説明

放射線硬化型液状インキによるグラビア印刷の方法

【課題】揮発性溶媒を本質的に除去することにより、EPAにより要求されるVOC制御装置を一切必要としなくなるグラビアインキ、及び該インキを使用した電子線放射による硬化ステップを含むグラビア印刷の方法の提供。
【解決手段】a)水分散性顔料と、b)十分な電子線放射を当てることにより重合可能または架橋可能な、水分散性のエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーのいずれか1種、又は2種以上と、c)消泡剤と、d)成分a)、b)およびc)と分散液を形成するのに十分で、その分散液の粘度が約25cps(センチポアズ)から約200cps(センチポアズ)となる水と、の混合物を含むグラビア印刷インキ、及び該インクを使用したグラビア印刷の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラビア印刷インキに関し、さらに凹版グラビア印刷用シリンダーと基材とが直接接触することにより、個々の色が転写される、柔軟な基材上への放射線硬化型液状インキによる、多色グラビア印刷の方法に関する。順次に印刷されるインキ層が、回転バーの回りをウェブが複数回回転する間、印刷画像を一切歪ませることなく、プレス機を通過して転写されるように、一色ごとに高温で乾燥し、最終的に、印刷された基材を電子線(EB)ユニットに露光することで、硬化させる。
【背景技術】
【0002】
今日、商業用の大量印刷で利用されている主要な印刷法には、オフセット印刷法、 グラビア印刷法およびフレキソ印刷法の3種がある。質の点からは、オフセット印刷法およびグラビア印刷法はどちらも同等に優れており、その次がフレキソ印刷法である。印刷メカニズムの点では、オフセット印刷法およびフレキソ印刷法のどちらの場合も、インキ付けした画像が、印刷する画像を含む印刷版から、中間のラバーブランケットを介して、基材に転写される。しかし、グラビア印刷法では、画像は、印刷する画像を含むアニロックスシリンダーから基材に直接転写される。
【0003】
3種の印刷法に用いられるインキは、主に粘度および顔料濃度が極めて異なる。室温において、オフセットインキは、ペーストの粘稠度を有し(〜10,000ポアズ)、フレキソインキは、蜂蜜の粘稠度を有し(〜500センチポアズ)、グラビアインキは極めて低い粘度を有する(〜50センチポアズ)。
【0004】
印刷インキの配合に関する問題の1つは、インキ中に揮発性有機化合物(VOC)が含有されていることである。このため、インキはアメリカ合衆国環境保護庁(EPA)による規制を受けることになり、印刷業者にとって余分な支出源となる。
【0005】
過去20年に渡り、オフセット印刷およびフレキソ印刷市場において使われている一定比率のインキには、VOC(揮発性有機化合物)フリーのエネルギー(紫外線(UV)および電子線(EB))硬化性の材料が配合されてきた。これらのインキは、乾燥のために放射熱源を必要とするのとは対照的に、即時硬化のためにUV光またはEBユニットにのみ露光することを必要とする。硬化工程に伴う架橋によって、エネルギー硬化性材料によく知られている利点、例えば、耐摩耗性、高い光沢、即時加工性等といった利点を有する生成物がもたらされる。
【0006】
対照的に、グラビアインキは、非常に低い粘度を維持するために、溶媒(酢酸エステル、アルコール等)または水を使って作られる。しかし、水は表面張力が極めて高い(78ダイン)ため、基材の濡れ性および印刷適性に関連する問題が生じてしまう。そのため、水性グラビアインキは、一般に、インキの表面張力低下のために、溶媒を最大30%含有している。現在まで、グラビアインキはVOC放出源のままであり、この印刷法を使用する全てのプリンターに対して、適切な環境管理が必要とされる。本発明は、VOC放出規制を受けないグラビア印刷法を提供する。
【0007】
通常、グラビア印刷工程では、異なる複数の色は、1つの印刷ステーションから次の印刷ステーションへと印刷される。各印刷ステーションにおいて、印刷される画像を含むグラビア印刷用シリンダーが、基材に直接接触することで、画像が基材に転写される。印刷されたウェブは、乾燥機(通常は、強制温風機)を通過するが、そこでインキのVOC成分は気化されて乾燥機に取り込まれる。次いで、印刷されたウェブは、 次の印刷ステーションに送られ、所望の色シーケンスに従って、同じ工程が繰り返される。全色が印刷され終わると、ウェブは、完全にインキを乾燥させるために、長い乾燥機を通過する。基材が、例えば紙のような吸収性基材である場合、残留溶媒の存在を最小限に抑えるのに十分な条件で乾燥しなければならない。一方、基材が、例えばフィルムのような非吸収性基材である場合、印刷した画像の汚れおよび/または逆転写を防ぐのに十分な条件で乾燥しなければならない。食品包装の応用には、このような調整は不可欠である。乾燥工程中に蒸発した溶媒は、適切なEPAガイドラインに従って、冷却装置を通じて捕捉されて、リサイクルされるか、または適正な熱酸化装置を通じて燃焼させた後、排出される。
【0008】
グラビア印刷自体は1世紀前から存在する技術であり、世界中の印刷業者によって広く使われている。しかし、グラビア印刷に適した粘度を有するVOCフリーのエネルギー硬化型インキを使用し、印刷ラインの最後で、EBユニットに露光後、印刷した画像を即時に硬化させることは新しい技術である。
【0009】
