説明

放射線防護材料でできた衝立用無菌カバー

【課題】 その構造が、簡単、迅速かつ効率的に、場合によっては一人で取り付けることを可能にする放射線防護衝立用無菌カバー。
【解決手段】 本発明は、側壁(3)に結合された前壁(2)を備えるL字状水平断面を有するタイプの放射線防護材料でできた衝立(1)を覆うようになっている無菌カバーに関し、前記前壁(2)には手術者の両腕を通せる二つの穴(10、11)が設けられ、第1の穴(10)は前記衝立の角近くに位置し、第2の穴(11)は前記前壁(2)の自由縁(13)に位置する。発明によれば、無菌カバー(20)は、接合領域(23)により一緒に接合された少なくとも一つの内側「パネル」と一つの「外側パネル」(21a)を含む単一部品の形式をし、前記両パネルはそれぞれ、前記前壁(2)の少なくとも内面及び外面と、その自由縁(13)の高さの少なくとも一部とを覆うように設計され、前記接合領域(23)は前記第2の通し穴(11)の境界に合致する形状をした凹み(38)を有し、これらの内側及び外側パネル(21a)にはそれぞれ前記第1の通し穴(10)の前に配置されるようになっている開口が設けられ、少なくとも一つの前記パネル(21a)の開口には前記通し穴(10)を通るようになっている一種の袖を形成する柔軟性管状要素(34)が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線型等の電離放射線に対して手術者を防護することを保証するように構成された放射線防護衝立用無菌カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一定の医療処置は、電離放射線を放出する注射製剤の使用を必要とし(それはとりわけカテーテル法やペースメーカ植え込み法の手術に当てはまるが、一定の血管、神経及び泌尿器検査処置にも当てはまる)、あるいは、例えば電気生理学分野での心房細動技術のための診断又は処置を目的として電離放射を直接実施する注射製剤の使用を必要とする。
【0003】
そのような処置中に、手術者(技師、医者、外科医等)は患者が浴びる放射線から防護されねばならない。そのために、手術者は放射線防護材料でできたスモック、チャズブル又はエプロン型の衣服を着てもよい。しかしながら、そのような防護服では、特にそれらの重量とそれらが生じる激しい発汗のために、最適な作業条件を得ることができない。
【0004】
電離放射線の危険に対する防護を保証するために、興味深い変形は放射線防護材料でできたパネルを備える遮蔽又は衝立の後ろから医療処置を施すことにある。従って、重い衣服を着けない作業条件は、より正確でより効率的な処置を、しかも最適な安全条件で可能にする。
【0005】
ほとんどの処置に対し、カバーを形成する無菌プラスチックフィルムが衝立の種々の面を覆うように追加され、それにより申し分のない衛生条件で処置が施され、そのような無菌カバーは各処置の前に新しいものと交換される。このタイプの無菌カバーは患者の伝染性汚染、特に、処置中に使用される衝立に存在すると思われる細菌又はウィルスの伝達と散乱による伝染性汚染を避けることを可能にする。
【0006】
特に効率的で興味深い放射線防護衝立の構造は特許文献1に述べられている。対応する衝立は、側壁に結合された前壁で構成され、この側壁は前記前壁の側部の一方から垂直又は実質的に垂直に伸びており、これら二つの壁はそれらの高さの少なくとも一部にわたり透明パネルを備える。前壁の上側部分は前方に傾斜し、手術者が、処置が施される領域に近づけるようにせり出しており、この前壁にはまた手術者の両腕を通す二つの穴が設けられ、第1の通し穴は側壁と共に形成される角の近傍に配置され、側方に開いた第2の通し穴はその自由縁に配置されて水平に向いた円弧又はU字状凹みの概略形状を有する。そのような放射線防護衝立構造は一方では手術者にとって良好な見易さを、他方では処置の枠内でのその位置決めに関する大きい快適さを提供する。
【0007】
