説明

放射電力等化器

【課題】本発明は、光通信システム用の放射電力等化器に関する。
【解決手段】本発明は、光通信システム用の放射電力等化器を提供し、該等化器は、(a)1つ又はそれ以上の放射成分に分割する光デマルチプレクサ(300)、(b)前記1つ又はそれ以上の放射成分を選択的に伝送又は減衰する液晶セル・アレー(310)、(c)光マルチプレクサ(330)、(d)1つ又はそれ以上の対応する成分放射電力を示す信号を生成するPINダイオード検出器アレー(120)と結合した発信器エルビウムドープ・ファイバ増幅器(70)、及び、(e)制御モジュール(130)を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システム用の放射電力等化器に関する。本発明はまた、そのようなシステム内の放射電力を等化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムは、従来1.5マイクロメートル程度の波長を有する情報を載せた光放射を運ぶことによって情報通信を行っている。そのようなシステムは、現在、しばしば波長分割多重(WDM)を採用している。WDMが使用されると、光放射は、各チャンネルに対応する1つ又はそれ以上の放射成分を含み、各成分は、通信トラフィックに付随して変調される。すなわち、放射は、一連の離散的な変調放射成分に効果的に分割される。
【0003】
通信システムに組み込まれた光ファイバ導波路は、その周囲の放射線を誘導するのに使用される。導波路、及び、それに接続された付加/除去マルチプレクサなどの関連光学装置で生じる減衰のために、放射レベルを押し上げることにより信号ノイズ比を改善する光増幅器を導波路と直列に含めることが必要になる。現在、光通信システムに採用されている従来の光増幅器は、エルビウムドープ光ファイバ増幅技術に基づいている。そのような増幅器は、非線形振幅ゲイン応答及び有限ポンプ能力を呈する。この応答の結果として、いくつかの変調放射成分を含む放射が増幅器に入力される時、放射成分の振幅が相互に類似していることが重要であり、さもなければ増幅器は、比較的放射電力の強い成分を比較的電力の弱い成分に優先して強調するであろう。このような強調は、放射が通信システム内の多数のカスケード式エルビウムドープ光ファイバ増幅器(EDFA)を通過する時、特に、システムの光学装置が特定の放射成分を他の成分よりも強調する波長依存型伝送応答を呈示する時には、深刻な問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光通信システムでは、WDM放射成分振幅の整合、すなわちチャンネル平均化は、受信位置で放射成分振幅を監視することによって達成されるのであり、そこで放射成分が受信され、フィードバック命令がそこから放射成分が生成される送信位置に供給され、放射成分が受信位置で類似の電力になるように、そこで成分の相対振幅を調節する。そのような整合は、送信位置と受信位置と間で放射再生成目的のEDFAが含められるシステム中間点での放射成分振幅の変動を考慮していない。従って、そこでは、中間点におけるEDFAには、附随する放射成分の振幅が互いに揃っていない放射線を供給される可能性があると言う潜在的な問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、特定の放射成分を中間点で選択的に減衰又は増幅することが可能な程良く小型の光サブシステムを使用すれば、本システム中の中間点におけるチャンネル平均化を達成することが実現可能であることを理解している。その上、本発明者は、前記の中間点は、リングベースの光ファイバ導波路ネットワーク内の付加/除去マルチプレクサであることが可能なことを更に理解している。付加/除去マルチプレクサは、従来、特定チャンネルに対応する放射成分の転換及び付加が実行される装置と見なされ、放射成分の転換又は付加は、2状態光学スイッチ装置を使用する切換操作によって達成される。
【0006】
すなわち、本発明の第1の態様に従って光通信システム用の放射電力等化器が準備され、該等化器は、
(a)等化器で受信した情報を載せた放射を、システムの波長分割多重化通信チャンネルに対応する1つ又はそれ以上の放射成分に分割する濾過手段と、
(b)前記1つ又はそれ以上の放射成分を選択的に伝送又は減衰する液晶減衰手段と、
(c)結合された放射を供給するために減衰手段を通じて伝送又は減衰された1つ又はそれ以上の放射成分を結合する結合手段と、