エネルギー硬化型液状インキを用いた印刷は、周知である。米国特許第6772683号には、セントラルインプレッション(CI)型フレキソ印刷プレス機上でのエネルギー硬化型液状インキのウェットトラッピング(wet trapping)が記載されている。グラビア印刷の場合、アニロックスローラーから基材に直接転写されるのとは対照的に、フレキソ印刷では、各印刷ステーションにおいて、液状インキが、アニロックスローラーから、印刷する画像を含む印刷版に転写され、続いて、この画像が柔軟な基材に転写される。後続の2つの印刷ステーションの間で、インキ配合物に含まれている水は、先に印刷した画像層が、次に印刷するインキ層よりもその粘度をわずかに高くするのに十分なだけ、自然に蒸発するので、次のインキ層は、直前の層の上でウェットトラッピングすることができる。水を含有するインキ配合物は、特に、水が多相分散ではなく、単一相または均一溶液を形成するように作られる。したがって、インキ組成物には、不均一系または多相系ではなく、均一な単一相系を形成すると思われる水溶性成分だけを使用することができる。
【0010】
このような組成物および工程が、米国特許出願第2008/0233306A1号ならびに米国特許第6803112号および第6011078号に記載されている。ウェットトラッピングされたインキ層は、印刷工程の最後で、EB源に露光され、印刷された物質が完全に硬化される。しかし、ウェットトラッピングが可能となるのは、複数のインキ層が、EBによって完全に硬化されるまで、プレス機の回転バーのような硬い表面とぶつからない場合に限られることが、この工程の限界である。EBによる硬化の前に、硬い面と接触すると、画像が剥離したり、ハードローラーに画像の染みを残したりすることになる。これは、インキ層はウェットトラッピングが可能ではあるが、表面が研磨性に耐えるのに十分なだけ乾燥していないためである。結果として、この印刷工程は、EBユニットを通過するまで、プレス機に回転バーのないCIフレキソ印刷工程にのみ限定される。
【0011】
米国特許公開第2006/0165997号には、多重層の全面コーティングを相互に重ね合わせ、各コーティング層を、各コーティングステーションの間で、熱風または赤外線(IR)により乾燥し、最終的に、プレス機の最後でEBユニットに露光することで、コーティング層全てを完全に硬化させる、表面防護およびセキュリティ機能が改善された宝くじを作製するための方法が記載されている。画像を重ねて印刷する技術は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6772683号
【特許文献2】米国特許出願第2008/0233306A1号
【特許文献3】米国特許第6803112号
【特許文献4】米国特許第6011078号
【特許文献5】米国特許公開第2006/0165997号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、グラビアインキに存在する揮発性溶媒を本質的に除去することにより、EPAにより要求されるVOC制御装置を一切必要としなくなるグラビア印刷法に関するものである。また、本発明は、グラビア印刷に要求される粘度を有し、例えば、各ステーションおよび最後に、強制熱風乾燥機により乾燥される、EB硬化型液状インキを使用するグラビア印刷法であって、完全に印刷されたウェブをEBユニットに露光することで、印刷された画像を完全に硬化させる方法を開示する。更に、EBユニットへの露光により一緒に硬化された、乾燥した印刷画像および合成構造体の上に、EB硬化性の光沢塗装膜を重ねて印刷したり、接着剤を塗布することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、次の混合物を含むグラビア印刷インキを提供する。
a)水分散性顔料、b)十分な電子線放射を当てることにより重合可能または架橋可能な、水分散性のエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーのいずれか1種、又は2種以上、c)消泡剤、d)成分a)、b)およびc)と分散液を形成するのに十分で、その分散液の粘度が約25cps(センチポアズ)から約200cps(センチポアズ)となる水。
【0015】
本発明は、以下のステップを含む印刷法も提供する。
I.グラビア印刷インキの画像層を基材の表面に塗布するステップであって、前記グラビア印刷インキが、a)水分散性顔料と、b)十分な電子線放射を当てることにより重合可能または架橋可能な、水分散性のエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーのいずれか1種、又は2種以上と、c)消泡剤と、d)成分a)、b)およびc)と分散液を形成するのに十分で、その分散液の粘度が約25cps(センチポアズ)から約200cps(センチポアズ)となる水と、の混合物を含むステップ。
II.続いて、基材上のグラビア印刷インキの画像層を乾燥するステップ。
III.その後、グラビア印刷インキの前記画像層を、十分な電子線放射に露光することにより、前記画像層中のエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーのいずれか1種、又は2種以上の重合または架橋を起こすステップ。
【0016】