しかしながら、現行の無菌カバーはこの形式の衝立に適応しない。さらに、それらは衝立に付けるときに一緒に取り付けられねばならないいくつかの部分を備え、これは数人の協力を必要とし、従ってこの作業はあまり簡単ではなく、あまり迅速ではない。さらにその構造によれば、衝立は常に効率的に覆われるとは限らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許出願公開第03/088267号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの理由により、出願人は特許文献1に述べられるタイプの放射線防護衝立用の新しい無菌カバーを開発したが、その構造は、簡単、迅速かつ効率的に、場合によっては一人で取り付けることを可能にする。一旦取り付けられると、そのような無菌装置は、衝立上に完全に保持され、落下の危険性が少なく、そのようなカバーはまた防護すべき種々の部分を効率的に覆うことを保証する(特に腕通し穴)。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この場合、発明による無菌カバーは単一部品で構成され、これは一方は「内側パネル」と呼ばれ、他方は「外側パネル」と呼ばれる二つのパネルを備え、これらのパネルは連合する両腕通し穴の上下に広がるそれらの高さの少なくとも一部にわたり、それぞれ衝立の前壁の内側及び外側面を覆うような形状をしている。これらの内側及び外側パネルは前壁の自由縁の高さの少なくとも一部に合致するような形状をした接合領域により一緒に接続され、前記接合領域は側方に開いた通し穴の縁に合致するような形状をした凹みを備え、これらの内側及び外側パネルにはそれぞれ他方の通し穴の両側に配置されるようになっている開口が設けられ、一方の前記パネルの開口には一種の袖口を形成する一つの柔軟性管状要素が設けられ、前記袖口は、その縁を覆いかつその無菌状態を保証するように前記対向する穴を通るようになっている。
【0011】
補足的特徴によれば、好都合には、側壁の内側及び/又は外側面を覆うようになっている一つ以上のパネルが内側及び/又は外側パネルから伸びている。
【0012】
その第1の通し穴から放射線防護材料でできた防護スリーブが前方に伸びている放射線防護衝立に対する発明のもう一つの特徴によれば、内側パネルの開口からフレキシブルな袖口が伸びており、その長さは前記防護スリーブの内面を覆うように、また折り重ねられることにより外面の長さの少なくとも一部を覆うように構成される。好都合には、内側パネルの袖口の自由端には弾性部材が設けられ、後者は、その径を小さくしようとするように配置されかつ防護スリーブの外面の周囲を締め付ける(前記スリーブを通し、それを折り重ねた後に)ように構成された一種の締め付け紐を形成するようになっており、さらには、内側パネルのこの袖口は、一端が閉じられた鞘状の取り外し可能な要素で覆われてもよく、前記鞘は前記袖口を防護スリーブに通す作業を容易にするようになっており、また前記通し作業の後に取り外されるようになっている。この場合にも、好都合には外側パネルの開口からも柔軟性袖口が伸びており、後者は防護スリーブの外面の長さの少なくとも一部を覆うようになっている。
【0013】
一方、特に興味深いやり方において、無菌カバーは、透明プラスチック材料でできた上側バンドと、外科型の吸収性不織材料でできた部分とを備え、前記部分は、前記カバーの下側バンド、及び/又は内側及び/又は外側パネルを備える袖口、及び/又は前記パネル間の接合領域に対応し、前記透明プラスチック材料と前記吸収性材料の間の隣接する縁は一つ以上の縫い目により一緒に接続される。
【0014】
さらに、そのようなカバーは好都合には、それを衝立に取り付ける手段を備え、好ましくは、これらの取り付け手段はカバーの上側縁にわたり的確に分布された吸引パッドから成る。さらに、あるいは代わりに、これらの取り付け部材はカバーの上側縁の長さの少なくとも一部、及び/又はその少なくとも一つの縁端の高さの少なくとも一部にわたり配置された接着性材料のストリップの形を取ることもできる。
【0015】
