説明

放射線遮断性充填剤を含む放射線不透過性カチオン重合性組成物およびそれを重合する方法

【課題】カチオン開始剤、カチオン重合性樹脂および放射線遮断性充填剤に基づく有用な複合材を製造する。
【解決手段】a)カチオン活性官能基と、(b)前記カチオン活性官能基のカチオン重合を開始させることが可能な開始系と、(c)重合性組成物を放射線不透過性にするために十分な量の金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硼酸塩、金属燐酸塩、金属珪酸塩、金属炭酸塩、金属ゲルマニウム酸塩、金属テトラフルオロ硼酸塩、金属ヘキサフルオロ燐酸塩およびそれらの組合せから成る群から選択される放射線遮断性充填剤を含む充填剤組成物とを含む重合性組成物であって、前記重合性組成物が重合して、GYZJ−935硬度計を用い測定して、25℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された組成物を生成するように成分(a)、(b)および(c)が選択される重合性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン活性官能基および放射線遮断性充填剤を含む重合用放射線不透過性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
充填剤は、ポリマー樹脂自体よりも高い強度値をもつ複合材を形成させるためにポリマー樹脂に添加されることが多い。例えば、歯科用複合材は、一般に、ほぼ50質量%以上の高い充填剤装填率を特徴としている。
【0003】
石英およびシリカなどの非放射線遮断性充填剤は、重合条件にさらされた後に有用な歯科用複合材を生成させるために、アクリレートおよびメタクリレートなどのラジカル重合性成分およびラジカル開始剤と好適に組み合わされてきた。こうした充填剤はまた、カチオン開始重合後に有用な歯科用複合材を生成させるために、エポキシ樹脂などのカチオン重合性成分およびカチオン開始剤と合わせて好適に用いられてきた。
【0004】
多くの場合、放射線不透過性複合材を製造するために放射線遮断性充填剤を用いることが望ましい。こうした複合材はX線により検出が可能であるので歯科用途において特に有用である。放射線遮断性充填剤は、歯科用複合材を生成させるためにラジカル重合性成分およびラジカル開始剤と好適に組み合わされてきた。放射線遮断性充填剤をカチオン開始剤、および重合するとアクリレートおよびメタクリレートよりも収縮が少ないエポキシ樹脂などのカチオン重合性成分と組み合わせることも望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カチオン開始剤、カチオン重合性成分および放射線遮断性充填剤を組み合わせることにより製造される放射線不透過性複合材が必要とされているけれども、本発明者らは、ラジカル重合可能な系とは異なり、重合性樹脂−充填剤−開始剤のすべての組合せが重合条件にさらされると有用な複合材(すなわち、GYZJ−935硬度計を用い測定して、少なくとも10のバーコル硬度を有する放射線不透過性複合材)をもたらすとは限らないことを発見した。多くの場合、放射線遮断性充填剤がカチオン重合機構を妨害または抑制することを本発明者らは発見した。場合によって、最終的な結果は、充填剤入りでない樹脂の硬度値よりも低い硬度値を有する複合材である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ある種の放射線遮断性充填剤が、カチオン開始剤およびカチオン重合性成分と組み合わされた時、重合条件にさらされた後に少なくとも10(GYZJ−935硬度計を用い測定して)のバーコル硬度を有する複合材をもたらすことを今発見した。場合によって、これには、処理しなければカチオン重合機構を妨げるであろう充填剤を、例えば、充填剤の加熱またはコーティングによって処理することが必要である。本発明者らは、さらに、カチオン開始剤−放射線遮断性充填剤の組合せを選別するために使用できる選択基準を見出した。本発明者らは、こうして、カチオン開始剤、カチオン重合性樹脂および放射線遮断性充填剤に基づく有用な複合材を製造することを可能にした。
【0007】
従って、本発明は、第1の態様において、
(a)カチオン活性官能基と、
(b)前記カチオン活性官能基のカチオン重合を開始させることが可能な開始系と、
(c)重合性組成物を放射線不透過性にするために十分な量の放射線遮断性充填剤を含む充填剤組成物とを含む重合性組成物を特徴とする。放射線遮断性充填剤は、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硼酸塩、金属燐酸塩、金属珪酸塩、金属炭酸塩、金属ゲルマニウム酸塩、金属テトラフルオロ硼酸塩、金属ヘキサフルオロ燐酸塩およびそれらの組合せから成る群から選択される。その組合せは、物理的ブレンドまたは化学的化合物の形態をとってもよい。
【0008】
成分(a)、(b)および(c)は、重合性組成物が重合して、GYZJ−935硬度計を用いる下記の試験手順Aにより測定して、25℃の反応温度でのカチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された組成物を生成するように選択される。開始は示差走査熱分析を用いて決定することが可能であり、エンタルピーの増加として現れる。
【0009】
本明細書において用いられる「放射線不透過性組成物」は、国際規格ISO4049の手順7.11、1988(E)「Dentistry−−Resin−Based Filling Materials」に準拠し測定して組成物のX線画像の密度がアルミニウムのX線画像の密度よりも小さいように、同じ厚さを有するアルミニウムサンプルと同じ程度にX線の通路を縮小させる能力をもつ組成物である。
【0010】
「カチオン活性官能基」とは、カチオン活性官能基をもつ他の化合物との反応のためにそれが利用できるように、カチオン重合を開始することが可能な開始剤の存在下で活性化される化学的部分である。
【0011】
「ラジカル活性官能基」とは、ラジカル活性官能基をもつ他の化合物との反応のためにそれが利用できるように、ラジカル重合を開始することが可能な開始剤の存在下で活性化される化学的部分である。
【0012】
「金属酸化物」とは、金属と酸素のみを含有する化合物である。
【0013】
「金属ハロゲン化物」とは、少なくとも金属とハロゲン(例えば、塩素、臭素、沃素または弗素)を含有する化合物である。
【0014】
「金属硼酸塩」とは、少なくとも金属、硼素および酸素を含有する化合物である。
【0015】
「金属燐酸塩」とは、少なくとも金属、燐および酸素を含有する化合物である。
【0016】
「金属珪酸塩」とは、少なくとも金属、珪素および酸素を含有する化合物である。従って、例えば、金属、アルミニウム、珪素および酸素を含有する金属アルミノ珪酸塩は、本発明の目的において「金属珪酸塩」と考えられる。
【0017】
「金属炭酸塩」とは、少なくとも金属およびCO3基を含有する化合物である。
【0018】
「金属ゲルマニウム酸塩」とは、少なくとも金属、ゲルマニウムおよび酸素を含有する化合物である。
【0019】
「金属テトラフルオロ硼酸塩」とは、金属およびBF4基のみを含有する化合物である。
【0020】
「金属ヘキサフルオロ燐酸塩」とは、金属およびPF6基のみを含有する化合物である。
【0021】
本組成物は、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルなどのラジカル重合性成分を含むことも可能である。こうした組成物は、「ハイブリッド」組成物と呼ばれることが多い。ハイブリッド組成物において、ラジカル活性官能基のラジカル重合は、複合材の必要なバーコル硬度値を得るのを助ける。それにもかかわらず、ハイブリッド組成物においてさえ、上述した重合条件下で必要な硬度値を有する重合された組成物を好ましくは生成させるのはカチオン活性官能基のカチオン重合である。
【0022】
幾つかの実施形態において、重合性組成物は重合して、下記の試験手順Aに準拠するGYZJ−934−1硬度計を用い測定して、カチオン活性基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された組成物を生成する。
【0023】
本発明者らは、満足のいく重合性組成物の設計において用いるための幾つかの選別試験を見出した。好ましくは、これらの試験は、互いに組み合わせて用いられる。
【0024】
一つの試験は、放射線遮断性充填剤自体に焦点を当てており、等電点測定に基づいている。特定のいかなる放射線遮断性充填剤の等電点も充填剤装填率とは無関係である。しかし、充填剤装填率は、満足のいくカチオン重合をもたらすために等電点のどの値が必要とされるかに影響を及ぼす。従って、この試験によると、充填剤組成物は、放射線遮断性充填剤の量が重合性組成物の少なくとも50質量%である時に、放射線遮断性充填剤が下記の試験手順Bにより測定して7以下の等電点を有するように選択される。
【0025】
他の試験は、放射線遮断性充填剤と、カチオン重合性成分およびカチオン開始剤を含む試験重合性組成物との間の相互作用に焦点を当てている。一つのこうした試験によると、充填剤組成物は、充填剤組成物の量が重合性組成物の70重量%である時に、充填剤組成物を含む以下の試験手順Cにおいて定義された試験重合組成物が試験手順Cによる表面積滴定で測定して約20マイクロモル/充填剤g以下の吸着値を有するように選択される。充填剤組成物の量が重合性組成物の50重量%である時、吸着値は80マイクロメートル/充填剤g以下である。
【0026】
もう一つの試験によると、充填剤組成物は、充填剤組成物の量が重合性組成物の70質量%である時に、充填剤組成物が下記の試験手順Dにより測定して60mV以下の試験溶液の導電率の変化を引き起こすように選択される。充填剤組成物の量が重合性組成物の50質量%である時、導電率の変化は125mV以下である。
【0027】
選択基準は、特定の充填剤装填率に関して表される。しかし、特定の充填剤装填率が試験として与えられていることが理解されるべきである。従って、選択基準に関連した装填率とは異なる充填剤装填率をもつ重合性組成物は、特定の充填剤/樹脂/開始剤のあらゆる組合せについて、充填剤装填率が選択基準において挙げられた量と同じだったならば基準の要件が満たされていたであろうことを条件として本発明の範囲内である。
【0028】
放射線遮断性充填剤の化学的組成および放射線遮断性充填剤の表面特性を含む物理的形状の両方、ならびに充填剤を調製するために用いられる方法は変えられるものであり、それらは、所定の重合性樹脂−充填剤−開始剤の組合せにおけるカチオン重合機構に対する充填剤の作用に影響を及ぼす。ゾルゲル誘導型放射線遮断性充填剤、融解誘導型放射線遮断性充填剤、蒸気誘導型放射線遮断性充填剤および鉱質放射線遮断性充填剤を用いることができる。放射線遮断性充填剤は、ポリマーマトリックス中に分散された一種以上の無機放射線遮断性粒子の形態をとることも可能である。ゾルゲル誘導型充填剤の場合、充填剤組成物は、充填剤組成物が下記の試験手順Eによるフーリエ変換分光分析法によって測定して80%より大きい相対ピーク高さを有するように選択される。
【0029】
半結晶質微細構造および非晶質微細構造は一般に好ましい。「非晶質」充填剤は、認識可能なX線粉末回折パターンを生じさせない充填剤である。「半結晶質」充填剤は、認識可能なX線粉末回折パターンを生じさせる充填剤である。
【0030】
化学的組成に関して、放射線遮断性充填剤は、好ましくは、少なくとも30の原子番号を有する元素を含む。その例には、イットリウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオビウム、タンタル、タングステン、モリブデン、錫、亜鉛、ランタノイド元素(すなわち、57〜71の範囲の原子番号を有する元素)およびそれらの組合せが挙げられる。(a)酸化ランタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムおよびそれらの組合せから成る群から選択される酸化物と、(b)酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化珪素およびそれらの組合せから成る群から選択される酸化物との組合せ酸化物を含む放射線遮断性充填剤は特に好ましい。適する放射線遮断性充填剤の特定の例には以下のものが挙げられる。
【0031】
(a)0.5〜55質量%の酸化ランタンおよび45〜99質量%の酸化珪素を含む充填剤。充填剤は、好ましくは、半結晶質または非晶質の微細構造を有する。処理に関して、充填剤は、好ましくはゾルゲル誘導型または融解誘導型である。
【0032】
(b)0.5〜55質量%の酸化ランタン、0.5〜50質量%の酸化アルミニウムおよび0.5〜90質量%の酸化珪素を含む充填剤。充填剤は、好ましくは、半結晶質または非晶質の微細構造を有する。処理に関して、充填剤は、好ましくはゾルゲル誘導型または融解誘導型である。
【0033】
(c)0.5〜55質量%の酸化ランタン、0.1〜55質量%の酸化アルミニウム、0.01〜80質量%の酸化硼素および1〜90質量%の酸化珪素を含む充填剤。充填剤は、好ましくは非晶質の微細構造を有する。処理に関して、充填剤は、好ましくはゾル−ゲル誘導型または融解誘導型である。
【0034】
(d)0.5〜55質量%の酸化ランタン、0.01〜80質量%の酸化硼素および1〜90質量%の酸化珪素を含む充填剤。充填剤は、好ましくは、半結晶質または非晶質の微細構造を有する。処理に関して、充填剤は、好ましくはゾルゲル誘導型または融解誘導型である。
【0035】
(e)0.5〜55質量%の酸化亜鉛、0.5〜55質量%の酸化ランタン、0.1〜40質量%の酸化アルミニウム、0.01〜80質量%の酸化硼素および1〜80質量%の酸化珪素を含む充填剤。充填剤は、好ましくは非晶質の微細構造を有する。処理に関して、充填剤は、好ましくは融解誘導型である。
【0036】
(f)コロイド誘導型酸化ジルコニウムを含む充填剤。
【0037】
(g)0.5〜55質量%の酸化ジルコニウムおよび45〜99質量%の酸化珪素を含む充填剤。充填剤は、好ましくは、半結晶質または非晶質の微細構造を有する。処理に関して、充填剤は、好ましくはゾルゲル誘導型である。
【0038】
(h)0.5〜55質量%の酸化ジルコニウム、0.01〜40質量%の酸化硼素および1〜90質量%の酸化珪素を含む充填剤。充填剤は、好ましくは、半結晶質または非晶質の微細構造を有する。処理に関して、充填剤は、好ましくはゾルゲル誘導型である。
【0039】
(i)0.5〜55質量%の酸化イットリウムおよび1〜90質量%の酸化珪素を含む充填剤。充填剤は、好ましくは、半結晶質または非晶質の微細構造を有する。処理に関して、充填剤は、好ましくはゾルゲルから誘導される。充填剤は、好ましくは、半結晶質または非晶質の微細構造を有する。処理に関して、充填剤は、好ましくはゾルゲル誘導型である。
【0040】
(j)0.5〜55質量%の酸化イットリウム、0.1〜50質量%の酸化アルミニウムおよび1〜90質量%の酸化珪素を含む充填剤。充填剤は、好ましくは、半結晶質または非晶質の微細構造を有する。処理に関して、充填剤は、好ましくはゾルゲル誘導型または融解誘導型である。
【0041】
(k)0.5〜55質量%の酸化バリウム、0.1〜40質量%の酸化アルミニウム、0.01〜80質量%の酸化硼素および1〜90質量%の酸化珪素を含む充填剤。充填剤は、好ましくは非晶質の微細構造を有する。処理に関して、充填剤は、好ましくは融解誘導型である。
【0042】
(l)0.5〜55質量%の酸化ストロンチウム、0.1〜40質量%の酸化アルミニウム、0.01〜80質量%の酸化硼素および1〜90質量%の酸化珪素を含む充填剤。充填剤は、好ましくは非晶質の微細構造を有する。処理に関して、充填剤は、好ましくは融解から誘導される。
【0043】
(m)弗化ランタノイド(例えば、弗化イッテルビウム)、弗化イットリウム、弗化亜鉛、弗化錫およびそれらの組合せなどの弗化物を含む充填剤。
【0044】
上述した放射線遮断性充填剤は、「そのままの状態で」用いることが可能である場合もあり、例えば、充填剤を熱処理することによって、あるいは充填剤に被覆することによって充填剤を処理することが必要である場合もある。従って、最初は上述した選択基準を満たさない充填剤でさえ、適切に処理するならば、好適に用いることができる。
【0045】
被覆された放射線遮断性充填剤は、第1の化学的組成を有するコアと前記第1の化学的組成とは異なる第2の化学的組成を有する前記コアの表面上のコーティング(連続であっても、連続でなくてもよい)とを含む。有用なコア材料の例には、石英、融解石英、珪酸塩ガラス(硼珪酸塩ガラスを含む)、酸化ジルコニウム−酸化珪素、酸化ジルコニウム−酸化硼素−酸化珪素およびそれらの組合せが挙げられる。有用なコーティングの例には、珪酸塩ガラス(硼珪酸塩ガラスを含む)、酸化硼素、コロイド誘導型酸化珪素、コロイド誘導型酸化ジルコニウムおよびそれらの組合せが挙げられる。ポリマーコーティングも用いることができる。場合によって、コーティングは、重合した後の収縮の減少および不透明度の減少の追加の利点をもたらす。不透明度の減少は、次に、光重合性組成物における硬化の良好な深さを得る能力を強化する。コーティングは、例えば、シラン処理のための定着部分をもたらすことも可能である。
【0046】
充填剤組成物の量は、重合性組成物の全重量に対して少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも70質量%である。充填剤は、放射線遮断性充填剤に加えて、石英、炭酸カルシウム、長石、KBF4、氷晶石およびそれらの組合せなどの非放射線遮断性充填剤を含むことが可能である。
【0047】
開始剤系は、好ましくは光開始剤系である。光開始された組成物は好ましくは重合して、37℃の反応温度でのカチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも2mm、好ましくは少なくとも6mm、より好ましくは少なくとも8mmの硬化の深さを有する重合された組成物を生成する。有用な開始系には、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩などのオニウム塩、ならびに有機金属錯体塩が挙げられる。
【0048】
カチオン活性官能基をもつ適する材料の例には、エポキシ樹脂、ビニルエーテル、スピロオルトエステル、スピロオルトカーボネート、二環式オルトエステル、二環式モノラクトン、二環式ビスラクトン、環式カーボネートおよびそれらの組合せが挙げられる。こうした材料は、単独で、あるいはハイブリッド組成物を生成させるためにラジカル活性官能基を有する反応物と組み合わせて用いることが可能である。単一分子中にラジカル活性官能基およびカチオン活性官能基の両方を含む反応物を含むことも可能である。
【0049】
ハイブリッド組成物の場合、組成物は、ラジカル活性官能基のラジカル重合を開始させることが可能な別個の開始剤系を含むことが可能である。あるいは、組成物は、ラジカル重合およびカチオン重合の両方を開始させることが可能な単一開始剤系を含むことが可能である。
【0050】
有用な重合性組成物の例には、歯科用複合材、矯正用ブラケット接着剤および矯正用バンドセメントが挙げられる。本明細書において用いられる「複合材」という用語は充填剤入り歯科用材料を意味する。「修復」という用語は、歯の近傍に配置された後に重合される複合材に関連する。「義歯」という用語は、歯の近傍に配置される前に最終用途(例えば、歯冠、架工義歯、化粧義歯、インレーまたはオンレーなど)向けに重合される複合材を意味する。「シーラント」という用語は、歯の近傍に配置された後に重合される少量充填剤入り複合材を意味する。これらの材料の各々は、一時的用途または永久的用途のために適する。
【0051】
第2の態様において、本発明は、
(a)カチオン活性官能基と、
(b)可視光に照射されると前記カチオン活性官能基のカチオン重合を開始させることが可能な光開始系と、
(c)重合性組成物を放射線不透過性にするために十分な量の放射線遮断性充填剤を含む充填剤組成物とを含む光重合性歯科用複合材を特徴とする。可視光に照射されると複合材が重合して、GYZJ−935硬度計を用い以下の試験手順Aにより測定して、25℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された歯科用複合材を生成する。本複合材は、上述したようにエチレン系不飽和反応物をさらに含むことが可能である。
【0052】
好ましくは、得られた複合材は、試験手順AによるGYZJ−934−1硬度計を用い測定して、25℃の反応温度でのカチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する。複合材中の充填剤の量は、重合性複合材の全重量に対して少なくとも50重量%である。複合材は好ましくは重合して、37℃の反応温度でのカチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも2mmの硬化の深さを有する重合された複合材を生成する。
【0053】
第3の態様において、本発明は、
(a)カチオン活性官能基と、
(b)前記カチオン活性官能基のカチオン重合を開始させることが可能な開始系と、
(c)重合性組成物を放射線不透過性にするために十分な量の硫酸塩以外の放射線遮断性充填剤を含む充填剤組成物とを含む重合性組成物を特徴とする。成分(a)、(b)および(c)は、重合性組成物が重合して、GYZJ−935硬度計を用いる下記の試験手順Aにより測定して、25℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された組成物を生成するように選択される。
【0054】
第4の態様において、本発明は、
(a)(i)カチオン活性官能基と、(ii)前記カチオン活性官能基のカチオン重合を開始させることが可能な開始系と、(iii)前記組成物を放射線不透過にするために十分な量の放射線遮断性充填剤を含む充填剤組成物とを含む重合性組成物を提供する工程と、
(b)好ましくは37℃以下の反応温度で前記カチオン活性官能基の重合を開始させて重合された組成物を生成させる工程とを含む重合された組成物を製造する方法を特徴とする。放射線遮断性充填剤は、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硼酸塩、金属燐酸塩、金属珪酸塩、金属炭酸塩、金属ゲルマニウム酸塩、金属テトラフルオロ硼酸塩、金属ヘキサフルオロ燐酸塩およびそれらの組合せから成る群から選択され、これらの用語は上で定めた意味を有する。重合性組成物は、重合性組成物が重合して、GYZJ−935硬度計を用いる下記の試験手順Aにより測定して、25℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された組成物を生成することが可能であるように選択される。有用な重合された製品の例には歯科用複合材が挙げられる。
