放射線計測システム
【課題】暗電流に基づくノイズによる影響を抑制して放射線量を計測することができる放射線計測システムを提供する。
【解決手段】画像処理装置40は、予め設定される計測期間にわたってCCDカメラ30で撮影された画像の輝度ヒストグラムを、各画素毎に求める。画像処理装置40は、各画素毎に、求められた輝度ヒストグラムの輝度の平均値から、ピーク輝度を減算した値を算出することによって、暗電流に基づく輝度を除去する。これによって各画素における放射線に基づく輝度と推定することができる。
【解決手段】画像処理装置40は、予め設定される計測期間にわたってCCDカメラ30で撮影された画像の輝度ヒストグラムを、各画素毎に求める。画像処理装置40は、各画素毎に、求められた輝度ヒストグラムの輝度の平均値から、ピーク輝度を減算した値を算出することによって、暗電流に基づく輝度を除去する。これによって各画素における放射線に基づく輝度と推定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を計測する放射線計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種製品の摩耗部において、放射化された部材から発せられる放射線量の減少度合いを測定することにより摩耗量を測定する方法が知られている。
【0003】
このような方法を実施するためには、対象物から発せられる放射線量を正確に計測する必要がある。従来の放射線計測装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の放射線計測装置は、放射線によって発光するシンチレータを備え、シンチレータをカメラで撮像して、画像処理することによって、放射線量を計測している。
【0004】
しかしながら、シンチレータの放射線(ガンマ線)による発光は微弱で間欠的であるという特徴があり、発光輝度がカメラの暗電流成分と区別がつきにくいという問題がある。したがって、このような発光を計測する放射線計測装置においては、一定の周波数で画像を撮りためて、発光輝度と暗電流成分とを区別する必要がある。また撮りためた画像の暗電流成分は、熱の揺らぎであるため正規分布となるが、カメラを構成する受光素子毎に熱の揺らぎが異なるので、暗電流成分を素子毎に求める必要がある。
【0005】
このような問題に対して、暗電流を推定する方法が特許文献2に開示されている。特許文献2に記載の信号処理方法では、光が照射しない領域としてオプティカルブラック領域を設け、その領域の輝度平均値を暗電流レベルとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−25658号公報
【特許文献2】特開2006−345423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献2の記載のように、オプティカルブラック領域を用いて暗電流レベルを推定した場合、空間的なばらつきに対応できない。具体的には、シンチレータで発光する微弱発光を撮像するためには、フォトンカウンティングモードで撮像手段のゲインを最大限にあげる必要がある。その結果得られた画像中には、輝点が点在する。しかしながら、ゲインを最大限に上げた状態では撮像素子のばらつきが大きくなり、単純に素子毎に輝度を積算して平均処理を行っても信号対雑音比(S/N比)が悪くなり、空間的な平均処理を行うと、得たい信号が暗電流成分に埋もれてしまう。
【0008】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、暗電流に基づくノイズによる影響を抑制して放射線量を計測することができる放射線計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0010】
請求項1に記載の発明に従えば、画像処理手段は、予め設定される計測期間にわたって撮影手段で撮影された画像の輝度ヒストグラムを各画素毎に求める。ノイズである暗電流に基づく輝度ヒストグラムは、正規分布で近似できる特性を有する。また暗電流に基づく輝度の頻度は、放射線量に基づく輝度の頻度よりも大きいという特性を有する。したがって各画素毎に得られた輝度ヒストグラムの最大頻度の輝度(以下、「ピーク輝度」ということがある)は、暗電流に起因する輝度であると推定することができる。また暗電流の輝度ヒストグラムは、正規分布である。ここで正規分布の平均値は、その中心値、すなわち最大値である。したがって画像処理手段が、各画素毎に、求められた輝度ヒストグラムの輝度の平均値から、ピーク輝度を減算した値を算出することによって、暗電流に基づく輝度を除去することができる。これによって前述のように算出した値を、各画素における放射線に基づく輝度と推定することができる。したがって暗電流に基づくノイズによる影響を抑制することができ、高精度に放射線量を計測することができる。
【0011】
また請求項2に記載の発明に従えば、画像処理手段は、ピーク輝度と、ピーク輝度の前後に位置する2つの頻度が正規分布に位置すると仮定して、正規分布の中心値を算出する。前述のように暗電流に基づく輝度ヒストグラムは、正規分布で近似できる特性を有するが、輝度ヒストグラムにおける輝度は連続的でなく離散的であるので、必ずしもピーク輝度が、正規分布の中心値と一致しない場合がある。このような場合であっても、本発明のように正規分布の中心値を算出することによって、より高精度に暗電流に基づく輝度の頻度の最大値を算出することができる。
【0012】
さらに請求項3に記載の発明に従えば、画像処理手段は、ピーク輝度が、輝度ヒストグラムにおける輝度の最小値または最大値である場合には、中心値に換えてピーク輝度を減算する輝度に設定する。ピーク輝度が、輝度ヒストグラムの最小値または最大値である場合には、前後の3点を用いて正規分布の中心値を特定することが困難であるので、本発明のような処理をすることによって、正規分布の中心値に近い値を用いることができる。
【0013】
さらに請求項4に記載の発明に従えば、画像処理手段は、ピーク輝度の前後の値において、少なくともいずれか一方の頻度が0である場合には、中心値に換えてピーク輝度を減算する輝度に設定する。ピーク輝度の前後の値において、少なくともいずれか一方の頻度が0である場合には、前後の3点を用いて正規分布の中心値を特定することが困難であるので、本発明のような処理をすることによって、正規分布の中心値に近い値を用いることができる。
【0014】
さらに請求項5に記載の発明に従えば、画像処理手段は、撮影手段の撮影と並行して、終了した計測期間にて撮影された画像に対して、減算する処理を行う。換言すると、撮影手段による撮影と、画像処理手段による処理を並列的に行うことができる。これによって画像処理手段が処理待ちの期間を少なくすることがで、全ての処理が終了するまでの期間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】放射線計測システム100を簡略化して示す正面図である。
【図2】輝度値を算出する処理を示すフローチャートである。
【図3】暗電流推定処理を示すフローチャートである。
【図4】各画素における輝度のヒストグラム化を説明するための図である。
【図5】各画素における輝度のヒストグラム化を説明するための図である。
【図6】輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。
【図7】ピーク輝度が0の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。
【図8】ピーク輝度が最大値の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。
【図9】ステップB5の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。
