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放熱塗料組成物とそれを用いた放熱部材
説明

放熱塗料組成物とそれを用いた放熱部材

【課題】放熱効果の高い塗膜を形成可能な放熱塗料組成物であって、当該塗膜を用いた放熱部材の製造が容易である放熱塗料組成物を得ること。
【解決手段】本願の放熱塗料組成物は、平均粒径が0.45〜2.5μmである斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーと;バインダー樹脂とを含有する。そのため、本願の放熱塗料組成物は、放熱効果の高い塗膜を形成できる。さらに、フィラーの平均粒径が0.45〜2.5μmであるため、放熱塗料組成物から形成した塗膜は、高い放熱効果とともに透明性をも有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱塗料組成物に関し、特に、放熱効果が高く透明性をも有する放熱部材を形成可能な放熱塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子回路の集積化に伴い、電子機器の高性能化、小型化が進んでいる。電子回路の集積化により、電子回路の熱暴走を防ぐために以前にも増して電子機器の熱設計が重要になっている。電子機器の熱設計において、ヒートシンクは重要な放熱部材の1つである。アルミニウム製のヒートシンクでは、放熱効果をより高める方法として、陽極酸化処理をして表面をアルマイト加工する方法が知られている。しかし、アルマイト加工は脱脂処理、水洗および陽極酸化処理とそれぞれの工程毎に浴槽を変える必要がある。また陽極酸化処理で得られる皮膜には微細孔が多数存在し、この微細孔がクラックや腐食の原因となるため、さらに後工程として封孔処理が必要となる。このように熱設計において、アルマイト加工は、多くの工程を必要として生産性が悪いという問題点がある。
【0003】
また、ヒートシンクの放熱効果をさらに高めるために、遠赤外線を放射するセラミックスフィラーを含む放熱塗料が知られている(例えば特許文献1参照)。この放熱塗料は、アルコキシド/シラノールのゾル−ゲル反応により製膜するので、180度での焼成が必要である。このように、放熱塗料を塗布する際に高温(100度以上)での加熱/乾燥処理が必要な場合、発熱する電子部品自体や樹脂成形品には塗布できない、乾燥時間が長く生産性が悪い、さらにはフィラーの存在により膜の透明度が低い、という問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−212043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放熱部材、例えばヒートシンクとして使用される金属板(上記のアルマイト加工したアルミニウム等)は、より放熱効果が高いことが要求される。さらに放熱部材は、発熱する電子部品自体や照明器具等にも使用でき、意匠性を損なうことなく樹脂成形品等にも使用できることが要求される。
そこで本発明は、放熱効果が高く、透明性をも有する塗膜を形成可能な放熱塗料組成物であって、当該塗膜を用いた放熱部材の製造が容易である放熱塗料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、樹脂(バインダー樹脂)と斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーとを含む放熱塗料組成物から、放熱効果の高い塗膜を形成できることを見出した。さらに、前記フィラーの平均粒径を制御すると、放熱塗料組成物から形成した塗膜は、高い放熱効果と同時に透明性という効果をも有することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明の第1の態様に係る放熱塗料組成物は、平均粒径が0.45〜2.5μmである斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーをフィラー総重量の80%以上と;バインダー樹脂とを含有する。
なお、「ケイ酸塩鉱物」とは、天然、人工のいずれであってもよく、アルミノケイ酸塩鉱物や、さらには鉱物以外のケイ酸塩化合物をも含む。放熱塗料組成物に含まれる「バインダー樹脂」とは、フィラーを担持する樹脂をいい、ここで樹脂とは、重合前のモノマーまたはオリゴマー(例えば、エポキシ塗料とアクリル塗料)、硬化前の架橋性官能基を持つポリマー、架橋性官能基を持たないポリマー(例えば、自然乾燥タイプの塗料)をいう。「平均粒径が0.45〜2.5μm」とは、一次粒子径に限られず、凝集状態の粒子径であってもよい。
【0008】
このように構成すると、本願発明の放熱塗料組成物で形成された塗膜は、斜方晶系のケイ酸塩鉱物を含有しているため、塗膜の熱伝導性が高められている。斜方晶系のケイ酸塩鉱物は遠赤外線放射セラミックスとして知られており、効率よく熱エネルギーを遠赤外線に変換し、遠赤外線を外部に放射することで温度を下げる。さらに、斜方晶系のケイ酸塩鉱物の平均粒径が0.45〜2.5μmであるため、放熱塗料組成物から形成された塗膜は、透明性を有することができる。そのため、発熱性の電気機器表面に金属感を残したい場合など、下地の意匠性を損なうことなく高い放熱性を得ることができる。また、照明の表面側のような、光を通さなければならない領域での使用が可能になり、照明の表面側からも効率的に熱を逃がすことができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る放熱塗料組成物は、上記本発明の第1の態様に係る放熱塗料組成物において、塗膜にした状態で、ヘイズが30%以下となる。
【0010】
このように構成すると、放熱塗料組成物は、ヘイズが30%以下の塗膜を形成することができる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る放熱塗料組成物は、上記本発明の第1の態様または第2の態様に係る放熱塗料組成物において、前記斜方晶系のケイ酸塩鉱物は、コーディエライトまたはムライトである。
【0012】
このように構成すると、これらのフィラーは、軽量で熱伝導性に優れ、化学的に安定で樹脂との親和性も高く、人体に害が少ない。よって、本願の放熱塗料組成物は、これらの特徴を活かした塗膜を形成することができる。さらに、これらのフィラーは、遠赤外線放射セラミックスとして使用されており、遠赤外線放射に特に優れるといった特性を塗膜に与えることができる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る放熱塗料組成物は、上記本発明の第1の態様〜第3の態様のいずれか1の態様に係る放熱塗料組成物において、一次粒子径が100nm以下の、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、およびナノダイヤモンドからなる群から選ばれる少なくとも1種の追加フィラーをさらに含む。
【0014】
このように構成すると、追加フィラーにより、放熱塗料組成物から形成した塗膜の熱伝導性をさらに高めることができる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る放熱塗料組成物は、上記本発明の第1の態様〜第4の態様のいずれか1の態様に係る放熱塗料組成物において、前記バインダー樹脂は、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂である。
【0016】
このように構成すると、各樹脂の特性を活かして塗膜を形成することができる。例えば、光硬化性樹脂は、短時間で硬化が可能なため製造工程等に組み込む際に有利である。熱硬化性樹脂は、光開始剤を使用しないため光硬化性樹脂よりも材料の選択の余地が広く、種々の特性の放熱塗料組成物を提供できる。熱可塑性樹脂のうち、自然乾燥タイプの放熱塗料は、特殊な機器を使用せずに風乾で塗膜が形成できる。他の熱可塑性樹脂は、熱、光硬化型の樹脂がいずれも遮光、冷蔵保管が必要であり保存安定性が悪いのに対し、塗布が容易であり、かつ自然乾燥タイプの放熱塗料より耐熱性がある。