【0055】
一つの実施形態において、開始系は光開始系であり、この実施形態の場合、本方法は、重合性組成物を化学線に照射して、カチオン活性官能基の重合を開始させることを含む。好ましくは、開始系は、組成物を可視光に照射することにより重合が開始されるように、可視光増感剤も含む。他の適する化学線源には、紫外線源が挙げられる。熱開始系も用いることができ、この場合、本方法は、組成物を熱放射に暴露してカチオン活性官能基の重合を開始させることを含む。
【0056】
本発明者らは、さらに、多くの新規充填剤を発見した。こうした充填剤は、ラジカル重合性組成物、カチオン重合性組成物の両方およびラジカル重合性成分とカチオン重合性成分の両方を特徴とするハイブリッド組成物において有用である。これらの充填剤の幾つかは高い透明性をもち、可視光に対して比較的低い不透明度を有する組成物を生成させる。これらの充填剤の幾つかは小さい表面積および小さい残留ポロシティも示す。
【0057】
一つの充填剤は、5〜25質量%の酸化アルミニウム、10〜35質量%の酸化硼素、15〜50質量%の酸化ランタンおよび20〜50質量%の酸化珪素を含む融解誘導型充填剤である。
【0058】
もう一つの充填剤は、10〜30質量%の酸化アルミニウム、10〜40質量%の酸化硼素、20〜50質量%の酸化珪素および15〜40質量%の酸化タンタルを含む融解誘導型充填剤である。
【0059】
第3の充填剤は、5〜30質量%の酸化アルミニウム、5〜40質量%の酸化硼素、0〜15質量%の酸化ランタン、22〜55質量%の酸化珪素および10〜40質量%の酸化亜鉛を含む融解誘導型充填剤である。
【0060】
第4の充填剤は、15〜30質量%の酸化アルミニウム、15〜30質量%の酸化硼素、20〜50質量%の酸化珪素および15〜40質量%の酸化イッテルビウムを含む融解誘導型充填剤である。
【0061】
第5の充填剤は、非晶質酸化珪素の水性または有機性の分散液またはゾルを放射線遮断性金属酸化物あるいは前駆物質有機または無機化合物の水性または有機の分散液、ゾルまたは溶液と混合するゾルゲル法によって製造される非ガラス質微小粒子の形態をとっている。微小粒子は、X線粉末回折を介して検出可能な結晶質微小領域も不均質性も実質的にない。
【0062】
第6の充填剤は、非晶質酸化珪素の水性または有機性の分散液またはゾルを放射線遮断性金属酸化物あるいは前駆物質有機または無機化合物の水性または有機の分散液、ゾルまたは溶液と混合するゾルゲル法によって製造される非ガラス質微小粒子の形態をとっている。微小粒子は、(i)酸素と珪素とを含む複数の非晶質微小領域と、(ii)複数の半結晶質放射線遮断性金属酸化物微小領域と、(iii)約40質量%以下のB23またはP25とを含む。非晶質微小領域は、半結晶質微小領域に実質的に均一に散在されている。さらに、微小粒子には、直径が0.4マイクロメートルより大きい結晶質微小領域も不均質性も実質的にない。
【0063】
本発明のその他の特徴および利点は、本発明の好ましい実施形態の以下の説明および請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1(a)】充填剤装填率がそれぞれ50および70%(w/w)の複合材についてのバーコル硬度(照射後30分におけるGYZJ−935)対、試験手順Bにより測定された等電点を示すプロットである。
【図1(b)】充填剤装填率がそれぞれ50および70%(w/w)の複合材についてのバーコル硬度(照射後30分におけるGYZJ−935)対、試験手順Bにより測定された等電点を示すプロットである。
【図2(a)】充填剤装填率がそれぞれ50および70%(w/w)の複合材についてのバーコル硬度(照射後30分におけるGYZJ−935)対、試験手順Cにより測定された吸着値を示すプロットである。
【図2(b)】充填剤装填率がそれぞれ50および70%(w/w)の複合材についてのバーコル硬度(照射後30分におけるGYZJ−935)対、試験手順Cにより測定された吸着値を示すプロットである。
【図3(a)】充填剤装填率がそれぞれ50および70%(w/w)の複合材についてのバーコル硬度(照射後30分におけるGYZJ−935)対、試験手順Dにより測定された導電率変化を示すプロットである。
【図3(b)】充填剤装填率がそれぞれ50および70%(w/w)の複合材についてのバーコル硬度(照射後30分におけるGYZJ−935)対、試験手順Dにより測定された導電率変化を示すプロットである。
【図4(a)】充填剤装填率がそれぞれ50および70%(w/w)の複合材についてのバーコル硬度(照射後30分におけるGYZJ−935)対、試験手順Eにより測定された%ピーク高さを示すプロットである。
【図4(b)】充填剤装填率がそれぞれ50および70%(w/w)の複合材についてのバーコル硬度(照射後30分におけるGYZJ−935)対、試験手順Eにより測定された%ピーク高さを示すプロットである。
【図5】バーコル硬度(GYZJ−934−1)対光開始剤濃度のプロットを特徴とする吸着等温線分析(試験手順C)である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明は、有用な複合材を形成するためにカチオン開始重合を受ける放射線不透過性の充填剤入りカチオン重合性組成物を提供する。ラジカル重合反応物および開始剤も含めることが可能である。本組成物は歯科用途に対して特に適する。本発明者らは、開始剤、重合性成分および放射線遮断性充填剤を含む組成物の個々の成分を慎重に選択することにより、カチオン重合を妨害または抑制し、よって適切に硬い複合材の形成を妨げる充填剤の問題を回避できることを発見した。選択プロセスは、充填剤−重合性樹脂−開始剤の適切な組合せを設計するために、上述した発明の概要において明示した選別試験を用いることを含む。最善の結果のために、各種試験は互いに組み合わせて用いられるべきである。
【0066】
重合性組成物の個々の成分を今から説明する。
【0067】
充填剤組成物
充填剤組成物は、重合性組成物の好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも70質量%を形成する。しかし、より少ない充填剤装填率も用いることが可能である。充填剤組成物は、少なくとも一種の放射線遮断性充填剤を含む。放射線遮断性充填剤の量は、重合性組成物を放射線不透過性にするために十分な量である。適する放射線遮断性充填剤は、上述した発明の概要において記載されている。好ましくは、充填剤は、半結晶質または非晶質の微細構造を有する。
【0068】
放射線遮断性充填剤の市販されて原料は、以下の実施例において記載されている。あるいは、放射線遮断性充填剤は、ゾルゲル処理、融解処理、気相処理およびコロイド処理を含むセラミック処理技術を用いて合成することができる。
【0069】
場合によって、上述した選別試験を満たさない特定の放射線遮断性充填剤は、得られる充填剤組成物が後でこれらの試験の一つ以上に合格するように処理することができる。処理は、充填剤の表面特性、従って重合性組成物の他の成分との充填剤の相互作用を改質する。例えば、充填剤の熱処理は、感覚的には使用できない放射線遮断性充填剤を有用な充填剤に変換することが可能である。特定の熱処理温度は個々の充填剤の関数である。しかし、一般に、融解誘導型充填剤およびゾルゲル誘導型充填剤の両方に対する熱処理温度は、ほぼ約400℃以上である。
【0070】
もう一つの処理プロトコルは、コア充填剤の組成とは異なる組成を有する一種以上の材料を充填剤粒子に被覆することを含む。適するコーティングの例には、ゾル(例えば、コロイド酸化ジルコニウムゾルなどのコロイドゾル)の形態をとって塗布され、その後任意にファイアされる低温溶融非晶質材料、ポリマーおよび重合性モノマーが挙げられる。適するコーティング技術には、噴霧乾燥、磁気コーティング、棚型乾燥、蒸気コーティング、溶射、静電塗装、流動層プロセスおよびゾルゲルプロセスが挙げられる。
【0071】
放射線遮断性充填剤の表面特性を変えるために使用できる有用な処理プロトコルの他の例には、湿式粉砕(ガラス充填剤の場合)、粉砕(grinding)、および充填剤調製中に酸化硼素などの融剤を配合することが挙げられる。
【0072】
充填剤組成物は、非放射線遮断性充填剤も含むことが可能である。その例には、石英、融解石英、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、長石、KBF4、氷晶石およびそれらの組合せが挙げられる。
【0073】
開始系
有用な開始剤の一つのクラスには、ラジカル重合およびカチオン重合の両方を開始することが可能な化学種源が挙げられる。代表的な例には、オニウム塩、および「CRC Handbook of Organic Photochemistry」,Vol.II,ed.J.C.Scaiano,pp.335〜339(1989)において記載されたような錯体金属ハロゲン化物イオンを含む混合配位子アレンシクロペンタジエニル金属塩が挙げられる。好ましくは、こうした化学種源は、スルホニウム塩またはヨードニウム塩などのオニウム塩である。オニウム塩の内、ヨードニウム塩(例えば、アリールヨードニウム塩)は特に有用である。ヨードニウム塩は、組成物に可溶であるのがよく、好ましくは貯蔵安定性であり、それは、カチオン重合改良剤および光増感剤(含まれているなら)の存在下で組成物に溶解した時にヨードニウム塩が重合を自然に促進しないことを意味する。従って、特定のヨードニウム塩の選択は、特定の重合反応物、カチオン重合改良剤および増感剤(存在するなら)に応じてある程度決まる可能性がある。
【0074】
適するヨードニウム塩は、米国特許第3,729,313号、第3,741,769号、第4,250,053号および第4,394,403号に記載されている。それらのヨードニウム塩の開示は本明細書に引用して援用する。ヨードニウム塩は、Cl-、Br-、I-、C45SO3-またはC(SO2CF33-などのアニオンを含む単純な塩、あるいはSbF5OH-、AsF6-またはB(C654-などのアンチモン酸塩、砒酸塩、燐酸塩または硼酸塩を含有する金属錯体塩であることが可能である。ヨードニウム塩の混合物を必要ならば用いることができる。
【0075】
有用な芳香族ヨードニウム錯体塩光開始剤の例には、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロ硼酸塩、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロ硼酸塩、フェニル−4−メチルフェニルヨードニウムテトラフルオロ硼酸塩、ジ(4−ヘプチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロ硼酸塩、ジ(3−ニトロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジ(ナフチル)ヨードニウムテトラフルオロ硼酸塩、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロ硼酸塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ砒酸塩、ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウムテトラフルオロ硼酸塩、フェニル−2−チエニルヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩、2,2’−ジフェニルヨードニウムテトラフルオロ硼酸塩、ジ(2,4−ジクロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジ(4−ブロモフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジ(3−メトキシカルボニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジ(2−ベンゾチエニル)ヨードニウムヘキサフルオロ燐酸塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩、ジフェニルヨードニウムトリストリフルオロメチルスルホニルメチド、ジアリールヨードニウムトリストリフルオロメチルスルホニルメチド、ジフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸塩またはジアリールヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸塩が挙げられる。
【0076】
開始系は、可視光増感剤などの、重合性組成物に可溶である増感剤も含むことが可能である。増感剤は、好ましくは、波長が約300〜約1000ナノメートルの範囲の光を吸収することが可能である。
【0077】
適する増感剤の例には、ケトン、クマリン染料(例えば、ケトクマリン)、キサンテン染料、アクリジン染料、チアゾール染料、チアジン染料、オキサジン染料、アジン染料、アミノケトン染料、ポルフィリン、芳香族多環式炭化水素、p−置換アミノスチリルケトン化合物、アミノトリアリールメタン、メロシアニン、スクアリーリウム染料およびピリジニウム染料が挙げられる。ケトン(例えば、モノケトンまたはアルファ−ジケトン)、ケトクマリン、アミノアリールケトンおよびp−置換アミノスチリルケトン化合物は好ましい増感剤である。深い硬化を必要とする用途(例えば、多量充填剤入り複合材の硬化)の場合、光重合のための必要な照射波長において約100lmole-1cm-1未満、より好ましくは100lmole-1cm-1近辺または未満の吸光率を有する増感剤を用いることが好ましい。アルファ−ジケトンは、この特性を有する増感剤のクラスの例であり、歯科用途に対して特に好ましい。
【0078】
特に好ましい可視光増感剤の例には、樟脳キノン、グリオキサール、ビアセチル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、3,3,7,7−テトラメチル−1,2−シクロヘプタンジオン、3,3,8,8−テトラメチル−1,2−シクロオクタンジオン、3,3,18,18−テトラメチル−1,2−シクロオクタデカンジオン、ジピバロイル、ベンジル、フリル、ヒドロキシベンジル、2,3−ブタンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、3,4−ヘプタンジオン、2,3−オクタンジオン、4,5−オクタンジオンおよび1,2−シクロヘキサンジオンが挙げられる。これらの内、樟脳キノンは最も好ましい増感剤である。
【0079】
場合によって、カチオン重合の開始を遅らせることが望ましい場合がある。例えば、ラジカル活性官能基およびカチオン活性官能基の両方を含むハイブリッド組成物の場合、所定の反応温度において、ラジカル重合の光開始が有限誘導期T1後に起き、カチオン重合の光開始がT1より長い有限誘導期T3後に起きるように設計されるラジカル重合およびカチオン重合の両方の開始のために適する開始系を用いることが望ましい場合がある。ここで、T1およびT3は、T0で発生する化学線の最初の線量の照射(administration)を基準に測定される。こうした開始系は、1998年6月5日出願のオクスマン(Oxman)らによる米国特許出願第09/092,550号「Compositions Featuring Cationically Active and Free Radically Active Functional Groups,and Methods for Polymerizing Such Compositions」において記載されている。この特許出願は本出願と同じ譲受人に譲渡されており、本明細書に引用して援用する。そこに記載されているように、光開始系には、(i)ラジカル活性官能基のラジカル重合およびカチオン活性官能基のカチオン重合を開始させることが可能な化学種源、および(ii)カチオン重合改良剤が挙げられる。改良剤の量およびタイプは、改良剤が存在しない状態で、同じ照射条件下でのカチオン重合の開始がT3より短い有限誘導期T2(これもT0を基準にして測定される)の終わりに起きるように選択される。
【0080】
誘導期(T1、T2およびT3)は、示差走査熱分析を用いて測定することができる。T0における最初の照射時点後、反応のエンタルピーは時間の関数として測定される。ラジカル重合の開始およびカチオン重合の開始の両方はエンタルピーの増加を生じ、それはグラフ上で別個のピークの対として観察される。開始が起きる時間は、エンタルピーが上昇し始める時間であると考えられる。
【0081】
カチオン重合改良剤は、好ましくは、上述したオクスマン(Oxman)らによる出願において記載された手順に従い測定して、2−ブタノン中の2.9×10-5モル/ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩gおよび1.5×10-5モル/樟脳キノンgの標準溶液中の3−ジメチルアミノ安息香酸のそれより小さい光誘導電位を有する。一般に、有用なカチオン重合改良剤は、代表的には、水溶液中で測定して10未満のpKb値を有する塩基である。適するカチオン重合改良剤のクラスの例には、芳香族アミン、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族ウレア、脂肪族および芳香族ホスフィンならびに有機酸または無機酸の塩(例えば、スルフィン酸の塩)が挙げられる。特定の例には、4−(ジメチルアミノ)フェニル酢酸、ジメチルアミノフェンエタノール、ジヒドロキシp−トルイジン、N−(3,5−ジメチルフェニル)−N,N−ジエタノールアミン、2,4,6−ペンタメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアセタミド、テトラメチルウレア、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、ジブチルアミン、ジエタノールアミン、N−エチルモルホリン、トリメチル−1,3−プロパンジアミン、3−キヌクリジノール、トリフェニルホスフィン、トルエンスルフィン酸ナトリウム、トリシクロヘキシルホスフィン、N−メチルピロリドンおよびt−ブチルジメチルアニリンが挙げられる。これらの改良剤は、単独で、あるいは互いに組み合わせて、あるいは2−ブタノン中の2.9×10-5モル/ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩gおよび1.5×10-5モル/樟脳キノンgの標準溶液中の3−ジメチルアミノ安息香酸のそれより大きい光誘導電位を有する材料と合わせて用いることができる。こうした材料の例としてエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(「EDMAB」)がある。
【0082】
カチオン重合の開始を加速することが望ましい場合もある。例えば、特定のハイブリッド組成物において、ラジカル活性官能基およびカチオン活性官能基のほぼ同時の開始を達成することが望ましい場合がある。この目的を実行するために適する開始系の例は、1997年4月11日出願のオクスマン(Oxman)らによるUSSN第08/838,835号、発明の名称「Ternary Photoinitiator System for Curing of Epoxy/Polyol Resin Compositions」および1997年4月11日出願のオクスマン(Oxman)らによるUSSN第08/840,093号、発明の名称「Ternary Photoinitiator System for Curing of Epoxy Resin」に記載されている。両方は本出願と同じ譲受人に譲渡されており、本明細書に引用して援用する。そこにおいて記載されているように、光開始剤系は、ヨードニウム塩(例えば、アリールヨードニウム塩)、可視光増感剤(例えば、樟脳キノン)および電子供与体を含む。その系は、上述したオクスマン(Oxman)らによる出願において記載された手順に従い測定して、2−ブタノン中の2.9×10-5モル/ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩gおよび1.5×10-5モル/樟脳キノンgの標準溶液中の3−ジメチルアミノ安息香酸のそれ以上の光誘導電位を有する。適する電子供与体の例としてエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(「EDMAB」)がある。
【0083】
ラジカル活性官能基およびカチオン活性官能基の両方を含むハイブリッド組成物の場合、ラジカル重合のために一つの開始系およびカチオン重合のために別の開始系を用いることが望ましい場合がある。ラジカル重合開始系は、活性化されるとラジカル重合のみが開始されるように選択される。
【0084】
ラジカル活性官能基の重合を開始させることが可能であるがカチオン活性官能基の重合を開始させることが可能ではない開始剤の一つのクラスには、ペルオキシドとアミンの組合せなどの従来の化学的開始剤が含まれる。熱酸化還元反応に依存するこれらの開始剤は「自動硬化触媒」と呼ばれることが多い。それらは、一般に二液型系として供給され、その中で反応物は互いに離して貯蔵され、その後使用直前に混ぜられる。
【0085】
ラジカル活性官能基の重合を開始させることが可能であるがカチオン活性官能基の重合を開始させることが可能ではない開始剤の第2のクラスにはラジカル発生光開始剤が含まれ、それは任意に光増感剤または促進剤と組み合わされる。こうした開始剤は、一般に、200〜800の間のある波長で付加重合のためのラジカルを発生することが可能である。その例には、アルファ−ジケトン、アルファ−ジケトンまたはケトアルデヒドのモノケタール、アシロインおよびそれらの対応するエーテル、発色団置換ハロメチル−s−トリアジン、発色団置換ハロメチル−オキサジアゾールが挙げられる。
【0086】
ラジカル活性官能基の重合を開始させることが可能であるがカチオン活性官能基の重合を開始させることが可能ではない開始剤の第3のクラスには、ラジカル発生熱開始剤が含まれる。その例には、ペルオキシドおよびAIBNなどのアゾ化合物が挙げられる。
【0087】
二重開始系は、カチオン活性官能基の重合の開始のための別個の光開始系をさらに含む。カチオン開始系は、ラジカル開始系の活性化がカチオン開始系を活性化しないように選択される。二重開始系組成物のために適するカチオン光開始系の例には、オニウム塩、および上述した錯体金属ハロゲン化物を含む混合配位子アレンシクロペンタジエニル金属塩が挙げられる。
【0088】
重合性成分
重合性組成物は、カチオン活性官能基および任意にラジカル活性官能基を含む。カチオン活性官能基を有する材料には、カチオン重合性エポキシ樹脂が含まれる。こうした材料は、開環によって重合できるオキシラン環、すなわち、式
【化1】

