説明

放射線透過式管状材肉厚測定装置

【課題】管状材の芯ぶれが発生する場合においても、システム構成の複雑化を抑制しつつ、管状材の肉厚を精度よく測定するとともに、厚肉管での測定精度の劣化を抑制する。
【解決手段】芯ぶれ算出部21aは、検出器16a、16bによる計測値を検出器16a、16bから受け取ると、これらの計測値の比を求め、この計測値の比に対応した芯ぶれ量Sを校正データから読み取ることにより、管状材1の芯ぶれ量を算出し、肉厚算出部21cは、芯ぶれ算出部21aにて算出された管状材1の芯ぶれ量Sに基づいて、管状材1の芯ぶれ量Sがゼロの位置における放射線ビームB1、B2の透過長を求め、放射線ビームB1、B2の透過長に対応した管状材1の肉厚Tを換算データから読み取ることにより、管状材1の肉厚Tを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線透過式管状材肉厚測定装置に関し、特に、走行中の管状材の芯ぶれに対応しつつ、管状材の肉厚を精度よく測定する方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
シームレス管の肉厚寸法の高精度化の要求に答えるため、シームレス管の仕上圧延機として用いられるストレッチレデューサの直後に、放射線透過方式を採用した熱間肉厚計を設置することが行われている。
また、例えば、特許文献1〜3には、少なくとも3本の放射線ビームが正奇数多角形を形成するように交差させながら管状材に投射し、その時の放射線ビームの透過率を計測することにより、管状材の肉厚を非接触で測定する方法(多点測定方式)が開示されている。
また、例えば、特許文献4〜7には、管状材の外径を超える幅の放射線ビームを管状材に投射し、その時の放射線ビームの減衰量に基づいて管状材の平均肉厚を非接触で測定する方法(断面平均測定方式)が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特公昭60−42402号公報
【特許文献2】特公昭60−44602号公報
【特許文献3】特公昭60−46364号公報
【特許文献4】特公昭63−22525号公報
【特許文献5】特公平2−36882号公報
【特許文献6】特公平3−16604号公報
【特許文献7】特公平3−11646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多点測定方式では、肉厚の測定精度を確保するためには、放射線ビームにより形成される正奇数多角形の中心と管状材の中心とを一致させる必要があり、そのずれは0.1mm〜1mmのオーダーに抑える必要がある。このため、ストレッチレデューサを通して10m/s程度の速度で高速に走行しているシームレス管の肉厚測定に多点測定方式を適用すると、シームレス管の芯ぶれを0.1mm程度のオーダーに抑える必要があり、高精度なピンチローラ装置などが必要になることから、付帯装置のコストアップを招くという問題があった。また、管状材の位置変動を測定するために、位置変動測定装置を用いると、システム構成が複雑化するという問題があった。
【0005】
また、断面平均測定方式では、管状材の芯ぶれが発生しても、測定誤差が発生しないようにするために、管状材の芯ぶれの許容量を上回るように、放射線源および検出器の幅を設定する必要があり、肉厚計の大型化および高価格化を招くだけでなく、厚肉管では管状材の肉厚に対する放射線の計数変化が小さくなり、測定精度が劣化するという問題があった。
そこで、本発明の目的は、管状材の芯ぶれが発生する場合においても、システム構成の複雑化を抑制しつつ、管状材の肉厚を精度よく測定するとともに、厚肉管での測定精度の劣化を抑制することが可能な放射線透過式管状材肉厚測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の放射線透過式管状材肉厚測定装置によれば、第1放射線ビームを出射する第1放射線ビーム出射手段と、前記第1放射線ビームに平行に第2放射線ビームを出射する第2放射線ビーム出射手段と、管状材を透過した前記第1放射線ビームを検出する第1検出器と、前記管状材を透過した前記第2放射線ビームを検出する第2検出器と、前記第1検出器による測定結果と前記第2検出器による測定結果の比に基づいて、前記管状材の芯ぶれ量を算出する芯ぶれ算出手段と、前記芯ぶれ量に基づいて前記第1検出器による測定結果および前記第2検出器による測定結果を補正することにより、前記管状材の肉厚を算出する肉厚算出手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