【図10】ステップB6の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。
【図11】ピーク輝度から中心値を推定する処理を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、図1〜図11を用いて説明する。図1は、放射線計測システム100を簡略化して示す正面図である。放射線計測システム100は、放射線源から放射される放射線を計測するものとして用いられるものである。放射線計測システム100は、たとえば測定対象の摩耗量および測定対象の厚みの測定などに用いられる。放射線計測システム100が摩耗量を測定する場合には、予め摩耗量を測定したい対象物を放射化し、放射化された対象物が摩耗すると放射線量が変化することを利用して、対象物から発せられる放射線を所定時間検出することにより、対象物の摩耗量を測定することができる。また放射線計測システム100が対象物の厚みを測定する場合には、予め厚みを測定したい対象物の反対側に放射化した物体を配置し、放射化された物体から発せられる放射線量が対象物の厚みの大小によって変化することを利用して、対象物と透過した放射線を検出することにより、対象物の厚みを測定することができる。
【0017】
放射線計測システム100は、放射線プローブ10と、増倍ユニット20と、電荷結合素子(Charge-Coupled Device:略称CCD)カメラ30と、画像処理装置40とを含んで構成されている。
【0018】
放射線プローブ10は、放射線源から放射される放射線を検出するものである。この放射線プローブ10は放射線を検出すると、放射線を放射線エネルギーに応じた光として取得する構成になっている。そして、放射線プローブ10は、増倍ユニット20に取り付けられている。
【0019】
増倍ユニット20は、放射線プローブ10で検出された光の強度を増倍させるものである。具体的に、増倍ユニット20は、放射線プローブ10から射出された光を光電面に当てて電子に変換して増幅し、増幅した電子を蛍光面に当てることにより、増幅した電子の量に応じた光に変換する。
【0020】
CCDカメラ30は、増倍ユニット20で増幅された光を撮影するものである。このCCDカメラ30は増倍ユニット20に取り付けられており、増倍ユニット20から放出された光を撮影する。
【0021】
画像処理装置40は、CCDカメラ30で撮影された画像を取り込み、画像処理を行う機能を有するものである。画像処理装置40では、撮影された画像のノイズ処理、多数の画像の加減算処理、画像の保存等の各種処理が行われる。画像処理装置40としては、一般的なパーソナルコンピュータ等が用いられる。
【0022】
次に、放射線プローブ10の構成についてさらに説明する。放射線プローブ10は、シンチレータ11と、光導波路12と、金属ケース13とを備えている。
【0023】
シンチレータ11は、放射線を光に変換する放射線−光変換器である。具体的に、シンチレータ11は、放射線(ガンマ線)が照射されるとその放射線エネルギーを吸収して光を発する蛍光板である。この光は、シンチレータ11内の一点を中心に放射状に四方八方へ放射される。本実施形態では、シンチレータ11は、2mm角の板状のものが採用される。
【0024】
光導波路12は、一方から他方に光を導くものである。光導波路12は、一端部と他端部とを有している。本実施形態では、1本の光導波路12は2mm角の棒状をなしている。
【0025】
また、光導波路12の一端部には光が入射される入射面12aが設けられ、他端部には光が射出される射出面12bが設けられている。入射面12aは棒状の光導波路12の一方の端面であり、射出面12bは棒状の光導波路12の他方の端面である。
【0026】
入射面12aは射出面12bに対して角度を持っている。具体的には、入射面12aは、射出面12bに対して垂直に配置されている。このため、入射面12aと射出面12bとが垂直になるように、光導波路12の一端部と他端部との間の一部が曲げられた形状になっている。
【0027】
光導波路12の材質は、たとえばアクリル樹脂である。アクリル樹脂は曲がりやすく、加工しやすい材料であるため、図1に示されるような形状の光導波路12を作りやすくすることができる。光導波路12の形成方法としては、棒状のアクリル樹脂を曲げる方法や、一つのブロックを光導波路12の形状に削る方法がある。一方、アクリル樹脂を型成形することにより光導波路12を得ることもできる。
【0028】
光導波路12の側面には、反射材(図示せず)が設けられている。反射材として、たとえば金属箔や金属の蒸着膜が採用される。金属としては、反射効率が高いAl(アルミニウム)などが採用される。このような反射材処理が施されていることにより、光導波路12内を伝達する光の漏れを防止できる。また、反射材による光導波路12内での集光効率も向上する。
【0029】
そして、入射面12aから光が入射されると、この光が光導波路12と外部との境界で反射しながら光導波路12内を伝達していき、射出面12bから光導波路12の外部に射出されることとなる。光導波路12の一部が曲げられているため、該曲がった部分で一端部側から他端部側に光を導けるように光導波路12に反射面12cが設けられている。
【0030】
この反射面12cは、入射面12aおよび射出面12bに対して傾けられ、入射面12aから入射された光を反射させて他端部側に導く役割を果たす。また、光導波路12の一端部側から他端部側に伝達する光が当該曲がった部分で反射せずに光導波路12の外部に漏れることを防止する。
【0031】
光導波路12の入射面12aにシンチレータ11が接着剤等により取り付けられ、1本の光導波路12と該光導波路12に取り付けられたシンチレータ11とで一つの組が構成されている。本実施形態では、図1に示されるように、光導波路12とシンチレータ11との組が5つ備えられている。
【0032】
また、図1に示されるように、各組のシンチレータ11それぞれが一次元に配置され、光導波路12とシンチレータ11との5つの組が一体化されている。一次元に配置されているので、放射線源に対して相対的に変位させることによって、2次元の領域を測定対象とすることができる。
【0033】
そして、一体化された各光導波路12は有底筒状の金属ケース13で覆われている。すなわち、シンチレータ11が取り付けられた各光導波路12は、それぞれの射出面12bを除いて金属ケース13に収納された状態になっている。
【0034】
この金属ケース13は、シンチレータ11や光導波路12を外部から保護する役割を果たすものである。また、シンチレータ11で発せられた光は弱い光であるため、外部からのノイズに影響されやすい。しかし、金属ケース13によって光導波路12を覆い隠すことにより、外部からのノイズを遮断できる。金属ケース13の材質として、SUSやAl等が採用される。
【0035】
次に、上記の放射線プローブ10が備えられた放射線計測システム100で放射線を計測する方法について説明する。先ず、放射線プローブ10のシンチレータ11と放射線源とを対向させる。このとき、金属ケース13を放射線源に接触させることがもっとも良い。放射線源が動いているものや、ハウジング内の構造によっては近づけることが難しいものについては、放射線源になるべくシンチレータ11を近づけるようにする。
【0036】
放射線源から放射線が放射されていれば、放射線が金属ケース13を通過してシンチレータ11に入射する。これにより、シンチレータ11が放射線エネルギーを吸収して光を発する。この光が光導波路12の入射面12aから光導波路12内に照射され、光導波路12内を伝達して射出面12bから射出されると共に増倍ユニット20に入射する。
【0037】
