放射線療法治療へのMRIの統合
【課題】放射線療法とMR撮像の間に、開いたシステムと閉じたシステムの2つの間で、RFを遮蔽したドアの特定の配置を用いて、RTシステムからのRF干渉のない外部のRTと同じ部屋でMR撮像を行なう部屋構成を提供する。
【解決手段】放射線療法のための装置は、放射線を遮蔽したドア17、31の外部の位置から撮像位置まで移動可能なMR磁石10を含む共通の処置室26で取り付けられた、患者テーブル32、MRI10、および、放射線処置装置を組み合わせる。RFを遮蔽したドア31は、磁石から処置装置の一部を分離させる位置と、処置装置への患者のアクセスが可能な開位置との間を動くことができる。1つの構成において、連続した処置室があり、磁石は、部屋の放射線を遮蔽したドア31の列の外側の通路に沿って移動するように取り付けられる。
【解決手段】放射線療法のための装置は、放射線を遮蔽したドア17、31の外部の位置から撮像位置まで移動可能なMR磁石10を含む共通の処置室26で取り付けられた、患者テーブル32、MRI10、および、放射線処置装置を組み合わせる。RFを遮蔽したドア31は、磁石から処置装置の一部を分離させる位置と、処置装置への患者のアクセスが可能な開位置との間を動くことができる。1つの構成において、連続した処置室があり、磁石は、部屋の放射線を遮蔽したドア31の列の外側の通路に沿って移動するように取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線療法治療にMRIを組み込むシステムに関する。放射線を使用する処置は、放射材料が患者の身体に導入される、従来の標的を絞った光線療法または近接照射療法であり得る。
【背景技術】
【0002】
外部ビーム放射線療法(RT)デバイスは、一般にガントリに取り付けられた線形電子ビーム加速器を含み、これは患者用寝台(patient couch)に横たわる患者にほぼ平行に軸の回りを回転することができる。患者は、電子ビーム、または、もともとの電子ビームによって生成されたX線ビームのいずれかを用いて処置される。電子ビームまたはX線ビームは、コリメータの使用と、ビームの回転との組み合わせによって標的に焦点を合わせる。ガントリが回転するにつれて、標的病変が放射線ビームの面にくるように位置付けられることが可能な寝台に患者は置かれる。
【0003】
放射線療法の目的は、周囲を囲む正常組織すべてに最小源の影響しか与えない高線量の放射線を用いて病変を標的とすることである。腫瘍と腫瘍を囲む他の重要な構造を局在化させるために、最初の処置計画手順は外部ビームRTの実施前に行なわれる。この計画手順は、典型的にはこれらの構造を特定するためにCT撮像を含む。分割された腫瘍と周辺の組織構造に基づいて、一連のビームの方向とコリメータの設定が反復工程を介して開発されることで、周辺の重要な回避構造に対する線量を最小限にすると同時に腫瘍に対する線量を最大限にする最適な線量分布パターンを測定する。
【0004】
CTと比較して、MRIは現在のところ、高い軟組織コントラストに基づいた、腫瘍の局在化に最適な形態であり、処置計画のワークフローに組み込まれることができる。MRIは処置計画の目的のために腫瘍の位置を測定するのに優れているが、これらの処置計画の画像は処置の数日前に通常集められ、それ自体は、処置日の腫瘍の位置の典型を示すものでなくてもよい。この制限に取り組むために、腫瘍学者は、標的の体積を増加させ、腫瘍組織すべてが確実に最大線量を受け取るようにする傾向がある。標的とされた領域の細胞がすべて必要なRT処置用量を受け取るということと、この増加した処置標的体積が、処置計画線量分布と病変の実際の領域に送達される線量との間の誤差の影響を減らすということを期待するものだ。しかしながら、この治療マージンの増加により、患者の生活の質に重大な影響を及ぼし、二次的なRTによって引き起こされる癌の可能性を増加させかねない付随的な組織損傷も引き起こされる。
【0005】
増加した治療マージンの必要性を減らすために、臨床医は、画像がRT処置の実施直前に獲得される、画像誘導外部ビーム放射線治療と呼ばれる方法を用いた。そのような利用可能な解決策の1つは、RT処置の間に腫瘍のリアルタイム撮像を可能にするために、線形加速器にMRIシステムを完全に統合することを含む。しかしながら、この設計は複雑で、高価で、MRIと線形加速器の両方の機能的な性能について深刻な妥協を伴うかもしれない。
【0006】
処置計画用の画像は、数週間にわたって起こることがある実際の分割した処置を実施する数日前に集められるのが一般的である。そのため、処置画像図における腫瘍の位置は、毎日の処置での実際の病変位置の典型を示すものでなくてもよい。各々の処置セッション直前に画像ガイダンスを組み込むことによって、各処置セッション内で病変の正確な位置を測定することができる。RT処置の直前にMR画像を得ることで、正確な病変位置を特定し、原体照射(conformal radiation)の実施のために正確なガントリ位置を定義する。
【0007】
RT処置のワークフローに事前処置のMR画像を統合することは、処置のために線形加速器ガントリを正確に確実に配列するために、RTシステム座標空間へのMRIの座標空間のマッピングを必要とする。RTシステムの座標空間は、従来の画像誘導放射線療法で一般的に使用される、ガントリ/部屋に取り付けられたX線/コーンビームCT(CBCT)システムによって定義される。1つの解決策は、表面上の、または、患者に挿入される、基準マーカーの自動登録を用いて、「MRI空間」と「RT空間」を一列に並べるのに必要とされる相対座標変換を測定するために、事前処置のMRIとX線の画像を登録することを含むであろう。典型的に、これは、オペレーターが、MRI空間の複数の制御点を特定し、RTユニットのX線画像における同じ代表的な点も特定することを含む。単純化したものであるが、これは、手動の、時間を消費する、誤りを起こしやすい技術である。さらに、基準マーカーは、とりわけ、患者の皮膚に貼付される場合に動いてしまうことがある。あるいは、患者の登録は、特定の解剖学的特徴を用いて2つの座標系をマッピングする、画像に基づいた解剖学的登録方法を使用して行なうことができる。この代替的な方法はもっぱら患者の解剖に基づき、画像コントラストがかなり異なる2つの画像データセットを登録することを含んでおり、登録ミスを起こしやすい。
【0008】
放射線治療デバイスは、ガントリに取り付けられるとともに、患者用寝台の上に横たわる患者にほぼ平行な軸の回りを回転可能な線形電子ビーム加速器を含むのが一般的である。患者は、電子ビーム、γビーム、または、元々の電子ビームから生成されるX線ビームのいずれかを用いて処置される。ビームは、コリメータの使用とビームの回転との組み合わせによって標的に焦点を合わせる。ガントリが回転するにつれて、標的病変が電子ビームの面にくるように配することが可能な寝台に患者は置かれる。この患者用寝台は、6つの可動域(x、y、z、ロール、ピッチ、および、ヨウ)までを用いてRTシステムのアイソセンターで標的を正確に一列に並べるために、患者の位置を調節するように設計される。複数のメーカーによって採用された現在の寝台設計は、十分な可動域が全身の疾患部位を処置することを可能にする片持ち梁にされた寝台上面(cantilevered couchtop)を使用する。
【0009】
Bucholzらは、特許文献1で、陽子ビーム療法をMRIシステムと組み合わせる方法を開示している。この方法はたんに、陽子治療について論じて、ビームが磁石中の間隙を通って送られる定常的なMRIについて記載している。この出願は、簡潔にしか言及されていないことであるが、磁気とRFの干渉を取り除くために、マットによる遮蔽(Mat shielding)方法が使用可能であることを示している。
【0010】
Dempseyは、特許文献2のデバイスにおいて定常的な開かれたMRIシステムによって、電離放射線源としてコバルト60を用いてRTを照射する方法と、増殖性の組織障害によって引き起こされる疾患の処置のために患者に照射される高原体電離放射線量(highly conformal ionizing radiation dose)を直接測定および制御するために、強度変調放射線治療(IMRT)の間に患者の解剖学的構造の高時間空間分解能(high temporal−and spatial−resolution)MR撮像を実行するためのプロセスを開示している。この発明は、開かれたMRI、多葉コリメータ、または、補償フィルタに基づくIMRT実施の技術と、コバルト遠隔治療を組み合わせて、単一の共同登録される、ガントリが取り付けられたシステムを作る。
【0011】
Carloneは、特許文献3(発明の名称「Radiation Therapy system」)で、MRIと放射線治療システムを組み合わせる方法を開示している。この方法はAlbertaで開発され、磁場に線形加速器を晒し、中心軸に沿って粒子状物質を配向するために磁石力を使用する手法を記載している。
【0012】
Lagendijkは、特許文献4(発明の名称「MRI in guided radiotherapy and position verification」)においてグローバル座標系を用いてMRIと放射線療法を組み合わせる方法を開示している。このシステムでは、MRIは静磁場が線形加速器の動作に干渉するのを防ぐために能動的に遮蔽される。
【0013】
Orbital Therapyは、特許文献5で、動作のために従来のバンカー(bunker)を必要としない自己遮蔽式放射線治療デバイスを開示している。
【0014】
先行技術を記載した他の特許は以下のものを含む。
特許文献6−磁気共鳴撮像システムを含む放射線治療装置。
特許文献7−磁気共鳴撮像システムを含む放射線治療装置。
特許文献8−陽子ビーム放射と核磁気共鳴映像を組み合わせるシステム。
特許文献9−歪みを放射線等線量に最小化する方法。
特許文献10−定位的な局在化のためのCTおよびMRIで目に見える指標マーカー。この特許出願で、発明者は、皮膚に基づいたローカライザーマーカーは、MRIとCTの両方で定位的な局在化に使用できると主張している。
【0015】
誘導放射線療法と位置の検証において、特許文献4のMRIがUtrechtによって提出されているが、この特許は、基準テーブルのMRマーカーからなる独立したワールド座標アイソセンター較正システム(world coordinate isocentre calibration system)と、独立したテーブル位置検証システムを一体化することについて記載している。
【0016】
IMRISは、X線撮像をMRに一体化させるための患者支持システムについて、特許文献11の下、2010年3月29日に出願され、2010年10月7日に公開されたPCT出願の特許文献12(発明の名称「Support Component for Use in Imaging by Magnetic Resonance and X−ray」)も出願している。この出願は、MR適合性でありかつ放射線透過性でもある支持構造について記載している。
【0017】
1998年7月7日に発行された特許文献13(Mansfield)(発明の名称「Radiotherapy Couch Top」)で、Varianは患者用の寝台上面を開示している。しかしながら、その設計における材料は炭素繊維を含んでおり、つまり、MR適合性ではない。設計は、寝台上面にあるパネルを挿入して取り除くことを可能にする縦方向運動のためのベアリングを含む。
【0018】
1973年3月13日に発行された特許文献14(Dinwiddie)(発明の名称「Automated Radiation Therapy Machine」)においてもVarianは、RTシステム全体に患者を置いている。この特許に患者用寝台が特定され記載されている。
【0019】
上記の引用された文献のすべての開示は、参照することによって本明細書に組み込まれるか、または、本明細書では特に詳しく書かれていない構成要素と方法のさらなる詳細について言及されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願第6,862,469号
【特許文献2】米国特許公開公報第2005/0197564号
【特許文献3】WO/2009/155700号
【特許文献4】WO/2003/008986号
【特許文献5】米国特許第7,758,241号
【特許文献6】米国特許第6,198,957号
【特許文献7】米国特許第6,366,798号
【特許文献8】米国特許第6,725,078号
【特許文献9】米国特許第5,402,783号
【特許文献10】米国特許第6,419,680号
【特許文献11】WO 2010/111772号
【特許文献12】PCT/CA2010/000422
【特許文献13】米国特許第5,778,047号
【特許文献14】米国特許第3,720,817号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、患者の放射線療法のための装置が提供され、該装置は、
患者支持テーブル;
患者の標的位置を含む撮像ボリュームのMR画像を得るための磁気共鳴撮像システムを含み、
撮像システムは、
患者の標的位置を囲むために円筒穴部を有している、患者に適用される磁場を生成するのに動作可能なMR磁石、
撮像される被験体が、適用される磁場とRFパルスに反応してMR信号を生成するように、被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信コイル構造(coil arrangement)、
受信段階のMR信号を得るための受信コイル構造、および、
画像が生成される信号処理を実行するために、MR信号を受信するための信号処理システムを含み、
該装置は、
支持テーブル上の患者内の標的位置に放射線療法を適用するための処置装置を含み、
患者支持テーブルと処置装置は、放射線を遮蔽するとともに開口部を有する処置室に取り付けられ、該処置室は開口部を閉じるように操作可能な放射線を遮蔽したドア構造を含み、
MR磁石は、放射線を遮蔽したドア構造の外部の位置から開口部に入って、MR撮像のために患者支持テーブル上の患者と連携する撮像位置まで移動するために取り付けられ、
MR磁石は、患者支持テーブル上の患者への放射線による処置のために、撮像位置から外部の位置に移動するために取り付けられ、
患者支持テーブルでの撮像の間、処置装置からのRF信号が撮像システムに干渉するのを妨げるための構造が提供され、
患者支持テーブルと処置装置の両方は、磁石が撮像位置に動かされる際に、処置室の処置位置に留まるように配される。
【0022】
好ましくは、RF信号が撮像に干渉するのを防ぐための構造は、撮像位置にある際に磁石から処置装置の少なくとも一部を分離させる閉位置と、処置装置が放射線療法のために患者支持テーブル上の患者にアクセス可能な開位置との間で、動作可能なように配された処置室内のRFを遮蔽したドア構造を含み、RFを遮蔽したドア構造は、RFノイズに重要な処置装置の電子部品を、磁石と受信コイル構造とから分離するために閉位置に配され、その一方で、シャットダウンすることなく重要な電子部品をアクティブなままにしておくことを可能にする。
【0023】
好ましくは、患者支持テーブルは、垂直軸周りの回転のために導電性材料で形成されたターンテーブルを含む支持土台上で片持ち梁にされた患者支持寝台を含み、RFを遮蔽したドア構造はターンテーブルに広がる少なくとも一部を含むことによって、MR磁石からターンテーブルの一部を締め出す。
【0024】
好ましくは、RFを遮蔽したドア構造の一部は、磁石の穴部の長手軸に傾いた角度でターンテーブルに広がる。
【0025】
好ましくは、RFを遮蔽したドア構造は、長手軸に対して直角に処置装置の各側部に配された部分を含む。
【0026】
好ましくは、RFを遮蔽したドア構造は、ターンテーブルに部分的に広がる第1の部分と、ターンテーブルに部分的に広がる第2の部分とを含み、該部分は、処置装置を囲むために先端で交わる。
【0027】
好ましくは、RFを遮蔽したドア構造は、処置装置が処置室の長手方向の軸回りに回転可能な頭部を含む場合に、ターンテーブルの一方の側の位置までターンテーブル全体に広がる部分を含み、頭部が患者支持テーブルの一方の側の位置に向けられることによって、該部分の一方の側にある頭部が磁石から離れたまま、前記部分はターンテーブルを通ることができる。
【0028】
好ましくは、患者支持テーブルに制御信号を提供するためのケーブルは、RF遮蔽物を通って、RFフィルタを含む。
