説明

放射線硬化可能な水性組成物

【課題】均質な、モノマーおよび溶剤を含まない、UV/EB硬化可能な水性配合物であって、高い耐溶剤性を提供し、軽度の臭気および/または少量の抽出可能な成分を有する配合物の提供。
【解決手段】少なくとも1つのアルファ,ベータ−エチレン性不飽和の放射線重合可能な二重結合を有する水溶性化合物、および水を本質的な成分として含む、化学線硬化可能な均質な水性組成物から、耐溶剤性の抽出可能物質の少ないフィルムを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
技術分野
本発明は、包装材料の製造用の放射線硬化可能な組成物および印刷インキに関する。より詳細には、本発明は耐溶剤性を有する放射線硬化可能な水性組成物および水性印刷インキに関する。
【0002】
エネルギー硬化可能な、低い粘度のインキおよびコーティングは、典型的にはアクリレートオリゴマーおよびモノマーの混合物からできている。典型的に、フレキソ印刷、グラビア印刷、ローラーアンドタワー印刷、およびコーティング用途のために、モノマーはインキまたはコーティング配合物の粘度をコントロールするために使用される。しかしながら、希釈剤モノマーは、紫外(UV)または電子ビーム(EB)放射線に暴露されて重合する際に、完全には反応しない。そのような未反応モノマーは、乾燥した印刷インキあるいは塗膜中の残余の構成要素として残り、吸収および表面の接触によりマイグレーションを起こす。残余の成分のマイグレーションは多くの問題を引き起こし、特に「臭気」または「オフテイスト」に敏感なものの容器の印刷またはコーティング、たとえば、タバコ、香料などの容器の印刷またはコーティングにおいて問題を引き起こす。さらに、しばしば、より低い粘度のコーティングを得るために溶剤が使用される。
【0003】
溶剤系コーティングの例としては、Merillらの米国特許5,824,717号に記載される、アクリレート官能基を有するイソブチレン共重合体および任意に充填材を含んでいる過酸化物および放射線(エネルギー)硬化可能な組成物があげられる。開示された共重合体は、4から7個の炭素原子を有するイソオレフィンとパラ−アルキルスチレンコモノマーのアクリレートで改質された共重合体である。Merrillは、硬化された組成物からの抽出物のパーセンテージが無視できて、硬化された組成物が、製薬・医療産業において使用される、様々な高純度ゴム製品の製造に使用するにふさわしいことを開示する。Merrillは、組成物がコンデンサーパッキン、食物と接触する材料、ワイヤケーブル絶縁材料、および高純度のホースの製造において使用できることをさらに開示する。Merrillは、トルエン中に共重合体を溶解することにより、コーティングが調製されることを開示する。
【0004】
現在利用可能なUV/EB印刷インキおよびコーティングの臭気、オフテイスト、および残留する抽出可能な物質に起因する問題は、エネルギー硬化可能な製品の高ボリュームパッケージング市場での使用を妨げている。この市場では依然として、硬化前に溶剤又は水の除去を必要とする公知の溶剤系又は水性のフレキソ印刷インキ、およびコーティングが広範に使用されている。低粘度のコーティングおよび特には印刷インキをつくるためには、アクリレートオリゴマーは、典型的にはそのまま(すなわち希釈モノマーを使用しないで)使用するには高すぎる粘度を有する。
【0005】
UV/EB硬化可能なアクリレートオリゴマーの混合物のための希釈剤としての水の使用は、木材および床のコーティング用途用として、米国特許第6,011,078号に開示される。配合物は分散物またはエマルションであり、それは光に暴露する前に非吸収性の基体上の水の蒸発もしくはインビションを要求する。
【0006】
したがって、食品の直接の容器のためのFDAに準拠するほど低くはないが、低い抽出可能な物質を含む包装材料を生産する現状は、非吸収性基体上の水の蒸発が必要とされる、多段階手順を使用する溶剤および/または分散物の使用を要求する。
【0007】
均質な、モノマーおよび溶剤を含まない、UV/EB硬化可能な水性配合物であって、高い耐溶剤性を提供し、軽度の臭気および/または少量の抽出可能な成分を有する配合物に対する必要性が引き続き存在する。
【0008】
発明の要約
本発明は、FDA非準拠の抽出可能成分の少ないフィルムであって、医薬品および食品包装用途(すなわち印刷インキフィルムまたはコーティング)に好適なものの製造方法に関し、該方法は以下の工程を含む:
a)少なくとも1つのアルファ,ベータ−エチレン性不飽和の放射線重合可能な二重結合を有する水溶性化合物、および水から本質的になる、化学線硬化可能な均質な水性組成物を提供する工程;
b)前記の均質な水性組成物を表面上に適用する工程;および
c)水の存在下で化学線を表面に照射する工程。
【0009】
本発明のさらなる実施態様は、少なくとも1つのアルファ,ベータ−エチレン性不飽和の放射線重合可能な二重結合を有する水溶性化合物、および水から本質的になる、化学線硬化可能な均質な水性組成物である。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも1つのアルファ,ベータ−エチレン性不飽和の放射線重合可能な二重結合を有する水溶性化合物、および水から本質的になり、任意に光開始システムを含む、新規な化学線硬化可能な均質な水性組成物に関する。好ましくは、水溶性化合物は2つ以上のアクリル基を含む水溶性のオリゴマーである。本明細書において、用語「FDA非準拠の低抽出可能物質フィルム」は、少量の溶剤抽出可能なオリゴマーあるいは残留構成成分を有する硬化されたフィルムを意味し、したがってFDAには準拠していないが、医薬品および食品包装用途に適して(すなわち、以下に記述された溶剤抽出試験プロトコルにおいて溶剤にさらされた時に50ppbよりも大きい)いる。本発明の硬化可能な組成物は、さらに染料またはピグメントのような着色剤を含むことができる。そのような着色された組成物は印刷インキとして、あるいは単に硬化された着色コーティングとして使用されることができる。本明細書において、用語「印刷インキ」はその公知の意味を有し、すなわち、典型的には固体のピグメントである着色剤が液体ビヒクル中に分散されて構成される着色された液体を意味する。特には、本発明の放射線硬化可能な印刷インキはピグメントおよび液体のビヒクルを含む。硬化可能な組成物は、限定された抽出可能物質を要求する多くの用途において使用することができるが、この組成物は特に包装用において有用であり、より具体的には硬化されたコーティングおよび/または印刷物が、周囲条件および/または加工条件において厳格な純度あるいは汚染に対する要求を有する製品と接触する包装産業において有用である。本発明の硬化されたフィルムは軽微な臭気を有するか、または臭気を有せず、食品、飲料、化粧品、医薬品などを包装するのに使用された時、本質的に汚染された生成物を与えない。
