に受入される。
【0024】
テーブル12は、前記トップ部14の横水平方向位置(前記座標系22のx軸によって示される)及び垂直方向へ(前記座標系22のy軸によって示される)の調整を可能とするための内部トラックアセンブリ及びエレベータ(図示されていない)を含んでいる。前記x及びy方向における運動は、ボア18の直径によって制限される。
【0025】
前記ボア18と同軸に且つ前記ハウジング20内に配置された回転ガントリ24は、その内面上にX線源26及び高エネルギ放射線源28を支持している。前記放射線源28は、当該技術分野において理解されるように、X線、加速された電子、プロトン、あるいは重イオンを発生するものを含む治療放射線のいかなる発生源であっても良いが、前記X線源26は、従来の回転陽極X線管であっても良い。前記X線源26及び放射線源28は、前記テーブルトップ部14が前記ボア18内に配置されたときの患者テーブル12の前記トップ部近傍の回転の中心64のまわりを前記ガントリ24と共に回転する。
【0026】
前記X線源26は、おおむねx−y平面内に広がり、且つそれゆえ前記ボア18及びテーブルトップ部14が前記ボア18内に配置されたときに前記テーブルトップ部14をよぎる、扇状ビーム30を発生すべくコリメートされる。前記扇状ビーム30は、その角度がガントリ24の位置によって制御される中心軸31のまわりに拡散する。前記軸31は、以後投影軸と称する。
【0027】
前記テーブルトップ部14を出た後、前記扇状ビーム30は、前記放射線源28から直径方向に沿って横切って配置されたリニアアレイ検出器32によって受信される。したがって、前記回転ガントリ24は、前記テーブルトップ部14上の患者の、該患者のまわりの種々の角度θにて収集されるべき扇状ビーム放射線撮影投影を可能とする。
【0028】
前記放射線源28は、扇状ビーム30と類似して、しかし扇状ビーム30を直角によぎって、放射線検出器及び絞り36によって前記ガントリ24の反対側において受信されるように、高エネルギ放射線の扇状ビーム34を投射するように取付けられている。代替的な実施形態では、前記絞りは、患者の運動を推定するための検出器32に対する代替手段を提供するための検出器によって置き換えられる。高エネルギ放射線の扇状ビーム34は、ビーム内の中心に配置され且つ投影軸31に垂直な放射線軸のまわりに発散する。
【0029】
放射線源28は、高エネルギ放射線34を、そのエネルギ及び/又はフルエンス(fluence)が個々に制御され得る、複数の隣接する放射線に分割するために、その前方に取付けられたコリメータ38を有する。ここに使用されるように、前記放射線のエネルギ及び/又はフルエンスの制御は、個々のX線フォトン(又は電子、プロトン又は重イオンを用いる放射線療法の場合における粒子)のエネルギだけでなく、代替的に又は付加的にフルエンス、フルエンス率及び被曝時間の関数であるようなフォトン又は粒子の総数を含むと理解すべきである。粒子を使用する放射線療法の場合、前記粒子のエネルギ、フルエンス及びフルエンス率は、本発明によって、次の記述から明らかとなるであろうように修正され得るシノグラムを用いて制御され得る。
【0030】
フルエンス制御タイプに適するコリメータは、本件の譲受人に譲渡され、引用によりここに組み込まれた米国特許第5,317,616号に記述されており、ウェッジフィルタを用いるこのコリメータの単純な修正が、粒子エネルギ制御に用いられても良い。代わりに、走査シングルビームシステムが用いられても良く、あるいは個々に変調される放射線の1セットを提供する他のシステムでもよい。放射線源28及びX線源26の位置は正確に特徴付けられ、それゆえ、放射線源28から得られる画像が放射線源28をねらうために用いられても良い。
【0031】
表示画面42及び当該技術においては良く知られているユーザ入力マウス及びキーボード44を有するコンピュータ40が、前記テーブル12の運動を制御するために、そして放射線源28及びX線源26と共に前記ガントリ24の動作の調整のために、そして当該技術において良く知られている方法に従った患者の走査の間に前記リニアアレイ検出器32からデータを集めるために、前記放射線療法機械10に接続されている。
【0032】
CT及び放射線療法治療シノグラム
