放熱基板の製造方法
【課題】放熱特性を維持しながらも、金属層及び素子に静電気や電圧ショックなどが伝達されることを防止する放熱基板の製造方法を提供する。
【解決手段】放熱基板100の製造方法は、(A)金属層111の一面に絶縁層112を形成し、前記絶縁層112に回路層113を形成することで、ベース基板110を準備する段階、(B)前記ベース基板110に厚さ方向に加工部140を形成する段階、(C)前記金属層111の他面及び側面の少なくとも一方に陽極酸化層150を形成する段階及び(D)前記加工部140に連結手段130を挿入し、前記金属層111の前記他面に放熱層120を連結する段階を含む。
【解決手段】放熱基板100の製造方法は、(A)金属層111の一面に絶縁層112を形成し、前記絶縁層112に回路層113を形成することで、ベース基板110を準備する段階、(B)前記ベース基板110に厚さ方向に加工部140を形成する段階、(C)前記金属層111の他面及び側面の少なくとも一方に陽極酸化層150を形成する段階及び(D)前記加工部140に連結手段130を挿入し、前記金属層111の前記他面に放熱層120を連結する段階を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多様な分野に応用されるパワー素子及びパワーモジュールの放熱問題を解決するために、熱伝導特性の良い金属材料を利用してさまざまな形態の放熱基板を製作しようと努力している。さらに、LEDモジュール、パワーモジュールはもちろんのこと、その外の製品分野にも多層微細パターンが形成された放熱基板が要求されている。
【0003】
しかし、従来の有機PCB、セラミック基板、ガラス基板または金属コア層を含む放熱基板の場合、シリコンウェハーに比べて微細パターンの形成が相対的に難しくてコストが高くかかるので、その応用分野が制限された。よって、最近では、陽極酸化を利用して発熱素子の熱放出を極大化するための放熱基板に対する研究が進んでいる。
【0004】
従来の放熱基板の製造方法を例として検討すれば、次の通りである。
【0005】
まず、金属層の一面に陽極酸化工程によって絶縁層を形成する。
【0006】
ついで、絶縁銅箔を形成し、これをパターニングして回路層を形成する。または、メッキ工程によってパターニングされた回路層を形成する。
【0007】
ついで、絶縁層が形成されなかった金属層の他面にヒートシンクを連結し、絶縁層に回路層と電気的に連結される発熱素子を実装する。
【0008】
従来の放熱基板の場合、金属の熱伝逹効果が高いため、発熱素子から発生した熱が金属層及びヒートシンクを介して外部に放出された。よって、放熱基板上に形成された発熱素子は、大きな熱を受けなく、これにより、発熱素子の性能が落ちる問題を解決することができた。
【0009】
しかし、従来のような放熱基板の場合、金属層及びヒートシンクをいずれも電気伝導性の金属で構成するため、予期しない電気的接続が金属層とヒートシンクとの間で形成されることがある。よって、ヒートシンク、またはヒートシンク及び金属層の接触界面で静電気または電圧ショック(voltage shock)などが発生すれば、金属層にそのまま伝達されるので、放熱基板の回路層または発熱素子に影響を及ぼして性能が低下する問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、放熱特性を維持しながらも、金属層及び素子に静電気や電圧ショックなどが伝達されることを防止する放熱基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一面によれば、(A)金属層の一面に絶縁層を形成し、前記絶縁層に回路層を形成してベース基板を準備する段階、(B)前記ベース基板に厚さ方向に加工部を形成する段階、(C)前記金属層の他面及び側面の少なくとも一方に陽極酸化層を形成する段階、及び(D)前記加工部に連結手段を挿入し、前記金属層の前記他面に放熱層を連結する段階を含む放熱基板の製造方法が提供される。
【0012】
前記(C)段階で、前記加工部の内側面まで前記陽極酸化層を形成することが好ましい。
【0013】
前記(A)段階で、前記絶縁層は、前記金属層を陽極酸化して形成されるか、あるいはエポキシにセラミックフィラーを混合して形成することが好ましい。
【0014】
前記(A)段階は、(A1)アルミニウムを含む金属層を提供する段階、(A2)前記金属層を陽極酸化し、前記金属層にアルミナを含む絶縁層を形成する段階、及び(A3)前記絶縁層に回路層を形成してベース基板を準備する段階を含むことが好ましい。
【0015】
前記金属層は、アルミニウムを含み、前記陽極酸化層は、前記金属層を陽極酸化して形成されたアルミナを含むことが好ましい。
【0016】
前記(D)段階の前または後に、前記ベース基板に素子を実装する段階をさらに含むことが好ましい。
【0017】
前記素子は、LEDパッケージであってもよい。
【0018】
本発明の他の面によれば、(A)金属層、前記金属層の一面に形成された絶縁層、及び前記絶縁層に形成された回路層を含むベース基板が多数含まれる基板ストリップを準備する段階、(B)それぞれの前記ベース基板に厚さ方向に加工部を形成する段階、(C)それぞれの前記ベース基板が前記基板ストリップと連結されるブリッジを除き、前記基板ストリップから離隔するように前記基板ストリップを前記ベース基板単位で切断する段階、(D)前記金属層の他面及び側面の少なくとも一方に陽極酸化層を形成する段階、(E)前記ブリッジを除去してそれぞれの前記ベース基板を分離する段階、及び(F)前記加工部に連結手段を挿入し、前記金属層の前記他面に放熱層を連結する段階を含む放熱基板の製造方法が提供される。
【0019】
前記(D)段階で、前記加工部の内側面まで前記陽極酸化層を形成することが好ましい。
【0020】
前記(A)段階で、前記絶縁層は、前記金属層を陽極酸化して形成されるか、あるいはエポキシにセラミックフィラーを混合して形成されることが好ましい。
【0021】
前記(F)段階の前または後に、前記ベース基板に素子を実装する段階をさらに含むことが好ましい。
【0022】
前記素子は、LEDパッケージであってもよい。
【0023】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以降の詳細な説明から、より明らかになるであろう。
【0024】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者がその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって、本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0025】
本発明による放熱基板の製造方法は、金属層と放熱層の接触界面、つまり金属層の他面、及び/または側面に熱伝導率の高い陽極酸化層を形成し、放熱特性を維持しながらも、金属層及び素子に静電気や電圧ショックなどが伝達されることを防止する利点がある。
【0026】
また、本発明によれば、金属層と放熱層を連結する連結手段が挿入される加工部が形成される場合、加工部に陽極酸化層を形成することで、金属層と放熱層が電気的に連結されることを防止する利点がある。
【0027】
そして、本発明によれば、金属層としてアルミニウムを使用し、絶縁層として金属層を陽極酸化したアルミナを使用することで、素子から発生した熱をより速かに外部に放出させることができるので、金属層を薄く形成することができる利点がある。
【0028】
更に、本発明によれば、ベース基板が多数含まれた基板ストリップ単位で放熱基板を製造することにより、製造コスト及び製造時間を節減する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明で得られる放熱基板の断面図である。