(d)結合された放射に含まれる前記1つ又はそれ以上の放射成分に存在する電力を測定し、1つ又はそれ以上の対応する放射成分電力を示す信号を生成する監視手段と、
(e)監視手段から前記1つ又はそれ以上の電力表示信号を受信し、結合された放射に含まれる放射成分が実質的に互いに類似した電力であるように、減衰手段によってもたらされる減衰を制御する制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明は、等化器が結合手段からの放射成分出力の放射電力を実質的に互いに一致させることができ、それにより、そのような成分が引き続いてその後のエルビウムドープ光ファイバ増幅器(EDFA)などの光学装置における電力ホギング効果を引き起こさないようにするという利益をもたらす。
そのような電力ホギングは、比較的電力の小さい放射成分の減少と比較的電力の大きい成分の強調とを引き起こすことがあり、放射成分間のこの様な不均一は、データ誤差率の増大と信号ノイズ比の悪化とを引き起こす可能性がある。
【0008】
本発明の関連において、放射成分は、それらの各電力が20デシベルの誤差帯内にある時、すなわち結合手段からの放射出力の最弱及び最強放射成分の間の電力差が20デシベルを超えなければ、実質的に類似な相互電力である。実際には、本発明の等化器は、放射成分電力を10デシベルの誤差限界内に、好ましくは1デシベルの誤差限界内に制御する能力を持つ。
すなわち、制御手段は、都合の良いことに、結合された放射に存在する1つ又はそれ以上の放射成分の電力を10デシベル又はそれ以下の誤差限界内で互いに一致させるように作動可能である。好ましくは、制御手段は、結合された放射中の1つ又はそれ以上の放射成分の大きさを1デシベル又はそれ以下の誤差限界内で互いに一致させるように作動可能である。
【0009】
等化器を通信システムに実装する時、濾過手段は、等化器で受信される放射を空間的に分離した微光線に分割するように作動可能であり、該減衰手段が好ましくは液晶セルのアレーを含み、各セルが関連する光線に対応して微光線の選択的減衰又は伝送をもたらすように作動可能であることは有利である。受信した放射を空間的に分離した微光線に分割することは、各微光線の放射電力を選択的に制御する仕事を容易にする。
【0010】
等化器が通信システムの付加/除去マルチプレクサ内部に含まれている時、等化器が濾過手段によって受信される放射に存在する1つ又はそれ以上の放射成分の、等化器からの出力用の部分である少なくとも一部を選択的に転換させる除去手段を含むと都合がよい。そのような1つ又はそれ以上の放射成分の少なくとも一部の転換によって、付加/除去マルチプレクサは、例えば付加/除去マルチプレクサに結合された顧客への伝達用の通信チャンネルをマルチプレクサのところで除去することが可能になる。
【0011】
除去手段と同様に、等化器は、好ましくは結合手段から出た結合放射出力に付加的放射成分を付加する付加手段を含み、等化器からの出力用の付加的成分及び結合放射はシステム内に入る。除去手段と付加手段とを含むことによって、等化器は、それが組み込まれている付加/除去マルチプレクサにおいて通信チャンネルの除去及び付加の両方が可能になる。都合が良いことに、制御手段は、付加手段を制御して付加的放射成分及び結合放射に含まれる1つ又はそれ以上の放射成分が10デシベルの誤差限界内で一致する相互電力であるように作動可能であり、等化器が減衰手段を通じて伝送された放射成分にも付加手段を通じて付加された成分同様に作用し、付加的成分の存在によるその後の電力ホギングが生じ難くすることは有利である。
【0012】
制御目的で等化器内の放射成分の放射電力を判断する時、監視手段が、結合手段及び付加手段の少なくとも一方からそこで受信した放射を放射成分に分割する光学濾過手段、及び、成分のそれぞれに含まれる放射電力を測定し、減衰手段を制御する制御手段によって使用される1つ又はそれ以上の出力信号である、放射成分に存在する放射電力を表示する1つ又はそれ以上の対応する出力信号を生成する、光検出器のアレーを含むことは有利である。これによって成分放射電力の並列測定がもたらされ、それは、比較的高速で実行することができるが比較的複雑な濾過手段及び検出器アレーを伴う。
【0013】