【0029】
好ましくは、患者支持テーブルは、RF遮蔽物を通る光ファイバーケーブルによって操作される制御要素を含んでいる。
【0030】
好ましくは、外部ビーム処置に使用される前記放射線処置室、放射線処置室から間隔をおいた近接照射療法システムのための第3の部屋、および、処置室と第3の部屋との中間にある第2の診断室を含む一列に並んだ少なくとも3つの部屋が提供され、磁石が各々の部屋を移動可能であることによって、同じ可動性のMRI磁石を使用する外部ビームと近接照射療法RT手順の両方に画像ガイダンスを提供する。
【0031】
好ましくは、一列に並んだ少なくとも3つの部屋が提供され、その少なくとも1つは前記放射線処置室を含み、磁石は、部屋の列の外側の経路に沿って直線的に移動するように、かつ、患者支持テーブルと連携すべく各部屋で回転するように、配される。
【0032】
好ましくは、患者支持テーブルは、MR撮像手順でMR磁石と提携するために処置装置のアイソセンターから180度回転するように、かつ、その後、処置のためにアイソセンターに戻るように回転するように配される。
【0033】
好ましくは、患者支持テーブルは、異なる可動域を提供するために設計された複数の電子モーターと、MRI静磁場の相互作用を回避するように配された制御部とを採用する。
【0034】
好ましくは、患者支持テーブルがMR撮像の間に適所に固定されると患者支持テーブルのモーターの電源を切り、かつ、ひとたび適所で固定されると任意の危険行為を回避する、自動安全システムが提供される。
【0035】
好ましくは、安全システムは、磁石が患者の上を移動する前に、患者支持テーブルが適切な固定された位置にあることも保証する。
【0036】
本明細書に開示される概念の1つは、放射線療法とMR撮像の間に、開いたシステムと閉じたシステムの2つの間で、RFを遮蔽したドアの特定の配置を用いて、RTシステムからのRF干渉のない外部のRTと同じ部屋でMR撮像を行なう能力である。このことは、混成の一続きの部屋(hybrid suite)でRTとMRを直接組み合わせることを意図した構造を提供する。さらに、この構造は、近接照射療法を行なうために必要な部屋構成(room Configuration)の要件を提供することもできる。
【0037】
記載された構造は、処置の前に患者を撮像するために部屋に持ち込まれ、その後、RT処置の直前のMRIシステムを引っ込めることが可能な可動性のMRIシステムを提供する。外部ビームRT処置を備えたこの可動性のMRIシステムを実行することは、MR画像品質に対する線形加速器の影響を最小限にするために、かつ、線形加速器の最適な動作特性を保証するために、新しい部屋構成と特定の遮蔽要件を必要とする。
【0038】
MR画像の形成は無線周波数の伝達(RF)と検出に基づいている。MRIシステムは、MRIシステムの外部のスプリアスなRF信号が画像取得に干渉するのを防ぐために、RFを遮蔽した部屋のなかで囲まれるのが一般的である。使用される順序に依存して、外部のRF信号は、診断を妨害して全体的な画質を劣化させる画像中の承諾しがたいアーチファクトを形成する。RFを遮蔽した部屋の任意の電子デバイスは、RFのソースであってもよく、画像取得に干渉することもある。したがって、RTとMRIを組み合わせることは、RFを遮蔽した部屋内のデバイスすべてがRF平穏状態(RF quiet)であること、すなわち、検知可能なRFノイズを生成しないことを必要とする。標準的な線形加速器では、RFノイズを生成する多くの電子デバイスが存在する。RFノイズのこの問題に対する1つの解決策は、MR撮像の間にRTユニットで電子デバイスすべての電源を止めること、その後、RT処置のためにこれらのデバイスの電源を入れることを必要とする。しかしながら、この解決策にはいくつかの欠点がある。したがって、内蔵のX線撮像システムと同様に、線形加速器における重要な構成要素は、膨大な「ウォームアップ」時間を必要とする。RTシステムの精度は、「ウォームアップ」時間の短縮によって落ちることもある。患者スループットは減らされる。電子部品の繰り返しの動力サイクルは、システムの全体的な寿命を減らすこともある。電源の入/切は、デバイスの安全で正確な操作を保証するために、追加の較正工程を要求することもある。よりよい解決策は、MR撮像の間は閉じられ、放射線処置のために開くMRIおよびRTシステムの間の1セットのRFを遮蔽したドアを用いて、RTシステムの重要な電子部品をMRIから分離することを含む。
【0039】
線形加速器による放射線照射を含む外部ビーム放射線療法以上に、近接照射療法も、特定の癌の腫瘍、主として頚部と前立腺の腫瘍を処置するための有用な変質剤として実証されている。外部ビームRTとは異なり、近接照射療法は、アイソトープ源から放出されるγ線またはx線のエネルギー値に基づいた放射線量堆積物を生成する、選択された放射性アイソトープを用いて、内部から腫瘍を標的とする。近接照射療法の利点は、放射線量が周囲の組織に最小の影響しか与えず、腫瘍そのものに局在化されるということである。
【0040】
簡潔に言えば、近接照射療法のワークフローは、1セットのカテーテルによって高線量または低線量の放射性シードのいずれかを腫瘍に直接挿入することを含む。各シードの位置は処置計画の間に生成される規定の線量分布パターンに基づく。外部ビーム療法に類似して、近接照射療法は、処置を実施する直前のMR撮像手順の統合によって利益を得る。さらに、腫瘍への挿入後にカテーテル位置を撮像する能力は、シード挿入手順の間の腫瘍への線量放射の信頼度を改善する。1つの潜在的な解決策は、標準的な診断室でMRI手順を行い、その後、カテーテルの配置と処置の実施のために、近接照射療法のバンカーに患者を輸送することを含む。この手法には問題がある。なぜなら、患者が輸送中に動いた結果、画像がもはや現在の腫瘍位置の典型を示すものではなくなるからである。よりよい解決策は、撮像のために近接照射療法用バンカーに動かされ、その後、カテーテルの位置決めと処置の実施のために引っ込められる可動性のMRIシステムに近接照射療法の手順を統合することを含む。現在の近接照射療法は、携帯式の超音波/X線画像誘導システムと、カテーテルを介して、大きなRFノイズを生成する放射性シードを運ぶ携帯式の「後負荷装置(afterloader)」のような機器を必要とする。したがって、この解決策は、独特な部屋構造が、近接照射療法のカテーテル挿入と放射性シードの送達との間に、MRIに放射線とRFの遮蔽を提供することを要求する。
【0041】
外部ビームおよび近接照射療法の解決策は、同じ可動性のMRIシステムを用いて、外部ビームと近接照射療法のRT処置の両方に画像ガイダンスを提供する広範囲な3つの部屋という解決策を提供するために、中央で診断室と組み合わせることが可能である。
【0042】
1つの設計では、MR誘導型の外部RTシステムは、2つの別の部屋を含んでおり、第1の部屋は、RTシステム(線形加速器)を収容する放射線を遮蔽した「バンカー」であり、第2の部屋は、基礎的な診断手順のためにMRIを収容する。MRIは患者の画像を獲得するためにRTバンカーへと移動し、その後、放射線処置の前に診断室に戻る。
【0043】
記載された構造は、2つのシステム間で干渉をもたらすことなく、可動性のIMRIS MRIシステムを放射線療法(RT)システムに組み込ませることを可能にするために、1つの部屋構成と2組のドアを提供する。1組のRFを遮蔽したドアと放射線を遮蔽したドアは、RTシステムと診断室との間に配され、それは、診断室内の被験体に対する放射線照射を最小限にするために、かつ、RTシステムの部品からのRFノイズが処置中に診断室で行なわれる画像研究に干渉しないことを保証するために、RT手順の間に閉じられる。RFのみを遮蔽したドアの新しい第2の組はRTバンカー室にあり、RTシステムと(事前のRT撮像位置における)MRIの間に位置している。RFを遮蔽したドアのこの独特な組は、閉じられると、RTシステムの重要な電子部品をMRIから分離することによって、スプリアスなRFノイズがMR画像の習得に干渉するのを防ぐ。
【0044】
外部ビームRTのための本発明の基礎的なワークフローは、以下のとおりである:
患者用寝台は、外部ビームRTシステムアイソセンターから180度回転し、適所に固定され、
外部ビームRTバンカードアは開かれ、可動性の磁石が患者の上を移動し、
MRIとRTシステムの間のRF遮蔽ドアは閉じられ、
患者はMRIシステムで撮像され、
MRIシステムは診断室に戻り、外部ビームRTバンカードアは閉じられ、
RF遮蔽ドアは開かれ、患者用寝台は180度回転して、外部ビームRTシステムのアイソセンターに戻り、その後、原体照射療法が実施される。RFを遮蔽するドアはMRとRTシステムの間にあり、ドアは患者に対してほぼ45度の角度でバンカー室に及んでいる(span)。室内のドアの配向と位置は各々の場所について維持されるが、リニアックのボール幅の差は、患者に垂直なドアの各側面上のRF遮蔽壁が原因である。
【0045】
記載された構造は、患者用寝台とRFを遮蔽したドアとの間で衝突の可能性を減らすべくMR撮像のために適所にある際に動くのを防ぐために、患者用寝台に統合される安全制御システムを提供する。さらに、RFドア上の検出器は、移動の経路内に物体がある場合にドアが閉じるのを防ぐ。
【0046】
この部屋構成は、RFを遮蔽したドア内のRT領域への別のアクセスか、または、ドアを手動で開ける能力を誰かに許可する手動のオーバーライドスイッチによって、RFを遮蔽したドアの背後に閉じ込められた人を脱出させることが可能な別の手動のオーバーライドのいずれかを含んでいる。この手動のオーバーライドシステムは、完全な停電時でさえ機能する。
【0047】
第2の一続きの部屋の構成は、外部ビームRTバンカー室、画像診断室、および、近接照射療法用バンカー室の3つの別の部屋を含む。この3部屋が一続きの部屋の構成では、外部ビームRTバンカー室および画像診断室は上に記載された通りである。3部屋が一続きの部屋における追加的な近接照射療法室は、撮像と処置のために必要に応じて移動に必要な調節によって定位置で基本的には保持される患者テーブルを備えた、放射線とRFを遮蔽したバンカー室である。しかしながら、テーブルは移動のために定位置から遠ざけて取り付けられることもできる。MRIシステムは、撮像手順を行なうために近接照射療法室に移動し、その後、カテーテルの挿入と放射性アイソトープのシードの送達のために引っ込められる。この発明では、1組のRFを遮蔽したドアと放射線を遮蔽したドアは、近接照射療法用バンカー室とMRI診断室の間にある。このドアの組は、MRシステムが近接照射療法室に入ることを可能にするために開かれ、MRIが近接照射療法室に入った後に閉じられる。近接照射療法用バンカーのドアは、画像診断室の被検者のために近接照射療法からの放射線照射を最小限にすると同様に、近接照射療法のカテーテル挿入またはシード送達(すなわち、携帯式のX線または超音波システム)で使用される機器によって引き起こされるMR画像品質に対するRFノイズの影響を除去する。
【0048】
この発明の近接照射療法の部品の基礎的なワークフローは、以下のとおりである。
患者は処置位置の近接照射療法用のテーブルに横たわり、
近接照射療法用バンカーのドアは開いて、可動性の磁石が患者の上を移動し、
患者はMRIシステムで撮像され、
MRIシステムは診断室に戻され、近接照射療法用バンカーのドアは閉じられ、
近接照射療法のシードの送達のためのカテーテルが挿入され、
近接照射療法用バンカーのドアは開き、可動性の磁石が患者の上を移動し、
患者は、処置位置に挿入されたMRI可視カテーテルを備えたMRIシステムで撮像され、
MRIシステムは診断室へ戻され、近接照射療法用バンカードアは閉じられ、
近接照射療法用のシードは、原体治療(conformal treatment)を実施するためにカテーテルを介して腫瘍に挿入される。
【0049】
可動性のMRIシステムによる外部ビームと近接照射療法の事前処置撮像についての2つの主要な発明の概念は、複数の構造で組み合わせることができる。
【0050】
2部屋:
a)外部ビームRTバンカー+診断室、
b)外部ビームRTバンカー+近接照射療法用バンカー、
c)近接照射療法室+診断室、
3部屋:
d)外部ビームRTバンカー+診断室+近接照射療法用バンカー、
e)外部ビームRTバンカー+診断室+外部ビームRTバンカー、
f)近接照射療法用バンカー+診断室+近接照射療法用バンカー。
【0051】
加えて、処置のために生成されるMR画像とRT画像の間で登録を提供する必要がある場合、様々な登録システムが使用されることができる。登録のための1つの手法は、固定マーカーが(RTシステムの取り付けられたX線部品を用いて)MRとRTの座標系を自動的にマッピングするために使用される場合のシステムであり、患者の解剖学的構造から独立したものである。これらのマーカーは、1つの実施形態において患者テーブルに取り付けられ、患者固定化装置を囲んでおり、2つの座標系の間でマッピングするために一貫して厳密な「グローバルな」基準系を提供する。
【0052】
基準マーカーの配列はRT処置用の寝台上面に埋め込まれ、これは事前処置用のMRI取得のために利用される。この構造によって、マーカーは、患者の体位と固定化に干渉しないように患者の真下に位置する。寝台上面にマーカーを埋め込むことによって、患者の表面にマーカーを貼付する必要が回避され、MRIとRTの両方の画像取得のために、厳密で一貫した「グローバルな」座標系(reference frame)を提供する。
【0053】
MRIとRTの画像座標系の登録を容易するために、基準マーカーは、両方とも目に見えるMRとX線で、両方のシステムのための視野内に配されることができる。マーカーは、高い登録精度を提供するよう設計された特殊形状と幾何学的形状を用いて、患者用寝台の上面に埋め込まれる一連の独特の「基準フレーム」に配される。一連の異なる解剖学的に基づいた基準フレームは、下方の/上方の(すなわち、頭の先からつま先まで)方向に沿って患者用寝台の上面内の特定の位置に割り当てられる。基準マーカーの精度は、基準フレームと処置の組織領域との間の距離に関連付けられる。そのようなものとして基準フレームの各々は、RT処置で典型的に標的とされる主要な解剖学的領域、例えば、1.頭部/頸部、2.肺、3.腹部、4.骨盤について特異的に設計されるであろう。各々の基準フレームは、各々のフレームを無関係に特定するために自動登録ソフトウェアの「署名」を作成する、独特な形状と配置をした複数のマーカーからなるであろう。MR/X線マーカーは、各々の解剖学的処置領域に使用される基準フレームの位置をエンコードすることができ、その関連する形状を備えた1以上のフレームの自動特定が可能となる。MR/X線マーカーの一部のみがMRとRTの撮像システムの視野で特定可能な場合、フレーム上でのそれらの位置が一意的に特定できるように、マーカーの形状は設計されてもよい。
【0054】
1つの実施形態では、バンカーは、一方の側に(その一方で、部屋のもう一方の側には開くことのできるバンカードアがある)RTシステムを包含するように、かつ、可動性のMRIを部屋に入れることができるように使用される。まず、患者は患者用寝台に位置付けられ、RTシステムアイソセンターから離れて180度回転する。MRIシステムは部屋へと移動し、上記のように患者用寝台の上面に埋め込まれた基準マーカーを用いて、撮像位置の患者の画像を獲得する。ひとたび撮像が完了すると、可動性のMRIは部屋を離れ、患者はX線撮像と処置のためにRTシステムアイソセンターに戻る。この構成では、患者の体位はRTとMRIの両方の位置の間で一貫しており、グローバルな基準フレームが両方の配向の患者の体位の典型を示すものであることを保証する。
【0055】
コンピューターアルゴリズムは、独特なマーカー位置に基づいて個々の基準フレームを特定するために、および、三次元空間でのマーカーフレームの正確な位置を計算するために、自動的な手法を提供する。この基準フレームは、登録目的のための「グローバルな」座標系を表す。寝台上面の基準は、グローバル座標系を確立するために、事前処置用のMR画像中で最初に特定される。次の工程で、同じ寝台上面はRTシステム撮像位置に動かされ、同じ基準マーカーが検知されるCBCT、2DX線、または、X線の蛍光画像が得られる。自動コンピューターアルゴリズムは、2つの画像診断法間のグローバルな基準座標系を登録し、MRI空間とRT空間の間の座標マッピングを計算する。これによって、ユーザの対話を介さずにMRとRTの座標系を自動登録することができる。しかしながら、ソフトウェアワークフローは、マーカーの配置と主な解剖学的構造の配置とを視覚的に確認するために、登録されたMRIとX線の画像のディスプレイを提供する。臨床スタッフは、処置前に自動登録の成功を確認することができる。その後、座標系変換行列はRTシステムで使用されることによって、事前処置用のMRIの位置の検証を以ってガントリー・アイソセンターを調整させ、処置を始めることができる。