【0017】
本発明の第6の態様に係る放熱塗料組成物は、上記本発明の第5の態様に係る放熱塗料組成物において、前記光硬化性樹脂は、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、および(メタ)アクリル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、重合開始剤として光カチオン重合開始剤または光ラジカル重合開始剤をさらに含む。
なお、「(メタ)アクリル化合物」とは、アクリル化合物または(メタ)アクリル化合物(=メタクリル化合物)を指す。
【0018】
このように構成すると、アクリル化合物は、重合反応の反応速度が速いため好ましい。さらに、対応するアルコール類から容易にアクリル化合物を製造することができるため、アクリレートモノマーやアクリレートオリゴマーの種類が豊富であり、目的に合わせて材料を選択して、塗膜の物性を変更しやすいため好ましい。
メタクリル化合物は、アクリル化合物に比べて反応速度は遅いが、皮膚刺激性が小さいため好ましい。
エポキシ化合物は、カチオン重合のため、酸素による硬化阻害を受けない。また重合の形式が開環重合のため、硬化時の収縮が少なく基板との密着性に優れているため好ましい。
オキセタン化合物は、エポキシ化合物の重合反応に比べて、オキセタン化合物の重合物の成長が速いので、分子量が数万程度のポリマーを生成する。その結果、塗膜の靭性等の力学特性が向上するため好ましい。また、エポキシ化合物には変異原性等を有するなど毒性が強いものが多いが、オキセタン化合物はエポキシ化合物に比べて毒性が低いため好ましい。
ビニルエーテル化合物は、エポキシ化合物に比べて、カチオン重合の反応性がよい。また粘度が低いので、エポキシ化合物と混ぜて粘度を調整する反応性希釈剤として利用できるため好ましい。
【0019】
本発明の第7の態様に係る放熱塗料組成物は、上記本発明の第6の態様に係る放熱塗料組成物において、前記光硬化性樹脂は、脂環式エポキシ化合物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビフェノールのジグリシジルエーテル、多官能性(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
【0020】
このような構成にすると、光硬化性樹脂を光照射によって効率よく硬化させることができる。また、塗膜を厚くすることができ、さらに、金属板を有する放熱部材を形成する際には、金属板との密着性が良好となる。特にエポキシは金属板との密着性にすぐれ、脂環式エポキシは硬化速度および銅との密着性に優れる。
【0021】
本発明の第8の態様に係る放熱塗料組成物は、上記本発明の第5の態様に係る放熱塗料組成物において、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アミノ樹脂、および架橋性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂、およびポリビニルアルコールと架橋性成分の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、硬化剤として、酸、塩基、熱酸発生剤、酸無水物系硬化剤またはアミン系硬化剤をさらに含む。
【0022】
このように構成すると、熱硬化性樹脂は、光開始剤を使用しないため材料の選択の余地が広く、種々の特性の放熱塗料組成物を提供できる。無溶剤または固形分濃度の高い塗液の調整も可能であり、光照射装置が不要である。さらに、膜厚の調整が容易である。高硬度であり、耐熱性、耐溶剤性が高い。
【0023】
本発明の第9の態様に係る放熱塗料組成物は、上記本発明の第8の態様に係る放熱塗料組成物において、前記熱硬化性樹脂は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビフェノールのジグリシジルエーテル、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
【0024】
このように構成すると、種々の屈折率の材料を使用できるため、使用するフィラーに併せて屈折率の選択が可能である。
【0025】
本発明の第10の態様に係る放熱塗料組成物は、上記本発明の第5の態様に係る放熱塗料組成物において、前記熱可塑性樹脂は、有機溶剤または水に可溶であり、ABS樹脂、ポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、アルキド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、またはこれらの誘導体である。
【0026】
このように構成すると、塗液の取り扱いが容易でかつ一度乾燥させると耐熱性がある。さらに、射出成形が可能であり、ポリマーブレンドが可能である等加工性に優れる。また、種類が多いため官能基の種類、割合の選択の幅が広く、基材との密着性に優れる。
【0027】
本発明の第11の態様に係る放熱部材は、図1に示すように、上記本発明の第1の態様〜第10の態様のいずれか1の態様に係る放熱塗料組成物を膜状(塗膜14)に形成したものである。
【0028】
このように構成すると、放熱部材は、透明性を有する塗膜である。よって、下地の意匠性を損なうことなく発熱する樹脂成形品等に使用でき、効率的に熱を逃がすことができる。また、照明の表面側のような、光を通さなければならない領域にも使用でき、照明の表面側から効率的に熱を逃がすことができる。
【0029】
本発明の第12の態様に係る放熱部材は、図2に示すように、上記本発明の第1の態様〜第10の態様のいずれか1の態様に係る放熱塗料組成物より得られる塗膜14と;塗膜14により被膜された金属板15とを備える。
【0030】
このように構成すると、金属板は熱伝導性が高く発生した熱を吸い上げる役割を果たす。吸い上げられた熱は金属板の内部全体に広がり、塗膜に伝達される。樹脂で形成された膜は金属に比べて熱伝導性が劣るが、本願発明の放熱塗料組成物で形成された塗膜は、斜方晶系のケイ酸塩鉱物を含有しているため、塗膜の熱伝導性が高められている。斜方晶系のケイ酸塩鉱物は遠赤外線放射セラミックスとして知られており、効率よく熱エネルギーを遠赤外線に変換し、遠赤外線を外部に放射することで温度を下げる。このように、金属板により吸い上げられ、金属板から塗膜に伝達された熱が塗膜中に含まれる斜方晶系のケイ酸塩鉱物により効率よく放熱されるため、本願の放熱部材は、優れた放熱効果を有する。この放熱効果は、実施例で示すように、アルマイト加工したアルミニウムよりも高い。また、金属板を備えているため、放熱塗料組成物のみを塗布して放熱部材を形成した場合よりも全体として効率よく放熱することができる。このように、本願の金属板を有する放熱部材は、バインダー樹脂とケイ酸塩鉱物を含有する放熱塗料組成物で形成された塗膜と、金属板との組み合わせにより、より高い放熱効果を有する。したがって、本願の金属板を有する放熱部材をヒートシンク(放熱のために使われる金属製の板)として使用した場合、従来のヒートシンクよりも高い放熱効果を得ることができる。
また、アルマイト加工では、アルミニウムを酸性溶液中に浸漬させる必要があるが、本願の金属板を有する放熱部材は、放熱塗料組成物をスピンコート法、グラビアコート、スクリーン印刷またはスプレー等で金属板に塗布して製造できるため、製造が容易であり、アルマイト加工よりも生産性を向上させることができる。さらに、発熱する電子部品自体にも使用が可能である。
【0031】
本発明の第13の態様に係る物品は、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の放熱塗料組成物より得られる塗膜と;前記塗膜により被膜された成形品を備える。
【0032】
