説明

放射線硬化性混成組成物及び方法

(LCD類)のための明るさ強化材のための高い(n≧1.52)屈折率(RI)保護コーティングを作成するために用いられる混成有機−無機ナノ−複合物を製造するための方法が記載され:その方法は、a)(ZrOのような)無機ナノ−粒子の水溶液を、(酢酸又はメチルエチルケトン(MEK)のような)第1溶媒で希釈して分散液を形成し;b)(1−ベンゾイルアセトン、ジフェニル酢酸、ジフェニルホスホン酸、エチレンメタクリレートホスフェート;2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン又はネオペンチル(ジアリル)オキシトリメタクリルジルコネートのような)表面改良剤を加え;c)表面改良剤とナノ−粒子との間の相互作用を高めるために第1溶媒を除去し;d)(酢酸エチル、トルエン及び水のような)共沸溶媒混合物を用いて繰り返しての希釈及び低いRI不純物及びOH基を除去するための蒸留により、表面改良された親油性ナノ−粒子の得られたスラリを洗浄し;e)混合物に、随意的に光開始剤(PI)と共に、(随意的に臭素化されたエポキシアクリレートのような)放射線硬化性重合体前駆体を加え;そして(f)残留溶媒を除去して表面改良された無機ナノ−粒子と、未硬化重合体前駆体との緊密な混合物を含む固体複合物を形成する、諸工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高い屈折率を有する保護コーティングを造るために使用される放射線硬化性組成物、特に混成(hybrid)有機−無機複合物(composite)の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの光学適用のために、コーティングは高い屈折率を示すことが望ましい。例えば高い屈折率のコーティングは、(またプリズムシートとして知られている)明るさを高めるフィルムとして液晶ディスプレイ(LCD)のような平らなパネルディスプレイに適用される。LCD類に使用される偏光子フィルムはまた高い屈折率の硬いコーティングを必要とする。そのようなコーティングは基板(基材)に改良された保護、例えば引っかき傷に対する改良された抵抗を与えることがまた望ましい。
【0003】
保護コーティングを無機又は有機材料から形成することができる。無機材料(特にナノ寸法の粒子を含有する材料)は、高い抵抗を与えることが知られており、高い屈折率のものから形成されることができる。しかしそれらは真空化学蒸着のような方法を必要とするのでコーティングは複雑で且つ費用がかかるものとなる。有機コーティングは、溶媒をベースとする、水をベースとする、及び/又はUV硬化性である重合体を含むことができる。溶媒を含有しない放射線硬化性コーティングは多くの利点を有し、また高い屈折率の材料を提供することができる。しかしながら、硬化のための件が高いパーセンテージの二重結合転換、高い架橋密度及び良好な表面硬化を得るように既に最適化されているので、放射線硬化性コーティングの耐久性をさらに改良するためには、一般に限られた許容性しか存在しない。
【0004】
無機材料及び有機材料の両方を組み合わせた性質を有するコーティングを得るために混成有機−無機複合材料が提案されてきた。複合物は、溶媒、界面活性剤及び重合体のような有機成分中に分散された、多くの場合、ナノ寸法の無機充てん剤を一般に含む。しかしながら、混成複合物は、無機充てん剤の不均質化、集塊化及び沈殿を起こす傾向があり、その結果、改良された複合物が依然として所望されている。
【0005】
金属又は半金属のアルコキシド、塩化物又は硝酸塩が凝縮又は加水分解するゾル−ゲル法により複合物を生成することができる。ゾル−ゲル法は低い処理温度を使用しており、これにより有機化合物を分解することなしに無機構造物に均質に導入することができる。一般に文献に記載されているゾル−ゲル法由来の混成複合物は、粒子をその場で形成させるものか、又は粒子を出発物質として直接に使用するものかの何れかである。
【0006】
ゾル−ゲルシステムにおいて、有機−無機混成コーティングは、熱的に誘導されたSiOHとSiOH及びSiOHとシリコンアルコキシドの縮合により主として架橋され、高度に架橋したシロキサン網状物と、副生成物として水又はアルコールを生成する。(硝酸塩、アルコキシド等のような)金属又は半金属の塩を含有する他の無機−有機混成システムも金属又は半金属の水酸化物間の縮合により同様に形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 02/51922
【特許文献2】WO 02/48272
【特許文献3】WO 03/055939
【特許文献4】WO 03/014216
【特許文献5】WO 04/020485
【特許文献6】米国特許第6,656,990号
【特許文献7】米国特許第6,521,677号
【特許文献8】米国特許第6,492,540号
【特許文献9】米国特許第5,109,080号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
残念ながら、高温処理を使用しなければ加水分解も縮合反応も完結せず、このため、多くの場合、有機成分の分解(decompose)又は亀裂(cracking)が生じる。周囲温度で反応させれば、未反応ヒドロキシル基及びアルコキシル基が最終複合物中に残り、そして動的平衡に到達するまで長い期間にわたってその反応性基の加水分解と縮合との両方が続くことが予想される。ゾル−ゲル法により製造された複合物は不安定なレオロジーを示し、これらから形成されたコーティングは熱的安定性及び加水分解的安定性の両方に欠ける可能性があると思われる。またOH基を含有する複合物は(光ファイバーのような)或る種の適用のためには透明を必要とする波長で電磁放射線を吸収するので、OH基を含有する複合物は望ましくない。
【0009】
このような問題は市場でのコーティングにおいてそのような材料を使用することを防止してきた。さらに、そのような材料は屈折率を低下させ、及び/又はそうでなければ、光学的適用においてそのような複合物を不適当なものにする(塩のような)多くの物質を不純物として一般に含有する。
【0010】
驚くべきことに本出願人は、上記問題の幾つか又全てを克服する高い屈折率のナノ−複合物を調製する方法を発見した。
ゾル−ゲル法により生成される先行技術の複合物の幾つかの例の或るものは以下のものを包含する。
【0011】
WO 02/51922(UCB)は、二酸化チタンの表面改良ナノ寸法粒子の2%〜5%をコーティングに導入したときに、硬さ、溶媒抵抗、引っかき抵抗のような表面の性質が有意義に改良された粉末コーティングを記載している。
WO 02/48272(UCB)は、顔料湿潤及びそれらのレオロジー性質を改良するためにメタクリレート基により表面改良された放射線硬化性インクのための表面官能化着色剤を記載している。
【0012】
WO 03/055939(UCB)は、無機粒子の分散液を超音波かき混ぜに付して0.1〜250nmの平均寸法を有する少なくとも1つの縦長さ寸法を有するナノ−寸法の無機粒子の分散液を生成し、次にそのようにして得られたナノ寸法の無機粒子を有機カップリング剤と反応させて、粒子の集塊化を阻止するために粒子の表面を改良することにより複合物を造るための超音波の使用を記載している。
【0013】
WO 03/014216(UCB)は、難燃性;UA及びEAの合成のための触媒活性;水蒸気に対する障壁性、を改良するために、そしてポリエチレン及びポリエステルのような高い表面エネルギー基材への接着を促進するためにUV硬化性樹脂を導入するナノ級クレーを記載している。
【0014】
WO 04/020485は、放射線硬化性樹脂と反応することができる粒子;前記粒子の表面を改良するためのカップリング剤;放射線硬化性樹脂;及び前記組成物中のゲル形成を阻止することができる放射線硬化性塩、を含む反応性、ゲル不含有複合物を記載している。硬化後、これらの複合物は、優れた機械的性質を示す。
【0015】
米国特許第6,656,990号(コーニング)は、縮合法により金属酸化物のナノ−粒子を固体重合体マトリックス内に均質に分散させる高屈折率複合物を生成するための非ゾル−ゲル法を記載している。有機金属カップリング剤の混合物(これらの少なくとも1種は高い屈折率のものである)がこれらの粒子の外側表面に共有結合される。コーニングは、この縮合方法を、水性及び酸性システム中で多くのヒドロキシ基の存在下に金属酸化物複合物を造っているゾル−ゲル法と対照させている。上記コーニングの特許(第1欄第29行〜第51行)は、それらが“約1550nmでの強い振動倍音(vibrational overtone)”を有する高い濃度のヒドロキシ基を含有するので、ゾル−ゲル法の使用とは直接にかけ離れている。上記コーニング特許は、ヒドロキシ基を除去することが困難であるので、そのようなゾル−ゲル材料は、光通過の所望の末端使用のためには不適当であると論じている。しかしながら、上記コーニング特許の発明は高い屈折率のものであるべきである有機金属カップリング剤の混合物の使用を必要とする。
【0016】
米国特許第6,521,677号(DSM)は、(メタ)アクリル基にシリルを介して結合される純粋な金属粒子及びそのような粒子を含む放射線硬化性組成物を記載している。
米国特許第6,492,540号(Pole Chic)は、一般式
M〔OROCOC(R)=CR
を有する化合物である金属脂肪族アクリルアルコキシドを記載しており、この化合物はアクリルアルコールを金属アルコキシドと置き換えるために製造される。
【0017】
米国特許第5,109,080号(Virgina Tech)は、金属アルコキシド及びそれと反応性のアルコキシシラン末端封鎖ポリ(アリーレンエーテル)重合体成分のゾル−ゲル合成により形成される、1.60〜1.76の屈折率を有する高い屈折率のセラミック/重合体混成材料を記載している。
本発明の目的は高い屈折率の改良された混成複合物及びそれを作成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
それ故、概略、本発明に従えば、
a)第1担体流体中の無機ナノ−粒子の水性分散液を用意し;
b)工程(a)からの分散液に表面改良剤(surface modifier)を加え;
c)該表面改良剤と該ナノ−粒子の表面との間の相互作用を高めるために該第1担体流体の少なくとも部分を除去し;
d)表面改良が実質的に完了した後の随意的洗浄工程において、
i)該ナノ−粒子混合物に適当な追加の担体流体を加え、そして次に
ii)共沸蒸留により担体流体を除去し;