これにより、2本の放射線ビームを管状材に平行に透過させることで、管状材の芯ぶれ量を算出することを可能としつつ、管状材の肉厚を算出することができる。このため、放射線ビームにより形成される正奇数多角形の中心と管状材の中心とを一致させる必要がなくなり、管状材の芯ぶれが発生する場合においても、システム構成の複雑化を抑制しつつ、管状材の肉厚を精度よく測定することが可能となるとともに、2本の放射線ビームの間隔を調整することで、肉厚に対する放射線の計数変化を調整することが可能となり、厚肉管での測定精度の劣化を抑制することが可能となる。
【0008】
また、請求項2記載の放射線透過式管状材肉厚測定装置によれば、前記管状材の外径を既知とし、前記管状材の仮の肉厚が与えられた時の前記管状材の芯ぶれ量対「前記第1検出器による測定結果と前記第2検出器による測定結果との比」の関係が記述された校正データを取得する校正データ取得手段を備え、前記芯ぶれ算出手段は、前記第1検出器および前記第2検出器による実測値から、これらの実測値の比を求め、前記実測値の比に対応した芯ぶれ量を前記校正データから読み取ることにより、前記管状材の芯ぶれ量を算出することを特徴とする。
これにより、校正データを参照することで、第1検出器および第2検出器による実測値の比から管状材の芯ぶれ量を算出することができ、管状材に芯ぶれが発生している場合においても、システム構成の複雑化を抑制しつつ、管状材の肉厚を校正することが可能となる。
【0009】
また、請求項3記載の放射線透過式管状材肉厚測定装置によれば、前記管状材の芯ぶれ量がゼロの位置における前記第1放射線ビームの透過長または前記第2放射線ビームの透過長と、前記管状材の肉厚との関係が記述された換算データを取得する換算データ取得手段を備え、前記肉厚算出手段は、前記芯ぶれ算出手段にて算出された管状材の芯ぶれ量に基づいて、前記管状材の芯ぶれ量がゼロの位置における前記第1放射線ビームの透過長または前記第2放射線ビームの透過長を求め、前記第1放射線ビームの透過長または前記第2放射線ビームの透過長に対応した前記管状材の肉厚を前記換算データから読み取ることにより、前記管状材の肉厚を算出することを特徴とする。
【0010】
これにより、管状材に芯ぶれが発生している場合においても、芯ぶれ量がゼロの位置における換算データを用いることで、第1検出器または第2検出器による実測値から管状材の肉厚を求めることができ、管状材の芯ぶれが発生する場合においても、システム構成の複雑化を抑制しつつ、管状材の肉厚を精度よく測定することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、2本の放射線ビームを管状材に平行に透過させることで、管状材の芯ぶれ量を算出することを可能としつつ、管状材の肉厚を算出することができ、管状材の芯ぶれが発生する場合においても、システム構成の複雑化を抑制しつつ、管状材の肉厚を精度よく測定することが可能となるとともに、厚肉管での測定精度の劣化を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る放射線透過式管状材肉厚測定装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る放射線透過式管状材肉厚測定装置が提供されるストレッチレデューサの概略構成を示す斜視図である。
図1において、ストレッチレデューサには、管状材1を3方向から挟み込むようにそれぞれ配置された圧延ロール2a〜2c、3a〜3c、4a〜4cが管状材1の走行方向に沿って設置されている。また、ストレッチレデューサの直後には、管状材1の肉厚を非接触で測定する放射線透過式管状材肉厚測定装置5が設置されている。さらに、ストレッチレデューサには、管状材1を上下方向から挟み込むようにそれぞれ配置されたピンチローラ6a、6b、7a、7bが放射線透過式管状材肉厚測定装置5の前後に設置されている。そして、圧延ロール2a〜2c、3a〜3c、4a〜4cにて管状材1の長手方向にストレッチをかけ、肉厚を延伸(ストレッチ)させながら外径を縮小(レジュース)し圧延することにより、肉厚寸法および外径寸法が所望の値に調整されたシームレス管を製造することができる。
そして、ストレッチレデューサにて圧延された管状材1は放射線透過式管状材肉厚測定装置5に送られ、走行中の管状材1の肉厚が放射線透過式管状材肉厚測定装置5にてリアルタイムで測定される。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態に係る放射線透過式管状材肉厚測定装置5の概略構成を示すブロック図である。