この後、増倍ユニット20で光が電子に変換されて増幅され、増幅された電子が再び光に変換される。この光をCCDカメラ30で撮影し、撮影した画像を画像処理装置40に取り込む。
【0038】
画像処理装置40により、放射線源とシンチレータ11との距離に基づく干渉を考慮したノイズ処理等を行って画像化を図る。これにより、放射線源から放射線が放射されていればその分布が表示された画像が得られ、放射線が放射されていなければ何も表示されない画像が得られる。このようにして、放射線計測が完了する。
【0039】
次に、画像処理装置40による暗電流に基づくノイズを除去する画像処理に関して説明する。図2は、画像処理装置40における輝度値を算出する処理を示すフローチャートである。本フローは、放射線計測を行っている間、短時間に繰り返し実行される。
【0040】
ステップA1では、CCDカメラ30が画像を予め設定されるK枚画像を撮影したか否かを判断し、K枚撮影している場合には、ステップA2に移る。ここで画像の枚数は、フレーム数と同義であり、Kは正の整数であって、予め設定される計測期間とCCDカメラ30の性能とに基づいて設定される。たとえばCCDカメラ30の性能が167fps(Frame Per Second)である場合、5分間にわたって撮影すると、画像は50100枚となる。本実施形態では、Kは50000に設定されているものとする。
【0041】
ステップA2では、K枚の画像が撮れたので、そのK枚の画像における暗電流による輝度を推定する暗電流推定処理を行い、ステップA3に移る。暗電流推定処理の詳細については、後述する。
【0042】
ステップA3では、K枚の画像における輝度の平均値から、暗電流推定処理によって得られた暗電流に基づく輝度の平均値を減算し、本フローを終了する。
【0043】
次に、暗電流推定処理に関して説明する。図3は、暗電流推定処理を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、図2にてステップA2に至ると、開始される。
【0044】
ステップB1では、K枚の画像に基づく輝度データをヒストグラム化する処理を行い、ステップB2に移る。
【0045】
ここで、輝度データをヒストグラム化する目的について説明する。図3は、各画像における輝度のヒストグラム化を説明するための図である。図4は、輝度のヒストグラム化を説明するための図である。図5は、各画素における輝度のヒストグラム化を説明するための図である。輝度のヒストグラム化は、各画素において行われ、輝度ヒストグラムは、画像中の各画素の輝度値の分布をグラフにしたものである。輝度値は、CCDカメラ30が撮影した画像をAD(アナログ−デジタル)変換するので、撮影によって得られる輝度は離散的になる。したがって図4に示すように、各画像中の同位置の画素(Pixel)の輝度値の分布を作成することができる。このヒストグラム化は、図5に示すように、全ての画素について行う。図6は、輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。図6では、理解を容易にするため、暗電流に基づく輝度分布を破線で示し、放射線に基づく輝度分布を実線で示す。図6に示すように、暗電流に基づく輝度を除去しないと、放射線に基づく輝度を検出することができない。したがって暗電流に基づく輝度を推定する必要がある。
【0046】
ノイズである暗電流に基づく輝度ヒストグラムは、正規分布で近似できる特性を有する。また暗電流に基づく輝度の頻度は、放射線量(ガンマ線量)に基づく輝度の頻度よりも大きいという特性を有する。したがって各画素毎に得られた輝度ヒストグラムの頻度の最大値(最大頻度)は、暗電流に起因する最大頻度であると推定することができる。また暗電流の輝度ヒストグラムは、正規分布である。ここで正規分布の平均値は、その中心値、すなわち最大頻度である。したがってステップA3にして示したように、各画素毎に、求められた輝度ヒストグラムの輝度の平均値から、求められた輝度ヒストグラムにおける最大頻度の輝度を減算した値を算出することによって、暗電流に基づく輝度を除去することができる(数1および数2参照)。
【数1】
【0047】
【数2】
【0048】
次に、ステップB2では、輝度ヒストグラムから、ピーク輝度を算出し、ステップB3に移る。ピーク輝度とは、出現頻度が最も多い輝度のことであり、輝度ヒストグラムの頻度の最大値ということもある。これは輝度ヒストグラムから求めることができる。
【0049】
次に、ステップB3では、ピーク輝度が0か輝度ヒストグラムにおける輝度の最大値である場合には、ステップB4に移り、ピーク輝度が0か輝度ヒストグラムにおける輝度の最大値でない場合には、ステップB5に移る。ステップB4では、ピーク輝度が0か輝度ヒストグラムにおける輝度の最大値であるので、中心値をピーク輝度に設定し、本フローを終了する。
【0050】
図7は、ピーク輝度が0の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。図8は、ピーク輝度が最大値の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。図7および図8に示すように、CCDカメラ30の設定によっては、暗電流の中心成分と推定される部分がCCDカメラ30の輝度の最大および最小に収まらない場合がある。このような場合には、ステップB4のように、中心値をピーク輝度に設定することにしている。
【0051】
次に、ステップB5では、ピーク輝度が0か輝度の最大値でないので、ピーク輝度の前後の輝度のうち、少なくとも片側の頻度が0であるか否かを判断し、0である場合には、ステップB4に移り、0でない場合には、ステップB6に移る。ステップB5から移行したステップB4では、前述の場合と同様に、中心値をピーク輝度に設定し、本フローを終了する。
【0052】
図9は、ピーク輝度の両側の頻度が0の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。図9に示すように、輝度は離散的であるので、破線で示すように暗電流成分が非常に狭い領域で発生した場合に、最大頻度を持つ輝度の少なくとも一方側(図9では両側)の頻度が0になる場合がある。このような場合には、ステップB4のように、中心値をピーク輝度に設定することにしている。
【0053】
次に、ステップB6では、ピーク輝度が0か輝度の最大値でなく、さらにピーク輝度の少なくとも片側の頻度が0でもないので、ピーク輝度と前後2点とを含む合計3点の対数の傾きから中心値を推定し、本フローを終了する。
【0054】
図10は、ステップB6における処理が実行される場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。図11は、図10に示すピーク輝度から中心値を推定する処理を説明するためのグラフである。図10および図11に示すように、輝度ヒストグラムの最大値と、最大値の前後に位置する2つの頻度が正規分布に位置すると仮定して、正規分布の中心値を算出する。前述のように暗電流に基づく輝度ヒストグラムは、正規分布で近似できる特性を有するが、輝度ヒストグラムにおける輝度は連続的でなく離散的であるので、必ずしも輝度ヒストグラムにおける頻度の最大値(ピーク輝度)が、正規分布の中心値と一致しない場合がある。そこで図11に示すように、ピーク輝度の微分係数(傾き)と、前後2点の頻度の微分係数(傾き)を求め、3つの微分係数(微係数ともいう)を直線で結んだ場合に、微分係数が0の位置に対応する輝度を算出する。このように算出された輝度が、正規分布の頂点と推定することができる。したがって推定された輝度値が、正規分布の平均値となる。
【0055】
このように図3に示すフローチャートによって、各画素の輝度ヒストグラムの最大値と、その周辺の頻度の値に基づいて、中心値が推定される。図3に示すフローが終了すると、図2に示すステップA2が終了したことになり、ステップA3に移る。