e)該混合物に放射線硬化性重合体前駆体及び随意的に光開始剤を加えて;
表面が改良された無機ナノ−粒子と放射線硬化性重合体前駆体との緊密(intimate)な混合物を含む混成複合物を形成する;
諸工程を含む、混成ナノ−複合物を製造するための方法が提供される。
【0019】
それ故、本発明は高い屈折率(n)の有機−無機混成ナノ−複合物をさらに提供し、その複合物は実質的に均質な混合物であり、
i)表面改良化無機ナノ−粒子であって、粒子の疎油性を増大させるためにそれらの表面に少なくとも1種の表面改良剤を含み、前記表面改良剤が芳香族及び/又は硫黄含有有機酸、ホスフィン酸並びにホスホン酸から選ばれた少なくとも1種の酸を含む、前記表面改良化無機ナノ−粒子の約1重量%〜約99重量%;
ii)少なくとも1種の放射線硬化性重合体前駆体及び随意的に光開始剤の約1重量%〜約99重量%;
を含む。
【0020】
随意的に混成複合物には、実質的に揮発性成分が存在しない。
随意的に混成複合物には、塩素、臭素及び/又はヨウ素を含む有機種(species)が実質的に存在しない。
随意的に混成複合物には、硫黄を含む有機種が実質的に存在しない。
随意的に混成複合物は、ヒドロキシ基を実質的に含有しない。
【0021】
随意的洗浄工程の1つの好ましい目的は、分散液から(例えばn≦1.42の)低い屈折率の材料を幾らか、さらに好ましくは実質的に全てを除去する(及び/又は他の部分と置き換える)ことである。随意的洗浄工程の他の好ましい目的は分散液からヒドロキシ基の幾らか、さらに好ましくは実質的に全てを除去する(及び/又は他の部分と置き換える)ことである。
【0022】
洗浄工程において、混合物が依然として辛うじて流体(例えば液体)の状態のままであり、そしてまだ完全に固溶体を形成していない時点まで、担体流体を随意的に除去することができる。随意的にこれを固体の実質的な集塊化、凝集及び/又は沈殿を防止するために必要な最少液体含有量を有するナノ−粒子混合物として定義することができる。混合物の性質(例えば、透明性及び清澄性)に依存して、(必要に応じてこの時点を超えて除去を続け、そして追加の流体を加えて、次に再び除去することにより)固体が観察される直前まで流体を除去することにより、これを達成させることができる。しかしながら、混合物中に観察される少量の懸濁固体は終点で許容できる。例えば、固体を辛うじて導入し、分散し、及び/又は被覆するのに十分な残留液体を含むスラリを随意的に形成してもよい。その洗浄工程は、少なくとも1回、好ましくは終点まで数回繰り返すことができ、随意的には混合物から揮発性成分が実質的にさらに除去されなくなるまで(例えば前の洗浄工程の終点と比較して現在の洗浄工程の終点での混合物において重量損失がないことにより測定されるまで)、十分な回数で洗浄工程を繰り返すことができる。
【0023】
好ましくは、約25℃〜約95℃、さらに好ましくはおよそ周囲温度で本発明の方法を実施する。得られた混成複合物は都合よくは60℃で約20,000cPs未満、さらに都合よくは約10,000cPs未満、そして最も都合よくは5,000cPs未満の粘度を有する、硬化前に低い粘度の液体であることができる。好ましくは複合物は安定且つ均質な液体である。
【0024】
本発明の他の面において、
(1)本明細書に記載された方法から得られた及び/又は得ることができる未硬化の混成ナノ−複合物で基材をコーティングし、随意的にそれからなんらかの残留担体流体を除去し、そして
(2)コーティングした基材を活性放射線(化学線)で照射して重合体前駆体を重合して、
固体重合体マトリックス内に実質的に均質に分散された無機ナノ−粒子を含む、基材上に均質なフィルムコーティングを有するコーティングされた基材を形成する、諸工程を含む、高い屈折率の保護コーティングを調製するための方法が提供される。
【0025】
好ましくは、そのコーティングフィルムは、高い光学的透明性(最も好ましくT%>95%)を示し、及び/又は良好な引っかき抵抗性及び耐摩耗性(さらに好ましくは重合体前駆体単独を放射線硬化することにより形成された重合体フィルムよりもいっそう良好な抵抗性)を有する。
【0026】
なんらメカニズムにより束縛されることを望まないが、本発明の方法において、(金属酸化物のような)親水性無機ナノ−粒子は疎油性種(species)により実質的に包含されるように表面改良されると信じられる。このことは、無機種(species)がもともと有する光学的透明性、粒子寸法及びシステム相容性を維持して、したがって最終複合物の高い屈折率に寄与する一方で、疎水性有機樹脂マトリックス内の分散相として粒子混合物の移送を容易にする。本発明のナノ−複合物を用いて形成されたコーティングは、高い官能性を有する樹脂から形成された他の硬化フィルムにおいてしばしば見られる収縮又は亀裂による問題が最少である。これは、本発明の複合物が均質に分散された多−ナノ−相システムを形成するからであると信じられる。
【0027】
本発明の1つの面はまた、(後でのコーティング及び/又は照射に先立っての)本明細書における方法により記載されたようにして得られたか、及び/又は得ることができる未硬化の混成複合物を提供する。その複合物はまた適用の容易性のために低い粘度の液体としてコーティング工程において使用することができるか、又は(例えば粉末コーティングのために)固体材料として使用することができる。
【0028】
本発明の追加の面は、随意的に約1.52より大きい高い屈折率nの有機−無機混成ナノ−複合物材料を提供し、その複合物は随意的に実質的に溶媒を含有しない実質的に均質な混合物であり、そして
i)表面改良化無機ナノ−粒子であって、その粒子がその粒子の疎油性を増大させるためにそれら表面において表面改良剤(surface modifier)を含む、前記粒子の約1重量%〜約99重量%;
ii)少なくとも1種の放射線硬化性重合体前駆体及び随意的に光開始剤の約1重量%〜約99重量%;
を含む、前記有機−無機混成ナノ−複合物材料を提供する。
【0029】
(本明細書に記載された他の成分のような)他の任意成分をもし添加しないならば、ナノ−複合物の成分i)及びii)の各々の量の合計が100%となるように選択されることは自ずから明らかである。
【0030】
(また、ナノ−複合物として本明細書において言及している)本発明の好ましい有機−無機混成ナノ−複合物材料は、約1.52より大、特に≧〜1.55の屈折率nを有する。さらに好ましくはn≧〜1.60、最も好ましくはn≧〜1.70、例えばn≧〜80である。
【0031】
好ましいナノ−複合物は、実質的に溶媒を含有せず、即ち放射線硬化後に固体になる材料として定義され、少なくとも約95%の固体を含み、さらに好ましくは≧〜99%固体を含み、最も好ましくは実質的に100%の固体からなる。
好ましいナノ−複合物は、可視光線に対して高度に透明(例えばT%値により測定されたとき少なくとも約95%の高い透明度)である。
【0032】
本発明の1つの特定の態様において、本発明の有機−無機混成ナノ−複合物材料(及びそれから形成されたコーティング)は、塩素、臭素及び/又はヨウ素種(好ましくは全ハロゲン種)を実質的に含有しない。光学的適用において使用するために、本発明のナノ−複合物はヒドロキシ基を実質的に含有しないことがまた好ましい。これは追加の工程を必要とすることなしに、本発明の処理工程に従うことにより随意的に達成されることができる。
【0033】
ナノ−粒子:
さて、本発明の組成物及び方法において用いられる無機ナノ−粒子をさらに詳細に説明する。有利には、適当な無機ナノ−粒子は本明細書において特定された所望の値に対して最終複合物のRIを不利に減少させないように(さらに有利には増大させるように)高い屈折率(さらに有利にはn≧1.50)を有する。
【0034】
好ましくは、複合物材料に存在する表面改良化無機ナノ−粒子(成分(i))の量は、複合物の総重量に対し、約5%〜約80%、好ましくは約5%〜約60%、さらに好ましくは約10%〜約30%、最も好ましくは約12%〜約25%である。
【0035】
改良されていない無機ナノ−粒子は、正味の負電荷、正味の正電荷を持つことができるか、又は非帯電であることができる。有利にはナノ−粒子は、それらが表面改良される前は正に帯電している。都合よいことには、改良されていないナノ−粒子の表面は親水性特性を示すことができる。
【0036】
好ましくは無機ナノ−粒子は、(半)金属、(無機塩のような)適当なその無機化合物及び/又はそれらの適当な混合物及び/又は組み合わせを含む。本明細書において用いられるものとして(半)金属(1種又は複数種)とは、1種以上の半金属及び/又は金属、及び/又はそれらの混合物、及び/又は組み合わせを示す。さらに好ましい粒子は、1種以上の(半)金属酸化物、(半)金属硫化物、(半)金属ハロゲン化物、純粋な(半)金属及び/又はそれらの混合物及び/又は組み合わせを含む。最も好ましい粒子は、(半)金属酸化物及び/又は(半)金属硫化物を含み、例えば金属酸化物を含む。
【0037】
有利には、(半)金属、又は(半)金属化合物は、遷移金属、ランタニド、アクチニド及び/又は周期律表の第IIB族、第IVB族又は第VB族においての(半)金属を含む。さらに有用な(半)金属は、アンチモン、バリウム、セリウム、錫、チタン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、及び/又はそれらの適当な混合物及び/又は組み合わせからなる群から選ばれる。最も有用な金属はTi、Sn(IV)、Ce(IV)及びZrから選ばれる高いRIの金属である。都合よくは(半)金属又は(半)金属塩は、可視光線を実質的に吸収せず、さらに都合よくは実質的に無色である。
【0038】
適当な金属酸化物は、BaTiO、CeO、SnO、ZnO、ZrO、TiO、Sb、Sb、Sb、CdO、CaO、CuO、FeO、Fe、PbO、Al、V、特にBaTiO、CeO、SnO、ZnO、ZrO、それらの任意の適当な混合物、及び/又は同様な結晶習性及び/又は物理的性質の金属酸化物を含む。特に適当な金属酸化物ナノ−粒子の例は、商品名NyacolZrO下に、酢酸及び水中の分散液としてNyacol Nano Technologies,Inc.から市販されている、平均直径≦5nmのZrOナノ−粒子である。
【0039】
適当な金属硫化物は、Sb、ZnS、それらの任意の適当な混合物及び/又は同様な結晶習性及び/又は物理的性質の類似の適当な材料を含む。
都合の良い適当な金属バロゲン化物は、SnI及び/又は同様な結晶習性及び/又は物理的性質の類似の適当な材料を含む。しかしながら、可能な場合には実質的にハロゲンを含有しない無機材料を使用することが好ましい。