図2において、線源容器11には、放射線源12a、12bが収容され、放射線源12a、12bから平行な放射線ビームB1、B2がそれぞれ出射されるように配置されている。また、放射線透過式管状材肉厚測定装置5には、管状材1を間にして放射線源12a、12bにそれぞれ対向するようにして配置された検出器16a、16bが設けられ、放射線源12a、12bと検出器16a、16bとの間には、絞り14、15が設けられている。
【0014】
なお、放射線源12a、12bとしては、例えば、γ線源を用いることができる。また、放射線源12a、12bは、管状材1が芯ぶれしてない状態において、放射線ビームB1、B2が管状材1の中心から対称になるように配置することができる。例えば、放射線ビームB1は管状材1の中心から横方向に−5mmの位置を透過し、放射線ビームB2は管状材1の中心から横方向に+5mmの位置を透過するように配置することができる。この結果、管状材1が芯ぶれしてない状態においては、検出器16a、16bによる測定値は理論的には互いに等しくなる。また、絞り14、15は、管状材1の位置が放射線ビームB1、B2の出射方向に変動した場合においても、放射線ビームB1、B2の透過量に差(指示差)が発生しないように放射線ビームB1、B2を充分絞ることができるように構成することができる。
【0015】
さらに、放射線透過式管状材肉厚測定装置5には、検出器16a、16bによる検出結果に基づいて管状材1の芯ぶれ量Sおよび肉厚Tを算出する演算処理装置21が設けられ、演算処理装置21には、芯ぶれ算出部21a、校正データ取得部21b、肉厚算出部21cおよび換算データ取得部21dが設けられている。ここで、芯ぶれ算出部21aは、検出器16a、16bによる検出結果に基づいて管状材1の芯ぶれ量Sを算出することができる。また、校正データ取得部21bは、管状材1の外径を既知とし、管状材1の仮の肉厚が与えられた時の管状材1の芯ぶれ量S対「検出器16a、16による測定結果との比」の関係が記述された校正データを取得することができる。なお、管状材1の仮の肉厚として、圧延時の管状材1の狙い肉厚を第1近似として用いることができる。また、校正データは、実験または理論計算により予め求めることができる。
【0016】
さらに、肉厚算出部21cは、芯ぶれ算出部21aにて算出された芯ぶれ量Sに基づいて検出器16a、16bによる測定結果を補正することにより、管状材1の肉厚Tを算出することができる。また、換算データ取得部21dは、管状材1の芯ぶれ量Sがゼロの位置における放射線ビームB1、B2の透過長と管状材1の肉厚Sとの関係が記述された換算データを取得することができる。なお、換算データは、実験または理論計算により予め求めることができる。
【0017】
そして、放射線源12a、12bから出射された放射線ビームB1、B2は絞り14にて絞られた後、管状材1を透過し、さらに絞り15にて絞られた後、検出器16a、16bにそれぞれ入射する。そして、放射線ビームB1、B2が検出器16a、16bにそれぞれ入射すると、検出器16a、16bによる計測値が演算処理装置21に送られる。そして、検出器16a、16bによる計測値が演算処理装置21に送られると、芯ぶれ算出部21aは、検出器16a、16bによる計測値に基づいて管状材1の芯ぶれ量Sを算出する。ここで、芯ぶれ算出部21aは、管状材1の芯ぶれ量Sを算出する場合、検出器16a、16bによる計測値を検出器16a、16bから受け取ると、これらの計測値の比を求め、この計測値の比に対応した芯ぶれ量Sを校正データから読み取ることにより、管状材1の芯ぶれ量を算出することができる。
【0018】
そして、管状材1の芯ぶれ量Sが芯ぶれ算出部21aにて算出されると、その芯ぶれ量Sが肉厚算出部21cに送られる。そして、肉厚算出部21cは管状材1の芯ぶれ量Sを受け取ると、芯ぶれ算出部21aにて算出された芯ぶれ量Sに基づいて検出器16a、16bによる計測値を補正することにより、管状材1の肉厚Tを算出する。ここで、肉厚算出部21cは、管状材1の肉厚Tを算出する場合、芯ぶれ算出部21aにて算出された管状材1の芯ぶれ量Sに基づいて、管状材1の芯ぶれ量Sがゼロの位置における放射線ビームB1、B2の透過長を求め、放射線ビームB1、B2の透過長に対応した管状材1の肉厚Tを換算データから読み取ることにより、管状材1の肉厚Tを算出することができる。
【0019】
なお、放射線ビームB1、B2の透過長に対応した管状材1の肉厚Tがそれぞれ求まると、これらの肉厚Tの相加平均をとることにより、最終的な管状材1の肉厚Tとすることができる。