の基を有する有機化合物である。これらの材料には、モノマーエポキシ化合物およびポリマータイプのエポキシドが挙げられ、これらの材料は脂肪族、脂環式、芳香族またはヘテロ環式であることが可能である。これらの材料は、一般に、平均で分子当たり少なくとも一個の重合性エポキシ基、好ましくは少なくとも約1.5個、より好ましくは分子当たり少なくとも約2個の重合性エポキシ基を有する。ポリマーエポキシドには、末端エポキシ基を有する直鎖ポリマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)およびペンダントエポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマーまたはコポリマー)が挙げられる。エポキシドは、純粋な化合物であってもよく、あるいは分子当たり一個、二個またはそれ以上のエポキシ基を含む化合物の混合物であってもよい。分子当たりのエポキシ基の「平均」数は、エポキシ含有材料中のエポキシ基の全数を存在するエポキシ含有分子の全数で除することにより決定される。
【0089】
これらのエポキシ含有材料は、低分子量モノマー材料から高分子量ポリマーまで異なることが可能であり、それらの主鎖および置換基の種類において非常に異なることが可能である。可能な置換基の例には、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、ニトロ基およびホスフェート基などが挙げられる。エポキシ含有材料の分子量は、約58から約100,000以上まで異なることが可能である。
【0090】
有用なエポキシ含有材料には、エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのシクロヘキサンオキシド基を含むものが挙げられ、それらは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレートおよびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペートによって代表される。この種類の有用なエポキシドのより詳細なリストについては、米国特許第3,117,099号を参照すること。この特許は本明細書に引用して援用する。
【0091】
本発明の組成物中で有用である別のエポキシ含有材料には、式
【化2】

