説明

放射線硬化性アクリラート組成物

放射線硬化性アクリラート組成物は、a)アクリラート基当り少なくとも約400の数平均分子量を有し、約40℃より高くないTgを有する、少なくとも一つのウレタンポリアクリラート;b)少なくとも約50℃のTgを有する、少なくとも一つの架橋ポリアクリラート;c)少なくとも一つの疎水性モノアクリラート;および、d)少なくとも一つの光開始剤、を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、とりわけ光学的データ記憶媒体用の保護コーティングを生成するのに適切な放射線硬化性アクリラート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光学的データ記憶媒体、例えばコンパクトオーディオディスク(CD)、ディジタルバーサタイルディスク(DVD)、さらに最近の高解像度ディジタルバーサタイルディスク(HD DVD)およびブルーレイディスク(BD;Blu−ray disc)(ディスクに読み書きするために使用される青紫色レーザーにちなんでそのように命名された)において、データ記憶密度が増加するにつれて、透明な、つまり光透過性のディスクの層に対する性能の要求は、ますます厳格になりつつある。革新的に短くなる読み書きの波長を使った光ディスク、特に前述のBDは、重要な開発努力の対象になっている。BDは、数年の内にビデオテープと低データ記憶密度のDVDとを駆逐すると予想される。BDフォーマットは、さらにコンピューターのデータ記憶および高解像度映画のための光学的基準になるであろう。
【0003】
典型的な光ディスクは、比較的厚い円盤状の熱可塑性樹脂基板、金属の反射層、データ層および透明な保護層を含む。BDの場合には、保護層は単層型または二重層型であってよいが、両タイプの全厚さは約100μmである。
【0004】
二重層構造では、97μmの第1透明層はデータ層の上に形成され、続いて第1透明層の上に3μmの第2透明ハードコート層が形成される。97μmの第1透明層は耐摩耗性または耐引っかき性の特性を備えないが、3μmの第2透明層はこれらの必要とされる特性を備えるように意図される。
【0005】
上述の二重層構造から、耐摩耗性と耐引っかき性の特性を備える単層保護コーティングへの移行は、ディスク組立工程を著しく単純化するという理由から望ましいであろう。
【0006】
耐摩耗性と耐引っかき性は、硬化(すなわち、重合)プロセスの間に高度に架橋する放射線硬化性アクリラート組成物から透明な保護層を形成することによって、通常は達成することができる。しかしながら、重合体を生ずるほとんどの組成物は、重合のときに収縮を起こしてしまう。硬化された保護コーティングの収縮は、それと基板との間に応力を生じさせ、その結果ディスクをチルト(反り、tilt)させる。取り込まれるデータ密度が高く、レーザー光線に必要な精度が要求されるために、特にBDの場合には、過度のチルトは回避されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、その組成物の硬化のあとで、CD、DVD、HD DVD、およびBDのような光学的データ記憶媒体用の透明な保護コーティングを提供し、硬化の間に最小限しか収縮せず、外界温度が変動しても寸法が安定したままであり、それゆえ過度のチルトを回避し、一方で高いレベルの耐摩耗性と耐引っかき性を示す、放射線硬化性アクリラート組成物を提供することである。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、その組成物の硬化のあとで、前述の光学的データ記憶媒体用に低モジュラスの、そして有利にも高弾性の透明な保護コーティングを提供する放射線硬化性アクリラート組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上述の目的とその他の目的に従って、下記を含有する放射線硬化性アクリラート組成物が提供される:
a)アクリラート基当り少なくとも約400の数平均分子量を有し、約40℃より高くないTgを有する、少なくとも一つのウレタンポリアクリラート;
b)少なくとも約50℃のTgを有する、少なくとも一つの架橋ポリアクリラート;
c)少なくとも一つの疎水性モノアクリラート;および
d)少なくとも一つの光開始剤。
【0010】
例えば、紫外(UV)光のような作用光に露光することによって硬化される時、上述のアクリラート組成物は、重合の間に他と比べてほとんど収縮せず、かなり厳しい極限内における温度および湿度の毎日の変化と季節の変化の間に伸縮を行い、そして金属のような固い物体による摩耗と引っかきに耐性を有する、低モジュラスと高弾性のコーティング提供する。圧力が加えられた時、コーティングは変形しやすく、圧力が取り除かれた時、コーティングは原形を取り戻して引っかき傷を回避する。
【0011】
ここに使用されるように、「アクリラート」の用語は、「アクリラート」官能性および「メタクリラート」官能性を含む。
【0012】
「ポリアクリラート」の用語は、少なくとも二つのアクリラート官能性を有するアクリラート、例えばジアクリラート、トリアクリラート、ジメタクリラート、トリメタクリラートなどを指す。
【0013】
「Tg」の用語は、この用語が適用されるアクリラートから誘導された樹脂のガラス転移温度を指す。したがって、例えば、約40℃より高くないTgを有するという、前述の放射線硬化性アクリラート組成物中のウレタンポリアクリラート(a)についての記述は、少なくとも一つのウレタンポリアクリラート(a)の重合から誘導された樹脂のガラス転移温度が、約40℃より高くないことを意味すると解釈されるべきである。同様に、少なくとも約50℃のTgを有するという、放射線硬化性アクリラート組成物中の架橋ポリアクリラート(b)についての記述は、少なくとも一つの架橋ポリアクリラート(b)の重合から誘導された樹脂のガラス転移温度が、少なくとも約50℃であることを意味すると解釈されるべきである。
【0014】