放射成分の放射電力の監視を比較的低速で行うことが許容される場合、監視手段は、結合手段と付加手段との少なくとも一方からそこで受信した放射に存在する放射成分を逐次選択する同調可能光学濾過手段、及び、選択された一連の放射成分に存在する放射電力を測定し、選択された一連の放射成分に存在する放射電力を表示する、減衰手段を制御する制御手段によって使用される1つ又はそれ以上の出力信号である、1つ又はそれ以上の対応する出力信号を生成する光検出器を含むことが好ましい。電力測定のそのような逐次方式は、等化器用の単純化されたハードウェアをもたらす。
【0014】
作動時に、波長の一致する情報搭載放射成分を結合することは、必然的に等化器内のデータ崩壊をもたらす。従って、減衰手段が、それを通って伝播する、その波長が付加手段により結合放射に付加された放射成分の波長と一致する、放射成分を遮断するように作動可能であることは有利である。
都合の良いことに、付加的放射成分を生成する目的で、付加手段は、結合放射に付加するための1つ又はそれ以上の放射成分を生成する1つ又はそれ以上の変調分配フィードバックレーザを組み込んでいる。
【0015】
等化器を実装する時、減衰手段に付随する濾過手段及び監視手段の光学濾過手段は、好ましくはブラッグ格子フィルタを使用して実装される。そのような格子フィルタは、比較的低コストでコンパクトな実際的アセンブリを供給する可能性がある。
等化器が例えば付加/除去マルチプレクサとして機能している時、等化器が適切な量の放射を除去及び付加することが好ましい。実際には、等化器がそこで受信された放射の5から95%の範囲で除去手段へとそらせるように作動可能であることが便利であることが分かっている。同様に、等化器が、5%から95%の範囲の結合放射と5%から95%の範囲の付加放射とを等化器からシステムへの出力用の放射に結合する結合手段を含むことはまた便利である。
【0016】
本発明の第2の態様において、光通信システム用の付加/除去マルチプレクサが準備され、マルチプレクサは、本発明の第1の態様による放射電力等化器を含む。
本発明の第3の態様において、本発明の第2の態様による付加/除去マルチプレクサを含む通信システムが準備されている。
【0017】
本発明の第4の態様において、放射電力等化器の放射電力を等化する方法が準備されており、この方法は、以下の各段階を含むことを特徴とする。すなわち、
(a)等化器で情報搭載光放射を受信する段階と、
(b)放射を通信チャンネルに対応する放射成分に分割する段階と、
(c)液晶減衰手段で1つ又はそれ以上の放射成分を選択的に減衰する段階と、
(d)結合放射を供給するために、減衰手段を通じて伝送又は減衰した放射成分を結合する段階と、
(e)結合放射に含まれる1つ又はそれ以上の放射成分に存在する放射電力を判断するために監視手段を使用して結合放射を測定し、1つ又はそれ以上の対応する成分の放射電力表示信号を生成する段階と、
(f)結合放射に存在する放射成分が実質的に類似の相互電力となるように、1つ又はそれ以上の電力表示信号に応答して減衰手段から供給される減衰を制御する段階とである。
液晶減衰手段から供給される減衰を制御する時、段階(f)で、結合放射に存在する1つ又はそれ以上の放射成分が10デシベルの誤差限界内で互いに電力が一致するように制御することが好ましい。
ここで、本発明の実施形態を例示的に図を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による放射電力等化器を含む付加/除去マルチプレクサの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1で、光ファイバ導波路20を含む少なくとも1つの光ファイバ導波路リングを含む光通信システム(図示せず)に組み込まれた通常10で表示される付加/除去マルチプレクサが示されている。マルチプレクサ10は、受信機エルビウムドープ光ファイバ増幅器(EDFA)30、第1の光カプラ40、50で表示されるチャンネル制御ユニット(CCU)、第2の光カプラ60、及び、発信器EDFA70を含む。
【0020】
光ファイバ導波路20は、その第1端部でEDFA30の光入力ポートへ接続されている。同様に、光ファイバ導波路20は、その第2端部で発信器EDFA70の出力ポートに接続されている。本システムにおいて、光ファイバ導波路20は、その第1端部から第2端部に至る光路内部に含まれた別の付加/除去マルチプレクサ及び類似装置を有している。受信機EDFA30の光出力ポートは、光ファイバ導波路80を通じて第1の光カプラ40の第1の光入力ポートへ結合されている。同様に、第1の光カプラ40の第1の光出力ポートは、光ファイバ導波路90を通じて、CCU50の光入力ポートに接続されている。CCU50は、光ファイバ導波路100を通じて第2の光カプラ60の第1の光入力ポートに結合されている光出力ポートを含む。最後に、カプラ60は、光ファイバ導波路110を通じて発信器EDFA70の光入力ポートに接続されている光出力ポートを含む。
