放熱パッド
【課題】全体コストが少なくて済み、しかも肌面の熱を効果的に放散でき、さらに衛生的な状態で繰り返し使用することができる放熱パッドを提供する。
【解決手段】水を含む液体を含浸する保液体1と、保液体1の上下面を覆う被覆シート2とで構成する。保液体1は、熱溶着可能なシート状の吸液性芯材(例えば不織布)3と、吸液性芯材3の上下面を覆う吸液性マット(例えば綿マット)4とで構成する。被覆シート2は、ベースフィルム5の表面に金属蒸着層6を形成した蒸着フィルムで形成する。被覆シート2の表面には、通気穴7の一群を開口する。金属蒸着層6が外面に露出する状態で、上下の被覆シート2を保液体1と一体化する。
【解決手段】水を含む液体を含浸する保液体1と、保液体1の上下面を覆う被覆シート2とで構成する。保液体1は、熱溶着可能なシート状の吸液性芯材(例えば不織布)3と、吸液性芯材3の上下面を覆う吸液性マット(例えば綿マット)4とで構成する。被覆シート2は、ベースフィルム5の表面に金属蒸着層6を形成した蒸着フィルムで形成する。被覆シート2の表面には、通気穴7の一群を開口する。金属蒸着層6が外面に露出する状態で、上下の被覆シート2を保液体1と一体化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔や首回りなどに付着させて肌面の熱を放散するための放熱パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
肌面などを冷却するための冷却シートとして、例えば不織布の片面に、ポリアクリル酸を基材とする冷却用組成物を500〜5000μmの厚みで展延塗布したものが公知である(特許文献1)。そこでは、冷却用組成物に水を含浸させておき、冷却用組成物の表面を額、目元、首回りなどの肌面に貼り付けて、水の蒸散作用で肌面の熱を放散する。冷却シートを予め冷蔵庫などで冷却しておき、冷却用組成物の冷熱によって肌面を冷却することもできる。
【0003】
特許文献2においては、水不透過性フィルムと、合成パルプを含有する繊維シートと、ポリオレフィン製不織布を構成材にして、これらの構成材を記載順に積層して吸熱シートを構成している。使用時には、不織布の表面から水を供給して繊維シートに含浸させ、水不透過性フィルムを肌面に密着して、繊維シートに含まれる水が不織布を介して気化するときの蒸散作用によって肌面の熱を放散する。この吸熱シートは、繊維シートに水を補給することにより、繰り返し放熱作用を発揮できる。
【0004】
本発明の放熱パッドは、例えばアルミニウムが蒸着された外装フィルムで含水シートの外面を覆うが、このようにアルミニウム箔を併用する放熱シートは特許文献3に公知である。そこでは、アルミニウム箔の片面に例えば不織布を裏打ちし、これを波形に屈曲したのち、波形の山部分を断面コ字状に成形して、放熱シートを形成している。アルミニウム箔には、予め小孔またはスリットが形成してある。使用時には、アルミニウム箔を肌面に密着して、肌面に発生した汗を小孔を介して不織布に吸収させ、汗が気化するときの蒸散作用によって肌面を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−241747号公報(段落番号0046〜0060、図1)
【特許文献2】特開2008−206974号公報(段落番号0034)
【特許文献3】特開2005−119068号公報(段落番号0028、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の冷却シートは、不織布と、その片面に塗布したポリアクリル酸等を基材とする冷却用組成物とで構成するので、コストが高く付く。繰り返し使用することはできるが、冷却用組成物が強い粘着力を備えているため、塵埃などの異物が冷却用組成物に付着しやすく、衛生的な状態を維持するのが難しい。冷却用組成物によっては、肌面が荒れるおそれがある。
【0007】
その点、特許文献2の吸熱シートでは、水不透過性フィルムと、繊維シートと、ポリオレフィン製不織布とを記載順に積層して構成するので、特許文献1の冷却シートに比べて吸熱シートの全体コストを削減できる。また、吸熱シートの取り扱いに注意することにより、異物の付着を避けて衛生的な状態で吸熱シートを繰り返し使用することができる。しかし、水不透過性フィルムを肌面に密着させて、肌面が濡れるのを防ぐので、肌面の熱を水が含浸された繊維シートへ効果的に伝えることができない。また、繊維シートおよび表面の不織布は、それぞれ水とともに空気を含んでいるため、空気の層が熱の発散を妨げ、熱が繊維シートの内部にこもって放熱効果が持続しにくい。
【0008】
特許文献3の放熱シートは、汗が気化するときの蒸散作用によって肌面の熱を放散するので、冷涼感が得られにくく、むしろ放熱シートを肌面に装着することによって、使用者に違和感や暑苦しさを感じさせてしまうおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、全体コストが少なくて済み、しかも肌面の熱を効果的に放散でき、さらに衛生的な状態で繰り返し使用することができる放熱パッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る放熱パッドは、水等の液体を含浸する保液体1と、保液体1の上下面を覆う被覆シート2とで構成する。被覆シート2は、表面に通気穴7の一群が開口してあるプラスチックフィルム5で形成する。上下の被覆シート2と保液体1とは、少なくとも通気穴7の内面周縁において一体化する。片方の被覆シート2を肌面に付着した使用状態において、保液体1に含浸させた液体の一部が通気穴7から滲み出して肌面に付着することを特徴とする。被覆シート2と保液体1とは、接着あるいは熱溶着によって一体化することができる。
【0011】
被覆シート2は、ベースフィルム5の表面に金属蒸着層6を形成した蒸着フィルムで形成し、金属蒸着層6が外面に露出する状態で、上下の被覆シート2を保液体1と一体化する。金属蒸着層6は、少なくともベースフィルム5の片面に形成してあればよいが、ベースフィルム5の両面に形成してあってもよい。
【0012】
加熱した一群の針体11を被覆シート2に突き刺して通気穴7を形成する。このとき、通気穴7の内面周縁に形成されるベースフィルム5の溶融塊12を保液体1の構成材に結着させて、被覆シート2と吸液性マット4とを一体化する。
【0013】
保液体1は、熱溶着可能なシート状の吸液性芯材3と、吸液性芯材3の上下面を覆う吸液性マット4とで構成する。吸液性芯材3の周縁を、上下の被覆シート2の周縁の間に熱溶着して、保液体1を被覆シート2の間に封入する。吸液性マット4としては、吸液性繊維、吸液性を備えた柔軟な発泡樹脂、吸液性を備えた発泡ゴムを素材にして、これらの素材から選択される少なくともひとつの素材で形成することができる。吸液性繊維としては、綿、レーヨン、パルプなどがある。また、先の吸液性繊維に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどの合成繊維を混合して吸液性繊維とすることができる。また、吸液性を備えた発泡樹脂としては、発泡セルロース、発泡ポリウレタンなどを適用できる。吸液性マット4は、上記の各素材を単独で、あるいは複数の素材を混合した状態で構成することができる。
【0014】