「硬化性」の用語は、一つもしくはそれ以上の硬化性モノマーを含有する組成物の完全なまたは部分的な硬化、例えば少なくとも組成物の「グリ−ン」強度までの硬化を意味するとここで解釈されるべきであり、この硬化は、既知で汎用の手順に従って、任意の適切な手段、例えば熱硬化、UV、電子ビームなどによる硬化によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明による放射線硬化性アクリラート組成物から形成された透明な保護コーティング層を有する、光学的データ記憶媒体の一つの実施態様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示されるように、光学的データ記憶媒体10は、少なくとも一つの基板層20、少なくとも一つのデータ層30、少なくとも一つの反射層40、および少なくとも一つの透明な、すなわち光透過性の保護層50を含むいくつかの層から構成される。
【0017】
本開示の文脈では、典型的な光学的データ記憶媒体は、多くの高分子成分を有し、これらは一般には所定の厚さで、水平な積層に一体化され、厚さの特定な値は、データ記憶媒体の特性および要求に依存する。光学的データ記憶媒体の主な成分は、基板層(図1の構成要素20)である。この基板層は、典型的には熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの要素を含有する高分子材料から作られる。付加重合体および縮合重合体の両方とも基板層に適している。
【0018】
ここに使用されるように、当該技術分野で熱可塑性樹脂とも呼ばれる「熱可塑性重合体」の用語は、加熱された時に柔らかくなり、冷却された時に硬くなるという挙動を繰り返す、巨大分子の構造を有する物質として定義される。実例となる類の有用な熱可塑性の重合体は、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ビニル樹脂、ナイロン、およびフッ素樹脂を含む。
【0019】
ここに使用されるように、当該技術分野で熱硬化性樹脂とも呼ばれる「熱硬化性重合体」の用語は、圧力下で最初に加熱された時に固化し、本来の特性を壊してしまうこと無しに再溶融されるか、または再成形されることが出来ない物質として定義される。実例となる類の有用な熱硬化性重合体は、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂および尿素樹脂を含む。
【0020】
有用な熱可塑性重合体の例は、オレフィンから誘導された重合体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびそれらの共重合体)、ポリメチルペンタン;ジエンから誘導された重合体(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびそれらの共重合体)、不飽和カルボン酸およびその官能性誘導体(例えば、ポリ(アルキルアクリラート)、ポリ(アルキルメタクリラート)、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、およびポリアクリル酸のようなアクリル重合体)、アルケニル芳香族重合体(例えば、ポリスチレン、ポリ−アルファ−メチルスチレン、ポリビニルトルエン、およびゴムで修飾されたポリスチレン)、ポリアミド(例えば、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−1,1、およびナイロン−1,2)、ポリエステル;ポリケトン;ポリカーボネート;ポリエステルカーボナート;芳香族ポリエーテル、ポリアリーレンエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルアミドのようなポリエーテル;ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリスルフィドスルホン;および液晶重合体を含む。一つの実施態様において、基板層は熱可塑性ポリエステルを含有する。熱可塑性ポリエステルの適切な例は、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタラート、ポリ(1,3−プロピレンテレフタラート)、ポリ(シクロヘキサンジメタノールテレフタラート)、ポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタラート)、ポリ(エチレンナフタラート)、ポリ(ブチレンナフタラート)、およびポリアリーラートを含むが、これらに限定されない。例えば、基板層は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリラート、ポリケトン、ポリアミド、芳香族ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、およびそれらの任意の組み合わせを含有してよい。
【0021】
他の実施態様において、基板層は、熱可塑性エラストマーのポリエステル(TPE)を含有する。ここに定義されるように、熱可塑性エラストマーは、熱可塑性物質として加工することができるが、さらに汎用の熱硬化性樹脂の特性のうちのいくつかを有する物質である。熱可塑性エラストマーのポリエステルの適切な例は、ポリエーテルエステル、ポリ(アルキレンテレフタラート)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(ブチレンテレフタラート)、ポリ(アルキレンオキシド)のソフトブロックセグメント、特にポリ(エチレンオキシド)とポリ(ブチレンオキサイド)とのセグメントを含むポリエーテルエステル、芳香族ジイソシアナートとジカルボン酸との縮合によって合成されるようなポリエステルアミド、および、カルボン酸末端基を有する任意のポリエステルを含む。
【0022】