【0021】
マルチプレクサ10は、更に、PINダイオード検出器アレー120及び制御モジュール130を含む。発信器EDFA70は、光ファイバ導波路140を通じて検出器アレー120の光入力ポートと結合されている監視目的の補助光出力ポートPを含んでおり、作動時には、発信器EDFA70から光ファイバ導波路20へ入る光放射出力の一部が補助出力Pで出力される。検出器アレー120は、導波路140を通じて運ばれ検出器アレー120で受信される放射成分のエネルギーに対応する電気信号を供給する電気出力を含む。制御モジュール90は、電気信号を受信してそれらを処理するために接続され、モジュール90の電気出力における出力である電気制御信号を生成する。電気出力は、CCU50の対応する減衰制御入力に接続される。
【0022】
マルチプレクサ10は、更に、光分割器150を含み、その光入力ポートは、光ファイバ導波路160を通じて第1のカプラ40の第2の光出力ポートに結合されている。その上、分割器150はまた、12個程度の光出力ポートを含んでおり、その1つが光ファイバ導波路170を通じて180で表示される受信機ユニットの光入力ポートに結合されている。作動中の分割器150は、多方向放射分割器として機能し、関連ある放射波長でのいかなる形の光学フィルタ作用も準備しない。
【0023】
受信機ユニット180は、そこで受信した放射の、特定の通信チャンネルに対応する成分である、特定の放射成分のみを伝送するように作動可能な光帯域フィルタ190を含む。フィルタ190は、特定の放射成分を付加/除去マルチプレク10に接続された1つ又はそれ以上の顧客(図示せず)にとって適切な形にするように作動可能なインタフェースユニット200に成分を伝送するように作動可能である。インタフェースユニット200は、例えば、検出により特定放射成分を対応する電気信号に変換し、この信号を1つ又はそれ以上の顧客に出力することができる。代替的に、インタフェースユニット200は、特定放射成分を増幅し、増幅の後、次に1つ又はそれ以上の顧客にその成分を出力することができる。
【0024】
マルチプレクサ10は、その上、光結合器210を含んでおり、光結合器210の光出力は、光ファイバ導波路220を通じて第2のカプラ60の第2の光入力ポートと結合している。光結合器210は、12個程度の光入力ポートを含んでおり、その1つが光ファイバ導波路230を通じて発信器ユニット240の光出力ポートと結合している。作動時には、結合器210は、多方向カプラとして機能し、関連ある波長でのいかなる形の波長選択光学フィルタ作用をも準備しない。
【0025】
発信器ユニット240は、同調可能分配フィードバック(DFB)レーザ250及び関連インタフェース増幅器260を含む。インタフェース増幅器260の入力は、本システムを使用する1つ又はそれ以上の顧客(図示せず)に接続され、その1つ又はそれ以上の顧客からの電気的又は光学的情報トラフィックを受信する。インタフェース増幅器260の出力は、レーザ放射振幅変調目的用のDFBレーザ250の変調入力に接続される。
【0026】
第1のカプラ40は、その光入力ポートから結合されるように作動可能であり、そこで入力した放射の一部がその第1の出力ポートに結合され、入力した放射のほぼ残りの部分がその第2の出力ポートに結合される。第2のカプラ60は、第1のカプラ40と同様に作動し、第2のカプラ60の出力ポートで出力される放射の一部は、第1の入力ポートで入力された放射に由来し、残る部分は、第2の入力ポートで入力した放射に由来する。各カプラのその部分と残る部分とは合計して実質的に100%になり、その部分と残る部分とは、各々、実質的に5%から95%及び95%から5%の範囲である。
【0027】
CCU50は、所有権のあるサブシステムであり、本明細書において参照文献として援用されている米国特許第5,414,540号で説明されている振動数選択光学スイッチとほぼ類似の方式で作動する。CCU50は、ブラッグ格子技術で実装された入力光デマルチプレクサ300、310で表示され破線320内部に囲んで示される液晶セル・アレー、及び、最後に出力光マルチプレクサ330を組み込んでいる。CCU50内部では、デマルチプレクサ300、アレー310、及び、マルチプレクサ330は、CCU50の入力光ポートから出力光ポートまでの間で6デシベル程度の最低限の減衰係数をもたらす自由空間光路を使用して光学的に結合されている。