発明はさらに、例としてのみ与えられかつ以下の添付図面に示される特定の実施例の以下の説明により、決して限定されることなく例証される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】発明による無菌カバーで部分的に覆われるようになっている放射線防護衝立の全体斜視正面図である。
【図2】図1の衝立を覆うように構成された発明による無菌カバーの外面の模式的な略々展開された側面図である。
【図3】外側パネルと内側パネルの間の接合領域のまわりに部分的に折り畳まれた、図2のカバーの全体斜視図である。
【図4】今や図2及び3の無菌カバーを備えた図1の放射線防護衝立の斜視正面図である。
【図5】図4の衝立の斜視裏面図に相当する。
【図6】所定の位置にある無菌カバーの配置を模式的に示すように、図5のVI−VIに沿って取られた断面図、すなわち、手術者の両腕を通せる衝立穴を通る水平面内の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明による無菌カバーにより覆われるようになっている放射線防護衝立は特許文献1に述べられ、図1のものに相当する。
【0018】
放射線防護衝立1は主として垂直側壁3に接続された前壁2を備え、これは垂直側壁3に垂直又は実質的に垂直に配置される。天井の役目をするさらなる壁4が好都合には前述の前壁2及び側壁3の上側フランジの間に設けられる。
【0019】
電離放射線放出に対して手術者を防護しようとするこの種の衝立は適切な放射線防護材料でできた剛性板から成っている。あらゆる接合部における放射線防護の連続性を与える遮蔽物を結合した例えばアルミ製の金属本体構造により種々の板を保持することができる。この構造は全面的又は部分的に放射線防護材料の成形により作ることもできる。
【0020】
この場合、前壁2は垂直な不透明板で作られた下側部分5と透明板で作られた上側部分6を備える。この透明板6は前方に、すなわち術野に向かって傾斜して設けられる。そのような傾斜は、処置を施すときに手術者が前傾して手術領域に近づき、特により良好な見易さとより大きい快適さを得ることを可能にする。
【0021】
側壁3は垂直に側部に伸びている。それもまた透明上側板7と不透明下側板8(図5にのみ示される)を備える。透明板7は、特に患者を見守り、あるいは周囲の機器に目をやるために側方の見易さを提供することを目的とする。側壁3は前壁2の二面形状に合致し、従って透明パネル7は実質的に台形の概略形状を有する。
【0022】
衝立の概略寸法は非常にさまざまの体格の手術者に適応できるように構成される。例えば前壁2と側壁3は高さが約2mであってもよい。前壁2の下側パネル5は好ましくは、手術台の高さに相当する高さまで伸びており、参考までに、この下側パネルは60cmないし100cm、好ましくは80cm近くの高さにわたり伸びていてもよい。透明上側パネル6は好ましくは手術台の高さから、すなわち床から約80cmと2mのオーダの高さの間に伸びている。
【0023】
前壁1の透明上側板6にも手術者の両腕を通すための二つの穴10及び11が設けられて手術者が患者に対して処置を施せるようにする。
【0024】
穴10の一方(「第1の穴」と呼ばれる)の形状は概ね円である。穴10は側部に、前壁2と側壁3により形成される角の近傍に位置し、ここでは手術者の左腕を通すように構成される。手術者の防護を向上するために、適合した管状支持部12’に取り付けられた防護スリーブ12(例えば光彩形状の)が穴10から伸びている。防護スリーブ12は、施術者により施される処置中の患者の居場所において前に突き出ている。
【0025】
ここでは手術者の右腕を受けるようになっている他の穴11(「第2の穴」と呼ばれる)が前壁2の自由縁13、すなわち側壁3と反対の縁に配置される。穴11は側方に開いており、従って水平に向いた円弧又はU字状凹みの概略形状を有する。穴11はここでは好都合には取り外し可能なリング14を備える。この穴11は手術者が自分の腕を容易に抜き差しして移動の大きい自由度を維持できるようにする。
【0026】