【0011】
均質の水性の硬化可能な組成物
本発明の均質の水性の放射線硬化可能な組成物は、本質的な成分として、少なくとも1つのアルファ,ベータ−エチレン性不飽和の放射線重合可能な二重結合を含んでいる水溶性化合物であって、好ましくは、該水溶性化合物は2つまたはそれ以上のアクリル基を含む水溶性のオリゴマーである;水;そして任意にUV放射線で活性化することができる光開始システム;および/または着色剤を含む。
【0012】
水溶性化合物
本明細書において、用語「水溶性化合物」は、カルボキシル基、水酸基、エーテル基およびその他同種のもののような水可溶化基を、雰囲気温度において水中で化合物の均質な溶液を提供するのに十分な限定された数で含む放射線硬化可能な化合物を意味する;また、さらに、これは少なくとも1つのアルファ,ベータ−エチレン性不飽和の放射線重合可能な二重結合を含む。好ましくは、水溶性化合物はオリゴマーである。本明細書において、用語「オリゴマー」は、2つ以上の末端あるいはペンダントのアルファ,ベータ−エチレン性不飽和基であって、ポリマー骨格または同様の結合基を介して中心の脂肪族もしくは芳香族骨格に結合する基を有する化合物を含む。そのような水溶性化合物は、エポキシアクリレート、エポキシメタアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタアクリレート、メラミンアクリレートあるいはメラミンメタアクリレートであることができる。典型的には、アクリレートは芳香族または脂肪族のアクリレートである。また、好ましくは化合物は、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルのようなアルカノールグリシジルエーテルのジアクリレートエステル、エトキシル化芳香族エポキシドおよびエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリメタアクリレート、エトキシル化脂肪族もしくは芳香族のエポキシアクリレート、エトキシル化脂肪族もしくは芳香族のエポキシメタアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート;ポリオキシエチレングリコールジメタクリレートである。好ましくは、エトキシル化芳香族エポキシドは6から20個のエトキシル基を含む。
【0013】
適当な化合物は、脂肪族および芳香族のエポキシアクリレートおよびエポキシメタアクリレートであり、好ましくは脂肪族化合物が使用される。これらは、例えば、脂肪族のグリシジルエーテルと、アクリル酸あるいはメタクリル酸との反応生成物を包含する。
【0014】
さらに適当な化合物は、ポリエーテルアクリレートおよびメタアクリレート、ポリエステルアクリレートおよびメタアクリレート、およびポリウレタンアクリレートおよびメタアクリレートである。これらの中で、好ましいものは、アクリル酸あるいはメタクリル酸と、ポリ縮合物として記載されるポリエステロールまたはポリエーテロールとの反応生成物である。特に好ましいものは、EP−A−126 341およびEP−A−279 303に記述された放射線硬化可能なアクリレートである。この文脈の中で使用されるポリエーテロール類は、好ましくはアルコキシル化、特にはエトキシル化および/またはプロポキシル化の、モノ−、ジ−、トリ−、またはポリ官能性アルコールである。
【0015】
他の適当な化合物はメラミンアクリレートおよびメタアクリレートである。これらは、例えばアクリル酸またはメタクリル酸で樹脂の遊離のメチロール基をエステル化することにより、またはエーテル化されたメラミン化合物と、ヒドロキシアルキルメタアクリレート類、例えばヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびヒドロキシブチルメタアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレートとのエーテル交換反応により得られる。
【0016】
まださらに、適当な化合物は一般に不飽和基を含んでいる増粘剤である。これらは一方ではポリウレタン増粘剤を包含し、それは上記のヒドロキシアルキルメタアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレートの組み込みの結果として、アルファ,ベータ−エチレン性不飽和の二重結合を含んでいる。さらに、それらはポリアクリレート増粘剤を含み、それはポリマーの類似反応、たとえばヒドロキシ含有ポリマーまたは酸含有ポリマーと、エポキシド含有メタアクリレート、アクリレート、たとえば、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレートとの反応、またはヒドロキシ含有ポリマーのアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル化反応、もしくは無水アクリル酸もしくは無水メタクリル酸との反応、またはNCO−末端メタアクリレート、アクリレート、たとえば、メタアクリロイルイソシアネート、イソシアナートエチルメタアクリレート、イソシアナートエチルアクリレートなどとの反応により得られる。それらはさらにポリビニルアルコールを包含し、それらはたとえば、無水アクリル酸もしくは無水メタクリル酸との反応、または二重結合を含む基とアクリル酸もしくはメタクリル酸とのエステル化反応で変成される。最後に、それらは、コモノマーとして無水マレイン酸を含む共重合体を包含する。このポリマーは無水物と上記のヒドロキシアルキルメタアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレートとの開環、またはたとえば、ブタンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルなどの二重結合を有するヒドロキシビニルエーテルとの開環により変成される。