【0056】
暗電流推定処理によって得られた暗電流に基づく輝度の平均値は、すなわち中心値である。これによって前述したように、ステップA3にて、K枚の画像における輝度の平均値から、暗電流推定処理で得られた中心値を減算することによって、暗電流に基づく輝度成分を除去することができる。
【0057】
また図2に示すフローチャートは、短時間に繰返し実行される。したがって計測期間が1つではなく、連続的または不連続に互いに異なる複数の計測期間が設定されおり、各計測期間毎に放射線に基づく輝度を推定する処理を行う場合には、画像処理装置40は、K枚撮影毎にステップA2以降の処理が実行されることになる。したがって現在、K枚撮影中の場合であっても、以前撮影した未処理のK枚の画像があれば、現在が計測期間中であるか否かにかかわらず、未処理のK枚の画像に対して処理を実行することができる。換言すると、CCDカメラ30の撮影中に、いわゆる画像処理装置40がバックグラウンド処理を実行することができる。
【0058】
以上説明したように本実施形態の画像処理手段である画像処理装置40は、予め設定される計測期間(本実施形態では約5分間)にわたって撮影手段であるCCDカメラ30で撮影された画像の輝度ヒストグラムを、各画素毎に求める。画像処理装置40は、各画素毎に、求められた輝度ヒストグラムの輝度の平均値から、ピーク輝度を減算した値を算出することによって、暗電流に基づく輝度を除去することができる。換言すると、任意の枚数の画像の輝度ヒストグラムのピーク輝度を、得られた画像の暗電流成分の時間平均値とみなし、元の時間積算データから引くことで正味の強度分布を得ることができる。さらに換言すると、暗電流推定処理で求めた暗電流の中心値と、同じ測定データの平均値の差から真の信号値を推定することができる。これによって前述のように算出した値を、各画素における放射線に基づく輝度と推定することができる。したがって暗電流に基づくノイズによる影響を抑制することができ、高精度に放射線量を計測することができる。
【0059】
また本実施形態では、画像処理装置40は、ステップB6にて説明したように、ピーク輝度と、ピーク輝度の前後に位置する2つの頻度が正規分布に位置すると仮定して、正規分布の中心値を算出する。前述のように暗電流に基づく輝度ヒストグラムは、正規分布で近似できる特性を有するが、輝度ヒストグラムにおける輝度は連続的でなく離散的であるので、必ずしもピーク輝度が、正規分布の中心値と一致しない場合がある。このような場合であっても、ステップB6のように正規分布の中心値を算出することによって、より高精度に暗電流に基づく輝度の最大値を算出することができる。
【0060】
さらに本実施形態では、画像処理装置40は、ステップB3にて説明したように、ピーク輝度が、輝度ヒストグラムにおける輝度の最小値または最大値である場合には、ピーク輝度を平均値から減算する値に設定する。ピーク輝度が、輝度の最小値または最大値である場合には、前後の3点を用いて正規分布の中心値を特定することが困難であるので、ステップB3のような処理をすることによって、正規分布の中心値に近い値を用いることができる。
【0061】
また本実施形態では、画像処理装置40は、ステップB5にて説明したように、最大頻度の前後の値において、少なくともいずれか一方の頻度が0である場合には、ピーク輝度を平均値から減算する値に設定する。ピーク輝度の前後の値において、少なくともいずれか一方の頻度が0である場合には、前後の3点を用いて正規分布の中心値を特定することが困難であるので、ステップB5のような処理をすることによって、正規分布の中心値に近い値を用いることができる。
【0062】
さらに本実施形態では、CCDカメラ30の撮影と並行して、終了した計測期間にて撮影された画像に対して、暗電流推定処理を行う。したがって現在が計測期間中であっても、現在の計測期間よりも以前の計測期間にて撮影された画像に対して、各画素における放射線に基づく輝度を推定する処理を行うことになる。換言すると、CCDカメラ30による撮影と、画像処理装置40による処理を並列的に行うことができる。これによって画像処理装置40が処理待ちの期間を少なくすることがで、全ての処理が終了するまでの期間を短くすることができる。
【0063】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0064】
前述の第1実施形態では、撮影手段は、CCDカメラ30によって実現されているが、CCDカメラ30に限るものではなく、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor:略称CMOS)カメラであってもよい。
【0065】
前述の第1実施形態では、ステップB6によって中心値を推定する処理を行っているが、暗電流推定処理では、ステップB3からステップB6までの処理に代えて、ステップB2で得られたピーク輝度を中心値とするように処理してもよい。これによって推定の精度はやや低下するが、処理を単純にでき処理の高速化を実現することができる。
【0066】
また前述の第1実施形態では、放射線プローブ10は複数の光導波路12を備えた構成になっているが、1本の光導波路と1つのシンチレータとによって放射線プローブを構成することも可能である。また、光導波路12を一次元に5本並べるだけでなく、2本や6本以上を並べるようにしても良い。同様に、光導波路を二次元に並べる場合には、5×5の配置でもよく、3×3、7×7および3×5といった配置でも良い。また光導波路12は棒状のものであったが、光ファイバーのような管状のものでも良い。
【符号の説明】
【0067】
10…放射線プローブ
11…シンチレータ
12…光導波路
13…金属ケース
20…増倍ユニット
30…CCDカメラ(撮影手段)
40…画像処理装置(画像処理手段)
100…放射線計測システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を計測する放射線計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種製品の摩耗部において、放射化された部材から発せられる放射線量の減少度合いを測定することにより摩耗量を測定する方法が知られている。
【0003】
このような方法を実施するためには、対象物から発せられる放射線量を正確に計測する必要がある。従来の放射線計測装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の放射線計測装置は、放射線によって発光するシンチレータを備え、シンチレータをカメラで撮像して、画像処理することによって、放射線量を計測している。
【0004】
しかしながら、シンチレータの放射線(ガンマ線)による発光は微弱で間欠的であるという特徴があり、発光輝度がカメラの暗電流成分と区別がつきにくいという問題がある。したがって、このような発光を計測する放射線計測装置においては、一定の周波数で画像を撮りためて、発光輝度と暗電流成分とを区別する必要がある。また撮りためた画像の暗電流成分は、熱の揺らぎであるため正規分布となるが、カメラを構成する受光素子毎に熱の揺らぎが異なるので、暗電流成分を素子毎に求める必要がある。
【0005】
このような問題に対して、暗電流を推定する方法が特許文献2に開示されている。特許文献2に記載の信号処理方法では、光が照射しない領域としてオプティカルブラック領域を設け、その領域の輝度平均値を暗電流レベルとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−25658号公報