【0040】
都合よくは適当な純金属粒子は、バナジウム及び/又は同様な結晶習性及び/又は物理的性質の類似の適当な材料を含む。
本明細書に記載された任意の特定の酸化物、硫化物、ハロゲン化物及び金属の混合物及び/又は組み合わせをまた、使用できる。
【0041】
随意的に、本発明のナノ複合物中に存在するナノ−粒子は、縮合されない(即ちそれらはヒドロキシ基を含有してもよい)、そしてゾル−ゲル法、及び/又は米国特許第6,656,990号に記載された以外の任意の方法により造られることができる。米国特許第6,656,990号においての教示とは反対に、本発明のナノ複合物が光学的適用において容易に使用することができるように必要に応じて、最終ナノ−複合物からヒドロキシ種を容易に除去することができることが本発明の方法の利点である。
【0042】
ナノ−粒子のための担体流体:
本発明の第1工程(工程(a))においてナノ−粒子を分散させるために用いられる担体流体は、粒子に沈殿を起こさせない任意の適当な非水性液体を含んでよい。好ましい担体流体は、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソプロパノール、メタノール、トルエン、酢酸、酢酸エチル、及び/又はそれらの任意の適当な混合物から選ばれ、トルエン及び/又は酢酸がいっそう好ましい。
【0043】
表面改良剤:
本発明の組成物及び方法においてナノ−粒子の表面を改良するために使用できる成分(表面改良剤(surface modifier))をさらに十分に記載する。
【0044】
好ましくは無機ナノ−粒子を処理するために用いられる表面改良剤の量は、無機ナノ−粒子の量の重量に対し、約0.1%〜約250%、さらに好ましくは、20.0%〜200%である。
好ましくは表面改良剤の部分としての酸は、無機ナノ−粒子の重量に対し約5%〜約150%の量で存在する。
【0045】
表面改良剤は、無機ナノ−粒子の表面に疎水性特性を与え、それらの親油性を増大させるために選ばれるが、しかしまたナノ−複合物(及びそれらから形成されるコーティング)に所望の高い屈折率を与えるために十分に高い屈折率を有するべきである。環境的又は他の理由のために、本発明の組成物には、塩素、臭素、ヨウ素のような種(specifies)を含む(有機種のような)揮発性成分が存在しないことがまた、好ましい。それ故、表面改良剤は芳香族又は他の高度に共役された種のような高いRI種を含むことが好ましい。
【0046】
有利には、適当な表面改良剤は、本明細書において特定された所望の値に対して最終複合物のRIを不利に減少させないように(そしてさらに有利に増大させるように)高い屈折率(さらに有利にはn≧1.42)を有する。
【0047】
したがって、適当な表面改良剤は、任意の適当な、キレート化剤(1種又は複数種)、配位化剤(coordinating agent)(1種又は複数種)、カップリング剤(1種又は複数種)、表面処理剤(1種又は複数種)、界面活性剤(1種又は複数種)、乳化剤(1種又は複数種)及び/又は分散剤(1種又は複数種)を含むことができる。ナノ−粒子の表面と表面改良剤との間の結合相互作用は、共有結合、キレート化結合、配位結合、イオン結合、化学的吸着、物理的相互作用、及び/又はそれらの任意の適当な組み合わせであることができる。
【0048】
随意的に表面改良剤はまた、粒子に、(放射線硬化性重合体前駆体のような)組成物中の他の成分と架橋及び/又は共役重合が可能となるようにナノ−粒子表面に追加の官能性を与えることができる。そのような反応性表面改良剤は、(本明細書において定義されたような少なくとも1種の“活性化不飽和部分”、例えば(メタ)アクリレート及び/又はビニルエーテルのような)反応性官能基を含むことができる。
【0049】
好ましい高いRIの表面改良剤は、1種以上の以下のもの及び/又はそれらの混合物、即ち有機シラン、金属キレート、オキシホスホ種、及び/又は(カルボニル/カルボキシル基、オキソアニオン及び/又はヒドロキシ基のような)電子供与体(ルイス塩基)として複数の酸素原子を含む(随意的に1種以上のオキソホスホ及び/又は有機金属基を含む)有機種(この有機種は、好ましくはCl、Br、Iを含有しない)を含む。
有利には表面改良剤は有機である。
【0050】
さらに好ましい表面改良剤は、(2〜4のような)複数のカルボニル/カルボキシ基を含む有機種;芳香族的に置換されたカルボニル/カルボキシ化合物;(その芳香族及び/又はそのアルキル(メタ)アクリレート誘導体を包含する)ホスフェート、ホスフィネート;及び/又はホスホネート;(アルカン酸及び芳香族酸を包含する)有機酸;ヒドロキシ錯体及び/又は有機金属エステルを含むことができる。
さらに好都合には有機酸は、重合体前駆体と放射線架橋可能であり、及び/又は共重合可能である。
【0051】
有利には、酸性表面改良剤はまた、本明細書において特定された所望の値に対して最終複合物のRIを不利に減少させないように(そしてさらに有利に増大させるように)高い屈折率(さらに有利にはn≧1.50)を有する。
【0052】
有機酸は、アクリル酸β−カルボキシエチル、アクリル酸、(登録商標Ebecryl168及びEbecryl170下に、Cytec社から市販されている酸性アクリレートのような)UVにより硬化可能な他の酸性樹脂;官能性(メタ)アクリレート;他の反応性結合を含有するビニルエーテル(1種又は複数種);桂皮酸及び誘導体;ポリエステルアクリレート及び/又は無水物誘導体;AMPS及び/又はアクリルアミド誘導体;酸性(メタ)アクリレート及び/又は無水物誘導体;及び/又は酸基を含む任意の他の適当な反応性材料;及び/又はそれらの任意の適当な混合物から選ばれることができる。
【0053】
本発明の他の態様において酸は、“活性化不飽和部分”を含まなくてもよく、そして例えば光開始剤の存在下でさえ、UV放射線下に重合しない(即ちUV非反応性である)。
【0054】
表面改良剤は、芳香族及び/又は硫黄含有有機酸、ホスホン酸及びホスフィン酸から選ばれた少なくとも1種の酸を含む。好ましい有機酸は、ジフェニル酢酸;サリチル酸及び(アセチルサリチル酸のような)誘導体;安息香酸及び誘導体;それらの(メタ)アクリレート化誘導体及びそれらの任意の適当な混合物である。
【0055】
好ましいホスホン酸及びホスフィン酸は、芳香族ホスフィン酸、特にジフェニルホスフィン酸及び芳香族ホスホン酸、特にフェニルホスホン酸、及び任意の適当な(メタ)アクリレート化誘導体及びそれらの混合物である。
最も好ましくは、酸は、ジフェニル酢酸、ジフェニルホスフィン酸、及びそれらの(メタ)アクリレート化誘導体及びそれらの混合物から選ばれる。
酸はまた、放射線硬化性及び非UV反応性酸の混合物を含むことができる。
【0056】
本発明の別の態様において、(有機酸性添加剤、放射線硬化性重合体前駆体、及び有機表面改良剤のような)本発明のナノ−複合物を造るために用いられる有機種はハロゲン化されていないことが好ましい。有利には、他の態様において本発明の複合物は、どのハロゲン化種も実質的に存在しないように、本発明において用いられる無機成分もまた、ハロゲン種を有しない。
【0057】
最も好ましい表面改良剤は、シラン不含有であり、そして(任意に置換されたC2−20ヒドロカルビル(ジ)オン、例えばC6−20アルカンジオンのような)任意に置換されたヒドロカルボ(ジ又はトリ)オン;アセチルアセトネート;及び/又はベンゾイルアセトン、ジフェニル酢酸、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスフィン酸、フタル酸及びその誘導体、アミノホスホン酸及びその誘導体、スチレンホスホン酸及びその誘導体、リン酸トリフェニルのような芳香族リン酸エステル、エチレンメタクリレートホスフェート;チタネート及び/又はジルコネートからなる群から選ばれる。
【0058】
表面改良剤の最も好ましい例は、1−ベンゾイルアセトン、ジフェニル酢酸、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスフィン酸、リン酸トリフェニル、エチレンメタクリレートホスフェート、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン及び/又はネオペンチル(ジアリル)オキシトリメタクリルジルコネート及びそれらの任意の混合物である。
【0059】
他の適当な有機金属表面改良剤は、米国特許第6,656,990号に記載されている(第5欄第25行〜第6欄第19行、特に第5欄第33行〜第37行及び第5欄第67行〜第6欄第9行に記載のもの)。この文献の全体の内容を参照することにより本明細書に組み入れる。
【0060】
本発明の方法において、放射線硬化性重合体前駆体を加える前に、それを加えると同時に、及び/又はそれを加えた後に、表面改良剤を加えることができる。本方法の好ましい態様において、表面改良剤は放射線硬化性重合体前駆体(1種又は複数種)前に加えられる。表面改良工程は理想的には酸の存在下に実施される。
【0061】
洗浄のための担体流体:
工程(d)においてナノ−粒子を洗浄するために、随意的に用いられる追加の担体流体は、ナノ−粒子から水及び/又は有機酸を除去するために用いられる任意の適当な非水性液、例えば溶媒(1種又は複数種)及び/又は水の適当な共沸混合物を含むことができる。担体流体として適当な好ましい共沸混合物はMEK(メチルエチルケトン);MIBK(メチルイソブチルケトン);エタノール;イソプロパノール;メタノール;プロパノール;トルエン;シクロヘキサン;酢酸エチル;酢酸;及び/又はそれらの任意の適当な混合物から選ばれ、さらに好ましいのは酢酸エチル、トルエン及び水の共沸混合物である。
【0062】
都合よくは、洗浄工程(d)を、同じか、又は異なる担体流体を用いて繰り返すことができる。随意的に、有機塩(例えば酢酸塩)のような低屈折率(RI)の不純物の実質的全てが残留ナノ−粒子から除去されてしまうまで、洗浄工程(1回又は複数回)を続けることができる。
【0063】
放射線硬化性重合体前駆体:
一般に複合物材料において存在する放射線硬化性重合体前駆体(成分(iii))の量は、合計複合物の重量に対し約5%〜約90%である。好ましくは、複合物材料中に存在する放射線硬化性重合体前駆体(成分(iii))の量は、合計複合物の重量に対し約20%〜約90%、さらに好ましくは約40%〜約80%、最も好ましくは約60%〜約75%である。
【0064】