(式中、R’はアルキルまたはアリールであり、nは1〜6の整数である)
のグリシジルエーテルモノマーが含まれる。その例として、多価フェノールと、エピクロルヒドリンなどの過剰のクロロヒドリンとの反応によって得られる多価フェノールのグリシジルエーテル(例えば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)−プロパンのジグリシジルエーテル)がある。このタイプのエポキシドの別の例は、米国特許第3,018,262号および「Handbook of Epoxy Resins」,by Lee and Neville,McGraw−hill Book Co.,New York(1967)に記載されている。その特許は本明細書に引用して援用する。
【0092】
本発明において使用できる市販されている多くのエポキシ樹脂がある。特に、容易に入手できるエポキシドには、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)から商品名「Epon828」、「Epon825」、「Epon1004」および「Epon1010」で入手できるもの、ダウケミカル(Dow Chemical Co.)製の「DER−331」、「DER−332」および「DER−334」)、ビニルシクロヘキセンジオキシド(例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide Corp.)製の「ERL−4206」)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide Corp.)製の「ERL−4221」または「CYRACURE UVR 6110」または「UVR−6105」)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキセンカルボキシレート(例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide Corp.)製の「ERL−4201」)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide Corp.)製の「ERL−4289」)、ビス(2,3−エポキシシクロフェニル)エーテル(例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide Corp.)製の「ERL−0400」)、ポリプロピレングリコールから変性された脂肪族エポキシ(例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide Corp.)製の「ERL−4050」および「ERL−4052」)、ジペンテンジオキシド(例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide Corp.)製の「ERL−4269」)、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、エフエムシー(FMC Corp.)製の「Oxiron2001」)、エポキシ官能基を含むシリコーン樹脂、難燃性エポキシ樹脂(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical Co.)製の「DER−580」臭素化ビスフェノールタイプエポキシ樹脂)、フェノールホルムアルデヒドノボラックの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical Co.)製の「DEN−431」および「DEN−438」)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(例えば、コッパーズカンパニー(Koppers Company,Inc.)製の「Kopoxite」)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide Corp.)製の「ERL−4299」および「UVR−6128」)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン(例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide Corp.)製の「ERL−4234」)、ビニルシクロヘキセンモノオキシド1,2−エポキシヘキサデカン(例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide Corp.)製の「UVR−6216」)、アルキルC8〜C10グルシジルエーテルなどのアルキルグリシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「HELOXY Modifier 7」、アルキルC12〜C14グルシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「HELOXY Modifier 8」)、ブチルグリシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「HELOXY Modifier 61」)、クレシルグリシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「HELOXY Modifier 62」)、p−ター(ter)ブチルフェニルグリシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「HELOXY Modifier 65」)、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテルなどの多官能性グリシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「HELOXY Modifier 67」)、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「HELOXY Modifier 68」)、シクロヘキサンジメタノールのジシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「HELOXY Modifier 107」)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「HELOXY Modifier 44」)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「HELOXY Modifier 48」)、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「HELOXY Modifier 84」)、ポリグリコールジエポキシド(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「HELOXY Modifier 32」)、ビスフェノールFエポキシド(例えば、チバガイギー(Ciba−Geigy Corp.)製の「EPN−1138」または「GY−281」、9,9−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−フェニル]フルオレノン(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical Co.)製の「Epon1079」)が挙げられる。
【0093】
なお他のエポキシ樹脂は、アクリル酸エステルまたはグリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートなどのグリシドールと一種以上の共重合性ビニル化合物とのコポリマーを含有する。こうしたコポリマーの例として、1:1スチレン−グリシジルメタクリレート、1:1メチルメタクリレート−グリシジルアクリレートおよび62.5:24:13.5メチルメタクリレート−エチルアクリレート−グリシジルメタクリレートがある。
【0094】
他の有用なエポキシ樹脂はよく知られており、エピクロロヒドリンのようなエポキシド、アルキレンオキシド、例えば、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、アルケニルオキシド、例えば、ブタジエンオキシド、グリシジルエーテル、例えば、エチルグリシデートを含有する。
【0095】
種々のエポキシ含有材料のブレンドも考慮されている。こうしたブレンドの例には、低分子量(200未満)、中間分子量(約200〜10,000)およびより高い分子量(約10,000を超える)などの二つ以上の重量平均分子量分布のエポキシ含有化合物が含まれる。変形として、あるいは追加的に、エポキシ樹脂は、脂肪族および芳香族などの異なる化学的種類、あるいは極性または非極性などの官能性を有するエポキシ含有材料のブレンドを含有することが可能である。
【0096】
カチオン活性官能基を有する有用な材料の他のタイプには、ビニルエーテル、オキセタン、スピロオルトカーボネートおよびスピロオルトエステルなどが挙げられる。
【0097】
ラジカル活性官能基を有する材料には、一個以上のエチレン系不飽和基を有するモノマー、オリゴマーおよびポリマーが挙げられる。適する材料は、少なくとも一個のエチレン系不飽和結合を含み、付加重合を受けることが可能である。こうしたラジカル重合性材料には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ビス[1−(2−アクリロキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタンおよびトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレートなどのモノ−、ジ−またはポリ−アクリレートおよびメタクリレート、分子量200〜500のポリエチレングリコールのビス−アクリレートおよびビス−メタクリレート、米国特許第4,652,274号のものなどのアクリレート化モノマーの共重合可能な混合物、米国特許第4,642,126号のものなどのアクリレート化オリゴマー、ならびにスチレン、ジアリルフタレート、ジビニルスクシネート、ジビニルアジペートおよびジビニルフタレートなどのビニル化合物が挙げられる。二種以上のこれらのラジカル重合性材料の混合物を必要ならば用いることができる。
【0098】
必要ならば、カチオン活性官能基およびラジカル活性官能基の両方を単一分子中に含有することが可能である。こうした分子は、例えば、ジエポキシドまたはポリエポキシドを1当量以上のエチレン系不飽和カルボン酸と反応させることにより得ることができる。こうした材料の例として、UVR−6105(ユニオンカーバイド(Union Carbide)製)と1当量のメタクリル酸との反応生成物がある。エポキシおよびラジカル活性官能基を有する市販されている材料には、Cyclomer M−100、M−101などの「Cyclomer」シリーズ、日本のダイセル(Daicel Chemical)製のA−200およびラドキュアスペッシャルティーズ(Radcure Specialties)製のEbecryl−3605が挙げられる。
【0099】
その他の添加剤
本重合性組成物は、さらにヒドロキシル含有材料を含むことが可能である。適するヒドロキシル含有材料は、少なくとも一個、好ましくは少なくとも2個のヒドロキシル官能基を有するあらゆる有機材料であることが可能である。好ましくは、ヒドロキシル含有材料は、二個以上の第一または第二脂肪族ヒドロキシル基を含む(すなわち、ヒドロキシル基は非芳香族炭素原子に直接結合されている)。ヒドロキシル基は末端に位置することが可能であるか、あるいはポリマーまたはコポリマーから垂れ下がっていることが可能である。ヒドロキシル含有有機材料の分子量は、極めて小さい(例えば、32)から極めて大きい(例えば、百万以上)まで異なることが可能である。適するヒドロキシル含有材料は、低分子量、すなわち、約32〜200、中間分子量、すなわち、約200〜10,000、あるいは高分子量、すなわち、約10,000より高い分子量を有することが可能である。本明細書において用いられるすべての分子量は重量平均分子量である。
【0100】
ヒドロキシル含有材料は、種類において非芳香族であることが可能であるか、あるいは芳香族官能基を含むことが可能である。ヒドロキシル含有材料は、任意に、窒素、酸素および硫黄などの、分子の主鎖中にヘテロ原子を含むことが可能である。ヒドロキシル含有材料は、例えば、天然に存在するセルロース材料または合成で製造されたセルロース材料から選択されることが可能である。もちろん、ヒドロキシル含有材料はまた、熱的に不安定または光分解に対して不安定でありうる基を実質的に含まない。すなわち、材料は、約100℃未満の温度でも、重合性組成物のラジカル活性成分に対する必要な重合条件中に直面しうる化学線の存在下でも分解せず、揮発性成分を遊離しない。
【0101】
一個のヒドロキシル官能基を有する適するヒドロキシル含有材料の代表的な例には、アルカノール、ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル、アルキレングリコールのモノアルキルエーテルおよび当該技術分野において公知の他のものが挙げられる。
【0102】
有用な低分子量ポリヒドロキシ有機材料の代表的な例には、アルキレングリコール(例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,18−ジヒドロキシオクタデカン、3−クロロ−1,2−プロパンジオール)、ポリヒドロキシアルカン(例えば、グルセリン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ソルビトール)、および他のポリヒドロキシ化合物、2−ブチン−1,4−ジオール、4,4−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルスルホンおよびヒマシ油などが挙げられる。
【0103】
有用な高分子ヒドロキシル含有材料の代表的な例には、ポリオキシエチレングリコールおよびポリオキシプロピレングリコール、特に、ジオールについては100〜5000またはトリオールについては70〜3300のヒドロキシ当量に対応する約200〜約10,000の分子量を有するポリオキシエチレングリコールジオールおよびトリオールならびにポリオキシプロピレングリコールジオールおよびトリオール、種々の分子量のポリテトラヒドロフランすなわち「ポリTHF」などのポリテトラメチレンエーテルグリコール、ヒドロキシプロピルアクリレートおよびメタクリレートならびにヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリレートと、アクリレートエステル、ビニルハロゲン化物またはスチレンなどの他のラジカル重合性モノマーとのコポリマー、酢酸ビニルコポリマーの加水分解または部分的加水分解によって生成するペンダントヒドロキシ基を含むコポリマー、ペンダントヒドロキシル基を含むポリビニルアセタール樹脂、ヒドロキシエチル化セルロースおよびヒドロキシプロピル化セルロースなどの変性セルロースポリマー、ヒドロキシ末端ポリエステル、ヒドロキシ末端ポリラクトン、および特にポリカプロラクトン、弗素化ポリオキシエチレングリコールまたは弗素化ポリオキシプロピレングリコールならびにヒドロキシ末端ポリアルカジエンが挙げられる。
【0104】
市販されている有用なヒドロキシル含有材料には、「TERATHANE」650、1000、2000および2900などのポリテトラメチレンエーテルグリコールの「TERATHANE」シリーズ(デラウェア州ウィルミントンのデュポン・ヌムール(duPont de Nemours)から入手できる)、「PEP」450、550および650などの第二ヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレンテトロールの「PEP」シリーズ、「BUTVAR」B−72A、B−73、B−76、B−90およびB−98などのポリビニルアセタール樹脂の「BUTVAR」シリーズ(ミズーリ州セントルイスのモンサントケミカル(Monsanto Chemical Company)から入手できる)、7/70、12/85、7/95S、7/95E、15/95Sおよび15/95Eなどの樹脂の「FORMVAR」シリーズ(モンサントケミカル(Monsanto Chemical Company)から入手できる)、「TONE」0200、0210、0230、0240、0300および0301などのポリカプロラクトンポリオールの「TONE」シリーズ(ユニオンカーバイド(Union Carbide)から入手できる)、「PARAPLEX U−148」脂肪族ポリエステルジオール(ペンシルバニア州フィラデルフィアのロームアンドハース(Rohm and Haas)から入手できる)、「MULTRON」R−2、R−12A、R−16、R−18、R−38、R−68およびR−74などの飽和ポリエステルポリオールの「MULTRON」Rシリーズ(モベイケミカル(Mobay Chemical Co.)から入手できる)、約100の当量を有するヒドロキシプロピル化セルロースである「KLUCEL E」(ハーキュレス(Hercules Inc.)から入手できる)、約400のヒドロキシル当量を有する酢酸セルロースブチレートエステルである「Alcohol Soluble Butyrate」(ニューヨーク州ロチェスターのイーストマンコダック(Eastman Kodak Co.)から入手できる)、ポリプロピレングリコールジオールなどのポリエーテルポリオール(例えば、アーコケミカル(ARCO Chemical Co.)製の「ARCOL PPG−425」、「ARCOL PPG−725」、「ARCOL PPG−1025」、「ARCOL PPG−2025」、「ARCOL PPG−3025」、「ARCOL PPG−4025」)、ポリプロピレングリコールトリオール(例えば、アーコケミカル(ARCO Chemical Co.)製の「ARCOL LT−28」、「ARCOL LHT−42」、「ARCOL LHT−112」、「ARCOL LHT−240」、「ARCOL LG−56」、「ARCOL LG−168」、「ARCOL LG−650」)、エチレンオキシド封止ポリオキシプロピレントリオールまたはジオール(例えば、アーコケミカル(ARCO Chemical Co.)製の「ARCOL 11−27」、「ARCOL 11−34」、「ARCOL E−351」、「ARCOL E−452」、「ARCOL E−785」、「ARCOL E−786」)、エトキシ化ビスフェノールA、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシド系ポリオール(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical Co.)製の「VORANOL」ポリエーテルポリオール)が挙げられる。
【0105】
重合性組成物中で用いられるヒドロキシル含有有機材料の量は、ヒドロキシル含有材料のエポキシドおよび/またはラジカル重合性成分との適合性、ヒドロキシル含有材料の当量と官能性、最終組成物中で必要な物理的特性および重合の望ましい速度などの要素に応じて広い範囲にわたり異なることが可能である。
【0106】
種々のヒドロキシル含有材料のブレンドも用いることができる。こうしたブレンドの例には、低分子量(200未満)、中間分子量(約200〜10,000)およびより高い分子量(約10,000を超える)などの二つ以上の分子量分布のヒドロキシル含有化合物が含まれる。変形として、あるいは追加的に、ヒドロキシル含有材料は、脂肪族および芳香族などの異なる化学的種類、あるいは極性または非極性などの官能性を有するヒドロキシル含有材料のブレンドを含有することが可能である。別の例として、二種以上の多官能性ヒドロキシ材料の混合物あるいは一種以上の一官能性ヒドロキシ材料と多官能性ヒドロキシ材料との混合物を用いることができる。
【0107】
重合性材料(複数を含む)は、単一分子中にヒドロキシル基およびラジカル活性官能基を含むこともできる。こうした材料の例には、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレート、グルセロールモノ−またはジ−(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−またはジ−(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールモノ−またはジ−(メタ)アクリレート、ソルビトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−またはペンタ−(メタ)アクリレート、および2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパンが挙げられる。
【0108】
重合性材料(複数を含む)は、単一分子中にヒドロキシル基およびカチオン活性官能基を含むことも可能である。その例は、ヒドロキシル基およびエポキシ基の両方を含む単一分子である。
【0109】
重合性組成物は、弗化物源、抗菌剤、促進剤、安定剤、吸収剤、顔料、染料、粘度調節剤、表面張力抑制剤、湿潤剤、酸化防止剤および当業者に対してよく知られている他の原料(ingredient)などの適する添加剤を含有することも可能である。各原料の量およびタイプは、重合の前および後に必要な物理的特性および取扱特性をもたらすために調節するのがよい。
【0110】
重合手順
重合性組成物は、好ましくは、「安全光」条件下で組成物の種々の成分を混合することにより製造される。混合を行う時に必要ならば適する不活性溶媒を用いることができる。適する溶媒の例には、アセトン、ジクロロメタンおよびアセトニトリルが挙げられる。
【0111】
単一開始系の場合、重合は、放射線源、好ましくは可視光源を組成物に照射することにより行われる。石英ハロゲンランプ、タングステンハロゲンランプ、水銀アーク、炭素アーク、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、プラズマアーク、発光ダイオードおよびレーザーなどの、紫外線または可視光を放出する光源を用いるのが便利である。
【0112】
一般に、有用な光源は、200〜500mW/cm2の範囲の強度を有する。歯科用途のために特に有用である一つの例は、ミネソタ州セントポールのスリーエム(3M Company)から市販されているVisilux歯科用キュアリング光である。こうした光は、400〜500nmの波長で約200mW/cm2の強度を有する。
【0113】
照射は幾つかのやり方で行うことができる。例えば、重合性組成物は、重合プロセス全体を通して放射線に連続的に照射することが可能である。組成物を放射線の単一線量に照射し、その後放射線源を取り去り、よって重合が起きることを可能にすることもできる。ハイブリッド組成物の場合、組成物は、好ましくは、最初はラジカル活性官能基の重合を開始させるために放射線の単一線量に照射され、その後、カチオン活性官能基の重合を開始させるために放射線の第2の線量に照射される。
【0114】
本発明を以下の実施例を用いて今からさらに説明する。
【実施例】
【0115】
試験手順
A.硬度
重合後の各複合材の硬度は、特定のどの充填剤入り組成物がカチオン重合を妨害または抑制するか否かの尺度を提供する。二つのバーコル硬度計(モデルGYZJ−934−1およびGYZJ−935:イリノイ州ラブズパークのバーバーコールマン(Barber Coleman,Inc.))を用いる。硬度計に付属している校正ディスクのセットを用いて、これらの硬度計の性能一定性を監視する。
【0116】
プレ重合された各複合材を4mm深さのDelrin型内の直径5mmの球状カットアウトに詰め込む。型が完全に充填されると共にサンプルを型表面と合わせてフラッシュすることを確実にするために、型の各側でライナーとしてMylarフィルムを用いる。その後、サンプルを熱線または化学線に照射して重合を開始させる。
【0117】
サンプルの滑らかで平らな領域内で複合材表面に相対してテスターの先端を強く押し付けることにより二つの硬度計を用いて、重合後に各サンプルを試験する。熱源または放射線源を取り去った直後と30分とにおいて二つの読みを最上表面で取り、各時点における平均読みを報告する。硬化を格付けするために両方の硬度計を用いる。Barcol GYZJ−935は、中間硬さのプラスチックを区別し、GYZJ−934−1は硬いプラスチックを測定する。GYZJ−934−1で10未満を記録するすべての値を、GYZJ−935を用いて試験する。GYZJ−935硬度計で80を超える硬さを記録するサンプルを作り直し、GYZJ−934−1硬度計で再試験する。
【0118】
B.等電点
Matec Electrokinetic Sonic Analysis System MBS−8000(マサツセッチュ州ホプキントンのマテックアプライドサイエンシーズ(Matec Applied Sciences)を用いて等電点を測定する。プローブの大きさと極性を10%(v/v)Ludox溶液で校正する。12gの充填剤サンプルを228gの蒸留水に分散させて、約5%(w/w)分散液を生じさせる。1.0規定のHClおよび1.0規定NaOHを用いて1〜10のpH範囲にわたって滴定しつつゼータ電位を測定する。
【0119】
C.吸着等温線分析
充填剤を150℃で1週間にわたり乾燥し、デシケータ内に保管する。0.1%〜15%(w/w)の範囲の光開始剤濃度で70%(w/w)の充填剤を含有する一連の複合材のバーコル硬度(照射後30分におけるGYZJ−934−1)を測定することにより表面積滴定を行う。付随した硬化の減少深さによる屈折率ミスマッチを最小にするために、樹脂ブレンドの屈折率が試験される充填剤の屈折率とほぼ一致するように樹脂B2(以下に記載する)を選択する。代表的な充填剤(以下に記載する充填剤(l))の場合、図5に示したように樹脂(充填剤で希釈されていない)中の初期光開始剤濃度に対してバーコル硬度(30分におけるGYZJ−934−1)をプロットする。完全硬化を達成するために必要な開始剤の濃度(C)を決定することにより、充填剤の表面上で吸着または不活性化された光開始剤誘導化学種の量を計算する。充填剤入りでない樹脂系における完全硬化が充填剤入り樹脂のこの試験において用いられた濃度よりずっと低い光開始剤濃度で得られるので、無に近い微少濃度の光開始剤誘導化学種が存在する時でさえ、完全硬化を得るという単純な仮定を行う。これを実験によって確認した。
【0120】
光開始剤濃度をC=C0−Cfとして表現することができる。Cf=0である時、すべての開始剤誘導化学種は吸着されるか、あるいは不活性化され、樹脂の硬化が生じない。充填剤によって吸着されるか、あるいは別に不活性化される開始剤誘導化学種の最大濃度は、図5に示したようにC=C0によって与えられる。
【0121】
充填剤表面に吸着されるか、あるいは別に妨害される開始剤誘導化学種の量は、以下の通り、吸光度(Γ)、充填剤のBET表面積(SA)および複合材中の充填剤の重量(W)に関連づけられる。
吸着または妨害される開始剤=(W)(SA)(Γ) (1)
【0122】
樹脂中の開始剤の量(モル)は次の通りその濃度と樹脂の体積に関連づけられる。
開始剤変化=(V)(C) (2)
V=充填剤のない樹脂の体積(mL)
C=樹脂中の開始剤の濃度
0=樹脂中の開始剤の初期濃度
f=樹脂中の開始剤の最終濃度
W=固体の重量
SA=BETによって決定される固体の比面積(m2/g)
Γ=充填剤表面積に対して正規化された開始剤誘導化学種の吸光度(μモル/m2
Γ’=開始剤誘導化学種の吸光度(μモル/充填剤g)
【0123】
光開始剤誘導化学種の吸光度(Γ’;μモル/充填剤g)または充填剤の単位表面積当たりの吸光度(Γ;μモル/m2)を計算する。吸光度に関して解くために、我々は、材料組のパラメータ内で、無に近い微少量でさえある光開始剤の存在が試験の時間枠において充填剤が存在しない状態で完全な硬化を引き起こすことに着目する。例えば、充填剤が存在しない状態で、完全な硬化がヨードニウム(CD1012)0.1%(w/w)未満の濃度で得られるのに対して、殆どの選別試験はヨードニウム1〜15%(w/w)を利用する。従って、これらの試験の場合、我々は、妨害されていないあらゆる光開始剤誘導化学種が充填剤の存在下において30分で実質的な硬化を生じさせると想定することが可能である。従って、我々は、バーコル硬度によって測定されるような硬化の妨害を、式(1)および(2)を等置することにより吸着または不活性化される光開始剤誘導化学種の濃度に関連づけることができる。
開始剤変化 = 吸収または不活性化される開始剤誘導化学種(3a)
(V)(Co)=(W)(SA)(Γ) (3b)
【0124】
配列変えして、我々は式(4)における吸光度(Γ)に関して解くことができる。
Γ=(V)(Co)/(W)(SA) (4)
【0125】
吸光度のBET表面積への従属性は、式(5)のように乗算して充填剤グラム当たりの吸光度を与えることにより取り除くことができる。
Γ’=ΓxSA (5)
【0126】
D.導電率
充填剤を150℃で1週間にわたり乾燥し、デシケータ内に保管する。ベーカー(J.T.Baker)(ニュージャージー州フィリップスバーグ)によって供給されたメチルエチルケトンおよび無水エタノールをモレキュラーシーブ上で乾燥する。湿気のある周囲条件にさらすことを避ける。0.25部のCPQ、1.5部のSartomer CD1012、0.5部のエチル−4−ジメチルアミノベンゾエートおよび90/10(w/w)メチルエチルケトン/無水エタノール溶液97.75部を含有する原液を調製する。4グラムの原液サンプルをガラスバイアルに計量して供給する。校正されたガラスpH電極(Corning PN476540)を溶液に入れ、Beckman210pH計を溶液で0の目盛りに合わせる。pH計をpH4およびpH7の緩衝溶液中で定期的に標準化する。
【0127】
バイアルに3M(登録商標)XL3000(登録商標)歯科用キュアリング光を20秒にわたり照射する。初期溶液の導電率をミリボルトで読み、E0として記録する。1.0gの充填剤サンプルを4gの照射済み原液に添加し、45秒まで激しく攪拌する。導電率を測定すると共に放置して平衡に至らしめる。最終の導電率を測定しEとして記録する。導電率の変化を初期と最終の導電率の間の差として表現する。
【0128】
最終の導電率の読みを得た後に、電極を2−ブタノンとエタノールの乾燥混合物でリンスし、静かに拭い、放置して次の試験での使用前に30〜60秒にわたり乾燥させる。
【0129】
E.FTIR分析
充填剤を150℃で1週間にわたり乾燥し、デシケータ内に保管する。サンプルをNujolムル(mull)として調製する。酢酸エチル(フルカケミカ(Fluka Chemika):99.5%(GC))四滴(約0.08ml)をNujol(パドックラボラトリーズ(Paddock Laboratories,Inc.)製の鉱油USP)の1cc部分に添加する。Nujol/酢酸エチル混合物約二滴(約0.04ml)を乾燥された充填剤(150℃で1週間)約300mgに添加すると共に混練して、多量充填剤入りの凝集性のムル(mull)を形成させる。FTIRに供するためにNaClプレート間にサンプルを置く。NaClプレートを500粗粒WetまたはDryサンドペーパー(スリーエム(3M Company))を用いて一表面上でサンダーがけして、粗い表面を出してムルの広がりを促進し、磨いた表面を用いる時に見られる干渉縞を防止する。
【0130】
すべてのスペクトルをBomem MB−102FTIR(ケベックカナダ、ケベック州のボーメン(Bomem/Hartman & Braun))で吸光度モードにおいて記録する。16のスキャン(4cm-1解像度)をスペクトルごとに共添加(co−added)する。充填剤が存在しない状態で、Nujol中の酢酸エチルは1747cm-1において吸収帯を示す。1747cm-1におけるピーク高さ対充填剤の存在下での酢酸エチルによる全吸収高さの相対比を計算する。例えば、充填剤の存在が1703、1710および1726cm-1へのシフトを引き起こす時、相対ピーク高さを次の通り計算する。
%PH,1747cm-1=(100*H,1747)/[PH,1747+PH,1703+PH,1710+PH,1726].
【0131】
100%の%PH,1747cm-1値は、充填剤表面と酢酸エチルとの相互作用がないことを示す。
【0132】
(スペクトルの「フラット」な領域から)前もって選択されたベースラインポイントの使用および測定されるべき高さの選択を可能にする商用プログラム(Grams32、Galactic)を用いてピーク高さの測定を行った。
【0133】
F.硬化の深さ
3部の樹脂を7部の充填剤と混ぜることにより三つの複合材ペーストを調製する。ペーストをシリンジに満たし、45℃において24時間にわたり圧力下で脱泡する。その後、高さが2〜8mmの範囲の円筒形ナイロン型(直径=約6mm)にペーストを押し出す。30分にわたりオーブン内に入れることにより、充填された型を37℃に加温した後、型に3Mモデル5530歯科用キュアリング光を60秒にわたり照射する。その後、照射されたサンプルを37℃のオーブンに戻す。30分後、サンプルを取り出し、試験手順Aに記載されたようにサンプルの底面上でバーコル硬度(GYZJ−934−1)を試験する。
【0134】
G.カールフィッシャー滴定
652KF Coulometer(テキサス州ヒューストンのメトローム(Metrohm))を用いて充填剤の水分含有率を測定する。サンプルをドライボックス内で調製する。約1gの充填剤を漿液バイアルに計量して供給する。10mLのメタノールサンプルをバイアルに添加し、バイアルを漿液キャップで密封し秤量する。サンプルをシェーカーに2〜6時間にわたり入れた後、充填剤を放置して一晩沈殿させる。三回の読みのために三つのバイアルを充填剤サンプルごとに調製した。
【0135】
20ゲージの針とシリンジを用いて上澄みのサンプルをバイアルから抜き取る。その後、0.45マイクロメートルのフィルターをシリンジの端に置き、濾過されたサンプルをカールフィッシャー滴定器に注入する。「定量的化学分析」(Harris)に記載されたようにサンプルを沃素滴定する。
【0136】
H.BET表面積
「Adsorption,Surface Area,and Porosity」(Academic Press Inc.,London1982)においてグレッグ(S.J.Gregg)およびシング(K.S.W.Sing)によって記載されたように、単一点Brunauer−Emmet−Tell(BET)法において窒素の吸着を用いて表面積を測定する。約12グラムのサンプルをHoriba SA−6210(カリフォルニア州アーヴィン)サンプル調製ステーションのチャンバに入れ、200℃で10〜12時間にわたり排気する。サンプルの表面積をHoriba SA−6201で2回測定し、排気され繰り返された両方の測定値を比較する。排気された測定値を報告する。
【0137】
I.粒子サイズ
Horiba LA−910レーザー光散乱計器を用いて粒子サイズを測定する。粒子サイズを三つの媒体中で測定する。Horiba乾燥粉末装置であるPowderjetを用いて乾燥充填剤の粒子サイズを測定する。Liquinox、Tween80、CalgonおよびNaFを含有する緩衝水溶液に0.2〜0.4%(w/w)の充填剤を分散させ、超音波ホーンおよびマグネチックスターラーを10分にわたり用いることにより、水溶液に分散された時の充填剤の一次粒子サイズを測定する。約85%の透過率を与えるために、試験チャンバ内の界面活性剤溶液の溶液に十分なサンプルを添加する。粒子サイズを平均体積直径(マイクロメートル)として報告する。
【0138】
J.屈折率(nD
「Practical Refractometry by Means of a Microscope」(Roy M.Allen,2nd Eddition,Cargille,NJ)に記載されたように、Becke Line法を用いて充填剤粒子の屈折率を測定する。
【0139】
K.比重
Micromeritics(ジョージア州ノークロス)AccuPyc1330ヘリウム比重瓶を用いて比重(g/cc)を測定する。
【0140】
L.X線回折
Phillips垂直回折計またはPicker4サークル回折計のいずれかで銅K−アルファ照射を用いてX線回折を行う。「Am」とは非晶質を意味し、「unid.ph.」とは未特定相を意味し、「unid.crys.ph.」とは未特定結晶相を意味し、「T」とは正方晶構造を意味し、「pc」とは擬立方構造を意味し、「c」とは立方構造を意味し、「crist.unid.」とはアルファ−クリストバライトおよび未特定結晶相を意味する。
【0141】
M.蛍光
Spectroline ENF−260C長波長UV光(ニューヨーク州ウェストベリーのスペクトロニックス(Spectronics Corp.))による照射下で充填剤の蛍光挙動を観察する。大文字の場合は観察されたカラーの鮮やかな蛍光を示す。小文字(y=黄色、w=白、b=青)の場合は鈍い蛍光を示す。文字「N」の場合は蛍光が見られない。
【0142】
N.放射線不透過性
国際規格ISO4049:1988(E)の7.11節に規定された手順に準拠して、重合されたサンプルの放射線不透過性を測定する。
【0143】
O.直径引張強度(DTS)
DTS測定のため、硬化されていない複合材サンプルを内径3.2mm外径9.5mmの硬質アクリルチューブに注入した。充填されたチューブを5分にわたり2.2〜2.9kg/cm2(30〜40psi)の圧力下に置き、その後、二つのVisilux−2(セントポールのスリーエム(3M))歯科用キュアリング光に80秒にわたり照射することにより圧力下の間に硬化させた。硬化されたサンプルを圧力を加えずに5分にわたり放置し、その後、37℃の脱イオン水中に1〜2時間にわたり入れた後に一定長さに切断した。サンプルをダイアモンド鋸で切断して、直径引張強度の測定用の約1.5mm長さの円筒形プラグを形成した。各材料の五サンプルをDTS結果のために調製した。プラグを約37℃で約16〜24時間にわたり脱イオン水中に保管し、Instron Mechanical Testing Instrument(モデル1123)を用い全米歯科協会仕様書No.27に準拠して、それらのDTS値を測定した。
【0144】
P.圧縮強度(CS)
CS測定のため、硬化されていない複合材サンプルを内径3.2mm外径9.5mmの硬質アクリルチューブに注入した。充填されたチューブを5分にわたり2.2〜2.9kg/cm2(30〜40psi)の圧力下に置き、その後、二つのVisilux−2(セントポールのスリーエム(3M))歯科用キュアリング光に80秒にわたり照射することにより圧力下の間に硬化させた。硬化されたサンプルを圧力を加えずに5分にわたり放置し、その後、37℃の脱イオン水中に1〜2時間にわたり入れた後に一定長さに切断した。サンプルをダイアモンド鋸で切断して、圧縮強度の測定用の約6mm長さの円筒形プラグを形成した。各材料の五サンプルをCS結果のために調製した。プラグを約37℃で約16〜24時間にわたり脱イオン水中に保管し、Instron Mechanical Testing Instrument(モデル1123)を用い全米歯科協会仕様書No.27に準拠して、それらのCS値を測定した。
【0145】
Q.目視不透明度
6ミリメートル離してディスクの各面上で60秒にわたり3M Visilux−2歯科用キュアリング光からの光に照射することにより、複合材のディスク状の厚さ1ミリメートル×直径20ミリメートルのサンプルを硬化させた。その後、可視光フィルターを装備したMacBeth透過濃度計モデルTD−504を用いるディスクの厚さを通した光の透過率の測定によって、硬化された複合材サンプルの目視不透明度を評価した。
【0146】
組成物の製造
一連の原液を調製し、その後、所定の原液を所定の開始剤溶液と混合することにより、六つの異なる重合性樹脂組成物を製造した。種々の原液を以下に記載する。すべての量をw/w%で示す。Vertishear Cyclone I.Q.を用いて成分を氷上で10分にわたり600rpmで混合することにより原液を調製した。
【0147】
【表1】