高吸水性高分子体からなる吸液体28を吸液性マット4の内部に担持する。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、水等の液体を含浸する保液体1と、表面に通気穴7の一群が開口してある被覆シート2とで放熱パッドを構成するので、ポリアクリル酸等の冷却用組成物を保液体とする従来の冷却シートに比べて、放熱パッドの製造コストを低減できる。使用時には、保液体1に含浸させた液体の一部が通気穴7から滲み出して肌面に付着するので、放熱パッドを肌面に対して確りと付着させることができる。さらに、保液体1の外面を、通気穴7の一群が開口された被覆シート2で覆うので、保液体1に含浸した水などの蒸散を効果的に行なうことができ、冷却用組成物を保液体とする従来の冷却シートに比べて、肌面の熱をさらに効果的に放散できる。
【0016】
蒸着フィルムで被覆シート2を形成し、その金属蒸着層6を外面に露出させると、金属蒸着層6で周囲の熱を反射し遮断できるので、使用時における放熱パッドの温度が、周囲の外気温によって上昇するのを抑止できる。また、肌面と接触する金属蒸着層6は、肌面の熱を吸液性マット4へ効果的に伝導できるので、水不透過性フィルム、繊維シート、不織布を積層した従来の吸熱シートに比べて、肌面の熱の放散をさらに効果的に行なうことができる。
【0017】
加熱した一群の針体11を被覆シート2に突き刺して通気穴7を形成すると、通気穴7を形成するのと同時に、通気穴7の内面周縁に形成される溶融塊12を保液体1の構成材に結着させて、吸液性マット4を被覆シート2に相対移動不能に一体化できる。したがって、通気穴7の形成と、吸液性マット4と被覆シート2の固定を個別に行なう場合に比べて、放熱パッドの製造に要する手間と時間を削減して、放熱パッドをさらに低コストで提供できる。また、被覆シート2と吸液性マット4とが相対移動不能に一体化されるので、吸液性マット4が1個所にかたまって塊状になるのを防止でき、これにより放熱パッドを常に平坦なマット状に保形して、放熱パッドの使い勝手を向上できる。さらに、異物が保液体1に付着し、あるいは保液体1が肌面に直接接触するのを被覆シート2で防止でき、したがって放熱パッドを衛生的な状態で繰り返し使用できる。
【0018】
熱溶着可能なシート状の吸液性芯材3と、吸液性芯材3の上下面を覆う吸液性マット4とで保液体1を構成すると、吸液性芯材3の保形力によって、保液体1の外形を保持できる。さらに、吸液性芯材3の周縁を、上下の被覆シート2の周縁の間に熱溶着して保液体1を被覆シート2の間に封入することにより保形力を向上して、放熱パッドを常に平坦な状態に保持できる。したがって、吸液性芯材3および吸液性マット4に水などを含浸させた状態において、放熱パッドが中折れ状に折れ曲がるのを防いで、放熱パッドの取り扱いを容易化できる。また、吸液性芯材3が上下の被覆シート2の周縁の間に熱溶着されるので、上下の吸液性マット4を被覆シート2と吸液性芯材3との間に均等に封入して、放熱パッドの表面と裏面との蒸散機能を均等化できるので、使用時に表面と裏面を使い分ける煩わしさを解消できる。
【0019】
吸液性マット4の内部に高吸水性高分子体からなる吸液体28を担持させると、吸液体28が含浸する水または液体の分だけ、放熱パッドの内部に保持される水または液体の総量を増加できる。したがって、放熱パッドによる肌面の熱の放散をより長い時間にわたって行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る放熱パッドの平面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】放熱パッドの製造法の概略を示す説明図である。
【図4】通気穴の形成手法を示す断面図である。
【図5】本発明に係る放熱パッドの別の実施例を示す平面図である。
【図6】図5に係る放熱パッドの製造法の概略を示す説明図である。
【図7】試験1の結果を示す図表である。
【図8】試験2−1の結果を示す図表である。
【図9】試験2−2の結果を示す図表である。
【図10】試験3−1の結果を示す図表である。
【図11】試験3−2の結果を示す図表である。
【図12】本発明に係る放熱パッドの別の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例) 図1ないし図4は本発明に係る放熱パッドの実施例を示す。図2において放熱パッドは、水などの液体を含浸する保液体1と、保液体1の上下面を覆う被覆シート2・2とを主な構成材にして構成してあり、全体が横長四角形状に形成してある。
【0022】
保液体1は、熱溶着可能なシート状の吸液性芯材3と、吸液性芯材3の上下面を覆う吸液性マット4・4とで構成する。吸液性芯材3としては不織布、および織布のいずれであってもよいが、熱溶着が可能な合成繊維を素材とする不織布が材料コストが少なくて済む点で好ましい。吸液性芯材3は、放熱パッドのパッド形状を保持するために設けられており、適度の柔軟さを発揮しながら、水を含んだ放熱パッドが中折れ状に折れ曲がるのを規制できる厚みの不織布を使用する。この実施例では、秤量が15〜30g/m2 の不織布で吸液性芯材3を形成した。
【0023】
吸液性マット4は、吸液性繊維塊、吸液性を備えた柔軟な発泡樹脂、あるいは発泡ゴムを素材にして、これらの素材から選択される少なくともひとつの素材を含んで構成する。吸液性繊維塊としては、綿、セルロースなどの吸液性に優れた繊維と、熱溶着性、疎水性、保形性を備えた合成繊維、例えばポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維等を素材にして、繊維素材を交絡してマット状に形成する。この実施例では、綿繊維を絡ませてマット状にした綿マットで吸液性マット4を形成しており、綿マットの秤量は135g/m2 とし、その自由状態時の厚みは4mmとした。
【0024】
被覆シート2は、ベースフィルム(プラスチックフィルム)5の片面に金属蒸着層6を形成した蒸着フィルムで形成されており、被覆シート2の全面にわたって通気穴7の一群が格子模様状に開口してある。ベースフィルム5としては、熱溶着が可能なポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどを素材とするフィルムがあるが、柔軟性と保形性を備えたポリエステルフィルム、あるいはポリエステルフィルムにポリエチレンをコーティングし、あるいはポリエチレンフィルムをラミネートした2層構造のフィルムが好ましい。金属蒸着層6の蒸着材としては、アルミニウム、銀、銅などがあるが、材料コストが少なくて済む点でアルミニウムが好ましい。
【0025】
被覆シート2の全厚寸法は、0.008〜0.1mmの範囲にあればよく、この実施例では被覆シート2の全厚寸法を0.02mmとし、金属蒸着層6の厚みは0.05μmとした。被覆シート2の全厚寸法が0.008mm未満であると被覆シート2が破断しやすく、全厚寸法が0.1mmを越えると、後述する通気穴7の形成過程において、被覆シート2を吸液性マット4の繊維に結着するのが困難となり、さらに、しなりと柔らかさが低下し肌への密着性が悪くなる。被覆シート2は、その金属蒸着層6が外面に位置する状態で保液体1の上下面を覆っている。
【0026】
図4に示すように通気穴7は、加熱した一群の針体11を被覆シート2・2に突き刺して格子模様状に形成する。このとき、針体11の熱によってベースフィルム5が溶融して、通気穴7の内縁側へ流下し、通気穴7の内面周縁に溶融塊12が形成される(図2参照)。溶融塊12の一部は、ベースフィルム5の内面に接触する吸液性マット4の繊維に染み込んで固化する。これにより、ベースフィルム5と吸液性マット4の繊維とを結着して、被覆シート2・2と吸液性マット4・4とを相対移動不能に一体化することができる。個々の通気穴7の直径寸法は1mmであり、通気穴7の縦横の隣接ピッチは1.5mmとした。このように、通気穴7の一群を被覆シート2の表面に高密度で形成しておくと、使用状態において、保液体1に含浸させた液体の一部を通気穴7から滲み出させて肌面に付着させることができ、したがって放熱パッドを肌面に対して確りと付着させることができる。また、外気と吸液性マット4との接触機会や、肌面の熱気と吸液性マット4との接触機会を、一群の通気穴7を介して向上できる利点もある。