本発明の方法において用いられる放射線硬化性重合体前駆体は、本明細書において定義されたような“活性化不飽和部分”の少なくとも1つを含む。都合よくは、重合体前駆体は、例えばエステル、ウレタン、エーテル、珪素、ハロゲン及び/又はリン基を含む(メタ)アクリレート化オリゴマーのような(随意的に遊離基及び/又はカチオンメカニズムのような周知の方法による)1つ以上の放射線重合可能な二重結合を含む。重合体前駆体は、単分散種(species)(例えば単量体)及び/又は多分散種(例えばオリゴマー)を含むことができる。
【0065】
有利には重合体前駆体は、本明細書に特定された所望の値に対して最終複合物のRIを不利に減少させないように(そしてさらに有利には増大させるように)高い屈折率(さらに有利にn≧1.42)を有する。それ故、都合よくは重合体前駆体はまた、n≧1.45、好ましくはn≧1.50を有する(ビニルエーテル、他の光活性及び/又は熱活性の構成物質(entities)のような)放射線硬化性単量体及び/又はオリゴマーの実質的な量を含む。
【0066】
有利には重合体前駆体は、室温(25℃)で約5,000cPs未満、好ましくは約3,000cPs未満、最も好ましくは1,000cPs未満である低い粘度を有することができる。
有利には重合体前駆体は、(メタ)アクリレート、エポキシ、ビニル、ビニルエーテル及び/又は他の不飽和結合、光硬化可能な環式及び/又は芳香族環置換基構造体及び/又はそれらの組み合わせ及び/又は混合物から選ばれた少なくとも1つの(さらに有利には1つ、2つ、3つ、及び/又は複数の)官能基を含むことができる。好ましい重合体前駆体は1つ以上の(メタ)アクリレート官能性を含む。
【0067】
さらに好ましい重合体前駆体は、(メタ)アクリレート基(1つ又は複数)を有する共重合体及び1種以上の(ポリ)オール、(ポリ)ウレタン;(ポリ)エステル;(ポリ)エーテル;(ポリ)エポキシ;(ポリ)アミノ;(ポリ)シリコーン;ポリ(メタ)アクリレート;リン含有部分;珪素含有部分;有機−無機混成材料;及び/又はいずれかが放射線硬化可能である(好ましくはラジカル重合可能である)それらの組み合わせを含む。
【0068】
最も好ましい重合体前駆体は、ウレタン、エポキシ、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、ビニルエステル、塩素化エステル、カチオン硬化性樹脂、熱的に硬化可能な樹脂;(アルキド、等のような)他の反応性又は潜在的に反応性/過酸化物又は空気硬化可能な樹脂;インデン、スチレン及び誘導体のような反応性材料;残留している不飽和及び/又は遊離基生成/重合化部位との反応性材料の重合体形;シンナメート及び誘導体;及び/又は任意の適当なUV又はEB硬化可能な樹脂を含む。
【0069】
適当な重合体前駆体の例は、2−フェニルエチルアクリレート(PEA)又はフェニルチオエチルアクリレート(PTEA)のいずれかの50重量%で希釈された(登録商標Ebecryl160下でCytec社から市販されている)トリメチロールプロパンから由来の三官能性オリゴ−エーテルアクリレートの溶液である。
【0070】
他の成分:
他の非UV反応性成分を本発明の方法において使用することができ、及び/又は本発明のナノ−複合物中に導入することができる。重合体前駆体と共に又は本方法においての他の工程でそのような成分を都合よく加えることができる。
【0071】
有利には、本明細書に特定された所望の値に対して最終複合物のRIを不利に減少させないように(そしてさらに有利には増大させるように)(特に微量でない量で存在する場合の)非UV反応性成分はまた、高い屈折率(さらに有利にはn≧1.50)を有する。
【0072】
適当な非UV反応性成分は、配合物の他の成分と相容性であり、そして複合物の透明度をさらに改良するために加えることができる、当業界に知られている(単量体、試薬、樹脂、重合体、等のような)高い屈折率(RI)の追加の材料;即ち(商標名Ncendex 30下にAbermarle社から市販の、ハロゲン不含有リンをベースとする添加剤のような)難燃剤;(ベンゾエート、例えば安息香酸ジエチレングリコール及び/又は安息香酸1,2−プロパンジオールのような)任意に置換された芳香族環を含む材料;アルデヒド;ポリスチレン、ポリビニルトルエンのような重合体添加剤及び/又はポリビニルトルエン−コ−アルファメチルスチレンのような共重合体材料;及び/又はそれらの任意の適当な混合物を含むことができる。
【0073】
当業者である配合者に周知の他の都合のよい成分を、また必要に応じて(そして配合物の残りと相容性である場合に)勿論加えることができ、そこで、最も関連のある追加の成分のみを、以下にハイライトとして示すか、又は本明細書中に列挙する。
【0074】
放射線照射の前にアクリレート官能性の重合を防止するために、安定剤及び/又は遊離基抑制剤を単独か又は組み合わせて本発明の組成物に加えることができる。任意の以下のもの:(ヒドロキノン(HQ)、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ベンゾキノン及び/又は2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンのような)キノン誘導体、4−メトキシフェノール、フェノチァジン(PTZ)、メチレンブルー、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、トリフェニルスルホニウム(TPS)、銅、(亜リン酸トリス(ノニルフェノール)(TNPP)のような)リン含有安定剤及び/又は酸化防止剤、難燃剤;及び/又は任意の他の酸化防止剤又は遊離基スカベンジャーを包含する当業者に周知の任意の適当な抑制剤を使用することができる。通常、抑制剤は約10ppm〜約5000ppm、さらに好ましくは約50ppm〜約1500ppmの濃度で用いられる。
【0075】
遊離基又はイオン種(ionic species)を生成して重合化処理を開始させるために本発明の放射線硬化性組成物に光開始剤類(PI類)を加えることができる。任意の適当なPIは、光開裂及び/又は光引き抜き開始剤のような当業者に周知のものである。典型的にはPIは、配合物の合計の重量に対し約4%〜12%、さらに典型的には約8%〜10%の量で加えられる。
【0076】
定義:
本発明は、電磁スペクトルの可視部分における(即ち400nm〜700nmの波長について)コーティングの光学的性質に関する。材料の屈折率(RI)は、放射線の波長と共に変化するので、便利さのために本明細書に特定されたすべてのRI値は、(別のように示される以外は)589.29nmの波長での黄色ナトリウム二重発光の中心でのフラウンホーファー(Fraunhofer)“D”線により放出された放射線に関して測定されたものである。これらのRI値はまた、記号nにより本明細書に示される。本明細書において用いられるものとして高い屈折率と言う用語は、≧1.42のnを有する材料を言う。本発明の好ましい材料は、n≧1.50、さらに好ましくはn≧1.56、さらに好ましくはn≧1.58、さらに好ましくはn≧1.60を有する。有利には、本発明の材料はn≧1.70、さらに有利にはn≧1.80を有することができる。
【0077】
本発明の方法及びナノ−複合物において用いられる成分はまた、理想的に、最終生成物に所望の高い屈折率を与えるために十分に高い屈折率(随意的には上記文節において与えられた値の屈折率)を有する。しかしながら、環境及び他の理由のために本発明の組成物は、高いRIを与えると知られているクロロ、ブロモ、ヨード及びセレン(及び随意的に硫黄及びさらに随意的にリン)部分をまた含でいるかもしれない(有機種のような)揮発性成分を実質的に含有しないことが好ましい。それ故、本明細書において用いられる高いRI有機種は、Cl、Br、I部分よりもむしろ芳香族及び/又は硫黄及び/又はリン及び/又は他の高度に共役された種(conjugated species)のような高いRI部分を含むものが好ましい。
【0078】
本明細書において用いられるものとして“ナノ−寸法”と言う用語は約0.1〜約250nmの平均の寸法を有する少なくとも1つの長さ寸法(linear dimension)を示す。本明細書に記載されたナノ−寸法の材料についての好ましい平均寸法は約100nm未満、さらに好ましくは約50nm未満、最も好ましくは約20nm未満である。三次元(ナノ−粒子)、二次元(ナノ−寸法断面を有するが、しかし長さ未定のナノ−チューブ)又は一次元(ナノ寸法の厚さを有するが、しかし面積未定のナノ−層)においてナノ−寸法を有するナノ−寸法材料が存在する。有利には、本発明は上記平均値を有するナノ−寸法材料、さらに有利にはナノ−粒子を含む複合材料に関する。
【0079】
本明細書において用いられるものとして、“放射線−硬化性”とは、随意的に光開始剤のような他の成分の存在下に活性放射線(化学線)で照射したときに重合する材料を示す。放射線重合を達成させるための好ましい方法は、ガンマ線、X線又は電子ビームのような、紫外線及び/又はイオン化線を含む。重合化メカニズムは、放射線、熱及び/又は過酸化物開始源(例えば遊離基、カチオン性、等)により誘導されることができる任意の適当で方法であることができる。
【0080】
この明細書を通じて、“活性化不飽和部分”と言う用語は、少なくとも1つの活性化部分に化学的近接して少なくとも1つの不飽和炭素−炭素二重結合を含む種を示すために用いられる。好ましくは、活性化部分は、適当な求電子基によりそれへの付加のためにエチレン不飽和二重結合を活性化する任意の基を含む。
【0081】
都合よくは活性化部分は、オキシ、チオ、(随意的に有機置換された)アミノ、チオカルボニル及び/又はカルボニル基(後者の2つの基はチオ、オキシ又は(随意的に有機置換された)アミノにより随意的に置換されている)を含む。さらに都合よい活性化部分は(チオ)エーテル、(チオ)エステル及び/又は(チオ)アミド部分(1又は複数)である。最も都合の良い“活性化不飽和部分”は1種以上の“ヒドロカルビリデニル(チオ)カルボニル(チオ)オキシ”及び/又は1種以上の“ヒドロカルビリデニル(チオ)カルボニル(有機)アミノ”基及び/又は類似体及び/又は誘導化部分、例えば(メタ)アクリレート官能性及び/又はそれらの誘導体を含む部分を含む有機種を示す“不飽和エステル部分”を含む。“不飽和エステル部分”は、随意的に置換された一般にα,β−不飽和酸、エステル及び/又はチオ誘導体包含するそれらの他の誘導体及びそれらの類似体を任意に含むことができる。
【0082】
好ましい活性化不飽和部分は式1’
【化1】