本発明は、さらに、場合によって、ステップIIIを実施する前に、ステップIおよびIIをさらに1回または複数回順次に実施するステップを含み、前記さらに実施するステップが、乾燥したグラビア印刷インキの先刷り画像層および基材の同一表面上に、別のグラビア印刷インキの画像層を塗布するステップであり、前記別のグラビア印刷インキが、a)水分散性顔料と、b)十分な電子線放射を当てることにより重合可能または架橋可能な、水分散性のエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーのいずれか1種、又は2種以上と、c)消泡剤と、d)成分a)、b)およびc)と分散液を形成するのに十分で、その分散液の粘度が約25cps(センチポアズ)から約200cps(センチポアズ)となる水と、の混合物を含む方法の印刷法も、提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る方法により、その本来の質を備え、VOCまたは残留溶媒の問題がなく、エネルギー硬化型インキによりもたらされる、関連する改善を全て有するグラビア印刷が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】4色EBグラビア印刷プレス機を示す図。
【図2】インラインEBコーティング装置を有する、4色EBグラビア印刷プレス機を示す図。
【図3】インラインEBコーティング装置およびラミネーターを有する、4色EBグラビア印刷プレス機を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
グラビア印刷インキの第一の成分は、水分散性顔料である。着色剤が、他の配合成分と一緒に分散されることが可能である限り、適切な任意の水分散性顔料を、制限なく、使用することができる。顔料は、有機顔料、無機顔料、金属顔料、導電性顔料、磁性顔料、ナノ顔料、誘電顔料、吸光顔料またはそれらの組合せとすることができる。
【0020】
適切な顔料の例としては、以下に限られないが、モノアゾイエロー、モノアリライドイエロー、ジアリライドイエロー、ナフトールレッド、ルビンレッド、リソールルビン、フタロシアニンブルーおよびカーボンブラックが挙げられる。適切な顔料には、以下に限られないが、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー11、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー63、ピグメントイエロー65、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー106、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー121、ピグメントイエロー126、ピグメントイエロー127、ピグメントイエロー136、ピグメントイエロー174、ピグメントイエロー176、ピグメントイエロー188、ピグメントオレンジ5、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ16、ピグメントオレンジ34、ピグメントレッド2、ピグメントレッド9、ピグメントレッド14、ピグメントレッド17、ピグメントレッド22、ピグメントレッド23、ピグメントレッド37、ピグメントレッド38、ピグメントレッド41、ピグメントレッド42、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド170、ピグメントレッド210、ピグメントレッド238、ピグメントレッド269、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、ピグメントバイオレット23ならびにピグメントブラック7等およびこれらの組合せが含まれる。
【0021】
本発明では、水分散性顔料という用語には、導電性または誘電性を有する印刷画像を作成するための導電性または非導電性粒子が含まれる。これには、鉄、銀、銅、アルミニウムもしくはそれらの合金等の導電性粉末、金属酸化物粉末、金属炭化物粉末、金属ホウ化物粉末、カーボンブラック、グラファイトまたはそれらの組合せが含まれる。1つの実施形態において、水分散性顔料は、グラビアインキ配合物中に、グラビアインキ配合物の全体の重量に対して、約4から10重量パーセントの量で存在することができる。別の実施形態において、着色剤は、インキ配合物中に、グラビアインキ配合物の全体の重量に対して、約5から8重量パーセントの量で存在することができる。グラビア印刷インキは、場合によっては、着色剤として、染料成分を追加的に含むこともできる。
【0022】