図2を参照するに、x−y平面に沿って撮られた患者のスライス50は、より大きなゾーン52内の2つのゾーン54を含んでいる。前記スライス50(鉛直又は前/後角度(「AP」)における)を通るビーム軸31に沿って通る放射線は、(CTのために)ビーム軸31に垂直な単一ラインに沿ってスライス50を通過するX線の減衰を記録する投影56を発生し、あるいは(放射線療法のために)異なるゾーン52及び54に対応するビームの異なるeエネルギ及び/又は強度の放射線治療投影を提供する。いずれのケースにおいても、前記投影軸に垂直なこれに沿う前記距離は、tとして示される。前記ゾーン54は、鉛直角度において個々に分解され、そしてそれゆえ2つのピーク58(減衰又は放射線エネルギ及び/又は強度)が投影56中に存在する。
それに比べて、鉛直から角度θにおける投影軸31’に沿う第2の投影においては、前記ゾーン54は、投影56’が単一のピーク58’を示すように整列される。
【0033】
図3を参照するに、360度にわたる異なる角度θにおける投影は、データのマトリクスとして、コンピュータ40に一時的に格納されるシノグラム60を形成するように組み合わせられるであろう。描画されているように、このデータのマトリクスは、異なる角度θをあらわす各行及び投影に沿う異なる距離tの各列により配列される。CT減衰シノグラムについては、前記マトリクスの各要素は、減衰の値である。放射線治療シノグラムについては、前記マトリクスの各要素は、治療ビームの放射線のエネルギ及び/又はフルエンスである。前記値は、コンピュータ40における数値変数として格納されても良く、影付けされた曲線62として示される。
【0034】
シノグラム60のパターンは、概して重畳された正弦曲線62(故にこの名前が付いている)のそれであり、該各カーブ62は、投影が種々の角度θで撮られるにつれてガントリ回転の中心64のまわりの軌道におけるゾーン54の見かけ上の動きの結果としての360度のθにおける基本期間を有する。一般に、ガントリの回転の軸64に近いゾーン54は、より小さな振幅の正弦曲線をたどるのに対して、回転の中心64から遠いゾーン54は、より大きな振幅の正弦曲線をたどる。前記正弦曲線の位相は、概して、θ=0における最初の投影に対するゾーン54の初期位置に依存する。
【0035】
従来のCT収集においては、減衰シノグラムは、スライス50の断層撮影画像に再構成されるであろう。当該技術において良く理解されているように、撮像されたスライス50の最大断面幅にわたるt値と360度にわたるθ値を有している減衰シノグラムは、例えば、フィルタ逆投影の方法、を通して前記スライスの断層撮影画像を再構成するのに充分である。
【0036】
放射線療法において、治療シノグラムは、患者を通過して送信される高エネルギ放射線の扇状ビーム34の隣接する放射線のeエネルギ及び/又はフルエンスを制御するのに用いられ得る。例えば、もしも図2のゾーン54が腫瘍であるとすれば、放射線治療計画は、概してゾーン54において高いが、他の部位においては低い累積線量を発生するため、種々の異なる角度θにおいて、ゾーン54にて交差する高強度放射線のビームを発生するカーブ62に良く従っているかもしれない。
【0037】
再び図1を参照するに、次いで、前記シノグラム60から生成される断層撮影画像が、当該断層撮影画像に正確に関連する放射線治療計画を確立するために採用され得る。ここに引用により組み込まれた1995年6月7日に出願された米国特許出願第08/477,055号は、概して断層撮影画像に基づいてシノグラム60の形態での治療計画を生成するための対話的方法を述べている。
【0038】
さて、図4を参照するに、「スライス・バイ・スライス」断層収集又はスライス・バイ・スライス放射線治療においては、撮像される被検体51は、z軸に沿って分離された複数のスライス70に分割され、そして投影の収集又は放射線治療は、矢印72によって概して示された撮像される被検体51のまわりをそれが回転するにつれて、単一の平面に制約されたビーム軸31について取得される。360度の回転の結果において、被検体は、次のスライスがビーム軸31に位置合わせされるまでテーブル12の動きによってz軸に沿って移動される。
【0039】
「らせん状走査」と称される代替的な収集又は治療方法において、投影軸は、撮像される被検体51を通るらせん状パスをたどり、そこではテーブル12が、角度θにおける各変化と共にzについて少量ずつ増大される。
【0040】