穴10及び11の高さを手術者の体格に適応できるように、透明板6の高さにわたり穴10及び11を垂直にずらせる特定の構造手段が設けられる。従って、これらの穴10及び11は透明板内に、また衝立1内部に設けられた裏当てパネル15内に配置される。前述の防護スリーブ12とリング14を備えるこの内側裏当てパネル15はサイドレール(図示せず)によりガイドされて前記透明板6に平行に移動可能に設けられ、その位置は例えば固定爪と協同する指標により設定される(共に図示せず)。透明板6は長方形の開口10’及び11’を備え、これらは前述の穴10及び11に対して大きいサイズを有し、その寸法、形状及び位置は裏当て板15の(特に関連するスリーブ12及びリング14の)行程に合わせられる。
【0027】
図2では平らな状態で、図3では部分的に立体的状態で示される発明による無菌カバー20は、図1に関連して上に述べられた放射線防護衝立1を部分的に覆うように構成される。
【0028】
平らな状態(図2)の無菌カバー20は主として二つの部分21及び22で構成される縦バンド又は膜の形を有し、その対向縁部は横方向接続領域を形成する横バンドにより接続される。参考までに、カバー20の部分21及び22の寸法はそれぞれ100cmx100cm及び150cmx150cmである。一般的にそれらは放射線防護衝立1の寸法に合わせられる。
【0029】
カバー20は医療用途に適合する二つのフレキシブル材料の集合により単一部品となる。より正確には、二つの部分21及び22はそれぞれ、
40g/mポリプロピレン系の外科タイプ吸収性不織材料でできた「下側」バンド25又は26と、
例えば約70μm厚さの透明ポリプロピレンのような柔軟性透明プラスチックフィルムから成る透明「上側」バンド27又は28と
を備える。
【0030】
「下側」バンド25、26はちょうど「上側」バンド27、28のようにカバー20の全長にわたり伸びており、これら二つの縦バンドは接合線29により分離される。
【0031】
接合領域23について、それはパネル21及び22の下側バンド25及び26に使用されるものと同様の外科タイプの吸収性不織材料でできている。
【0032】
吸収性材料23、25、26のバンドと透明プラスチック材料27及び28のバンドは縫い目型の接続手段によりそれらの対向縁部が一緒に取り付けられる。
【0033】
より正確には、第1の部分21(図2では右に位置する)もまた、二つのパネル21a及び21bで構成され、それぞれ、衝立の前壁2の前面とその側壁3の前面の一部を覆うようになっている。説明を単純化するために以下「外側パネル」と呼ばれる前記パネル21aは衝立1の前壁2の幅に相当する幅を有する。外側パネル21aの透明上側バンド27は柔軟性不織材料(下側バンド25及び26に使用されるものと同じタイプの)でできた、そこから袖口31が伸びている円形開口30を備える。この第1の部分21の他方のパネル21bの幅は側壁3の幅の一部に相当し、この場合、この幅の半分より少し大きい。
【0034】
無菌カバー20の第2の部分22(図2では接合領域23の左に位置する)は三つのパネル22a、22b、22cで構成され、それぞれ前壁2の内面(言い換えればその裏面)、側面3の内面及び前記側壁3の外面の一部を覆うようになっている。パネル22aの幅は前壁2の幅に相当する。その透明バンド28内に円形開口33が設けられ、開口33は接合領域23に関して外側パネル21aの開口30と対称に配置される。開口33からも袖口34が伸びており、後者の自由縁はその径を小さくしようとするように構成された弾性部材を備える。袖口34の長さは外側パネル21aの袖口31の長さより大きいことにやはり注目すべきである。
【0035】
接合領域23は前壁2の自由縁13に合致するようになっている。従って、接合領域23は近似的にこの前壁2の厚さに相当する幅を有する。詳細には図3で分かるように、この領域23は一種の凹みを形成する区分38を備え、これは概ね水平に向いたU字形状を有し、パネル21a及び22a内に設けられた二つの腕通し開口30及び33の間に位置する高さに配置される。凹み38の形状と寸法は腕通し穴11の内縁にできるだけ合致するように作られ、衝立1の開いた凹みの形をしている。