【0028】
CCU50が作動する時、CCU50の光入力ポートに印加され、結合された通信チャンネルに対応する多数の放射成分を含む放射は、放射を多数の微光線に分割するデマルチプレクサ300に伝播し、各微光線は、関連放射成分従ってまた通信チャンネルに対応する。微光線は、デマルチプレクサ300から対応するアレー310のセルへ、そしてそれを通ってマルチプレクサ330へと伝播し、マルチプレクサ330がそこで受信した微光線を結合して出力放射を供給し、それがCCU50の光出力ポートから出てくる。アレー310の液晶セルを選択的に制御することによって、特定チャンネルに対応する放射成分をCCU50の入力ポートから出力ポートへ選択的に伝送するか又は遮断することができる。前記の米国特許第5,414,540号において、そこで説明されているスイッチは、放射成分切換用であり、すなわち完全にそれらを伝送するか又は完全にそれらを遮断するかであり、そのような切換は、スイッチが特定放射成分を選択的に転換するために使用される場所、例えば光電話交換に適している。本発明者は、マルチプレクサ10のCCU50が前記スイッチと類似の技術を使用しているにもかかわらず、それを通って伝播する放射成分を選択的に遮断したり伝送したりするのに使用できるのみならず、減衰が要求されている時には、選択的に成分を減衰するために使用できることを理解した。例えば、作動のそのような減衰モードは前記の米国特許では考えられていない。本発明者は、更に、CCU50によって供給される選択的減衰を適用して光通信システムにおける放射成分振幅の平均化をもたらすことが可能であることを理解した。CCU50が示す特性は、アレー310の液晶セルが、それを通り、制御モジュール130から出た制御信号出力によって制御できる、光伝送を供給することである。実際には、液晶セルが光学的に清浄である時、CCU50を通じての減衰は6デシベルであり、セルが反射性として駆動された時には、少なくとも40デシベルである。すなわち、各セルは、それを通過する間に少なくとも30デシベルの範囲に亘って連続的に変化する光学的減衰をもたらす能力を持つ。CCU50は、定格1.5ミクロンの波長の放射成分を有する32チャンネルを選択的に減衰できるようになっており、それらのチャンネルは、0.8ナノメートル程度の波長間隔に相当する100ギガヘルツの相互チャンネル間隔を持っている。
【0029】
次に図1を参照して付加/除去マルチプレクサ10の作動を説明する。導波路20を伝播する放射は、チャンネル数が32までの情報搭載通信チャンネルに相当する32までの放射成分を含んでおり、該成分は、実質的に0.8ナノメートルの、すなわち実質的に100ギガヘルツの振動数間隔に相当する、チャンネル波長間隔において互いに異なる波長を有している。放射は、受信機EDFA30の入力ポートで受信され、EDFA30がその放射を増幅して対応する増幅放射をEDFA30の出力ポートで出力する。増幅された放射は、導波路80を第1のカプラ40へと伝播し、それが増幅放射の第1の部分を導波路160を通じて分割器150へと向け、残る第2の部分を導波路90を通じてCCU50の入力ポートへと向ける。分割器150で受信された増幅放射の第1の部分は、そこで12方向へと分割され、すなわち、分割器150で受信された増幅放射の約8%が導波路170を伝播して光学フィルタ190で受信される。フィルタ190は、そこで受信された増幅放射を濾過し、増幅放射に存在する、フィルタ190がそれに対して同調されている、放射成分を伝送する。放射成分は、フィルタ190からインタフェースユニット200へと伝播し、インタフェースユニット200は、放射成分を条件付けし、次に、それを電気信号又は光放射の少なくともどちらかで条件付けした形で付加/除去マルチプレクサ10に結合された1つ又はそれ以上の顧客に出力する。
【0030】
CCU50で受信された増幅放射は、デマルチプレクサ300に移り、そこでその放射成分が空間的に分離した微光線に分割され、前記の32チャンネルのそれぞれが対応する微光線を持つ。微光線は、アレー310への自由空間伝播を受け、そこで各光線は、選択的に、伝送され、減衰され、又は、制御モジュール130で生成された制御信号次第で実質的に全面的に反射される。アレー310を通って伝送又は減衰された微光線の放射は、放射を結合して出力放射を準備するマルチプレクサ330で受信され、該出力放射は、CCU50の出力ポートからファイバ導波路100に沿って第2のカプラ60の第1の入力ポートへと伝播する。