(式中、nは0又は1であり、X’はオキシ又はチオであり、X’はオキシ、チオ又はNR’(但しR’はH又は任意に置換された有機基を表す)であり、R’、R’、R’及びR’は各々独立してH、任意な置換基及び/または任意に置換された有機基を表す)により表される活性化不飽和部分、及びそれらの全ての適当な異性体、同じ種についてのそれらの組み合わせ及び/又はそれらの混合物である。
【0083】
本明細書において“活性化不飽和部分”という用語;“不飽和エステル部分”という用語;及び/又は式1’は(化合物、イオン、遊離基、オリゴマー及び/又は重合体のような)別々の化学種及び/又はそれらの任意の部分(1又は複数)を表すことができることが認識される。したがって式1’はまた、多価(好ましくは二価)の基を表すことができる。したがってn、X’、X’、R’、R’、R’、R’及びR’について本明細書に与えられた選択はまた、適当なものとしての対応する二価基又は多価基を包含する。
【0084】
(それらの異性体及び混合物を包含する)式1’のさらに好ましい部分は、nが1であり、X’がOであり、X’がO、S又はNR’であり、R’、R’、R’及びR’は独立してH、任意の置換基及び任意に置換されたC1−10ヒドロカルボから選ばれ、そして存在する場合のR’はH及び任意に置換されたC1−10ヒドロカルボから選ばれる部分である。
【0085】
最も好ましくは、nは1であり、X’はOであり、X’はO又はSであり、そしてR’、R’、R’及びR’は独立してH、ヒドロキシ及び/又は任意に置換されたC1−5ヒドロカルビルである。
例えば、nは1であり、X’及びX’は両方ともOであり、そしてR’、R’、R’及びR’は独立して、H、OH及び/又はC1−4アルキルである。
【0086】
nが1であり、X’及びX’が両方ともOである式1’の部分について、そのときは(R’及びR’)の1つがHであり、そしてまたR’がHである場合は、式1’は(R’及びR’が両方ともHである場合に)アクリレート、そして(R’又はR’のいずれかがHでない場合に)それらの誘導体を包含する、アクリレート部分を表す。同様に、(R’及びR’)の1つがHであり、そしてまたR’がCHである場合は式1’は(R’及びR’の両方がHである場合に)メタクリレート及び(R’又はR’のいずれかがHでない場合に)その誘導体を包含する、メタクリレート部分を表す。式1’のアクリレート及び/又はメタクリレート部分が特に好ましい。
【0087】
都合よくは、式1’の部分は、nが1であり、X’及びX’は両方ともOであり、R’及びR’は独立してH、メチル又はOHであり、そしてR’がH又はCHである部分である。
さらに都合よくは、式1’の部分はnが1であり,X’及びX’が両方ともOであり、R’がOHであり、R’がCHであり、R’がHである部分及び/又はその(例えばアセトアセトキシ官能種の)互変異性体である。
【0088】
最も都合の良い不飽和エステル部分は、−OCO−CH=CH
−OCO−C(CH)=CH;アセトアセトキシ;
−OCOCH=C(CH)(OH)及びそれらの全ての適当な互変異性体(1又は複数)から選ばれる。
他の反応性部分のような、式1’により表される任意の適当な部分が、この発明に関して用いられることができることが認識されよう。しかしながら、ハロゲン不含有、さらに好ましくは硫黄及びハロゲン不含有である部分を使用することが好ましい。
【0089】
関連して他のように明らかに示さない限り、本明細書において用いられるものとして本明細書においての用語の複数形は、その単数形を含むものとして、そしてその逆の形も含むものとして解釈されるべきである。
本明細書において用いられるものとして“含む(comprising)”と言う用語は、それ以下のリストが完全なものではなく、適当なときに任意の他の追加的に適当な事項、例えば1つ以上の追加の特徴(1又は複数)、構成要素成分(component)(1又は複数)、原料成分(ingredient)(1又は複数)及び/又は置換基(1又は複数)を包含してもよく、又は包含しなくてもよいことを意味することと理解される。
【0090】
(例えば、本発明の及び/又は適当なものとして本明細書に記載された任意の処理方法(process)、用途、仕方方法(method)、適用、製造、生成物、材料、配合、化合物、単量体、オリゴマー、重合体前駆体及び/又は重合体に関して)“有効な”、“許容出来る”、“活性な”及び/又は“適当な”と言う用語は、正しい様式で使用される場合、それらが本明細書に記載されたような有用性のものであるように加えられ、及び/又は導入される、必要な性質を与える本発明の特徴のものに言及することが理解される。そのような有用性は、直接には例えば材料が上記用途のために必要な性質を有する場合、及び/又は間接的には例えば材料が直接に実用性の他の材料を調製するにあたっての合成中間体及び/又は診断用具としての用途を有する場合、であることができる。本明細書において用いられるものとしてこれらの用語はまた、官能性基が、生成している有効な、許容出来る、活性な、及び/又は適当な末端生成物と相容れることができることを示す。
【0091】
本発明の複合物の好ましい有用性は、例えば本明細書に記載されたような侵襲(アタック)に対して抵抗性を与え、及び/又は本明細書に記載されたような光学的適用においての使用のために高い屈折率を有するコーティングを形成することを含む。
【0092】
(他の置換基のリストが後に続かない限り)本明細書において用いられるものとして、“任意の置換基”及び/又は“任意に置換された”という用語は、1つ以上の以下の基(又はこれらの基による置換);即ちカルボキシ、スルホ、ホルミル、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、ニトリロ、メルカプト、シアノ、ニトロ、メチル、メトキシ及び/又はそれらの組み合わせを意味する。これらの任意の基は、複数(好ましくは2つ)の上記基(例えば、アミノ及びスルホニル、お互いに直接結合されているならばスルファモイル基を表す)の同じ部分においてのすべての化学的に可能な組み合わせを包含する。好ましい任意の置換基は、カルボキシ、スルホ、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、シアノ、メチル、ハロ、トリハロメチル、及び/又はメトキシを含む。さらに好ましい置換基は、ハロゲン及び/又は硫黄が不含有である好ましい置換基である。
【0093】
(また、本明細書において“有機(organo)”に略される)本明細書において用いられるものとして、“有機置換基”及び“有機基”という同義語は、1個以上の炭素原子及び随意的に1個以上の他のヘテロ原子を含む(随意的に1つ以上の他の部分に結合された)任意の一価又は多価部分を示す。有機基は、炭素原子を含有する一価の基を含み、したがって有機であるが、しかし炭素以外の原子にてそれらの自由原子価を有する(また有機エレメント(orgnoelement)基として知られている)有機ヘテリル基(organoheteryl group)(例えば有機チオ基)を含むことができる。有機基は、炭素原子にて1つの自由原子価を有する、官能性タイプとは無関係に、任意の有機置換基を含むオルガニル(organyl)基を、別法として又は追加的に含むことができる。有機基はまた、複素環式化合物の任意の環原子から1つの水素原子を除くことにより形成された一価の基を含む複素環式基(即ち少なくとも2つの異なる元素(この場合において1つは炭素である)の環部員原子として有する環式化合物)を含む。好ましくは有機基においての非炭素原子は、水素、ハロゲン、リン、窒素、酸素、珪素及び/又は硫黄から選ばれることができ、さらに好ましくは、水素、窒素、酸素、リン及び/又は硫黄、最も好ましくは、水素、酸素、窒素及びリンから選ばれることができる。
【0094】
最も好ましい有機基は、随意的に1種以上の以下のヘテロ原子含有部分、即ちオキシ、チオ、スルフィニル、スルフォニル、アミノ、イミノ、ニトリロ及び/又はそれらの組み合わせ(さらに随意的にはオキシ、アミノ、イミノ及び/又はニトリロ)と組み合わせて1種以上の以下の炭素含有部分、即ちアルキル、アルコキシ、アルカノイル、カルボキシ、カルボニル、ホルミル及び/又はそれらの組み合わせを含む。有機基は、複数(好ましくは2つ)の上記炭素含有及び/又はヘテロ原子部分の同じ部分においてすべて化学的に可能な組み合わせ(例えばアルコキシ及びカルボニル、お互いに直接結合したならばアルコキシカルボニル基)を包含する。
【0095】
本明細書において用いられるものとして、“ヒドロカルボ基”という用語は、有機基の“下位のセット(sub−set)”であり、そして1個以上の水素原子及び1個以上の炭素原子からなり、且つ1つ以上の飽和、不飽和及び/又は芳香族部分を含んでよい(任意に1つ以上の他の部分に結合された)任意の一価又は多価部分を示す。ヒドロカルボ基は1種以上の下記の基を含むことができる。ヒドロカルビル基は、炭化水素から1つの水素原子を除くことにより形成された一価の基(例えばアルキル)を含む。ヒドロカルビレン基は炭化水素から2個の水素原子を除くことにより形成された二価の基を含み、その自由原子価は、二重結合に関与していない基を含む(例えばアルキレン)。ヒドロカルビリデン基は、炭化水素の同じ炭素原子から2個の水素原子を除くことにより形成された(“RC=”により表されることができる)二価の基を含み、その自由原子価は、二重結合に関わっている、二価の基を含む(例えばアルキリデン)。ヒドロカルビリジン基は、炭化水素の同じ炭素原子から3個の水素原子を除くことにより形成された(“RC≡”により表すことができる)三価の基を含み、その自由原子価は三重結合に関わっている、三価の基を含む(例えばアルキリジン)。ヒドロカルボ基はまた、(例えばアルキル基において)飽和炭素対炭素単結合を含むことができ、(例えばアルケニル基において)不飽和二重炭素対炭素結合を含むことができ、及び/又は(例えばアルキニル基において)不飽和三重炭素対炭素結合を含むことができ、(例えばアリール基において)芳香族基を含むことができ、及び/又は同じ部分内でのそれらの組み合わせを含むことができ、そして示される場合は他の官能基で置換されていてもよい。
【0096】
本明細書において用いられるものとして“アルキル(alkyl)”という用語又はその均等語(例えば“alk”)は、適当な場合であって、関連して明らかに他のように示されない限り、(例えば(アルケニルのような)二重結合、(アルキニルのような)三重結合、及び/又は(アリールのような)芳香族部分を含む)及び/又はそれらの組み合わせ(例えばアラルキル)を含む)本明細書において記載されたような任意の他のヒドロカルボ基、ならびに(二価のヒドロカルビレン基、例えばアルキレンのような)2つ以上の部分を結合している任意の多価ヒドロカルボ種(species)を包含する用語により、容易に置き換えられることができる。