【0056】
この配置は、一組のMR画像からRTシステム座標系まで、座標マッピングを自動的に生成する能力を提供する。
【0057】
特定の利点は次のものを含んでもよい。
−画像登録の自動化によるワークフローの強化
−基準フレームは、患者用寝台へ半永久的に埋め込まれ、同じ場所に無限に留まる(マーカーを取り除く必要はない)
−寝台上面の基準を設けることで、一貫した厳密な座標系が保証される
−ドレーピングまたは他の固定具による影響を受けない基準フレームの有効性
−マーカーが任意のMRコイルと患者の解剖学的構造とは無関係であるので、マーカーは、コイルの配置、コイルの動き、または、患者の体位には依存しない
−追跡ボリュームに近づけることで平均追跡誤差を減らすことができる(すなわち、例えば、外部の光学デバイスを用いて追跡される穴部の側からマーカーを取り出すことに比べて、基準マーカーへの距離が短いと、誤差の増幅は最小化する)
−基準フレームは常に患者の真下にあり、患者の体位には干渉せず、MR撮像またはRT処置の前に、マーカーを備え付けるための追加の準備時間は必要ない
−解剖学的構造の所望の領域が適切な患者の基準フレームにわたって置かれることを保証すべく、正確な患者の体位を可能にするための患者用寝台の正確なインデキシング
−MR/X線エンコードマーカーは、対応する解剖学的構造について基準フレームの各々を自動的に特定するため使用される。
−患者用寝台の制御システムの高い空間精度は、特異的な「局在化」MRIシーケンスの必要を回避し、RTユニットに取り付けられたX線撮像システムのための一貫した位置決めを保証する
−様々なパターンのMR/X線マーカーの配置によって、マーカーの一部のみがMRとX線の視野で捕獲される際に、マーカーの特定と局在化を可能にする
−マーカーの位置決めは、コーンビームCT撮像と同様に標準的な二次元投影X線のいずれかでMR座標系の正確なマッピングを可能にする。
−基準フレームを取り除く必要のない自動登録を支持するする能力
−基準フレームが患者用寝台の上面に堅く埋め込まれるため、平均誤差は低下する
−RT処置の連携のために、寝台の上面に埋め込まれたMRおよびX線の目に見えるマーカーの適用
−MR/X線エンコードマーカーは、様々な基準フレーム(すなわち、頭部/頸部または腹部)を自動的に特定するために使用されることができる
−様々なパターンのMR/X線マーカーの配置によって、マーカーの一部のみがMRとX線の視野で捕獲される際に、マーカーの特定と局在化を可能にする
−MR誘導したRTについて、患者用寝台の上面に埋め込まれるMRとX線の両方の目に見えるマーカーの使用
−1つの解決策は、撮像のためにRTバンカーに持ち込まれ、かつ、その後放射線療法処置の前に引っ込められることが可能な可動性の磁石を利用することである。これは、現在利用可能なデバイスを用いて行われるRTを可能にし、MRとRTの手順を同時に行うことができるハイブリッドシステムの複雑な設計を必要としない。
【0058】
本明細書に記載の構造は、MRI誘導性の放射線療法のための支持構成要素を提供する。可動性のMRIをRTに組み込むことは、患者が同じ寝台上で撮像および処置されることを可能にする改良型支持システムを必要とするが、これは、寝台がMRI適合性であることと、撮像のための適切な位置にある際にMRIに到達するための拡張された可動域を有することを必要とする。この問題の重要な態様は、異なる可動域を提供するように設計された複数の電子モーターを使用する、患者用寝台とMRI静磁場の相互作用である。
【0059】
本発明の1つの目的は、患者テーブル(MRIとRTの工程の両方の間で患者は同じテーブルに留まる)を用いて、MRI誘導RT用の改良型の患者支持システムを提供することである。この発明では、寝台は、MR撮像手順のために線形加速器のアイソセンターから180度回転し、その後、放射線療法のためにRTアイソセンターに戻るように回転することができる。これは、磁石の静磁場と患者用寝台の重要な位置モーターとの間の安全距離を提供するために、患者テーブルの長手方向の可動域を広げられることを必要とする。
【0060】
寝台上面での材料は、MRとX線の両方の撮像手順を可能にするためにMR適合性でかつ放射線半透過性である。寝台上面は、頭部と頸部、腹部と低骨盤領域(前立腺、頚部)を撮像するために必要なRFコイル用のプレースホールダーを組み込む。寝台上面は、標準的な線形加速器とCT患者用寝台上面とに対する類似した機能を維持するためにテーブルの端部に必要なノッチを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明の1つの実施形態は、添付の図面とあわせてこれから記載される。
【0062】
【図1】可動性の磁石の異なる位置を示す、MR撮像システムを含む患者の放射線処置のための装置の上面図である。
【図2】撮像位置で磁石と連携する患者支持テーブルを示す、図1の装置の側面図であり、土台、つま先部分、かかと部分、支持ホイール、モーター、および、寝台またはテーブル上面を示す患者支持テーブルも例示している。
【図3】RF遮蔽ドアを示す図1の装置の上面図である。
【図4】患者支持テーブルのターンテーブルと連携するRF遮蔽ドアを示す図1の装置の上面図である。
【図5】RF遮蔽ドアを示す図4の線A−Aに沿った断面図である。
【図6】部屋の代替的な構成で図1の構造を用いる装置の上面図である。
【図7】MR画像システムを操作するために、閉位置にあるRF遮蔽ドアを示す図6の実施形態の等角図である。
【図8】放射線治療システムを操作するために磁石が部分的に離された開位置でのRF遮蔽ドアを示す図6の実施形態の等角図である。自動登録アルゴリズムのフローチャートである。
【図9】部屋のさらに代替的な構造で図1の構造を用いる装置の上面図である。図1のテーブル上面の等角図である。
【図10A】寝台上面の代替的な実施形態を示す。
【図10B】寝台上面の代替的な実施形態を示す。
【図10C】寝台上面の代替的な実施形態を示す。
【図10D】寝台上面の代替的な実施形態を示す。
【図10E】寝台上面の代替的な実施形態を示す。
【0063】
図において、参照の類似する特徴は異なる図の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1乃至5では、外部ビームバンカー部屋構成内のMRIと外部ビームのRT治療システムの概略図が示されている。この図は穴部(10A)を有する磁石(10)を含み、穴部(10A)の方に、患者(12)は患者用寝台(13)に取り付けられる患者用寝台上面(15)上で収容される。
【0065】
可動性の磁石は、レールシステム(25)上で吊るされた支持部(23)でレールシステム上に運ばれる。この構築のさらなる詳細は、現在の譲受人に割り当てられた、2008年2月14日に公開された米国特許出願第2008/0038712号から入手可能であり、その開示は引用によって本明細書に組み込まれる。
【0066】
適切な放射線治療システム(4)は、Varianから入手可能である。これは、陽子ビーム、近接照射療法、または、X線を含む異なる放射線を使用することができる。Varianの放射線治療システムは、送達される放射線の強度を調節するために、多葉コリメータによって形成されたX線ビームを用いて患者に治療用の放射線を照射することができる。
【0067】
Varianの放射線治療ユニットは、放射線療法の直前にコーンビームCT撮像を行なうことができるガントリに取り付けられたX線撮像システム(4A)も含み、これは画像誘導放射線療法を可能にする。あるいは、Varianの放射線治療システムは、近接照射療法を提供することが可能なデバイスである。このシステムは、X線撮像システムからなる画像誘導システムも含む。この材料の開示は引用によって本明細書に組み込まれる。
【0068】
患者対応システム(Patient Handling System)または支持テーブルが図3に示され、通常は(13)と(15)で表示される。患者支持テーブル(13)は、土台が患者支持テーブル部分(15)を所望の高さと方向にある位置に移動させることが可能な土台または台座(13A)を含む。土台(13A)の上部に、繊維強化プラスチック材料で形成される一般的に平らな本体部(15)の形をした患者支持テーブル部分(15)が取り付けられることで、患者を患者支持テーブル部分上に横たわらせながら支持するのに十分な表面積を定義する。図1および図2では、患者と支持構造は、撮像のために適所にある可動性のMRIとともに、RTアイソセンター(16)の位置から180度回転する。台座(13A)は垂直軸回りの回転のためにターンテーブル(18)に取り付けられる。
【0069】
テーブルは、可動性の複数の軸であってもよく、または、Varianからも入手可能な種類の「ロボット」テーブルであってよい。これは、テーブル上面が土台のまわりの方向に、および、土台の横に軸に沿って移動することができる間も、土台を定常的に保持するように作用する。
【0070】
図2に最もよく示されているように、テーブルは土台(18)つま先部分(18X)、かかと部分(18Y)、支持ホイール(18Z)、モーター(33)、および、寝台またはテーブル上面(15)を含むように示されている。患者支持テーブルとRFを遮蔽したドアとの間で衝突の可能性を減らすべくMR撮像のための適切な位置にいる際に動くのを防ぐために、システムに対して適切な位置に安全制御システム(18T)が設けられ、患者支持テーブルの動作に統合される。
【0071】
患者支持テーブル(13)は、MR撮像処置でMR磁石と提携させるために処置装置のアイソセンターから180度回転させ、その後、処置のためにアイソセンターに戻るように回転すべく配される。
【0072】
患者支持テーブル(13)は、モーターと制御部とによって異なる可動域を提供するように設計された、したがって、MRI静磁場の相互作用を回避するように配された、複数の電子モーター(33)を使用する。
【0073】
患者支持テーブルの長手方向の可動域は、磁石の静磁場と患者支持テーブルの位置モーターとの間の安全距離を提供するために広げられる。
【0074】
ひとたび患者支持テーブルがMR撮像のために適所に固定されると、自動システムはモーター(33)の電源を切り、かつ、ひとたび適所で固定されると任意の危険行為を回避する。
【0075】
安全システムは、磁石が患者の上を移動する前に、患者支持テーブルが適切な固定された位置にあることも保証する。
【0076】
患者支持テーブルのテーブル上面(15)中の材料は、MRとX線の両方の撮像手順を可能にするために、MR適合性でありかつ放射線半透過性である。
【0077】
テーブル上面(15)は、頭部および頸部、または、胸部、腹部および/または低骨盤領域を撮像するのに必要なRFコイル(24)のプレースホールダーを組み込む。
【0078】
テーブル上面(15)は、標準的な線形加速器とCT患者支持テーブル上面とに対する類似した機能を維持するのに必要なテーブル上面の端部にノッチも含んでいる。
【0079】
テーブル上面(15)はテーブル上面中に放射線半透過性でMRI適合性の材料を用い、それによって、患者支持テーブルがMRIとX線の撮像システムのいずれの画質も低下させることなく、これらのシステムで使用可能となる。
【0080】
システムは、従来の方法で人体から生成されたMR信号を受け取る、(24)で一般的に示される受信コイルシステムをさらに含む。RF制御システムは、送信本体(transmit body)コイル(11)を制御するように、かつ、一般的には(12)の領域で受信コイルからの信号を受け取るように働く。撮像手順が完了すると、受信コイルは、診断室に運び戻されるように磁石の外部へ取り付けられる。
【0081】
図1に示されているように、外部ビームバンカー室(26)は、放射線およびRF遮蔽材料で構成された壁(20)、天井(14)、および、床(26A)で囲まれている。外部ビームRT室(26)は、RT処置を実施する間に隣接する診断室にいる被検者を放射線に晒すことを回避するために、放射線およびRF遮蔽されたバンカードア(19)の組によって画像診断室(27)から分離される。外部ビームバンカードア(19)は撮像手順の間は開かれ、RT実施の間は閉じられる。
【0082】
RTとMRIのシステムの間で位置するRF遮蔽ドア(17)の第2の組は、RTの構成要素を生成するRFを、MRIシステムから分離するために使用される。これらのドアは、患者支持テーブル(13)のターンテーブル部分(18)にわたってRF遮蔽要件を満たす。これらのドアはMRI手順のために閉じられ、RT実施のために開かれる。退出スイッチ(17A)は、手動によるオーバーライドを可能にするためにRFを遮蔽したドア内に含まれ、これによって、万一の停電時にさえ、RFドアの背後に閉じ込められた人がRFドアを開けることが可能となる。
【0083】
撮像手順後、RF遮蔽ドア(17)は開かれ、MRIシステムは外部ビームRT室(26)から移される。MRIがバンカー室から出た後、MRIとRTのシステム(17)の間のRFを遮蔽したドア(19)は開かれ、患者(12)は、患者支持テーブル(13)を用いてRT位置に180度回転させられる。患者の配置は撮像結果に基づいて調節され、RTビームは、従来のコリメータと回転支持体によって処置装置(4)から病変へと照射される。
【0084】
図1と図2には、外部ビーム処置のための部屋(26)、撮像診断のための部屋(27)、および、近接照射のための部屋(30)の3部屋構成が表示されている。RFおよび放射線を遮蔽したドア(31)は、診断室(27)と近接照射バンカー(30)の間に置かれる。患者は近接照射用支持テーブル(32)に置かれ、それによってMRIシステムが患者の上を移動することが可能となり、該テーブルは近接照射処置に必要な患者支持部も有している。
【0085】
図3は近接照射を用いる3部屋構成のための完全な部屋構成のスケッチを提供する。以前の図に加えて、2台の患者カメラ(34)、MR適合性のポットライト(35)、IR追跡カメラシステム(36)などの構成要素は、システム部屋構成内に位置する。部屋の設計における特定の地点で発生することがある放射線損傷に基づいて、第3の患者カメラ(37)は、放射線に晒されても深刻な影響を受けない電気部品を有する放射線硬化カメラである。退出スイッチ(17A)も図3に含まれている。液晶モニター(36A)は、部屋にいる臨床スタッフが容易に目に見える位置(38)あたりに位置付けられる。バンカー室は、固定化デバイスと他の放射線治療デバイスの保管のためのキャビネット(39)を含む。撮像手順で使用されるMRコイルは、診断室保管キャビネット(40)に配される。連続的な患者モニタリングを可能にするために、MR適合性のカメラ(41)は、可動性のMRIシステム(10)の穴部(10A)の内部に取り付けられる。スピーカーとマイクロホンは位置(42)あたりに設置され、それによって、臨床スタッフが部屋の外部でいる際も患者との連続的な通信が可能となる。職員が出入りするスライドドア(43)は、バンカー室への直接的なアクセスを提供するために部屋内に設計される。部屋は、バンカー室の壁(20)に取り付けられたレーザシステム(44)も有し、それによって、臨床スタッフがMR撮像または放射線療法の実施の前に、患者を正確に位置決めすることが可能となる。
【0086】
したがって、患者の放射線療法のための装置は、患者支持テーブル(13)、患者の標的位置を含む撮像ボリュームのMR画像を得るための磁気共鳴撮像システム、および、放射線治療装置(4)を含んでいる。
【0087】
MR撮像システムは、患者に適用される変動磁場を生成するのに動作可能な勾配コイル(10A)を備えたMR磁石(10)を含み、磁石は、患者の標的位置を囲むために円筒穴部(10A)を有している。撮像システムは、被験体が、適用される磁場とRFパルスに反応してMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信コイル構造(11)をさらに含む。信号は受信段階のMR信号を得るために受信コイル構造(24)によって拾い上げられる。受信された信号は、画像が生成される信号処理を実行するために、MR信号を受信するための信号処理システム(24A)に送信される。