【0017】
特に好ましい水溶性の化合物としては、アルカノールグリシジルエーテルのジアクリレートエステルがあげられ;ここで、アルカノールは、2または3個のヒドロキシ基を含み、たとえば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート;トリメチロールプロパン−ジグリシジルエーテルのトリアクリレート、あるいはそれらの混合物;およびエトキシル化アクリルオリゴマー、たとえばエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート;エトキシル化トリメチロールプロパンジアクリレート;あるいはそれらの混合物;ここで、エトキシル化オリゴマーは9−12個のエトキシ基を含む、があげられる。特に好ましい水溶性の化合物は1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレートエステルであり、これはLaromer LR 8765、脂肪族のエポキシアクリレートとしてBASF株式会社(シャルロット NC)から利用可能である。
【0018】
本発明の均質な水性の放射線硬化可能なコーティング組成物は、約0.1から約95重量%までの水溶性の放射線硬化可能な化合物、好ましくは75から95重量%までの少なくとも1つのアルファ,ベータ−エチレン性不飽和放射線硬化可能な二重結合で作られるものを含む。好ましくは、硬化可能な組成物は約5重量%から約50の重量%の水を含んでいる。典型的には、水溶性の化合物は、75から95重量%の範囲の固形分に到達するのに十分な量の中でコーティング組成物に加えられる。
【0019】
光開始システム
もし均質の水性の放射線硬化可能な組成物が特に電子ビーム硬化での使用のために配合されていなければ、本発明の放射線硬化可能なコーティングは、任意に、200〜420ナノメートルの波長でのUVによる照射でフリーラジカルを生成する付加重合光開始剤を含むことができる。したがって、本発明の均質の水性の放射線硬化可能なコーティング組成物は、任意に、0から約10重量%までの光開始システムを含むことができる。そのような光開始システムは、UV放射線によって活性化された時、直接フリーラジカルを供給する1つ以上の化合物を有する。光開始剤システムは、さらに近紫外線、可視光および/または近赤外線スペクトル領域へスペクトル感度を拡張する増感剤を含むことができる。UV放射線によって硬化された時、コーティング組成物は、典型的には約0.05から約20重量%、好ましくは約0.05から10重量%、特には0.1から5重量%の光開始システムを含む。システムの構成成分または重合後のそれらの残留物が、非マイグレート性であるか、または実質的に硬化されたフィルムから浸み出し可能であれば、種々様々の光開始システムを使用することができる。このタイプの有用な光開始剤は、”Photoinitiators for Free−Radical−Initiated Photoimaging Systems”,Chem.Rev.1993,93,435−448に、B.M.Monroe and G.C.Weedにより記載されている。単独であるいは組み合わせて使用されることができる光開始剤としては、ベンゾフェノン、4−4’ビスジエチルアミノ―ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノ,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノンおよびハロメチル化ベンゾフェノンのようなアルキルベンゾフェノン類、ミヒラーケトン(4,4’−ビスジメチルアミノ−ベンゾフェノン)、4−クロロベンゾフェノンおよび4,4’−ジクロロベンゾフェノンのようなハロゲン化ベンゾフェノン類、アントラキノン、アントロン(9,10−ジヒドロ−9−アントラセノン)、ベンゾイン、イソブチルベンゾインエーテル、ベンジルおよび、ベンジルジメチルケタールのようなベンジル誘導体、ホスフィンオキサイド類またはホスフィンスルフィド類、たとえばビスアシルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−ホスフィンオキサイドなどがあげられる。単独であるいは他のものと組み合わせて使用されることができる好ましい光開始剤は、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−ケトン;イソプロピルチオキサントン;および同種のものである。
【0020】
所望の場合、光開始システムは協力剤、好ましくは第三アミンをさらに含むことができる。適当な協力剤の例としては、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノアクリレート、例えばBASF LaromerグレードLR 8956、LR 8889、LR 8869、LR 8894、PO 83FおよびPO 84Fのようなアミン改質ポリエーテルアクリレート、およびそれらの混合物があげられる。純粋な第三アミン類の場合には、それらはコーティング組成物の全体量に基づいて、存在するアミノ基の数に対応して等価な量のアミノアクリレートの場合には、一般に5重量%までの量が使用される。
【0021】
着色剤