【0097】
(例えば置換基として)本明細書において記載された任意のラジカル基又は部分は、他のように述べない限り、又は関連して明らかに他のように示さない限り、多価ラジカルであっても又は一価ラジカルであってもよい(例えば、2つの他の部分と結合している二価のヒドロカルビレン部分)。しかしながら、本明細書において示される場合、そのような一価又は多価基はまた、任意の置換基をいぜんとして含むことができる。3個以上の原子の鎖を含む基は、鎖が全体で、部分で線状であることができるか、分枝されていることができるか、及び/又は(スピロ環及び/又は縮合環を包含する)環を形成する基を意味する。或る(certain)原子の合計数を、或る置換基、例えば(有機部分が1〜N個の炭素原子を含むことを意味する)C1−N有機について特定化する。本明細書においての任意の式において、1つ以上の置換基が、1つの部分において(例えば鎖及び/又は環に沿っての特定の位置上で)いずれかの特定原子に結合されたように示されない場合は、その置換基は任意のHを置き換えることができ、及び/又は化学的に適当であるか、及び/又は有効である部分上のいずれかの利用できる位置に配置されることができる。
【0098】
好ましくは、本明細書に挙げられた任意の有機基は、1〜36個の炭素原子、さらに好ましくは1〜18個の炭素原子を含む。有機基中の炭素原子の数は、1〜12個、特に1と10とを包含する1〜10個、例えば1〜4個の炭素原子であることが特に好ましい。
【0099】
本明細書において用いられるものとして、((アルキル)アクリレート、(メタ)アクリレート及び/又は(共)重合体のような)カッコ内に示される特徴を含む(特定的に確認された化合物のためのIUPAC名以外の)化学用語は、それに関連して示すものとしてカッコ内の部分が任意なものであることを示し、そこで例えば(メタ)アクリレートという用語はメタクリレート及びアクリレートの両方を示す。
【0100】
重合体及び/又はオリゴマーの繰り返し単位上の置換基は、それらが本明細書に記載された用途のために配合され、及び/又は導入されることができる重合体及び/又は樹脂とのその材料の相容性を改良するために、選ばれることができる。したがって置換基の寸法及び長さは、樹脂との物理的絡み合い又は相互配置を最適にするように選ばれることができるか、あるいはそれらは適当なときにそのような他の樹脂と化学的に反応することができ、及び/又は架橋することができる他の反応性存在物(構成要素)(entities)を含んでもよく、又は含まなくてもよい。
【0101】
本明細書に記載されたような本発明の幾らか又は全てにおいて含み、及び/又は用いられる或る部分、種(species)、基、繰り返し単位、化合物、オリゴマー、重合体、材料、混合物、組成物及び/又は配合物は、以下の完全ではないリストにおいての任意のもののような1種以上の異なる形として存在することができ、即ち(鏡状異性体(例えばE及び/又はZ形)、ジアステレオ異性体及び/又は幾何学的異性体のような)立体異性体、互変異性体(例えばケト形及び/又はエノール形)、配座異性体、塩、双性イオン(両性イオン)、(キレート化合物、クラスレート化合物(包接化合物)、クラウン化合物、クリプタンド/クリプテート包含化合物、挿入化合物、侵入型化合物、配位錯体、有機金属錯体、非化学量論的錯体、πアダクト、溶媒和物、水和物のような)錯体、同位体的に置換された形、〔単独重合体又は共重合体、ランダム重合体、グラフト重合体及び/又はブロック重合体、線状重合体及び/又は分枝重合体(例えば星状分枝及び/又は側鎖分枝)、橋かけ重合体及び/又は網状重合体、二価及び/又は三価繰り返し単位から得ることができる重合体、樹状体、異なるタクチシティの重合体(例えばアイソタクチック、シンジオタクチック又はアタックチック重合体)のような〕重合体形状;(侵入型形、結晶形及び/又は無定形のような)多形性、異なる相、固溶体;及び/又は可能な場合のそれらの組み合わせ及び/又は混合物、で存在することができる。本発明は、本明細書において規定されたような有効である全てのそのような形を含み、及び/又は使用する。
【0102】
さて、本発明の方法の1つの態様を、例示のために記載する。
第1工程において、かき混ぜ、加熱、冷却及び容器内部の圧力の減少化のための能力を備えた反応容器(例えばステンレススチール又はガラス)に(本明細書に記載したような)酸性添加剤を装入する。必要に応じてわずかに温めて、表面改良剤を溶解するために十分な溶媒(例えば酢酸)を加える。透明な分散液を維持するために混合物をかき混ぜながら、前記表面改良剤に(ZrOの水性分散液のような)無機ナノ−粒子の分散液を滴下して加える。減圧下に容器を加熱し、そして共沸混合物においての蒸留により水を除去する。本質的に全ての水を除去してしまう迄、共沸混合物を維持し、液体混合物内の凝集又は沈殿を防止するために必要に応じて、容器に追加の溶媒を加える。肉眼で観察することができる沈殿又は結晶化が容器内で観察されることがないように液体中のナノ−粒子の濃度を制御するために依然として注意を払って、加熱により容器から残留揮発性物質を除去する。
【0103】
今度は、最終生成物の低い屈折率の一因となる可能性ある酢酸塩又は他の物質のような種(species)を置き換え、且つ除去するために、随意的洗浄工程を加えることができる。スラリ又はスラッシュ様特性を有する(即ち十分に乾燥していない)有意義な固形“湿潤”残留物残存下に、容器中でナノ−粒子液体混合物を加熱する。前記スラリを再分散させるために(最初に用いた溶媒とは異なる)さらに追加の溶媒を加え、そして次に(酢酸塩又は“低いRI”基を追い出すために)水を加える場合に少量を加える。スラリを得るために液体を蒸留により再び除去し、そして再びスラリを得るために少なくとももう一回その洗浄工程を繰り返す。最後に、洗浄スラリを、異なる(即ち非酢酸)溶媒中に再分散する。
【0104】
(抑制剤を有する)慣用のUV硬化可能なオリゴマー樹脂を、表面改良されたナノ−粒子の(随意的に洗浄された)分散液に加える。前記UV樹脂の安定性を維持し、そして樹脂が熱的に重合/架橋しないように空気散布(air sparging)下に混合物からすべての揮発性物質(水、酢酸、等)を除去する。
【0105】
例えば適当なメッシュフィルター器具、シーライト(celite)及び/又はけい藻土のような濾過媒体を用いる任意の適当な方法により本発明のナノ−複合物を収集することができる。最終生成物を形成するために(追加の抑制剤、追加の希釈用樹脂のような)追加の慣用の配合成分をまた加えることができる。
【0106】
さて、本発明の方法の他の態様を、例示のために記載する。
約5℃〜約80℃(好ましくは約10℃〜約60℃、さらに好ましくは約20℃〜約50℃)の温度で、ナノ−粒子の水性分散液を、かき混ぜ、加熱、冷却及び真空のための能力を備えた反応容器に加える。分散液は初めは透明又はほんのわずかに半透明/かすんでいるべきである。
【0107】
随意的に溶媒の50重量%までで希釈しながら,あるいはややかすんだ外観が液体に観察されるまで、上に示されたと同じ温度範囲でナノ−粒子分散液をかき混ぜる。分散液は懸濁している以外は、透明な状態であるか、半透明であるか、又はかすんでいることが好ましく、しかし分散液が凝集した(flocculated)固体又は沈殿した固体を含有するならば、これは許容できる。希釈用溶媒を使用する場合、選ばれた溶媒は疎水性特性と親水性特性との両方を有する有機溶媒が好ましい。溶媒は、イソプロパノール、水及び/又はそれらの混合物のようなヒドロキシ含有溶媒は許容できるけれども、溶媒は、(メチルエチルケトン、MEKのような)ヒドロキシ基を含有しないことがさらに好ましい。使用する場合、希釈工程は少なくとも10分はかけるべきであり、そしていっそう長くかかってもよい。
【0108】
有機酸と表面改良剤(表面活性剤)とを、(好ましくは)混ぜ物なしにそのままで又は(随意的には前の希釈工程において使用したと同じである)溶媒中に希釈して、随意的に一緒に混合する。次に、上に示したと同じ温度範囲でそれらをかき混ぜながら、この混合物、前記随意的に希釈されたナノ−粒子に加える。好ましくは約8時間までの時間期間にわたって、さらに好ましくは約1時間までの時間期間にわたって、かき混ぜている溶液中に固体の沈殿又は集塊化を最少にする速度で該酸及び表面改良剤を加えることが好ましい。
【0109】
表面改良剤として好ましい有機酸は、酸性部分、そして好ましくは(アクリル酸及び/又はベータ−酢酸カルボキシエチル(β−CEA)のような)UV反応性部分を含み;及び/又は(トリクロロ酢酸のような)高い屈折率を有する。有利には、酸(1種又は複数種)は、n>=1.4、さらに有利にはn>=1.52、最も有利にはn>=1.62を有する。
【0110】
好ましい他の表面活性剤は、(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、リン酸トリフェニル及び/又はネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリメタクリルジルコネートのような)キレート化及び/又は配位結合化の両方の部分、そしてまたUV反応性部分を含み、及び/又は高い屈折率を有する。有利には、表面活性剤(1種又は複数種)はn>=1.4、さらに有利には、n>=1.52、最も有利にはn>=1.62を有する。
【0111】
表面改良剤を加えた後に、追加の溶媒の添加、そして次に漸進に減少していく圧力(装置が突沸なしを可能にする限り、トル(torr)対STP)及び(約20〜約80℃、好ましくは約40〜約60℃の範囲内の)増大していく温度下に約20〜約100%/時間(好ましくは30〜60%/時間)の溶媒除去の速度でかき混ぜ混合物の共沸蒸留により混合物からほとんどの水を除去する。
【0112】
共沸混合物を維持するために、そして好ましくは可能な場合に混合物からナノ−粒子の凝集又は沈殿を避けるために必要な量を(少しずつ又は連続的のどちらかで)、溶媒を混合物に添加する。液体にくもりを観察するならば、追加の溶媒を混合物に加えて、そして共沸混合物を介しての水の除去を続ける。もし溶媒を添加した後に溶液が透明化しないならば、遊離ヒドロキシ基のすべての源(水、アルコール、処理において用いられるならば、他のOH溶媒、等)が溶媒との共沸を介して除去されてしまうまで、曇った(又は凝集/沈殿した)液体から共沸を介しての液体の除去を続ける。
【0113】