【0088】
ビームまたは近接照射療法のための処置装置(4)は、支持テーブル上の患者内の標的位置に放射線治療を適用するために配される。
【0089】
患者支持テーブル(15)と処置装置(4)は、開口部(19A)を有する処置室に取り付けられ、該開口部は、開口部(19A)を閉じるように動作可能な中心の閉じられた位置に、壁に対して直角に動かすことができる2つのドアによって定義された放射線を遮蔽したドア構造(19)を含む。MR磁石(10)は、放射線を遮蔽したドア構造(19)の外部の位置から、開口部(19A)の中へ、または、開口部(19A)を通って、MR撮像のために患者支持テーブル(15)にいる患者と提携するための撮像位置まで動かされるように取り付けられる。
【0090】
RTシステム(4)は、撮像位置にある際に処置装置の少なくとも一部を磁石から分離する閉位置と、処置装置が放射線療法のために患者支持テーブル上の患者にアクセス可能な開位置との間で動くことができるように配された処置室内のRFを遮蔽したドア構造(17)により撮像中に磁石から離される。
【0091】
RFを遮蔽したドア構造(17)は、RFノイズに重要な処置装置の電子部品を、磁石と受信コイル構造(24)とから分離するために閉位置に配され、その一方で、シャットダウンすることなく処置装置(4)の重要な電子部品をアクティブなままにしておくことを可能にする。これはシステムのシャットダウンと再起動とによって引き起こされるであろう承諾しがたい遅延を回避するのに必要である。
【0092】
RFを遮蔽したドア構造(17)は、導体でRF信号を停止させる、典型的には銅で作られた適切な導電層を含んでいる。図3と図4で示されているように、RFを遮蔽したドア構造は、ともに処置室に及び、患者支持テーブルに対して傾斜した角度で広がるドアまたは構成要素(17)を含んでいる。したがって、部分的に部屋にかかりながら固定されて適所に留まることが可能な患者支持テーブルの長手軸に対してある角度をなして、処置装置の各々の側に配されたRFを遮蔽した壁部分(17B)が提供される。各々の壁部分(17B)は、それぞれの壁部分の内側縁からそれぞれの壁部分に沿って処置室を横断可能なそれぞれのRF遮蔽ドア(17)と連携し、その結果、ドア同士が真ん中で接触して連続的なRF導電性遮蔽物を形成するようになる。壁部分(17B)の位置は、テーブルが壁部分の内側縁(17C)内部を移動しながら、垂直な中心軸の回りを回転することでその二つの位置に就くことができるような位置である。
【0093】
図4に最もよく示されているように、ドア(17D)と(17E)は、システムの中心線Lに対称的な地点(17F)で交わり、両方のドアはターンテーブル(18)に広がっている。したがって、RFを遮蔽したドア(17D)は、MR磁石を包含している領域から、土台の主要部分(18C)を締め出すように土台の一部(18)に広がる。(18G)で示されるような土台(18)の一部は、寝台のつま先部分を含む磁石の領域の内部に配される。
【0094】
したがって、RF遮蔽ドア構造(17)は、患者支持テーブルの土台(18)にわたってRF遮蔽を維持する、ドアの底縁(7K)内のRF遮蔽型膨張式ブラダー(inflatable bladder)(7J)を含む。ターンテーブル(18)の表面の台板は導電材料で作られ、ターンテーブルと係合するためにRF遮蔽物に接続された膨張式のブラダーの形で提供される可動性の接触器(18H)が設けられる。このように、連続的な導電性の遮蔽物は、ターンテーブル(18C)とドア(17D)で連通し、磁石の領域の内部にあるテーブルの部品を取り付けることで、それらがすべて、ドア(17)の後ろの領域で、静止しているが積極的な処置システムによって生成されたRF信号から遮蔽されるようになる。
【0095】
ドアの2つの部分(17D)(17E)は、先端で一体化するとともに部屋の長手軸に対して傾いていることによって、2つのドアによって定義された三角形状内のドアの左側で処置システム(4)を囲む。
【0096】
患者支持テーブルに制御信号を提供するためのケーブルは、ターンテーブルの部分(18G)によって定義されるRF遮蔽物の一部でグランド(gland)を通る。磁石領域内のRF電磁場によってケーブル内で生成される信号が処置装置の領域に伝達されない(その逆も然り)ことを保証するために、RFフィルタシステム(18L)は信号をフィルタ処理するためにケーブル内で接続される。
【0097】
患者支持テーブルでは、制御要素は、土台部分(18G)でRF遮蔽物を通り抜ける光ファイバーケーブル(18M)によって動作される。
【0098】
移動経路内に物体がある場合は、ドア構造が位置(17F)に対して閉じるのを防ぐために、RFを遮蔽したドア構造上に1つ以上の検出器(17X)が設けられている。
【0099】
1つの構造で、放射線治療システム(26)のための第1の部屋と、同じ可動性のMRI磁石を用いて、外部ビームと近接照射療法RTの手順との両方のための画像誘導を提供する3部屋解決策を提供するために、中央で第2の中間の診断室(27)と組み合わされた近接照射療法のための第3の部屋(30)とを含む3部屋が提供される。
【0100】
図1と図2では、2つの別の部屋が提供され、第1の部屋は処置装置を収容する放射線を遮蔽した「バンカー」であり、第2の部屋は基礎的な診断手順のためにMR磁石を収容する。
【0101】
ここで図6、7および8に目を向けると、図1および2とほぼ同じ構造が示されている。この配置では、ターンテーブル(18)の回りで回転するVarianから入手可能なロボットテーブル(13)がより詳細に示されている。
【0102】
この配置では、通常は(171)で示されるRF遮蔽ドア構造は、それがターンテーブル(18)のいずれかの側で位置(173)(174)に対してターンテーブル(18)に十分に広がる部分(172)を含む点で異なる。処置装置(4)は処置室の長手軸に対して回転可能な頭部(4B)を含む。
【0103】
頭部(4B)はこれらのシステムでは周知のものであるが、患者のまわりの異なる角度から処置位置に対して放射線を直接向けるために長手軸のまわりで回転する。
【0104】
この構造において、頭部(4B)が患者支持テーブルの一方の側に90度回転させられる場合の、頭部の位置が利用される。これによって、ドア部分(172)は、磁石から離れたドア(172)の側に頭部がある際に、ターンテーブル(18)を通常は対角線上に通ることができる。ドア(172)は必要とされるRF遮蔽物を作成するために導電材料から作られる。ドアの底は床にわたって導電性材料のバンド(174)と連携し、同様に、ドア(172)の上面は天井にわたってバンド(175)と連携する。ドアパネル(175)、(176)、(177)、および、(178)から構成された折り畳み式ドアまたはスライドドアの構造を用いることで、ドア構造は、一方の側の壁に対して折り畳まれ、もう一方の側で壁部分(17D)に対して折り畳まれることが可能である。この方法で、ドア構造は、図7に示されるように患者とテーブル(13)を磁石(10)に完全にさらしながら、かつ、処置工程のために図8に示されるように領域を開かれたままにしながら、容易に、テーブル(13)上の患者に干渉することなく、両方の位置に移動させることができる。
【0105】
ここで図9に示される別の実施形態に目を向けると、部屋構成は、各々がそれぞれの処置装置と、それぞれの患者支持テーブルと、それぞれの放射線を遮蔽したドア構造を有している部屋(26B)乃至(26E)までの列(26A)を含み、磁石は、放射線を遮蔽したドア構造の列の外側の経路または通路(26F)に沿って移動するように配される。この経路から、磁石は、放射線を遮蔽したドア構造の列の外側の経路(26G)に沿って、必要に応じて順番に各々の部屋にまっすぐ移動するように配される。この位置から、磁石は、各々の部屋で垂直軸(26H)の周りで回転することによって内部の患者支持テーブルと連携する。回転に加えて、磁石は、経路(26G)に対して直角に方向(26L)に移動することによって、関連する部屋の開口部に入ることもある。しかしながら、いくつかの構造では、磁石は方角(26L)に移動することができず、テーブルと磁石の間の連携は、テーブルのみの移動によって達成される。
【0106】
図10A乃至図10Eにおいて、上記のVarianのロボットテーブルに取り付けるように設計された寝台上面の多くの異なる実施形態が示されている。
【0107】
各々の場合、テーブル上面は、テーブルをMR適合性かつ放射線半透過性にする材料で製造されることによって、撮像アーチファクトを発生させることなく、処置システム(4)のMRシステムとX線撮像システム(4A)とによる撮像を可能にする。
【0108】
図10Aでは、頭部の下にある端面(151)を含む、患者の全身を収容する長さを有する1つの上面(15)が示されている。上面の厚みの第1の溝が(24X)で設けられることによって、後部コイルは骨盤の撮像のために骨盤領域に挿入可能となる。上面の厚みの第2の溝が(24Y)で設けられることによって、後部コイルは頭部の撮像のために頭部領域(151)に挿入可能となる。
【0109】
図10Bおよび10Cでは、土台ピース(152)、コネクタピース(153)、頭部支持体ピース(154)、(155)を備えた、3つのピース上面が示されている。コネクタピースは、土台ピースの端部で適所に頭部ピースを保持するためにコネクター構造を提供する。コネクターの様々な設計が提供可能である。溝(24X)は各々の構造の土台ピースに設けられる。図10Cの頭部支持部(155)は、たんなる平らな支持プレートである。図10Bでは、頭部支持部(154)は、放射線による干渉を減らすべく、最小の材料を提供するために形作られた頭部/頚部処置モードとして提供される。
【0110】
図10Dおよび10Eにおいて、土台ピース(152)と頭部支持ピース(154)、(155)を備えた2つのピース上面が示されており、コネクタピース(153)は省略され、その代わりに、コネクター機能が土台と頭部部分の間で直接定義される。コネクターの様々な設計が提供可能である。溝(24X)は各々の構造の土台ピースに設けられる。頭部支持部(154)および(155)は先に記載されている。
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線療法治療にMRIを組み込むシステムに関する。放射線を使用する処置は、放射材料が患者の身体に導入される、従来の標的を絞った光線療法または近接照射療法であり得る。
【背景技術】
【0002】
外部ビーム放射線療法(RT)デバイスは、一般にガントリに取り付けられた線形電子ビーム加速器を含み、これは患者用寝台(patient couch)に横たわる患者にほぼ平行に軸の回りを回転することができる。患者は、電子ビーム、または、もともとの電子ビームによって生成されたX線ビームのいずれかを用いて処置される。電子ビームまたはX線ビームは、コリメータの使用と、ビームの回転との組み合わせによって標的に焦点を合わせる。ガントリが回転するにつれて、標的病変が放射線ビームの面にくるように位置付けられることが可能な寝台に患者は置かれる。
【0003】
放射線療法の目的は、周囲を囲む正常組織すべてに最小源の影響しか与えない高線量の放射線を用いて病変を標的とすることである。腫瘍と腫瘍を囲む他の重要な構造を局在化させるために、最初の処置計画手順は外部ビームRTの実施前に行なわれる。この計画手順は、典型的にはこれらの構造を特定するためにCT撮像を含む。分割された腫瘍と周辺の組織構造に基づいて、一連のビームの方向とコリメータの設定が反復工程を介して開発されることで、周辺の重要な回避構造に対する線量を最小限にすると同時に腫瘍に対する線量を最大限にする最適な線量分布パターンを測定する。
【0004】
CTと比較して、MRIは現在のところ、高い軟組織コントラストに基づいた、腫瘍の局在化に最適な形態であり、処置計画のワークフローに組み込まれることができる。MRIは処置計画の目的のために腫瘍の位置を測定するのに優れているが、これらの処置計画の画像は処置の数日前に通常集められ、それ自体は、処置日の腫瘍の位置の典型を示すものでなくてもよい。この制限に取り組むために、腫瘍学者は、標的の体積を増加させ、腫瘍組織すべてが確実に最大線量を受け取るようにする傾向がある。標的とされた領域の細胞がすべて必要なRT処置用量を受け取るということと、この増加した処置標的体積が、処置計画線量分布と病変の実際の領域に送達される線量との間の誤差の影響を減らすということを期待するものだ。しかしながら、この治療マージンの増加により、患者の生活の質に重大な影響を及ぼし、二次的なRTによって引き起こされる癌の可能性を増加させかねない付随的な組織損傷も引き起こされる。
【0005】
増加した治療マージンの必要性を減らすために、臨床医は、画像がRT処置の実施直前に獲得される、画像誘導外部ビーム放射線治療と呼ばれる方法を用いた。そのような利用可能な解決策の1つは、RT処置の間に腫瘍のリアルタイム撮像を可能にするために、線形加速器にMRIシステムを完全に統合することを含む。しかしながら、この設計は複雑で、高価で、MRIと線形加速器の両方の機能的な性能について深刻な妥協を伴うかもしれない。
【0006】
処置計画用の画像は、数週間にわたって起こることがある実際の分割した処置を実施する数日前に集められるのが一般的である。そのため、処置画像図における腫瘍の位置は、毎日の処置での実際の病変位置の典型を示すものでなくてもよい。各々の処置セッション直前に画像ガイダンスを組み込むことによって、各処置セッション内で病変の正確な位置を測定することができる。RT処置の直前にMR画像を得ることで、正確な病変位置を特定し、原体照射(conformal radiation)の実施のために正確なガントリ位置を定義する。
【0007】
RT処置のワークフローに事前処置のMR画像を統合することは、処置のために線形加速器ガントリを正確に確実に配列するために、RTシステム座標空間へのMRIの座標空間のマッピングを必要とする。RTシステムの座標空間は、従来の画像誘導放射線療法で一般的に使用される、ガントリ/部屋に取り付けられたX線/コーンビームCT(CBCT)システムによって定義される。1つの解決策は、表面上の、または、患者に挿入される、基準マーカーの自動登録を用いて、「MRI空間」と「RT空間」を一列に並べるのに必要とされる相対座標変換を測定するために、事前処置のMRIとX線の画像を登録することを含むであろう。典型的に、これは、オペレーターが、MRI空間の複数の制御点を特定し、RTユニットのX線画像における同じ代表的な点も特定することを含む。単純化したものであるが、これは、手動の、時間を消費する、誤りを起こしやすい技術である。さらに、基準マーカーは、とりわけ、患者の皮膚に貼付される場合に動いてしまうことがある。あるいは、患者の登録は、特定の解剖学的特徴を用いて2つの座標系をマッピングする、画像に基づいた解剖学的登録方法を使用して行なうことができる。この代替的な方法はもっぱら患者の解剖に基づき、画像コントラストがかなり異なる2つの画像データセットを登録することを含んでおり、登録ミスを起こしやすい。
【0008】
放射線治療デバイスは、ガントリに取り付けられるとともに、患者用寝台の上に横たわる患者にほぼ平行な軸の回りを回転可能な線形電子ビーム加速器を含むのが一般的である。患者は、電子ビーム、γビーム、または、元々の電子ビームから生成されるX線ビームのいずれかを用いて処置される。ビームは、コリメータの使用とビームの回転との組み合わせによって標的に焦点を合わせる。ガントリが回転するにつれて、標的病変が電子ビームの面にくるように配することが可能な寝台に患者は置かれる。この患者用寝台は、6つの可動域(x、y、z、ロール、ピッチ、および、ヨウ)までを用いてRTシステムのアイソセンターで標的を正確に一列に並べるために、患者の位置を調節するように設計される。複数のメーカーによって採用された現在の寝台設計は、十分な可動域が全身の疾患部位を処置することを可能にする片持ち梁にされた寝台上面(cantilevered couchtop)を使用する。
【0009】
Bucholzらは、特許文献1で、陽子ビーム療法をMRIシステムと組み合わせる方法を開示している。この方法はたんに、陽子治療について論じて、ビームが磁石中の間隙を通って送られる定常的なMRIについて記載している。この出願は、簡潔にしか言及されていないことであるが、磁気とRFの干渉を取り除くために、マットによる遮蔽(Mat shielding)方法が使用可能であることを示している。