前者のスライス・バイ・スライス方法において、各々図3に関連して述べられたのと同一で且つ典型的にはガントリ動作の360度を包含する一連のシノグラム60’が用いられる(減衰及び治療)。異なるスライス70は、各々が、異なっているが一定のz値を有する一連のシノグラム60’の異なるものを生成する。
それに比べて、前記らせん状収集は、シノグラム60”を生成し、そこではシノグラム60”の各行は、θ及びZにおける異なる増大を示す。
【0041】
図4に示された例において、ゾーン54は、最初の2つのスライス70を通ってのみ延びる。それゆえ、図5においては、最初の2つのシノグラム60’のみが、ゾーン54に関連する正弦曲線62を示している。同様に、図6のらせん状に収集されたシノグラム60”においては、シノグラム60”の最初の720度のみが正弦曲線62を示している。
【0042】
治療計画プロセス
ここで図7を参照するに、放射線療法機械10又は独立のCT機械(図示されていない)は、患者43の減衰シノグラム41の形態で断層データを収集するために用いられ得る。上述されたように、減衰シノグラム41は、通常、所定の投影角度θにて異なる放射線において検出器32によって受信される1セットの減衰計測量A(t)からなる行(ここでは垂直に示されている)及び異なる投影角度θについての同一のデータを示す列(ここでは水平に示されている)を提供する。
【0043】
減衰シノグラム41は、患者43のスライスを描く計画断層撮影画像46を提供するための良く知られたフィルタ逆投影アルゴリズムを用いるもののような断層再構成装置45によって受信される。この、そして次の各ステップは、コンピュータ40上で実行され得る。
前記計画断層撮影画像46は、そこでは線量マップ55が医師により用意される背景を提供する線量マップエディタ48に供給され得る。前記線量マップ55は、患者43のスライス内の領域に所望の線量を描く。
【0044】
好ましい実施形態においては、前記線量マップ55は、線量マップエディタ48により受信されるキーボード又はカーソル制御デバイスからのエディットコマンド53を用いて対話的に用意される。
【0045】
前記線量マップ55は、該線量マップ55の所望の線量を発生するであろう異なるビーム角度θにおける放射線源28からの複数の放射線ビームのエネルギ及び/又はフルエンスを記述する治療シノグラム57を用意するのに用いられる。前記治療シノグラム57は、概して、ビーム内の異なる放射線tについてのビームエネルギ及び/又はフルエンスを示す関数I(t)の値を提供する(ここでは垂直に描かれている)行及び異なるビーム角度θについてのビームエネルギ及び/又はフルエンスを示す関数I(θ)の値を提供する(ここでは水平に描かれている)列について配列される。
【0046】
通常、前記線量マップ55を前記治療シノグラムに変換するプロセスは、計画ソフトウェア59による反復最適化として実行される。前記計画ソフトウェア59は、線量計算器61に供給される試行シノグラム101を作成し、後者は、前記試行シノグラムによって作成される線量を決定し、そしてそれを比較ノード102によって示されるように所望の線量と比較する。前記試行シノグラム101により提供される線量と線量マップ55との間の偏差の指示を受信する前記計画ソフトウェア59は、それからその偏差に従って前記試行シノグラム101のビームエネルギ及び/又はフルエンスを修正し、そしてそのプロセスは治療シノグラム57が得られるまで繰り返される。それから治療シノグラム57は、患者43の治療のためにコリメータ38を制御するために提供される。
【0047】
治療シノグラム57を用いる実際の放射線治療を実行するために要求される時間に起因して、呼吸及び他の発生源に起因する患者の運動は避けられない。この運動は検出され得るが、運動を反映し且つ治療シノグラム57を再計算して線量マップ55を変更するのに要する時間は、短期間での患者の運動に実際に対処するためには長すぎる。本発明は、高速コンピュータにより、本発明と同一の譲受人に譲渡された米国特許第5,673,300号に一般的に述べられている予備治療患者位置補正技術を、治療プロセスそれ自体の間における運動を補正するのにも用い得ることを認識した。
【0048】
図8aに示されるように、患者43又は患者43の一部の第1の位置63から第2の位置63’への量
【0049】
【数1】

【0050】
だけの相対的運動は、I(t)を
【0051】
【数2】

【0052】
とするための修正する、(ここで
【0053】
【数3】

【0054】
は、
【0055】
【数4】