【0031】
付加/除去マルチプレクサ10、より詳細には、インタフェース増幅器260で受信された顧客通信トラフィックは、DFBレーザ250とそこから放出される振幅変調放射とを駆動するために増幅されて適切に条件付けられる。変調された放射は、ファイバ導波路230を通って結合器210のその付随する入力ポートへ伝播する。変調放射は、結合器210、及び、続いてファイバ導波路220を通じて第2のカプラ60の第2の入力ポートに結合される。第2のカプラ60は、放射をその第2の入力ポートに結合し、その出力ポートに出力放射を供給し、出力放射は、ファイバ導波路110を通って発信器EDFA70の入力ポートへと伝播する。EDFA70は、そこで受信された出力放射を増幅し対応する増幅放射を生成する。増幅放射は、EDFA70の出力ポートから支配的に出力され、システム内で更に伝播するようにファイバ導波路20に送り出される。小さな部分、すなわち5%程度の増幅放射が補助ポートPに結合され、次に、ファイバ導波路140を通じて検出器アレー120に結合される。検出器アレー120は、増幅放射の成分を前記チャンネルの対応する微光線に分割するように作動可能な波長デマルチプレクサを含む。その上、検出器アレー120は、更に、各微光線に存在する放射を検出し、各微光線の放射エネルギーを表示する電気出力信号を生成する32個のPINダイオード光検出器を含む。出力信号は、制御モジュール130に送られて、これが、各微光線に存在するエネルギーを監視し、CCU50内の対応する液晶セルによって供給される減衰を継続的に調節して、微光線のエネルギーが各チャンネル間で10デシベル又はそれ以下の誤差限界内で確実に一致するようにする。微光線のエネルギーが各チャンネル間で1デシベル又はそれ以下の誤差限界内で一致することが好ましい。
【0032】
CCU50は、CCU50を通って伝播する、DFBレーザ250からの放射出力と一致した波長を有する、放射微光線をアレー310のセルが遮断するように、システムによって制御される。同様に、付加的な変調DFBレーザが光学的に結合器210に接続され、変調放射を結合器に供給するように作動可能である時、CCU50はまた、それを通って伝播し波長が前記付加的変調DFBレーザから出る放射出力と一致する放射微光線を遮断するように制御される。そのような遮断は、関連する通信トラフィックの崩壊をもたらすであろう第2のカプラ60での実質的に同一波長の放射の結合を避けるために必要である。
【0033】
随意選択として、制御モジュール130からの制御信号もまた、DFBレーザ250の放射振幅制御入力に接続することができ、放射を出力するどのような付加的DFBレーザをも第2のカプラ60に接続することができる。そのような接続はまた、制御モジュール130が付加/除去マルチプレクサ10において付加された放射の平均化を実行することを可能にする。
例えば米国特許第5,414,540号で開示されたものなど、CCU50に類似の構造は、放射切換構成要素として機能するようになっていることに留意されたい。本発明の発明者は、以下のことを理解している。すなわち、
(a)CCU50は、放射の特定微光線の連続的に変動する減衰を供給するように作動可能であること、及び
(b)変動する減衰を供給できるそのようなCCU50は、内部でチャンネル平均化を実行するために、付加/除去マルチプレクサに組み込むのに適していることである。
【0034】
CCU50が、例えば可変減衰器として形成されたマッハ・ツェンダー干渉計のアレーを使用するなど、液晶技術に代わる技術を使用して実装されていたとしたら、46デシベル程度の放射遮断性能を得て、しかも実用に耐える商業製品を供給することは実際的に不可能であったであろう。
従来技術の通信システムとは異なり、本発明は、電力平均化とも称される電力等化が通信システム内部に分散された付加/除去マルチプレクサにおいて局所的に達成されることを可能にし、それにより、中間位置における平均化がもたらされず、通信チャンネルに対応する放射成分間のエネルギー差分の生じる可能性がある従来技術で経験した平均化問題に対処する。
【0035】