【0010】
Dempseyは、特許文献2のデバイスにおいて定常的な開かれたMRIシステムによって、電離放射線源としてコバルト60を用いてRTを照射する方法と、増殖性の組織障害によって引き起こされる疾患の処置のために患者に照射される高原体電離放射線量(highly conformal ionizing radiation dose)を直接測定および制御するために、強度変調放射線治療(IMRT)の間に患者の解剖学的構造の高時間空間分解能(high temporal−and spatial−resolution)MR撮像を実行するためのプロセスを開示している。この発明は、開かれたMRI、多葉コリメータ、または、補償フィルタに基づくIMRT実施の技術と、コバルト遠隔治療を組み合わせて、単一の共同登録される、ガントリが取り付けられたシステムを作る。
【0011】
Carloneは、特許文献3(発明の名称「Radiation Therapy system」)で、MRIと放射線治療システムを組み合わせる方法を開示している。この方法はAlbertaで開発され、磁場に線形加速器を晒し、中心軸に沿って粒子状物質を配向するために磁石力を使用する手法を記載している。
【0012】
Lagendijkは、特許文献4(発明の名称「MRI in guided radiotherapy and position verification」)においてグローバル座標系を用いてMRIと放射線療法を組み合わせる方法を開示している。このシステムでは、MRIは静磁場が線形加速器の動作に干渉するのを防ぐために能動的に遮蔽される。
【0013】
Orbital Therapyは、特許文献5で、動作のために従来のバンカー(bunker)を必要としない自己遮蔽式放射線治療デバイスを開示している。
【0014】
先行技術を記載した他の特許は以下のものを含む。
特許文献6−磁気共鳴撮像システムを含む放射線治療装置。
特許文献7−磁気共鳴撮像システムを含む放射線治療装置。
特許文献8−陽子ビーム放射と核磁気共鳴映像を組み合わせるシステム。
特許文献9−歪みを放射線等線量に最小化する方法。
特許文献10−定位的な局在化のためのCTおよびMRIで目に見える指標マーカー。この特許出願で、発明者は、皮膚に基づいたローカライザーマーカーは、MRIとCTの両方で定位的な局在化に使用できると主張している。
【0015】
誘導放射線療法と位置の検証において、特許文献4のMRIがUtrechtによって提出されているが、この特許は、基準テーブルのMRマーカーからなる独立したワールド座標アイソセンター較正システム(world coordinate isocentre calibration system)と、独立したテーブル位置検証システムを一体化することについて記載している。
【0016】
IMRISは、X線撮像をMRに一体化させるための患者支持システムについて、特許文献11の下、2010年3月29日に出願され、2010年10月7日に公開されたPCT出願の特許文献12(発明の名称「Support Component for Use in Imaging by Magnetic Resonance and X−ray」)も出願している。この出願は、MR適合性でありかつ放射線透過性でもある支持構造について記載している。
【0017】
1998年7月7日に発行された特許文献13(Mansfield)(発明の名称「Radiotherapy Couch Top」)で、Varianは患者用の寝台上面を開示している。しかしながら、その設計における材料は炭素繊維を含んでおり、つまり、MR適合性ではない。設計は、寝台上面にあるパネルを挿入して取り除くことを可能にする縦方向運動のためのベアリングを含む。
【0018】
1973年3月13日に発行された特許文献14(Dinwiddie)(発明の名称「Automated Radiation Therapy Machine」)においてもVarianは、RTシステム全体に患者を置いている。この特許に患者用寝台が特定され記載されている。
【0019】
上記の引用された文献のすべての開示は、参照することによって本明細書に組み込まれるか、または、本明細書では特に詳しく書かれていない構成要素と方法のさらなる詳細について言及されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願第6,862,469号
【特許文献2】米国特許公開公報第2005/0197564号
【特許文献3】WO/2009/155700号
【特許文献4】WO/2003/008986号
【特許文献5】米国特許第7,758,241号
【特許文献6】米国特許第6,198,957号
【特許文献7】米国特許第6,366,798号
【特許文献8】米国特許第6,725,078号
【特許文献9】米国特許第5,402,783号
【特許文献10】米国特許第6,419,680号
【特許文献11】WO 2010/111772号
【特許文献12】PCT/CA2010/000422
【特許文献13】米国特許第5,778,047号
【特許文献14】米国特許第3,720,817号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、患者の放射線療法のための装置が提供され、該装置は、
患者支持テーブル;
患者の標的位置を含む撮像ボリュームのMR画像を得るための磁気共鳴撮像システムを含み、
撮像システムは、
患者の標的位置を囲むために円筒穴部を有している、患者に適用される磁場を生成するのに動作可能なMR磁石、
撮像される被験体が、適用される磁場とRFパルスに反応してMR信号を生成するように、被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信コイル構造(coil arrangement)、
受信段階のMR信号を得るための受信コイル構造、および、
画像が生成される信号処理を実行するために、MR信号を受信するための信号処理システムを含み、
該装置は、
支持テーブル上の患者内の標的位置に放射線療法を適用するための処置装置を含み、
患者支持テーブルと処置装置は、放射線を遮蔽するとともに開口部を有する処置室に取り付けられ、該処置室は開口部を閉じるように操作可能な放射線を遮蔽したドア構造を含み、
MR磁石は、放射線を遮蔽したドア構造の外部の位置から開口部に入って、MR撮像のために患者支持テーブル上の患者と連携する撮像位置まで移動するために取り付けられ、
MR磁石は、患者支持テーブル上の患者への放射線による処置のために、撮像位置から外部の位置に移動するために取り付けられ、
患者支持テーブルでの撮像の間、処置装置からのRF信号が撮像システムに干渉するのを妨げるための構造が提供され、
患者支持テーブルと処置装置の両方は、磁石が撮像位置に動かされる際に、処置室の処置位置に留まるように配される。
【0022】
好ましくは、RF信号が撮像に干渉するのを防ぐための構造は、撮像位置にある際に磁石から処置装置の少なくとも一部を分離させる閉位置と、処置装置が放射線療法のために患者支持テーブル上の患者にアクセス可能な開位置との間で、動作可能なように配された処置室内のRFを遮蔽したドア構造を含み、RFを遮蔽したドア構造は、RFノイズに重要な処置装置の電子部品を、磁石と受信コイル構造とから分離するために閉位置に配され、その一方で、シャットダウンすることなく重要な電子部品をアクティブなままにしておくことを可能にする。
【0023】
好ましくは、患者支持テーブルは、垂直軸周りの回転のために導電性材料で形成されたターンテーブルを含む支持土台上で片持ち梁にされた患者支持寝台を含み、RFを遮蔽したドア構造はターンテーブルに広がる少なくとも一部を含むことによって、MR磁石からターンテーブルの一部を締め出す。
【0024】
好ましくは、RFを遮蔽したドア構造の一部は、磁石の穴部の長手軸に傾いた角度でターンテーブルに広がる。
【0025】
好ましくは、RFを遮蔽したドア構造は、長手軸に対して直角に処置装置の各側部に配された部分を含む。
【0026】
好ましくは、RFを遮蔽したドア構造は、ターンテーブルに部分的に広がる第1の部分と、ターンテーブルに部分的に広がる第2の部分とを含み、該部分は、処置装置を囲むために先端で交わる。
【0027】
好ましくは、RFを遮蔽したドア構造は、処置装置が処置室の長手方向の軸回りに回転可能な頭部を含む場合に、ターンテーブルの一方の側の位置までターンテーブル全体に広がる部分を含み、頭部が患者支持テーブルの一方の側の位置に向けられることによって、該部分の一方の側にある頭部が磁石から離れたまま、前記部分はターンテーブルを通ることができる。
【0028】
好ましくは、患者支持テーブルに制御信号を提供するためのケーブルは、RF遮蔽物を通って、RFフィルタを含む。
【0029】
好ましくは、患者支持テーブルは、RF遮蔽物を通る光ファイバーケーブルによって操作される制御要素を含んでいる。
【0030】
好ましくは、外部ビーム処置に使用される前記放射線処置室、放射線処置室から間隔をおいた近接照射療法システムのための第3の部屋、および、処置室と第3の部屋との中間にある第2の診断室を含む一列に並んだ少なくとも3つの部屋が提供され、磁石が各々の部屋を移動可能であることによって、同じ可動性のMRI磁石を使用する外部ビームと近接照射療法RT手順の両方に画像ガイダンスを提供する。
【0031】
好ましくは、一列に並んだ少なくとも3つの部屋が提供され、その少なくとも1つは前記放射線処置室を含み、磁石は、部屋の列の外側の経路に沿って直線的に移動するように、かつ、患者支持テーブルと連携すべく各部屋で回転するように、配される。
【0032】
好ましくは、患者支持テーブルは、MR撮像手順でMR磁石と提携するために処置装置のアイソセンターから180度回転するように、かつ、その後、処置のためにアイソセンターに戻るように回転するように配される。
【0033】
好ましくは、患者支持テーブルは、異なる可動域を提供するために設計された複数の電子モーターと、MRI静磁場の相互作用を回避するように配された制御部とを採用する。
【0034】
好ましくは、患者支持テーブルがMR撮像の間に適所に固定されると患者支持テーブルのモーターの電源を切り、かつ、ひとたび適所で固定されると任意の危険行為を回避する、自動安全システムが提供される。
【0035】
好ましくは、安全システムは、磁石が患者の上を移動する前に、患者支持テーブルが適切な固定された位置にあることも保証する。
【0036】
本明細書に開示される概念の1つは、放射線療法とMR撮像の間に、開いたシステムと閉じたシステムの2つの間で、RFを遮蔽したドアの特定の配置を用いて、RTシステムからのRF干渉のない外部のRTと同じ部屋でMR撮像を行なう能力である。このことは、混成の一続きの部屋(hybrid suite)でRTとMRを直接組み合わせることを意図した構造を提供する。さらに、この構造は、近接照射療法を行なうために必要な部屋構成(room Configuration)の要件を提供することもできる。
【0037】
記載された構造は、処置の前に患者を撮像するために部屋に持ち込まれ、その後、RT処置の直前のMRIシステムを引っ込めることが可能な可動性のMRIシステムを提供する。外部ビームRT処置を備えたこの可動性のMRIシステムを実行することは、MR画像品質に対する線形加速器の影響を最小限にするために、かつ、線形加速器の最適な動作特性を保証するために、新しい部屋構成と特定の遮蔽要件を必要とする。
【0038】
MR画像の形成は無線周波数の伝達(RF)と検出に基づいている。MRIシステムは、MRIシステムの外部のスプリアスなRF信号が画像取得に干渉するのを防ぐために、RFを遮蔽した部屋のなかで囲まれるのが一般的である。使用される順序に依存して、外部のRF信号は、診断を妨害して全体的な画質を劣化させる画像中の承諾しがたいアーチファクトを形成する。RFを遮蔽した部屋の任意の電子デバイスは、RFのソースであってもよく、画像取得に干渉することもある。したがって、RTとMRIを組み合わせることは、RFを遮蔽した部屋内のデバイスすべてがRF平穏状態(RF quiet)であること、すなわち、検知可能なRFノイズを生成しないことを必要とする。標準的な線形加速器では、RFノイズを生成する多くの電子デバイスが存在する。RFノイズのこの問題に対する1つの解決策は、MR撮像の間にRTユニットで電子デバイスすべての電源を止めること、その後、RT処置のためにこれらのデバイスの電源を入れることを必要とする。しかしながら、この解決策にはいくつかの欠点がある。したがって、内蔵のX線撮像システムと同様に、線形加速器における重要な構成要素は、膨大な「ウォームアップ」時間を必要とする。RTシステムの精度は、「ウォームアップ」時間の短縮によって落ちることもある。患者スループットは減らされる。電子部品の繰り返しの動力サイクルは、システムの全体的な寿命を減らすこともある。電源の入/切は、デバイスの安全で正確な操作を保証するために、追加の較正工程を要求することもある。よりよい解決策は、MR撮像の間は閉じられ、放射線処置のために開くMRIおよびRTシステムの間の1セットのRFを遮蔽したドアを用いて、RTシステムの重要な電子部品をMRIから分離することを含む。
【0039】
線形加速器による放射線照射を含む外部ビーム放射線療法以上に、近接照射療法も、特定の癌の腫瘍、主として頚部と前立腺の腫瘍を処置するための有用な変質剤として実証されている。外部ビームRTとは異なり、近接照射療法は、アイソトープ源から放出されるγ線またはx線のエネルギー値に基づいた放射線量堆積物を生成する、選択された放射性アイソトープを用いて、内部から腫瘍を標的とする。近接照射療法の利点は、放射線量が周囲の組織に最小の影響しか与えず、腫瘍そのものに局在化されるということである。
【0040】
簡潔に言えば、近接照射療法のワークフローは、1セットのカテーテルによって高線量または低線量の放射性シードのいずれかを腫瘍に直接挿入することを含む。各シードの位置は処置計画の間に生成される規定の線量分布パターンに基づく。外部ビーム療法に類似して、近接照射療法は、処置を実施する直前のMR撮像手順の統合によって利益を得る。さらに、腫瘍への挿入後にカテーテル位置を撮像する能力は、シード挿入手順の間の腫瘍への線量放射の信頼度を改善する。1つの潜在的な解決策は、標準的な診断室でMRI手順を行い、その後、カテーテルの配置と処置の実施のために、近接照射療法のバンカーに患者を輸送することを含む。この手法には問題がある。なぜなら、患者が輸送中に動いた結果、画像がもはや現在の腫瘍位置の典型を示すものではなくなるからである。よりよい解決策は、撮像のために近接照射療法用バンカーに動かされ、その後、カテーテルの位置決めと処置の実施のために引っ込められる可動性のMRIシステムに近接照射療法の手順を統合することを含む。現在の近接照射療法は、携帯式の超音波/X線画像誘導システムと、カテーテルを介して、大きなRFノイズを生成する放射性シードを運ぶ携帯式の「後負荷装置(afterloader)」のような機器を必要とする。したがって、この解決策は、独特な部屋構造が、近接照射療法のカテーテル挿入と放射性シードの送達との間に、MRIに放射線とRFの遮蔽を提供することを要求する。
【0041】
外部ビームおよび近接照射療法の解決策は、同じ可動性のMRIシステムを用いて、外部ビームと近接照射療法のRT処置の両方に画像ガイダンスを提供する広範囲な3つの部屋という解決策を提供するために、中央で診断室と組み合わせることが可能である。
【0042】
1つの設計では、MR誘導型の外部RTシステムは、2つの別の部屋を含んでおり、第1の部屋は、RTシステム(線形加速器)を収容する放射線を遮蔽した「バンカー」であり、第2の部屋は、基礎的な診断手順のためにMRIを収容する。MRIは患者の画像を獲得するためにRTバンカーへと移動し、その後、放射線処置の前に診断室に戻る。
【0043】
記載された構造は、2つのシステム間で干渉をもたらすことなく、可動性のIMRIS MRIシステムを放射線療法(RT)システムに組み込ませることを可能にするために、1つの部屋構成と2組のドアを提供する。1組のRFを遮蔽したドアと放射線を遮蔽したドアは、RTシステムと診断室との間に配され、それは、診断室内の被験体に対する放射線照射を最小限にするために、かつ、RTシステムの部品からのRFノイズが処置中に診断室で行なわれる画像研究に干渉しないことを保証するために、RT手順の間に閉じられる。RFのみを遮蔽したドアの新しい第2の組はRTバンカー室にあり、RTシステムと(事前のRT撮像位置における)MRIの間に位置している。RFを遮蔽したドアのこの独特な組は、閉じられると、RTシステムの重要な電子部品をMRIから分離することによって、スプリアスなRFノイズがMR画像の習得に干渉するのを防ぐ。