本発明の均質の水性の放射線硬化可能な組成物は、さらに染料またはピグメントのような着色剤を0から約50重量%含むことができる。好ましくは、そのような染料あるいはピグメントは、硬化可能な組成物中に可溶または分散可能であり、コーティングされた硬化された組成物中で永久に非マイグレート性の成分を構成する。放射線硬化可能なインキとして使用された時、水性のコーティング溶液は典型的には、その中に分散した1つ以上の固体のピグメントを含んでいる。ピグメントは1以上の任意の公知の有機又は無機ピグメントであり、たとえば、硫化亜鉛、ピグメントホワイト6、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー63、ピグメントイエロー65、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー106、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー121、ピグメントイエロー126、ピグメントイエロー127、ピグメントイエロー136、ピグメントイエロー174、ピグメントイエロー176、ピグメントイエロー188、ピグメントオレンジ5、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ16、ピグメントオレンジ34、ピグメントレッド2、ピグメントレッド9、ピグメントレッド14、ピグメントレッド17、ピグメントレッド22、ピグメントレッド23、ピグメントレッド37、ピグメントレッド38、ピグメントレッド41、ピグメントレッド42、ピグメントレッド57、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド170、ピグメントレッド210、ピグメントレッド238、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントブラック7などがあげられる。本発明のエネルギー硬化可能なインキにおいても有用なピグメント組成物は、米国特許第4,946,508号;4,946,509号;5,024,894号;5,062,894号に開示され、これらは本明細書の一部として参照される。そのようなピグメント組成物はピグメントとポリ(アルキレンオキシド)がグラフトされたピグメントとのブレンドである。着色剤を含んでいる水性の硬化可能な組成物は、フレキソ印刷、グラビア印刷ドライオフセット、およびリソグラフィック印刷のような、公知の印刷において使用される放射線硬化可能な印刷インキの配合物中において有用である。これらの印刷操作のそれぞれは比粘度範囲のような特定の特性を備えたインキを要求するが、そのような特性は、ピグメントおよび水溶性化合物を含む固形物と水との比率の調節により実現することができる。
【0022】
他の補助剤
均質な水性の硬化可能な組成物は、追加のアジュバンツが組成物の本質的な性質に物質的に影響を与えず、アジュバンツおよび重合後のそれらの残留物が非マイグレート性であり、実質的に硬化されたフィルムから浸み出ししなければ、追加のアジュバンツを含むことができる。したがって、本発明の放射線硬化可能な組成物およびインキは、流れ、表面張力、硬化されたコーティングあるいは印刷されたインキの光沢を調節するために典型的なアジュバンツを含むことがある。インキまたはコーティングに典型的に含まれるそのようなアジュバンツは、界面活性剤、ワックス、フィラー、つや消し剤、またはそれらの混合物である。これらのアジュバンツは、レベリング剤、湿潤剤、分散剤、発泡禁止剤、デアリエーター(deareators)として作用することができ、あるいは追加のアジュバンツが特定の機能を提供するために加えられることができる。好ましいアジュバンツとしては、FC−430(3M社の製品)のようなフルオロカーボン界面活性剤;DC57(ダウケミカルの製品)のようなシリコーン;ポリエチレンワックス;ポリアミドワックス;パラフィンワックス;ポリテトラフルオロエチレンワックス;および同種のものがあげられる。
【0023】
均質の水性のコーティング組成物は約0から約50重量%、好ましくは約1から約50重量%のフィラーを含むことができる。適当なフィラーの例としては、四塩化ケイ素の加水分解により得られるシリケート(デグサ社からのアエロジル)、ケイソウ土、タルク、珪酸アルミニウム、ナトリウム珪酸アルミニウム、マグネシウムシリケートなどがあげられる。均質の水性のコーティング組成物は、さらに0から20重量%の保護コロイドまたはコレジンおよび/または乳化剤を含むことができる。適当な乳化剤は、水性乳化重合において分散剤として一般に使用され、当業者に公知であるものであり、たとえば、Houben−Weyl、Methoden der Organischen Chemie、Volume XIV/1、Makromoleculare Stoffe、Georg−Thieme−verlag、Stuttgart、1961年、pp.411−420に記述されたものである。適当な保護物質としてはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、デンプン誘導体、ゼラチン、ゼラチン誘導体などがあげられる。
【0024】
抽出可能な物質の少ないFDA非準拠の硬化フィルムの調製