場合によっては、基板層は、少なくとも一つの誘電体層、少なくとも一つの絶縁層、またはそれらの任意の組み合わせを含んでよい。この誘電体層は、しばしば熱制御のために使用されるが、典型的には約200Åと約1,000Åの間の厚さを有する。適切な誘電体層は、窒化物層(例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム)、酸化物層(例えば、酸化アルミニウム)、炭化物層(例えば、炭化ケイ素)、および、これらの少なくとも一つと、周囲の層とは反応しない任意の融和性物質とを含有する任意の組み合わせ、を含む。
【0023】
典型的な光ディスクは、少なくとも一つのデータ層(図1の構成要素30)を含む。このデータ層は、光学層または磁気光学層のような光学的に取得可能なデータを記憶することができる任意の物質で作製してよい。典型的なデータ層の厚さは約600Åまでであってよい。一つの実施態様において、データ層の厚さは約300Åまでであろう。データ記憶媒体上に記憶される情報は、データ層の表面上に直接刻印するか、または基板層の表面上に蒸着された媒体に記憶させることができる。適切なデータ記憶層は、典型的には、酸化物(例えば、酸化ケイ素)、希土類元素−遷移金属合金、ニッケル、コバルト、クロム、タンタル、白金、テルビウム、ガドリニウム、鉄、ホウ素、有機染料(例えば、シアニン型またはフタロシアニン型の染料)、無機の相転移化合物(例えば、TeSeSnまたはInAgSb)、および、これらの物質の少なくとも一つを含有する任意の合金または任意の組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも一つの物質からできている。
【0024】
反射金属層(図1の構成要素40)は、データ取得を可能にするのに充分なエネルギー量を反射するのに充分な厚さにするべきである。典型的には、反射層は、約700Åまでの厚さを有する。一つの実施態様において、反射層の厚さは約300Åと約600Åの間である。適切な反射層は、アルミニウム、銀、金、チタン、および、これらの金属の少なくとも一つを含有する合金および混合物を含む。
【0025】
透明な保護層(図1の構成要素50)は、本発明による放射線硬化性アクリラート組成物の放射線硬化によって得られる。この放射線硬化性アクリラート組成物は:
a)アクリラート基当り少なくとも約400の数平均分子量を有し、約40℃より高くないTgを有する、少なくとも一つのウレタンポリアクリラート;
b)少なくとも約50℃のTgを有する、少なくとも一つの架橋ポリアクリラート;
c)少なくとも一つの疎水性モノアクリラート;および
d)少なくとも一つの光開始剤、
を含有する。
【0026】
ウレタンポリアクリラート(a)が、生成する樹脂の構造に、他のアクリラート単量体と一緒に化学的に組み込まれると、ここの放射線硬化性アクリラート組成物の硬化のあとで、(a)はいくつかのそこの特性に寄与するが、これは光学的データ記憶媒体の保護コーティングとしての使用には特に望ましい。これらの特性の中には、良好な耐摩耗性、良好な耐引っかき性、低減された収縮、および高い屈曲性がある。
【0027】
ウレタンポリアクリラート(a)は、有利なことに、一つの実施態様において、アクリラート基当り少なくとも約600の数平均分子量を有し、他の実施態様において、アクリラート基当り少なくとも約800の数平均分子量を有し、さらに他の実施態様において、約30℃より高くないTgを有するジアクリラートまたはトリアクリラートである。これらの、そして他の有用なウレタンポリアクリラートは知られており、イソシアナート末端ポリウレタン(それ自体は、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールのような多価アルコールとわずかにモル過剰の有機ポリイソシアナートとの反応から得られる)と、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラートなどのようなヒドロキシ末端アクリラートとの反応によって一般には得られる。イソシアナート末端ポリウレタンと、ヒドロキシ末端アクリラートとの等モル反応を仮定すると、ウレタンポリアクリラート中のアクリラート基の平均数は、イソシアナート末端ポリウレタン中のイソシアナート基の平均数に一致することになる。
【0028】
ここでの使用が特に適切なものは、脂肪族ポリエステル系のウレタンジアクリラートおよびウレタントリアクリラートであり、その多くは、とりわけラーンUS社(Rahn US Corp.)、サートマー社(Sartomer Company, Inc.)、サイテックインダストリーズ社(Cytec Industries, Inc.)、およびボマースペシャルティズ社(Bomar Specialties Co.)のような会社から市販されている。同様に有用なものは、Ebecryl230(約40,000cpsの粘度を有する脂肪族ウレタンジアクリラート)、Ebecryl244(10重量パーセントの1,6−ヘキサンジオールジアクリラートで希釈した脂肪族ウレタンジアクリラート)、Ebecryl284(10重量パーセントの1,6−ヘキサンジオールジアクリラートで希釈した脂肪族ウレタンジアクリラート)で、すべてUCBケミカルズ社(UCB Chemicals)から入手できるものと、CN−963A80(20重量パーセントのトリプロピレングリコールジアクリラートをブレンドした脂肪族ウレタンジアクリラート)、CN−966A80(20重量パーセントのトリプロピレングリコールジアクリラートをブレンドした脂肪族ウレタンジアクリラート)、CN−982A75(25重量パーセントのトリプロピレングリコールジアクリラートをブレンドした脂肪族ウレタンジアクリラート)、およびCN−983(脂肪族ウレタンジアクリラート)で、すべてサートマー社から入手できるもののような、粘度を減少させるために低粘度アクリラートで希釈したウレタンポリアクリラートである。
【0029】
一般に、放射線硬化性アクリラート組成物中のウレタンアクリラート(a)の量は、上述した硬化樹脂に望ましい特性、特に、良好な耐摩耗性、良好な耐引っかき性、低減された収縮、および高い屈曲性を付与するのに充分であろう。