次にグラビア印刷インキは、十分な電子線放射に当てることにより、重合可能または架橋可能なエチレン系不飽和モノマー、不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーのいずれか1種、又は2種以上を含む。このようなエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーの例としては、アクリレート、メタクリレート、エポキシ、ロジンエステル、炭化水素樹脂、ビニル化合物、ポリビニルピロリドン化合物、ポリビニルピロリドン含有コポリマー、スチレン無水マレイン酸化合物、ウレタン化合物またはそれらの組合せが挙げられる。有用なエチレン系不飽和化合物には、非排他的に、エチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーが含まれる。好ましいエチレン系不飽和化合物には、非排他的に、アクリレート、メタクリレート、エポキシ、ロジンエステル、炭化水素樹脂、ビニル化合物、ポリビニルピロリドン化合物、ポリビニルピロリドン含有コポリマー、スチレン無水マレイン酸化合物、ウレタン化合物またはそれらの組合せが含まれる。これらには、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートおよびエトキシ化またはプロポキシ化された2または多官能性アクリレートが含まれる。使用することのできる材料の中には、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸等のポリエステル、ならびに多価アルコールを含む多官能性末端不飽和有機化合物といった、エチレン系不飽和酸がある。
【0023】
これらの多官能性化合物のいくつかの例は、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールおよびヒドロキシ末端ポリエステルのポリアクリレートおよびポリメタクリレート、ヒドロキシ末端エポキシ樹脂ならびにヒドロキシ末端ポリウレタンである。このグループの末端不飽和有機化合物にさらに含まれるのは、ポリアリルおよびポリビニル化合物、例えば、ジアリルフタレートおよびテトラアリルオキシエタン等、ならびにアジピン酸ジビニル、ブタンジビニルエーテルおよびジビニルベンゼンである。これらは、さらに例として、第一級または多価アルコールのアクリレートまたはオリゴアクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エポキシアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等を挙げることができる。それらはさらに、例として、第一級または多価アルコールのメタクリレート、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等、またはアリルアルコール、ジアリルエーテル、アジピン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、低分子量ポリウレタンの両末端ジアリレート等が挙げられる。好ましいエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーは、水分散性アクリレートモノマーまたはオリゴマーである。より好ましいエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーは、ウレタンアクリレートまたはエポキシアクリレートを含む。
【0024】
1つの実施形態において、エチレン系不飽和化合物は、グラビアインキ配合物中に、インキ配合物の全体の重量に対して、約30重量パーセントから約60重量パーセントの量で存在することができる。別の実施形態において、エチレン系不飽和化合物は、グラビアインキ配合物全体の重量に対して、約40重量パーセントから約50重量パーセントの量でインキ配合物中に存在することができる。
【0025】
次に、グラビア印刷インキは消泡剤を含む。適切な消泡剤には、非排他的に、シリコーン、ポリシロキサン、ポリグリコールおよびポリアルコキシ化合物またはそれらの組合せが含まれる。これらの非制限的な例としては、ドイツのGoldschmidtstrasse 100,D−45127 EssenのEvonik Tego Chemie GmbH社から市販されているヒュームドシリカを含むポリエーテルシロキサンコポリマーの乳剤であるFOAMEX 835や、ペンシルバニア州アレンタウンのAir Products and Chemicals社から市販されている、ブタン二酸、2,3−ジヒドロキシ−、ビス(3−メチルブチル)エステルであるEnviroGem(登録商標)AE03がある。その他の消泡剤としては、Byk−Chemie社により製造されるBYK(登録商標)−019(シリコーン)、BYK(登録商標)−022(ポリグリコール)、BYK(登録商標)−024(ポリシロキサン)がある。
【0026】
1つの実施形態において、消泡剤はグラビアインキ配合物中に、インキ配合物の全体の重量に対して、約0.25重量パーセントから約2重量パーセントの量で存在することができる。別の実施形態において、消泡剤は、グラビアインキ配合物全体の重量に対して、約0.5重量パーセントから約1重量パーセントの量でインキ配合物中に存在することができる。
【0027】
次に、グラビア印刷インキは、他のグラビアインキ成分と分散液を形成し、形成する分散液の粘度が約25cps(センチポアズ)から約200cps、好ましくは約50cpsから約100cpsになるのに十分な水を含有する。
【0028】
グラビア印刷インキは、さらに、場合によっては、湿潤剤、ワックス、タルク、界面活性剤、レオロジー調整剤、シリカ、シリコーン、分散液、脱気剤またはそれらの組合せ等の1つまたは複数の任意の追加成分を含有する。
【0029】
適切な湿潤剤としては、非排他的に、ポリシロキサン、ポリアクリル酸塩、直鎖状および分枝状ポリアルコキシアレート化合物またはそれらの組合せが含まれる。湿潤剤を添加する場合には、グラビアインキ配合物全体の重量に対して、約0.25重量パーセントから約2重量パーセント、好ましくは約0.5重量パーセントから約1重量パーセント添加する。