【0056】
倍の、シノグラムの当該行についてのビーム角度θと
【0057】
【数5】

【0058】
の角度との間の相違であるφに比例する量である)シノグラムの行のシフトを必要とするであろう。この補正だけで高エネルギ放射線34の放射線の各々が平行である(図8aに示される)平行放射線システムについては充分であるが、図8bに描かれるように、高エネルギ放射線34の放射線の各々が共通の発生源からビーム軸のまわりで発散する、扇状放射線システムに望まれる補正の一部のみである。
【0059】
本発明者らは、扇状ビームシステムにおける放射線の発散が理想的に補償されるべき拡大効果を生じることを理解した。そこで、図8bを参照するに、被検体の位置63から位置63’への
【0060】
【数6】

【0061】
だけの任意の運動は、シノグラムの行I(t)のシフトを提供するだけでなく、当該関数の拡大を提供することができる。それゆえ、位置63’において扇状ビームの発生源に近づくと同時に扇状ビームの発生源をよぎるように移動する被検体は、高エネルギ放射線34の扇状ビームの発生源へ向かい且つそれから離れて移動することにより生じる相対的な拡大効果を反映する関数I(t+α)のシフト及び関数I(βt)のスケールを生じる。量α及びβは、放射線療法機械10の特定のディメンションに依存し且つ概して運動及び運動の発生源の量の関数であり、そして幾何学的な手法を良く理解することによって決定され得る。一般に、スケール及びシフトは、線形関数である必要はなくそして患者に関して均一である必要はない。
【0062】
上述されたように、治療シノグラムの補正は、多数の手法にて提供され得る。図9に示される第1の実施形態において、治療シノグラムの行及び列は、平行放射線を有する機械上であるが、同一の放射線パターンを提供するシノグラムを反映すべく再格納される。この再格納プロセスは、コンピュータ断層撮影技術においては良く理解されている幾何学変換であり、数学的公式を用いて又は扇状ビーム治療シノグラム57の要素を平行放射線シノグラムの対応する要素にマッピングするテーブルを作るべく予備計算されて急いで計算され得る。一般に、要素がシノグラムの整数放射線及びビーム角度値にマップするように補間ステップが必要となるであろう。この再格納は処理ブロック81により示される。
【0063】
次に、各ビーム角度についての処理ブロック83において、ビーム角度に垂直な動作の成分が決定され、且つ該成分に直接比例するシノグラムの特定の行をシフトするために使用される。ビーム角度に平行な運動は、平行放射線幾何学の結果として無視されても良い。
【0064】
処理ブロック84において、平行放射線シノグラムのシフトされた結果は、処理ブロック81と共に述べられたものの逆のプロセスを用いて発散放射線シノグラムに再格納され得る。結果的なシノグラムは、患者の平行及び垂直運動の両者が補正されるであろう。
【0065】
代替的に、図10に描かれるように、垂直ビーム角度に関連する治療シノグラムの各行について、運動
【0066】
【数7】

【0067】
の垂直成分
【0068】
【数8】

【0069】
は、処理ブロック86により示されるように決定され得る。それから、処理ブロック88において、行は、この成分及び扇状ビームの発散する放射線に起因する倍率に比例してシフトされ得る。次に、処理ブロック90において、θにおけるビーム軸に関する運動の平行成分
【0070】
【数9】

【0071】
が決定され、処理ブロック92において、前記行が適切にスケールされる。最後に、処理ブロック94において、スケールされ且つシフトされた行は、治療シノグラム57内において許容される整数値内に適合させるべく再サンプルされ得る。
【0072】
運動の垂直値Δr及び運動の平行成分
【0073】
【数10】

【0074】
は、次式に従う扇状ビームの平面に拡がる固定されたx−y座標系内のΔx及びΔyなる任意の変位について推定され得る。
【0075】
【数11】

【0076】
多重リーフ化コリメータを用いる扇状ビームシステムについて、一般に補正されたシノグラムI(βt+α)は、放射線を定義するコリメータ38のリーフの間の分離個所上に位置していないという不連続性を有するであろう。この理由のために、シノグラムは、治療シノグラム57の範囲内に適合させるべく再サンプルされなければならないであろう。補間の標準的な方法が、このリサンプリングに使用され得る。発明者等は、このアプローチにおいては、散乱に起因する不全を含む付加的なエラーが存在することを認識しているが、これらのエラーは小さいか補正され得ると思われる。