【特許文献2】特開2006−345423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献2の記載のように、オプティカルブラック領域を用いて暗電流レベルを推定した場合、空間的なばらつきに対応できない。具体的には、シンチレータで発光する微弱発光を撮像するためには、フォトンカウンティングモードで撮像手段のゲインを最大限にあげる必要がある。その結果得られた画像中には、輝点が点在する。しかしながら、ゲインを最大限に上げた状態では撮像素子のばらつきが大きくなり、単純に素子毎に輝度を積算して平均処理を行っても信号対雑音比(S/N比)が悪くなり、空間的な平均処理を行うと、得たい信号が暗電流成分に埋もれてしまう。
【0008】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、暗電流に基づくノイズによる影響を抑制して放射線量を計測することができる放射線計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0010】
請求項1に記載の発明に従えば、画像処理手段は、予め設定される計測期間にわたって撮影手段で撮影された画像の輝度ヒストグラムを各画素毎に求める。ノイズである暗電流に基づく輝度ヒストグラムは、正規分布で近似できる特性を有する。また暗電流に基づく輝度の頻度は、放射線量に基づく輝度の頻度よりも大きいという特性を有する。したがって各画素毎に得られた輝度ヒストグラムの最大頻度の輝度(以下、「ピーク輝度」ということがある)は、暗電流に起因する輝度であると推定することができる。また暗電流の輝度ヒストグラムは、正規分布である。ここで正規分布の平均値は、その中心値、すなわち最大値である。したがって画像処理手段が、各画素毎に、求められた輝度ヒストグラムの輝度の平均値から、ピーク輝度を減算した値を算出することによって、暗電流に基づく輝度を除去することができる。これによって前述のように算出した値を、各画素における放射線に基づく輝度と推定することができる。したがって暗電流に基づくノイズによる影響を抑制することができ、高精度に放射線量を計測することができる。
【0011】
また請求項2に記載の発明に従えば、画像処理手段は、ピーク輝度と、ピーク輝度の前後に位置する2つの頻度が正規分布に位置すると仮定して、正規分布の中心値を算出する。前述のように暗電流に基づく輝度ヒストグラムは、正規分布で近似できる特性を有するが、輝度ヒストグラムにおける輝度は連続的でなく離散的であるので、必ずしもピーク輝度が、正規分布の中心値と一致しない場合がある。このような場合であっても、本発明のように正規分布の中心値を算出することによって、より高精度に暗電流に基づく輝度の頻度の最大値を算出することができる。
【0012】
さらに請求項3に記載の発明に従えば、画像処理手段は、ピーク輝度が、輝度ヒストグラムにおける輝度の最小値または最大値である場合には、中心値に換えてピーク輝度を減算する輝度に設定する。ピーク輝度が、輝度ヒストグラムの最小値または最大値である場合には、前後の3点を用いて正規分布の中心値を特定することが困難であるので、本発明のような処理をすることによって、正規分布の中心値に近い値を用いることができる。
【0013】
さらに請求項4に記載の発明に従えば、画像処理手段は、ピーク輝度の前後の値において、少なくともいずれか一方の頻度が0である場合には、中心値に換えてピーク輝度を減算する輝度に設定する。ピーク輝度の前後の値において、少なくともいずれか一方の頻度が0である場合には、前後の3点を用いて正規分布の中心値を特定することが困難であるので、本発明のような処理をすることによって、正規分布の中心値に近い値を用いることができる。
【0014】
さらに請求項5に記載の発明に従えば、画像処理手段は、撮影手段の撮影と並行して、終了した計測期間にて撮影された画像に対して、減算する処理を行う。換言すると、撮影手段による撮影と、画像処理手段による処理を並列的に行うことができる。これによって画像処理手段が処理待ちの期間を少なくすることがで、全ての処理が終了するまでの期間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】放射線計測システム100を簡略化して示す正面図である。
【図2】輝度値を算出する処理を示すフローチャートである。
【図3】暗電流推定処理を示すフローチャートである。
【図4】各画素における輝度のヒストグラム化を説明するための図である。
【図5】各画素における輝度のヒストグラム化を説明するための図である。
【図6】輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。
【図7】ピーク輝度が0の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。
【図8】ピーク輝度が最大値の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。
【図9】ステップB5の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。
【図10】ステップB6の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。
【図11】ピーク輝度から中心値を推定する処理を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、図1〜図11を用いて説明する。図1は、放射線計測システム100を簡略化して示す正面図である。放射線計測システム100は、放射線源から放射される放射線を計測するものとして用いられるものである。放射線計測システム100は、たとえば測定対象の摩耗量および測定対象の厚みの測定などに用いられる。放射線計測システム100が摩耗量を測定する場合には、予め摩耗量を測定したい対象物を放射化し、放射化された対象物が摩耗すると放射線量が変化することを利用して、対象物から発せられる放射線を所定時間検出することにより、対象物の摩耗量を測定することができる。また放射線計測システム100が対象物の厚みを測定する場合には、予め厚みを測定したい対象物の反対側に放射化した物体を配置し、放射化された物体から発せられる放射線量が対象物の厚みの大小によって変化することを利用して、対象物と透過した放射線を検出することにより、対象物の厚みを測定することができる。
【0017】
放射線計測システム100は、放射線プローブ10と、増倍ユニット20と、電荷結合素子(Charge-Coupled Device:略称CCD)カメラ30と、画像処理装置40とを含んで構成されている。
【0018】
放射線プローブ10は、放射線源から放射される放射線を検出するものである。この放射線プローブ10は放射線を検出すると、放射線を放射線エネルギーに応じた光として取得する構成になっている。そして、放射線プローブ10は、増倍ユニット20に取り付けられている。
【0019】
増倍ユニット20は、放射線プローブ10で検出された光の強度を増倍させるものである。具体的に、増倍ユニット20は、放射線プローブ10から射出された光を光電面に当てて電子に変換して増幅し、増幅した電子を蛍光面に当てることにより、増幅した電子の量に応じた光に変換する。
【0020】
CCDカメラ30は、増倍ユニット20で増幅された光を撮影するものである。このCCDカメラ30は増倍ユニット20に取り付けられており、増倍ユニット20から放出された光を撮影する。
【0021】
画像処理装置40は、CCDカメラ30で撮影された画像を取り込み、画像処理を行う機能を有するものである。画像処理装置40では、撮影された画像のノイズ処理、多数の画像の加減算処理、画像の保存等の各種処理が行われる。画像処理装置40としては、一般的なパーソナルコンピュータ等が用いられる。
【0022】
次に、放射線プローブ10の構成についてさらに説明する。放射線プローブ10は、シンチレータ11と、光導波路12と、金属ケース13とを備えている。
【0023】