【0027】
次ぎに、放熱パッドの製造法の一例を図3に基づき説明する。図3において、符号14は吸液性芯材3の原反ロール、符号15・16はそれぞれ吸液性マット4の原反ロール、符号17・18は被覆シート2の原反ロールである。各原反ロール14〜18からウェブ材を繰り出し供給しながら、積層されたウェブ材を上下一対の押えローラー19・20・21・22で重合し密着させることにより、上下の被覆シート2の間に上下の吸液性マット4・4と吸液性芯材3が積層された1次ブランク24を形成できる。次ぎに、1次ブランク25の上面および下面のそれぞれに加熱した一群の針体11を突き刺して、被覆シート2・2に一群の通気穴7を形成する。得られた個々の2次ブランク25をウェブ幅方向に切断し、あるいは型抜きして放熱パッドを完成する。得られた放熱パッドは、個包装した複数個をひとまとめにして包装し、あるいは、個包装しないままで複数個の放熱パッドをひとまとめに包装した状態で販売に供される。
【0028】
放熱パッドを使用するときは、まずパッド全体を水に浸漬して保液体1に水を含浸させ、水が垂れ落ちない程度に軽く絞っておく。放熱パッドは、額、顔、首回り、胸部、上腕、脚など、人体の肌面の任意の位置に載置して、肌面の熱の放散を行なう。例えば、放熱パッドを額に載置した状態では、肌面の熱が付着側の金属蒸着層6とベースフィルム5を介して吸液性マット4へ効果的に伝えられ、肌面から伝導された熱が吸液性マット4に取り込まれる。また、肌面に接触していない蒸散側の被覆シート2では、外気が通気穴7を介して吸液性マット4および吸液性マット4に含浸された水と接触して、蒸散作用を発揮する。蒸散作用による熱の放散によって吸液性マット4は徐々に冷やされ、保液体1の全体の温度を下げて、放熱パッドが載置された肌面の熱を放散することができる。蒸散側の被覆シート2は、周囲の熱を反射して遮断することにも役立っており、これにより周囲の外気温による放熱パッドの温度上昇を抑止することができる。
【0029】
標準的な使用時間が経過したら水の蒸散作用が低下するので、放熱パッドを肌面から取り外し、被覆シート2の表面を流水で洗浄しながら、再び保液体1に水を含浸させたのち、軽く絞ることにより再使用できる。なお、水は常温のままでもよいが、冷水を保液体1に含浸させると、冷水の冷熱によっても肌面を冷却できる。また、水以外の液体、例えばアルコール水溶液を保液体1に含浸させて、含浸した液体の蒸散を促進することができる。あるいは、メントールが添加された水またはアルコール水溶液を保液体1に含浸させて、肌面に対して冷涼感を付与することができる。必要があれば、吸液性マット4の一方に水を含浸させ、他方の吸液性マット4にアルコール水溶液を含浸させた状態で使用することができる。
【0030】
放熱パッドは、保液体1に水、メントール等の冷感剤が添加された水、あるいはアルコール水溶液などを予め含浸させた状態で包装用の袋にパックし、あるいは複数個の保液体1を包装用の袋にパックした状態で販売に供することができる。その場合には、保液体1に水、あるいは水溶液を含浸させる必要がないので、パックを開封するだけでどこでも放熱パッドを手軽に使用できる。
【0031】
図5および図6は放熱パッドの別の実施例を示す。そこでは、それぞれ横長四角形状に形成した吸液性芯材3の周縁と、ベースフィルム5の周縁とを熱溶着して、保液体1と被覆シート2・2とを一体化する点が、先の実施例と異なる。図5において、熱溶着部分を符号8で示している。このこのように、吸液性芯材3の周縁と、被覆シート2の周縁とを熱溶着することにより、上下の被覆シート2・2と吸液性芯材3との間のそれぞれに吸液性マット4を封入することができる。
【0032】
製造の過程では、1次ブランク24を熱溶着することにより、周縁が熱溶着部分8で囲まれた2次ブランク25を形成したのち、2次ブランク25の上面および下面のそれぞれに加熱した一群の針体11を突き刺して、被覆シート2・2に一群の通気穴7を形成する。得られた個々の2次ブランク25をウェブ幅方向に切断し、あるいは型抜きして、図5に示すように放熱パッドを完成する。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0033】
(試験1) 上記のように構成した放熱パッドの蒸散作用が、パッド構造の違いによってどのように変化するかを確認するために、パッド構造が異なる保液体に含浸させた水の蒸発量を測定した。試料1は被覆シート2で被覆されていない保液体1からなる。試料2は、保液体1の上下両面が、通気穴7を備えた被覆シート2で被覆されている放熱パッドからなる。試料3は、保液体1の上面のみが通気穴7を備えた被覆シート2で被覆され、保液体1の下面は通気穴7を備えていない被覆シートで被覆してある放熱パッドからなる。蒸発量の測定は、周囲温度が40℃、相対湿度が75%に調整された環境下で、重量計に試料1〜3を個別に載置して、所定の時間(60分)が経過するごとに各試料の重量を精密に測定して水の蒸発量とした。測定前の各試料には、保液体1の重量の700%の水を含浸させた。
【0034】
測定結果を図7に示す。各試料とも測定開始から60分までの水の蒸発量に大きな違いはないが、60分を越えた後は、試料1の蒸発量と蒸発量の増加の度合とが、試料2、3の蒸発量と蒸発量の増加の度合より幾分大きくなっているのが判る。しかし、各測定時における水の蒸発量に大差はなく、概ね近似する直線に沿って蒸発量が変化している。また、試料2と試料3を比較すると、試料2の蒸発量が試料3の蒸発量より多いが、これは、被覆シート2の上下両面に通気穴7を開口したことによる、外気と吸液性マット4との接触機会の違いに起因するものであると思われる。
【0035】
(試験2) 市販されている放熱シートと、本発明に係る放熱パッドとの蒸散作用を比較するために、各試料の水の蒸発量を測定した。試料1は、不織布の片面にゲル状の冷却用組成物を塗布した他社製品であり、試料2は、不織布の片面に試料1の冷却用組成物とは異なるゲル状の冷却用組成物を塗布した他社製品である。試料3は、試験1で説明した試料2と同じ放熱パッドであり、上下の被覆シート2・2のそれぞれに通気穴7が開口してある。蒸発量の測定は、試験条件を異ならせて2回行なった。
【0036】
(試験2−1)では、周囲温度が24℃、相対湿度が75%に調整された環境下で、重量計に試料1〜3を載置して、所定の時間(30分)が経過するごとに各試料の重量を精密に測定して水の蒸発量とした。測定前の試料1・2には、冷却用組成物が含浸できる限界水量を含浸させた。また、試料3には、保液体1の重量の700%の水を含浸させた。測定結果を図8に示す。
【0037】
(試験2−2)では、周囲温度が40℃、相対湿度が75%に調整された環境下で、重量計に試料1〜3を載置して、所定の時間(30分)が経過するごとに各試料の重量を精密に測定して水の蒸発量とした。測定前の試料1・2には、冷却用組成物が含浸できる限界水量を含浸させた。また、試料3には、保液体1の重量の700%の水を含浸させた。測定結果を図9に示す。
【0038】