【0077】
図12を参照するに、上述された治療シノグラム修正技術又は先行する親第5,673,300号に記述された一層単純な治療シノグラム修正は、リアルタイム運動補正を提供するために使用され得る。放射線療法機械10’による患者43の治療の間に、検出器32を用いて通常の断層投影信号が取得され、あるいはメガボルト検出器65を用いてメガボルト断層投影信号が取得され得る。このようにして得られる画像は、運動信号69を提供するために上述の特許に記述された技術に従い、比較ブロック83により示唆されたように、計画減衰シノグラム41と比較され得るリアルタイム撮像シノグラム67を提供するために用いられ得る。
【0078】
一般に、2つの減衰シノグラム41及び67の間の比較は、1又はそれ以上の直交軸における患者の運動を判定するために、特定のビーム角度において、シノグラムの行の相関をとる。さらに、一般的には、この手法は、x、y及びz、並びにロール、ヨー及びピッチの6つのパラメータについて患者43の運動を完全に定義すべく拡張され得る。
【0079】
代替的に、患者運動センサ66が、運動を示す患者からの生理的信号を提供するために使用されても良い。その最も単純なケースでは、センサ66は、呼吸に対応する胸壁の拡大を検出するための圧力カフであっても良く、又はECG信号のような電子的信号を単純に検出しても良い。そのようにして検出される信号71は、患者の単純な数学的モデリング、例えば一般的に長円形の胸壁の拡大としての呼吸、の使用を通して、あるいは患者の、又は患者43の内部構造の様相もしくは位置における変化を指示する標準患者の、計測される断層撮影画像に対する信号のサイクルの異なる位相のキー化によって、患者内の内部変化に対する信号のサイクルに関連する数学的モデル73に供給され得る。患者運動センサは、代わりに、レーザ又はそれに類似したものによって光学的に検出される外部標準マークを用いる光学的なものであっても良く、又は磁気共鳴イメージング(MRI)のような他の知られたイメージングシステムからの信号を採用しても良く、バーチャルリアリティヘッドセット及びそれに類似したもののために知られているような無線又は光送信機及び受信機を用いるもののような良く知られた位置/方向判定技術を採用して患者に取り付けられた位置決め具により提供されるものでもよい。
【0080】
いずれかの発生源からのこれらの信号69は、上述された変換を実行する高速コンピュータプロセッサにおけるソフトウェアとして実施されたシノグラム操作プログラム74に与えられてもよく、その入力は前記
【0081】
【数12】

【0082】
値及び絶対座標情報を記述する。そのようにして、シノグラム操作プログラム74は、リアルタイムベースで実際の放射線治療を修正するように、リアルタイムベースでコリメータ38に供給され得る修正された治療シノグラム76を作るべく、図7に記載されたように上述に準備されたようにシノグラムを受信する。
【0083】
シフト及びスケールのような単純な数学的操作を通して治療シノグラム57を修正する能力は、リアルタイムに要求される高速補正を行なうための能力を提供する。さらに、モデル73が使用される場合には、修正は予想され、且つ予め計算され、及び/又は多重修正治療シノグラム76が予め計算され且つ要求に応じて単純にコリメータ38と通信するように切り換えられ得る。
【0084】
再度図11を参照するに、シノグラムに加えられる補正プロセスは、被検体の変位、すなわち患者の内部か又は患者全体を含むかのいずれかの変位を取り扱うためだけである必要はなく、患者内の限定された度合いまでの被検体の一般の寸法変化を含んでいてもよい。例えば、モード63における被検体は、その構造を治療し続けるために必要なシノグラム関数I(t)のスケールによる拡大の予測される効果のためのモード63”における被検体となるまで膨張するかもしれない。図4の拡大とは異なり、しかしながら、このケースにおいて類似した拡大が全てのビーム角度において見出される。それゆえ複雑な臓器の寸法変化は、線量マップ55の再計算の必要性なしにこの手法を通して適応され得る。
【0085】
治療する構成の位置及び寸法を変化させるべく、治療シノグラム57を修正するこの能力は、従来の計画ソフトウェアの必要性を回避し、又はそのようなソフトウェアの繰り返しの必要性を制限し得る迅速な構成治療シノグラムの新規な方法を可能とする。