これにより、2本の放射線ビームB1、B2を管状材1に平行に透過させることで、管状材1の芯ぶれ量Sを算出することを可能としつつ、管状材1の肉厚Tを算出することができる。このため、放射線ビームB1、B2により形成される正奇数多角形の中心と管状材1の中心とを一致させる必要がなくなり、管状材1の芯ぶれが発生する場合においても、システム構成の複雑化を抑制しつつ、管状材1の肉厚Tを精度よく測定することが可能となるとともに、2本の放射線ビームB1、B2の間隔を調整することで、管状材1の肉厚Tに対する放射線ビームB1、B2の計数変化を調整することが可能となり、厚肉管での測定精度の劣化を抑制することが可能となる。
【0020】
具体的には、図3に示すように、各放射線ビームB1、B2が2枚の平板状の板状部を測定するようにでき、厚板用γ線厚さ計の測定原理に基づいた測定が可能となるため、現状実用化されている厚板厚さ計と同等の測定精度を持たせることができる。この結果、図4に示すように、断面平均測定方式に比べて、放射線に基づく誤差を大幅に改善することができる。特に、厚肉管においてこの効果が大きい。
【0021】
ここで、管状材1の芯ぶれがあった時は、放射線ビームB1が管状材1の中心に近づけば、放射線ビームB2は管状材1の中心から遠ざかる。すなわち、放射線ビームB1、B2は、管状材1の中心に対して相反する方向に移動する。そして、放射線ビームB1が管状材1の中心に近づくと、放射線ビームB1の透過長は、芯ぶれ量Sがゼロの位置における透過長に比べて短くなる。一方、放射線ビームB2が管状材1の中心に遠ざかると、放射線ビームB2透過長は、芯ぶれ量Sがゼロの位置における透過長に比べて長くなる。この結果、検出器16a、16bによる計測値の比は、管状材1の芯ぶれ量Sに対してほぼ直線関係が得られる。
【0022】
図5、本発明の一実施形態に係る芯ぶれに対する指示比率の関係を示す図である。
図5において、例えば、放射線ビームB1が管状材1の中心から−5〜0mmの間の位置にずれるとともに、放射線ビームB2が管状材1の中心から+5〜+10mmの間の位置にずれた場合、検出器16a、16bによる計測値の比は、管状材1の芯ぶれ量Sに対してほぼ直線関係が得られることが判る。反対に、放射線ビームB1が管状材1の中心から+5〜+10mmの間の位置にずれるとともに、放射線ビームB2が管状材1の中心から−5〜0mmの間の位置にずれた場合においても、検出器16a、16bによる計測値の比は、管状材1の芯ぶれ量Sに対してほぼ直線関係が得られることが判る。
【0023】
さらに、管状材1の芯ぶれ量Sがさらに増大し、管状材1の中心に近づいた方の放射線ビームB1、B2が管状材1の中心を通り過ぎた場合においても、検出器16a、16bによる計測値の比は、管状材1の芯ぶれ量Sに対してほぼ直線関係を得ることができる。
例えば、射線ビームB1が管状材1の中心から0〜+5mmの間の位置にずれるとともに、放射線ビームB2が管状材1の中心から+10〜+15mmの間の位置にずれた場合においても、検出器16a、16bによる計測値の比は、管状材1の芯ぶれ量Sに対してほぼ直線関係が得られることが判る。反対に、放射線ビームB1が管状材1の中心から−10〜−15mmの間の位置にずれるとともに、放射線ビームB2が管状材1の中心から0〜−5mmの間の位置にずれた場合においても、検出器16a、16bによる計測値の比は、管状材1の芯ぶれ量Sに対してほぼ直線関係が得られることが判る。
この結果、検出器16a、16bによる計測値の比と、管状材1の芯ぶれ量Sとの間の直線関係を利用することにより、検出器16a、16bによる計測値から管状材1の芯ぶれ量Sを求めることができる。
【0024】
なお、上述した実施形態では、管状材1の仮の肉厚が与えられた時の管状材1の芯ぶれ量S対「検出器16a、16による測定結果との比」の関係が記述された校正データを生成する場合、管状材1の仮の肉厚として、圧延時の管状材1の狙い肉厚を第1近似肉厚として用いる方法について説明したが、圧延時の管状材1の狙い肉厚を第1近似肉厚として求めた管状材1の実際の肉厚を第2近似肉厚とした時の管状材1の芯ぶれ量S対「検出器16a、16による測定結果との比」の関係が記述された校正データを用いることにより、管状材1の第2近似芯ぶれ量を算出し、この第2近似芯ぶれ量に基づいて管状材1の芯ぶれを補正する補正することにより、管状材1の第3近似肉厚を求めるようにしてもよい。
【0025】