試験2−1と試験2−2のいずれの場合にも、本発明に係る放熱パッドの蒸発量と蒸発量の増加の度合とが、試料1・2の市販品の放熱シートの蒸発量と蒸発量の増加の度合より大きいことを確認できた。とくに、図9に示すように、測定開始から400分経過した時点以降は、本発明に係る放熱パッドの蒸発量は増加しておらず、保液体1に含浸させた水の殆どが、測定開始から400分経過するまでに蒸発し終わったことが判る。換言すると、綿マットで形成した吸液性マット4を備えた本実施例の放熱パッドは、ゲル状の冷却用組成物を供えた市販の放熱シートに比べて、単位時間当たりの蒸発量が多く、吸液性マット4に含浸した水をより短い時間で効果的に蒸散できることを確認した。
【0039】
(試験3) 本発明に係る放熱パッドに含浸させる水の量の違いに伴なう蒸発量を確認するために、試験2と同様にして市販されている放熱シートと、本発明に係る放熱パッドとの蒸散作用を比較して、各試料の水の蒸発量を測定した。試料1〜試料3は、試験2における試料1〜試料3と同じである。試料4は、試験2における試料3と同じであるが、後述するように水の含浸量が試料3とは異なる。蒸発量の測定は、試験条件を異ならせて2回行なった。
【0040】
(試験3−1)では、周囲温度が24℃、相対湿度が75%に調整された環境下で、重量計に試料1〜4を載置して、所定の時間(30分)が経過するごとに各試料の重量を精密に測定して水の蒸発量とした。測定前の試料1・2には、冷却用組成物が含浸できる限界水量を含浸させた。また、試料3には保液体1の重量の700%の水を含浸させ、試料4には、保液体1の重量の600%の水を含浸させた。測定結果を図10に示す。
【0041】
(試験3−2)では、周囲温度が40℃、相対湿度が75%に調整された環境下で、重量計に試料1〜4を載置して、所定の時間(30分)が経過するごとに各試料の重量を精密に測定して水の蒸発量とした。測定前の試料1・2には、冷却用組成物が含浸できる限界水量を含浸させた。また、試料3には保液体1の重量の700%の水を含浸させ、試料4には保液体1の重量の600%の水を含浸させた。測定結果を図11に示す。
【0042】
試験2と同様に、試験3−1と試験3−2のいずれの場合にも、本実施例に係る放熱パッドの蒸発量と蒸発量の増加の度合とが、試料1・2の市販品の放熱シートの蒸発量と蒸発量の増加の度合より大きいことを確認できた。また、室温を24℃、相対湿度を75%に調整した試験3−1では、試料3に比べて含水量が少ない試料4の放熱パッドは、試料3の放熱パッドに比べて蒸発量と蒸発量の増加の度合とが小さいことを確認した。さらに、室温を40℃、相対湿度を75%に調整した場合には、試料3と試料4の放熱パッドの蒸発量と蒸発量の増加の度合とが殆ど同じであることを確認した。
【0043】
図12は、本発明に係る放熱パッドの別の実施例を示す。そこでは、吸液性マット4に高吸水性高分子の細粒からなる吸液体28を混入して、吸液体28を混入していない放熱パッドに比べて吸液量を向上できるようにした。吸液体28は、吸液性マット4を製造する過程で混入されて、吸液性マット4を構成する繊維で移動不能に担持してある。因みに、先の放熱パッドの吸液量を100%とするとき、吸液体28が混入してある放熱パッドの吸液量は2000%に増強することができ、したがって、放熱パッドによる肌面の熱の放散をより長い時間にわたって行なうことができる。
【0044】
上記の実施例では、放熱パッドで肌面の熱を放散したが、薬品や香料などを吸液性マット4に含浸させて肌面に貼り付けることにより、放熱以外の用途に応用することができる。例えば、ウイキョウ油、ユーカリ油、テレピン油、ナツメグ油、メントールなどを吸液性マット4に含浸させて、被覆シート2を胸や喉などの肌面に貼り付け、体温によって先の各薬種を発散させて鼻や口から吸引することにより、くしゃみ、鼻詰まり、鼻水などの風邪の諸症状を緩和し抑止する医療補助用のパッドとして使用することができる。
【0045】
また、吸液性マット4に香料と水を含浸させ、予め冷却したパッドを肌面に貼り付けることにより、肌面のほてりを押さえ、水とともに蒸散する香料のリラックス効果によって、寝苦しさを抑止する安眠促進用のパッドとして使用することができる。同様に、ローズマリー、レモングラス、ペパーミント、スイートオレンジなどの香料と水または溶媒を含浸させ、パッドを額や首回りに貼り付けることにより、体温で香料を発散させて、眠気を覚ますためのパッドとして使用することができる。
【0046】
さらに、表皮や真皮の細胞を活性化する薬剤や、皮膚の落屑を促進する薬剤などを水または溶媒に溶融した溶液を吸液性マット4に含浸させたパッドを、目の周辺の肌面に貼り付けることにより、肌面の状態等を改善する化粧パッドとして使用することができる。
【0047】
上記以外に、被覆シート2は蒸着フィルムで形成することが好ましいが、必要があれば、金属蒸着層6を備えていないプラスチックフィルム5で形成することができる。蒸着フィルムで被覆シート2を形成する場合には、ベースフィルム5の内外両面に金属蒸着層6が形成してあってもよい。上下の被覆シート2のうち、いずれか一方の被覆シート2に限って、通気穴7の一群が形成してあってもよい。通気穴7は、先端が尖ったナイフの一群を被覆シート2に突き刺して、切り込み状に形成することができる。放熱パッドの全体厚みが小さい場合には、吸液性芯材3を省略して保液体1とすることができる。
【0048】
上下の被覆シート2は、吸液性マット4に対して接着して一体化することができる。また、周縁部以外の部分を格子模様状や、波模様状、あるいは水玉模様状などに溶着して、吸液性マット4を相対移動不能に一体化することができる。この場合には、吸液性マット4に熱溶着可能な合成繊維を混入しておくことにより、被覆シート2と吸液性マット4とを熱溶着でき、得られた放熱パッドはキルト生地状となり、先の溶着模様で区分された小さな区画に吸液性マット4が封入されることになる。
【符号の説明】
【0049】
1 保液体
2 被覆シート
3 吸液性芯材
4 吸液性マット
5 ベースフィルム
6 金属蒸着層
7 通気穴
8 熱溶着部分
11 針体
12 溶融塊
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔や首回りなどに付着させて肌面の熱を放散するための放熱パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
肌面などを冷却するための冷却シートとして、例えば不織布の片面に、ポリアクリル酸を基材とする冷却用組成物を500〜5000μmの厚みで展延塗布したものが公知である(特許文献1)。そこでは、冷却用組成物に水を含浸させておき、冷却用組成物の表面を額、目元、首回りなどの肌面に貼り付けて、水の蒸散作用で肌面の熱を放散する。冷却シートを予め冷蔵庫などで冷却しておき、冷却用組成物の冷熱によって肌面を冷却することもできる。
【0003】
特許文献2においては、水不透過性フィルムと、合成パルプを含有する繊維シートと、ポリオレフィン製不織布を構成材にして、これらの構成材を記載順に積層して吸熱シートを構成している。使用時には、不織布の表面から水を供給して繊維シートに含浸させ、水不透過性フィルムを肌面に密着して、繊維シートに含まれる水が不織布を介して気化するときの蒸散作用によって肌面の熱を放散する。この吸熱シートは、繊維シートに水を補給することにより、繰り返し放熱作用を発揮できる。
【0004】