【0030】
架橋ポリアクリラート(b)は、低減された粘着性、高められたガラス転移温度(Tg)、低減されたガス透過性、特に水蒸気透過性を含む硬化樹脂のいくつかの有用な特性を付与するか、または特性に寄与する。特に好結果を与えると分かった架橋ポリアクリラート(b)の類は、一つの実施態様において、アクリラート基当り約400未満の平均分子量を有し、他の実施態様において、アクリラート基当り350未満の平均分子量を有し、さらに他の実施態様において少なくとも約60℃のTgを有する、アルコキシ化されたフェノール性ジアクリラートである。このタイプの特定のジアクリラートは、エトキシ化された(1)ビスフェノールAジアクリラート、エトキシ化された(1)ビスフェノールAジメタクリラート、エトキシ化された(2)ビスフェノールAジアクリラート、エトキシ化された(2)ビスフェノールAジメタクリラート、エトキシ化された(3)ビスフェノールAジアクリラート、エトキシ化された(3)ビスフェノールAジメタクリラート、エトキシ化された(4)ビスフェノールAジアクリラート、エトキシ化された(4)ビスフェノールAジメタクリラートなど、ならびにそれらの混合物を含む。
【0031】
一般に、架橋ポリアクリラート(b)は、第一の実施態様において、全単量体混合物の重量の、約10から約50の重量パーセントのレベルで、第二の実施態様において、約15から約35重量パーセントのレベルで存在してよい。
【0032】
本発明の放射線硬化性アクリラート組成物中の疎水性モノアクリラート(c)は、硬化樹脂の低い水蒸気特性と水分吸収特性にも寄与する。光ディスクでは、水蒸気と水分の浸透を最小化することが特に重要であり、それは水蒸気と水分は反射層の完全性を失わせて、その結果記録されたデータの読み取り可能性を低下させるかもしれないからである。有用な疎水性モノアクリラートは、例えば脂環式(単環式、二環式など)および長鎖脂肪族(例えば、約8から約22の炭素原子の鎖長)の脂肪族アルコールから誘導された疎水性モノアクリラートを含む。有用な疎水性脂環式のモノアクリラート(c)は、イソボルニルアクリラート、シクロヘキシルアクリラート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリラート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリラートなど、およびそれらの混合物を含む。有用な疎水性長鎖脂肪族モノアクリラート(c)は、ヘプチルアクリラート、イソオクチルアクリラート、イソデシルアクリラート、トリデシルアクリラート、ラウリルアクリラートなど、およびそれらの混合物を含む。
【0033】
アクリラート含有組成物の硬化に今までに使用された任意の光開始剤は、光開始剤(d)として使用してよい。使用してよい有用な光開始剤の例は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、および、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトンとジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドとのブレンド物を含む。光開始剤は、放射線硬化性アクリラート組成物の約0.25から約10重量パーセントの量で存在してよく、有利にも約2から約5重量パーセントの量で存在する。
【0034】
放射線硬化性アクリラート組成物の粘度を最終的に決める際には、溶剤または他の非反応性の減粘成分を加えることなく、容易に塗布できる粘度にするべきである。一般に、放射線硬化性アクリラート組成物は、25℃で約500から約5000cps、そして有利にも25℃で約1000から約3000cpsの粘度を有してよい。
【0035】
本発明の放射線硬化性アクリラート組成物は、これから得られる硬化樹脂にさらに補足的な望ましい特性を付与するために、一つもしくはそれ以上の任意成分を含んでよい。特に有用な類の添加剤は、界面活性剤、特にシリコーン界面活性剤およびペルフルオロ界面活性剤であり、これは放射線硬化性アクリラート組成物に加えられた時、指紋に対する抵抗(すなわち、反指紋能力)、他の種類の汚れに対する抵抗、改善された耐摩耗性により増加した滑り、そして改善されたコーティングの均一性または平滑化、のような一つもしくはそれ以上の補足的に望ましい特性を硬化樹脂に付与する。一般に、界面活性剤は、放射線硬化性アクリラート組成物の中に、約0.05から約10重量パーセント、そして有利にも、約0.1から約2重量パーセントのレベルで存在してよい。一つの実施態様において、シリコーンポリエーテル界面活性剤のようなシリコーン界面活性剤を、他の実施態様において、ペルフルオロポリエーテル界面活性剤を、硬化樹脂に反指紋特性を付与するために利用してよい。例えば、ポリエーテル基がポリ(エチレンオキシド)鎖であるシリコーンポリエーテル界面活性剤のSilwet L7657(ゼネラルエレクトリック社;General Electric)、および、援用することにより総ての内容を本明細書の一部としてここに編入する米国特許第5,609,990号公報で開示されたペルフルオロポリエーテルであるZonyl FSN(デュポン社;Du Pont)は、樹脂が光学的データ記憶媒体の透明な保護層として機能する時に、特に望ましい特性である反指紋能力を硬化樹脂に与えるために上述された量の範囲内で利用してよい。
【0036】
本発明の放射線硬化性アクリラート組成物から得られる硬化樹脂は、光学的データ記憶媒体の保護コーティングとして機能することを可能にする透明度のレベルを有する。したがって、例えば、硬化されたアクリラートコーティングは、紫外−可視分光計によって測定すると、第一の実施態様において少なくとも約90パーセント、そして第二実施態様において少なくとも約95パーセントの透明度を示す。
【0037】