さらに、管状材1の第3近似肉厚が求まると、第3近似肉厚が与えられた時の管状材1の芯ぶれ量S対「検出器16a、16による測定結果との比」の関係が記述された校正データを用いることにより、管状材1の第3近似芯ぶれ量を算出し、この第3近似芯ぶれ量に基づいて管状材1の芯ぶれを補正する補正することにより、管状材1の第4近似肉厚を求めるようにしてもよい。
【0026】
そして、所望の精度以内に解が収束するまで以上の処理を繰り返すことにより、管状材1の肉厚の近似精度を上げることができる。
また、上述した実施形態では、平行な2本の放射線ビームB1、B2を得るために、2つの放射線源12a、12bを設ける方法について説明したが、1本のライン状放射線源から出射された1本のライン状ビームを2箇所で絞ることにより、平行な2本の放射線ビームを生成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る放射線透過式管状材肉厚測定装置が提供されるストレッチレデューサの概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る放射線透過式管状材肉厚測定装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る放射線ビームB1、B2が管状材1を透過する時の状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る2点測定方式の測定精度を断面平均測定方式と比較して示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る芯ぶれに対する指示比率の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 管状材
2a〜2c、3a〜3c、4a〜4c 圧延ロール
6a、6b、7a、7b ピンチローラ
5 放射線透過式管状材肉厚測定装置
11 線源容器
12a、12b 放射線源
14、15 絞り
16a、16b 検出器
21 演算処理装置
21a 芯ぶれ算出部
21b 校正データ取得部
21c 肉厚算出部
21d 換算データ取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1放射線ビームを出射する第1放射線ビーム出射手段と、
前記第1放射線ビームに平行に第2放射線ビームを出射する第2放射線ビーム出射手段と、
管状材を透過した前記第1放射線ビームを検出する第1検出器と、
前記管状材を透過した前記第2放射線ビームを検出する第2検出器と、
前記第1検出器による測定結果と前記第2検出器による測定結果の比に基づいて、前記管状材の芯ぶれ量を算出する芯ぶれ算出手段と、
前記芯ぶれ量に基づいて前記第1検出器による測定結果および前記第2検出器による測定結果を補正することにより、前記管状材の肉厚を算出する肉厚算出手段とを備えることを特徴とする放射線透過式管状材肉厚測定装置。
【請求項2】
前記管状材の外径を既知とし、前記管状材の仮の肉厚が与えられた時の前記管状材の芯ぶれ量対「前記第1検出器による測定結果と前記第2検出器による測定結果との比」の関係が記述された校正データを取得する校正データ取得手段を備え、
前記芯ぶれ算出手段は、前記第1検出器および前記第2検出器による実測値から、これらの実測値の比を求め、前記実測値の比に対応した芯ぶれ量を前記校正データから読み取ることにより、前記管状材の芯ぶれ量を算出することを特徴とする請求項1記載の放射線透過式管状材肉厚測定装置。
【請求項3】
前記管状材の芯ぶれ量がゼロの位置における前記第1放射線ビームの透過長または前記第2放射線ビームの透過長と、前記管状材の肉厚との関係が記述された換算データを取得する換算データ取得手段を備え、
前記肉厚算出手段は、前記芯ぶれ算出手段にて算出された管状材の芯ぶれ量に基づいて、前記管状材の芯ぶれ量がゼロの位置における前記第1放射線ビームの透過長または前記第2放射線ビームの透過長を求め、前記第1放射線ビームの透過長または前記第2放射線ビームの透過長に対応した前記管状材の肉厚を前記換算データから読み取ることにより、前記管状材の肉厚を算出することを特徴とする請求項2記載の放射線透過式管状材肉厚測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−256155(P2007−256155A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82714(P2006−82714)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】