本発明の放熱パッドは、例えばアルミニウムが蒸着された外装フィルムで含水シートの外面を覆うが、このようにアルミニウム箔を併用する放熱シートは特許文献3に公知である。そこでは、アルミニウム箔の片面に例えば不織布を裏打ちし、これを波形に屈曲したのち、波形の山部分を断面コ字状に成形して、放熱シートを形成している。アルミニウム箔には、予め小孔またはスリットが形成してある。使用時には、アルミニウム箔を肌面に密着して、肌面に発生した汗を小孔を介して不織布に吸収させ、汗が気化するときの蒸散作用によって肌面を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−241747号公報(段落番号0046〜0060、図1)
【特許文献2】特開2008−206974号公報(段落番号0034)
【特許文献3】特開2005−119068号公報(段落番号0028、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の冷却シートは、不織布と、その片面に塗布したポリアクリル酸等を基材とする冷却用組成物とで構成するので、コストが高く付く。繰り返し使用することはできるが、冷却用組成物が強い粘着力を備えているため、塵埃などの異物が冷却用組成物に付着しやすく、衛生的な状態を維持するのが難しい。冷却用組成物によっては、肌面が荒れるおそれがある。
【0007】
その点、特許文献2の吸熱シートでは、水不透過性フィルムと、繊維シートと、ポリオレフィン製不織布とを記載順に積層して構成するので、特許文献1の冷却シートに比べて吸熱シートの全体コストを削減できる。また、吸熱シートの取り扱いに注意することにより、異物の付着を避けて衛生的な状態で吸熱シートを繰り返し使用することができる。しかし、水不透過性フィルムを肌面に密着させて、肌面が濡れるのを防ぐので、肌面の熱を水が含浸された繊維シートへ効果的に伝えることができない。また、繊維シートおよび表面の不織布は、それぞれ水とともに空気を含んでいるため、空気の層が熱の発散を妨げ、熱が繊維シートの内部にこもって放熱効果が持続しにくい。
【0008】
特許文献3の放熱シートは、汗が気化するときの蒸散作用によって肌面の熱を放散するので、冷涼感が得られにくく、むしろ放熱シートを肌面に装着することによって、使用者に違和感や暑苦しさを感じさせてしまうおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、全体コストが少なくて済み、しかも肌面の熱を効果的に放散でき、さらに衛生的な状態で繰り返し使用することができる放熱パッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る放熱パッドは、水等の液体を含浸する保液体1と、保液体1の上下面を覆う被覆シート2とで構成する。被覆シート2は、表面に通気穴7の一群が開口してあるプラスチックフィルム5で形成する。上下の被覆シート2と保液体1とは、少なくとも通気穴7の内面周縁において一体化する。片方の被覆シート2を肌面に付着した使用状態において、保液体1に含浸させた液体の一部が通気穴7から滲み出して肌面に付着することを特徴とする。被覆シート2と保液体1とは、接着あるいは熱溶着によって一体化することができる。
【0011】
被覆シート2は、ベースフィルム5の表面に金属蒸着層6を形成した蒸着フィルムで形成し、金属蒸着層6が外面に露出する状態で、上下の被覆シート2を保液体1と一体化する。金属蒸着層6は、少なくともベースフィルム5の片面に形成してあればよいが、ベースフィルム5の両面に形成してあってもよい。
【0012】
加熱した一群の針体11を被覆シート2に突き刺して通気穴7を形成する。このとき、通気穴7の内面周縁に形成されるベースフィルム5の溶融塊12を保液体1の構成材に結着させて、被覆シート2と吸液性マット4とを一体化する。
【0013】
保液体1は、熱溶着可能なシート状の吸液性芯材3と、吸液性芯材3の上下面を覆う吸液性マット4とで構成する。吸液性芯材3の周縁を、上下の被覆シート2の周縁の間に熱溶着して、保液体1を被覆シート2の間に封入する。吸液性マット4としては、吸液性繊維、吸液性を備えた柔軟な発泡樹脂、吸液性を備えた発泡ゴムを素材にして、これらの素材から選択される少なくともひとつの素材で形成することができる。吸液性繊維としては、綿、レーヨン、パルプなどがある。また、先の吸液性繊維に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどの合成繊維を混合して吸液性繊維とすることができる。また、吸液性を備えた発泡樹脂としては、発泡セルロース、発泡ポリウレタンなどを適用できる。吸液性マット4は、上記の各素材を単独で、あるいは複数の素材を混合した状態で構成することができる。
【0014】
高吸水性高分子体からなる吸液体28を吸液性マット4の内部に担持する。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、水等の液体を含浸する保液体1と、表面に通気穴7の一群が開口してある被覆シート2とで放熱パッドを構成するので、ポリアクリル酸等の冷却用組成物を保液体とする従来の冷却シートに比べて、放熱パッドの製造コストを低減できる。使用時には、保液体1に含浸させた液体の一部が通気穴7から滲み出して肌面に付着するので、放熱パッドを肌面に対して確りと付着させることができる。さらに、保液体1の外面を、通気穴7の一群が開口された被覆シート2で覆うので、保液体1に含浸した水などの蒸散を効果的に行なうことができ、冷却用組成物を保液体とする従来の冷却シートに比べて、肌面の熱をさらに効果的に放散できる。
【0016】
蒸着フィルムで被覆シート2を形成し、その金属蒸着層6を外面に露出させると、金属蒸着層6で周囲の熱を反射し遮断できるので、使用時における放熱パッドの温度が、周囲の外気温によって上昇するのを抑止できる。また、肌面と接触する金属蒸着層6は、肌面の熱を吸液性マット4へ効果的に伝導できるので、水不透過性フィルム、繊維シート、不織布を積層した従来の吸熱シートに比べて、肌面の熱の放散をさらに効果的に行なうことができる。
【0017】
加熱した一群の針体11を被覆シート2に突き刺して通気穴7を形成すると、通気穴7を形成するのと同時に、通気穴7の内面周縁に形成される溶融塊12を保液体1の構成材に結着させて、吸液性マット4を被覆シート2に相対移動不能に一体化できる。したがって、通気穴7の形成と、吸液性マット4と被覆シート2の固定を個別に行なう場合に比べて、放熱パッドの製造に要する手間と時間を削減して、放熱パッドをさらに低コストで提供できる。また、被覆シート2と吸液性マット4とが相対移動不能に一体化されるので、吸液性マット4が1個所にかたまって塊状になるのを防止でき、これにより放熱パッドを常に平坦なマット状に保形して、放熱パッドの使い勝手を向上できる。さらに、異物が保液体1に付着し、あるいは保液体1が肌面に直接接触するのを被覆シート2で防止でき、したがって放熱パッドを衛生的な状態で繰り返し使用できる。
【0018】
熱溶着可能なシート状の吸液性芯材3と、吸液性芯材3の上下面を覆う吸液性マット4とで保液体1を構成すると、吸液性芯材3の保形力によって、保液体1の外形を保持できる。さらに、吸液性芯材3の周縁を、上下の被覆シート2の周縁の間に熱溶着して保液体1を被覆シート2の間に封入することにより保形力を向上して、放熱パッドを常に平坦な状態に保持できる。したがって、吸液性芯材3および吸液性マット4に水などを含浸させた状態において、放熱パッドが中折れ状に折れ曲がるのを防いで、放熱パッドの取り扱いを容易化できる。また、吸液性芯材3が上下の被覆シート2の周縁の間に熱溶着されるので、上下の吸液性マット4を被覆シート2と吸液性芯材3との間に均等に封入して、放熱パッドの表面と裏面との蒸散機能を均等化できるので、使用時に表面と裏面を使い分ける煩わしさを解消できる。