この硬化樹脂は、特徴的に低いモジュラスを示し、これは引張りモジュラスが約500MPaより大きくなく、有利にも約250のMPaより大きくないと理解される。他の実施態様において、硬化樹脂は高い弾性も示すが、これは破断時の伸びが、少なくとも約10パーセント、有利にも少なくとも約25パーセントであると理解される。
【0038】
硬化樹脂の他の有用な特性は、収縮が約8パーセント未満、有利にも約5パーセント未満であり、後述するテーバー摩耗試験によるヘーズの変化によって測定される耐引っかき性が約5パーセント未満、有利にも約2パーセント未満であり、そしてTgが約20から約60℃、有利にも約35から約50℃であることを含む。
【0039】
硬化樹脂のさらに他の望ましい特性は、水分吸収度(水吸収)が約1.5重量パーセントより大きくなく、グリセロールトリオレアートの接触角が少なくとも約30°、有利にも少なくとも約45°であり、表面抵抗率が約1×10−14オームより大きくなく、加速老化試験後の反射率の変化が約20パーセント未満、有利にも約10パーセント未満であり、そして加速老化試験前と後の相対的な複屈折が約20未満、有利にも約15未満であることを含む。
【0040】
光学的データ記憶ディスクの透明な保護層として使用される時、硬化樹脂層は、既知で汎用の任意の手順を使用してディスク上に形成してよい。一つの実施態様において、硬化樹脂層は、スピンコーティングの既知の手順を使用して所定の厚さまでディスクに放射線硬化性コーティング組成物をコーティングし、そしてスピンコーティング操作中または操作後のある時点で、硬化を達成する条件下で、組成物を放射線、例えばUV光で露光することによって得られる。一つの実施態様において、放射線硬化性組成物は、約1から約30秒の間、約500から約3000rpmの回転速度を使用してディスク表面に塗布され、その後に硬化される。典型的な硬化操作は、1.384−2.8W/cmの範囲の設定強度と0.304−2J/cmの線量のFusion DバルブまたはHバルブ、またはキセノン閃光電球の使用を含む。
【0041】
透明な保護層の厚さは、適用される基板の性質と層の機能的要求とに依存して、かなり広い範囲にわたって変えてよい。光学的データ記憶媒体の場合には、この層の厚さは、特定のタイプのデータ記憶媒体に依存して、約50から約200μmで、そして一般に約70から約120μmで変わる。BDの特別の場合には、透明な保護層の厚さは、約100μmのオーダーになろう。
【0042】
硬化性樹脂の望みの全厚さは、単一操作で、または望みの厚さを二段階もしくはそれ以上で積み重ねる一連のスピンコーティング/硬化サイクルで提供することができる。後者の場合では、次の層を塗布する前に層を部分的にだけ硬化させ、最後の層を堆積したあとで、硬化を完了することが有利な場合がある。本発明では、保護材の最上部の部分(例えば、保護材の最上部の2−10μm)だけを得るために、放射線硬化性アクリラート組成物を使用することも考慮され、保護材の大部分には、光ディスクの透明な保護コーティングを与えると今まで知られている任意の放射線硬化性組成物が提供される。
【0043】
光学的データ記憶媒体の表面にアクリラート硬化性コーティング組成物を塗布するために使用される技術とは関係なく、そして特にBDのような高解像度光ディスクの場合には、コーティングされた組成物の高度に均一な厚さを維持することが望ましく、それゆえに、生成する硬化樹脂の厚さを維持することが望ましい。一つの実施態様において、コーティングの均一性は、全平均コーティング厚さの約5パーセント以内、有利にも約3パーセント以内であるべきである。
【0044】
本発明による透明な保護層を有する光学的データ記憶ディスクは、有利にも、(1)加速老化試験後のチルトの変化の絶対値が、55mmの半径で測定したときに約0.8°未満で、有利にも0.5°未満であり、(2)湿度ショック試験後のチルトの変化の絶対値が、55mmの半径で測定したときに約0.8°未満で、有利にも0.5°未満であり、(3)熱ショック試験後のチルトの変化の絶対値が、55mmの半径で測定したときに約0.8°未満で、有利にも0.5°未満であることをさらに示す。
【実施例】
【0045】
下記の実施例において、実施例1−9は、本発明の例証であるが、一方比較例1および2(親水性のモノアクリラート単量体の使用を示す)は、本発明の範囲の外にある。すべての実施例で、一連のUV硬化性アクリラート組成物を調製し、ポリカーボネートOQ1030(GEプラスチックス社;GE Plastics)またはNoryl EXNL0090(GEプラスチックス社)から成形された半径60mmのディスク基板上にスピンコートした。これらの基板と、銀合金をスパッタした基板の両方をコーティングに使用した。コーティングの厚さは約l00μmに調節した。スピンコーティングの条件は、硬化性組成物の粘度に基づいて変更した。典型的なスピンコート条件では、ディスクの内径(ID)に硬化性組成物を供給し、1秒で約2000rpmに加速し、3秒間この速度に保った。硬化性組成物は、D型ランプを備えたキセノン社(Xenon)のRC−747パルスUVシステム(RC−747 pulsed UV system)を使用して、典型的には2秒間で硬化させた。
【0046】
硬化樹脂コーティングの半径偏差(radial deviation)と反射率とは、ドクターシェンク社のPROmeteus MT−200/Blu−ray装置を使用して測定した。ディスクがコーティング側で凹面の場合、負の半径偏差が生じ、ディスクがコーティングしてない側で凹面の場合、正の偏差が生じる。
【0047】
加速老化試験では、ディスクを1.7mmのID、3.0mmのODのスピンドル上でコーティング側を下にして積み重ね、各ディスク間にテフロン製ワッシャーを挿入した。ディスクを、以下の温度および湿度プログラムを採用する湿度室に置いた:(1)25℃から80℃へと、そして50%の相対湿度(RH)から8%のRHへと、2時間で変化させる;(2)80℃で、85%のRHへと2時間で変化させる;(3)80℃、85%のRHで96時間;(4)80℃で、50%のRHへと2時間で変化させる;(5)80℃、50%のRHで6時間;(6)25℃、50%のRHへと、2時間で変化させる;(7)25℃、50%のRHで36時間。チルトと反射率の変化をドクターシェンク社の測定装置を使用して記録した。