本発明の実施態様は抽出可能な物質の少ないFDA非準拠のフィルムを形成する方法に関する。この方法では、前述の均質の水性の組成物が基体の表面上に、水の本質的な除去なしで適用され、適用された均質の水性の組成物は、水の存在下で高エネルギー電子または紫外線(UV)で照射され、硬化されたフィルムを形成する。均質の水性の組成物は任意の公知のコーティング技術を使用して、均質なコーティングとして基体表面に適用されることができる。したがって、組成物はスピンコーティング、バーコーティング、ローラーコーティング、カーテンコーティングされることができ、またはブラシまたはスプレーで適用することができる。あるいは、均質の水性の組成物は、基体表面上に、たとえば印刷インキとして、任意の公知の印刷技術を使用してイメージ様に適用することができる。一旦、均質の水性のコーティング組成物が基体表面に適用されれば、それは先立つ水の除去を行うことなく、高エネルギー電子またはUV線のいずれかを使用して、1工程で直ちに硬化される。典型的に、高エネルギー電子は、約50から約200kVエレクトロン、および好ましくは85から180kVエレクトロンの間のエネルギーを持っており、典型的には高エネルギー電子デバイスによって生成される。高エネルギー電子の照射量は約2から約4メガラド(Mrads)までの範囲であり;好ましくは2.7から3.5メガラドの範囲である。紫外線照射は、約200ナノメートルから約420ナノメートルまでの範囲のスペクトルを放射する、任意の公知の非接触型露光装置を使用して行なうことができる。コーティングされた組成物中の水は、非吸収性の表面上でさえ、硬化プロセスを妨害せず、むしろ水溶性化合物の抽出可能な残留化合物がほとんどもしくは全くない、完全に硬化されたフィルムまたはイメージへの完全な硬化を促進する。水は、硬化プロセスとともに、および/または基体の操作中に引き続いて除去されると考えられる。本明細書において使用される用語「硬化されたフィルム」は、連続的な硬化されたフィルム組成物、並びに不連続の硬化されたインキイメージ組成物も含むように意図される。用語の一方の意味では、硬化されたフィルムは基体に接着し、外側の硬化した表面を有し、以下において詳細に説明される抽出手順おいて使用される表面領域を画定する。
【0025】
基体
基体およびその表面は任意の典型的な基体物質、たとえば、プラスチック、例えばポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリナフタレンテレフタレート、ポリアクリレート、ポリアクリリック、金属、複合材料、ガラス、紙などで構成されることができる。基体上の硬化されたコーティングは、基体からの汚染が低いこと、または全くないことが必要とされる様々な用途において使用されることができる。
【0026】
架橋されたフィルム
本発明の均質の水性の放射線硬化可能な組成物は、水の存在下で高エネルギー電子またはUV放射線で硬化された時、表面上の組成物のコーティングが公知の溶剤ラビングテストに対して耐性を有する、高度に架橋された硬化されたフィルムを形成するという点でユニークな特性を持っている。そして、塩化メチレン、アセトニトリルなどのような攻撃的な溶剤によって、50ppbよりも多い水溶性の化合物あるいは残留成分が抽出される。
【0027】
溶剤ラビングテスト
硬化されたフィルムの試料は、硬化されたフィルム側を上にして、平坦な堅い表面上に置かれる。その後、硬化されたフィルム表面は、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールあるいはその他同種のもののような溶剤をたっぷりと染みこませたアプリケーターパッドで繰り返しラビングされる。アプリケーターパッドは、典型的には木綿、柔軟な織物あるいは紙製品の小さな塊である;そして、通常の手の圧力下で、前後に動くラビングモーションが与えられる。フィルム表面の劣化(たとえば、溶解、軟化、摩耗など)の前にフィルム表面をラビングすることができる回数は、硬化されたフィルムの耐溶剤性の尺度である。典型的には、何らかの劣化が観察される前に、選択された溶剤でフィルムを10回以上、好ましくは20から75回以上、ラビングすることができる場合、硬化されたフィルムは溶剤抵抗性を有すると考えられる。
【0028】
官能性(Organolepsis)
販売時に購買する製品を選ぶ際に、視覚、聴覚、触覚、味覚および臭覚の五感を通した認知に関する主要因が影響を及ぼす。これらは官能効果と呼ばれる。また、全体としては官能性である。包装では、それらは主として嗅覚および味覚に制限される。
【0029】
食物を包装するためのプラスチックフィルムは例えば、食品の味および匂いに寄与することは通常要求されない。反対に、それらがそうしないことが通常必要とされる。食品の味または匂いの特性が変化されると、例外なく結果は好ましくないと考えられる。変化が十分に不愉快な場合、結果は「オフオーダー」、「オフフレイバー」、あるいは「腐敗している」と呼ばれる。それらは食品およびプラスチックあるいは環境との間の相互作用から発生するという点で、これらは同様に毒性の危険に対して機械論学的な理由付けを有する。まれな例外を除いて、ほとんどの高分子量重合体は無味無臭である;したがって、すべての商業的なプラスチックフィルムの大多数の構成要素は「オフオーダー」または「オフフレイバー」を引き起こさないであろう。これはすべての包装材料のためにすることができない著しい一般化である。プラスチックからパッケージの内容物に拡散しがちな揮発性物質は、製造工程からの残留物(残留する反応物も含む);変換処理中に形成された分解生成物;および添加剤、に分類される。変換処理中に形成された分解生成物については、これらは典型的には重合から発生する。あるプラスチックは加熱によりわずかに分解する。ポリスチレンとナイロンのような少数のケースでは、主反応は解重合であり、副生成物はモノマーまたはオリゴマーである。大多数のケースでは、生成物は明白なものではない。
【0030】
臭気または味の試験のために容易に使用することができる機械的な装置はまだ存在していない。さらに、特別な場合には動物を時々使用することができるが、それらはプラスチックの試験にふさわしくない。従って、人間のグループが使用されなければならず、人間のパネルメンバーがオフオーダーまたはオフテイストの性質の表示を与えなければならない。一見したところ本質的ではないが、特定される特定の刺激に対して、感覚的な反応がチェックされた個人をパネラーとして選ぶことが望ましい。
【0031】
抽出可能な成分
抽出可能な物質の量は2つの方法を使用して決定された:官能性臭気試験および分析装置による方法である。硬化されたフィルム中の残留臭気が、コーティング中を移動し、典型的にはしみ出し可能である、コーティング中の未反応残留物質に関連づけることができることは一般に受け入れられている。未反応の物質は抽出され、分析技術により定量化することができる。臭気は主観的な測定であるが、消費財にとって非常に重要であり、臭気は不快にさせる場合があり、またアレルギー反応、皮膚炎などのような生理学的反応を示す場合がある。