【0019】
吸液性マット4の内部に高吸水性高分子体からなる吸液体28を担持させると、吸液体28が含浸する水または液体の分だけ、放熱パッドの内部に保持される水または液体の総量を増加できる。したがって、放熱パッドによる肌面の熱の放散をより長い時間にわたって行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る放熱パッドの平面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】放熱パッドの製造法の概略を示す説明図である。
【図4】通気穴の形成手法を示す断面図である。
【図5】本発明に係る放熱パッドの別の実施例を示す平面図である。
【図6】図5に係る放熱パッドの製造法の概略を示す説明図である。
【図7】試験1の結果を示す図表である。
【図8】試験2−1の結果を示す図表である。
【図9】試験2−2の結果を示す図表である。
【図10】試験3−1の結果を示す図表である。
【図11】試験3−2の結果を示す図表である。
【図12】本発明に係る放熱パッドの別の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例) 図1ないし図4は本発明に係る放熱パッドの実施例を示す。図2において放熱パッドは、水などの液体を含浸する保液体1と、保液体1の上下面を覆う被覆シート2・2とを主な構成材にして構成してあり、全体が横長四角形状に形成してある。
【0022】
保液体1は、熱溶着可能なシート状の吸液性芯材3と、吸液性芯材3の上下面を覆う吸液性マット4・4とで構成する。吸液性芯材3としては不織布、および織布のいずれであってもよいが、熱溶着が可能な合成繊維を素材とする不織布が材料コストが少なくて済む点で好ましい。吸液性芯材3は、放熱パッドのパッド形状を保持するために設けられており、適度の柔軟さを発揮しながら、水を含んだ放熱パッドが中折れ状に折れ曲がるのを規制できる厚みの不織布を使用する。この実施例では、秤量が15〜30g/m2 の不織布で吸液性芯材3を形成した。
【0023】
吸液性マット4は、吸液性繊維塊、吸液性を備えた柔軟な発泡樹脂、あるいは発泡ゴムを素材にして、これらの素材から選択される少なくともひとつの素材を含んで構成する。吸液性繊維塊としては、綿、セルロースなどの吸液性に優れた繊維と、熱溶着性、疎水性、保形性を備えた合成繊維、例えばポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維等を素材にして、繊維素材を交絡してマット状に形成する。この実施例では、綿繊維を絡ませてマット状にした綿マットで吸液性マット4を形成しており、綿マットの秤量は135g/m2 とし、その自由状態時の厚みは4mmとした。
【0024】
被覆シート2は、ベースフィルム(プラスチックフィルム)5の片面に金属蒸着層6を形成した蒸着フィルムで形成されており、被覆シート2の全面にわたって通気穴7の一群が格子模様状に開口してある。ベースフィルム5としては、熱溶着が可能なポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどを素材とするフィルムがあるが、柔軟性と保形性を備えたポリエステルフィルム、あるいはポリエステルフィルムにポリエチレンをコーティングし、あるいはポリエチレンフィルムをラミネートした2層構造のフィルムが好ましい。金属蒸着層6の蒸着材としては、アルミニウム、銀、銅などがあるが、材料コストが少なくて済む点でアルミニウムが好ましい。
【0025】
被覆シート2の全厚寸法は、0.008〜0.1mmの範囲にあればよく、この実施例では被覆シート2の全厚寸法を0.02mmとし、金属蒸着層6の厚みは0.05μmとした。被覆シート2の全厚寸法が0.008mm未満であると被覆シート2が破断しやすく、全厚寸法が0.1mmを越えると、後述する通気穴7の形成過程において、被覆シート2を吸液性マット4の繊維に結着するのが困難となり、さらに、しなりと柔らかさが低下し肌への密着性が悪くなる。被覆シート2は、その金属蒸着層6が外面に位置する状態で保液体1の上下面を覆っている。
【0026】
図4に示すように通気穴7は、加熱した一群の針体11を被覆シート2・2に突き刺して格子模様状に形成する。このとき、針体11の熱によってベースフィルム5が溶融して、通気穴7の内縁側へ流下し、通気穴7の内面周縁に溶融塊12が形成される(図2参照)。溶融塊12の一部は、ベースフィルム5の内面に接触する吸液性マット4の繊維に染み込んで固化する。これにより、ベースフィルム5と吸液性マット4の繊維とを結着して、被覆シート2・2と吸液性マット4・4とを相対移動不能に一体化することができる。個々の通気穴7の直径寸法は1mmであり、通気穴7の縦横の隣接ピッチは1.5mmとした。このように、通気穴7の一群を被覆シート2の表面に高密度で形成しておくと、使用状態において、保液体1に含浸させた液体の一部を通気穴7から滲み出させて肌面に付着させることができ、したがって放熱パッドを肌面に対して確りと付着させることができる。また、外気と吸液性マット4との接触機会や、肌面の熱気と吸液性マット4との接触機会を、一群の通気穴7を介して向上できる利点もある。
【0027】
次ぎに、放熱パッドの製造法の一例を図3に基づき説明する。図3において、符号14は吸液性芯材3の原反ロール、符号15・16はそれぞれ吸液性マット4の原反ロール、符号17・18は被覆シート2の原反ロールである。各原反ロール14〜18からウェブ材を繰り出し供給しながら、積層されたウェブ材を上下一対の押えローラー19・20・21・22で重合し密着させることにより、上下の被覆シート2の間に上下の吸液性マット4・4と吸液性芯材3が積層された1次ブランク24を形成できる。次ぎに、1次ブランク25の上面および下面のそれぞれに加熱した一群の針体11を突き刺して、被覆シート2・2に一群の通気穴7を形成する。得られた個々の2次ブランク25をウェブ幅方向に切断し、あるいは型抜きして放熱パッドを完成する。得られた放熱パッドは、個包装した複数個をひとまとめにして包装し、あるいは、個包装しないままで複数個の放熱パッドをひとまとめに包装した状態で販売に供される。
【0028】
放熱パッドを使用するときは、まずパッド全体を水に浸漬して保液体1に水を含浸させ、水が垂れ落ちない程度に軽く絞っておく。放熱パッドは、額、顔、首回り、胸部、上腕、脚など、人体の肌面の任意の位置に載置して、肌面の熱の放散を行なう。例えば、放熱パッドを額に載置した状態では、肌面の熱が付着側の金属蒸着層6とベースフィルム5を介して吸液性マット4へ効果的に伝えられ、肌面から伝導された熱が吸液性マット4に取り込まれる。また、肌面に接触していない蒸散側の被覆シート2では、外気が通気穴7を介して吸液性マット4および吸液性マット4に含浸された水と接触して、蒸散作用を発揮する。蒸散作用による熱の放散によって吸液性マット4は徐々に冷やされ、保液体1の全体の温度を下げて、放熱パッドが載置された肌面の熱を放散することができる。蒸散側の被覆シート2は、周囲の熱を反射して遮断することにも役立っており、これにより周囲の外気温による放熱パッドの温度上昇を抑止することができる。
【0029】