【図2】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(1)である。
【図3】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(2)である。
【図4】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(3)である。
【図5】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(4)である。
【図6】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(5)である。
【図7A】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する正面図(1)である。
【図7B】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(1)である。
【図8A】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する正面図(2)である。
【図8B】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(2)である。
【図9A】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する正面図(3)である。
【図9B】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(3)である。
【図10A】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する正面図(4)である。
【図10B】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(4)である。
【図11A】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する正面図(5)である。
【図11B】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(5)である。
【図12】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(6)である。
【図13】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(7)である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の目的、特定の利点及び新規の特徴は、添付図面を参照する以下の詳細な説明及び好適な実施例から一層明らかに理解可能であろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるにあたり、同じ構成要素がたとえ他の図面に図示されていても、できるだけ同じ符号を付けることにする。また、本発明の説明において、関連の公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不要にあいまいにすることができると判断されればその詳細な説明は省略する。
【0031】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0032】
(放熱基板の構造)
図1は、本発明で得られる放熱基板の断面図である。以下、これを参照して、放熱基板100について説明する。
【0033】
図1に示すように、放熱基板100は、金属層111、該金属層111上に形成された絶縁層112、及び回路層113を含むベース基板110、ベース基板110に形成される加工部140、放熱層120、及び加工部140に挿入されてベース基板110と放熱層120を連結する連結手段130を含み、ベース基板110をなす金属層111の他面111b、側面111c、及び/または加工部140に陽極酸化層150が形成されたことを特徴とするものである。
【0034】
金属層111は、ベース基板110の基礎をなすもので、素子160から発生する熱を放熱層120に伝達して空気中に放出する部材である。
【0035】
ここで、金属層111は、金属なので、放熱効果に優れることができる。また、金属層111は、金属なので、一般的な樹脂で構成されたコア層に比べて強度が大きく、これによって反り(warpage)に対する抵抗が高いことができる。一方、金属層111は、放熱効果を極大化するために、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、またはこれらの合金などのように、熱伝導率に優れた金属を利用することができる。
【0036】
絶縁層112は、金属層111の一面111aに形成される部材で、回路層113が金属層111と短絡しないように絶縁させる役目をする。
【0037】
ここで、絶縁層112は、例えば、プリプレグ(PPG;prepreg)、ABF(Ajinomoto Buildup Film)などのような通常的に層間絶縁素材として使用される複合高分子樹脂であることができる。また、絶縁層112の放熱効果を高めるために、FR−4、BT(Bismaleimide Triazine)などのエポキシ系樹脂にセラミックフィラーを混合して使用することができる。更に、絶縁層112の放熱効果を極大化するために、金属層111を陽極酸化して絶縁層112を形成することができる。この際、金属層111がアルミニウム(Al)を含む金属の場合、絶縁層112は、これを陽極酸化したアルミナ(Al2O3)を含むことができる。絶縁層112が陽極酸化によって形成される場合、特にアルミニウムを陽極酸化して形成される場合、放熱効果が高くなるので、金属層111を相対的に厚く形成する必要がなく、これにより、放熱基板100の厚さを減少させることができる。
【0038】
回路層113は、素子160と放熱基板100を電気的に連結する部材で、絶縁層112に形成される。
【0039】
ここで、回路層113は、絶縁層112上に直接形成され、素子160から発生する熱を絶縁層112及び金属層111に直接伝達することができる。また、回路層113は、放熱効果を極大化するために、ワイヤ状でないパッド状に広く形成可能である。更に、回路層113は、放熱基板100と素子160を電気的に連結するもので、パターニングされた状態のものであり、例えば、金、銀、銅、ニッケルなどの電気伝導性金属で構成できる。
【0040】
一方、回路層113には、シード層(図示せず)がさらに含まれることができる。
【0041】
放熱層120は、ベース基板110の他面111bに形成される部材で、素子160から発生した熱を金属層111から受けて外部に放出する。
【0042】
ここで、放熱層120は、金属層111から熱を受けて外部に放出するもので、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などのような熱伝導性に優れた金属で構成できる。また、放熱層120が金属層111と接触する面の反対面には、熱を効率的に放出するために、多数の突出部が形成されたものに具現できる。放熱層120が前記の形状に具現される場合、放熱層120の表面積が広くなって空気と接触する面積が広くなり、これにより、同一時間に外部に放出される熱の量が増加することができる。
【0043】
連結手段130は、ベース基板110と放熱層120を連結するための部材で、ベース基板110に形成された加工部140を通して挿入される。
【0044】
ここで、連結手段130は、ベース基板110と放熱層120を連結することができる部材で、例えば、器具固定用金属スクリューなどを利用することができる。また、連結手段130は、ベース基板110の加工部140を貫通し、放熱層120の孔部121に挿入されることにより、ベース基板110と放熱層120を堅固に固定することができる。