【0032】
残留臭気試験
コーティング組成物が#3のMeyerバーで、板紙およびアルミニウムフォイル上に適用され、ついで硬化された。組成物に応じて、120−500mJ/cmのUVエネルギーを供給するUV光(UV硬化可能な組成物)で硬化されるか、または3メガラドで165kVエレクトロンの電子ビーム条件で硬化された。等しい寸法のコーティングされ硬化された板紙およびフォイル試料は、カットされ、固く蓋をした1リットルのガラスジャーの内部に置かれた。試料を有するジャーは、30分、60℃でオーブン内に置かれた。この後に、数人の人々(少なくとも5人)がそれぞれのジャーを開け、「1」が最低の臭気で、「5」が最も強い臭気であるとして、1から5で臭気を段階評価した。その後、それぞれの試料の平均点が表Aに示されたように比較され、報告された。残留物の臭気は未反応の物質または抽出可能物質の量に関連づけることができる。
【0033】
直接溶剤抽出
それぞれの硬化されたフィルムの100平方センチメートルが、小さな正方形に切られ、16mlのバイアルに入れられた。アセトニトリルあるいは塩化メチレンである溶剤10ミリリットルが加えられ、試料は、室温で24時間静置された。24時間の後、溶液の3mlが取り出され、0.2ミクロンのポリテトラフルオロエチレンフィルターディスクを通してろ過され、分析のためにオートサンプラーバイアル中に置かれた。その後、抽出物は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して分析される。移動相は50%の水/50%メタノールであり、周囲温度で0.8ml/分でイソクラティカルにポンプ移送された。流出液は205nmでモニターするフォトダイオードアレイ検出器(PDA)を使用して分析される。カラムは、Phenomenex(登録商標)LUNA C18カラム、4.6mm×250mmであり、粒径5ミクロン、3400psiの高圧限界であった。得られた抽出可能物質の残留量は、ppb(10億分の1)基準で決定される。
【0034】
本発明の均質の水性の放射線硬化可能な組成物は、次の例によって例証されるだろうが、それにより制限されることを意図するものではない。
【0035】
実施例1
脂肪族エポキシアクリレート(60部、BASF社製、Laromer LR8765)、水(14部)、プロポキシル化ペンタエリトリットテトラアクリレート(25部、Ackros Chemical社製、PPTTA、Actilane 440)、およびアクリレーティッドシリコーン(1.0部、Tego社製、Rad 2200)が互いに混合され、安定なコーティングを生成した。この組成物をワウンドワイヤーロッドで、3−6ミクロンの厚さに塗布し、3メガラドおよび100kVエレクトロンでEB照射により硬化した。得られたコーティングは80よりも高い光沢を有していた。コーティングは上記の溶剤ラビングテストで、メチルエチルケトン(MEK)の往復ラビングで、50回よりも多い結果を示し、完全に硬化していた。
印刷された表面はついでアセトニトリルによる直接の抽出に暴露され、抽出可能量760ppbのPPTTAの残留量を与えた。
【0036】
実施例2
脂肪族エポキシアクリレート(60部、BASF社製、Laromer LR8765)、水(14部)、トリメチロールプロパントリアクリレート(25部、コグニス社製、TMPTA)、およびアクリレーティッドシリコーン(1.0部、Tego社製、Rad 2200)が互いに混合され、安定なコーティングを生成した。この組成物をワウンドワイヤーロッドで、3−6ミクロンの厚さに塗布し、3メガラドおよび100kVエレクトロンでEB照射により硬化した。得られたコーティングは85よりも高い光沢を有していた。コーティングは上記の溶剤ラビングテストで、メチルエチルケトン(MEK)の往復ラビングで、70回よりも多い結果を示し、完全に硬化していた。
印刷された表面はついでアセトニトリルによる直接の抽出に暴露され、抽出可能量1650ppbのTMPTAの残留量を与えた。
【0037】
実施例3
脂肪族エポキシアクリレート(60部、BASF社製、Laromer LR8765)、水(14部)、プロポキシル化 ネオペンチルグリコール ジアクリレート(25部、コグニス社製、PO−NPGDA、Photomer 4127)、およびアクリレーティッドシリコーン(1.0部、Tego社製、Rad 2200)が互いに混合され、安定なコーティングを生成した。この組成物をワウンドワイヤーロッドで、3−6ミクロンの厚さに塗布し、3メガラドおよび100kVエレクトロンでEB照射により硬化した。得られたコーティングは70よりも高い光沢を有していた。コーティングは上記の溶剤ラビングテストで、メチルエチルケトン(MEK)の往復ラビングで、20回よりも多い結果を示し、完全に硬化していた。
印刷された表面はついでアセトニトリルによる直接の抽出に暴露され、抽出可能量24200ppbのPO−NPGDAの残留量を与えた。
【0038】
実施例4
水(14部)、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(85部、コグニス社製、EO−TMPTA、Photomer 4149)、およびアクリレーティッドシリコーン(1.0部、Tego社製、Rad 2200)が互いに混合され、安定なコーティングを生成した。この組成物をワウンドワイヤーロッドで、3−6ミクロンの厚さに塗布し、3メガラドおよび100kVエレクトロンでEB照射により硬化した。得られたコーティングは70よりも高い光沢を有していた。コーティングは上記の溶剤ラビングテストで、メチルエチルケトン(MEK)の往復ラビングで、20回よりも多い結果を示し、完全に硬化していた。
印刷された表面はついでアセトニトリルによる直接の抽出に暴露され、抽出可能量996ppbのEO−TMPTAの残留量を与えた。