標準的な使用時間が経過したら水の蒸散作用が低下するので、放熱パッドを肌面から取り外し、被覆シート2の表面を流水で洗浄しながら、再び保液体1に水を含浸させたのち、軽く絞ることにより再使用できる。なお、水は常温のままでもよいが、冷水を保液体1に含浸させると、冷水の冷熱によっても肌面を冷却できる。また、水以外の液体、例えばアルコール水溶液を保液体1に含浸させて、含浸した液体の蒸散を促進することができる。あるいは、メントールが添加された水またはアルコール水溶液を保液体1に含浸させて、肌面に対して冷涼感を付与することができる。必要があれば、吸液性マット4の一方に水を含浸させ、他方の吸液性マット4にアルコール水溶液を含浸させた状態で使用することができる。
【0030】
放熱パッドは、保液体1に水、メントール等の冷感剤が添加された水、あるいはアルコール水溶液などを予め含浸させた状態で包装用の袋にパックし、あるいは複数個の保液体1を包装用の袋にパックした状態で販売に供することができる。その場合には、保液体1に水、あるいは水溶液を含浸させる必要がないので、パックを開封するだけでどこでも放熱パッドを手軽に使用できる。
【0031】
図5および図6は放熱パッドの別の実施例を示す。そこでは、それぞれ横長四角形状に形成した吸液性芯材3の周縁と、ベースフィルム5の周縁とを熱溶着して、保液体1と被覆シート2・2とを一体化する点が、先の実施例と異なる。図5において、熱溶着部分を符号8で示している。このこのように、吸液性芯材3の周縁と、被覆シート2の周縁とを熱溶着することにより、上下の被覆シート2・2と吸液性芯材3との間のそれぞれに吸液性マット4を封入することができる。
【0032】
製造の過程では、1次ブランク24を熱溶着することにより、周縁が熱溶着部分8で囲まれた2次ブランク25を形成したのち、2次ブランク25の上面および下面のそれぞれに加熱した一群の針体11を突き刺して、被覆シート2・2に一群の通気穴7を形成する。得られた個々の2次ブランク25をウェブ幅方向に切断し、あるいは型抜きして、図5に示すように放熱パッドを完成する。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0033】
(試験1) 上記のように構成した放熱パッドの蒸散作用が、パッド構造の違いによってどのように変化するかを確認するために、パッド構造が異なる保液体に含浸させた水の蒸発量を測定した。試料1は被覆シート2で被覆されていない保液体1からなる。試料2は、保液体1の上下両面が、通気穴7を備えた被覆シート2で被覆されている放熱パッドからなる。試料3は、保液体1の上面のみが通気穴7を備えた被覆シート2で被覆され、保液体1の下面は通気穴7を備えていない被覆シートで被覆してある放熱パッドからなる。蒸発量の測定は、周囲温度が40℃、相対湿度が75%に調整された環境下で、重量計に試料1〜3を個別に載置して、所定の時間(60分)が経過するごとに各試料の重量を精密に測定して水の蒸発量とした。測定前の各試料には、保液体1の重量の700%の水を含浸させた。
【0034】
測定結果を図7に示す。各試料とも測定開始から60分までの水の蒸発量に大きな違いはないが、60分を越えた後は、試料1の蒸発量と蒸発量の増加の度合とが、試料2、3の蒸発量と蒸発量の増加の度合より幾分大きくなっているのが判る。しかし、各測定時における水の蒸発量に大差はなく、概ね近似する直線に沿って蒸発量が変化している。また、試料2と試料3を比較すると、試料2の蒸発量が試料3の蒸発量より多いが、これは、被覆シート2の上下両面に通気穴7を開口したことによる、外気と吸液性マット4との接触機会の違いに起因するものであると思われる。
【0035】
(試験2) 市販されている放熱シートと、本発明に係る放熱パッドとの蒸散作用を比較するために、各試料の水の蒸発量を測定した。試料1は、不織布の片面にゲル状の冷却用組成物を塗布した他社製品であり、試料2は、不織布の片面に試料1の冷却用組成物とは異なるゲル状の冷却用組成物を塗布した他社製品である。試料3は、試験1で説明した試料2と同じ放熱パッドであり、上下の被覆シート2・2のそれぞれに通気穴7が開口してある。蒸発量の測定は、試験条件を異ならせて2回行なった。
【0036】
(試験2−1)では、周囲温度が24℃、相対湿度が75%に調整された環境下で、重量計に試料1〜3を載置して、所定の時間(30分)が経過するごとに各試料の重量を精密に測定して水の蒸発量とした。測定前の試料1・2には、冷却用組成物が含浸できる限界水量を含浸させた。また、試料3には、保液体1の重量の700%の水を含浸させた。測定結果を図8に示す。
【0037】
(試験2−2)では、周囲温度が40℃、相対湿度が75%に調整された環境下で、重量計に試料1〜3を載置して、所定の時間(30分)が経過するごとに各試料の重量を精密に測定して水の蒸発量とした。測定前の試料1・2には、冷却用組成物が含浸できる限界水量を含浸させた。また、試料3には、保液体1の重量の700%の水を含浸させた。測定結果を図9に示す。
【0038】
試験2−1と試験2−2のいずれの場合にも、本発明に係る放熱パッドの蒸発量と蒸発量の増加の度合とが、試料1・2の市販品の放熱シートの蒸発量と蒸発量の増加の度合より大きいことを確認できた。とくに、図9に示すように、測定開始から400分経過した時点以降は、本発明に係る放熱パッドの蒸発量は増加しておらず、保液体1に含浸させた水の殆どが、測定開始から400分経過するまでに蒸発し終わったことが判る。換言すると、綿マットで形成した吸液性マット4を備えた本実施例の放熱パッドは、ゲル状の冷却用組成物を供えた市販の放熱シートに比べて、単位時間当たりの蒸発量が多く、吸液性マット4に含浸した水をより短い時間で効果的に蒸散できることを確認した。
【0039】
(試験3) 本発明に係る放熱パッドに含浸させる水の量の違いに伴なう蒸発量を確認するために、試験2と同様にして市販されている放熱シートと、本発明に係る放熱パッドとの蒸散作用を比較して、各試料の水の蒸発量を測定した。試料1〜試料3は、試験2における試料1〜試料3と同じである。試料4は、試験2における試料3と同じであるが、後述するように水の含浸量が試料3とは異なる。蒸発量の測定は、試験条件を異ならせて2回行なった。
【0040】
(試験3−1)では、周囲温度が24℃、相対湿度が75%に調整された環境下で、重量計に試料1〜4を載置して、所定の時間(30分)が経過するごとに各試料の重量を精密に測定して水の蒸発量とした。測定前の試料1・2には、冷却用組成物が含浸できる限界水量を含浸させた。また、試料3には保液体1の重量の700%の水を含浸させ、試料4には、保液体1の重量の600%の水を含浸させた。測定結果を図10に示す。
【0041】
(試験3−2)では、周囲温度が40℃、相対湿度が75%に調整された環境下で、重量計に試料1〜4を載置して、所定の時間(30分)が経過するごとに各試料の重量を精密に測定して水の蒸発量とした。測定前の試料1・2には、冷却用組成物が含浸できる限界水量を含浸させた。また、試料3には保液体1の重量の700%の水を含浸させ、試料4には保液体1の重量の600%の水を含浸させた。測定結果を図11に示す。
【0042】
試験2と同様に、試験3−1と試験3−2のいずれの場合にも、本実施例に係る放熱パッドの蒸発量と蒸発量の増加の度合とが、試料1・2の市販品の放熱シートの蒸発量と蒸発量の増加の度合より大きいことを確認できた。また、室温を24℃、相対湿度を75%に調整した試験3−1では、試料3に比べて含水量が少ない試料4の放熱パッドは、試料3の放熱パッドに比べて蒸発量と蒸発量の増加の度合とが小さいことを確認した。さらに、室温を40℃、相対湿度を75%に調整した場合には、試料3と試料4の放熱パッドの蒸発量と蒸発量の増加の度合とが殆ど同じであることを確認した。
【0043】