【0148】
開始剤溶液を原液の一つと混ぜて、氷上で40分にわたり15,000rpmでVertishear Cyclone I.Q.を用いて二つの溶液を混合することにより重合性樹脂溶液を生成させた。重合性樹脂溶液を以下に示す。すべての量をw/w%で示している。
【0149】
【表2】

【0150】
樹脂B6は、0.5%(w/w)CPQ、1.5%(w/w)CD1012および90%(w/w)Vectomer4010ビニルエーテル樹脂を混合して原液を形成し、その後、99.5%(w/w)の原液と0.5%(w/w)のパラ−ジメチルアミノ安息香酸を混合することにより調製されたビニルエーテル系組成物である。
【0151】
試験用の2グラムの複合材サンプルを手によるへら操作によって調製した。重合性樹脂組成物Bを白色プラスチック容器に計量して供給し、Mattler 天秤AE200(ニュージャージー州ハイズタウンのMattler Instrument Corp.)を用いて適切な量の充填剤を添加した。その後、充填剤が樹脂に十分に分散されるまで(約1〜5分)プラスチック攪拌棒を用いてサンプルを混合した。サンプルを室内灯から遮るためにあらゆる努力を払った。光開始反応を防ぐために、すべての調製および分析を黄色灯下で行った。
【0152】
複合材サンプルを可視、UV光および/または熱を用いて重合した。約400nm〜480nmの波長の範囲で光を放出するフィルター付きランプである3M Visilux29を用いて可視光による重合を行った。ミラー上に置かれた複合材表面(Mylar内に覆われている)に相対してランプフラッシュを120秒(上面60秒、下面60秒)にわたり置くことにより各サンプルに照射した。
【0153】
幾つかの実施例において、UV光を用いてサンプルを硬化させた。これらの場合、Sylvania350Black白熱電球F15T8/350BL(15ワット)ならびにFusion HおよびD光源(ミッドランド州ロックビルのフュージョンシステムズ(Fusion Systems))を用いた。Dynachem500UV Integrated Radiometer(カリフォルニア州タスティン)を用いて光出力(mJ/cm2)を測定した。
【0154】
実施例1〜4
これらの実施例は、重合すると、GYZJ−935硬度計を用いる試験手順Aにより測定して、25℃の反応温度でのカチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された組成物を生成する放射線遮断性充填剤/樹脂/開始剤の組合せを選択するための種々の選別試験の使用法を実証している。放射線遮断性充填剤および放射線透過性充填剤の両方と種々のカチオン重合性組成物との相互作用を調査することにより選別試験を開発した。これらの実施例において用いられた充填剤を次の通り調製した。
【0155】
充填剤(a)
炉内で600℃において18時間にわたりRaisorb(登録商標)T3000ガラス(ペンシルバニア州エシントンのイーエスエス(ESS−Tech))を加熱することにより充填剤サンプル(a)を調製した。Raisorb(登録商標)T3000は、販売業者によると33%の酸化バリウムを含有するバリウムアルミノ硼珪酸ガラスである。
【0156】
充填剤(b)
充填剤サンプル(b)は、製造業者から受領した状態のRaisorb(登録商標)T3000であった。
【0157】
充填剤(c)〜(e)
従来の溶融プロセスによって充填剤サンプル(c)〜(e)を調製した。表1に示した酸化物組成を生じさせるために、酸化ランタン、酸化珪素、酸化アルミニウム、硼酸および炭酸ナトリウムを秤量した。バッチ原料をブレンドし、白金るつぼに投入し、均質溶融を確実にするために十分な時間にわたり1400〜1500℃に加熱し、水中で急冷し、乾燥した。サンプル(c)および(d)用のガラスをアルミナプレート粉砕機内で粉砕して、直径約2mm未満のフリットを生じさせた。0.5インチアルミナ媒体を用いる磁気ボールミル内で、サンプル(c)、(d)および(e)用のガラスを粉砕した。ガラス99部当たり1質量部のエタノールをミルに投入した。サンプル(c)に対する粉砕時間は24時間であった。サンプル(d)に対する粉砕時間は48時間であった。サンプル(e)に対する粉砕時間は24時間であった。
【0158】
充填剤(f)
充填剤サンプル(f)を次の通り調製した。0.255部の濃硝酸の迅速添加によって25.5部のシリカゾル(デュポン・ヌムール(duPont de Nemours & Co.))製の「Ludox」LS)を酸性化した。別の容器内で、12.9部のイオン交換された酢酸ジルコニル(マグネシウムエレクトロン(Magnesium Electron,Inc.))を20部の脱イオン水で希釈し、得られた溶液を0.255部の濃硝酸で酸性化した。シリカゾルを攪拌された酢酸ジルコニル溶液にポンプで送り、1時間にわたり混合した。攪拌された混合物を3マイクロメートルのフィルター、次に1マイクロメートルのフィルターを通して濾過した。濾液を深さ約25mmまでトレーに注ぎ、強制空気炉内で65℃において約35時間にわたり乾燥した。得られた乾燥済み材料をオーブンから取り出し、950℃に予熱された回転管状炉(ハーパーファーニス(Harper Furnace Corp.))を通して混転した。0.5〜1.2マイクロメートル(Micromeritics5100沈降グラフで測定)の平均粒子サイズを得るまで、焼成された材料を1/4インチアルミナ媒体を用いる混転ボールミル内で粉砕した。ミルの投入物は、75部の焼成された材料、3部のメタノール、1.9部の安息香酸および1.1部の脱イオン水を含んでいた。その後、充填剤をセラミックサガーに投入し、880〜900℃において約8時間にわたり空気中において電気炉(エルアンドエルファーニス(L&L Furnace Corp.))内でファイアした。その後、ファイアされた充填剤を4〜5時間にわたりボールミルで粉砕した。ミルの投入物は、32部のファイアされた充填剤、1.25部のエタノールおよび0.3部の脱イオン水を含んでいた。次に、充填剤を振動篩(Vortisiv V/S10010)内の74マイクロメートルのナイロンスクリーンに通した。その後、充填剤をV−ブレンダー(パターソンケリー(Patterson−Kelley Corp.)内で約15分にわたりブレンドした。
【0159】
充填剤(g)
充填剤サンプル(g)を次の通り調製した。1.1〜1.8マイクロメートル(Micromeritics5100沈降グラフで測定)の平均粒子サイズを得るまで、サンプル(f)の場合のように調製され焼成された材料を1/4インチアルミナ媒体を用いる混転ボールミル内で粉砕した。ミルの投入物は、94.4部の焼成された材料、1.4部のメタノールおよび4.1部の脱イオン水を含んでいた。その後、充填剤をセラミックサガーに投入し、800〜1000℃において約9時間にわたり空気中において電気炉(ハーパーファーニス(Harper Furnace Corp.))内でファイアした。その後、ファイアされた充填剤を4〜5時間にわたりボールミルで粉砕した。ミルの投入物は、34部のファイアされた充填剤、3.4部のメタノールおよび0.85部の脱イオン水を含んでいた。次に、充填剤を振動篩(Vortisiv V/S10010)内の74マイクロメートルのナイロンスクリーンに通した。その後、充填剤をV−ブレンダー(パターソンケリー(Patterson−Kelley Corp.)内で約15分にわたりブレンドした。
【0160】
充填剤(h)
ファイア条件が880〜900℃で約8時間の代わりに1000℃で4時間であった以外は、充填剤サンプル(h)を充填剤サンプル(f)と同じように調製した。ファイアした後、充填剤を72時間にわたりアルミナ媒体を用いるボールミルで粉砕した。投入物は、900部の充填剤、20部のエタノールおよび5部の脱イオン水を含んでいた。ミルを24時間および48時間で開放し、詰め込んだ充填剤を取り除いた。
【0161】
充填剤(i)
充填剤サンプル(i)を次の通り調製した。1.42重量部の硼酸(33906−7:ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical, Inc.))を激しく攪拌しながら19.87部のコロイドシリカゾル(1042:ナパービルのナルコケミカル(Nalco Chemical Company))に添加した。15.32部の脱イオン水の添加後、硼酸が完全に溶解するまで攪拌を続けた。もう一つの容器内に、31.83部の酢酸ジルコニル(マグネシウムエレクトロン(Magnesium Elektron,Inc.))を投入した。激しく攪拌しながら1.34部のACSグレード硝酸を酢酸ジルコニルに添加した。コロイドシリカ調合物を激しく攪拌しながら酢酸ジルコニル調合物に添加した。攪拌は1時間続けられた。回転アトマイザーセットを備えた3フィートのNiro噴霧乾燥装置内でゾルを20,000RPMで噴霧乾燥した。得られた粉末は微細で易流動性であった。噴霧乾燥された粉末をセラミックサガーに投入し、200℃への傾斜、1時間均熱、550℃への傾斜、4時間保持、室温への冷却というプロフィールに従って空気中において電気炉(カリフォルニア州エルモントのクレスマニュファクチャリング(Cress Mfg.Company))内で焼成した。その後、1/4インチアルミナ媒体を用いるボールミルで粉末を32時間にわたり粉砕した。投入物は、260重量部の粉末、6.5部の安息香酸、10.4部のメタノールおよび4部の脱イオン水を含んでいた。次に、得られた粉末をセラミックサガーに投入し、空気中において電気炉(14℃/分で900℃への傾斜、12時間保持、室温への冷却)内でファイアした。その後、1/4インチアルミナ媒体を用いるボールミルで粉末を24時間にわたり粉砕した。投入物は、400重量部の粉末、4部のエタノールおよび1部の脱イオン水を含んでいた。
【0162】
充填剤(j)
ファイア温度が900℃の代わりに750℃であった以外は(i)と同じように充填剤サンプル(j)を調製した。
【0163】
充填剤(k)
ファイア温度が900℃の代わりに850℃であった以外は(i)と同じように充填剤サンプル(k)を調製した。
【0164】
充填剤(l)
充填剤サンプル(l)を次の通り調製した。充填剤サンプル(m)の一部をセラミックサガーに投入し、1000℃への傾斜、4時間保持、室温への冷却というプロフィールに従って空気中において電気炉(カリフォルニア州エルモントのクレスマニュファクチャリング(Cress Mfg.Company))内でファイアした。その後、1/4インチアルミナ媒体を用いるボールミルで充填剤を24時間にわたり粉砕した。投入物は、1145重量部の充填剤、40部のエタノールおよび10部の脱イオン水を含んでいた。
【0165】
充填剤(m)
充填剤サンプル(m)を次の通り調製した。19.297重量部のアルミニウムホルモアセテート(「AFA」)を容器に投入した。AFAを次の通り調製した。400gの脱イオン水、34.5mlの氷酢酸および25.6mlの濃蟻酸をフラスコに投入する。得られた溶液を激しく沸騰させ、その後、それぞれ約9gを三回に分けて2時間にわたって26.98gのアルミニウム金属粉末を添加した。最初の添加後に発熱反応が起き、室温の脱イオン水の添加によって反応の速度を減速させた。熟成を10時間にわたり続け、その後、溶液を冷却し濾過して、9.25重量%のAl23(pH=4.45)が生成した。
【0166】
別の容器内で、1部の脱イオン水への硝酸ランタン六水和物1重量部の溶液を調製した。激しく攪拌しながら16.347部の硝酸ランタン六水和物溶液をアルミニウムホルモアセテート調合物に添加し、1時間にわたり攪拌した。激しく攪拌しながら7.647部のコロイドシリカゾル(1042:ナパービルのナルコケミカル(Narco Chemical Company))を調合物に添加し、1時間にわたり攪拌した。激しく攪拌しながら1.208部のACSグレード硝酸を調合物に添加し、20分にわたり攪拌した。回転アトマイザーセットを備えた3フィートのNiro噴霧乾燥装置内でゾルを20,000RPMで噴霧乾燥した。得られた粉末は微細で易流動性であった。噴霧乾燥された粉末をセラミックサガーに投入し、200℃への傾斜、1時間均熱、550℃への傾斜、4時間保持、室温への冷却というプロフィールに従って空気中において電気炉(カリフォルニア州エルモントのクレスマニュファクチャリング(Cress Mfg.Company))内で焼成した。その後、1/4インチアルミナ媒体を用いるボールミルで粉末を6時間にわたり粉砕した。投入物は、900重量部の粉末および4部の脱イオン水を含んでいた。
【0167】
充填剤(n)
充填剤サンプル(n)を次の通り調製した。ケイ石を約660℃に加熱し、水中で急冷し、水を切り、その後、強制空気炉内で約200°Fにおいて16時間にわたり乾燥した。急冷された石英をミル内で石英媒体と混合し、約70時間にわたり混転した。投入物は、99重量部の急冷された石英および1部のメタノールを含んでいた。得られた粒子をV−ブレンダー内で約1時間にわたり0.1重量%のカーボンブラックとブレンドし、その後、約950℃で4時間にわたり電気炉内でファイアした。得られた粒子を100マイクロメートルのナイロンスクリーンに通し、その後、30分にわたりV−ブレンダー内でブレンドした。
【0168】
充填剤(o)
充填剤サンプル(o)を次の通り調製した。壁厚さ1mmの融解石英チューブをハンマーで破片に壊した後、0.5インチアルミナ媒体を用いるボールミルで24時間にわたり粉砕した。投入物は、99質量部の破片および1部のエタノールを含んでいた。
【0169】
充填剤(p)
充填剤(p)は市販されている炭酸カルシウム充填剤(イリノイ州クインシーのフーバー(Huber))であった。
【0170】
充填剤(q)
充填剤(q)は市販されている炭酸カルシウム充填剤(アラバマ州シラコーガのイーシーシーインターナショナル(ECC International))であった。
【0171】
充填剤(r)
充填剤(r)は市販されている長石充填剤(ジョージア州アトランタのフェルドスパー(Feldspar Corp.))であった。
【0172】
充填剤(s)
充填剤(s)は、サウスカロライナ州ロックヒルのアトテック(Atotech)から得られるKBF4であった。
【0173】
充填剤(t)
充填剤(t)は、デンマークのアベルナッケのタルコノード(Tarconord A/A)から得られる融解誘導型氷晶石充填剤であった。
【0174】
充填剤(u)
充填剤(u)は、コネチカット州グリニッジのカリケミー(Kali−Chemie Corp.)から得られる合成氷晶石であった。
【0175】
充填剤(v)
充填剤(v)は、デュポン(デラウェア州ウィルミントン)から得られる処理二酸化チタン(IT−Pureシリーズ)であった。
【0176】
充填剤(w)
充填剤(w)は、30%(w/w)充填剤(f)と40%(w/w)充填剤(n)とのブレンドであった。
【0177】
充填剤(x)
充填剤(x)は、9%(w/w)三弗化イッテルビウム(アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical Co.))と61%(w/w)充填剤(n)とのブレンドであった。
【0178】
充填剤(a)〜(m)の化学的組成を以下の表1において要約している。すべての量は重量%で示されている。充填剤(a)および(b)の場合、BaOの量は、販売業者によって報告された情報に基づいている。
【0179】
【表3】

【0180】
充填剤(a)〜(v)を試験手順G〜Mに従って特性決定した。結果を以下の表2に要約している。「−−」という印は試験しなかったことを意味する。
【0181】
粒子サイズのデータの場合、括弧内の数字は標準偏差を表している。文字B、MおよびTは、粒子サイズ分布を反映していおり、それぞれ単峰分布、双峰分布および三峰分布に対応する。
【0182】
【表4】

【0183】
実施例1
この実施例は、選別試験として等電点を使用できることを実証している。種々の充填剤組成物の等電点を試験手順Bに従って測定した。上述した一般手順に従って、硬度試験のサンプルを50%(w/w)と70%(w/w)充填剤装填率で調製した。各場合の樹脂は樹脂B2であった。3M Visilux2(登録商標)光を用いてサンプルを可視光で硬化させた。複合材表面(Mylar内に覆われている)に相対してランプフラッシュを120秒(上面60秒、下面60秒)にわたり置くことにより各サンプルに照射した。硬化中に複合材をミラーに相対して置いた。
【0184】
硬度を試験手順Aに従って評価した。結果を表3Aおよび3Bにおいて表形式で要約している。「硬化せず」とは、複合材が二つの硬度計のいずれでも記録しなかった、すなわち、Mylarフィルムを型から取り除いた時、硬化しなかった樹脂がフィルムと共に引き剥がされたか、あるいは容易に針入されたことを意味する。GYZJ−935硬度計を用いた結果を図1a(50%(w/w)充填剤装填率)および1(b)(70%(w/w)充填剤装填率)においてもグラフで示している。−5のバーコル値は硬化せずを表している。
【0185】
これらの結果は、一般に、50%(w/w)以上の充填剤装填率の場合、7以下の等電点を有する放射線遮断性充填剤を好適に使用できることを実証している。
【0186】
7以下のIEP値をもっていてさえ好適に重合しなかった幾つかの充填剤(50%装填率の充填剤(f)、(h)、(v)および70%装填率の充填剤(b)、(f)、(h)および(v))があった。しかし、これらの充填剤は、以下に記載するような他の選別試験を満足させなかった。これらの結果は、最善の結果のために好ましくは、個々の選別試験を互いに組み合わせて用いるべきであることを示している。
【0187】
【表5】