【0036】
カバー20にはまた、それを衝立1に取り付けることを可能にするために、衝立に向いた側にその上側縁の長さにわたり配置されたいくつかの吸引パッド40が設けられる。さらに、接着性ストリップ41が、やはり衝立に向いた側にパネル26の自由側縁の下側部分に配置される。使用される接着剤は好都合には「再剥離」型のものである。
【0037】
パネル22aと22bの間、及びパネル21aと21bの間の接合線の形状は衝立の透明パネル6の傾斜に合っている。さらに、カバー20を構成する種々のパネルの形状と寸法は一般的に、そのようなカバー20がわずかな大きさ変動を有する衝立の範囲に適応できるように与えられる。そのような適応を最適化するために、弾性締め付け領域42が衝立の自由側縁を覆うようになっているカバーのバンドの上端に配置され、これらの締め付け領域42は透明パネル27及び28に適当に縫いつけられた弾性バンド43により得られて材料に縦方向張力を与える。
【0038】
従って、カバー20は腕通し穴10、11の両側、すなわち前記穴の上下にスクリーンの高さの一部を包むようになっている材料バンドから成る。衝立「覆い」高さは80ないし120cmであってもよく、それは好都合には100cmのオーダである。カバー20の上側部分(透明パネル27及び28で構成される)は、その透明性により、施術者が術野に目をやることができ、好ましくはこの上側部分27、28は直立した制御装置に眼をやることを妨げないようにあまり高くまで伸びていない(それにもかかわらず、透明プラスチックフィルムは見易さをわずかに「乱す」要素である)。カバー20の下側不織部(パネル25及び26で構成される)は製品の専門的性質を思い出させるためにあり、それは本発明に利益をもたらしそうな吸液性能力を有する。
【0039】
カバー20の衝立1への設定は図4ないし6に関連して以下に述べられるように、非常に簡単かつ迅速に行われる。
【0040】
最初に、カバー20は気密シールされたポーチの内部に無菌状態でパックされ、カバーはその大きさを小さくするためにポーチの中に適当に折り畳まれる。このパックの中で、内側パネル22aの袖口34は好都合にも、図2の点線で図解される鞘44内に収められる。その一端が閉じられたこの鞘44は衝立へのカバーの「無菌」取り付けを容易にするようになっている。設定のために、手術者はまずそのポーチからカバーを取り出し、次いでそれを広げねばならず、このために、装置を汚染しないように全ての通常の注意が払われること(手袋、スモック等を着けること)が推奨される。
【0041】
次いで手術者は前壁2の自由縁13の反対の接合領域23を位置決めして前記エンドパネル21b及び22cの自由垂直縁を側壁3の外面に部分的に重ねることにより、カバー20の種々のパネル21a、22a、22b及び22cを衝立1の種々の面に対して適当に位置決めする。
【0042】
衝立の穴10に対向するカバーの穴30及び33をそれぞれ前壁2の内側及び外側に配置し、吸引パッド40を使用することにより、対応する適当な位置決めが得られる。
【0043】
次いでカバーの袖口31は管状支持部12’と放射線防護スリーブ12の外面を覆い、次いで手術者は内側から穴10を通って外側に袖口34を通すが、そのような作業は前述の鞘44により容易になる。作業が行われたら、手術者は鞘44を取り外し、前壁2に向かってスリーブ12の周囲に袖口34の弾性自由端35を折り重ね、それにより、袖口は前記防護スリーブ12とその関連袖口31の外周面も覆い(図6で分かるように)、次いで袖口34の弾性自由端35は管状支持部12’内に設けられた環状溝45に挿入される(図6も参照)。袖口34は従って通し穴10を介して効率的に保持され、特に、前記穴10を通る施術者の腕の抜き差し運動に耐えられることに注目すべきである。
【0044】
それと同時に、手術者は、接合領域23が前壁2の自由縁13に正しく合致していること、またその凹み38が腕通し穴11内に収まっていることを確かめねばならない。
【0045】