【0086】
再び、図12を参照するに、そのようなシステムは、各々、前もって定められた患者要素82(a)〜82(c)に対応する一連の部分シノグラム80(a)〜80(c)を準備し、それらの要素についての標準的な治療を提供する。これら部分シノグラム80(a)〜80(c)は、従来の計画ソフトウェアを用いて準備され、且つ不特定の長時間の過程を経て最適化され、そしてそれから後の使用のために電子的にアクセス可能なライブラリに、領域、可能性のある期待される物質及び所望の治療線量を示す患者要素82(a)〜82(c)の説明と共に、格納され得る。
【0087】
計画プロセスの間、線量マップエディタ48は、治療ゾーン及び患者要素82(a)〜82(c)の線量に対応する表現を受信し、且つ計画断層撮影画像46についての平行移動と拡大及び収縮との両方により、それらが計画断層撮影画像46に関して操作されることを許容させる。これらの操作コマンドは、編集コマンド53として受信され且つライン85を介してシノグラム操作プログラム74にも提供される。
【0088】
患者要素82(a)〜82(c)が操作されるにつれて、シノグラム操作プログラム74は、上述されたようにそれらの関連する患者要素82の新たな空間位置及び寸法に整合させるために、部分シノグラム80(a)〜80(c)を修正する。線量マップ55の作成に用いられる選択された患者要素82(a)〜82(c)についてのシノグラム80(a)〜80(c)は、それから治療シノグラム76を作成するために、合計され又はさもなければ組み合わされる。前記組み合わせは、対応する行と列の要素の対に作用する。
【0089】
したがって、腫瘍臓器を治療することを望んでいる医師は、ある程度平均的な人に基づいて当該臓器について予め計画された治療を示す患者要素82(a)を選択し且つそれを放射線が回避されるべき近傍の敏感な構造をあらわす第2の患者要素82(a)を組み合わせるかもしれない。これら2つの部分は、実際の患者の断層撮影画像に対して位置合わせされた部分によりやはりモデル化された患者のトルソーの表現上に配置されても良い。
【0090】
結果的な治療シノグラム76は、直接的にコリメータ38に供給され、又は先に述べられたような線量計算器61及び計画ソフトウェア59の繰り返しを用いるさらなる最適化のためのスタート点として用いられ得る。
【0091】
このように、患者要素は、所定の密度及び所望の線量の標準臓器又は標準幾何学形状を表現し得る。僅かな解剖学上の寸法のバリエーションを除いて多くの患者の治療が類似している限り、当該システムは、医師が、患者に対する証明された放射線療法技術を使用することを可能とする。
【0092】
部分シノグラム80から治療シノグラムを準備する当該技術は、特定の臓器に対して識別される運動が、単一の部分シノグラム80に対して識別され、そして、それにより当該臓器を単独で調整することを許容する治療シノグラム57の他の成分から区別し得る限り、信号69により提供される運動検出によりさらに拡大され得る。
【0093】
以上の記述は本発明の好ましい実施形態のものであり、そして、本発明の意図及び視野から逸脱しない範囲で多くの変形が、当該技術に熟達する者には生じるであろう。発明の範囲内に該当する種々の実施形態の公知性を告知するために特許請求の範囲が作られた。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、放射線撮影の投影の収集及び高エネルギ放射線療法ビームの生成を提供し、且つその上に患者を支持するための患者テーブルを示す放射線療法システムの切欠斜視図である。
【図2】図2は、患者のような、被検体のスライスの簡略化された図であり、2つの角度θにおいて取得され、各投影の縦軸に示される次元tに沿う減衰Aにより、被検体のライン投影を示している。
【図3】図3は、影付けによって示される投影の減衰と共に角度θの360度にわたり、図2において収集されるような多重ライン投影により形成されるシノグラムである。
【図4】図4は、走査されるであろう単純化された被検体の、らせん状及びスライス・バイ・スライスの走査パスを示す斜視図である。
【図5】図5は、スライス・バイ・スライス走査において取得されるであろうような図4の被検体のシノグラムの1セットである。
【図6】図6は、らせん状走査において取得されるであろうような図4の被検体のシノグラムである。