【0045】
一方、加工部140は、連結手段130が挿入される空間で、ベース基板110に厚さ方向に形成される。連結手段130が金属スクリュー形態の場合、加工部140は、雌ネジ部が内側面に形成されたホール形状のものであることができる。
【0046】
陽極酸化層150は、金属層111を陽極酸化してなる部分で、金属層111の他面111b、及び/または側面111cに形成できる。
【0047】
具体的に説明すれば、陽極酸化層150が金属層111の他面111b、つまり金属層111と放熱層120の接触界面に形成される場合、金属層111と放熱層120が電気的に連結されることを防止することができる。よって、放熱層120から発生する静電気が金属層111及び/またはベース基板110に伝達されることを防止することができるし、電圧ショックなどが金属層111に影響を及ぼして素子160の性能が低下する現象を減少させることができる。また、陽極酸化層150が金属層111の側面111cに形成される場合、静電気または電圧ショックなどによって発生する空気中の自由電子または放熱層120から飛び出す自由電子などから金属層111及び/または素子160を保護することができる。
【0048】
ここで、陽極酸化層150は、他の絶縁部材に比べて熱伝導率が良いので、陽極酸化層150が金属層111の他面に形成されても、金属層111と放熱層120の間には、熱交換がなだらかになされることができる。また、金属層111がアルミニウムを含む金属である場合、陽極酸化層150は、アルミニウムを陽極酸化したアルミナを含むことができる。この場合、熱交換率が一層高くなることができる。
【0049】
一方、陽極酸化層150は、ベース基板110に形成された加工部140の内側面にも形成できる。連結手段130として金属スクリューなどを用いる場合、金属層111と放熱層120が連結手段130によって短絡することができるので、加工部140の内側面にも陽極酸化層150を形成することで、金属層111を放熱層120または外部の電子、静電気などから保護することが好ましい。
【0050】
素子160は、ベース基板110に実装される部材で、回路層113を介してベース基板110に電気的に連結できる。
【0051】
ここで、素子160は、例えば、半導体素子、受動素子、能動素子などであることができる。素子160は、発熱が激しい素子でもかまわなく、例えば、絶縁ゲート陽極性トランジスタ(IGBT;Insulated gate bipolar transistor)またはダイオードであることができ、好ましくはLEDパッケージでなることができる。一方、素子160から発生した熱は、順に絶縁層112、金属層111、放熱層120を介して空気中に放出できる。
【0052】
(放熱基板の製造方法)
図2〜図6は、本発明の好適な第1実施例による放熱基板を製造する方法を説明する図である。以下、これを参照し、本発明の好適な第1実施例による放熱基板100aの製造方法を説明する。
【0053】
まず、図2に示すように、金属層111の一面111aに絶縁層112を形成し、絶縁層112に回路層113を形成することで、ベース基板110を準備する。
【0054】
この際、絶縁層112は、金属層111を陽極酸化して形成するか、あるいはエポキシにセラミックフィラーを混合して形成することができる。具体的に、絶縁層112が陽極酸化によって形成される場合、金属層111を直流電源の陽極に接続して酸性溶液(電解質溶液)中に浸漬することで、金属層111の表面に陽極酸化層でなる絶縁層112を形成することができる。例えば、金属層111がアルミニウムを含む場合、金属層111の表面が電解質溶液(electrolyte;acid solution)と反応して境界面でアルミニウムイオン(Al3+)が形成され、金属層111に印加される電圧によって金属層111の表面に電流密度が集中して局所的な熱が発生し、熱によってより多いアルミニウムイオンが形成される。その結果、金属層111の表面に複数のくぼみが形成され、酸素イオン(O2−)が電場の力によって、前記くぼみに移動して電解質アルミニウムイオンと反応することにより、アルミナ層でなる絶縁層112を形成することができる。
【0055】
一方、回路層113は、絶縁層112上に、例えば、セミアディティブ(Semi−additive)工法、サブトラクティブ(Subtractive)工法、またはアディティブ(Additive)工法などの公知の方法で形成できる。
【0056】
ついで、図3に示すように、ベース基板110に加工部140を形成する。
【0057】
この際、加工部140は、ベース基板110の厚さ方向に連結手段130が挿入可能な程度の大きさに形成される。例えば、連結手段130が器具固定用金属スクリューの場合、加工部140は、内側面に雌ネジ部を持つホール形状のものであることができる。また、加工部140は、例えば、加工ドリルによって形成できる。
【0058】
ついで、図4に示すように、ベース基板110の他面111b、側面111c、及び/または加工部140に陽極酸化層150を形成する。
【0059】
この際、陽極酸化層150は、金属層111を陽極酸化して形成することができる。また、陽極酸化層150は、ベース基板110の他面111b、及び/または側面111cだけでなく、加工部140の内側面にも形成できる。
【0060】
ついで、図5に示すように、加工部140に連結手段130を挿入することで、金属層111の他面111bに放熱層120を連結する。
【0061】
この際、連結手段130は、加工部140と相応する大きさを持つものを利用することができ、金属スクリューなど、ベース基板110の加工部140に挿入されることにより、ベース基板110と放熱層120を連結することができる手段であればなんでもかまわない。
【0062】
一方、連結手段130は、ベース基板110の加工部140を貫通して放熱層120の孔部121に結合できる。
【0063】
ついで、図6に示すように、ベース基板110に素子160を実装する。
【0064】
この際、本実施例においては、放熱層120を連結した後、素子160を実装するものであると説明するが、素子160を先に実装した後に放熱層120を連結してもかまわないし、これも本発明の範囲に含まれるものであろう。
【0065】
このような製造工程によって、図6に示すような本発明の好適な第1実施例による放熱基板100aが製造される。
【0066】
図7A〜図13は、本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する図である。以下、これを参照して、本発明の好適な第2実施例による放熱基板100bの製造方法を説明する。ここで、同一ないし対応の構成要素は、同一図面符号で指示され、第1実施例と重複する説明は省略する。
【0067】
まず、図7A及び図7Bに示すように、金属層111、金属層111の一面111aに形成された絶縁層112、及び絶縁層112に形成された回路層113を含むベース基板110が多数含まれた基板ストリップ200を準備する。
【0068】
この際、基板ストリップ200単位でベース基板110を製造する場合、多数のベース基板110に含まれる金属層111、絶縁層112、及び回路層113形成工程を一度に進めることができるので、工程時間及び工程コストを節減することができる。一方、図7Aでは、基板ストリップ200に円形のベース基板110が二つ含まれたものとして示したが、ベース基板110は、製品の設計条件によって多様な平面形状を持つことができるし、基板ストリップ200に含まれるベース基板110の個数は、これに限定されない。
【0069】
ついで、図8A及び図8Bに示すように、ベース基板110に放熱層120を連結するための連結手段130が挿入される加工部140をベース基板110の厚さ方向に形成する。
【0070】
この際、加工部140は、それぞれのベース基板110に単数または多数形成することができる。