【0048】
保護層上についた指紋が原因でディスクの金属層が腐食されるか否か試験するために、明白に認識できる指紋がディスク表面上に残るように、保護層を約1秒間親指で強く押して、五つの指紋をディスク上に作った。ディスクを次に、上述の80℃、85%のRHの老化試験にかけた。湿度室から取り出した後に、ディスクを分析し、指紋がある領域の下の金属層で腐食が観察されるか否かを判断した。下にある金属層で観察できる腐食を呈する指紋の数を記録した。
【0049】
爪引っかき回復試験は以下のように実施された。親指の爪を使って保護コーティングに深い跡を作った。次に、この部分を清潔に拭いて、爪跡を観察して引っかき傷がもはや目に見えなくなるのに要する分を決定した。許容しうる引っかき回復時間は2分未満であり、好ましい回復時間は1分未満である。
【0050】
実施例1
UV硬化性アクリラート組成物は、Genomer4316(52.0部、ラーンUSA社(Rahn USA)から入手可能)、エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリラート(30.0部)、Irgacure184(2.0部、チバ社(Ciba)から入手可能)、Genocure TPO(0.2部、ラーンUSAから入手可能)、Silwet L7657(0.25部、GE社から入手可能)およびイソデシルアクリラート(15.5部)を組み合わせ、均一に混合することにより調製した。この組成物を銀被覆ノリルディスク(Noryl disc)上にコーティングし、上に記述されたように80℃、85%のRHで老化させた。
【0051】
実施例2
イソデシルアクリラートの代わりに、イソボルニルアクリラートを使用する以外は、実施例1と同様に、UV硬化性アクリラート組成物を調製し、コーティングした。
【0052】
実施例3
Irgacure184の2重量%の代わりに、Irgacure184の1.5重量%を使用し、そしてイソデシルアクリラートの代わりに、イソデシルアクリラート50重量%とフェノキシエチルアクリラート50重量%との、疎水性が優位なブレンド物を使用する以外は、実施例1と同様に、UV硬化性アクリラート組成物を調製し、コーティングした。
【0053】
実施例4
Irgacure184の2重量%の代わりに、Irgacure184の1.5重量%を使用し、そしてイソデシルアクリラートの代わりに、イソデシルアクリラート75重量%と2−フェノキシエチルアクリラート25重量%との、疎水性が優位なブレンド物を使用する以外は、実施例1と同様に、UV硬化性アクリラート組成物を調製し、コーティングした。
【0054】
実施例5
イソデシルアクリラートの代わりに、イソボルニルアクリラート50重量%とイソデシルアクリラート50重量%とのブレンド物を使用する以外は、実施例1と同様に、UV硬化性アクリラート組成物を調製し、コーティングした。
【0055】
実施例6
イソデシルアクリラートの代わりに、イソボルニルアクリラート25重量%とイソデシルアクリラート75重量%とのブレンド物を使用する以外は、実施例1と同様に、UV硬化性アクリラート組成物を調製し、コーティングした。
【0056】
比較例1
イソデシルアクリラートの代わりに、等重量のテトラヒドロフルフリルアクリラート(疎水性モノアクリラート)を使用する以外は、実施例1と同様に、UV硬化性アクリラート組成物を調製し、コーティングした。
【0057】
比較例2
イソデシルアクリラート50重量%と2−フェノキシエチルアクリラート50重量%とのブレンド物の代わりに、2−フェノキシエチルアクリラート100重量%を使用する以外は、実施例3と同様に、UV硬化性アクリラート組成物を調製し、コーティングした。
【0058】
実施例1−8のコーティングされたディスク上で行なった上述の試験の結果を、下の表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
表1の試験データが示すように、個々のモノアクリラートを用いて、または性質が完全に疎水性であるか、少なくとも疎水性が優位であるモノアクリラートのブレンド物を用いて調製された実施例1−6の硬化樹脂は、指紋腐食試験に合格したが、一方、疎水性モノアクリラートを用いて調製されたものは試験に合格しなかった。
【0061】
下記の実施例7−9では、コーティングを施したディスクの製作および試験は、特に注記がない限り上述の一般手順に従った。
【0062】
表面抵抗率は、Electro−tech Systems社製の抵抗/抵抗率測定器Model803BおよびKeithley8487ピコアンメータを使用して、ポリカーボネート製ディスク上の約100μmの厚さの硬化された組成物について測定した。
【0063】
破断時の伸びは、Instron4665を使用して、厚さ100μmの硬化されたコーティングからカットしたダンベル形のサンプルで測定した。サンプルが破壊した時の伸びを、破断時の伸びとして測定した。
【0064】
パーセント光透過率は、透明なポリカーボネート製ディスクにコーティングした厚さ約100μmの硬化された組成物について測定した。コーティングがされていない透明なポリカーボネート製ディスクを測定時に基準として使用した。測定には、Cary500走査型UV−VIS−NIR分光光度計を使用した。
【0065】
熱ショックは、70℃でのコーティングされたディスクのチルト変化を測定することによって行なった。チルトは、ドクターシェンク社のMT−200 PROmeteus測定器を使用して、55mmの平均半径偏差として測定した。初期チルトを測定した後、コーティングされたBDを金属製ラックで垂直に立てて70℃のオーブンに入れた。ディスクをオーブンから取り出し、所定の時間間隔で周囲条件においてチルトを測定した。熱損失を最小化するために、ディスクは測定を行なった後、速やかにオーブン中に戻した。チルト変化を時間の関数として確定するために、多数の測定を行った。70℃で加熱する前のチルトからの最大のチルト変化を、熱ショックとして記録した。