【0030】
適切なワックスには、非排他的に、ポリエチレンワックス、ポリアミドワックス、テフロン(登録商標)ワックス、カルナウバワックスまたはそれらの組合せが含まれる。ワックスを添加する場合には、約0.1重量パーセントから約1重量パーセント、好ましくは約0.25重量パーセントから約0.5重量パーセント添加する。
【0031】
適切なタルクには、非排他的に、メディアン径(dp50)が、約0.8から約2.4ミクロンのものを含まれる。タルクを添加する場合には、約2重量パーセント以下、好ましくは約0.5重量パーセントから約1重量パーセント添加する。
【0032】
適切な界面活性剤には、非排他的に、両性界面活性剤、例えば、アルコキシル化化合物、ピロリドン化合物、ポリアクリルポリマーまたはそれらの組合せが含まれる。界面活性剤を添加する場合には、約0.5重量パーセントから約3重量パーセント、好ましくは約0.2重量パーセントから約1重量パーセント添加する。
【0033】
適切なレオロジー調整剤には、非排他的に、分子量の範囲が約6,000から約900,000の尿素系ポリマー粒子、ポリウレタンまたはポリビニルピロリドン樹脂が含まれる。レオロジー調整剤を添加する場合には、約0.2重量パーセントから約5重量パーセント、好ましくは約0.2重量パーセントから約2重量パーセント添加する。
【0034】
適切なシリカには、非排他的に、表面積が約50から約800m2/gのヒュームドシリカまたは非晶質シリカゲルが含まれる。シリカを添加する場合には、約0.5重量パーセントから約3重量パーセント、好ましくは約0.5重量パーセントから約2重量パーセント添加する。
【0035】
適切なシリコーンには、非排他的に、ポリシロキサンおよびそれらの誘導体が含まれる。シリコーンを添加する場合には、約0.2重量パーセントから約2重量パーセント、好ましくは約0.2重量パーセントから約1重量パーセント添加する。
【0036】
適切な分散剤には、非排他的に、プロピレンおよびエチレンオキシドポリマー誘導体、ポリシロキサン化合物、スチレン無水マレイン酸およびアクリル樹脂が含まれる。分散剤を添加する場合には、約0.5重量パーセントから約20重量パーセント、好ましくは約0.5重量パーセントから約3重量パーセント添加する。
【0037】
適切な脱気剤には、非排他的に、ポリシロキサン誘導体およびポリアルコシキレートが含まれる。脱気剤を添加する場合には、約0.1重量パーセントから約0.7重量パーセント、好ましくは約0.1重量パーセントから約0.4重量パーセント添加する。
【0038】
グラビアインキ配合物は、基本的に、有機溶媒、無機溶媒、アミンおよび光開始剤等の揮発性有機化合物を一切含まない。これらの望ましくない成分が存在すると、層の表面張力が高くなり、空気が取り込まれ、印刷物にバラツキが生じ、層の発泡が起こり、層の粘度を調整できなくなり、蒸発ロスも生じてしまう。これらの揮発性成分が存在する場合、常に温度を管理し、粘度を監視することが必要となる。さらに、これらの揮発性成分が存在すると、基材の表面に高速での一貫した塗布が不可能になる。インキおよびコーティングの流動性は、任意の添加溶媒からではなく、エチレン系不飽和成分からのみ生じる。グラビアインキは、有機溶媒、無機溶媒、アミンおよび光開始剤が、実質的に存在していないことが好ましい。最大10重量パーセントまでの揮発性成分を許容することができるが、揮発性成分は1重量パーセント未満であることが好ましく、0重量パーセントであることがより好ましい。1つの実施形態において、インキが含有する揮発性成分は約50ppb(parts per billion)またはそれ以下とする。本発明のグラビア印刷インキは、場合によって、インキ希釈剤として、有機溶媒、例えば、イソプロピルアルコール、アセトンまたは類似のその他の溶媒を少量含有してもよいが、好ましい実施形態において、グラビア印刷インキにおける有機溶媒、無機溶媒、アミンおよび光開始剤の含有量はトータルで約0重量パーセントである。
【0039】
当技術で周知の通り、凹版グラビア型アニロックス印刷ローラーを使用して、基材上に多色画像を形成するために、インキは、順次に画像状に(imagewise)塗布される。個々のインキ層は、アニロックスローラーから、印刷対象となる基材、例えば、紙、合成紙、板紙、金属箔、不織材料、またはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニルまたはそれらポリマーの組合せ等の材料であるポリマーフィルム等の表面に転写される。
【0040】
本発明では、画像状に塗布されるとは、各インキを最終画像の着色画像部分として塗布することを意味し、最終画像では、非着色の非画像領域は、着色画像部分と着色画像部分との間に存在する。したがって、多色画像では、着色されたドットの配列によって、各画像層が形成され、非着色のインク付けされていない非画像領域は、各層のドットとドットとの間に存在する。したがって、典型的な4色画像の場合、非着色領域によって区切られたマゼンタドットの配列、非着色領域によって区切られたシアンドットの第2の配列、非着色領域によって区切られたイエロードットの配列および非着色領域によって区切られたブラックドットの配列が存在する。これらの4色のドット配列を統合することにより、最終的な印刷画像が得られる。したがって、全ての着色層には、画像領域および反対の非画像領域の両方がなくてはならない。着色層は不連続な全着色層ではない。