このように構成すると、塗膜は、樹脂(バインダー樹脂)を含有しているため、成形品が樹脂成形品の場合に密着性に優れる。また、塗膜は高い放熱性とともに透明性をも有しているため、樹脂成形品の有する意匠性を損なうことなく放熱が可能となる。または、照明器具等のガラス成形品の放熱が表面側から可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の放熱塗料組成物は、斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーと樹脂(バインダー樹脂)とを含むため、放熱効果の高い塗膜を形成できる。さらに、前記フィラーの平均粒径が0.45〜2.5μmであるため、放熱塗料組成物は、高い放熱効果とともに透明性をも有する塗膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】放熱部材1の構成を示す図である。
【図2】放熱部材10の構成を示す図である。
【図3】放熱部材10の製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部分には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
【0036】
本発明の第1の実施の形態に係る放熱塗料組成物について説明する。放熱塗料組成物は、斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーとバインダー樹脂とを含有する。なお、放熱塗料組成物には、斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーに加えて、さらに、一次粒子径が100nm以下の熱伝導性が優れたフィラーを追加フィラーとして、塗膜の透明性を損なわない範囲で加えてもよい。
【0037】
斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーとしては、ムライト、コーディエライト、エンスタタイト、ヘミモルファイト、ゾイサイト、シリマナイト、紅柱石を挙げることができる。特に熱伝導率が高く、樹脂との混合に適している点でコーディエライト、ムライトが好ましい。なお、斜方晶系のケイ酸塩鉱物は天然、人工のいずれであってもよい。放熱塗料組成物は、これらのフィラーの少なくとも1種を含有する。これらのフィラーは、特に遠赤外線の放射効果に優れ、放熱塗料組成物から形成した塗膜の熱伝導性を向上させ、放熱効果を高める。
【0038】
斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーの性状は、粉末、ペースト状等が好ましい。特に、均一な状態が得られることから、粉末としてバインダー樹脂に混合することが好ましい。粉末の場合は、その平均粒径は、0.01〜100μmであり、0.1〜50μmであることが好ましく、0.45〜2.5μmが特に好ましい。0.01μm以上であると、放熱塗料組成物の粘度が高くなりすぎることがなく、塗布工程の作業性がよい。また熱伝導が悪くなることもない。100μm以下であると、塗膜の表面に凹凸ができることがなく、またフィラーの沈降が速くて放熱塗料組成物の保存安定性が悪くなるということがない。特に、フィラー全体重量の80〜100%が、平均粒径0.45〜2.5μmの斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーであると、放熱塗料組成物を用いて半透明から透明に近い塗膜を形成でき、ヘイズを30%以下にすることができる。なお、残り重量の0〜20%は、斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーであっても追加フィラーであってもよい。
【0039】
透明な塗膜を形成するためには、斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーの平均粒径を2.5μm以下にし、凝集を防いで当該粒径を維持することで達成できる。なお、フィラー粒径が小さければ小さいほど、より凝集が起こりやすいため、凝集を防いで透明な塗膜を調製する。凝集を防ぐ操作としては、超音波照射、自転・公転ミキサーの使用、ボールミリング、ビーズミリング等の方法が適用できる。
【0040】
追加フィラーとしては、一次粒子径が100nm以下の窒化ホウ素、窒化アルミニウム、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛およびナノダイヤモンドからなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。これらの追加フィラーは、熱伝導率が高く、特に窒化ホウ素、酸化亜鉛は熱伝導率が高く、放熱塗料組成物から形成した塗膜の放熱効果をさらに向上させることができるため好ましい。
【0041】
追加フィラーの性状は、粉末状または分散液等が好ましい。特に、均一な状態が得られることから、粉末、または分散液としてバインダー樹脂に混合することが好ましい。粉末の場合は、その一次粒子径は、1〜100nmであり、10〜90nmであることが好ましく、20〜80nmが特に好ましい。1nm以上であると、放熱塗料組成物の粘度が高くなりすぎることがなく、塗布工程の作業性がよい。また熱伝導率が悪くなることもない。100nm以下であると、塗膜の表面に凹凸ができることがなく、またフィラーの沈降が速くて放熱塗料組成物の保存安定性が悪くなるということがない。
【0042】
斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーおよび追加フィラーの総量は、該フィラーの総量+バインダー樹脂の合計量に対して1〜80重量%を混合させることが好ましい。これにより、良好な放熱効果が得られる。バインダー樹脂を塗布する工程の作業効率を考慮すると、前記フィラーおよび追加フィラーの総量は、該フィラーの総量+バインダー樹脂の合計量に対して15〜60重量%が好ましい。前記フィラーおよび追加フィラーの総量が15重量%以上であると、前記フィラーおよび追加フィラーの放熱特性を十分に得ることができる。また、60重量%以下であると、前記フィラーおよび追加フィラーが、バインダー樹脂中で凝集する等の問題が生じない。さらに、十分な塗膜の硬度を得ることができる。なお、追加フィラーの量は、前記フィラーに対して0〜20重量%混合させる。一次粒子径が100nm以下の追加フィラーの量が20重量%以下であれば、塗膜の透明性を損なうことなく、塗膜の熱伝導性をさらに高めることができる。
【0043】
フィラーとバインダー樹脂の混合は溶剤を使用する方法が好ましい。すなわち、本発明の実施の形態に係る放熱塗料組成物を調製する方法としては、バインダー樹脂とフィラーを溶液中で混合する方法が好ましい。混合の方法としては攪拌モーター、らいかい機、三本ロール、ボールミル、自転・公転ミル、遊星ミル、ビーズミル等の通常の撹拌機や分散機で行えばよい。撹拌のせん断強度は、使用する機器に応じて選択すればよく、10〜1000Paとすることが好ましい。強すぎるとフィラー粒径が細かくなりすぎ、また弱すぎると二次粒子が細分化されずにヘイズが大きくなる。フィラー粒径が大きいと熱伝導率が良好であり、フィラー粒径が小さいと透明性が良好である。透明性を向上させたい場合にはボールミル、ビーズミル等を用いることが好ましい。
【0044】
[光硬化性樹脂]
バインダー樹脂は、光硬化性樹脂であってもよい。光硬化性樹脂には、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、および(メタ)アクリル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。特にエポキシ化合物は、金属板上に塗膜を形成した場合に、金属板との密着性がよいため好ましい。
【0045】