【0066】
湿度ショックは、湿度変化を経た、コーティングされたディスクのチルト変化を測定する。コーティングされたBDは、25℃および90%のRHに設定された湿度室に少なくとも4日間置き、ディスクが水蒸気で充分に飽和されるのを確実にした。ドクターシェンク社のMT−200 PROmeteusによって、半径55mmの平均半径偏差として測定されるディスクのチルトは、ディスクを湿度室から取り出した直後に測定した。チルトは、8時間のあいだ、1時間ごとにモニターした。初期チルトからのチルトの最大の変化を湿度ショックとして記録した。
【0067】
テーバー耐摩耗性は、ASTM D1044−99にしたがって測定した。この測定には、5サイクルにわたって走行する負荷250gのCS−10F摩耗輪を使用した。
【0068】
実施例7
実施例6と同様に調製されたUV硬化性アクリラート組成物を、上述のようにディスク上にスピンコートしたが、回転が停止した後にのみディスクを硬化する代わりに、回転を約400rpmまで遅くし、回転を続けながら250Wのアーク灯を使用してコーティングを部分的に硬化させた。次に回転を停止し、Dバルブを備えたキセノン社(Xenon)のModel RC801露光ユニットからの20パルスの光を使用して、コーティングの硬化を完了した。
【0069】
実施例8
実施例6の調合物100gとFSO100フッ化炭素界面活性剤(デュポン社)0.4gとを含めてUV硬化性アクリラート組成物を調製した。この組成物を実施例1のようにディスク上にコーティングしたが、キセノン社のRC−747パルスUVシステム(pulsed UV system)を使って2秒間(20パルス)で硬化する代わりに、サンプルはDバルブを備えたキセノン社のRC801露光ユニットを利用して30パルスで硬化した。
【0070】
実施例9
実施例7のUV硬化性コーティング組成物を、そこに記述されたようにディスク上にコーティングしたが、ただし、約400rpmで回転させながら、250Wのアーク灯を使用してコーティングを部分的に硬化させると共に、Dバルブを備えたキセノン社RC801露光ユニットを使用して30パルスで硬化を完了させた。
【0071】
実施例7−9の、コーティングを施したディスクの試験結果を、下表2に示した。
【0072】
【表2】

【0073】
本発明は、特定の実施態様によって記載されているが、本発明の範囲から外れることなく、様々な変更を行うことができ、そして等価物をその構成要素と交換できることは、当業者により理解されるであろう。さらに加えて、その本質的な範囲から外れることなく、発明の教示に特定の状況や物質を適用するために多くの修正がなされうる。それゆえ、本発明がこの発明のプロセスを実施するために熟考されたベストモードとして開示された特定の実施態様に制限されるのではなく、本発明が添付した請求項の範囲内に入るすべての実施態様を含む、と意図するものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線硬化性アクリラート組成物であって、:
a)アクリラート基当たり少なくとも約400の数平均分子量を有し、約40℃より高くないTgを有する、少なくとも一つのウレタンポリアクリラート;
b)少なくとも約50℃のTgを有する、少なくとも一つの架橋ポリアクリラート;
c)少なくとも一つの疎水性モノアクリラート;および
d)少なくとも一つの光開始剤、
を含有する、放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項2】
ウレタンポリアクリラート(a)が、アクリラート基当り少なくとも約600の数平均分子量を有するジアクリラートまたはトリアクリラートである、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項3】
前記ウレタンジアクリラートまたはトリアクリラートが、脂肪族ポリエステル系である、請求項2に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項4】
全アクリラート単量体の重量に基づいて約20から約70重量パーセントのウレタンポリアクリラート(a)を含む、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項5】
全アクリラレート単量体の重量に基づいて約40から約60重量パーセントのウレタンポリアクリラート(a)を含む、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項6】
架橋ポリアクリラート(b)が、アクリラート基当り約400未満の分子量を有するアルコキシ化されたビスフェノールAジアクリラートである、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項7】
前記ビスフェノールAジアクリラートが、約1から約6までのエトキシラート単位を含む、請求項6に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項8】
全アクリラート単量体の重量に基づいて約10から約50重量パーセントの架橋ポリアクリラート(b)を含む、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項9】
全アクリラート単量体の重量に基づいて約15から約35重量パーセントの架橋ポリアクリラート(b)を含む、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項10】
疎水性モノアクリラート(c)が、脂環式モノアクリラートおよび長鎖脂肪族モノアクリラートからなる群から選択される少なくとも一つの要素である、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項11】