【0044】
外部ビームRTのための本発明の基礎的なワークフローは、以下のとおりである:
患者用寝台は、外部ビームRTシステムアイソセンターから180度回転し、適所に固定され、
外部ビームRTバンカードアは開かれ、可動性の磁石が患者の上を移動し、
MRIとRTシステムの間のRF遮蔽ドアは閉じられ、
患者はMRIシステムで撮像され、
MRIシステムは診断室に戻り、外部ビームRTバンカードアは閉じられ、
RF遮蔽ドアは開かれ、患者用寝台は180度回転して、外部ビームRTシステムのアイソセンターに戻り、その後、原体照射療法が実施される。RFを遮蔽するドアはMRとRTシステムの間にあり、ドアは患者に対してほぼ45度の角度でバンカー室に及んでいる(span)。室内のドアの配向と位置は各々の場所について維持されるが、リニアックのボール幅の差は、患者に垂直なドアの各側面上のRF遮蔽壁が原因である。
【0045】
記載された構造は、患者用寝台とRFを遮蔽したドアとの間で衝突の可能性を減らすべくMR撮像のために適所にある際に動くのを防ぐために、患者用寝台に統合される安全制御システムを提供する。さらに、RFドア上の検出器は、移動の経路内に物体がある場合にドアが閉じるのを防ぐ。
【0046】
この部屋構成は、RFを遮蔽したドア内のRT領域への別のアクセスか、または、ドアを手動で開ける能力を誰かに許可する手動のオーバーライドスイッチによって、RFを遮蔽したドアの背後に閉じ込められた人を脱出させることが可能な別の手動のオーバーライドのいずれかを含んでいる。この手動のオーバーライドシステムは、完全な停電時でさえ機能する。
【0047】
第2の一続きの部屋の構成は、外部ビームRTバンカー室、画像診断室、および、近接照射療法用バンカー室の3つの別の部屋を含む。この3部屋が一続きの部屋の構成では、外部ビームRTバンカー室および画像診断室は上に記載された通りである。3部屋が一続きの部屋における追加的な近接照射療法室は、撮像と処置のために必要に応じて移動に必要な調節によって定位置で基本的には保持される患者テーブルを備えた、放射線とRFを遮蔽したバンカー室である。しかしながら、テーブルは移動のために定位置から遠ざけて取り付けられることもできる。MRIシステムは、撮像手順を行なうために近接照射療法室に移動し、その後、カテーテルの挿入と放射性アイソトープのシードの送達のために引っ込められる。この発明では、1組のRFを遮蔽したドアと放射線を遮蔽したドアは、近接照射療法用バンカー室とMRI診断室の間にある。このドアの組は、MRシステムが近接照射療法室に入ることを可能にするために開かれ、MRIが近接照射療法室に入った後に閉じられる。近接照射療法用バンカーのドアは、画像診断室の被検者のために近接照射療法からの放射線照射を最小限にすると同様に、近接照射療法のカテーテル挿入またはシード送達(すなわち、携帯式のX線または超音波システム)で使用される機器によって引き起こされるMR画像品質に対するRFノイズの影響を除去する。
【0048】
この発明の近接照射療法の部品の基礎的なワークフローは、以下のとおりである。
患者は処置位置の近接照射療法用のテーブルに横たわり、
近接照射療法用バンカーのドアは開いて、可動性の磁石が患者の上を移動し、
患者はMRIシステムで撮像され、
MRIシステムは診断室に戻され、近接照射療法用バンカーのドアは閉じられ、
近接照射療法のシードの送達のためのカテーテルが挿入され、
近接照射療法用バンカーのドアは開き、可動性の磁石が患者の上を移動し、
患者は、処置位置に挿入されたMRI可視カテーテルを備えたMRIシステムで撮像され、
MRIシステムは診断室へ戻され、近接照射療法用バンカードアは閉じられ、
近接照射療法用のシードは、原体治療(conformal treatment)を実施するためにカテーテルを介して腫瘍に挿入される。
【0049】
可動性のMRIシステムによる外部ビームと近接照射療法の事前処置撮像についての2つの主要な発明の概念は、複数の構造で組み合わせることができる。
【0050】
2部屋:
a)外部ビームRTバンカー+診断室、
b)外部ビームRTバンカー+近接照射療法用バンカー、
c)近接照射療法室+診断室、
3部屋:
d)外部ビームRTバンカー+診断室+近接照射療法用バンカー、
e)外部ビームRTバンカー+診断室+外部ビームRTバンカー、
f)近接照射療法用バンカー+診断室+近接照射療法用バンカー。
【0051】
加えて、処置のために生成されるMR画像とRT画像の間で登録を提供する必要がある場合、様々な登録システムが使用されることができる。登録のための1つの手法は、固定マーカーが(RTシステムの取り付けられたX線部品を用いて)MRとRTの座標系を自動的にマッピングするために使用される場合のシステムであり、患者の解剖学的構造から独立したものである。これらのマーカーは、1つの実施形態において患者テーブルに取り付けられ、患者固定化装置を囲んでおり、2つの座標系の間でマッピングするために一貫して厳密な「グローバルな」基準系を提供する。
【0052】
基準マーカーの配列はRT処置用の寝台上面に埋め込まれ、これは事前処置用のMRI取得のために利用される。この構造によって、マーカーは、患者の体位と固定化に干渉しないように患者の真下に位置する。寝台上面にマーカーを埋め込むことによって、患者の表面にマーカーを貼付する必要が回避され、MRIとRTの両方の画像取得のために、厳密で一貫した「グローバルな」座標系(reference frame)を提供する。
【0053】
MRIとRTの画像座標系の登録を容易するために、基準マーカーは、両方とも目に見えるMRとX線で、両方のシステムのための視野内に配されることができる。マーカーは、高い登録精度を提供するよう設計された特殊形状と幾何学的形状を用いて、患者用寝台の上面に埋め込まれる一連の独特の「基準フレーム」に配される。一連の異なる解剖学的に基づいた基準フレームは、下方の/上方の(すなわち、頭の先からつま先まで)方向に沿って患者用寝台の上面内の特定の位置に割り当てられる。基準マーカーの精度は、基準フレームと処置の組織領域との間の距離に関連付けられる。そのようなものとして基準フレームの各々は、RT処置で典型的に標的とされる主要な解剖学的領域、例えば、1.頭部/頸部、2.肺、3.腹部、4.骨盤について特異的に設計されるであろう。各々の基準フレームは、各々のフレームを無関係に特定するために自動登録ソフトウェアの「署名」を作成する、独特な形状と配置をした複数のマーカーからなるであろう。MR/X線マーカーは、各々の解剖学的処置領域に使用される基準フレームの位置をエンコードすることができ、その関連する形状を備えた1以上のフレームの自動特定が可能となる。MR/X線マーカーの一部のみがMRとRTの撮像システムの視野で特定可能な場合、フレーム上でのそれらの位置が一意的に特定できるように、マーカーの形状は設計されてもよい。
【0054】
1つの実施形態では、バンカーは、一方の側に(その一方で、部屋のもう一方の側には開くことのできるバンカードアがある)RTシステムを包含するように、かつ、可動性のMRIを部屋に入れることができるように使用される。まず、患者は患者用寝台に位置付けられ、RTシステムアイソセンターから離れて180度回転する。MRIシステムは部屋へと移動し、上記のように患者用寝台の上面に埋め込まれた基準マーカーを用いて、撮像位置の患者の画像を獲得する。ひとたび撮像が完了すると、可動性のMRIは部屋を離れ、患者はX線撮像と処置のためにRTシステムアイソセンターに戻る。この構成では、患者の体位はRTとMRIの両方の位置の間で一貫しており、グローバルな基準フレームが両方の配向の患者の体位の典型を示すものであることを保証する。
【0055】
コンピューターアルゴリズムは、独特なマーカー位置に基づいて個々の基準フレームを特定するために、および、三次元空間でのマーカーフレームの正確な位置を計算するために、自動的な手法を提供する。この基準フレームは、登録目的のための「グローバルな」座標系を表す。寝台上面の基準は、グローバル座標系を確立するために、事前処置用のMR画像中で最初に特定される。次の工程で、同じ寝台上面はRTシステム撮像位置に動かされ、同じ基準マーカーが検知されるCBCT、2DX線、または、X線の蛍光画像が得られる。自動コンピューターアルゴリズムは、2つの画像診断法間のグローバルな基準座標系を登録し、MRI空間とRT空間の間の座標マッピングを計算する。これによって、ユーザの対話を介さずにMRとRTの座標系を自動登録することができる。しかしながら、ソフトウェアワークフローは、マーカーの配置と主な解剖学的構造の配置とを視覚的に確認するために、登録されたMRIとX線の画像のディスプレイを提供する。臨床スタッフは、処置前に自動登録の成功を確認することができる。その後、座標系変換行列はRTシステムで使用されることによって、事前処置用のMRIの位置の検証を以ってガントリー・アイソセンターを調整させ、処置を始めることができる。
【0056】
この配置は、一組のMR画像からRTシステム座標系まで、座標マッピングを自動的に生成する能力を提供する。
【0057】
特定の利点は次のものを含んでもよい。
−画像登録の自動化によるワークフローの強化
−基準フレームは、患者用寝台へ半永久的に埋め込まれ、同じ場所に無限に留まる(マーカーを取り除く必要はない)
−寝台上面の基準を設けることで、一貫した厳密な座標系が保証される
−ドレーピングまたは他の固定具による影響を受けない基準フレームの有効性
−マーカーが任意のMRコイルと患者の解剖学的構造とは無関係であるので、マーカーは、コイルの配置、コイルの動き、または、患者の体位には依存しない
−追跡ボリュームに近づけることで平均追跡誤差を減らすことができる(すなわち、例えば、外部の光学デバイスを用いて追跡される穴部の側からマーカーを取り出すことに比べて、基準マーカーへの距離が短いと、誤差の増幅は最小化する)
−基準フレームは常に患者の真下にあり、患者の体位には干渉せず、MR撮像またはRT処置の前に、マーカーを備え付けるための追加の準備時間は必要ない
−解剖学的構造の所望の領域が適切な患者の基準フレームにわたって置かれることを保証すべく、正確な患者の体位を可能にするための患者用寝台の正確なインデキシング
−MR/X線エンコードマーカーは、対応する解剖学的構造について基準フレームの各々を自動的に特定するため使用される。
−患者用寝台の制御システムの高い空間精度は、特異的な「局在化」MRIシーケンスの必要を回避し、RTユニットに取り付けられたX線撮像システムのための一貫した位置決めを保証する
−様々なパターンのMR/X線マーカーの配置によって、マーカーの一部のみがMRとX線の視野で捕獲される際に、マーカーの特定と局在化を可能にする
−マーカーの位置決めは、コーンビームCT撮像と同様に標準的な二次元投影X線のいずれかでMR座標系の正確なマッピングを可能にする。
−基準フレームを取り除く必要のない自動登録を支持するする能力
−基準フレームが患者用寝台の上面に堅く埋め込まれるため、平均誤差は低下する
−RT処置の連携のために、寝台の上面に埋め込まれたMRおよびX線の目に見えるマーカーの適用
−MR/X線エンコードマーカーは、様々な基準フレーム(すなわち、頭部/頸部または腹部)を自動的に特定するために使用されることができる
−様々なパターンのMR/X線マーカーの配置によって、マーカーの一部のみがMRとX線の視野で捕獲される際に、マーカーの特定と局在化を可能にする
−MR誘導したRTについて、患者用寝台の上面に埋め込まれるMRとX線の両方の目に見えるマーカーの使用
−1つの解決策は、撮像のためにRTバンカーに持ち込まれ、かつ、その後放射線療法処置の前に引っ込められることが可能な可動性の磁石を利用することである。これは、現在利用可能なデバイスを用いて行われるRTを可能にし、MRとRTの手順を同時に行うことができるハイブリッドシステムの複雑な設計を必要としない。
【0058】
本明細書に記載の構造は、MRI誘導性の放射線療法のための支持構成要素を提供する。可動性のMRIをRTに組み込むことは、患者が同じ寝台上で撮像および処置されることを可能にする改良型支持システムを必要とするが、これは、寝台がMRI適合性であることと、撮像のための適切な位置にある際にMRIに到達するための拡張された可動域を有することを必要とする。この問題の重要な態様は、異なる可動域を提供するように設計された複数の電子モーターを使用する、患者用寝台とMRI静磁場の相互作用である。
【0059】
本発明の1つの目的は、患者テーブル(MRIとRTの工程の両方の間で患者は同じテーブルに留まる)を用いて、MRI誘導RT用の改良型の患者支持システムを提供することである。この発明では、寝台は、MR撮像手順のために線形加速器のアイソセンターから180度回転し、その後、放射線療法のためにRTアイソセンターに戻るように回転することができる。これは、磁石の静磁場と患者用寝台の重要な位置モーターとの間の安全距離を提供するために、患者テーブルの長手方向の可動域を広げられることを必要とする。
【0060】
寝台上面での材料は、MRとX線の両方の撮像手順を可能にするためにMR適合性でかつ放射線半透過性である。寝台上面は、頭部と頸部、腹部と低骨盤領域(前立腺、頚部)を撮像するために必要なRFコイル用のプレースホールダーを組み込む。寝台上面は、標準的な線形加速器とCT患者用寝台上面とに対する類似した機能を維持するためにテーブルの端部に必要なノッチを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明の1つの実施形態は、添付の図面とあわせてこれから記載される。
【0062】
【図1】可動性の磁石の異なる位置を示す、MR撮像システムを含む患者の放射線処置のための装置の上面図である。
【図2】撮像位置で磁石と連携する患者支持テーブルを示す、図1の装置の側面図であり、土台、つま先部分、かかと部分、支持ホイール、モーター、および、寝台またはテーブル上面を示す患者支持テーブルも例示している。
【図3】RF遮蔽ドアを示す図1の装置の上面図である。
【図4】患者支持テーブルのターンテーブルと連携するRF遮蔽ドアを示す図1の装置の上面図である。
【図5】RF遮蔽ドアを示す図4の線A−Aに沿った断面図である。
【図6】部屋の代替的な構成で図1の構造を用いる装置の上面図である。
【図7】MR画像システムを操作するために、閉位置にあるRF遮蔽ドアを示す図6の実施形態の等角図である。
【図8】放射線治療システムを操作するために磁石が部分的に離された開位置でのRF遮蔽ドアを示す図6の実施形態の等角図である。自動登録アルゴリズムのフローチャートである。
【図9】部屋のさらに代替的な構造で図1の構造を用いる装置の上面図である。図1のテーブル上面の等角図である。
【図10A】寝台上面の代替的な実施形態を示す。
【図10B】寝台上面の代替的な実施形態を示す。
【図10C】寝台上面の代替的な実施形態を示す。
【図10D】寝台上面の代替的な実施形態を示す。
【図10E】寝台上面の代替的な実施形態を示す。
【0063】
図において、参照の類似する特徴は異なる図の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1乃至5では、外部ビームバンカー部屋構成内のMRIと外部ビームのRT治療システムの概略図が示されている。この図は穴部(10A)を有する磁石(10)を含み、穴部(10A)の方に、患者(12)は患者用寝台(13)に取り付けられる患者用寝台上面(15)上で収容される。
【0065】
可動性の磁石は、レールシステム(25)上で吊るされた支持部(23)でレールシステム上に運ばれる。この構築のさらなる詳細は、現在の譲受人に割り当てられた、2008年2月14日に公開された米国特許出願第2008/0038712号から入手可能であり、その開示は引用によって本明細書に組み込まれる。
【0066】
適切な放射線治療システム(4)は、Varianから入手可能である。これは、陽子ビーム、近接照射療法、または、X線を含む異なる放射線を使用することができる。Varianの放射線治療システムは、送達される放射線の強度を調節するために、多葉コリメータによって形成されたX線ビームを用いて患者に治療用の放射線を照射することができる。