シンチレータ11は、放射線を光に変換する放射線−光変換器である。具体的に、シンチレータ11は、放射線(ガンマ線)が照射されるとその放射線エネルギーを吸収して光を発する蛍光板である。この光は、シンチレータ11内の一点を中心に放射状に四方八方へ放射される。本実施形態では、シンチレータ11は、2mm角の板状のものが採用される。
【0024】
光導波路12は、一方から他方に光を導くものである。光導波路12は、一端部と他端部とを有している。本実施形態では、1本の光導波路12は2mm角の棒状をなしている。
【0025】
また、光導波路12の一端部には光が入射される入射面12aが設けられ、他端部には光が射出される射出面12bが設けられている。入射面12aは棒状の光導波路12の一方の端面であり、射出面12bは棒状の光導波路12の他方の端面である。
【0026】
入射面12aは射出面12bに対して角度を持っている。具体的には、入射面12aは、射出面12bに対して垂直に配置されている。このため、入射面12aと射出面12bとが垂直になるように、光導波路12の一端部と他端部との間の一部が曲げられた形状になっている。
【0027】
光導波路12の材質は、たとえばアクリル樹脂である。アクリル樹脂は曲がりやすく、加工しやすい材料であるため、図1に示されるような形状の光導波路12を作りやすくすることができる。光導波路12の形成方法としては、棒状のアクリル樹脂を曲げる方法や、一つのブロックを光導波路12の形状に削る方法がある。一方、アクリル樹脂を型成形することにより光導波路12を得ることもできる。
【0028】
光導波路12の側面には、反射材(図示せず)が設けられている。反射材として、たとえば金属箔や金属の蒸着膜が採用される。金属としては、反射効率が高いAl(アルミニウム)などが採用される。このような反射材処理が施されていることにより、光導波路12内を伝達する光の漏れを防止できる。また、反射材による光導波路12内での集光効率も向上する。
【0029】
そして、入射面12aから光が入射されると、この光が光導波路12と外部との境界で反射しながら光導波路12内を伝達していき、射出面12bから光導波路12の外部に射出されることとなる。光導波路12の一部が曲げられているため、該曲がった部分で一端部側から他端部側に光を導けるように光導波路12に反射面12cが設けられている。
【0030】
この反射面12cは、入射面12aおよび射出面12bに対して傾けられ、入射面12aから入射された光を反射させて他端部側に導く役割を果たす。また、光導波路12の一端部側から他端部側に伝達する光が当該曲がった部分で反射せずに光導波路12の外部に漏れることを防止する。
【0031】
光導波路12の入射面12aにシンチレータ11が接着剤等により取り付けられ、1本の光導波路12と該光導波路12に取り付けられたシンチレータ11とで一つの組が構成されている。本実施形態では、図1に示されるように、光導波路12とシンチレータ11との組が5つ備えられている。
【0032】
また、図1に示されるように、各組のシンチレータ11それぞれが一次元に配置され、光導波路12とシンチレータ11との5つの組が一体化されている。一次元に配置されているので、放射線源に対して相対的に変位させることによって、2次元の領域を測定対象とすることができる。
【0033】
そして、一体化された各光導波路12は有底筒状の金属ケース13で覆われている。すなわち、シンチレータ11が取り付けられた各光導波路12は、それぞれの射出面12bを除いて金属ケース13に収納された状態になっている。
【0034】
この金属ケース13は、シンチレータ11や光導波路12を外部から保護する役割を果たすものである。また、シンチレータ11で発せられた光は弱い光であるため、外部からのノイズに影響されやすい。しかし、金属ケース13によって光導波路12を覆い隠すことにより、外部からのノイズを遮断できる。金属ケース13の材質として、SUSやAl等が採用される。
【0035】
次に、上記の放射線プローブ10が備えられた放射線計測システム100で放射線を計測する方法について説明する。先ず、放射線プローブ10のシンチレータ11と放射線源とを対向させる。このとき、金属ケース13を放射線源に接触させることがもっとも良い。放射線源が動いているものや、ハウジング内の構造によっては近づけることが難しいものについては、放射線源になるべくシンチレータ11を近づけるようにする。
【0036】
放射線源から放射線が放射されていれば、放射線が金属ケース13を通過してシンチレータ11に入射する。これにより、シンチレータ11が放射線エネルギーを吸収して光を発する。この光が光導波路12の入射面12aから光導波路12内に照射され、光導波路12内を伝達して射出面12bから射出されると共に増倍ユニット20に入射する。
【0037】
この後、増倍ユニット20で光が電子に変換されて増幅され、増幅された電子が再び光に変換される。この光をCCDカメラ30で撮影し、撮影した画像を画像処理装置40に取り込む。
【0038】
画像処理装置40により、放射線源とシンチレータ11との距離に基づく干渉を考慮したノイズ処理等を行って画像化を図る。これにより、放射線源から放射線が放射されていればその分布が表示された画像が得られ、放射線が放射されていなければ何も表示されない画像が得られる。このようにして、放射線計測が完了する。
【0039】
次に、画像処理装置40による暗電流に基づくノイズを除去する画像処理に関して説明する。図2は、画像処理装置40における輝度値を算出する処理を示すフローチャートである。本フローは、放射線計測を行っている間、短時間に繰り返し実行される。
【0040】
ステップA1では、CCDカメラ30が画像を予め設定されるK枚画像を撮影したか否かを判断し、K枚撮影している場合には、ステップA2に移る。ここで画像の枚数は、フレーム数と同義であり、Kは正の整数であって、予め設定される計測期間とCCDカメラ30の性能とに基づいて設定される。たとえばCCDカメラ30の性能が167fps(Frame Per Second)である場合、5分間にわたって撮影すると、画像は50100枚となる。本実施形態では、Kは50000に設定されているものとする。
【0041】
ステップA2では、K枚の画像が撮れたので、そのK枚の画像における暗電流による輝度を推定する暗電流推定処理を行い、ステップA3に移る。暗電流推定処理の詳細については、後述する。
【0042】
ステップA3では、K枚の画像における輝度の平均値から、暗電流推定処理によって得られた暗電流に基づく輝度の平均値を減算し、本フローを終了する。
【0043】
次に、暗電流推定処理に関して説明する。図3は、暗電流推定処理を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、図2にてステップA2に至ると、開始される。
【0044】
ステップB1では、K枚の画像に基づく輝度データをヒストグラム化する処理を行い、ステップB2に移る。
【0045】
ここで、輝度データをヒストグラム化する目的について説明する。図3は、各画像における輝度のヒストグラム化を説明するための図である。図4は、輝度のヒストグラム化を説明するための図である。図5は、各画素における輝度のヒストグラム化を説明するための図である。輝度のヒストグラム化は、各画素において行われ、輝度ヒストグラムは、画像中の各画素の輝度値の分布をグラフにしたものである。輝度値は、CCDカメラ30が撮影した画像をAD(アナログ−デジタル)変換するので、撮影によって得られる輝度は離散的になる。したがって図4に示すように、各画像中の同位置の画素(Pixel)の輝度値の分布を作成することができる。このヒストグラム化は、図5に示すように、全ての画素について行う。図6は、輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。図6では、理解を容易にするため、暗電流に基づく輝度分布を破線で示し、放射線に基づく輝度分布を実線で示す。図6に示すように、暗電流に基づく輝度を除去しないと、放射線に基づく輝度を検出することができない。したがって暗電流に基づく輝度を推定する必要がある。