前記脂環式モノアクリラートが、イソボルニルアクリラート、シクロヘキシルアクリラート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリラート、およびジヒドロジシクロペンタジエニルアクリラートからなる群から選択される少なくとも一つの要素である、請求項10に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項12】
前記長鎖脂肪族モノアクリラートが、ヘプチルアクリラート、イソオクチルアクリラート、イソデシルアクリラート、トリデシルアクリラート、およびラウリルアクリラートからなる群から選択される少なくとも一つの要素である、請求項10に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項13】
全アクリラート単量体の重量に基づいて約5から約30重量パーセントの疎水性単官能性アクリラート(c)を含む、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項14】
全アクリラート単量体の重量に基づいて約10から約20重量パーセントの疎水性モノアクリラート(c)を含む、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項15】
光開始剤(d)が、アルファヒドロキシケトンとアリールホスフィンオキシドとの混合物である、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項16】
約0.5から約5重量パーセントの光開始剤(d)を含む、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項17】
界面活性剤を含む、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項18】
前記界面活性剤が、シリコーン界面活性剤およびペルフルオロ界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一つの要素である、請求項17に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項19】
前記シリコーン界面活性剤がシリコーンポリエーテルである、請求項18に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項20】
前記ペルフルオロ界面活性剤がペルフルオロポリエーテルである、請求項18に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項21】
a)全アクリラート単量体の重量に基づいて約30から約70までの量で少なくとも一つの脂肪族ポリエステル系のポリウレタンジアクリラートまたはポリウレタントリアクリラート;
b)全アクリラートの重量に基づいて約15から約35までの量で少なくとも一つのアルコキシ化されたビスフェノールAジアクリラート;
c)全アクリラート単量体の重量に基づいて約10から約30パーセントまでの量で脂環式モノアクリラートおよび長鎖脂肪族モノアクリラートからなる群から選択される少なくとも一つの疎水性モノアクリラート;
d)少なくとも一つの光開始剤;および
e)任意選択で、少なくとも一つの界面活性剤、
を含有する、請求項1に記載の放射線硬化性アクリラート組成物。
【請求項22】
請求項1に記載の組成物を硬化したアクリル樹脂。
【請求項23】
約500MPaより大きくないモジュラスを有する、請求項1に記載の組成物を硬化したアクリル樹脂。
【請求項24】
約250MPaより大きくないモジュラスを有する、請求項1に記載の組成物を硬化したアクリル樹脂。
【請求項25】
少なくとも約8パーセントの破断時の伸びを有する、請求項22に記載の硬化アクリル樹脂。
【請求項26】
少なくとも約25パーセントの伸び破断点を有する、請求項1に記載の組成物を硬化したアクリル樹脂。
【請求項27】
少なくとも約30°のグリセリントリオレアートの接触角、および約2分未満の指引っかき回復時間を示す、請求項1に記載を組成物の硬化したアクリル樹脂。
【請求項28】
少なくとも約40°のグリセリントリオレアートの接触角、および約1分未満の指引っかき回復時間を示す、請求項1に記載の組成物を硬化したアクリル樹脂。
【請求項29】
請求項21に記載の組成物を硬化したアクリル樹脂。
【請求項30】
約500MPaより大きくないモジュラスおよび少なくとも約8パーセントの破断時の伸び、少なくとも約30°のグリセリントリオレアートの接触角および約2分未満の指引っかき回復時間を有する、請求項29に記載の硬化アクリル樹脂。
【請求項31】
約250MPaより大きくないモジュラスおよび少なくとも約25パーセントの破断時の伸び、少なくとも約40°のグリセリントリオレアートの接触角および約1分未満の指引っかき回復時間を有する、請求項29に記載の硬化アクリル樹脂。
【請求項32】
請求項17に記載の組成物を硬化したアクリル樹脂。
【請求項33】
請求項18に記載の組成物を硬化したアクリル樹脂。
【請求項34】
約8パーセント未満の収縮を示す、請求項1に記載の組成物を硬化したアクリル樹脂。
【請求項35】
約8パーセント未満の収縮を示す、請求項21に記載の組成物を硬化したアクリル樹脂。

【図1】
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【公表番号】特表2009−543936(P2009−543936A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520807(P2009−520807)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/016196
【国際公開番号】WO2008/011026
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】