エポキシ化合物としては、ビフェノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類のジグリシジルエーテル類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ブロム化フェノールノボラック、オルトクレゾールノボラック等のノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等のアルキレングリコール類のジグリシジルエーテル類、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ヘキサヒドロフタル酸のグリシジルエステルやダイマー酸のジグリシジルエステル等のグリシジルエステル類、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製の商品名 セロキサイド2021P)、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシ−4−メチルシクロヘキシル−2−プロピレンオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エーテル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)−4,5−エポキシテトラヒドロフタレート、1,2:8,9ジエポキシリモネン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)ジエチルシロキサン等の脂環式エポキシ化合物などが挙げられる。これらのエポキシ化合物を単独で用いてもよいし、複数のエポキシ化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
オキセタン化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成社製の商品名 OXT−101)、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(東亞合成社製の商品名 OXT−211)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(東亞合成社製の商品名 OXT−212)、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(東亞合成社製の商品名 OXT−121)、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成社製の商品名 OXT−221)、脂肪族カルボン酸系オキセタン化合物(例えばアジペートビスオキセタン等)、芳香族カルボン酸系オキセタン化合物(例えばテレフタレートビスオキセタン等)、脂環式カルボン酸系オキセタン化合物(例えばシクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタン等)、芳香族イソシアネート系オキセタン化合物(例えばMDIビスオキセタン等)等が挙げられる。これらのオキセタン化合物を単独で用いてもよいし、複数のオキセタン化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
(メタ)アクリル化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)−5、5−ジメチルヒダントイン、3−メチルペンタンジオール(メタ)アクリレート、α,ω−ジアクリルビスジエチレングリコールフタレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリット(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリットモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリヒドロキシエチルイソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート(東亞合成社製の商品名 M−315)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、および上記の水酸基を有する(メタ)アクリレートのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリル化合物を単独で用いてもよいし、複数の(メタ)アクリル化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
ビニルエーテル化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジまたはトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等を挙げることができる。これらのビニルエーテル化合物を単独で用いてもよいし、複数のビニルエーテル化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、多塩基酸またはその無水物と多価アルコールとから合成されるポリエステルに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。前記多塩基酸としては、フタル酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、セバチン酸、イソセバチン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ピメリン酸、アゼライン酸などが挙げられる。前記多価アルコールとしては、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらのポリエステル(メタ)アクリレートを単独で用いてもよいし、複数のポリエステル(メタ)アクリレートを組み合わせて用いてもよい。
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ化合物に、(メタ)アクリル酸を付加させて得られる(メタ)アクリル酸変性エポキシ化合物が挙げられる。変性に供される前記エポキシ化合物は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSまたはフェノールボラック、シクロペンタジエンオキシドまたはシクロヘキセンオキシドと、エピクロルヒドリンとを反応させて得られる。これらのエポキシ(メタ)アクリレートを単独で用いてもよいし、複数のエポキシ(メタ)アクリレートを組み合わせて用いてもよい。
ポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、ポリエーテルとエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応によって得られるポリエーテル(メタ)アクリレートが挙げられる。前記ポリエーテルとしては、例えば、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールなどのエトキシ化・プロポキシ化、1,4−ブタンジオールなどのポリエーテル化、により得られたポリエーテルが挙げられる。これらのポリエーテル(メタ)アクリレートを単独で用いてもよいし、複数のポリエーテル(メタ)アクリレートを組み合わせて用いてもよい。
ポリウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソシアネート化合物とポリオール化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。前記イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。前記ポリオール化合物としては、ビスフェノールAとエチレンオキサイドとの付加物、ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の水酸基含有アルキルエステルが挙げられる。これらのポリウレタン(メタ)アクリレートを単独で用いてもよいし、複数のポリウレタン(メタ)アクリレートを組み合わせて用いてもよい。