実際には一般的に、以下のことが興味深いことが分かる。すなわち、
関連する吸引パッド40によりパネル21aの上側縁を固定することにより衝立前壁2の外面をまず覆い、
その吸引パッド40を使用して側壁3の外面に対して側方パネル21bを位置決めし、
それら自身の吸引パッド40を使用してパネル22a、22b及び22cを逐次貼り付けることにより覆い作業を完了することである。
【0046】
パネル22cの下側部分をパネル21bの外面に取り付けるために接着性ストリップ41は最後に使用される。
【0047】
吸引パッド40は再剥離性であり、手術者はカバー20が衝立に最善の状態で合致するようにカバー20の位置を調整することができる。
【0048】
一旦カバー20が適当に付けられたら(図4ないし6に示されるように)、施術者は患者に対して考えられた医療処置を施すことができる。透明バンド27及び28は衝立1の透明パネル6及び7に対向して配置され(それらの高さの一部にわたり)、これは患者に対する最適な衛生状態を保証しながら効率的な視覚的快適さを維持する。同様に、腕通し穴10及び11はそれぞれ無菌袖口34及び凹み38により防護され、これはさらに患者に対する感染リスクを小さくする。
【0049】
このタイプの無菌カバーは使い捨てであり、医療処置が完了したら、単純な引張労力によりカバーを衝立から分離することは容易である。
【0050】
一般的に、そのような無菌カバーの設定が特に簡単かつ迅速であり、一人の手術者により行えることは言うまでもない。そのようなカバーは、施術者の両手又は両腕に接触し易い放射線防護衝立の領域を最適に覆うことを保証するという利益も有する。
【符号の説明】
【0051】
1 衝立
2 前壁
3 側壁
4 天井
5 前壁の下側部分
6 前壁の上側部分
7 透明上側板
8 不透明下側板
10 第1の通し穴
10’ 長方形の開口
11 第2の通し穴
11’ 長方形の開口
12 防護スリーブ
12’ 管状支持部
13 前壁の自由縁
14 リング
15 裏当て板
20 無菌カバー
21 無菌カバーの第1の部分
22 無菌カバーの第2の部分
23 接合領域
25 下側バンド
26 下側バンド
27 上側バンド
28 上側バンド
29 接合線
30 円形開口
31 袖口
33 円形開口
34 袖口
35 袖口の弾性自由端
38 凹み
40 吸引パッド
41 接着性ストリップ
42 締め付け領域
43 弾性バンド
44 鞘
45 環状溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線型等の電離放射線放出に対して手術者を防護することを保証する放射線防護材料でできた衝立(1)の高さの少なくとも一部を覆うようになっている無菌カバーにおいて、L字状水平断面を有するタイプの前記衝立(1)は側壁(3)に結合された前壁(2)で構成され、前記側壁(3)は前記前壁(2)から垂直又は実質的に垂直に伸びており、前記前壁(2)には前記手術者の両腕を通す二つの穴(10、11)が設けられ、第1の通し穴(10)は前記前壁(2)と側壁(3)により形成される角の近傍に配置され、第2の通し穴(11)は前記前壁(2)の自由縁(13)に位置しかつ側方に開いて水平に向いた円弧又はU字状凹みの概略形状を有する無菌カバーであって、
前記無菌カバー(20)は単一部品の形式をし、これは少なくとも二つのパネルを備え、一方は「内側パネル」(22a)と呼ばれ、他方は「外側パネル」(21a)と呼ばれ、これらは前記腕通し穴(10、11)の上下に広がるそれらの高さの少なくとも一部にわたり、それぞれ前記前壁(2)の少なくとも内面と外面を覆うような形状をし、前記内側(22a)及び外側(21a)パネルは前記前壁(2)の自由縁(13)の高さの少なくとも一部に合致するような形状をした接合領域(23)により接続され、前記接合領域(23)は前記第2の通し穴(11)の縁に合致するような形状をした凹み(38)を備え、前記前記内側(22a)及び外側(21a)パネルにはそれぞれ前記第1の通し穴(10)の両側に配置されるようになっている開口(30、33)が設けられ、少なくとも一つの前記パネル(21a、22a)の開口(30、33)には一種の袖口を形成する柔軟性管状要素(34)が設けられ、前記袖口(34)は、その縁を覆いかつ前記穴(10)の無菌状態を保証するように前記第1の穴(10)を通るようになっている