いったん実質的なすべての遊離ヒドロキシ成分が除去され、及び/又は混合物が本質的に透明になったならば、(随意的に抑制剤を有する)UV硬化性樹脂の目標量を、かき混ぜ混合物に加える。最終生成物について本明細書に特定されたRI目標に達成させるために十分に高いRI(好ましくはn≧1.42、さらに好ましくはn≧1.52、最も好ましくはn≧1.56)を有するUV硬化性樹脂を選ぶことができる。混合物及び加えられるべき樹脂の両方の温度は、好ましくは約5〜約80℃、さらに好ましくは40〜60℃である。もし樹脂を加えた後に、混合物が濁ってきたならば、追加の溶媒を加え、そして溶液が透明になるまで共沸蒸留により、液体を除去する。
【0114】
重合を防ぐために空気散布(air sparging)及び/又は適当な抑制剤を用いて、ゲル化に対して樹脂の安定性を確保するために適当な条件を維持しながら、(<50mmHgが好ましい、最も低い可能な圧力での)減圧下及び好ましくは20℃〜約100℃(さらに好ましくは約60℃〜約95℃)の温度で共沸蒸留により、残留揮発性成分及び溶媒残留物をまた、除去することができる。
フィルターにより不純物を除去するが、しかし無機ナノ−粒子はそのフィルターを通過し、そして濾過液中に残ることを確実にする適当なメッシュを用いて最終生成物を単離する。必要な抑制条件を維持する。
本発明の多くの他の変形態様は、当業者に明らかであろう、そしてそのような変形は、本発明の広い範囲内にあることが意図される。
【0115】
本発明の他の追加の面は、本発明の方法から得られた、及び/又は得ることができる無機−有機混成ナノ−複合物を提供する。
本発明のなおその上の他の面は、本発明のナノ−複合物を含む高い屈折率のコーティング組成物を提供する。計画されている用途において組成物を配合し、及び/又は(例えば保護、高屈折率コーティングとして)有効なコーティングを作成するために、慣用的に用いられている担体又は希釈剤のような他の成分(1種又は複数種)を、本発明の組成物はまた含むことができる。もし、担体又は希釈剤が樹脂を含む場合、その樹脂は硬さ、耐久性及び/又は高い屈折率のような性質を最適にするように選ばれることができる。本発明の組成物は、重合化されていない重合体前駆体(単量体及びオリゴマー)を含む、放射線照射前の組成物を含み、そして基材上で硬化されたコーティングとして、その場での放射線照射後の組成物を含む。
【0116】
随意的に、本発明のコーティング組成物は、慣用の周知の方法により粉末コーティング及び/又は放射線硬化可能なコーティグとして適用される。
本発明の組成物は、任意のタイプの基材に適用されることができるが、しかし特にガラス及び/又は重合体フィルム(例えば、ポリエステル、ポリエチレン及び/又はポリプロピレン)のような実質的に透明な基材に適用されることができる。基材に適用された本発明のコーティングは、外部状態に対して良好な抵抗性と共に有用な保護性質を示す。本発明の高い屈折率の組成物は、光学的適用において用いられることが特に好ましい。そのような適用は、(LCDのような)ディスプレイ又は(膝乗せ型コンピューター(laptops)、PDA、移動式電話、TV、DVD、等のような)電子的装置における、他の好ましくは平らなスクリーンディスプレイのためのコーティングを包含し、及び/又は導波管、光学繊維(光ファイバー)、レンズ、鏡、窓、等のような他の光学的機器をコーティングすることを包含する。
【0117】
本発明のなおその上の追加の面は、光学適用においての使用に適当な(基材のような)物品であって、この物品が本発明の未硬化コーティング(即ち、活性放射線(化学線)で物品が照射される前のコーティング)で、又は硬化されたコーティング(即ち、活性放射線(化学線)での照射後のコーティング)のいずれかでコーティングされる物品を提供する。そのような物品は、完成製品(例えば、移動式電話)、製品のための構成部品(例えば、ディスプレイの部分を形成するコーティングされた基材)、及び/又は他の製品と共に使用される消耗部品(例えば、ディスプレイ組み立て部品)であることができる。好ましくはコーティングされた部品は(光学的適用のような)1つ以上の本明細書において記載された適用において有用である。
【0118】
本発明のなお他の面は、物品の少なくとも一部分に少なくとも1種の本発明のコーティング組成物及び/又はナノ−複合物を適用し、活性放射線(化学線)(例えばUV又は電子ビーム)で物品を照射して、その上のコーティングを硬化する諸工程を含む、本明細書に記載されたような本発明の物品を製造する方法を提供する。
本発明の他の追加の面は、製品を調製するために、本発明の少なくとも1種のコーティング組成物、ナノ−複合物及び/又はコーティングされた物品の使用を提供する。
本発明の追加の面及びその好ましい特徴は、本明細書においての特許請求の範囲に示される。
【発明を実施するための形態】
【0119】
さて、例示だけのためである以下の非限定的例に関連して本発明を詳細に記載する。
【0120】
例 1
(非ハロゲン化ナノ−複合物及びコーティング配合物)
工程1.1
ジフェニル酢酸(Alfa社からの120g)を氷酢酸の200g中に溶解し、そしてその混合物をかき混ぜ、50℃に加熱する。(Nyacol Inc.社からの約5ナノメートルの平均直径を有する(下記表参照))ZrOナノ−粒子の約20%を含有する酢酸及び水の分散液(約500g)を前記酸混合物に滴下して加えた。ナノ−粒子の添加後、かき混ぜを続けながら、表面改良剤であるKen−ReactNZ−33(下記表参照)の14.45gを滴下して加える。一方では混合平均温度(bulk temperature)を50℃〜60℃の温度に維持しながら、漸進的減圧下に、得られた混合物から揮発性成分を除去する。
【0121】
工程1.2
いったん揮発性成分の重大な液化(condensing)がもはや観察されなくなったならば、(登録商標Ebecryl114下にCytec社から市販の)2−フェノキシエチルアクリレートの320gを加え、そしてすべての残留揮発性成分を除去してしまう(質量においてその上の変化が示されなくなったとき)まで空気散布(air sparge)下に混合物を漸進的減圧に付す。透明な、やや粘稠な生成物を、エポキシアクリレートオリゴマー(登録商標Ebecryl150下にCytec社から市販のビスフェノール−Aをベースとするエポキシのジアクリレートエステルの160g)で希釈し、そして貯蔵容器に注入する。
その生成物は以下のとおりに特徴づけられる:20℃で(液体としてAbby屈折計で測定して)屈折率=1.5675、非常に淡白な透明乃至やや濁った黄色液体。
【0122】
例1から得られるコーティングフィルム:
例1(20g)をDarocur 1173(Ciba社から市販の慣用の光開始剤)の0.6gと混合し、そしてポリエステルフィルムの基材上にアプリケーターバーを用いて慣用の方法でコーティングフィルムを引き降ろす(be drawn down)。UVランプ下に100フィート/分で数回通過させることにより、コーティングを硬化させて、1.583の屈折率を有する脆い透明なフィルムコーティングを形成する。
【0123】
例 2
(ハロゲン化ナノ−複合物及びコーティング配合物)
例2を調製するたこめの方法は、使用されるUV硬化性プレポリマーが、Ebecrylエポキシアクリレートの(本出願人により調製された)ブロム化類似体(即ち、ビスフェノールA部分が4つのブロモ基で置き換えられている)である以外は例1に記載された方法に類似の方法である。この生成物を調製するために用いられた成分は、下記表に挙げられる。
【0124】
【表1】

【0125】
生成物は以下のとおりに特徴づけられる:
(Fischer Scientific Co.社の屈折計で測定して)屈折率=1.5851。>99%固形分を有する透明な液体。
例2から得られるコーティングフィルム:
例2(20g)をDarocur1173(慣用の光開始剤)の0.6gと混合し、そしてPETフィルムの基材上にアプリケーターバーを用いて慣用の方法でコーティングフィルムを引き降ろす(be drawn down)。2つの中圧水銀Hランプ下に、100フィート/分で4回通過させることによりコーティングをUV硬化させて(Metricon Prism Couplerを用いることにより測定して632nmで)1.6120の屈折率を有するフィルムコーティングを形成する。
【0126】
例 3
(非ハロゲン化、硫黄−含有ナノ−複合物及びコーティング配合物)
以下の表面改良剤を一緒に混合する。1−ベンゾイルアセトン(0.26g)、ジフェニル酢酸(2.55g)、ジフェニルホスフィン酸(0.26g)及びAlbritect6835(0.26g:表参照)。60℃の温度で混合物を全体的(3.33g)に酢酸(51g)に溶解して表面改良溶液を形成する。ナノ−粒子の水性分散液(42.5g)をかき混ぜる。その分散液は、20重量%の二酸化ジルコニウムナノ−粒子、12重量%の酢酸及び68重量%の水を含み、そして Nyacol Nano Technologies,Inc.社からNyacolZrOとして得られる。
【0127】
表面改良溶液を、かき混ぜられたナノ−粒子分散液にゆっくりと添加して、添加後25℃で〜20cPの粘度を有する混合液を得る。次に混合物を60℃に加熱し、そして減圧でなしにRotovapでかき混ぜながらその温度を2時間維持する。次にその混合物をRotovap中で加熱して共沸条件下に酢酸及び水を除去する。留出液は、約12重量%の酢酸及び88重量%の水を含有する。水及び酢酸の95%を除去した後、蒸発を停止してナノ−粒子の完全に乾燥していない湿潤スラリの残留物を残す。
【0128】
酢酸エチル(100ml)をスラリに加え、次に、酢酸エチル(100ml)、トルエン(50ml)及び水(10g)の追加の混合液を加える。酢酸エチル/トルエン/水/残留酢酸の混合液の95%が除去されてしまい、そしてナノ−粒子分散液が湿潤した、そして完全に乾燥していないスラリに変わるまで、共沸条件下に混合物を再び加熱する。この洗浄工程を少なくとも1回繰り返す。
【0129】
酢酸エチルの追加の100mlをスラリに添加してスラリを溶解し、次に(本出願人により調製された)所有者の硫黄含有エポキシアクリレートの20g及び(BIMAX Inc.社からの)フェニルチオールエチルアクリレートの10gからなるUV硬化性樹脂を、表面改良されたナノ−粒子に加えて、そして30分間混合する。60℃で1〜3時間、次に〜95℃で1時間、空気散布(air sparging)且つ減圧(最大30ミリバール)下に混合物を加熱してすべての溶媒及び残留する酢酸及び水を除去する。
得られた生成物は以下のとおりに特徴づけられる:(Fischer Scientific Co.屈折計で測定して)1.5835の屈折率;>99%固形分を有する透明な液体。