【0050】
上記化合物の中でも、脂環式エポキシ化合物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビフェノールのジグリシジルエーテル、多官能性(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。なお、金属板上に塗膜を形成した場合に、エポキシ樹脂は、金属との密着性に優れている。中でも脂環式エポキシ化合物は、銅板との密着性に優れかつ硬化速度が速く、特に好ましい。
【0051】
本明細書において、光硬化性樹脂を硬化させる光とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできる活性エネルギー線をいう。このような光としては、可視光、紫外線などの光エネルギー線を挙げることができる。
【0052】
放熱塗料組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤、または、光ラジカル重合開始剤が好ましい。重合開始剤としては、例えば、各種のベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、フェニルケトン誘導体、オニウム塩光開始剤、有機金属光開始剤、金属塩カチオン光開始剤、光分解性オルガノシラン、潜在性スルホン酸、酸化ホスフィンなどを挙げることができる。光カチオン重合開始剤は、オニウム塩系の開始剤が好ましい。重合反応の形式に応じて適切な重合開始剤を用いる。また必要に応じて重合開始剤は複数種を用いてもよい。
光硬化性樹脂にエポキシ化合物、オキセタン化合物またはビニルエーテル化合物を用いる場合には、光カチオン重合開始剤を使用することが好ましい。(メタ)アクリル化合物を用いる場合には、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
重合開始剤の添加量は、光硬化性樹脂の重量に対して、0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。
【0053】
光カチオン重合開始剤としては、紫外線や可視光線などのエネルギー線の照射によりカチオンを発生する化合物であれば特に限定しない。
光カチオン重合開始剤としては、トリアリールスルホニウム塩タイプとして、SI−100(三新化学社製)、CPI−210S(サンアプロ社製)サイラキュアーUVI−6992、UVI−6976(ダウ・ケミカル社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−152、SP−170、SP−172(ADEKA社製)等が挙げられる。ジアリールヨードニウム塩タイプとして、Photoinitiator2074(ローディア社製)、IRGACURE250(BASF社製)、CI−5102(日本曹達社製)、WPI−113、WPI−116(和光純薬社製)等が挙げられる。好ましいのはCPI−210S(サンアプロ社製)である。
【0054】
光ラジカル重合開始剤としては、紫外線や可視光線などのエネルギー線の照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定しない。
光ラジカル重合開始剤として用いられる化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製の商品名 IRGACURE907)、1,4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製の商品名 IRGACURE819)、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。特に2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製の商品名 IRGACURE819)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製の商品名 IRGACURE907)が好ましい。
【0055】
[熱硬化性樹脂]
バインダー樹脂は、熱硬化性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂には、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アミノ樹脂、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂、およびポリビニルアルコールと架橋性成分の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。特にエポキシ化合物は、金属板上に塗膜を形成した場合に、金属板との密着性がよいため好ましい。なお、架橋性成分としては酸無水物、ジイソイソシアネート化合物、フェノール化合物などを挙げることができる。
より具体的には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビフェノールのジグリシジルエーテル、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0056】
熱硬化性樹脂の重合開始剤としては、熱分解性ラジカル発生剤を使用する。例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、ジハロゲン開始剤が一般的である。特によく用いられるのはAIBN(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))、ABCN(アゾビスシアノシクロヘキシル)、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシドなどである。高分子アゾ開始剤も低分子量不純物が残存しない点で好ましい。重合開始剤の好ましい添加量は0.05〜3.0重量%である。
【0057】
放熱塗料組成物は、硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤としては、酸、塩基、熱酸発生剤、酸無水物系硬化剤またはアミン系硬化剤を挙げることができる。
熱酸発生剤としてはアルキル アリールスルホネート、特にイソプロピル−ρ−トルエンスルホネート、パーフルオロアルキルスルホン酸、特にパーフルオロオクタンスルホン酸が好ましい。酸無水物系硬化剤としては、芳香族系酸無水物、環状脂肪族三無水物、脂肪族酸無水物が挙げられる。酸無水物系硬化剤としては、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が挙げられる。アミン系硬化剤としてはイミダゾール類、二級および三級アミン類などが挙げられる。イミダゾール類としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム・トリメリテート、エポキシ−イミダゾールアダクトなどが挙げられる。二級および三級アミン類としてはピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−(ジメチルアミノメチル)フェノールが挙げられる。添加量は100重量部の硬化性化合物(熱硬化性樹脂)に対して、0.01〜20重量部の範囲内が好ましく、特に好ましくは、0.5〜10重量部である。
【0058】
[熱可塑性樹脂]
バインダー樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂には、有機溶剤または水に可溶である、ABS樹脂、ポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、アルキド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、またはこれらの誘導体を挙げることができる。