【図7】図7は、放射線療法機械を制御するために用いられる治療シノグラムを、同一の又は異なる機械上で実施されるコンピュータ断層走査から準備する各ステップを示すブロック図とフローチャートの組み合わせである。
【図8a】図8a及び図8bは、それぞれパラレルビーム及び扇状ビームシステムにおける構成の運動の効果を示す図2と類似した図である。
【図8b】図8a及び図8bは、それぞれパラレルビーム及び扇状ビームシステムにおける構成の運動の効果を示す図2と類似した図である。
【図9】図9は、扇状シノグラムをパラレル構成に再格納することを含む扇状ビーム内の運動の補正の第1の方法の各ステップを示すフローチャートである。
【図10】図10は、パラレルビーム構成に再格納することのない治療シノグラムのスケール及びシフトによる直接数学操作を含む扇状ビーム内の運動の補正の第2の方法を示す、図9のそれと類似したフローチャートである。
【図11】図11は、図8a及び図8bの平行移動運動に対比して、被検体の適当な膨張の効果を示す図2、図8a及び図8bと類似した図である。
【図12】図12は、本発明により採用されたリアルタイム運動補正及び予め計算された部分シノグラムからの治療シノグラムの構築の要素を示す図7と類似した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム軸におおむね沿う方向に向けられ且つ該ビーム軸に対して垂直に間隙をおいて配置された個々にエネルギが変調された放射線の放射線ビームを与える放射線療法機械を操作するシステムであって、放射線ビーム軸は患者について所定の角度範囲に配置可能であり、前記システムが、
(a)行及び列の部分シノグラムのライブラリを用意し、行についての放射線ビーム軸の所定の角度についての異なる放射線のエネルギ及び/又はフルエンス、並びに列についての前記ビーム軸の異なる角度についての所定の放射線のエネルギ及び/又はフルエンスを与える手段であって、各部分シノグラムが、第1のモードにおける種々の患者要素の一つに対応してなる手段と、
(b)放射線治療を必要とする所定の患者をモデル化するように、第2のモードに対する患者要素の1セットの表現の組み合わせを配置する手段と、
(c)前記第1及び第2のモードの間の患者要素における変化を示すセット改変データの患者要素の各々を決定する手段と、
(d)前記改変データに従ったセットの患者要素の各々の部分シノグラムを修正する手段と、
(e)前記患者の治療シノグラムを提供すべく前記修正された部分シノグラムを組み合わせる手段と
を有してなるシステムであって、手段(d)において、各部分シノグラムの各所定のビーム軸角度について、前記部分シノグラムの対応する行は、該所定のビーム軸に垂直な患者要素の改変の成分に従ってシフトされ、且つ前記部分シノグラムの対応する行は、該所定のビーム軸に平行な患者要素の改変の成分に従ってスケールされるシステム。
【請求項2】
前記改変データは、前記患者要素の位置及び寸法における変化を示す請求項1のシステム。
【請求項3】
手段(c)に先立って、前記患者要素の配置は、前記患者の運動を示すリアルタイムデータによってさらに修正される請求項1のシステム。
【請求項4】
当該患者要素は、単純な幾何学的領域である請求項1のシステム。
【請求項5】
当該患者要素は、患者臓器のモデルである請求項1のシステム。
【請求項6】
前記部分シノグラムは、患者に対する線量マップに従って配置され、且つ手段(d)と(e)との間に、前記線量マップを、一層良好に整合させるべく治療シノグラムを最適化する手段を含む請求項1のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−68538(P2006−68538A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279947(P2005−279947)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【分割の表示】特願2000−563350(P2000−563350)の分割
【原出願日】平成11年8月6日(1999.8.6)
【出願人】(390023641)ウイスコンシン アラムナイ リサーチ フオンデーシヨン (61)
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】