図12は、本発明に係る放熱パッドの別の実施例を示す。そこでは、吸液性マット4に高吸水性高分子の細粒からなる吸液体28を混入して、吸液体28を混入していない放熱パッドに比べて吸液量を向上できるようにした。吸液体28は、吸液性マット4を製造する過程で混入されて、吸液性マット4を構成する繊維で移動不能に担持してある。因みに、先の放熱パッドの吸液量を100%とするとき、吸液体28が混入してある放熱パッドの吸液量は2000%に増強することができ、したがって、放熱パッドによる肌面の熱の放散をより長い時間にわたって行なうことができる。
【0044】
上記の実施例では、放熱パッドで肌面の熱を放散したが、薬品や香料などを吸液性マット4に含浸させて肌面に貼り付けることにより、放熱以外の用途に応用することができる。例えば、ウイキョウ油、ユーカリ油、テレピン油、ナツメグ油、メントールなどを吸液性マット4に含浸させて、被覆シート2を胸や喉などの肌面に貼り付け、体温によって先の各薬種を発散させて鼻や口から吸引することにより、くしゃみ、鼻詰まり、鼻水などの風邪の諸症状を緩和し抑止する医療補助用のパッドとして使用することができる。
【0045】
また、吸液性マット4に香料と水を含浸させ、予め冷却したパッドを肌面に貼り付けることにより、肌面のほてりを押さえ、水とともに蒸散する香料のリラックス効果によって、寝苦しさを抑止する安眠促進用のパッドとして使用することができる。同様に、ローズマリー、レモングラス、ペパーミント、スイートオレンジなどの香料と水または溶媒を含浸させ、パッドを額や首回りに貼り付けることにより、体温で香料を発散させて、眠気を覚ますためのパッドとして使用することができる。
【0046】
さらに、表皮や真皮の細胞を活性化する薬剤や、皮膚の落屑を促進する薬剤などを水または溶媒に溶融した溶液を吸液性マット4に含浸させたパッドを、目の周辺の肌面に貼り付けることにより、肌面の状態等を改善する化粧パッドとして使用することができる。
【0047】
上記以外に、被覆シート2は蒸着フィルムで形成することが好ましいが、必要があれば、金属蒸着層6を備えていないプラスチックフィルム5で形成することができる。蒸着フィルムで被覆シート2を形成する場合には、ベースフィルム5の内外両面に金属蒸着層6が形成してあってもよい。上下の被覆シート2のうち、いずれか一方の被覆シート2に限って、通気穴7の一群が形成してあってもよい。通気穴7は、先端が尖ったナイフの一群を被覆シート2に突き刺して、切り込み状に形成することができる。放熱パッドの全体厚みが小さい場合には、吸液性芯材3を省略して保液体1とすることができる。
【0048】
上下の被覆シート2は、吸液性マット4に対して接着して一体化することができる。また、周縁部以外の部分を格子模様状や、波模様状、あるいは水玉模様状などに溶着して、吸液性マット4を相対移動不能に一体化することができる。この場合には、吸液性マット4に熱溶着可能な合成繊維を混入しておくことにより、被覆シート2と吸液性マット4とを熱溶着でき、得られた放熱パッドはキルト生地状となり、先の溶着模様で区分された小さな区画に吸液性マット4が封入されることになる。
【符号の説明】
【0049】
1 保液体
2 被覆シート
3 吸液性芯材
4 吸液性マット
5 ベースフィルム
6 金属蒸着層
7 通気穴
8 熱溶着部分
11 針体
12 溶融塊
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水等の液体を含浸する保液体(1)と、保液体(1)の上下面を覆う被覆シート(2)とで構成されており、
被覆シート(2)が、表面に通気穴(7)の一群が開口してあるプラスチックフィルム(5)で形成されており、
上下の被覆シート(2)と保液体(1)とが、少なくとも通気穴(7)の内面周縁において一体化されており、
片方の被覆シート(2)を肌面に付着した使用状態において、保液体(1)に含浸させた液体の一部が通気穴(7)から滲み出して肌面に付着することを特徴とする放熱パッド。
【請求項2】
被覆シート(2)が、ベースフィルム(5)の表面に金属蒸着層(6)を形成した蒸着フィルムで形成されており、
金属蒸着層(6)が外面に露出する状態で、上下の被覆シート(2)が保液体(1)と一体化してある請求項1に記載の放熱パッド。
【請求項3】
加熱した一群の針体(11)を被覆シート(2)に突き刺して通気穴(7)が形成されており、
通気穴(7)の内面周縁に形成されるベースフィルム(5)の溶融塊(12)を、保液体(1)の構成材に結着させて、被覆シート(2)と吸液性マット(4)とが一体化してある請求項2に記載の放熱パッド。
【請求項4】
保液体(1)が、熱溶着可能なシート状の吸液性芯材(3)と、吸液性芯材(3)の上下面を覆う吸液性マット(4)とで構成されており、
吸液性芯材(3)の周縁を、上下の被覆シート(2)の周縁の間に熱溶着して、保液体(1)が被覆シート(2)の間に封入してある請求項2または3に記載の放熱パッド。
【請求項5】
高吸水性高分子体からなる吸液体(28)が吸液性マット(4)の内部に担持してある請求項2から4のいずれかひとつに記載の放熱パッド。
【請求項1】
水等の液体を含浸する保液体(1)と、保液体(1)の上下面を覆う被覆シート(2)とで構成されており、
被覆シート(2)が、表面に通気穴(7)の一群が開口してあるプラスチックフィルム(5)で形成されており、
上下の被覆シート(2)と保液体(1)とが、少なくとも通気穴(7)の内面周縁において一体化されており、
片方の被覆シート(2)を肌面に付着した使用状態において、保液体(1)に含浸させた液体の一部が通気穴(7)から滲み出して肌面に付着することを特徴とする放熱パッド。
【請求項2】
被覆シート(2)が、ベースフィルム(5)の表面に金属蒸着層(6)を形成した蒸着フィルムで形成されており、
金属蒸着層(6)が外面に露出する状態で、上下の被覆シート(2)が保液体(1)と一体化してある請求項1に記載の放熱パッド。
【請求項3】
加熱した一群の針体(11)を被覆シート(2)に突き刺して通気穴(7)が形成されており、
通気穴(7)の内面周縁に形成されるベースフィルム(5)の溶融塊(12)を、保液体(1)の構成材に結着させて、被覆シート(2)と吸液性マット(4)とが一体化してある請求項2に記載の放熱パッド。
【請求項4】
保液体(1)が、熱溶着可能なシート状の吸液性芯材(3)と、吸液性芯材(3)の上下面を覆う吸液性マット(4)とで構成されており、
吸液性芯材(3)の周縁を、上下の被覆シート(2)の周縁の間に熱溶着して、保液体(1)が被覆シート(2)の間に封入してある請求項2または3に記載の放熱パッド。
【請求項5】
高吸水性高分子体からなる吸液体(28)が吸液性マット(4)の内部に担持してある請求項2から4のいずれかひとつに記載の放熱パッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−40226(P2012−40226A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184897(P2010−184897)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(504373864)明広商事株式会社 (43)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(504373864)明広商事株式会社 (43)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]