【0059】
さらに放熱塗料組成物には添加剤として、増感剤/分散剤/着色顔料/シランカップリング剤を加えてもよい。
増感剤には、アントラセン、アントラセン誘導体(光硬化性樹脂に対して0.5〜3重量%添加)を用いると、重合速度を上げることができる。
分散剤には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート(フィラーに対して1〜15重量%添加)を用いる。フィラーの凝集を防ぎ、放熱塗料組成物の保存安定性を向上させることができる。
着色顔料には、有機系顔料と無機系顔料が使用できる。無機系顔料が好ましい。
シランカップリング剤には、JNC(株)社製のシランカップリング剤(商品名 S330、S510、S520、S530)が好ましい。放熱塗料組成物に対して1〜10重量%添加して使用することで、金属板と塗膜の密着性を向上させることができる。
【0060】
図1を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る放熱部材1について説明する。なお、図1は放熱部材1の構成を説明するものであり、層の厚みは誇張されている。放熱部材1は、斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラー11とバインダー樹脂13を含有する放熱塗料組成物から塗膜14を形成して製造される。なお、放熱塗料組成物には、斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラー11に加えて、さらに、熱伝導性が優れた追加フィラー12を加えてもよい。なお、追加フィラーとしては、塗膜の透明性を損なわない物であればよく、例えば、ヘイズ30%以下の範囲内で黒鉛を用いると、塗膜を透明な黒色に着色できるため、放熱部材自体の意匠性を向上させることができる。
【0061】
図2を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る放熱部材10について説明する。なお、図2は放熱部材10の構成を説明するものであり、各層の厚みは誇張されている。放熱部材10は、斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラー11とバインダー樹脂13を含有する放熱塗料組成物を金属板15上に塗布した後に、塗膜14を形成させて製造される。なお、放熱塗料組成物には、斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラー11に加えて、さらに、熱伝導性が優れた追加フィラー12を加えてもよい。
【0062】
金属板15としては、熱伝導性に優れたものであればよく、例えばアルミニウム、銅を挙げることができる。
金属板の厚さは、放熱部材の10の載置場所により適宜選択する。熱源が小さく放熱部材の面積が充分大きい場合には、厚いほど放熱効果が高い。例えば、電子部品に放熱部材10を用いる場合には、金属板の厚さは、0.03〜100mmであり、好ましくは0.1から10mm、さらに好ましくは0.2から2mmである。0.03mm以上であれば放熱効果に優れる。また、100mm以下であると、軽量である点で好ましい。
【0063】
図3を参照して、放熱部材1の製造方法を、バインダー樹脂として光硬化性樹脂を用いた場合を例に説明する。
S01:光硬化性樹脂と、斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーの粉末と、溶媒に溶解させた重合開始剤とを攪拌モーター、らいかい機、三本ロール、ボールミル、自転・公転ミル、遊星ミル、ビーズミル等を用いて混合させる。このとき、必要に応じて、追加フィラー、増感剤、分散剤、着色顔料、シランカップリング剤の少なくとも1種を加えて混合させてもよい。
【0064】
溶媒には、ケトン、エステル系の溶媒が好ましく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、DIBK(ジイソブチルケトン)、シクロヘキサノン、DAA(ジアセトンアルコール)等や、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。
放熱塗料組成物中の光硬化性樹脂成分の濃度は、積層方法に応じた粘度に調整して適切に選択することができる。例えば、ウェットコーティング法には、5〜90重量%が好ましく、より好ましくは、30〜80重量%の範囲である。
【0065】
S02:S01で調製した放熱塗料組成物を例えばガラス板に塗布する。
なお、硬化後の膜厚が、0.1〜1000μmとなるように塗膜を形成するのが好ましい。好ましくは、10〜100μmである。さらに好ましくは20〜40μmである。膜厚が大きくなると、放射率が高くなるため放射による放熱効果は大きくなる。膜厚が小さくなると熱伝導率が大きくなる。したがって、用途に応じて適切な膜厚を選択する。
なお、塗膜の透明性を考慮すると、膜厚は1〜50μmが好ましく、より好ましくは1〜20μmである。
【0066】
塗布方法には、放熱塗料組成物を均一にコーティングするウェットコーティング法を用いることが好ましい。ウェットコーティング法のうち、少量を作成する場合には簡便で均質な製膜が可能であるスピンコート法が好ましい。生産性を重視する場合には、グラビアコート法、ダイコート法、バーコート法、リバースコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロッドコート法などが好ましい。ウェットコーティング法は、これらの方法から必要とする膜厚、粘度や硬化条件等に応じて適宜選択することができる。
【0067】
S03:光を照射し、放熱塗料組成物を硬化させ、製膜する。
一例として、放熱塗料組成物に紫外線を照射させて硬化させる場合を説明する。放熱塗料組成物は、重合開始剤の存在下で紫外線を照射して重合させることにより硬化するものが好ましい。硬化方法としては、UVランプ(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ)から200〜400nmの波長のUVを光硬化性樹脂に短時間(数秒〜数十秒の範囲内で)照射すればよい。
【0068】
バインダー樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合は、図3のS01〜S02は共通である。S03において、加熱・乾燥を施し硬化させ、製膜する。熱可塑性樹脂を用いた場合は、図3のS01〜S02は共通である。S03において、乾燥等により製膜する。
【0069】
放熱部材1および放熱部材10は、発熱する電子部品自体や、照明器具、工作機械等の自己発熱する器具、機械等の物品に利用でき、高い放熱効果を提供する。
さらに、放熱部材1は透明性を有するため、照明器具自体やデザイン性の高い照明用カバー等の付属品への利用が可能となる。また、例えば、精密機器用外付バッテリーの表面に利用することで、精密機器とバッテリーの統一されたデザインを損なうことなく、また、バッテリーに付された文字やマークを損なうことなく、高い放熱効果を提供することができる。このように、ガラス成形品や樹脂成形品等の表面に塗布して製膜することにより、発熱する成形品の放熱を容易に促すことができる。
【0070】
以上のとおり、本発明の放熱塗料組成物は、透明性を有する塗膜を形成できる。そのため、例えば照明の表面側のような、光を通さなければならない領域での使用が可能になり、照明の表面側からも効率的に熱を逃がすことができる。また、発熱する電子部品自体や樹脂成形品等に使用した場合、透明性を有するため下地の意匠性を維持することができる。さらに、本発明の放熱部材は、フィラーを含有した樹脂(バインダー樹脂)から製膜された塗膜と、金属板とを組み合わせることにより、高い放熱効果を有する。また、放熱部材と物品とを分業で製造し、容易に物品に放熱部材を載置できるため、製造がし易く、生産効率を上げることができる。
【実施例】
【0071】