【0041】
本発明に適した特性を備えた、様々な他の有機プラスチック基材を利用することが可能である。具体的な例としては、セルロース誘導体、例えば、硝酸セルロース、酢酸セルロース、再生セルロース、ならびにエチルセルロースおよびメチルセルロース等のセルロースエーテルや、ポリスチレン等のポリスチレンプラスチック、ならびにo−、m−およびp−メチルスチレン等の様々な環置換スチレン、ならびにその他の環置換スチレン、ならびにアルファ−、メチル−およびエチルスチレン等の側鎖置換スチレン、ならびに種々のその他の重合可能および共重合可能なビニリデンのポリマーおよびコポリマーや、様々なビニルポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリビニルブチラールおよびその他のアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルおよびその加水分解生成物、ポリ塩化ビニル−アセテートコポリマーや、アクリル系樹脂、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリルアミド、メチロールアクリルアミドおよびアクリロニトリルのポリマーおよびコポリマー、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリールエーテルケトン、ポリウレタン、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、COC(環状オレフィン系コポリマー)、ポリオキシメチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレン、ポリエチレン、エチレン/テトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステルおよび不飽和修飾ポリエステル樹脂、例えば、ポリカルボン酸の多価フェノールによる縮合により作られる物または不飽和カルボン酸を使用して改質され、さらにアルキドを別のモノマーと反応させることにより改質される物等や、アリルジグリコールカーボネートのポリマーが含まれる。実用基材には、ニトロセルロース、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、アクリル、アミド、ビニルまたはそれらの組合せが含まれる。好ましい基材には、ポリエチレンテレフタレートおよびポリプロピレンが含まれる。好ましい実施形態において、基材は実質的に透明、特に赤外線放射に対し実質的に透明になる。基材は、自立フィルムとして、その完全性を維持できるのに少なくとも十分な厚さを有する。1つの実施形態において、基材は、約5μmから約700μm、好ましくは約12μmから約100μm、より好ましくは約10μmから50μmの厚さを有する。
【0042】
順次に塗布されるグラビアインキの各画像層は、独立に、約1μmから約3μmの厚さを有する。グラビアインキの各画像層は、基材または直前のインキ層に、その硬化されていない形で塗布され、各印刷ステーションで乾燥されてから、乾燥機、通常は強制熱風乾燥機を通じて、次のインキ層が塗布される。このような乾燥は、赤外線ランプまたは類似のその他の熱源により実施することができる。これは、通常、乾燥オーブンまたはオーバーヘッド乾燥機によって、約70°Fから約302°Fの温度で実施される。一般に、基材には、最小で2つのインキ層が塗布され、より一般には1から約10の追加層が、先刷りのインキ層を介して基材に塗布される。
【0043】
任意ではあるが、トップコートとして、コーティング組成物が、グラビアインキの先刷り画像層の上に塗布されることが好ましい。コーティング組成物は、少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーのいずれか1種、又は2種以上を含み、その層は、着色剤を除く(ただし着色成分は除外しない)、前述のインキ成分から成る。有用なトップコート用組成物としては、ニュージャージー州ヒルズボロのIdeOn,LLC社製のInno−Coat EBコーティングが挙げられる。このようなトップコートの目的は、マットもしくは艶出し仕上げ等の見た目の美しさ、または、例えば、湿気もしくは気体に対する障壁等の機能性の提供、または、完成パッケージの表面の潤滑性の調整、または導電性の調節、光反射性もしくはUV防護等が考えられる。
【0044】
最上層のコーティング組成物層は、均一フィルムとして、その完全性を維持するのに少なくとも十分なだけの厚さを有する。1つの実施形態において、最上層のコーティング組成物層は、約0.1μmから約2μm、好ましくは約0.5μmから約1.5μm、より好ましくは約0.7μmから約1.2μmの厚さを有する。場合によって、透明なプラスチックフィルムを先刷りのインキ層にラミネートすることができる。
【0045】
グラビアインキおよび場合によって存在するトップコート組成物層から成る一連の画像層は、次に、電子線照射ステップに回され、全ての層が同時に露光され、エチレン系不飽和成分の二重結合がラジカル重合または架橋されて、乾燥される。インキ層およびコーティング層の電子線硬化によって、食物や低分子化合物の拡散を受けやすいもの等に拡散していく可能性のあるような、低分子量化合物を基本的に全く含まない、高度に架橋されたポリマーフィルムが得られる。