【0071】
ついで、図9A及び図9Bに示すように、基板ストリップ200をベース基板110の単位で一部切断する。
【0072】
この際、基板ストリップ200とベース基板110が連結されるブリッジ210(bridge)を残しておいた状態で、それぞれのベース基板110の単位で基板ストリップ200を切断することができる。また、以下に説明する陽極酸化層150の形成工程において、できるだけ広い面積に陽極酸化層150を形成するために、ブリッジ210の幅は、細いほど好ましい。ただ、ベース基板110が基板ストリップ200に固定可能な程度の幅は、維持することが好ましい。ここで、ベース基板110の単位で行う切断工程は、例えば、ルータ工程またはプレス工程で行うことができる。
【0073】
一方、以後に基板ストリップ200からベース基板110を容易に分離するために、ブリッジ210の上下部にV−cut工程を進めることができる。すなわち、ブリッジ210の一部を除き、例えば、ブレードを利用してブリッジ210の上下部分にトレンチを形成することができる。
【0074】
ついで、図10A及び図10Bに示すように、基板ストリップ200に含まれるベース基板110に形成された金属層111の他面111b、側面111c、及び/または加工部140の内側面に、陽極酸化層150を形成する。
【0075】
この際、ベース基板110がブリッジ210を介して基板ストリップ200に連結されているので、陽極酸化層150の形成を基板ストリップ200の全体にわたって一回の工程で進めることで工程上の便宜さを提供することができる。すなわち、基板ストリップ200の全体を電解質溶液に浸漬することで、多数のベース基板110に陽極酸化層150を形成することにより、製造時間及び製造コストを節減することができる。また、金属層111の側面111cに陽極酸化層150を形成する場合、ブリッジ210が形成された領域は、陽極酸化層150を形成することができないので、ブリッジ210の幅はできるだけ細く設計することが好ましい。
【0076】
ついで、図11A及び図11Bに示すように、ブリッジ210を除去して基板ストリップ200からそれぞれのベース基板110を分離する。
【0077】
この際、ブリッジ210が除去されることにより、ベース基板110が基板ストリップ200と全領域で連結されないので、ベース基板110は、基板ストリップ200から分離することができる。一方、ブリッジ210は、例えば、ルーティング工程、プレス工程などによって除去することができるし、幅が細い場合には、加工ドリルによって除去することもできる。
【0078】
ついで、図12及び図13に示すように、それぞれのベース基板110において、加工部140に連結手段130を挿入して、金属層111の他面111bに放熱層120を連結し、ベース基板110に素子160を実装する。
【0079】
この際、素子160を先に実装し、放熱層120を後に連結してもかまわない。
【0080】
このような製造工程によって、図13に示すような本発明の好適な第2実施例による放熱基板100bが製造される。
【0081】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのもので、本発明による放熱基板の製造方法は、これに限定されなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を持つ者によって多様な変形及び改良が可能であろう。本発明の単純な変形ないし変更は、いずれも本発明の範疇内に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は、特許請求の範囲によって明らかに決まるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、放熱特性を維持しながらも、金属層及び素子に静電気や電圧ショックなどが伝達されることを防止する放熱基板の製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
110 ベース基板
111 金属層
112 絶縁層
113 回路層
120 放熱層
121 孔部
130 連結手段
140 加工部
150 陽極酸化層
160 素子
200 基板ストリップ
210 ブリッジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多様な分野に応用されるパワー素子及びパワーモジュールの放熱問題を解決するために、熱伝導特性の良い金属材料を利用してさまざまな形態の放熱基板を製作しようと努力している。さらに、LEDモジュール、パワーモジュールはもちろんのこと、その外の製品分野にも多層微細パターンが形成された放熱基板が要求されている。
【0003】
しかし、従来の有機PCB、セラミック基板、ガラス基板または金属コア層を含む放熱基板の場合、シリコンウェハーに比べて微細パターンの形成が相対的に難しくてコストが高くかかるので、その応用分野が制限された。よって、最近では、陽極酸化を利用して発熱素子の熱放出を極大化するための放熱基板に対する研究が進んでいる。
【0004】
従来の放熱基板の製造方法を例として検討すれば、次の通りである。
【0005】
まず、金属層の一面に陽極酸化工程によって絶縁層を形成する。
【0006】
ついで、絶縁銅箔を形成し、これをパターニングして回路層を形成する。または、メッキ工程によってパターニングされた回路層を形成する。
【0007】
ついで、絶縁層が形成されなかった金属層の他面にヒートシンクを連結し、絶縁層に回路層と電気的に連結される発熱素子を実装する。
【0008】
従来の放熱基板の場合、金属の熱伝逹効果が高いため、発熱素子から発生した熱が金属層及びヒートシンクを介して外部に放出された。よって、放熱基板上に形成された発熱素子は、大きな熱を受けなく、これにより、発熱素子の性能が落ちる問題を解決することができた。
【0009】
しかし、従来のような放熱基板の場合、金属層及びヒートシンクをいずれも電気伝導性の金属で構成するため、予期しない電気的接続が金属層とヒートシンクとの間で形成されることがある。よって、ヒートシンク、またはヒートシンク及び金属層の接触界面で静電気または電圧ショック(voltage shock)などが発生すれば、金属層にそのまま伝達されるので、放熱基板の回路層または発熱素子に影響を及ぼして性能が低下する問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、放熱特性を維持しながらも、金属層及び素子に静電気や電圧ショックなどが伝達されることを防止する放熱基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一面によれば、(A)金属層の一面に絶縁層を形成し、前記絶縁層に回路層を形成してベース基板を準備する段階、(B)前記ベース基板に厚さ方向に加工部を形成する段階、(C)前記金属層の他面及び側面の少なくとも一方に陽極酸化層を形成する段階、及び(D)前記加工部に連結手段を挿入し、前記金属層の前記他面に放熱層を連結する段階を含む放熱基板の製造方法が提供される。
【0012】
前記(C)段階で、前記加工部の内側面まで前記陽極酸化層を形成することが好ましい。
【0013】
前記(A)段階で、前記絶縁層は、前記金属層を陽極酸化して形成されるか、あるいはエポキシにセラミックフィラーを混合して形成することが好ましい。
【0014】
前記(A)段階は、(A1)アルミニウムを含む金属層を提供する段階、(A2)前記金属層を陽極酸化し、前記金属層にアルミナを含む絶縁層を形成する段階、及び(A3)前記絶縁層に回路層を形成してベース基板を準備する段階を含むことが好ましい。
【0015】
前記金属層は、アルミニウムを含み、前記陽極酸化層は、前記金属層を陽極酸化して形成されたアルミナを含むことが好ましい。
【0016】
前記(D)段階の前または後に、前記ベース基板に素子を実装する段階をさらに含むことが好ましい。