【0130】
例3から得られるコーティングフィルム:
例3(20g)をDarocur 1173(慣用の光開始剤)の0.6gと混合し、そしてPETフィルムの基材上にアプリケーターバーを用いて慣用の方法でコーティングフィルムを引き降ろす(be drawn down)。2つの中間圧水銀Hランプ下に、100フィート/分で4回通過させ、コーティングをUV硬化させて(Metricon Prism Couplerを用いて測定して、632nmで)1.6063の屈折率を有するフィルムコーティングを形成する。
【0131】
例 4
以下の表面改良剤を一緒に混合する:酢酸の約100mg中の、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリメタクリルジルコネート(Ken−ReactNZ33)の0.4750g、リン酸トリフェニルの26.53g及びジフェニルホスフィン酸の9.48g。この混合物中にNyacol Nano Technologies Inc.社からのNyacolZrOとして得られる、二酸化ジルコニウムナノ−粒子の20重量%、酢酸の12重量%及び水の68重量%を含む分散液の100gを加える。
次にその混合物をRotovap中で90℃に加熱し、そして真空を徐々に、330ミリバールに減少させる。大部分の水を蒸発させ、そして溶液が透明の状態のままになった後に、約150gの物質が残る。
次に穏やかにかき混ぜながら、アクリル酸フェニルチオエチルの50gを、表面改良されたナノ−粒子に加える。次にすべての揮発性物質が蒸発してしまうまで、Rotovap中で共沸蒸発を続ける。30〜60分間60℃で空気散布(air sparge)を用いて真空を30ミリバール以下に維持し、次に12時間、温度を95℃に上昇させる。
得られた生成物は、以下のとおりに特徴づけられる:(Fischer Scientific Co.社の屈折率計で測定して)1.5802の屈折率;>99%の固形分を有する透明な液体。
【0132】
例4から得られるコーティングフィルム:
例4(15g)を、官能性2.2を有するノボラックエポキシアクリレートの15g及びIrgacure 819(慣用の光開始剤)の0.15gと混合し、そしてポリエステルフィルムの基材上に、アプリケーターバーを用いて慣用の方法でコーテイングフィルムを引き降ろす。2つの中圧水銀Hランプ下に、55フィート/分で3回通過させることによりコーティングをUV硬化させて、(Metricon Prism Couplerを用いて測定して632nmで)1.5904の屈折率を有するフィルムコーティングを形成する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い屈折率(n)の有機−無機混成ナノ−複合物材料であって、該複合物は実質的に均質な混合物であり、そして
i)表面改良された無機ナノ−粒子が、その粒子の疎油性を増大させるためにそれらの表面で少なくとも1種の表面改良剤を含み、その表面改良剤が芳香族及び/又は硫黄含有有機酸、ホスフィン酸及びホスホン酸から選ばれた少なくとも1種の酸を含む、前記表面改良された無機ナノ−粒子の約1重量%〜約99重量%;
ii)少なくとも1種の放射線硬化性重合体前駆体及び随意的に光開始剤の約1重量%〜約99重量%;
を含む、前記有機−無機混成ナノ−複合物材料。
【請求項2】
無機ナノ−粒子が、金属酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、金属及び/又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載のナノ−複合物。
【請求項3】
無機ナノ−粒子が、ZrO、ZnO、SnO、CeO、BaTiO、Sb、ZnS、SnI、V、TiO、Sb、Sb、Sb、CdO、CaO、CuO、FeO、Fe、PbO、Al、及び/又はそれらの混合物を含む、請求項1又は2に記載のナノ−複合物。
【請求項4】
中に分散された表面改良された無機ナノ−粒子が約50nm未満の平均直径を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のナノ−複合物。
【請求項5】
表面改良されたナノ−粒子が合計の複合物の重量に対し、約5%〜約80%の(表面改良剤を含めての)量で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノ−複合物。
【請求項6】
表面改良剤は、1種以上の;有機シラン、金属キレート、オキシホスホ種、及び/又は電子供与体として複数の酸素原子を含む有機種を含み、しかも随意的に表面改良剤はCl、Br、Iを実質的に含まない、請求項1〜5のいずれか1項に記載のナノ−複合物。
【請求項7】
表面改良剤が、複数のカルボキシル基を含む有機種;芳香族的に置換されたカルボキシ化合物;ホスフェート、ホスフィネート及び/又はホスホネート、有機酸;ヒドロキシ錯体及び/又は有機金属エステルを含む、請求項6に記載のナノ−複合物。
【請求項8】
表面改良剤が、随意的に置換されたヒドロカルボ(ジ又はトリ)オン;ベンゾイルアセトン;芳香族及び/又は硫黄−含有酢酸、芳香族及び/又は硫黄−含有ホスホン酸、芳香族及び/又は硫黄−含有ホスフィン酸、芳香族及び/又は硫黄−含有ホスフェート;(メタ)アクリレート化ホスフェート;チタネート及び/又はジルコネートを含む、請求項7に記載のナノ−複合物。
【請求項9】
表面改良剤が、1−ベンゾイルアセトン、ジフェニル酢酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、リン酸トリフェニル、エチレンメタクリレートホスフェート、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン及び/又はネオペンチル(ジアリル)オキシトリメタクリルジルコネートを含む、請求項8に記載のナノ−複合物。
【請求項10】
表面改良剤が、無機ナノ−粒子の重量に対し約0.1%〜約250%の量で存在する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のナノ−複合物。
【請求項11】
表面改良剤の部分として酸が、無機ナノ−粒子の重量に対し約5%〜約150%の量で存在する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のナノ−複合物。
【請求項12】
酸が、ジフェニル酢酸、ジフェニルホスフィン酸及びそれらの(メタ)アクリレート化誘導体及びそれらの混合物から選ばれる、請求項1に記載のナノ−複合物。
【請求項13】
放射線硬化性重合体前駆体(1種又は複数種)が、合計の複合物の重量に対し約5%〜約90%の量で存在する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のナノ−複合物。
【請求項14】
放射線硬化性重合体前駆体(1種又は複数種)が、n≧1.42を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のナノ−複合物。
【請求項15】
放射線硬化性重合体前駆体(1種又は複数種)が、(メタ)アクリレート、エポキシ、ビニル、ビニルエーテル及び/又は他の不飽和結合、光硬化性環式及び/又は芳香族環置換基構造及び/又はそれらの組み合わせ及び/又は混合物から選ばれた1種以上の官能基を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のナノ−複合物。
【請求項16】
放射線硬化性重合体前駆体(1種又は複数種)が、1つ以上の(メタ)アクリレート官能性を含む、請求項15に記載のナノ−複合物。
【請求項17】
塩素、臭素及び/又はヨウ素を含む有機種を実質的に含有しない、請求項1〜16のいずれか1項に記載のナノ−複合物。
【請求項18】
方法が:
a)第1担体流体中の無機ナノ−粒子の水性分散液を用意し;
b)工程(a)からの分散液に少なくとも1種の表面改良剤を加え;
c)表面改良剤とナノ−粒子の表面との間の相互作用を高めるために該第1担体流体の少なくとも部分を除去し;
d)表面改良が実質的に完了した後の随意的な洗浄工程であって、それにおいて、
i)ナノ−粒子混合物に適当な追加の担体流体を加え、そして次に
ii)共沸蒸留により担体流体を除去し;
e)混合物に、放射線硬化性重合体前駆体及び随意的に光開始剤を加えて、
表面改良された無機−ナノ粒子及び放射線硬化性重合体前駆体の緊密な混合物を含む混成複合物を形成する、
諸工程を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の混成ナノ−複合物を製造する方法。
【請求項19】
約25℃〜95℃の温度で実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
混成複合物が、60℃で約20,000cPs未満の粘度を有する安定な均質な液体である、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
(1)請求項1〜17のいずれか1項に記載の、及び/又は請求項18〜20のいずれか1項に記載された方法から得られた、又はそれから得ることができる、未硬化の混成ナノ−複合物を、基材にコーティングし、随意的にそれからすべての残留担体流体を除去し、そして
(2)コーティングされた基材を、活性放射線(化学線)で照射して重合体前駆体を重合して、
固体重合体マトリックス内に実質的に均質に分散された無機ナノ−粒子を含む、基材上に均質なコーティングを有するコーティングされた基材を形成し、しかも、そのコーティングフィルムが、重合体前駆体単独の放射線硬化によりその重合体前駆体から形成された重合体フィルムよりも良好な高い透明度、及びより良好な引っかき抵抗を有する、諸工程を含む、
高い屈折率のコーティングを調製する方法。


【公表番号】特表2010−509476(P2010−509476A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536695(P2009−536695)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061770
【国際公開番号】WO2008/058849
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(505365965)サイテック サーフェース スペシャリティーズ、エス.エイ. (38)
【Fターム(参考)】