【0067】
Varianの放射線治療ユニットは、放射線療法の直前にコーンビームCT撮像を行なうことができるガントリに取り付けられたX線撮像システム(4A)も含み、これは画像誘導放射線療法を可能にする。あるいは、Varianの放射線治療システムは、近接照射療法を提供することが可能なデバイスである。このシステムは、X線撮像システムからなる画像誘導システムも含む。この材料の開示は引用によって本明細書に組み込まれる。
【0068】
患者対応システム(Patient Handling System)または支持テーブルが図3に示され、通常は(13)と(15)で表示される。患者支持テーブル(13)は、土台が患者支持テーブル部分(15)を所望の高さと方向にある位置に移動させることが可能な土台または台座(13A)を含む。土台(13A)の上部に、繊維強化プラスチック材料で形成される一般的に平らな本体部(15)の形をした患者支持テーブル部分(15)が取り付けられることで、患者を患者支持テーブル部分上に横たわらせながら支持するのに十分な表面積を定義する。図1および図2では、患者と支持構造は、撮像のために適所にある可動性のMRIとともに、RTアイソセンター(16)の位置から180度回転する。台座(13A)は垂直軸回りの回転のためにターンテーブル(18)に取り付けられる。
【0069】
テーブルは、可動性の複数の軸であってもよく、または、Varianからも入手可能な種類の「ロボット」テーブルであってよい。これは、テーブル上面が土台のまわりの方向に、および、土台の横に軸に沿って移動することができる間も、土台を定常的に保持するように作用する。
【0070】
図2に最もよく示されているように、テーブルは土台(18)つま先部分(18X)、かかと部分(18Y)、支持ホイール(18Z)、モーター(33)、および、寝台またはテーブル上面(15)を含むように示されている。患者支持テーブルとRFを遮蔽したドアとの間で衝突の可能性を減らすべくMR撮像のための適切な位置にいる際に動くのを防ぐために、システムに対して適切な位置に安全制御システム(18T)が設けられ、患者支持テーブルの動作に統合される。
【0071】
患者支持テーブル(13)は、MR撮像処置でMR磁石と提携させるために処置装置のアイソセンターから180度回転させ、その後、処置のためにアイソセンターに戻るように回転すべく配される。
【0072】
患者支持テーブル(13)は、モーターと制御部とによって異なる可動域を提供するように設計された、したがって、MRI静磁場の相互作用を回避するように配された、複数の電子モーター(33)を使用する。
【0073】
患者支持テーブルの長手方向の可動域は、磁石の静磁場と患者支持テーブルの位置モーターとの間の安全距離を提供するために広げられる。
【0074】
ひとたび患者支持テーブルがMR撮像のために適所に固定されると、自動システムはモーター(33)の電源を切り、かつ、ひとたび適所で固定されると任意の危険行為を回避する。
【0075】
安全システムは、磁石が患者の上を移動する前に、患者支持テーブルが適切な固定された位置にあることも保証する。
【0076】
患者支持テーブルのテーブル上面(15)中の材料は、MRとX線の両方の撮像手順を可能にするために、MR適合性でありかつ放射線半透過性である。
【0077】
テーブル上面(15)は、頭部および頸部、または、胸部、腹部および/または低骨盤領域を撮像するのに必要なRFコイル(24)のプレースホールダーを組み込む。
【0078】
テーブル上面(15)は、標準的な線形加速器とCT患者支持テーブル上面とに対する類似した機能を維持するのに必要なテーブル上面の端部にノッチも含んでいる。
【0079】
テーブル上面(15)はテーブル上面中に放射線半透過性でMRI適合性の材料を用い、それによって、患者支持テーブルがMRIとX線の撮像システムのいずれの画質も低下させることなく、これらのシステムで使用可能となる。
【0080】
システムは、従来の方法で人体から生成されたMR信号を受け取る、(24)で一般的に示される受信コイルシステムをさらに含む。RF制御システムは、送信本体(transmit body)コイル(11)を制御するように、かつ、一般的には(12)の領域で受信コイルからの信号を受け取るように働く。撮像手順が完了すると、受信コイルは、診断室に運び戻されるように磁石の外部へ取り付けられる。
【0081】
図1に示されているように、外部ビームバンカー室(26)は、放射線およびRF遮蔽材料で構成された壁(20)、天井(14)、および、床(26A)で囲まれている。外部ビームRT室(26)は、RT処置を実施する間に隣接する診断室にいる被検者を放射線に晒すことを回避するために、放射線およびRF遮蔽されたバンカードア(19)の組によって画像診断室(27)から分離される。外部ビームバンカードア(19)は撮像手順の間は開かれ、RT実施の間は閉じられる。
【0082】
RTとMRIのシステムの間で位置するRF遮蔽ドア(17)の第2の組は、RTの構成要素を生成するRFを、MRIシステムから分離するために使用される。これらのドアは、患者支持テーブル(13)のターンテーブル部分(18)にわたってRF遮蔽要件を満たす。これらのドアはMRI手順のために閉じられ、RT実施のために開かれる。退出スイッチ(17A)は、手動によるオーバーライドを可能にするためにRFを遮蔽したドア内に含まれ、これによって、万一の停電時にさえ、RFドアの背後に閉じ込められた人がRFドアを開けることが可能となる。
【0083】
撮像手順後、RF遮蔽ドア(17)は開かれ、MRIシステムは外部ビームRT室(26)から移される。MRIがバンカー室から出た後、MRIとRTのシステム(17)の間のRFを遮蔽したドア(19)は開かれ、患者(12)は、患者支持テーブル(13)を用いてRT位置に180度回転させられる。患者の配置は撮像結果に基づいて調節され、RTビームは、従来のコリメータと回転支持体によって処置装置(4)から病変へと照射される。
【0084】
図1と図2には、外部ビーム処置のための部屋(26)、撮像診断のための部屋(27)、および、近接照射のための部屋(30)の3部屋構成が表示されている。RFおよび放射線を遮蔽したドア(31)は、診断室(27)と近接照射バンカー(30)の間に置かれる。患者は近接照射用支持テーブル(32)に置かれ、それによってMRIシステムが患者の上を移動することが可能となり、該テーブルは近接照射処置に必要な患者支持部も有している。
【0085】
図3は近接照射を用いる3部屋構成のための完全な部屋構成のスケッチを提供する。以前の図に加えて、2台の患者カメラ(34)、MR適合性のポットライト(35)、IR追跡カメラシステム(36)などの構成要素は、システム部屋構成内に位置する。部屋の設計における特定の地点で発生することがある放射線損傷に基づいて、第3の患者カメラ(37)は、放射線に晒されても深刻な影響を受けない電気部品を有する放射線硬化カメラである。退出スイッチ(17A)も図3に含まれている。液晶モニター(36A)は、部屋にいる臨床スタッフが容易に目に見える位置(38)あたりに位置付けられる。バンカー室は、固定化デバイスと他の放射線治療デバイスの保管のためのキャビネット(39)を含む。撮像手順で使用されるMRコイルは、診断室保管キャビネット(40)に配される。連続的な患者モニタリングを可能にするために、MR適合性のカメラ(41)は、可動性のMRIシステム(10)の穴部(10A)の内部に取り付けられる。スピーカーとマイクロホンは位置(42)あたりに設置され、それによって、臨床スタッフが部屋の外部でいる際も患者との連続的な通信が可能となる。職員が出入りするスライドドア(43)は、バンカー室への直接的なアクセスを提供するために部屋内に設計される。部屋は、バンカー室の壁(20)に取り付けられたレーザシステム(44)も有し、それによって、臨床スタッフがMR撮像または放射線療法の実施の前に、患者を正確に位置決めすることが可能となる。
【0086】
したがって、患者の放射線療法のための装置は、患者支持テーブル(13)、患者の標的位置を含む撮像ボリュームのMR画像を得るための磁気共鳴撮像システム、および、放射線治療装置(4)を含んでいる。
【0087】
MR撮像システムは、患者に適用される変動磁場を生成するのに動作可能な勾配コイル(10A)を備えたMR磁石(10)を含み、磁石は、患者の標的位置を囲むために円筒穴部(10A)を有している。撮像システムは、被験体が、適用される磁場とRFパルスに反応してMR信号を生成するように、撮像される被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信コイル構造(11)をさらに含む。信号は受信段階のMR信号を得るために受信コイル構造(24)によって拾い上げられる。受信された信号は、画像が生成される信号処理を実行するために、MR信号を受信するための信号処理システム(24A)に送信される。
【0088】
ビームまたは近接照射療法のための処置装置(4)は、支持テーブル上の患者内の標的位置に放射線治療を適用するために配される。
【0089】
患者支持テーブル(15)と処置装置(4)は、開口部(19A)を有する処置室に取り付けられ、該開口部は、開口部(19A)を閉じるように動作可能な中心の閉じられた位置に、壁に対して直角に動かすことができる2つのドアによって定義された放射線を遮蔽したドア構造(19)を含む。MR磁石(10)は、放射線を遮蔽したドア構造(19)の外部の位置から、開口部(19A)の中へ、または、開口部(19A)を通って、MR撮像のために患者支持テーブル(15)にいる患者と提携するための撮像位置まで動かされるように取り付けられる。
【0090】
RTシステム(4)は、撮像位置にある際に処置装置の少なくとも一部を磁石から分離する閉位置と、処置装置が放射線療法のために患者支持テーブル上の患者にアクセス可能な開位置との間で動くことができるように配された処置室内のRFを遮蔽したドア構造(17)により撮像中に磁石から離される。
【0091】
RFを遮蔽したドア構造(17)は、RFノイズに重要な処置装置の電子部品を、磁石と受信コイル構造(24)とから分離するために閉位置に配され、その一方で、シャットダウンすることなく処置装置(4)の重要な電子部品をアクティブなままにしておくことを可能にする。これはシステムのシャットダウンと再起動とによって引き起こされるであろう承諾しがたい遅延を回避するのに必要である。
【0092】
RFを遮蔽したドア構造(17)は、導体でRF信号を停止させる、典型的には銅で作られた適切な導電層を含んでいる。図3と図4で示されているように、RFを遮蔽したドア構造は、ともに処置室に及び、患者支持テーブルに対して傾斜した角度で広がるドアまたは構成要素(17)を含んでいる。したがって、部分的に部屋にかかりながら固定されて適所に留まることが可能な患者支持テーブルの長手軸に対してある角度をなして、処置装置の各々の側に配されたRFを遮蔽した壁部分(17B)が提供される。各々の壁部分(17B)は、それぞれの壁部分の内側縁からそれぞれの壁部分に沿って処置室を横断可能なそれぞれのRF遮蔽ドア(17)と連携し、その結果、ドア同士が真ん中で接触して連続的なRF導電性遮蔽物を形成するようになる。壁部分(17B)の位置は、テーブルが壁部分の内側縁(17C)内部を移動しながら、垂直な中心軸の回りを回転することでその二つの位置に就くことができるような位置である。
【0093】
図4に最もよく示されているように、ドア(17D)と(17E)は、システムの中心線Lに対称的な地点(17F)で交わり、両方のドアはターンテーブル(18)に広がっている。したがって、RFを遮蔽したドア(17D)は、MR磁石を包含している領域から、土台の主要部分(18C)を締め出すように土台の一部(18)に広がる。(18G)で示されるような土台(18)の一部は、寝台のつま先部分を含む磁石の領域の内部に配される。
【0094】
したがって、RF遮蔽ドア構造(17)は、患者支持テーブルの土台(18)にわたってRF遮蔽を維持する、ドアの底縁(7K)内のRF遮蔽型膨張式ブラダー(inflatable bladder)(7J)を含む。ターンテーブル(18)の表面の台板は導電材料で作られ、ターンテーブルと係合するためにRF遮蔽物に接続された膨張式のブラダーの形で提供される可動性の接触器(18H)が設けられる。このように、連続的な導電性の遮蔽物は、ターンテーブル(18C)とドア(17D)で連通し、磁石の領域の内部にあるテーブルの部品を取り付けることで、それらがすべて、ドア(17)の後ろの領域で、静止しているが積極的な処置システムによって生成されたRF信号から遮蔽されるようになる。
【0095】
ドアの2つの部分(17D)(17E)は、先端で一体化するとともに部屋の長手軸に対して傾いていることによって、2つのドアによって定義された三角形状内のドアの左側で処置システム(4)を囲む。
【0096】
患者支持テーブルに制御信号を提供するためのケーブルは、ターンテーブルの部分(18G)によって定義されるRF遮蔽物の一部でグランド(gland)を通る。磁石領域内のRF電磁場によってケーブル内で生成される信号が処置装置の領域に伝達されない(その逆も然り)ことを保証するために、RFフィルタシステム(18L)は信号をフィルタ処理するためにケーブル内で接続される。
【0097】
患者支持テーブルでは、制御要素は、土台部分(18G)でRF遮蔽物を通り抜ける光ファイバーケーブル(18M)によって動作される。
【0098】
移動経路内に物体がある場合は、ドア構造が位置(17F)に対して閉じるのを防ぐために、RFを遮蔽したドア構造上に1つ以上の検出器(17X)が設けられている。
【0099】
1つの構造で、放射線治療システム(26)のための第1の部屋と、同じ可動性のMRI磁石を用いて、外部ビームと近接照射療法RTの手順との両方のための画像誘導を提供する3部屋解決策を提供するために、中央で第2の中間の診断室(27)と組み合わされた近接照射療法のための第3の部屋(30)とを含む3部屋が提供される。
【0100】
図1と図2では、2つの別の部屋が提供され、第1の部屋は処置装置を収容する放射線を遮蔽した「バンカー」であり、第2の部屋は基礎的な診断手順のためにMR磁石を収容する。
【0101】
ここで図6、7および8に目を向けると、図1および2とほぼ同じ構造が示されている。この配置では、ターンテーブル(18)の回りで回転するVarianから入手可能なロボットテーブル(13)がより詳細に示されている。
【0102】
この配置では、通常は(171)で示されるRF遮蔽ドア構造は、それがターンテーブル(18)のいずれかの側で位置(173)(174)に対してターンテーブル(18)に十分に広がる部分(172)を含む点で異なる。処置装置(4)は処置室の長手軸に対して回転可能な頭部(4B)を含む。
【0103】
頭部(4B)はこれらのシステムでは周知のものであるが、患者のまわりの異なる角度から処置位置に対して放射線を直接向けるために長手軸のまわりで回転する。
【0104】
この構造において、頭部(4B)が患者支持テーブルの一方の側に90度回転させられる場合の、頭部の位置が利用される。これによって、ドア部分(172)は、磁石から離れたドア(172)の側に頭部がある際に、ターンテーブル(18)を通常は対角線上に通ることができる。ドア(172)は必要とされるRF遮蔽物を作成するために導電材料から作られる。ドアの底は床にわたって導電性材料のバンド(174)と連携し、同様に、ドア(172)の上面は天井にわたってバンド(175)と連携する。ドアパネル(175)、(176)、(177)、および、(178)から構成された折り畳み式ドアまたはスライドドアの構造を用いることで、ドア構造は、一方の側の壁に対して折り畳まれ、もう一方の側で壁部分(17D)に対して折り畳まれることが可能である。この方法で、ドア構造は、図7に示されるように患者とテーブル(13)を磁石(10)に完全にさらしながら、かつ、処置工程のために図8に示されるように領域を開かれたままにしながら、容易に、テーブル(13)上の患者に干渉することなく、両方の位置に移動させることができる。
【0105】