【0188】
【表6】

【0189】
実施例2
この実施例は、選別試験として吸着等温線分析を使用できることを実証している。種々の充填剤組成物の吸着値を試験手順Cに従って測定した。硬度試験用のサンプルを実施例1の場合のように50%(w/w)と70%(w/w)充填剤装填率で調製した。各場合の樹脂は樹脂B2であった。
【0190】
吸着値(Γ’)を観察吸着に充填剤のBET表面積(表2参照)を乗じたものとしてμモル/g充填剤で報告した。
【0191】
硬度を実施例1の場合のように評価した。結果を表4Aおよび4Bにおいて表形式で要約している。GYZJ−935硬度計を用いた結果を図2(a)(50%(w/w)充填剤装填率)および2(b)(70%(w/w)充填剤装填率)においてもグラフで示している。−5のバーコル値は硬化せずを表している。
【0192】
これらの結果は、一般に、70%(w/w)の充填剤装填率の場合、上述したように測定して約20マイクロモル/g充填剤以下の吸着値を示す充填剤組成物を好適に使用できることを実証している。50と70%(w/w)の間の充填剤装填率の場合、80マイクロモル/g充填剤以下の吸着値を有する充填剤組成物を好適に使用できる。
【0193】
充填剤(t)の吸着値が80マイクロモル/g充填剤より大きくてさえ、50%および70%(w/w)装填率の充填剤(t)は最小バーコル硬度レベルを満たした。逆に、充填剤(g)が80マイクロモル/g充填剤未満の吸着値をもっていてさえ、70%(w/w)装填率の充填剤(g)は最小バーコル硬度レベルを満たさなかった。これは、最善の結果のために好ましくは、個々の選別試験を互いに組み合わせて用いるべきであることを示している。
【0194】
【表7】

【0195】
【表8】

【0196】
実施例3
この実施例は、選別試験として導電率を使用できることを実証している。充填剤組成物を含有する試験溶液に関する導電率値を試験手順Dに従って測定した。硬度試験用のサンプルを実施例1に記載したように50%(w/w)と70%(w/w)充填剤装填率で調製した。各場合の樹脂は樹脂B2であった。
【0197】
硬度を実施例1の場合のように評価した。結果を表5Aおよび5Bにおいて表形式で要約している。GYZJ−935硬度計を用いた結果を図3(a)(50%(w/w)充填剤装填率)および3(b)(70%(w/w)充填剤装填率)においてもグラフで示している。−5のバーコル値は硬化せずを表している。
【0198】
これらの結果は、一般に、70%(w/w)の充填剤装填率の場合、60mV以下の導電率変化を引き起こす充填剤を好適に使用できることを実証している。50%(w/w)の充填剤装填率の場合、125mV以下の導電率変化を引き起こす充填剤を好適に使用できる。
【0199】
【表9】

【0200】
【表10】

【0201】
実施例4
この実施例は、標準物質として酢酸エチルを用いるFTIR分光分析法をゾルゲル誘導型充填剤の場合に選別試験として使用できることを実証している。充填剤組成物を含有する試験溶液に関する%ピーク高さ値を試験手順Eに従って測定した。硬度試験用のサンプルを実施例1に記載したように50%(w/w)と70%(w/w)充填剤で調製した。各場合の樹脂は樹脂B2であった。
【0202】
硬度を実施例1に記載したように評価した。結果を表6Aおよび6Bにおいて表形式で要約している。GYZJ−935硬度計を用いた結果を図4(a)(50%(w/w)充填剤装填率)および4(b)(70%(w/w)充填剤装填率)においてもグラフで示している。−5のバーコル値は硬化せずを表している。
【0203】
結果は、一般に、80%より大きい酢酸エチルに対するFTIRピーク高さを有する充填剤組成物を好適に使用できることを実証している。
【0204】
充填剤(j)のピーク高さ値が80%未満でさえ、50%および70%(w/w)装填率両方の充填剤(j)は好適に重合した。逆に、充填剤(g)の%ピーク高さ値が80%より大きくてさえ、70%装填率の充填剤(g)は最小バーコル硬度値を満たさなかった。これらの結果は、最善の結果のために好ましくは、個々の選別試験を互いに組み合わせて用いるべきであることを示している。
【0205】
【表11】

【0206】
【表12】

【0207】
実施例5〜44
これらの実施例は、種々の放射線遮断性充填剤組成物を用いる多くのカチオン重合された組成物の満足のいく製造を実証している。種々の充填剤を次の通り調製した。
【0208】
実施例5
充填剤サンプルは、市販されているストロンチウムアルミノ硼珪酸ガラスであるRaysorb(登録商標)T4000(ペンシルバニア州エシントンのイーエスエス(ESS−Tech))であった。
【0209】
実施例6
充填剤サンプルは、市販されているバリウムアルミノ硼珪酸ガラスであるSchott GM−27884(ドイツのランツフートのショットグラスベルケ(Schott Glaswerke))であった。販売業者によって報告された組成を表7に示している。
【0210】
実施例7
市販されているバリウムアルミノ硼珪酸ガラスであるCorning7724(ニューヨーク州コーニングのコーニングガラスワークス(Corning Glass Works))を3時間にわたりアルミナ媒体を用いるボールミルで粉砕することにより充填剤サンプルを調製した。その後、粉砕されたガラスを600℃で18時間にわたり加熱した。
【0211】
実施例8
従来の溶融プロセスによって充填剤サンプルを調製した。表7に示した酸化物組成を生じさせるために適切な前駆物質を計量した。ブレンド後、均質な溶融を確実にするために十分な時間にわたりバッチを1400〜1500℃に加熱し、水中で急冷し乾燥した。その後、ガラスフリットをボールミルで粉砕した。
【0212】
実施例9
Spex8000装置(ニュージャージー州エジソンのスペックスインダストリーズ(Spex Industries))内のアルミナミルでガラスフリットを10分にわたり粉砕することにより充填剤サンプルを調製した。表7に示した酸化物組成を生じさせるために適切な前駆物質を計量することによりガラスフリットを調製した。ブレンド後、均質な溶融を確実にするために十分な時間にわたりバッチを1400〜1650℃に加熱し、水中で急冷し乾燥した。
【0213】
実施例10
実施例9に記載したように調製されたガラスフリットをSpex8000内のアルミナミルで30分にわたり粉砕することにより充填剤サンプルを調製した。その後、充填剤を400マイクロメートルのナイロンスクリーンで篩った。
【0214】
実施例11
実施例9に記載したように調製されたガラスフリットをSpex8000内のアルミナミルで20分にわたり粉砕することにより充填剤サンプルを調製した。
【0215】
実施例12
実施例9に記載したように調製されたガラスフリットをアルミナ媒体を用いるボールミル内で24時間にわたり粉砕することにより充填剤サンプルを調製した。その後、粉末を600℃で24時間にわたり加熱した。
【0216】
実施例13
実施例9に記載したように調製されたガラスフリットをSpex8000内のアルミナミルで30分にわたり粉砕することにより充填剤サンプルを調製した。その後、充填剤を400マイクロメートルのナイロンスクリーンで篩った。
【0217】
実施例14
実施例9に記載したように調製されたガラスフリットをSpex8000内のジリコニアミルで10分にわたり粉砕することにより充填剤サンプルを調製した。
【0218】
実施例15
実施例9に記載したように調製されたガラスフリットをアルミナ媒体を用いるボールミルで粉砕することにより充填剤サンプルを調製した。ミルの投入物は、600質量部のガラスフリットおよび6部のエタノールを含んでいた。
【0219】
実施例16
実施例9に記載したように調製されたガラスフリットをSpex8000内のアルミナミルで20分にわたり粉砕することにより充填剤サンプルを調製した。
【0220】
実施例17
実施例9に記載したように調製されたガラスフリットをアルミナ媒体を用いるボールミルで24時間にわたり粉砕することにより充填剤サンプルを調製した。その後、粉砕された充填剤を60マイクロメートルのナイロンスクリーンを通して篩った。
【0221】
実施例18
21.39質量部の硝酸を激しく攪拌しながら1071.3部のコロイドシリカゾル(Nalco1042:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))に添加した。もう一つの容器内で、激しく攪拌しながら12.58部の硝酸を616.1部の酢酸ジルコニル(マグネシウムエレクトロン(Magnesium Elektron,Inc.))に添加した。次に、酢酸ジルコニル調合物をコロイドシリカ調合物に激しく攪拌しながら徐々に添加した。得られたゾルをNiro3フィート噴霧乾燥機内で噴霧乾燥した。得られた粉末は微細で易流動性であった。粉末を500℃で4時間にわたり焼成し、その後、アルミナ媒体を用いるボールミルで粉砕した。ミルの投入物は、75部の焼成された材料、3部のメタノール、1.9部の安息香酸および1.1部の脱イオン水を含んでいた。その後、充填剤を1000℃で4時間にわたりファイアした。
【0222】
実施例19
8.9部の硼酸を激しく攪拌しながら1058重量部のコロイドシリカゾル(Nalco1042:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))に添加した。もう一つの容器内で、激しく攪拌しながら32.23部の硝酸を616.5部の酢酸ジルコニルに添加した。次に、酢酸ジルコニル調合物をコロイドシリカ調合物に激しく攪拌しながら徐々に添加した。得られたゾルをNiro3フィート噴霧乾燥機内で噴霧乾燥した。得られた粉末は微細で易流動性であった。粉末を500℃で4時間にわたり焼成し、その後、アルミナ媒体を用いるボールミルで粉砕した。ミルの投入物は、75部の焼成された材料、3部のメタノール、1.9部の安息香酸および1.1部の脱イオン水を含んでいた。その後、充填剤を1000℃で4時間にわたりファイアした。
【0223】
実施例20
44.5部の硼酸を激しく攪拌しながら998重量部のコロイドシリカゾル(Nalco1042:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))に添加した。もう一つの容器内で、激しく攪拌しながら29.03部の硝酸を616.8部の酢酸ジルコニルに添加した。次に、酢酸ジルコニル調合物をコロイドシリカ調合物に激しく攪拌しながら徐々に添加した。得られたゾルをNiro3フィート噴霧乾燥機内で噴霧乾燥した。得られた粉末は微細で易流動性であった。粉末を500℃で4時間にわたり焼成し、その後、アルミナ媒体を用いるボールミルで粉砕した。ミルの投入物は、75部の焼成された材料、3部のメタノール、1.9部の安息香酸および1.1部の脱イオン水を含んでいた。その後、充填剤を900℃で4時間にわたりファイアした。配合されたゾルのバイアルを周囲条件下で貯蔵した。ゾルは2.5年後にゲル化も沈殿も示さなかった。
【0224】
実施例21
1.33部の硼酸(33906−7:ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical,Inc.))を激しく攪拌しながら29.9部のコロイドシリカゾル(1042:ナパービルのナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))に添加した。13.2部の脱イオン水の添加後、硼酸が完全に溶解するまで攪拌を続けた。もう一つの容器内で、18.63部の酢酸ジルコニル(マグネシウムエレクトロン(Magnesium Elektron,Inc.))を添加した。激しく攪拌しながら0.97部のACSグレード硝酸を酢酸ジルコニルに添加した。コロイドシリカ調合物を酢酸ジルコニル調合物に激しく攪拌しながら添加した。攪拌を1時間にわたり続けた。回転アトマイザーセットを備えた3フィートのNiro噴霧乾燥装置内でゾルを20,000RPMで噴霧乾燥した。得られた粉末は微細で易流動性であった。噴霧乾燥された粉末をセラミックサガーに投入し、200℃への傾斜、1時間均熱、550℃への傾斜、4時間保持、室温への冷却というプロフィールに従って空気中において電気炉(カリフォルニア州エルモントのクレスマニュファクチャリング(Cress Mfg.Company))内で焼成した。その後、1/4インチアルミナ媒体を用いるボールミルで粉末を65時間にわたり粉砕した。投入物は、130重量部の粉末、3部の安息香酸、5部のメタノールおよび2部の脱イオン水を含んでいた。V−ブレンダー(パターソンケリー(Patterson−Kelley))内で30分にわたりブレンドした後、粉末をセラミックサガーに投入し、空気中において電気炉(900℃への傾斜、12時間保持、室温への冷却)内でファイアした。その後、1/4インチアルミナ媒体を用いるボールミルで粉末を24時間にわたり粉砕した。投入物は、400重量部の粉末、4部のエタノールおよび1部の脱イオン水を含んでいた。
【0225】
実施例22
18.59質量部の硝酸を856.3部の脱イオン水に添加した。次に、激しく攪拌しながらこの溶液を1071.3部のコロイドシリカゾル(Nalco1042:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))に添加した。その後、激しく攪拌しながら88.1部の硼酸を添加した。もう一つの容器内で、12.58部の硝酸を616.1部の酢酸ジルコニル(マグネシウムエレクトロン(Magnesium Elektron,Inc.))に激しく攪拌しながら添加した。次に、酢酸ジルコニル調合物をコロイドシリカ調合物に激しく攪拌しながら徐々に添加した。得られたゾルをNiro3フィート噴霧乾燥機内で噴霧乾燥した。得られた粉末は微細で易流動性であった。粉末を500℃で4時間にわたり焼成し、その後、アルミナ媒体を用いるボールミルで粉砕した。ミルの投入物は、75部の焼成された材料、3部のメタノール、1.9部の安息香酸および1.1部の脱イオン水を含んでいた。その後、充填剤を800℃で4時間にわたりファイアした。配合されたゾルのバイアルを周囲条件下で貯蔵した。ゾルは2.5年後にゲル化も沈殿も示さなかった。
【0226】
実施例23
7質量部の硝酸を1414部の脱イオン水に添加した。次に、激しく攪拌しながらこの溶液を389部のコロイドシリカゾル(Nalco1042:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))に添加した。その後、激しく攪拌しながら88.1部の硼酸を添加した。もう一つの容器内で、6.0部の硝酸を308部の酢酸ジルコニル(マグネシウムエレクトロン(Magnesium Elektron,Inc.))に激しく攪拌しながら添加した。次に、酢酸ジルコニル調合物をコロイドシリカ調合物に激しく攪拌しながら徐々に添加した。得られたゾルをNiro3フィート噴霧乾燥機内で噴霧乾燥した。得られた粉末は微細で易流動性であった。粉末を500℃で4時間にわたり焼成し、その後、アルミナ媒体を用いるボールミルで粉砕した。ミルの投入物は、75部の焼成された材料、3部のメタノール、1.9部の安息香酸および1.1部の脱イオン水を含んでいた。配合されたゾルのバイアルを周囲条件下で貯蔵した。ゾルは2.5年後にゲル化も沈殿も示さなかった。
【0227】
実施例24
11質量部のAFAを容器に投入した。次に、激しく攪拌しながら、466.6部の脱イオン水に溶解された23.3部の硼酸の溶液64.5部、21.4部の酢酸ジルコニル(マグネシウムエレクトロン(Magnesium Elektron,Inc.))、36.9部のコロイドシリカゾル(1034A:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))および16.3部の氷酢酸を添加した。ゾルを3日にわたり攪拌し、その後、Bchi噴霧乾燥機内で噴霧乾燥した。粉末を500℃で4時間にわたり焼成し、その後、1050℃で2時間にわたりファイアした。
【0228】
実施例25
140質量部の硝酸ランタン六水和物(12915:マサツセッチュ州ワードヒルのアルファアエサー(Alfa Aesar))を120部の脱イオン水に溶解した。97部のコロイドシリカゾル(1034A:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))を83.9部の硝酸ランタン溶液に激しく攪拌しながら添加した。得られたゾルをPyrex(登録商標)トレーに注ぎ、55℃で2日にわたりオーブンに入れた。その後、乾燥されたゲルをSpex8000装置(ニュージャージー州エジソンのスペックスインダストリーズ(Spex Industries))内のアルミナミルで5時間にわたり粉砕した。その後、粉末を1050℃で2時間にわたりファイアした。
【0229】
実施例26
889質量部の硝酸ランタン六水和物を902部の脱イオン水に溶解した。34.2部のコロイドシリカゾル(1034A:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))を43.2部の硝酸ランタン溶液に激しく攪拌しながら添加した。得られたゾルをPyrex(登録商標)トレーに注ぎ、粗い粒状ゲルに向けて55℃で乾燥した。乾燥されたゲルを550℃で3時間にわたり焼成し、アルミナ乳鉢および乳棒で手により砕き粉末にし、その後、1050℃で2時間にわたりファイアした。
【0230】
実施例27
965質量部のAFAをビーカーに投入した。次に、激しく攪拌しながら、902部の脱イオン水中の889部の硝酸ランタン六水和物の溶液158部を添加し、続いて383部のコロイドシリカゾル(1034A:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))を添加した。得られたゾルをNiro3フィート乾燥機内で噴霧乾燥した。得られた粉末を550℃で4時間にわたり焼成し、その後、1/4インチアルミナ媒体を用いるボールミルで粉砕した。投入物は、130重量部の粉末、3部の安息香酸、5部のメタノールおよび2部の脱イオン水を含んでいた。充填剤を1000℃で4時間にわたりファイアした。ファイアされた充填剤を1/4インチアルミナ媒体を用いるボールミルで粉砕した。投入物は、130重量部の充填剤、5.2部のエタノールおよび1.3部の水を含んでいた。
【0231】
実施例28
128.4質量部の脱イオン水を99.5部のコロイドシリカゾル(1034A:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))に激しく攪拌しながら添加した。20.0部の硼酸(339067:アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical Co.))を添加した。113.4部の脱イオン水を添加した。すべての粉末が溶解するまで激しい攪拌を続けた。別の容器内で、674.3部の硝酸ランタン六水和物を809部の脱イオン水に溶解した。次に、29.4部の硝酸ランタン溶液をコロイドシリカ調合物に添加した。得られたゾルを脱イオン水2部当たりゾル1重量部によって希釈し、その後、Niro3フィート乾燥機内で噴霧乾燥した。550℃で4時間にわたり焼成した後、粉末を850℃で2時間にわたりファイアした。得られた粉末は易流動性であった。
【0232】
実施例29
100質量部の脱イオン水を111.7部のコロイドシリカゾル(1034A:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))に激しく攪拌し僅かに加熱しながら添加した。8.9部の硼酸(339067:アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical Co.))を添加した。すべての粉末が溶解するまで激しい攪拌を続けた。別の容器内で、674.3部の硝酸ランタン六水和物を809部の脱イオン水に溶解した。次に、41.0部の硝酸ランタン溶液をコロイドシリカ調合物に添加した。得られたゾルを脱イオン水2部当たりゾル1重量部によって希釈し、その後、Niro3フィート乾燥機内で噴霧乾燥した。500℃で4時間にわたり焼成した後、粉末を850℃で2時間にわたりファイアした。得られた粉末は易流動性であった。
【0233】
実施例30
ファイア温度が850℃の代わりに1050℃であった以外は、充填剤サンプルを実施例29の充填剤サンプルと同じように調製した。
【0234】
実施例31
すべての粉末が溶解するまで激しく攪拌し僅かに加熱しながら、2.7部の硼酸(339067:アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical Co.))を111.7部のコロイドシリカゾル(1034A:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))に添加した。別の容器内で、674.3部の硝酸ランタン六水和物を809部の脱イオン水に溶解した。次に、48.0部の硝酸ランタン溶液をコロイドシリカ調合物に添加した。得られたゾルを脱イオン水2部当たりゾル1重量部によって希釈し、その後、Niro3フィート乾燥機内で噴霧乾燥した。500℃で4時間にわたり焼成した後、粉末を850℃で2時間にわたりファイアした。得られた粉末は易流動性であった。
【0235】
実施例32
ファイア温度が850℃の代わりに1050℃であった以外は、充填剤サンプルを実施例31の充填剤サンプルと同じように調製した。
【0236】
実施例33
ファイア温度が850℃の代わりに1200℃であった以外は、充填剤サンプルを実施例31の充填剤サンプルと同じように調製した。
【0237】
実施例34
激しく攪拌し僅かに加熱しながら、4.43部の硼酸(339067:アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical Co.))を97部のコロイドシリカゾル(1034A:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))に添加した。別の容器内で、140重量部の硝酸ランタン六水和物(12915:マサツセッチュ州ワードヒルのアルファアエサー(Alfa Aesar))を120部の脱イオン水に溶解した。激しく攪拌し僅かに加熱しながら、70.9部の硝酸ランタン溶液をコロイドシリカ調合物に添加した。得られたゾル約25mlをPyrex(登録商標)ビーカーに注ぎ、高周波オーブン(モデルR−9H83:ニュージャージー州マーワのシャープエレクトリニックス(Sharp Electronics Corp.))内で9時間にわたり加熱した。結果は不透明で湿ったゲルであった。このゲルを550℃で2.5時間にわたり焼成し、その後、Spex8000内のアルミナミルで2分にわたり粉砕した。
【0238】
実施例35
実施例34の充填剤サンプルと同じように調製されたゾルをトレーに注ぎ、3日にわたり60℃で乾燥した。その後、乾燥されたゲルをSpex8000内のアルミナミルで20分にわたり粉砕した。粉砕された粉末を500℃で2時間にわたり加熱し、その後、900℃で4時間にわたり加熱した。
【0239】
実施例36
173質量部のAFAを容器に投入した。激しく攪拌しながら、53部のコロイドシリカゾル(1034A:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))、硝酸ランタン六水和物674.3部および脱イオン水809.4部の溶液263.3部、28.4部の硼酸から成る原料を一度に添加した。粉末が完全に溶解するまで攪拌を続けた。ゾルをBuchi噴霧乾燥機内で噴霧乾燥した。得られた粉末を500℃で45分にわたり焼成し、その後、800℃で14時間にわたり焼成した。粉末を850℃で6時間にわたりファイアした。
【0240】
実施例37
実施例38(下記)に記載されたように調製された噴霧乾燥粉末を500℃で2:45時間にわたり焼成し、その後、Spex8000装置ニュージャージー州エジソンのスペックスインダストリーズ(Spex Industries))内のアルミナミルで5分にわたり粉砕した。
【0241】
実施例38
86.5質量部のAFAを容器に投入した。激しく攪拌しながら、33.9部のコロイドシリカゾル(1034A:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))、硝酸ランタン六水和物674.3部および脱イオン水809.4部の溶液131.6部、14.2部の硼酸から成る原料を一度に添加した。粉末が完全に溶解するまで攪拌を続けた。ゾルをBuchi噴霧乾燥機内で噴霧乾燥した。得られた粉末を500℃で45分にわたり焼成し、その後、800℃で14時間にわたり焼成した。粉末を850℃で6時間にわたりファイアした。
【0242】
実施例39
激しく攪拌しながら、15.7質量%の酸化イットリウムを生じる脱イオン水中の硝酸イットリウム六水和物の溶液38.4部を26.6部のコロイドシリカゾル(1034A:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))に添加した。pHを約4〜5から0〜0.5に低下させるために硝酸数滴を添加した。ゾルをPyrex(登録商標)ビーカーに注ぎ、その後、高周波オーブン内で14分にわたり加熱した。得られた乾燥ゲルを1000℃で2時間にわたりファイアし、その後、アルミナ乳鉢および乳棒で手により粉砕し粉末にした。
【0243】
実施例40
48.7質量部のAFAを容器に投入した。激しく攪拌しながら、15.7質量%の酸化イットリウムを生じる脱イオン水中の硝酸イットリウム六水和物の溶液28.8部を17.9部のコロイドシリカゾル(1034A:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))に添加した。ゾルをPyrex(登録商標)ビーカーに注ぎ、その後、高周波オーブン内で19分にわたり加熱した。得られた乾燥ゲルを1000℃で2時間にわたりファイアし、その後、アルミナ乳鉢および乳棒で手により粉砕し粉末にした。
【0244】
実施例41
約4.86kgのNalco2326シリカゾル(14.5重量%固形物のシリカゾル、pH9.0、アンモニウムイオン安定化)を6.02kgの水と混合した。1.34kgのNyacol10/20ジルコニアゾル(20重量%固形物のジルコニアゾル、pH0.5、硝酸塩イオン安定化)と水に前もって溶解された硼酸30gを含有する水1.48kgとの混合物をこれに添加した。これは、固形物質量基準でシリカ約70%、ジルコニア27%および硼酸3%であるゾルを生成した。
【0245】
その後、入口温度約200℃および出口温度100℃のNiro3フィート乾燥機で30,000RPMにおいて、このゾルを噴霧乾燥した。その後、得られた粉末を1000℃で6時間にわたりファイアした。
【0246】
実施例42
約5.03kgのNalco2326シリカゾル(14.5質量%固形物のシリカゾル、pH9.0、アンモニウムイオン安定化)を5.06kgの水と混合した。1.34kgのNyacol10/20ジルコニアゾル(20質量%固形物のジルコニアゾル、pH0.5、硝酸塩イオン安定化)と水1.36kgとの混合物をこれに添加した。これは、固形物質量基準でシリカ約73%およびジルコニア27%であるゾルを生成した。
【0247】
その後、入口温度約200℃および出口温度100℃のNiro3フィート乾燥機で30,000RPMにおいて、このゾルを噴霧乾燥した。その後、得られた粉末を1000℃で6時間にわたりファイアした。試験手順Eに従って評価した時、充填剤は100の%ピーク高さを示した。
【0248】
実施例43
Nyacol10/20ジルコニアゾル(20質量%固形物のジルコニアゾル、pH0.5、硝酸塩イオン安定化)を140℃においてオーブン内で一晩乾燥して水を除去した。その後、サンプルを乳鉢と乳棒を用いて手で砕いて紛状凝集物をばらばらにした。得られた粉末を1000℃でファイアして、一切の残留硝酸塩を除去した。試験手順Eに従って評価した時、充填剤は100の%ピーク高さを示した。
【0249】
実施例44
サンプルを800℃で4時間にわたりファイアした以外は、実施例20に記載したのと同じように充填剤サンプルを調製した。
【0250】
実施例5〜44において用いられた充填剤の化学的組成を以下の表7において要約している。すべての量を質量%で示している。
【0251】
【表13】