ことを特徴とする無菌カバー。
【請求項2】
前記側壁(3)の前記内面及び/又は外面を覆うようになっている一つ又はいくつかのパネル(22b、22c、21b)が前記内側(22a)及び/又は外側(21a)パネルから伸びていることを特徴とする請求項1に記載の無菌カバー。
【請求項3】
放射線防護材料でできた防護スリーブ(12)が前記第1の通し穴(10)から前方に伸びている放射線防護衝立(1)用の請求項1又は2に記載の無菌カバーであって、前記内側パネル(22a)の前記開口(33)から柔軟性袖口(34)が伸びており、その長さは前記防護スリーブ(12)の内面と、その外面の長さの少なくとも一部とを覆うように構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の無菌カバー。
【請求項4】
前記内側パネル(22a)の前記袖口(34)の自由端(35)には弾性部材が設けられ、後者は、その径を減少しようとするように配置され、前記防護スリーブ(12)又は関連するスリーブ支持部(12’)の外面の周囲を締め付けるように構成される一種の締め付け紐を形成するようになっていることを特徴とする請求項3に記載の無菌カバー。
【請求項5】
前記外側パネル(21a)の前記開口(30)からも柔軟性袖口(31)が伸びており、後者は前記防護スリーブ(12)の外面の長さの少なくとも一部を覆うようになっていることを特徴とする請求項3又は4の何れか一つに記載の無菌カバー。
【請求項6】
前記内側パネル(22a)の前記袖口(34)は鞘状の取り外し可能な要素(44)で覆われ、その一端は閉じられ、前記鞘(44)は、前記袖口(34)を前記防護スリーブ(12)に通す作業を容易にするようになっており、前記通し作業の後に取り外されるようになっていることを特徴とする請求項3ないし5の何れか一つに記載の無菌カバー。
【請求項7】
透明プラスチック材料でできた上側バンド(27、28)を備えることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一つに記載の無菌カバー。
【請求項8】
前記無菌カバーは外科タイプの吸収性不織材料でできた部分を備え、前記部分は、前記カバー(20)の下側バンド(25、26)、及び/又は前記内側(22a)及び/又は外側(21a)パネルを備える袖口(31、34)、及び/又は前記パネル(21a、22a)間の接合領域(23)に対応し、前記透明プラスチック材料と前記吸収性材料の間の隣接する縁は一つ又はいくつかの縫い目により一緒に接続されることを特徴とする請求項7に記載の無菌カバー。
【請求項9】
前記無菌カバーを前記衝立(1)に取り付ける手段(40、41)を備えることを特徴とする請求項1ないし8の何れか一つに記載の無菌カバー。
【請求項10】
前記取り付け手段はその上側縁の長さにわたり分布した吸引パッド(40)を備えることを特徴とする請求項9に記載の無菌カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−525910(P2010−525910A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506979(P2010−506979)
【出願日】平成20年5月5日(2008.5.5)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050787
【国際公開番号】WO2008/148991
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(509083267)ルメール プロテクシオン アンティ−イクス パル アブレヴィアシオン ソシエテ ルメール パクス (3)
【Fターム(参考)】