【0039】
実施例の比較
実施例1から4は、臭気について試験され、結果を以下の表Aに示す。
【0040】
表A

【表1】

【0041】
実施例1から4は、抽出可能物質の残留量について試験され、結果を以下の表Bに示す。
【0042】
表B

【表2】

【0043】
本明細書に開示された本発明の教示を受けた当業者は、多くの改良を行うことができる。かかる改良は本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0044】
本願発明は以下の実施態様を包含する。
第1項: a)(i)少なくとも1つのアルファ,ベータ−エチレン性不飽和の放射線重合可能な二重結合を有する水溶性化合物、および(ii)水から本質的になる、化学線硬化可能な均質な水性組成物を提供する工程;
b)前記の均質な水性組成物を表面上に適用する工程;および
c)水の存在下で化学線を表面に照射する工程を含み、
表面が組成物によりコーティングされて、水の存在下で効果的な量の化学線に暴露される際に、硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから未硬化の残留物が抽出可能であるように硬化されたフィルムが形成される、
FDA非準拠の抽出可能成分の少ないフィルムの製造方法。
第2項: 水溶性化合物がオリゴマーである、前記第1項記載の方法。
第3項: オリゴマーがアクリレートである、前記第2項記載の方法。
第4項: アクリレートが、エポキシアクリレート、エポキシメタアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタアクリレート、メラミンアクリレートもしくはメラミンメタアクリレート、またはポリエチレングリコールジアクリレートもしくはポリエチレングリコールジメタアクリレートである、前記第3項記載の方法。
第5項: アクリレートが、芳香族または脂肪族アクリレートである、前記第4項記載の方法。
第6項: アクリレートが、アルカノールグリシジルエーテルもしくはエトキシル化芳香族エポキシドのジアクリレートエステル、またはポリエチレングリコールジアクリレートである、前記第5項記載の方法。
第7項: アルカノールグリシジルエーテルのジアクリレートエステルが、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルおよびエトキシル化芳香族エポキシドのジアクリレートエステルである、前記第6項記載の方法。
第8項: エトキシル化芳香族エポキシドが6から20のエトキシ基を含む、前記第7項記載の方法。
第9項: 約5重量%から約25重量%の範囲の量で水が存在する、前記第1項記載の方法。
第10項: 着色剤を加えることをさらに含む、前記第1項記載の方法。
第11項: 着色剤が染料、ピグメント、またはそれらの混合物である、前記第10項記載の方法。
第12項: 照射が高エネルギー電子で行われる、前記第1項記載の方法。
第13項: UV照射に対して感受性の光開始システムを加えることをさらに含む、前記第1項記載の方法。
第14項: 照射がUV照射で行われる、前記第13項記載の方法。
第15項: 表面が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、セルロース系材料、紙材料、厚紙材料、金属、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリナフタレンテレフタレート、ポリアクリレートおよびポリアクリルから選択される、前記第1項記載の方法。
第16項: 硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから50ppbから200,000ppbの未硬化の残留物が抽出可能である、前記第1項記載の方法。
第17項: 硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから50ppbから25,000ppbの未硬化の残留物が抽出可能である、前記第1項記載の方法。
第18項: 硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから50ppbから1,000ppbの未硬化の残留物が抽出可能である、前記第1項記載の方法。
第19項: (a)少なくとも1つのアルファ,ベータ−エチレン性不飽和の放射線重合可能な二重結合を有する水溶性化合物、および
(b)水を含み、
表面が組成物によりコーティングされて、水の存在下で効果的な量の化学線に暴露される際に、硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから50ppbよりも多い未硬化の残留物が抽出可能であるように硬化されたフィルムが形成される、
改良された化学線硬化可能な均質な水性組成物。
第20項: 水溶性化合物がオリゴマーである、前記第19項記載の組成物。
第21項: オリゴマーがアクリレートである、前記第20項記載の組成物。
第22項: アクリレートが、エポキシアクリレート、エポキシメタアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタアクリレート、メラミンアクリレート、メラミンメタアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートもしくはポリエチレングリコールジメタアクリレートからなる群から選択される、前記第21項記載の組成物。
第23項: アクリレートが、芳香族または脂肪族アクリレートである、前記第21項記載の組成物。
第24項: アクリレートが、アルカノールグリシジルエーテルもしくはエトキシル化芳香族エポキシドのジアクリレートエステル、またはポリエチレングリコールジアクリレートである、前記第21項記載の組成物。