付加/除去マルチプレクサ10に対する修正を本発明の範囲を逸脱することなく行うことができることが理解できるであろう。例えば、CCU50は、より多くのセルを含むように形成することができ、デマルチプレクサ300は、これに対応して、CCU50で受信される入力放射をもっと多くの微光線に分割するように設計でき、例えば、最大128個のセルまでの潜在的な可能性がある。その上、分割器150は、必要であれば受信機ユニット180に類似の12個を超えるユニットに接続でき、同様にして、結合器210は、発信器ユニット240に類似の12個を越えるユニットに接続できる。
【0036】
必要に応じて、PINダイオード検出器アレー120は、単一PINダイオードと結合された同調可能フィルタで置き換えることができ、該同調可能フィルタは、発信器EDFA70からの放射出力に存在する通信チャンネルに対応する放射成分を通して逐次同調するように作動可能である。付加/除去マルチプレクサ10のそのような改良バージョンにおいて、例えば成分の経年変化による通信トラフィックの変調と意図的なチャンネル切換とを無視すれば、チャンネルに存在する放射エネルギーが時間と共に比較的緩やかに変化するので、逐次同調は実用的である。
【符号の説明】
【0037】
70 発信器エルビウムドープ・ファイバ増幅器
120 PINダイオード検出器アレー
130 制御モジュール
300 光デマルチプレクサ
310 液晶セル・アレー
330 光マルチプレクサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信システム用の放射電力等化器であって、
(a)前記等化器で受信した情報を掲載した放射を、前記システムの波長分割多重化通信チャンネルに対応する1つ又はそれ以上の放射成分に分割する濾過手段と、
(b)前記1つ又はそれ以上の放射成分を選択的に伝送又は減衰する液晶減衰手段と、 (c)結合された放射を供給するために前記減衰手段を通じて伝送又は減衰された1つ又はそれ以上の放射成分を結合する結合手段と、
(d)前記結合された放射に含まれる前記1つ又はそれ以上の放射成分に存在する電力を測定し、1つ又はそれ以上の対応する放射成分電力を示す信号を生成する監視手段と、 (e)前記監視手段から前記1つ又はそれ以上の電力表示信号を受信し、前記結合された放射に含まれる前記放射成分が実質的に互いに類似した電力であるように、前記減衰手段によってもたらされる減衰を制御する制御手段と、
を含むことを特徴とする等化器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記結合された放射に存在する前記1つ又はそれ以上の放射成分の電力を10デシベル又はそれ以下の誤差限界内で互いに一致させるように作動可能であることを特徴とする請求項1に記載の等化器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記結合された放射に存在する前記1つ又はそれ以上の放射成分の大きさを1デシベル又はそれ以下の誤差限界内で互いに一致させるように作動可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の等化器。
【請求項4】
前記濾過手段は、前記等化器で受信した前記放射を空間的に分離された微光線に分割するように作動可能であり、前記減衰手段は、各セルが関連する微光線に対応して前記微光線の選択的減衰又は伝送をもたらすように作動可能である液晶セルのアレーを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の等化器。
【請求項5】
前記濾過手段により受信された前記放射に存在する、前記等化器からの出力用部分である、前記1つ又はそれ以上の放射成分の少なくとも一部を選択的に転換する除去手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の等化器。
【請求項6】
前記結合手段からの前記結合された放射出力に付加的放射成分を加える付加手段を含み、
前記付加的成分及び前記結合放射が前記等化器から前記システム内への出力である、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の等化器。
【請求項7】
前記制御手段は、前記付加的放射成分と前記結合放射に含まれる前記1つ又はそれ以上の放射成分とが10デシベルの誤差限界内で互いに電力が一致するように、前記付加手段を制御するように作動可能であることを特徴とする請求項6に記載の等化器。
【請求項8】