【0017】
前記素子は、LEDパッケージであってもよい。
【0018】
本発明の他の面によれば、(A)金属層、前記金属層の一面に形成された絶縁層、及び前記絶縁層に形成された回路層を含むベース基板が多数含まれる基板ストリップを準備する段階、(B)それぞれの前記ベース基板に厚さ方向に加工部を形成する段階、(C)それぞれの前記ベース基板が前記基板ストリップと連結されるブリッジを除き、前記基板ストリップから離隔するように前記基板ストリップを前記ベース基板単位で切断する段階、(D)前記金属層の他面及び側面の少なくとも一方に陽極酸化層を形成する段階、(E)前記ブリッジを除去してそれぞれの前記ベース基板を分離する段階、及び(F)前記加工部に連結手段を挿入し、前記金属層の前記他面に放熱層を連結する段階を含む放熱基板の製造方法が提供される。
【0019】
前記(D)段階で、前記加工部の内側面まで前記陽極酸化層を形成することが好ましい。
【0020】
前記(A)段階で、前記絶縁層は、前記金属層を陽極酸化して形成されるか、あるいはエポキシにセラミックフィラーを混合して形成されることが好ましい。
【0021】
前記(F)段階の前または後に、前記ベース基板に素子を実装する段階をさらに含むことが好ましい。
【0022】
前記素子は、LEDパッケージであってもよい。
【0023】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以降の詳細な説明から、より明らかになるであろう。
【0024】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者がその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって、本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0025】
本発明による放熱基板の製造方法は、金属層と放熱層の接触界面、つまり金属層の他面、及び/または側面に熱伝導率の高い陽極酸化層を形成し、放熱特性を維持しながらも、金属層及び素子に静電気や電圧ショックなどが伝達されることを防止する利点がある。
【0026】
また、本発明によれば、金属層と放熱層を連結する連結手段が挿入される加工部が形成される場合、加工部に陽極酸化層を形成することで、金属層と放熱層が電気的に連結されることを防止する利点がある。
【0027】
そして、本発明によれば、金属層としてアルミニウムを使用し、絶縁層として金属層を陽極酸化したアルミナを使用することで、素子から発生した熱をより速かに外部に放出させることができるので、金属層を薄く形成することができる利点がある。
【0028】
更に、本発明によれば、ベース基板が多数含まれた基板ストリップ単位で放熱基板を製造することにより、製造コスト及び製造時間を節減する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明で得られる放熱基板の断面図である。
【図2】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(1)である。
【図3】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(2)である。
【図4】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(3)である。
【図5】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(4)である。
【図6】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(5)である。
【図7A】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する正面図(1)である。
【図7B】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(1)である。
【図8A】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する正面図(2)である。
【図8B】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(2)である。
【図9A】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する正面図(3)である。
【図9B】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(3)である。
【図10A】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する正面図(4)である。
【図10B】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(4)である。
【図11A】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する正面図(5)である。
【図11B】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(5)である。
【図12】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(6)である。
【図13】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する断面図(7)である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の目的、特定の利点及び新規の特徴は、添付図面を参照する以下の詳細な説明及び好適な実施例から一層明らかに理解可能であろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるにあたり、同じ構成要素がたとえ他の図面に図示されていても、できるだけ同じ符号を付けることにする。また、本発明の説明において、関連の公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不要にあいまいにすることができると判断されればその詳細な説明は省略する。
【0031】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0032】
(放熱基板の構造)
図1は、本発明で得られる放熱基板の断面図である。以下、これを参照して、放熱基板100について説明する。
【0033】
図1に示すように、放熱基板100は、金属層111、該金属層111上に形成された絶縁層112、及び回路層113を含むベース基板110、ベース基板110に形成される加工部140、放熱層120、及び加工部140に挿入されてベース基板110と放熱層120を連結する連結手段130を含み、ベース基板110をなす金属層111の他面111b、側面111c、及び/または加工部140に陽極酸化層150が形成されたことを特徴とするものである。
【0034】
金属層111は、ベース基板110の基礎をなすもので、素子160から発生する熱を放熱層120に伝達して空気中に放出する部材である。
【0035】
ここで、金属層111は、金属なので、放熱効果に優れることができる。また、金属層111は、金属なので、一般的な樹脂で構成されたコア層に比べて強度が大きく、これによって反り(warpage)に対する抵抗が高いことができる。一方、金属層111は、放熱効果を極大化するために、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、またはこれらの合金などのように、熱伝導率に優れた金属を利用することができる。
【0036】