【0046】
ノイズである暗電流に基づく輝度ヒストグラムは、正規分布で近似できる特性を有する。また暗電流に基づく輝度の頻度は、放射線量(ガンマ線量)に基づく輝度の頻度よりも大きいという特性を有する。したがって各画素毎に得られた輝度ヒストグラムの頻度の最大値(最大頻度)は、暗電流に起因する最大頻度であると推定することができる。また暗電流の輝度ヒストグラムは、正規分布である。ここで正規分布の平均値は、その中心値、すなわち最大頻度である。したがってステップA3にして示したように、各画素毎に、求められた輝度ヒストグラムの輝度の平均値から、求められた輝度ヒストグラムにおける最大頻度の輝度を減算した値を算出することによって、暗電流に基づく輝度を除去することができる(数1および数2参照)。
【数1】
【0047】
【数2】
【0048】
次に、ステップB2では、輝度ヒストグラムから、ピーク輝度を算出し、ステップB3に移る。ピーク輝度とは、出現頻度が最も多い輝度のことであり、輝度ヒストグラムの頻度の最大値ということもある。これは輝度ヒストグラムから求めることができる。
【0049】
次に、ステップB3では、ピーク輝度が0か輝度ヒストグラムにおける輝度の最大値である場合には、ステップB4に移り、ピーク輝度が0か輝度ヒストグラムにおける輝度の最大値でない場合には、ステップB5に移る。ステップB4では、ピーク輝度が0か輝度ヒストグラムにおける輝度の最大値であるので、中心値をピーク輝度に設定し、本フローを終了する。
【0050】
図7は、ピーク輝度が0の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。図8は、ピーク輝度が最大値の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。図7および図8に示すように、CCDカメラ30の設定によっては、暗電流の中心成分と推定される部分がCCDカメラ30の輝度の最大および最小に収まらない場合がある。このような場合には、ステップB4のように、中心値をピーク輝度に設定することにしている。
【0051】
次に、ステップB5では、ピーク輝度が0か輝度の最大値でないので、ピーク輝度の前後の輝度のうち、少なくとも片側の頻度が0であるか否かを判断し、0である場合には、ステップB4に移り、0でない場合には、ステップB6に移る。ステップB5から移行したステップB4では、前述の場合と同様に、中心値をピーク輝度に設定し、本フローを終了する。
【0052】
図9は、ピーク輝度の両側の頻度が0の場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。図9に示すように、輝度は離散的であるので、破線で示すように暗電流成分が非常に狭い領域で発生した場合に、最大頻度を持つ輝度の少なくとも一方側(図9では両側)の頻度が0になる場合がある。このような場合には、ステップB4のように、中心値をピーク輝度に設定することにしている。
【0053】
次に、ステップB6では、ピーク輝度が0か輝度の最大値でなく、さらにピーク輝度の少なくとも片側の頻度が0でもないので、ピーク輝度と前後2点とを含む合計3点の対数の傾きから中心値を推定し、本フローを終了する。
【0054】
図10は、ステップB6における処理が実行される場合の輝度ヒストグラムの一例を示すグラフである。図11は、図10に示すピーク輝度から中心値を推定する処理を説明するためのグラフである。図10および図11に示すように、輝度ヒストグラムの最大値と、最大値の前後に位置する2つの頻度が正規分布に位置すると仮定して、正規分布の中心値を算出する。前述のように暗電流に基づく輝度ヒストグラムは、正規分布で近似できる特性を有するが、輝度ヒストグラムにおける輝度は連続的でなく離散的であるので、必ずしも輝度ヒストグラムにおける頻度の最大値(ピーク輝度)が、正規分布の中心値と一致しない場合がある。そこで図11に示すように、ピーク輝度の微分係数(傾き)と、前後2点の頻度の微分係数(傾き)を求め、3つの微分係数(微係数ともいう)を直線で結んだ場合に、微分係数が0の位置に対応する輝度を算出する。このように算出された輝度が、正規分布の頂点と推定することができる。したがって推定された輝度値が、正規分布の平均値となる。
【0055】
このように図3に示すフローチャートによって、各画素の輝度ヒストグラムの最大値と、その周辺の頻度の値に基づいて、中心値が推定される。図3に示すフローが終了すると、図2に示すステップA2が終了したことになり、ステップA3に移る。
【0056】
暗電流推定処理によって得られた暗電流に基づく輝度の平均値は、すなわち中心値である。これによって前述したように、ステップA3にて、K枚の画像における輝度の平均値から、暗電流推定処理で得られた中心値を減算することによって、暗電流に基づく輝度成分を除去することができる。
【0057】
また図2に示すフローチャートは、短時間に繰返し実行される。したがって計測期間が1つではなく、連続的または不連続に互いに異なる複数の計測期間が設定されおり、各計測期間毎に放射線に基づく輝度を推定する処理を行う場合には、画像処理装置40は、K枚撮影毎にステップA2以降の処理が実行されることになる。したがって現在、K枚撮影中の場合であっても、以前撮影した未処理のK枚の画像があれば、現在が計測期間中であるか否かにかかわらず、未処理のK枚の画像に対して処理を実行することができる。換言すると、CCDカメラ30の撮影中に、いわゆる画像処理装置40がバックグラウンド処理を実行することができる。
【0058】
以上説明したように本実施形態の画像処理手段である画像処理装置40は、予め設定される計測期間(本実施形態では約5分間)にわたって撮影手段であるCCDカメラ30で撮影された画像の輝度ヒストグラムを、各画素毎に求める。画像処理装置40は、各画素毎に、求められた輝度ヒストグラムの輝度の平均値から、ピーク輝度を減算した値を算出することによって、暗電流に基づく輝度を除去することができる。換言すると、任意の枚数の画像の輝度ヒストグラムのピーク輝度を、得られた画像の暗電流成分の時間平均値とみなし、元の時間積算データから引くことで正味の強度分布を得ることができる。さらに換言すると、暗電流推定処理で求めた暗電流の中心値と、同じ測定データの平均値の差から真の信号値を推定することができる。これによって前述のように算出した値を、各画素における放射線に基づく輝度と推定することができる。したがって暗電流に基づくノイズによる影響を抑制することができ、高精度に放射線量を計測することができる。
【0059】
また本実施形態では、画像処理装置40は、ステップB6にて説明したように、ピーク輝度と、ピーク輝度の前後に位置する2つの頻度が正規分布に位置すると仮定して、正規分布の中心値を算出する。前述のように暗電流に基づく輝度ヒストグラムは、正規分布で近似できる特性を有するが、輝度ヒストグラムにおける輝度は連続的でなく離散的であるので、必ずしもピーク輝度が、正規分布の中心値と一致しない場合がある。このような場合であっても、ステップB6のように正規分布の中心値を算出することによって、より高精度に暗電流に基づく輝度の最大値を算出することができる。
【0060】
さらに本実施形態では、画像処理装置40は、ステップB3にて説明したように、ピーク輝度が、輝度ヒストグラムにおける輝度の最小値または最大値である場合には、ピーク輝度を平均値から減算する値に設定する。ピーク輝度が、輝度の最小値または最大値である場合には、前後の3点を用いて正規分布の中心値を特定することが困難であるので、ステップB3のような処理をすることによって、正規分布の中心値に近い値を用いることができる。