以下に本発明を、実施例を用いて詳細に説明する。しかし本発明は、以下の実施例に記載された内容に限定されるものではない。
【0072】
[実施例A]
実施例Aでは、放熱特性についての評価を示す。
本発明の実施例Aに用いた、放熱部材を構成する成分材料は次のとおりである。
・光硬化性樹脂
<エポキシ化合物>
セロキサイド2021P:(株)ダイセル
jER828:三菱化学(株)
<オキセタン化合物>
OXT−101:東亞合成(株)
<(メタ)アクリル化合物>
M−315:東亞合成(株)
・光重合開始剤
<ラジカル発生剤>
IRGACURE907:BASF
<カチオン発生剤>
CPI−210S:サンアプロ(株)
<フィラー>
合成コーディエライト:丸ス釉薬合資会社 (商品名)SS−200(平均粒径7.5μm)SS−1000(平均粒径1.7μm)
電融ムライト:太平洋ランダム(株) 70M(商品名)325F
窒化ホウ素:電気化学工業(株) デンカボロンナイトライド(商品名)SGP
窒化アルミニウム:(株)トクヤマ (商品名)TYPE H
タルク:林化成(株)(商品名)ミクロンホワイト 5000S
二酸化ケイ素(シリカ):富士シリシア(株) (商品名)サイリシア
酸化アルミニウム(アルミナ):昭和電工(株) (商品名)AL−47H
酸化亜鉛:(株)アムテック (商品名)パナテトラ WZ−0511
黒鉛:日本黒鉛工業(株) (商品名)鱗状黒鉛粉末 F#2
【0073】
<試料作製>
自転・公転ミキサー((株)シンキー製あわとり錬太郎 ARE250)を使用して、光硬化性樹脂とフィラーの粉末、およびメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた光重合開始剤を回転数2000rpmで5分間撹拌した後に、回転数2000rpmで5分間脱泡することにより、放熱塗料組成物を調製した。
スピンコーターを用いて、放熱塗料組成物を40×40(mm)四方で厚み0.4mmの銅板またはアルミ板に塗布した。(スピンコーターの回転数は、それぞれの実施例ごとに硬化膜(塗膜)が約30μmになるように調整した。)
紫外線照射器(ウシオ電機(株)製)として高圧水銀ランプを用いて、積算露光量500mJ/cmとなるように紫外線を照射して、塗布した放熱塗料組成物を硬化させ、金属板を有する放熱部材を形成した。
【0074】
<放熱特性の評価>
金属板を有する放熱部材の金属面側とセラミックヒーター(坂口電熱(株)製マイクロセラミックヒーターMS−3)を両面テープ(住友スリーエム(株)製 熱伝導性接着剤転写テープNo.9885)を用いて貼り合わせた。セラミックヒーターの放熱部材を張り合わせた面の裏面にK熱電対(理化工業(株)製ST−50)を取り付け、データロガーを用いてパソコンにてその温度を記録した。このヒーターを取り付けた放熱部材を40℃に設定した恒温槽中央に静置し、セラミックヒーターの温度が40℃で一定になったことを確認した後、セラミックヒーターに直流安定化電源を用いて14Vを印加し、セラミックヒーター表面の温度変化を測定した。セラミックヒーターは一定の熱量を発生しているので、取り付けてある放熱部材の放熱効果が高いほど、セラミックヒーターの温度は低下する。すなわち、セラミックヒーターの温度が低くなる放熱部材ほど放熱効果が高いといえる。
【0075】
≪参考例1≫
セロキサイド2021P、平均粒径7.5μmの合成コーディエライト(SS−200)、メチルエチルケトン(MEK)、およびCPI-210Sをそれぞれ100重量部、100重量部、20重量部、0.5重量部を秤量してポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。調製した放熱塗料組成物を40×40(mm)四方で厚み0.4mmの銅板にスピンコートで塗布した後に紫外線照射器で硬化させた。この硬化膜(塗膜)で覆われた銅板を参考例1の試料とした。
≪実施例1≫
セロキサイド2021P、ムライト、メチルエチルケトン(MEK)、およびCPI-210Sをそれぞれ100重量部、100重量部、20重量部、0.5重量部を秤量してポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。調製した放熱塗料組成物を40×40(mm)四方で厚み0.4mmの銅板にスピンコートで塗布した後に紫外線照射器で硬化させた。この硬化膜(塗膜)で覆われた銅板を実施例1の試料とした。
≪比較例1〜3≫
フィラーの種類が異なる以外は、参考例1と同様に硬化膜(塗膜)で覆われた銅板を作製し、比較例1〜3の試料とした。
≪比較例4≫
セロキサイド2021Pのみを銅板に塗布した後に紫外線照射器で硬化させた。この硬化膜(塗膜)で覆われた銅板を比較例4の試料とした。
【0076】
【表1】

【0077】
≪参考例2〜5≫
さらに、色味の調整や放熱効果を高めるために、コーディエライトと追加フィラーを添加した。追加フィラーの添加量の割合を下記に示す。溶媒(MEK)と光重合開始剤(CPI−210S)の割合、および試料の作製手順は参考例1と同様である。
【表2】

【0078】
実施例1、参考例1〜5、および比較例1〜4の試料について、放熱特性の評価結果を下記に示す。
【表3】

表3中の比較例1および2に示す「測定不可」とは、硬化膜(塗膜)が剥離して放熱特性の評価ができなかったことを示す。実施例1、参考例1〜5に示す結果から、斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーを含有した本発明の放熱部材は優れた放熱性を有していることがわかる。
【0079】
≪参考例6≫
セロキサイド2021P、平均粒径7.5μmの合成コーディエライト(SS−200)、メチルエチルケトン(MEK)、およびCPI-210Sをそれぞれ100重量部、100重量部、20重量部、0.5重量部を秤量してポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。調製した放熱塗料組成物を40×40(mm)四方で厚み0.4mmのアルミ板にスピンコートで塗布した後に紫外線照射器で硬化させた。この硬化膜(塗膜)で覆われたアルミ板を参考例6の試料とした。
≪実施例2≫
セロキサイド2021P、jER828、平均粒径1.7μmの合成コーディエライト(SS−1000)、メチルエチルケトン(MEK)、およびCPI-210Sをそれぞれ50重量部、50重量部、100重量部、20重量部、0.5重量部を秤量してポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。調製した放熱塗料組成物を40×40(mm)四方で厚み0.4mmのアルミ板にスピンコートで塗布した後に紫外線照射器で硬化させた。この硬化膜(塗膜)で覆われたアルミ板を実施例2の試料とした。
≪実施例3≫
セロキサイド2021P、OXT−101、平均粒径1.7μmの合成コーディエライト(SS−1000)、メチルエチルケトン(MEK)、およびCPI-210Sをそれぞれ80重量部、20重量部、100重量部、10重量部、0.5重量部を秤量してポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。調製した放熱塗料組成物を40×40(mm)四方で厚み0.4mmのアルミ板にスピンコートで塗布した後に紫外線照射器で硬化させた。この硬化膜(塗膜)で覆われたアルミ板を実施例3の試料とした。
≪参考例7≫
M−315、平均粒径7.5μmの合成コーディエライト(SS−200)、メチルエチルケトン(MEK)、およびIRGACURE907をそれぞれ100重量部、100重量部、50重量部、0.5重量部を秤量してポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。調製した放熱塗料組成物を40×40(mm)四方で厚み0.4mmのアルミ板にスピンコートで塗布した後に紫外線照射器で硬化させた。この硬化膜(塗膜)で覆われたアルミ板を参考例7の試料とした。
≪比較例5〜7≫