絶縁層112は、金属層111の一面111aに形成される部材で、回路層113が金属層111と短絡しないように絶縁させる役目をする。
【0037】
ここで、絶縁層112は、例えば、プリプレグ(PPG;prepreg)、ABF(Ajinomoto Buildup Film)などのような通常的に層間絶縁素材として使用される複合高分子樹脂であることができる。また、絶縁層112の放熱効果を高めるために、FR−4、BT(Bismaleimide Triazine)などのエポキシ系樹脂にセラミックフィラーを混合して使用することができる。更に、絶縁層112の放熱効果を極大化するために、金属層111を陽極酸化して絶縁層112を形成することができる。この際、金属層111がアルミニウム(Al)を含む金属の場合、絶縁層112は、これを陽極酸化したアルミナ(Al2O3)を含むことができる。絶縁層112が陽極酸化によって形成される場合、特にアルミニウムを陽極酸化して形成される場合、放熱効果が高くなるので、金属層111を相対的に厚く形成する必要がなく、これにより、放熱基板100の厚さを減少させることができる。
【0038】
回路層113は、素子160と放熱基板100を電気的に連結する部材で、絶縁層112に形成される。
【0039】
ここで、回路層113は、絶縁層112上に直接形成され、素子160から発生する熱を絶縁層112及び金属層111に直接伝達することができる。また、回路層113は、放熱効果を極大化するために、ワイヤ状でないパッド状に広く形成可能である。更に、回路層113は、放熱基板100と素子160を電気的に連結するもので、パターニングされた状態のものであり、例えば、金、銀、銅、ニッケルなどの電気伝導性金属で構成できる。
【0040】
一方、回路層113には、シード層(図示せず)がさらに含まれることができる。
【0041】
放熱層120は、ベース基板110の他面111bに形成される部材で、素子160から発生した熱を金属層111から受けて外部に放出する。
【0042】
ここで、放熱層120は、金属層111から熱を受けて外部に放出するもので、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などのような熱伝導性に優れた金属で構成できる。また、放熱層120が金属層111と接触する面の反対面には、熱を効率的に放出するために、多数の突出部が形成されたものに具現できる。放熱層120が前記の形状に具現される場合、放熱層120の表面積が広くなって空気と接触する面積が広くなり、これにより、同一時間に外部に放出される熱の量が増加することができる。
【0043】
連結手段130は、ベース基板110と放熱層120を連結するための部材で、ベース基板110に形成された加工部140を通して挿入される。
【0044】
ここで、連結手段130は、ベース基板110と放熱層120を連結することができる部材で、例えば、器具固定用金属スクリューなどを利用することができる。また、連結手段130は、ベース基板110の加工部140を貫通し、放熱層120の孔部121に挿入されることにより、ベース基板110と放熱層120を堅固に固定することができる。
【0045】
一方、加工部140は、連結手段130が挿入される空間で、ベース基板110に厚さ方向に形成される。連結手段130が金属スクリュー形態の場合、加工部140は、雌ネジ部が内側面に形成されたホール形状のものであることができる。
【0046】
陽極酸化層150は、金属層111を陽極酸化してなる部分で、金属層111の他面111b、及び/または側面111cに形成できる。
【0047】
具体的に説明すれば、陽極酸化層150が金属層111の他面111b、つまり金属層111と放熱層120の接触界面に形成される場合、金属層111と放熱層120が電気的に連結されることを防止することができる。よって、放熱層120から発生する静電気が金属層111及び/またはベース基板110に伝達されることを防止することができるし、電圧ショックなどが金属層111に影響を及ぼして素子160の性能が低下する現象を減少させることができる。また、陽極酸化層150が金属層111の側面111cに形成される場合、静電気または電圧ショックなどによって発生する空気中の自由電子または放熱層120から飛び出す自由電子などから金属層111及び/または素子160を保護することができる。
【0048】
ここで、陽極酸化層150は、他の絶縁部材に比べて熱伝導率が良いので、陽極酸化層150が金属層111の他面に形成されても、金属層111と放熱層120の間には、熱交換がなだらかになされることができる。また、金属層111がアルミニウムを含む金属である場合、陽極酸化層150は、アルミニウムを陽極酸化したアルミナを含むことができる。この場合、熱交換率が一層高くなることができる。
【0049】
一方、陽極酸化層150は、ベース基板110に形成された加工部140の内側面にも形成できる。連結手段130として金属スクリューなどを用いる場合、金属層111と放熱層120が連結手段130によって短絡することができるので、加工部140の内側面にも陽極酸化層150を形成することで、金属層111を放熱層120または外部の電子、静電気などから保護することが好ましい。
【0050】
素子160は、ベース基板110に実装される部材で、回路層113を介してベース基板110に電気的に連結できる。
【0051】
ここで、素子160は、例えば、半導体素子、受動素子、能動素子などであることができる。素子160は、発熱が激しい素子でもかまわなく、例えば、絶縁ゲート陽極性トランジスタ(IGBT;Insulated gate bipolar transistor)またはダイオードであることができ、好ましくはLEDパッケージでなることができる。一方、素子160から発生した熱は、順に絶縁層112、金属層111、放熱層120を介して空気中に放出できる。
【0052】
(放熱基板の製造方法)
図2〜図6は、本発明の好適な第1実施例による放熱基板を製造する方法を説明する図である。以下、これを参照し、本発明の好適な第1実施例による放熱基板100aの製造方法を説明する。
【0053】
まず、図2に示すように、金属層111の一面111aに絶縁層112を形成し、絶縁層112に回路層113を形成することで、ベース基板110を準備する。
【0054】
この際、絶縁層112は、金属層111を陽極酸化して形成するか、あるいはエポキシにセラミックフィラーを混合して形成することができる。具体的に、絶縁層112が陽極酸化によって形成される場合、金属層111を直流電源の陽極に接続して酸性溶液(電解質溶液)中に浸漬することで、金属層111の表面に陽極酸化層でなる絶縁層112を形成することができる。例えば、金属層111がアルミニウムを含む場合、金属層111の表面が電解質溶液(electrolyte;acid solution)と反応して境界面でアルミニウムイオン(Al3+)が形成され、金属層111に印加される電圧によって金属層111の表面に電流密度が集中して局所的な熱が発生し、熱によってより多いアルミニウムイオンが形成される。その結果、金属層111の表面に複数のくぼみが形成され、酸素イオン(O2−)が電場の力によって、前記くぼみに移動して電解質アルミニウムイオンと反応することにより、アルミナ層でなる絶縁層112を形成することができる。
【0055】
一方、回路層113は、絶縁層112上に、例えば、セミアディティブ(Semi−additive)工法、サブトラクティブ(Subtractive)工法、またはアディティブ(Additive)工法などの公知の方法で形成できる。
【0056】
ついで、図3に示すように、ベース基板110に加工部140を形成する。
【0057】
この際、加工部140は、ベース基板110の厚さ方向に連結手段130が挿入可能な程度の大きさに形成される。例えば、連結手段130が器具固定用金属スクリューの場合、加工部140は、内側面に雌ネジ部を持つホール形状のものであることができる。また、加工部140は、例えば、加工ドリルによって形成できる。