ここで図9に示される別の実施形態に目を向けると、部屋構成は、各々がそれぞれの処置装置と、それぞれの患者支持テーブルと、それぞれの放射線を遮蔽したドア構造を有している部屋(26B)乃至(26E)までの列(26A)を含み、磁石は、放射線を遮蔽したドア構造の列の外側の経路または通路(26F)に沿って移動するように配される。この経路から、磁石は、放射線を遮蔽したドア構造の列の外側の経路(26G)に沿って、必要に応じて順番に各々の部屋にまっすぐ移動するように配される。この位置から、磁石は、各々の部屋で垂直軸(26H)の周りで回転することによって内部の患者支持テーブルと連携する。回転に加えて、磁石は、経路(26G)に対して直角に方向(26L)に移動することによって、関連する部屋の開口部に入ることもある。しかしながら、いくつかの構造では、磁石は方角(26L)に移動することができず、テーブルと磁石の間の連携は、テーブルのみの移動によって達成される。
【0106】
図10A乃至図10Eにおいて、上記のVarianのロボットテーブルに取り付けるように設計された寝台上面の多くの異なる実施形態が示されている。
【0107】
各々の場合、テーブル上面は、テーブルをMR適合性かつ放射線半透過性にする材料で製造されることによって、撮像アーチファクトを発生させることなく、処置システム(4)のMRシステムとX線撮像システム(4A)とによる撮像を可能にする。
【0108】
図10Aでは、頭部の下にある端面(151)を含む、患者の全身を収容する長さを有する1つの上面(15)が示されている。上面の厚みの第1の溝が(24X)で設けられることによって、後部コイルは骨盤の撮像のために骨盤領域に挿入可能となる。上面の厚みの第2の溝が(24Y)で設けられることによって、後部コイルは頭部の撮像のために頭部領域(151)に挿入可能となる。
【0109】
図10Bおよび10Cでは、土台ピース(152)、コネクタピース(153)、頭部支持体ピース(154)、(155)を備えた、3つのピース上面が示されている。コネクタピースは、土台ピースの端部で適所に頭部ピースを保持するためにコネクター構造を提供する。コネクターの様々な設計が提供可能である。溝(24X)は各々の構造の土台ピースに設けられる。図10Cの頭部支持部(155)は、たんなる平らな支持プレートである。図10Bでは、頭部支持部(154)は、放射線による干渉を減らすべく、最小の材料を提供するために形作られた頭部/頚部処置モードとして提供される。
【0110】
図10Dおよび10Eにおいて、土台ピース(152)と頭部支持ピース(154)、(155)を備えた2つのピース上面が示されており、コネクタピース(153)は省略され、その代わりに、コネクター機能が土台と頭部部分の間で直接定義される。コネクターの様々な設計が提供可能である。溝(24X)は各々の構造の土台ピースに設けられる。頭部支持部(154)および(155)は先に記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の放射線療法のための装置であって、
前記装置は、
患者支持テーブル、
患者の標的位置を含む撮像ボリュームのMR画像を得るための磁気共鳴撮像システムを含み、
撮像システムは、
患者の標的位置を囲むために円筒穴部を有している、患者に適用される磁場を生成するのに動作可能なMR磁石、
撮像される被験体が、適用される磁場とRFパルスに反応してMR信号を生成するように、前記被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信コイル構造、
受信段階のMR信号を得るための受信コイル構造、および、
画像が生成される信号処理を実行するために、MR信号を受信するための信号処理システムを含み、
前記装置は、
支持テーブル上の患者内の標的位置に放射線療法を適用するための処置装置を含み、
患者支持テーブルと処置装置は、放射線を遮蔽するとともに開口部を有する処置室に取り付けられ、処置室は開口部を閉じるように操作可能な放射線を遮蔽したドア構造を含み、
MR磁石は、放射線を遮蔽したドア構造の外部の位置から開口部に入って、MR撮像のために患者支持テーブル上の患者と連携する位置まで移動するために取り付けられ、
MR磁石は、患者支持テーブル上の患者への放射線による処置のために、撮像位置から外部の位置に移動するために取り付けられ、
患者支持テーブルでの撮像の間、処置装置からのRF信号が撮像システムに干渉するのを妨げるための構造が提供され、
患者支持テーブルと処置装置の両方は、磁石が撮像位置に動かされる際に、処置室の処置位置に留まるように配されることを特徴とする装置。
【請求項2】
撮像位置にある際に磁石から処置装置の少なくとも一部を分離させる閉位置と、処置装置が放射線療法のために患者支持テーブル上の患者にアクセス可能な開位置との間で、動作可能なように配された処置室内のRFを遮蔽したドア構造が提供され、RFを遮蔽したドア構造は、RFノイズに重要な処置装置の電子部品を、磁石と受信コイル構造とから分離するために閉位置に配され、その一方で、シャットダウンすることなく重要な電子部品をアクティブなままにしておくことを可能にすることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
患者支持テーブルは、垂直軸周りの回転のために導電性材料で形成されたターンテーブルを含む支持土台上で片持ち梁にされた患者支持寝台を含み、
RFを遮蔽したドア構造は、ターンテーブルに広がる少なくとも一部を含むことによって、MR磁石からターンテーブルの一部を締め出すことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
RFを遮蔽したドア構造の前記少なくとも一部は、磁石の穴部の長手軸に傾いた角度でターンテーブルに広がることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
RFを遮蔽したドア構造は、長手軸に対して直角に処置装置の各側部に配された部分を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
RFを遮蔽したドア構造は、ターンテーブルに部分的に広がる第1の部分と、ターンテーブルに部分的に広がる第2の部分とを含み、両方の部分は、処置装置を囲むために先端で交わることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
RFを遮蔽したドア構造は、処置装置が処置室の長手方向の軸回りに回転可能な頭部を含む場合に、ターンテーブルの一方の側の位置までターンテーブル全体に広がる部分を含み、
頭部が患者支持テーブルの一方の側の位置に向けられることによって、前記部分の一方の側にある頭部が磁石から離れたまま、前記部分はターンテーブルを通ることができることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
患者支持テーブルに制御信号を提供するためのケーブルは、RF遮蔽物を通って、RFフィルタを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
患者支持テーブルは、RF遮蔽物を通る光ファイバーケーブルによって操作される制御要素を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
外部ビーム処置に使用される前記放射線処置室、放射線処置室から間隔をおいた近接照射療法システムのための第3の部屋、および、処置室と第3の部屋との中間にある第2の診断室を含む一列に並んだ少なくとも3つの部屋が提供され、磁石を含む第3の部屋は、前記部屋の各々へと移動可能であることによって、同じ可動性のMRI磁石を使用する外部ビームと近接照射療法RT手順の両方のための画像ガイダンスを提供することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
一列に並んだ少なくとも3つの部屋が提供され、その少なくとも1つは前記放射線処置室を含み、
磁石は、部屋の列の外側の経路に沿って直線的に移動するように、かつ、患者支持テーブルと連携すべく各部屋で回転するように、配されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
患者支持テーブルは、MR撮像手順でMR磁石と連携するために処置装置のアイソセンターから180度回転するように、かつ、その後、処置のためにアイソセンターに戻るように回転するように配されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
患者支持テーブルは、異なる可動域を提供するために設計された複数の電子モーターと、MRI静磁場の相互作用を回避するように配された制御部とを採用することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
患者支持テーブルがMR撮像の間に適所に固定されると、患者支持テーブルのモーターの電源を切り、かつ、ひとたび適所で固定されると任意の危険行為を回避する、自動安全システムが提供されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
安全システムは、磁石が患者の上を移動する前に、患者支持テーブルが適切な固定された位置にあることも保証することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項1】
患者の放射線療法のための装置であって、
前記装置は、
患者支持テーブル、
患者の標的位置を含む撮像ボリュームのMR画像を得るための磁気共鳴撮像システムを含み、
撮像システムは、
患者の標的位置を囲むために円筒穴部を有している、患者に適用される磁場を生成するのに動作可能なMR磁石、
撮像される被験体が、適用される磁場とRFパルスに反応してMR信号を生成するように、前記被験体に適用される送信段階のRFパルスを生成するためのRF送信コイル構造、
受信段階のMR信号を得るための受信コイル構造、および、
画像が生成される信号処理を実行するために、MR信号を受信するための信号処理システムを含み、
前記装置は、
支持テーブル上の患者内の標的位置に放射線療法を適用するための処置装置を含み、
患者支持テーブルと処置装置は、放射線を遮蔽するとともに開口部を有する処置室に取り付けられ、処置室は開口部を閉じるように操作可能な放射線を遮蔽したドア構造を含み、
MR磁石は、放射線を遮蔽したドア構造の外部の位置から開口部に入って、MR撮像のために患者支持テーブル上の患者と連携する位置まで移動するために取り付けられ、
MR磁石は、患者支持テーブル上の患者への放射線による処置のために、撮像位置から外部の位置に移動するために取り付けられ、
患者支持テーブルでの撮像の間、処置装置からのRF信号が撮像システムに干渉するのを妨げるための構造が提供され、
患者支持テーブルと処置装置の両方は、磁石が撮像位置に動かされる際に、処置室の処置位置に留まるように配されることを特徴とする装置。
【請求項2】
撮像位置にある際に磁石から処置装置の少なくとも一部を分離させる閉位置と、処置装置が放射線療法のために患者支持テーブル上の患者にアクセス可能な開位置との間で、動作可能なように配された処置室内のRFを遮蔽したドア構造が提供され、RFを遮蔽したドア構造は、RFノイズに重要な処置装置の電子部品を、磁石と受信コイル構造とから分離するために閉位置に配され、その一方で、シャットダウンすることなく重要な電子部品をアクティブなままにしておくことを可能にすることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
患者支持テーブルは、垂直軸周りの回転のために導電性材料で形成されたターンテーブルを含む支持土台上で片持ち梁にされた患者支持寝台を含み、
RFを遮蔽したドア構造は、ターンテーブルに広がる少なくとも一部を含むことによって、MR磁石からターンテーブルの一部を締め出すことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
RFを遮蔽したドア構造の前記少なくとも一部は、磁石の穴部の長手軸に傾いた角度でターンテーブルに広がることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
RFを遮蔽したドア構造は、長手軸に対して直角に処置装置の各側部に配された部分を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
RFを遮蔽したドア構造は、ターンテーブルに部分的に広がる第1の部分と、ターンテーブルに部分的に広がる第2の部分とを含み、両方の部分は、処置装置を囲むために先端で交わることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
RFを遮蔽したドア構造は、処置装置が処置室の長手方向の軸回りに回転可能な頭部を含む場合に、ターンテーブルの一方の側の位置までターンテーブル全体に広がる部分を含み、
頭部が患者支持テーブルの一方の側の位置に向けられることによって、前記部分の一方の側にある頭部が磁石から離れたまま、前記部分はターンテーブルを通ることができることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
患者支持テーブルに制御信号を提供するためのケーブルは、RF遮蔽物を通って、RFフィルタを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
患者支持テーブルは、RF遮蔽物を通る光ファイバーケーブルによって操作される制御要素を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
外部ビーム処置に使用される前記放射線処置室、放射線処置室から間隔をおいた近接照射療法システムのための第3の部屋、および、処置室と第3の部屋との中間にある第2の診断室を含む一列に並んだ少なくとも3つの部屋が提供され、磁石を含む第3の部屋は、前記部屋の各々へと移動可能であることによって、同じ可動性のMRI磁石を使用する外部ビームと近接照射療法RT手順の両方のための画像ガイダンスを提供することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
一列に並んだ少なくとも3つの部屋が提供され、その少なくとも1つは前記放射線処置室を含み、
磁石は、部屋の列の外側の経路に沿って直線的に移動するように、かつ、患者支持テーブルと連携すべく各部屋で回転するように、配されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
患者支持テーブルは、MR撮像手順でMR磁石と連携するために処置装置のアイソセンターから180度回転するように、かつ、その後、処置のためにアイソセンターに戻るように回転するように配されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
患者支持テーブルは、異なる可動域を提供するために設計された複数の電子モーターと、MRI静磁場の相互作用を回避するように配された制御部とを採用することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
患者支持テーブルがMR撮像の間に適所に固定されると、患者支持テーブルのモーターの電源を切り、かつ、ひとたび適所で固定されると任意の危険行為を回避する、自動安全システムが提供されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
安全システムは、磁石が患者の上を移動する前に、患者支持テーブルが適切な固定された位置にあることも保証することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【公開番号】特開2013−596(P2013−596A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−135225(P2012−135225)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【出願人】(511261097)イムリス インク. (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−135225(P2012−135225)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【出願人】(511261097)イムリス インク. (10)
【Fターム(参考)】
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