第25項: アルカノールグリシジルエーテルのジアクリレートエステルが、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルであり、エトキシル化芳香族エポキシドのジアクリレートエステルがエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートである、前記第24項記載の組成物。
第26項: エトキシル化芳香族エポキシドが6から20のエトキシ基を含む、前記第24項記載の組成物。
第27項: 約5重量%から約25重量%の範囲の量で水が存在する、前記第19項記載の組成物。
第28項: 化学線が高エネルギー電子である、前記第19項記載の組成物。
第29項: UV照射光開始システムをさらに含む、前記第19項記載の組成物。
第30項: 硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから50ppbから200,000ppbの未硬化の残留物が抽出可能である、前記第19項記載の組成物。
第31項: 硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから50ppbから25,000ppbの未硬化の残留物が抽出可能である、前記第19項記載の組成物。
第32項: 硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから50ppbから1,000ppbの未硬化の残留物が抽出可能である、前記第19項記載の組成物。
第33項: (a)少なくとも1つのアルファ,ベータ−エチレン性不飽和の放射線重合可能な二重結合を有する水溶性化合物、
(b)水、および
(c)着色剤を含み、
表面が組成物によりコーティングされて、水の存在下で効果的な量の化学線に暴露される際に、硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから未硬化の残留物が抽出可能であるように硬化されたフィルムが形成される、
改良された化学線硬化可能な均質な水性インキ組成物。
第34項: 水溶性化合物がオリゴマーである、前記第33項記載の組成物。
第35項: オリゴマーがアクリレートである、前記第34項記載の組成物。
第36項: アクリレートが、エポキシアクリレート、エポキシメタアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタアクリレート、メラミンアクリレート、メラミンメタアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートもしくはポリエチレングリコールジメタアクリレートからなる群から選択される、前記第35項記載の組成物。
第37項: アクリレートが、芳香族または脂肪族アクリレートである、前記第35項記載の組成物。
第38項: アクリレートが、アルカノールグリシジルエーテルもしくはエトキシル化芳香族エポキシドのジアクリレートエステル、またはポリエチレングリコールジアクリレートである、前記第35項記載の組成物。
第39項: アルカノールグリシジルエーテルのジアクリレートエステルが、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルであり、エトキシル化芳香族エポキシドのジアクリレートエステルがエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートである、前記第38項記載の組成物。
第40項: エトキシル化芳香族エポキシドが6から20のエトキシ基を含む、前記第38項記載の組成物。
第41項: 約5重量%から約25重量%の範囲の量で水が存在する、前記第33項記載の組成物。
第42項: 着色剤が染料、ピグメント、またはそれらの混合物である、前記第33項記載の組成物。
第43項: 化学線が高エネルギー電子である、前記第33項記載の組成物。
第44項: UV照射光開始システムをさらに含む、前記第33項記載の組成物。
第45項: 硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから50ppbから200,000ppbの未硬化の残留物が抽出可能である、前記第33項記載の組成物。
第46項: 硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから50ppbから25,000ppbの未硬化の残留物が抽出可能である、前記第33項記載の組成物。
第47項: 硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから50ppbから1,000ppbの未硬化の残留物が抽出可能である、前記第33項記載の組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(i)少なくとも1つのアルファ,ベータ−エチレン性不飽和の放射線重合可能な二重結合を有する水溶性化合物、および(ii)水から本質的になる、化学線硬化可能な均質な水性組成物を提供する工程;
b)前記の均質な水性組成物を表面上に適用する工程;および
c)水の存在下で化学線を表面に照射する工程を含み、
表面が組成物によりコーティングされて、水の存在下で効果的な量の化学線に暴露される際に、硬化されたフィルムのフィルム1平方インチあたり、10mlの模擬液体中に浸責され加熱された時に、硬化されたフィルムから未硬化の残留物が抽出可能であるように硬化されたフィルムが形成される、
FDA非準拠の抽出可能成分の少ないフィルムの製造方法。

【公開番号】特開2013−82930(P2013−82930A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−273149(P2012−273149)
【出願日】平成24年12月14日(2012.12.14)
【分割の表示】特願2004−565656(P2004−565656)の分割
【原出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【出願人】(596024024)サン・ケミカル・コーポレーション (39)
【Fターム(参考)】