【0058】
ついで、図4に示すように、ベース基板110の他面111b、側面111c、及び/または加工部140に陽極酸化層150を形成する。
【0059】
この際、陽極酸化層150は、金属層111を陽極酸化して形成することができる。また、陽極酸化層150は、ベース基板110の他面111b、及び/または側面111cだけでなく、加工部140の内側面にも形成できる。
【0060】
ついで、図5に示すように、加工部140に連結手段130を挿入することで、金属層111の他面111bに放熱層120を連結する。
【0061】
この際、連結手段130は、加工部140と相応する大きさを持つものを利用することができ、金属スクリューなど、ベース基板110の加工部140に挿入されることにより、ベース基板110と放熱層120を連結することができる手段であればなんでもかまわない。
【0062】
一方、連結手段130は、ベース基板110の加工部140を貫通して放熱層120の孔部121に結合できる。
【0063】
ついで、図6に示すように、ベース基板110に素子160を実装する。
【0064】
この際、本実施例においては、放熱層120を連結した後、素子160を実装するものであると説明するが、素子160を先に実装した後に放熱層120を連結してもかまわないし、これも本発明の範囲に含まれるものであろう。
【0065】
このような製造工程によって、図6に示すような本発明の好適な第1実施例による放熱基板100aが製造される。
【0066】
図7A〜図13は、本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を説明する図である。以下、これを参照して、本発明の好適な第2実施例による放熱基板100bの製造方法を説明する。ここで、同一ないし対応の構成要素は、同一図面符号で指示され、第1実施例と重複する説明は省略する。
【0067】
まず、図7A及び図7Bに示すように、金属層111、金属層111の一面111aに形成された絶縁層112、及び絶縁層112に形成された回路層113を含むベース基板110が多数含まれた基板ストリップ200を準備する。
【0068】
この際、基板ストリップ200単位でベース基板110を製造する場合、多数のベース基板110に含まれる金属層111、絶縁層112、及び回路層113形成工程を一度に進めることができるので、工程時間及び工程コストを節減することができる。一方、図7Aでは、基板ストリップ200に円形のベース基板110が二つ含まれたものとして示したが、ベース基板110は、製品の設計条件によって多様な平面形状を持つことができるし、基板ストリップ200に含まれるベース基板110の個数は、これに限定されない。
【0069】
ついで、図8A及び図8Bに示すように、ベース基板110に放熱層120を連結するための連結手段130が挿入される加工部140をベース基板110の厚さ方向に形成する。
【0070】
この際、加工部140は、それぞれのベース基板110に単数または多数形成することができる。
【0071】
ついで、図9A及び図9Bに示すように、基板ストリップ200をベース基板110の単位で一部切断する。
【0072】
この際、基板ストリップ200とベース基板110が連結されるブリッジ210(bridge)を残しておいた状態で、それぞれのベース基板110の単位で基板ストリップ200を切断することができる。また、以下に説明する陽極酸化層150の形成工程において、できるだけ広い面積に陽極酸化層150を形成するために、ブリッジ210の幅は、細いほど好ましい。ただ、ベース基板110が基板ストリップ200に固定可能な程度の幅は、維持することが好ましい。ここで、ベース基板110の単位で行う切断工程は、例えば、ルータ工程またはプレス工程で行うことができる。
【0073】
一方、以後に基板ストリップ200からベース基板110を容易に分離するために、ブリッジ210の上下部にV−cut工程を進めることができる。すなわち、ブリッジ210の一部を除き、例えば、ブレードを利用してブリッジ210の上下部分にトレンチを形成することができる。
【0074】
ついで、図10A及び図10Bに示すように、基板ストリップ200に含まれるベース基板110に形成された金属層111の他面111b、側面111c、及び/または加工部140の内側面に、陽極酸化層150を形成する。
【0075】
この際、ベース基板110がブリッジ210を介して基板ストリップ200に連結されているので、陽極酸化層150の形成を基板ストリップ200の全体にわたって一回の工程で進めることで工程上の便宜さを提供することができる。すなわち、基板ストリップ200の全体を電解質溶液に浸漬することで、多数のベース基板110に陽極酸化層150を形成することにより、製造時間及び製造コストを節減することができる。また、金属層111の側面111cに陽極酸化層150を形成する場合、ブリッジ210が形成された領域は、陽極酸化層150を形成することができないので、ブリッジ210の幅はできるだけ細く設計することが好ましい。
【0076】
ついで、図11A及び図11Bに示すように、ブリッジ210を除去して基板ストリップ200からそれぞれのベース基板110を分離する。
【0077】
この際、ブリッジ210が除去されることにより、ベース基板110が基板ストリップ200と全領域で連結されないので、ベース基板110は、基板ストリップ200から分離することができる。一方、ブリッジ210は、例えば、ルーティング工程、プレス工程などによって除去することができるし、幅が細い場合には、加工ドリルによって除去することもできる。
【0078】
ついで、図12及び図13に示すように、それぞれのベース基板110において、加工部140に連結手段130を挿入して、金属層111の他面111bに放熱層120を連結し、ベース基板110に素子160を実装する。
【0079】
この際、素子160を先に実装し、放熱層120を後に連結してもかまわない。
【0080】
このような製造工程によって、図13に示すような本発明の好適な第2実施例による放熱基板100bが製造される。
【0081】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのもので、本発明による放熱基板の製造方法は、これに限定されなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を持つ者によって多様な変形及び改良が可能であろう。本発明の単純な変形ないし変更は、いずれも本発明の範疇内に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は、特許請求の範囲によって明らかに決まるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、放熱特性を維持しながらも、金属層及び素子に静電気や電圧ショックなどが伝達されることを防止する放熱基板の製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
110 ベース基板
111 金属層
112 絶縁層
113 回路層
120 放熱層
121 孔部
130 連結手段
140 加工部
150 陽極酸化層
160 素子
200 基板ストリップ
210 ブリッジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)金属層の一面に絶縁層を形成し、前記絶縁層に回路層を形成することで、ベース基板を準備する段階;
(B)前記ベース基板に厚さ方向に加工部を形成する段階;
(C)前記金属層の他面及び側面の少なくとも一方に陽極酸化層を形成する段階;及び
(D)前記加工部に連結手段を挿入し、前記金属層の前記他面に放熱層を連結する段階;