【0046】
電子線硬化型インキおよびトップコート組成物層は、適切な電子線源を使用して、硬化される。適切な電子線源は、マサチューセッツ州ウィルミントンのEnergy Science社、マサチューセッツ州ウィルミントンのAdvanced Electron Beams社、アイオワ州ダベンポートのPCT Engineering System LLCから市販されている。放射線量としても知られている吸収エネルギーの量は、メガラド(MRもしくはMrad)またはキログレイ(kGy)単位で測定され、1Mradは10kGyであり、1kGyは1,000ジュール/キログラムに相当する。電子線放射線量は、基本的に完全な硬化のためには、約10kGyから約40kGyの範囲内でなければならない。電子線に露光されると、エチレン系不飽和成分は、重合または架橋する。前駆体分子は、イオン化する電子線により直接励起される。したがって、開始剤化合物は必要とされないので、開始剤化合物等に含まれるような残留揮発性有機化合物が、最終生成物に存在することがない。さらに、硬化はほぼ即時であるため、硬化率は100パーセントまたはほぼ100パーセントとなる。
【0047】
図1に、4色EBグラビア印刷プレス機を示す。この工程において、印刷されていない基材1は、一連のインプレッションシリンダー(圧胴)2を通過した後、グラビア印刷用シリンダー3、温風乾燥機4、インキ壺5およびドクターブレード6、EB硬化ユニット7を通過し、印刷された基材8を生じさせる。
【0048】
図2に、インラインEBコーティング装置を有する、4色EBグラビア印刷プレス機を示す。この工程において、基材1は、一連のインプレッションシリンダー2を通過した後、グラビア印刷用シリンダー3、温風乾燥機4、インキ壺5およびドクターブレード6を通過する。次に基材は、コーティングインプレッションシリンダー9、プレート10、アニロックスローラー11、コーティング室12およびEB硬化ユニット7を通過し、印刷された基材8を生じさせる。
【0049】
図3に、インラインEBコーティング装置およびラミネーターを有する、4色EBグラビア印刷プレス機を示す。この工程において、印刷されていない基材1は、一連のインプレッションシリンダー2を通過した後、グラビア印刷用シリンダー3、温風乾燥機4、インキ壺5およびドクターブレード6を通過する。次に基材は、コーティングインプレッションシリンダー9、プレート10、アニロックスローラー11、コーティング室12を通過する。次に基材は、ロール13からの透明プラスチックフィルムにラミネーティングローラー14および最後にEB硬化ユニット7によって接着され、印刷された基材8を生じさせる。
【0050】
次の非制限的な例は、本発明を説明するためのである。
【0051】
実施例1から8:以下のインク組成物は、以下のテストプロトコルにより配合され、テストされる。選択した水性樹脂分散液を顔料分散液と混合した後、湿潤添加剤、消泡剤および脱気剤を適宜組合せ、混合物に添加することにより、グラビアインキを調製する。調製したグラビアインキを、ポリエステルフィルムの上に塗布し、周囲条件にて乾燥する。耐薬品性は、インキ表面をIPA(イソプロパノール)に浸した綿棒で擦ることにより、判定する。インク層が分断されるのに要するラビングの回数が、耐薬品性の目安となる。次に、乾燥したインクを100kVのEBでEB照射する。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例9:個別のグラビア印刷ステーションにおいて1度に1色ずつ、500フィート/分で移動し、実施例1、2、3および4に従って、イエロー、レッド、ブルーおよびブラックのインキを、選択された印刷用画像パターンで、ペーパーウェブに転写する。紙表面への転写後、ペーパーウェブが個々の印刷ステーションから印刷ステーションへと移動する間、各色は、150°Fに設定されたステーション間の乾燥機にあてられる。多色印刷画像の形成が完了すると、ウェブは、EB照射線量100kV、30kGyに設定された電子線ユニットを通過する。EB照射を受けた後、インキは、印刷画像を形成し、急速なラジカル重合を経て、印刷画像の改善された機械的摩耗特性および耐薬品性を得る。
【0054】
実施例10:EB照射の前に、実施例9に従って形成された印刷画像に、IdeOn LLC社製EB硬化性コーティング、EC13HFを使用してコーティングを施す。コーティングをインキの上に転写後、ウェブに、100kV、30kGyでEBを照射し、BYK社製の光沢測定器で60°の角度において、80から90の光沢レベルを有する、硬く、光沢のある画像が形成される。
【0055】
実施例11:EB照射の前に、IdeOn LLC社製のEBラミネーション接着剤ELA10を、実施例9に従って形成された印刷画像の上に塗布する。EB接着剤で被覆された印刷画像を備えたペーパーウェブは、2つのラミネーティングローラーの間で、2つのウェブ、紙および透明フィルムを一緒にプレスすることにより、AET社製の透明な24ミクロン厚のポリプロピレンフィルムと接触させる。隣接し合うウェブは、ポリプロピレンフィルムが上側に配置された状態でEB硬化ユニットを通過し、100kV、30kGyでEB照射を受ける。得られるラミネート構造体は、紙とフィルムとの間に非常に緊密な結合を有し、それらを機械的に分離すると、ラミネート構造体は破壊されることなく、フィルムまたは紙の機械的な引裂きを起こす。
【0056】