【0061】
また本実施形態では、画像処理装置40は、ステップB5にて説明したように、最大頻度の前後の値において、少なくともいずれか一方の頻度が0である場合には、ピーク輝度を平均値から減算する値に設定する。ピーク輝度の前後の値において、少なくともいずれか一方の頻度が0である場合には、前後の3点を用いて正規分布の中心値を特定することが困難であるので、ステップB5のような処理をすることによって、正規分布の中心値に近い値を用いることができる。
【0062】
さらに本実施形態では、CCDカメラ30の撮影と並行して、終了した計測期間にて撮影された画像に対して、暗電流推定処理を行う。したがって現在が計測期間中であっても、現在の計測期間よりも以前の計測期間にて撮影された画像に対して、各画素における放射線に基づく輝度を推定する処理を行うことになる。換言すると、CCDカメラ30による撮影と、画像処理装置40による処理を並列的に行うことができる。これによって画像処理装置40が処理待ちの期間を少なくすることがで、全ての処理が終了するまでの期間を短くすることができる。
【0063】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0064】
前述の第1実施形態では、撮影手段は、CCDカメラ30によって実現されているが、CCDカメラ30に限るものではなく、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor:略称CMOS)カメラであってもよい。
【0065】
前述の第1実施形態では、ステップB6によって中心値を推定する処理を行っているが、暗電流推定処理では、ステップB3からステップB6までの処理に代えて、ステップB2で得られたピーク輝度を中心値とするように処理してもよい。これによって推定の精度はやや低下するが、処理を単純にでき処理の高速化を実現することができる。
【0066】
また前述の第1実施形態では、放射線プローブ10は複数の光導波路12を備えた構成になっているが、1本の光導波路と1つのシンチレータとによって放射線プローブを構成することも可能である。また、光導波路12を一次元に5本並べるだけでなく、2本や6本以上を並べるようにしても良い。同様に、光導波路を二次元に並べる場合には、5×5の配置でもよく、3×3、7×7および3×5といった配置でも良い。また光導波路12は棒状のものであったが、光ファイバーのような管状のものでも良い。
【符号の説明】
【0067】
10…放射線プローブ
11…シンチレータ
12…光導波路
13…金属ケース
20…増倍ユニット
30…CCDカメラ(撮影手段)
40…画像処理装置(画像処理手段)
100…放射線計測システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物から放射される放射線を計測する放射線計測システムであって、
前記放射線が照射されると光を発するシンチレータと、
前記シンチレータが発した光を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影された画像を画像処理する画像処理手段と、を含み、
前記画像処理手段は、暗電流に基づく輝度を除去する画像処理において、
予め設定される計測期間にわたって前記撮影手段で撮影された画像の輝度ヒストグラムを、各画素毎に求め、
前記各画素毎に、前記求められた輝度ヒストグラムの輝度の平均値から、前記求められた輝度ヒストグラムにおける最大頻度の輝度を減算した値を算出することを特徴とする放射線計測システム。
【請求項2】
前記画像処理手段は、
前記最大頻度と、前記最大頻度の前後に位置する2つの輝度の頻度が正規分布に位置すると仮定して、前記正規分布の中心値を算出し、
算出した前記中心値に対応する輝度を、前記最大頻度の輝度と設定することを特徴とする請求項1に記載の放射線計測システム。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記最大頻度の輝度が前記輝度ヒストグラムにおける輝度の最小値または最大値である場合には、前記中心値に換えて前記最大頻度の輝度を、前記平均値から前記減算する輝度と設定することを特徴とする請求項2に記載の放射線計測システム。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記最大頻度の前後の輝度において、少なくともいずれか一方の輝度が0である場合には、前記中心値に換えて前記最大頻度の輝度を、前記平均値から前記減算する輝度と設定することを特徴とする請求項2に記載の放射線計測システム。
【請求項5】
互いに異なる前記計測期間が複数設定されており、
前記画像処理手段は、
前記撮影手段の撮影と並行して、終了した前記計測期間にて撮影された画像に対して、前記各画素における前記減算する処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の放射線計測システム。
【請求項1】
対象物から放射される放射線を計測する放射線計測システムであって、
前記放射線が照射されると光を発するシンチレータと、
前記シンチレータが発した光を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影された画像を画像処理する画像処理手段と、を含み、
前記画像処理手段は、暗電流に基づく輝度を除去する画像処理において、
予め設定される計測期間にわたって前記撮影手段で撮影された画像の輝度ヒストグラムを、各画素毎に求め、
前記各画素毎に、前記求められた輝度ヒストグラムの輝度の平均値から、前記求められた輝度ヒストグラムにおける最大頻度の輝度を減算した値を算出することを特徴とする放射線計測システム。
【請求項2】
前記画像処理手段は、
前記最大頻度と、前記最大頻度の前後に位置する2つの輝度の頻度が正規分布に位置すると仮定して、前記正規分布の中心値を算出し、
算出した前記中心値に対応する輝度を、前記最大頻度の輝度と設定することを特徴とする請求項1に記載の放射線計測システム。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記最大頻度の輝度が前記輝度ヒストグラムにおける輝度の最小値または最大値である場合には、前記中心値に換えて前記最大頻度の輝度を、前記平均値から前記減算する輝度と設定することを特徴とする請求項2に記載の放射線計測システム。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記最大頻度の前後の輝度において、少なくともいずれか一方の輝度が0である場合には、前記中心値に換えて前記最大頻度の輝度を、前記平均値から前記減算する輝度と設定することを特徴とする請求項2に記載の放射線計測システム。
【請求項5】
互いに異なる前記計測期間が複数設定されており、
前記画像処理手段は、
前記撮影手段の撮影と並行して、終了した前記計測期間にて撮影された画像に対して、前記各画素における前記減算する処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の放射線計測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−112892(P2012−112892A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263973(P2010−263973)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】
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