前記監視手段は、前記結合手段及び前記付加手段の少なくとも1つから濾過手段において受信した放射を放射成分に分割する光学濾過手段、及び、前記成分の各々に存在する放射電力を測定して前記放射成分に存在する前記放射電力を表示する1つ又はそれ以上の対応する出力信号を生成する光検出器のアレーを含み、
前記1つ又はそれ以上の出力信号は、前記減衰手段を制御するために前記制御手段により使用される、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の等化器。
【請求項9】
前記監視手段は、前記結合手段及び前記付加手段の少なくとも1つから濾過手段において受信した放射に存在する放射成分を逐次選択する同調可能光学濾過手段、及び、前記選択された一連の放射成分に存在する放射電力を測定して前記選択された一連の放射成分に存在する前記放射電力を表示する1つ又はそれ以上の対応する出力信号を生成する光検出器を含み、
前記1つ又はそれ以上の出力信号は、前記減衰手段を制御するために前記制御手段により使用される、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の等化器。
【請求項10】
前記減衰手段は、減衰手段を通って伝播する、波長が前記付加手段により前記結合放射に付加された放射成分の波長と一致する、放射成分を遮断するように作動可能であることを特徴とする請求項6又は請求項7のいずれか1項に記載の等化器。
【請求項11】
前記付加手段は、前記結合放射に付加するために前記1つ又はそれ以上の放射成分を生成する1つ又はそれ以上の変調分配フィードバックレーザを組み込むことを特徴とする請求項6に記載の等化器。
【請求項12】
前記濾過手段は、ブラッグ格子フィルタを組み込むことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の等化器。
【請求項13】
等化器において受信した放射の5から95%の範囲で前記除去手段に向けるように作動可能であることを特徴とする請求項5に記載の等化器。
【請求項14】
5%から95%の範囲の前記結合放射と5%から95%の範囲の前記付加放射とを前記等化器から前記システムに出力する放射の中に結合する結合手段を含むことを特徴とする請求項6に記載の等化器。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の放射電力等化器を含むことを特徴とする、光通信システム用の付加/除去マルチプレクサ。
【請求項16】
請求項15に記載の付加/除去マルチプレクサを含むことを特徴とする、通信システム。
【請求項17】
放射電力等化器の放射電力を等化する方法であって、
(a)前記等化器において情報搭載光放射を受信する段階と、
(b)前記放射を通信チャンネルに対応する放射成分に分割する段階と、
(c)液晶減衰手段で1つ又はそれ以上の前記放射成分を選択的に減衰する段階と、
(d)結合放射を供給するために、前記減衰手段を通じて伝送又は減衰された放射成分を結合する段階と、
(e)前記結合放射に含まれる前記1つ又はそれ以上の放射成分に存在する放射電力を判断するために監視手段を使用して前記結合放射を測定し、1つ又はそれ以上の対応する成分の放射電力表示信号を生成する段階と、
(f)前記結合放射に存在する放射成分が実質的に類似の相互電力であるように、前記減衰手段から供給された減衰を前記1つ又はそれ以上の電力表示信号に応答して制御する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17の段階(f)において、前記結合放射に存在する前記1つ又はそれ以上の放射成分は、10デシベルの誤差限界内で互いに電力が一致することを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−17209(P2013−17209A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−186687(P2012−186687)
【出願日】平成24年8月27日(2012.8.27)
【分割の表示】特願2011−47661(P2011−47661)の分割
【原出願日】平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願人】(306045626)エリクソン アクチボラゲット (6)
【氏名又は名称原語表記】Ericsson AB
【住所又は居所原語表記】Torshamngaten 23,SE−164 80 Stockholm,Sweden
【Fターム(参考)】