【0252】
実施例5〜44において用いられた充填剤も試験手順H〜Mに従って特性決定した。結果を以下の表8に要約している。
【0253】
「−−」という印は試験しなかったことを意味する。
【0254】
【表14】

【0255】
実施例1に記載したように複合材を製造するために各充填剤を用いた。各実施例において用いられた樹脂は、実施例11(樹脂B4)、12(樹脂B3)および41〜43(樹脂B4)を除いて樹脂B1であった。
【0256】
GYZJ−934−1硬度計を用いて硬化後30分において試験手順Aに従って各複合材の硬度を評価した。結果を表9において報告している。星印は、可視光源を取り去った直後にバーコル硬度を測定したことを意味している。
【0257】
【表15】

【0258】
実施例45〜49
これらの実施例は、種々の放射線遮断性充填剤を含有する多くのカチオン重合された組成物の満足のいく製造を説明している。種々の充填剤ブレンドを次の通り調製した。
【0259】
実施例45
充填剤サンプルは、5質量部の石英充填剤(充填剤(n))と2部の二弗化錫(アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical Co.))とのブレンドから成っていた。
【0260】
実施例46
充填剤サンプルは、5質量部の石英充填剤(充填剤(n))と2部の二弗化亜鉛(アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical Co.))とのブレンドから成っていた。
【0261】
実施例47
充填剤サンプルは、5質量部の石英充填剤(充填剤(n))と2部の酸化ビスマス(アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical Co.))とのブレンドから成っていた。
【0262】
実施例48
充填剤サンプルは、14.6部の石英充填剤(充填剤(n))と5.4部のコロイドジルコニア充填剤とのブレンドから成っていた。
【0263】
実施例49
充填剤サンプルは、6質量部の石英充填剤(充填剤(n))と10部の二弗化亜鉛(アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical Co.))とのブレンドから成っていた。
【0264】
上述した一般手順に従って複合材を製造するために各充填剤を用いた。
【0265】
GYZJ−934−1硬度計を用いて硬化後30分において試験手順Aに従って各複合材の硬度を評価した。結果を表10において報告している。
【0266】
【表16】

【0267】
実施例50〜52
これらの実施例は、UV光および熱による多くの異なるカチオン重合開始剤を用いる放射線不透過性複合材の製造を説明している。原液A1を用いて各複合材を製造した。三つの異なる光開始剤を用いた。各場合の光開始剤の量は2%(w/w)であった。各場合の充填剤は充填剤(a)であった。各場合の充填剤装填率は50%(w/w)であった。紫外線(フュージョンシステムズ(Fusion Systems)製のFusion Dランプによって供給される)および熱(100℃10分間)の組合せを用いて開始を実行した。全UV線エネルギーは約1500mJ/cm2であった。
【0268】
GYZJ−934−1硬度計を用いる試験手順Aに従って各複合材の硬度を評価した。結果を表11に示している。その結果は、種々のカチオン開始剤を用いるカチオン重合により放射線不透過性複合材を好適に製造できることを実証している。
【0269】
【表17】

【0270】
実施例53
この実施例は、カチオン活性官能基およびラジカル活性官能基を特徴とするハイブリッド樹脂系を用いる複合材の製造を説明している。複合材を実施例1に記載したように製造した。樹脂は、UVR−6105エポキシ樹脂、ポリテトラヒドロフラン250(M.W.=250Da)およびTMPTA(三官能性アクリレート)の80:20:30ブレンドであった。樹脂は、1.25%(w/w)のCD1012ヨードニウム塩および0.5%(w/w)のCPQ可視光増感剤を含有していた。
【0271】
GYZJ−934−1硬度計を用いる試験手順Aに従って各複合材の硬度を評価した。結果を表12に示している。エポキシ樹脂のみと組み合わせた時とは対照的に、両方の充填剤は硬化しない複合材をもたらした。その結果は、ハイブリッド樹脂系を用いて放射線不透過性複合材を好適に製造できることを実証している。
【0272】
【表18】

【0273】
実施例54〜60
これらの実施例は、カチオン重合性樹脂から複合材を製造するために、コアとコアの化学的組成とは異なる化学的組成を有するコーティングとを特徴とする被覆された放射線遮断性充填剤を使用できることを実証している。被覆された充填剤を次の通り調製した。
【0274】
実施例54
この充填剤は、ジルコニアコーティングを伴った石英コアを特徴としていた。生じる酸化物組成が約10質量%のジルコニアおよび90質量%の石英であるように、石英充填剤(充填剤(n))を激しく攪拌しながらコロイドジルコニアゾル(Nyacol ZRYS−4)に分散させた。得られたスラリーを噴霧乾燥し、その後、1000℃で6時間にわたりファイアした。得られた被覆充填剤粒子は、試験手順Hに従い測定して0.75m2/gのBET表面積をもっていた。
【0275】
実施例55
この充填剤は、ジルコニアコーティングを伴った石英コアを特徴としていた。ファイア工程を省いた以外は実施例54の手順に従って充填剤を調製した。得られた被覆充填剤粒子は、試験手順Hに従い測定して4.04m2/gのBET表面積をもっていた。
【0276】
実施例56
この充填剤は、ジルコニアコーティングを伴った石英コアを特徴としていた。酸化物組成が約50質量%のジルコニアおよび50重量%の石英であったこと以外は実施例54の手順に従って充填剤を調製した。得られた被覆充填剤粒子は、試験手順Hに従い測定して0.75m2/gのBET表面積をもっていた。
【0277】
実施例57
この充填剤は、ボリア−シリカコーティングを伴ったジルコニア−シリカコアを特徴としていた。第1のボールミル粉砕後の工程を省いた以外は充填剤(f)を調製するために用いられた手順に従ってジルコニア−シリカ充填剤を調製した。激しく攪拌しながら、532.9部の硼酸、16765部のコロイドシリカゾル(1042:ナルコケミカル(Nalco Chemical Co.))および3131部の脱イオン水を含有するゾル200部および16000部の脱イオン水に800質量部のジルコニア−シリカ充填剤を入れてスラリー化した。こうして塗布されたコーティングは、5質量%のB23および95重量%のSiO2の公称組成をもっていた。得られた懸濁液をNiro噴霧乾燥機内で噴霧乾燥した。その後、得られた粉末を850℃で6時間にわたりファイアした。得られた被覆充填剤粒子は、試験手順Hに従って測定して27.98m2/gのBET表面積をもっていた。
【0278】
実施例58
この充填剤は、ボリアコーティングを伴ったジルコニア−シリカコアを特徴としていた。ファイア温度が850℃の代わりに950℃であった以外は実施例57の手順に従って充填剤を調製した。得られた被覆充填剤粒子は、試験手順Hに従って測定して2.63m2/gのBET表面積をもっていた。
【0279】
実施例59
この充填剤は、硬化したメタクリレートマトリックスに分散された無機放射線不透過性ジルコニア−シリカ充填剤を特徴としていた。注射器一本分の3M(登録商標)Restractive Z100(登録商標)Incisal Pasteをプラスチックフィルムの二シート間に分配し、1mm未満の厚さに搾り、Kulzer Dentacolor XS装置内で90秒にわたり光硬化させ、Spex8000装置内のアルミナミルで2分にわたり粉砕した。得られた被覆充填剤粒子のBET表面積を測定しなかった。
【0280】
実施例60
この充填剤は、ジルコニア−シリカゾルゲル充填剤コア上のエポキシ樹脂コーティングを特徴としていた。第1のボールミル粉砕後のすべての工程を省いた以外は充填剤(f)を調製するために用いられた手順に従って調製されたジルコニア:シリカゾルゲル充填剤の表面上に、Epon825(80部)、ポリテトラヒドロフラン250(20部)、1.25%(w/w)CD1012および0.5%(w/w)CPQのブレンドを磁気的に被覆した。WO97/07900に記載された手順に従って磁気的コーティングを行った。被覆された粒子にSylvania UVランプ下で1時間にわたり照射して(600mJ/cm2)、粒子の表面上に樹脂を硬化させた。
【0281】
実施例1に記載した手順に従って複合材を製造した。GYZJ−934−1硬度計を用いる試験手順Aに従って各複合材の硬度を評価した。結果を表13において報告している。星印は、GYZJ−935硬度計を用いて硬度を評価したことを意味している。
【0282】
【表19】

【0283】
表13に示した結果は、カチオン重合性樹脂を用いて複合材を製造するために、(a)放射線透過性コアおよび放射線遮断性コーティング、あるいは(b)放射線遮断性コアおよび放射線透過性コーティングを特徴とする被覆された充填剤を好適に使用できることを実証している。
【0284】
実施例61
この実施例は、カチオン重合性樹脂および放射線遮断性充填剤を用いて硬化の良好な深さをもつ複合材を製造できることを実証している。
【0285】
実施例1に記載したように複合材を製造するために各充填剤を用いた。各複合材は、70%(w/w)充填剤の充填剤装填率を特徴としていた。各複合材中で用いられた重合性組成物は樹脂B4であった。
【0286】
硬化の深さを0〜8mmの範囲の深さで試験手順Fに従って複合材ごとに評価した。GYZJ−934−1硬度計を用いて測定されたバーコル硬度値の形をとった結果を表14において報告している。「−−」という印は試験しなかったことを意味する。
【0287】
【表20】