実施例12:紙をAET製の50ミクロン厚の白色ポリプロピレンフィルムに交換し、透明ポリプロピレンフィルムをDuPont社製の12ミクロン厚の透明ポリエステルフィルムに交換した、実施例10によるコーティングされた印刷画像。
【0057】
特に好ましい実施形態に関して、本発明を示し、説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を加えることが可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。特許請求の範囲は、開示された実施形態、上に考察した代替形態およびそれらに対する全等価形態を網羅すると解釈すべきであることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る方法によれば、その本来の質を備え、VOCまたは残留溶媒の問題がなく、エネルギー硬化型インキによりもたらされる、関連する改善を全て有するグラビア印刷が可能になる。
【符号の説明】
【0059】
1 基材
2 インプレッションシリンダー(圧胴)
3 グラビア印刷用シリンダー
4 温風乾燥機
5 インキ壺
6 ドクターブレード
7 EB硬化ユニット
8 印刷された基材
9 コーティングインプレッションシリンダー
10 プレート
11 アニロックスローラー
12 コーティング室
13 ロール
14 ラミネーティングローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)水分散性顔料と、
b)十分な電子線放射を当てることにより重合可能または架橋可能な、水分散性のエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーのいずれか1種、又は2種以上と、
c)消泡剤と、
d)成分a)、b)およびc)と分散液を形成するのに十分で、その分散液の粘度が約25cps(センチポアズ)から約200cps(センチポアズ)となる水と、
の混合物を含むグラビア印刷インキ。
【請求項2】
有機溶媒、無機溶媒、アミンおよび光開始剤の全含有量が1重量%未満である、請求項1に記載のグラビア印刷インキ。
【請求項3】
以下のステップを含む印刷方法。
I.グラビア印刷インキの画像層を基材の表面に塗布するステップであって、前記グラビア印刷インキが、
a)水分散性顔料と、
b)十分な電子線放射を当てることにより重合可能または架橋可能な、水分散性のエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーのいずれか1種、又は2種以上と、
c)消泡剤と、
d)成分a)、b)およびc)と分散液を形成するのに十分で、その分散液の粘度が約25cps(センチポアズ)から約200cps(センチポアズ)となる水と、
の混合物を含むステップ。
II.続いて、基材上のグラビア印刷インキの画像層を乾燥するステップ。
III.その後、グラビア印刷インキの前記画像層を、十分な電子線放射に露光することにより、前記画像層中のエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーのいずれか1種、又は2種以上の重合または架橋を起こすステップ。
【請求項4】
ステップIIIを実施する前に、ステップIおよびIIをさらに1回または複数回順次に実施するステップをさらに含む請求項3に記載の方法であって、
前記さらに実施するステップが、乾燥したグラビア印刷インキの先刷り画像層および基材の同一表面上に、別のグラビア印刷インキの画像層を塗布するステップであり、
前記別のグラビア印刷インキが、
a)水分散性顔料と、
b)十分な電子線放射を当てることにより重合可能または架橋可能な、水分散性のエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーのいずれか1種、又は2種以上と、
c)消泡剤と、
d)成分a)、b)およびc)と分散液を形成するのに十分で、その分散液の粘度が約25cps(センチポアズ)から約200cps(センチポアズ)となる水と、
の混合物を含む方法。
【請求項5】
ステップIおよびIIが、グラビア印刷インキの先刷り画像層の上に、グラビア印刷インキの追加の画像層1〜約10層を塗布することにより実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ステップIおよびIIの後であって、ステップIIIの前に、コーティング組成物を乾燥したグラビア印刷インキの画像層の全面に塗布するステップをさらに含む請求項3に記載の方法であって、
前記コーティング組成物が、十分な電子線放射を当てることにより重合可能または架橋可能な、水分散性のエチレン系不飽和モノマー、エチレン系不飽和オリゴマーまたはエチレン系不飽和ポリマーのいずれか1種、又は2種以上を含む方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−222580(P2010−222580A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51778(P2010−51778)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(510065768)イデオン エルエルシー (2)
【出願人】(510065779)
【Fターム(参考)】