を含むことを特徴とする放熱基板の製造方法。
【請求項2】
前記(C)段階で、前記加工部の内側面まで前記陽極酸化層を形成することを特徴とする請求項1に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項3】
前記(A)段階で、前記絶縁層が、前記金属層を陽極酸化して形成されるか、あるいはエポキシにセラミックフィラーを混合して形成されることを特徴とする請求項1に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項4】
前記(A)段階が、
(A1)アルミニウムを含む金属層を提供する段階;
(A2)前記金属層を陽極酸化し、前記金属層にアルミナを含む絶縁層を形成する段階;及び
(A3)前記絶縁層に回路層を形成してベース基板を準備する段階;
を含むことを特徴とする請求項1に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項5】
前記金属層が、アルミニウムを含み、前記陽極酸化層が、前記金属層を陽極酸化して形成されたアルミナを含むことを特徴とする請求項1に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項6】
前記(D)段階の前または後に、
前記ベース基板に素子を実装する段階;
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項7】
前記素子が、LEDパッケージであることを特徴とする請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項8】
(A)金属層、前記金属層の一面に形成された絶縁層、及び前記絶縁層に形成された回路層を含むベース基板が多数含まれる基板ストリップを準備する段階;
(B)それぞれの前記ベース基板に厚さ方向に加工部を形成する段階;
(C)それぞれの前記ベース基板が前記基板ストリップと連結されるブリッジを除き、前記基板ストリップから離隔するように前記基板ストリップを前記ベース基板単位で切断する段階;
(D)前記金属層の他面及び側面の少なくとも一方に陽極酸化層を形成する段階;
(E)前記ブリッジを除去してそれぞれの前記ベース基板を分離する段階;及び
(F)前記加工部に連結手段を挿入し、前記金属層の前記他面に放熱層を連結する段階;
を含むことを特徴とする放熱基板の製造方法。
【請求項9】
前記(D)段階で、前記加工部の内側面まで前記陽極酸化層を形成することを特徴とする請求項8に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項10】
前記(A)段階で、前記絶縁層が、前記金属層を陽極酸化して形成されるか、あるいはエポキシにセラミックフィラーを混合して形成されることを特徴とする請求項8に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項11】
前記(F)段階の前または後に、
前記ベース基板に素子を実装する段階;
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項12】
前記素子が、LEDパッケージであることを特徴とする請求項11に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項1】
(A)金属層の一面に絶縁層を形成し、前記絶縁層に回路層を形成することで、ベース基板を準備する段階;
(B)前記ベース基板に厚さ方向に加工部を形成する段階;
(C)前記金属層の他面及び側面の少なくとも一方に陽極酸化層を形成する段階;及び
(D)前記加工部に連結手段を挿入し、前記金属層の前記他面に放熱層を連結する段階;
を含むことを特徴とする放熱基板の製造方法。
【請求項2】
前記(C)段階で、前記加工部の内側面まで前記陽極酸化層を形成することを特徴とする請求項1に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項3】
前記(A)段階で、前記絶縁層が、前記金属層を陽極酸化して形成されるか、あるいはエポキシにセラミックフィラーを混合して形成されることを特徴とする請求項1に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項4】
前記(A)段階が、
(A1)アルミニウムを含む金属層を提供する段階;
(A2)前記金属層を陽極酸化し、前記金属層にアルミナを含む絶縁層を形成する段階;及び
(A3)前記絶縁層に回路層を形成してベース基板を準備する段階;
を含むことを特徴とする請求項1に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項5】
前記金属層が、アルミニウムを含み、前記陽極酸化層が、前記金属層を陽極酸化して形成されたアルミナを含むことを特徴とする請求項1に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項6】
前記(D)段階の前または後に、
前記ベース基板に素子を実装する段階;
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項7】
前記素子が、LEDパッケージであることを特徴とする請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項8】
(A)金属層、前記金属層の一面に形成された絶縁層、及び前記絶縁層に形成された回路層を含むベース基板が多数含まれる基板ストリップを準備する段階;
(B)それぞれの前記ベース基板に厚さ方向に加工部を形成する段階;
(C)それぞれの前記ベース基板が前記基板ストリップと連結されるブリッジを除き、前記基板ストリップから離隔するように前記基板ストリップを前記ベース基板単位で切断する段階;
(D)前記金属層の他面及び側面の少なくとも一方に陽極酸化層を形成する段階;
(E)前記ブリッジを除去してそれぞれの前記ベース基板を分離する段階;及び
(F)前記加工部に連結手段を挿入し、前記金属層の前記他面に放熱層を連結する段階;
を含むことを特徴とする放熱基板の製造方法。
【請求項9】
前記(D)段階で、前記加工部の内側面まで前記陽極酸化層を形成することを特徴とする請求項8に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項10】
前記(A)段階で、前記絶縁層が、前記金属層を陽極酸化して形成されるか、あるいはエポキシにセラミックフィラーを混合して形成されることを特徴とする請求項8に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項11】
前記(F)段階の前または後に、
前記ベース基板に素子を実装する段階;
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項12】
前記素子が、LEDパッケージであることを特徴とする請求項11に記載の放熱基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−65865(P2013−65865A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−244578(P2012−244578)
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【分割の表示】特願2010−222723(P2010−222723)の分割
【原出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【分割の表示】特願2010−222723(P2010−222723)の分割
【原出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]