【0288】
表14に示した結果は、放射線遮断性充填剤を用いて8mm以下の硬化の深さを達成できることを実証している。
【0289】
実施例62〜64および比較例A
これらの実施例は、放射線遮断性充填剤およびカチオン重合性樹脂を用いて有用な歯科用複合材を製造できることを実証している。充填剤を次の通り調製した。
【0290】
比較例A
1部のエタノールおよび1部の蒸留水を含有する溶液約30mlをポリエチレンビーカーに秤量して供給した。pHを4.5±0.1に調節するために、トリフルオロ酢酸(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカル(Aldrich Chem. Co.))を添加した。テフロン(登録商標)被覆マグネチック攪拌棒で攪拌しつつ1.43質量部の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(G6720:ペンシルバニア州ブリストルのユナイテッドケミカルテクノロジーズ(United Chemical Technologies,Inc.))を徐々に添加した。約30mLの変性エタノールを用いてシラン添加ビーカーをリンスし、その後、これを加水分解性シラン水溶液に添加した。溶液を放置して室温で約1時間にわたり攪拌し、シランを完全に加水分解した。石英充填剤98部とヒュームドシリカ(Cab−O−Sil M5:イリノイ州ツコーラのキャボットコーポレーション(Cabot Corp.))2部との充填剤ブレンド30重量部をシラン溶液に徐々に添加した。得られた分散液のpHは充填剤添加後36分で4.94であった。スラリーを室温で一晩攪拌した後、熱対流炉内で50℃において40時間にわたり乾燥した。乾燥したケーキを乳鉢と乳棒で粉砕し、その後、メカニカルシェーカーで密封容器内において74マイクロメートルのナイロンスクリーンを通して振とうした。透湿性を低下させるための箔被覆紙シールを備えた1ピントのガラスジャーに篩った粉末を保管した。
【0291】
実施例62
10部の水および10部のエタノールの溶液を希釈トリフルオロ酢酸(pH約0.5)の添加によって4.5±0.1のpHに調節した。0.25部の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(G6720:ペンシルバニア州ブリストルのユナイテッドケミカルテクノロジーズ(United Chemical Technologies,Inc.))を激しく攪拌しながら添加した。シラン用の秤量ビーカーを20〜30mlのエタノールでリンスした。その後、調合物を放置して60分にわたり加水分解した。次に、実施例21に従って調製された充填剤サンプル20部を激しく攪拌しながらシラン調合物に添加した。スラリーpHは5.23だった。スラリーを放置して一晩攪拌した後、それをガラストレーに注ぎ、40〜50℃で24時間にわたり乾燥した。得られたケーキを手で砕き、74マイクロメートルのナイロンスクリーンに通した。
【0292】
実施例63
実施例27に従って調製された充填剤サンプルの一部をシラン処理することにより充填剤を調製した。10部の水および10部のエタノールの溶液30mlを希釈トリフルオロ酢酸(pH約0.5)の添加によって4.5±0.1のpHに調節した。0.72部の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(G6720:ペンシルバニア州ブリストルのユナイテッドケミカルテクノロジーズ(United Chemical Technologies,Inc.))を激しく攪拌しながら添加した。シラン用の秤量ビーカーを20〜30mlのエタノールでリンスした。その後、調合物を放置して60分にわたり加水分解した。次に、充填剤30部を激しく攪拌しながらシラン調合物に添加した。スラリーを放置して一晩攪拌した後、それをガラストレーに注ぎ、50℃で40時間にわたり乾燥した。得られたケーキを手で砕き、74マイクロメートルのナイロンスクリーンに通した。
【0293】
実施例64
実施例15に従って調製された充填剤サンプルの一部をシラン処理することにより充填剤を調製した。シラン処理手順は、0.29部の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.72部の代わりに用いた以外は実施例63の充填剤サンプルの場合と同じであった。
【0294】
実施例65
実施例41に記載したように調製された充填剤を1/4インチアルミナ媒体を用いるボールミルで粉砕し、その後1000℃で6時間にわたり焼鈍した。その後、得られた充填剤を次の通りシラン処理した。pHが5.0〜5.6に達するまで脱イオン水を沸騰させ、その後室温に冷却した。この水187gを10gのエタノールおよび2.96gのグリシドキシプロピルトリメトキシシランと混合し、得られた混合物を30分にわたり攪拌した。その後、100gの充填剤をこの混合物に添加してスラリーを形成させ、それを2時間にわたり攪拌し、その後、オーブン内で45℃において16時間にわたり乾燥した。
【0295】
実施例1に記載した手順に従って複合材を製造するために各充填剤を用いた。実施例65において用いられた樹脂は樹脂B4であった。実施例Aおよび62〜64において用いられた樹脂は次の組成をもっていた。
20.54%(w/w)Heloxy 48エポキシ樹脂(シェルケミカル(Shell Chemical Co.))
61.61%(w/w)UVR6105エポキシ樹脂
16%(w/w)pTHF
1.25%(w/w)CD1012
0.5%(w/w)CPQ
0.1%(w/w)EDMAB
【0296】
放射線源を取り去ってから5分後にバーコル値を記録したことを除き、複合材ごとの硬度(GYZJ−934−1硬度計を用いて測定)、圧縮強度、直径引張強度および目視不透明度をそれぞれ試験手順A、P、OおよびQに従って評価した。結果を表15に示している。「−−」という印は試験しなかったことを意味する。
【0297】
【表21】

【0298】
実施例66
この実施例は、ポリマーマトリックスをビニルエーテルから誘導した放射線不透過性複合材の製造を説明している。複合材を実施例1に記載した手順に従って製造した。各場合に用いられた樹脂は樹脂B6であった。各場合の充填剤装填率は50%(w/w)であった。
【0299】
放射線源を取り去った直後にバーコル値を記録したことを除き、GYZJ−935硬度計を用いる試験手順Aに従って各複合材の硬度を評価した。結果を表16において記録している。
【0300】
【表22】

【0301】
「実施例22’」は、充填剤を900℃で4時間にわたりファイアしたこと以外は、この複合材中で用いられた充填剤を実施例22に記載されたように調製したことを意味している。
【0302】
結果は、マトリックス材料としてビニルエーテル樹脂を用いて有用な複合材を製造できることを実証している。両方の充填剤入り複合材は、充填入りでないサンプルよりも高いバーコル値を示し、充填剤が認めうるほどにはカチオン重合機構を妨害しないことを実証した。
【0303】
実施例67〜79
これらの実施例は、多くの新規充填剤組成物の製造を説明している。充填剤を次の通り調製した。表17に示した酸化物組成を生じさせるために適切な前駆物質を秤量することにより充填剤ごとのガラスフリットを調製した。ブレンド後、均質溶融を確実にするために十分な時間にわたりバッチを1400〜1650℃に加熱し、水中で急冷し、乾燥した。すべての場合、透明なガラスを得た。
【0304】
【表23】

【0305】
表17において報告したすべての値は質量で示されている。
【0306】
表17に示した充填剤の特性を試験手順J、LおよびMに従って評価した。結果を表18において報告している。「−−」という印は試験しなかったことを意味する。
【0307】
【表24】

【0308】
その他の実施形態は以下の請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)カチオン活性官能基と、
(b)前記カチオン活性官能基のカチオン重合を開始させることが可能な開始系と、
(c)重合性組成物を放射線不透過性にするために十分な量の金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硼酸塩、金属燐酸塩、金属珪酸塩、金属炭酸塩、金属ゲルマニウム酸塩、金属テトラフルオロ硼酸塩、金属ヘキサフルオロ燐酸塩およびそれらの組合せから成る群から選択される放射線遮断性充填剤を含む充填剤組成物とを含む重合性組成物であって、
前記重合性組成物が重合して、GYZJ−935硬度計を用い測定して、25℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された組成物を生成するように成分(a)、(b)および(c)が選択される重合性組成物。
【請求項2】
前記重合性組成物が重合して、GYZJ−934−1硬度計を用い測定して、25℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された組成物を生成する、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項3】
前記カチオン活性官能基のカチオン重合が、GYZJ−935硬度計を用い測定して、25℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された組成物を生成する、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項4】
前記放射線遮断性充填剤の量が前記重合性組成物の少なくとも50重量%である時に、前記放射線遮断性充填剤が試験手順Bにより測定して7以下の等電点を有するように前記充填剤組成物が選択される、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項5】
前記充填剤組成物の量が前記重合性組成物の70重量%である時に、前記充填剤組成物を含む試験手順Cにおいて定義された試験重合性組成物が試験手順Cによる表面積滴定で測定して約20マイクロモル/充填剤g以下の吸着値を有するように前記充填剤組成物が選択される、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項6】
前記充填剤組成物の量が前記重合性組成物の50質量%である時に、前記充填剤組成物を含む試験手順Cにおいて定義された試験重合性組成物が試験手順Cによる表面積滴定で測定して約80マイクロモル/充填剤g以下の吸着値を有するように前記充填剤組成物が選択される、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項7】
前記充填剤組成物の量が前記重合性組成物の70質量%である時に、前記充填剤組成物が試験手順Dにより測定して60mV以下の試験溶液の導電率の変化を引き起こすように前記充填剤組成物が選択される、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項8】
前記充填剤組成物の量が前記重合性組成物の50質量%である時に、前記充填剤組成物が試験手順Dにより測定して125mV以下の試験溶液の導電率の変化を引き起こすように前記充填剤組成物が選択される、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項9】
前記放射線遮断性充填剤が少なくとも30の原子番号を有する元素を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項10】
前記元素がイットリウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオビウム、タンタル、タングステン、モリブデン、錫、亜鉛、ランタノイド元素およびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項9に記載の重合性組成物。
【請求項11】
前記放射線遮断性充填剤が
(a)酸化ランタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムおよびそれらの組合せから成る群から選択される酸化物と、
(b)酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化珪素およびそれらの組合せから成る群から選択される酸化物と
を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項12】
前記充填剤組成物がゾル−ゲル誘導型充填剤を含むと共に、前記充填剤組成物が試験手順Eによるフーリエ変換赤外分光分析法で測定して80%を超える相対ピーク高さを有するように前記充填剤組成物が選択される、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項13】
前記放射線遮断性充填剤が0.5〜55質量%の酸化ランタンおよび45〜99質量%の酸化珪素を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項14】
前記放射線遮断性充填剤が0.5〜55質量%の酸化ランタン、0.5〜50質量%の酸化アルミニウムおよび0.5〜90質量%の酸化珪素を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項15】
前記放射線遮断性充填剤が0.5〜55質量%の酸化ランタン、0.1〜55質量%の酸化アルミニウム、0.01〜80質量%の酸化硼素および1〜90質量%の酸化珪素を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項16】
前記放射線遮断性充填剤が0.5〜55質量%の酸化ランタン、0.01〜80質量%の酸化硼素および1〜90質量%の酸化珪素を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項17】
前記放射線遮断性充填剤が0.5〜55質量%の酸化亜鉛、0.5〜55質量%の酸化ランタン、0.1〜40質量%の酸化アルミニウム、0.01〜80質量%の酸化硼素および1〜80質量%の酸化珪素を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項18】
前記放射線遮断性充填剤がコロイド誘導型酸化ジルコニウムを含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項19】
前記放射線遮断性充填剤が0.5〜55質量%の酸化ジルコニウムおよび45〜99質量%の酸化珪素を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項20】
前記放射線遮断性充填剤が0.5〜55質量%の酸化ジルコニウム、0.01〜40質量%の酸化硼素および1〜90質量%の酸化珪素を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項21】
前記放射線遮断性充填剤が0.5〜55質量%の酸化イットリウムおよび1〜90質量%の酸化珪素を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項22】
前記放射線遮断性充填剤が0.5〜55質量%の酸化イットリウム、0.1〜50質量%の酸化アルミニウムおよび1〜90質量%の酸化珪素を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項23】
前記放射線遮断性充填剤がゾル−ゲル誘導型充填剤を含む、請求項1、13、14、15、16、19、20、21および22のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項24】
前記放射線遮断性充填剤が半結晶質である、請求項13、14、16、19、20、21および22のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項25】
前記放射線遮断性充填剤が0.5〜55質量%の酸化バリウム、0.1〜40質量%の酸化アルミニウム、0.01〜80質量%の酸化硼素および1〜90質量%の酸化珪素を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項26】
前記放射線遮断性充填剤が0.5〜55質量%の酸化ストロンチウム、0.1〜40質量%の酸化アルミニウム、0.01〜80質量%の酸化硼素および1〜90質量%の酸化珪素を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項27】
前記放射線遮断性充填剤が融解誘導型充填剤を含む、請求項1、13、14、15、16、17、22、25および26のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項28】
前記放射線遮断性充填剤が非晶質である、請求項13、14、15、16、17、19、20、21、22、25および26のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項29】
前記放射線遮断性充填剤が弗化イットリウム、弗化亜鉛、弗化錫、弗化ランタンおよびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項30】
前記放射線遮断性充填剤が第1の化学的組成を有するコアと前記第1の化学的組成とは異なる第2の化学的組成を有する前記コアの表面上のコーティングとを含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項31】
石英、融解石英、珪酸塩ガラス、酸化ジルコニウム−酸化珪素、酸化ジルコニウム−酸化硼素−酸化珪素およびそれらの組合せから成る群から前記コアが選択される、請求項30に記載の重合性組成物。
【請求項32】
珪酸塩、酸化硼素、コロイド誘導型酸化珪素、コロイド誘導型酸化ジルコニウムおよびそれらの組合せから成る群から前記コーティングが選択される、請求項30に記載の重合性組成物。
【請求項33】
前記コーティングがポリマーを含む、請求項30に記載の重合性組成物。
【請求項34】
前記放射線遮断性充填剤がポリマーマトリックス中に分散された一種以上の無機放射線遮断性粒子を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項35】
前記充填剤組成物の量が前記重合性組成物の全重量に対して少なくとも50重量%である、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項36】
前記充填剤組成物の量が前記重合性組成物の全重量に対して少なくとも70重量%である、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項37】
前記充填剤組成物が非放射線遮断性充填剤をさらに含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項38】
前記開始剤系が光開始剤系を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項39】
前記重合性組成物が重合して、37℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも2mmの硬化の深さを有する重合された組成物を生成する、請求項38に記載の重合性組成物。
【請求項40】
前記重合性組成物が重合して、37℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも6mmの硬化の深さを有する重合された組成物を生成する、請求項38に記載の重合性組成物。
【請求項41】
前記開始剤系がヨードニウム塩、スルホニウム塩、有機金属錯体塩およびそれらの組合せから成る群から選択される塩を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項42】
前記重合性組成物がカチオン活性官能基を含むエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項43】
前記重合性組成物がカチオン活性官能基を含むビニルエーテルを含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項44】
前記重合性組成物がラジカル活性官能基と前記ラジカル活性官能基のラジカル重合を開始させることが可能な開始剤系とをさらに含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項45】
前記重合性組成物が前記カチオン活性官能基のカチオン重合および前記ラジカル活性官能基のラジカル重合を開始させることが可能な開始剤系を含む、請求項44に記載の重合性組成物。
【請求項46】
前記重合性組成物が歯科用複合材を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項47】
前記重合性組成物が矯正用ブラケット接着剤を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項48】
前記重合性組成物が矯正用バンドセメントを含む、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項49】
(a)カチオン活性官能基と、
(b)可視光に照射されると前記カチオン活性官能基のカチオン重合を開始させることが可能な光開始系と、
(c)重合性複合材を放射線不透過性にするために十分な量の放射線遮断性充填剤を含む充填剤組成物とを含む光重合性歯科用複合材であって、前記光重合性複合材が重合して、GYZJ−935硬度計を用い測定して、25℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された組成物を生成するように成分(a)、(b)および(c)が選択される光重合性歯科用複合材。
【請求項50】
可視光に照射されると前記複合材が重合して、GYZJ−934−1硬度計を用い測定して、25℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された複合材を生成する、請求項49に記載の光重合性歯科用複合材。
【請求項51】
前記充填剤組成物の量が前記重合性複合材の全重量に対して少なくとも50重量%である、請求項49に記載の光重合性歯科用複合材。
【請求項52】
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびそれらの組合せから成る群から選択されるラジカル活性官能基を含むエチレン系不飽和反応物をさらに含む、請求項49に記載の光重合性歯科用複合材。
【請求項53】
可視光に照射されると前記光重合性組成物が重合して、37℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも2mmの硬化の深さを有する重合された複合材を生成する、請求項49に記載の光重合性歯科用複合材。
【請求項54】
(a)カチオン活性官能基と、
(b)前記カチオン活性官能基のカチオン重合を開始させることが可能な開始系と、
(c)重合性組成物を放射線不透過性にするために十分な量の硫酸塩以外の放射線遮断性充填剤とを含む充填剤組成物とを含む重合性組成物であって、前記重合性組成物が重合して、GYZJ−935硬度計を用い測定して、25℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された組成物を生成するように成分(a)、(b)および(c)が選択される重合性組成物。
【請求項55】
(a)(i)カチオン活性官能基と、
(ii)前記カチオン活性官能基のカチオン重合を開始させることが可能な開始系と、
(iii)重合性組成物を放射線不透過性にするために十分な量の金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硼酸塩、金属燐酸塩、金属珪酸塩、金属炭酸塩、金属ゲルマニウム酸塩、金属テトラフルオロ硼酸塩、金属ヘキサフルオロ燐酸塩およびそれらの組合せから成る群から選択される放射線遮断性充填剤を含む充填剤組成物とを含む重合性組成物であって、前記重合性組成物が重合可能で、GYZJ−935硬度計を用い測定して、25℃の反応温度での前記カチオン活性官能基の開始から30分以内に少なくとも10のバーコル硬度を有する重合された組成物を生成するように成分(i)、(ii)および(iii)が選択される重合性組成物を提供する工程と、
(b)前記カチオン活性官能基の重合を開始させて前記重合された組成物を生成させる工程とを含む重合された組成物を製造する方法。
【請求項56】
37℃以下の反応温度で前記カチオン活性官能基の重合を開始させることを含む、請求項55に記載の製造方法。
【請求項57】
前記開始系が光開始系を含むと共に、前記重合性組成物を化学線に照射して前記カチオン活性官能基の重合を開始させることを含む、請求項55に記載の製造方法。
【請求項58】
前記光開始系が可視光増感剤を含むと共に、前記重合性組成物を可視光に照射して前記カチオン活性官能基の重合を開始させることを含む、請求項55に記載の製造方法。
【請求項59】
前記光開始系が熱開始系を含むと共に、前記組成物を熱放射に暴露して前記カチオン活性官能基の重合を開始させることを含む、請求項55に記載の製造方法。
【請求項60】
前記重合された製品が歯科用複合材を含む、請求項55に記載の製造方法。
【請求項61】
5〜25質量%の酸化アルミニウム、10〜35質量%の酸化硼素、15〜50質量%の酸化ランタンおよび20〜50質量%の酸化珪素を含む融解誘導型充填剤。
【請求項62】
10〜30質量%の酸化アルミニウム、10〜40質量%の酸化硼素、20〜50質量%の酸化珪素および15〜40質量%の酸化タンタルを含む融解誘導型充填剤。
【請求項63】
5〜30質量%の酸化アルミニウム、5〜40質量%の酸化硼素、0〜15質量%の酸化ランタン、25〜55質量%の酸化珪素および10〜40質量%の酸化亜鉛を含む融解誘導型充填剤。
【請求項64】
15〜30質量%の酸化アルミニウム、15〜30質量%の酸化硼素、20〜50質量%の酸化珪素および15〜40質量%の酸化イッテルビウムを含む融解誘導型充填剤。
【請求項65】
非晶質酸化珪素の水性または有機性の分散液またはゾルを放射線遮断性金属酸化物あるいは前駆物質有機または無機化合物の水性または有機の分散液、ゾルまたは溶液と混合するゾルゲル法によって製造され、X線粉末回折を介して検出可能な結晶質微小領域も不均質性も実質的にない非ガラス質微小粒子。
【請求項66】
非晶質酸化珪素の水性または有機性の分散液またはゾルを放射線遮断性金属酸化物あるいは前駆物質有機または無機化合物の水性または有機の分散液、ゾルまたは溶液と混合するゾルゲル法によって製造される非ガラス質微小粒子であって、
(i)酸素と珪素とを含む複数の非晶質微小領域であって、複数の半結晶質微小領域が実質的に均一に散在されている複数の非晶質微小領域と、
(ii)複数の半結晶質放射線遮断性金属酸化物微小領域と、
(iii)約40重量%以下のB23またはP25とを含み、直径が0.4マイクロメートルより大きい結晶質微小領域も不均質性も実質的にない非ガラス質微小粒子。
【請求項67】
20〜40質量%の酸化ジルコニウム、0.01〜20質量%の酸化硼素および1〜90質量%の酸化珪素を含む、請求項66に記載の非ガラス質微小粒子。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−70766(P2010−70766A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−260840(P2009−260840)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【分割の表示】特願2000−574600(P2000−574600)の分割
【原出願日】平成11年3月16日(1999.3.16)
【出願人】(590000422)スリーエム カンパニー (144)
【Fターム(参考)】