フィラーの種類が異なる以外は、参考例7と同様に硬化膜(塗膜)で覆われたアルミ板を作製し、比較例5〜7の試料とした。
≪比較例8≫
アルミ板の片面を黒色アルマイト処理したものを比較例8の試料とした。
【0080】
実施例2〜3、参考例6〜7、および比較例5〜8の試料について、放熱特性の評価結果を下記に示す。
【表4】

表4中の比較例5および6に示す「測定不可」とは、硬化膜(塗膜)が剥離して放熱特性の評価ができなかったことを示す。実施例2〜3、参考例6〜7に示す結果から、斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーを含有した本発明の放熱部材は優れた放熱性を有していることがわかる。
【0081】
[実施例B]
実施例Bでは、透明性についての評価を示す。
本発明の実施例Bに用いた、放熱塗料組成物を構成する成分材料は次のとおりである。
<エポキシ化合物>
セロキサイド2021P:(株)ダイセル
セロキサイド3000:(株)ダイセル
EHPE3150:(株)ダイセル
jER828:三菱化学(株)
jER806:三菱化学(株)
YX4000K:三菱化学(株)
YED216M:三菱化学(株)
<オキセタン化合物>
OXT−101:東亞合成(株)
<ビニルエーテル>
エチレングリコールモノビニルエーテル:東京化成工業(株)
<(メタ)アクリル化合物>
ライトエステルCH:共栄社化学(株)
ライトエステルTHF(1000):共栄社化学(株)
エポキシエステル3000A:共栄社化学(株)
4HBA:日本化成(株)
CN9782:サートマー社
M−140:東亞合成(株)
M−211B:東亞合成(株)
M−215:東亞合成(株)
M−305:東亞合成(株)
M−315:東亞合成(株)
M−7300K:東亞合成(株)
ブレンマーGH:日油(株)
ポリ(メタクリル酸メチル)[MW 75000]:和光純薬工業(株)
<ニトロセルロース系クリヤーラッカー>
セルバ26:関西ペイント(株)
<ポリビニルアセタール樹脂>
ポリビニルホルマール(ビニレック):JNC(株)
<ラジカル発生剤>
IRGACURE184:BASF
IRGACURE819:BASF
IRGACURE907:BASF
2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):東京化成工業(株)
<カチオン発生剤>
CPI−210S:サンアプロ(株)
SI−100:三新化学工業(株)
SI−110:三新化学工業(株)
WPI−113:和光純薬工業(株)
IRGACURE250:BASF
<酸無水物系硬化剤>
無水トリメリット酸(TMA):関東化学(株)
<アミン系硬化剤>
2−イミダゾール:関東化学(株)
<フィラー>
合成コーディエライト:丸ス釉薬合資会社 (商品名)SS−1000
電融ムライト:太平洋ランダム(株) 70M(商品名)325F
酸化アルミニウム(アルミナ):昭和電工(株) (商品名)AL−47H
二酸化ケイ素(シリカ):富士シリシア(株) サイリシア
窒化アルミニウム:(株)トクヤマ TYPE H
窒化ホウ素:電気化学工業(株) デンカボロンナイトライド(商品名)SGP3−7
酸化亜鉛:(株)アムテック パナテトラ(商品名)WZ−0511
ナノダイヤモンド:Carbodeon社 (商品名)Molto Nuevo
タルク:林化成(株) (商品名)ミクロンホワイト#5000S
水酸化アルミニウム:関東化学(株)
水酸化マグネシウム:関東化学(株)
チタンブラック:三菱マテリアル(株)(商品名)13M−C
<溶剤>
メチルエチルケトン(MEK):和光純薬工業(株)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA):関東化学(株)
トルエン:和光純薬工業(株)
シクロペンタノン:日本ゼオン(株)
【0082】
<試料作製>
アペックスミル(寿工業(株)製)または自転・公転ミキサー((株)シンキー製あわとり錬太郎 ARE250)を使用して、バインダー樹脂とフィラーの粉末をメチルエチルケトン(MEK)に分散させ、得られた混合液に重合開始剤または硬化剤を添加して、放熱塗料組成物を調製した。
熱拡散率の測定用の自立膜は下記のように作製した。バーコーターを用いて、放熱塗料組成物をPETフィルムまたはテフロン(登録商標)シートに塗布して、硬化または乾燥させて塗膜を作製した。(バーコーターの番手を変えることで、それぞれの実施例ごとに膜厚が約100μmになるように調製した。)作製した塗膜をPETフィルムまたはテフロン(登録商標)シートから剥離することで自立膜を得た。
測定用の試料は下記のように作製した。バーコーターを用いて、放熱塗料組成物をガラス基板(100×100×1mm)に塗布して、硬化または乾燥させて試料を作製した。(バーコーターの番手を変えることで、それぞれの実施例ごとに膜厚が5〜10μmになるように調製した。)
【0083】
<粒度分布の測定法>
各粒子の平均粒径(メジアン径)の測定は、堀場製作所製レーザー回折散乱式粒度分布測定装置LA−950V2を用いて測定した。すなわち、フランホーファー回折理論およびミーの散乱理論による解析を利用して、湿式法にて測定を行い、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量(体積基準)となる径をメジアン径とした。測定は湿式法、純水中に測定試料少量(耳かき一杯程度)を加えた後、超音波バス中で3分間処理し、試料が分散した溶液を用いた。測定時のスラリーの濃度はレーザーの透過率が80%になるように調製した。
<熱拡散率の測定>
作製した自立膜の熱拡散率は、熱拡散率・熱伝導率測定装置((株)アイフェイズ製ai−Phase Mobile 1u)を用いて測定した。
<全光線透過率の測定>
作製したガラス基板上の塗膜の全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色工業(株)NDH5000)を用いて測定した。
<全光線透過率の測定方法>
調製した塗膜の光線透過率は日本電色工業(株)のNDH5000を用いてJISK 7361に準拠し、D65光源を用いて測定した。
<ヘイズの測定>
作製したガラス基板上の塗膜のヘイズは、JIS K 7136に準拠し、日本電色工業(株)のNDH5000を用いて、曇り度(ヘイズ)=散乱光/全光線透過光×100(%)の計算式に基づいて全光線透過率および拡散率から算出した。
【0084】
≪実施例21≫
表5に示した割合でそれぞれ合成コーディエライト、セロキサイド2021P、セロキサイド3000、2重量部の重合開始剤CPI−210S、および20重量部のメチルエチルケトン(MEK)を用いて、ガラス上に塗布した。塗膜を硬化させるために、高圧水銀ランプを装着した紫外線照射器(ウシオ電機(株)製)を用いて、積算露光量250mJ/cmの紫外線を照射した。
なお、以下の実施例および比較例の熱拡散率の測定は、同一の放熱塗料組成物を用いて自立膜を作製して行った。
≪実施例22≫
重合開始剤として2.7重量部のIRGACURE250を用いて実施例21と同様に試料を作製した。
≪実施例23≫
重合開始剤として4重量部のWPI−113を用いて実施例21と同様に試料を作製した。
≪実施例24〜28≫
表5に示した割合でそれぞれ合成コーディエライト、セロキサイド2021P、jER828、2重量部の重合開始剤CPI-210S、および50重量部のメチルエチルケトン(MEK)を用いて、試料を作成した。塗膜を硬化させるために、高圧水銀ランプを装着した紫外線照射器を用いて、積算露光量400mJ/cmの紫外線を照射した。
≪実施例29≫
重合開始剤として2.7重量部のIRGACURE250を用いて実施例28と同様に試料を作製した。
≪実施例30≫
重合開始剤として4重量部のWPI−113を用いて実施例28と同様に試料を作製した。
≪実施例31≫
フィラーとしてムライトを用いて実施例28と同様に試料を作製した。
≪比較例21≫
表5に示した割合のセロキサイド2021P、セロキサイド3000および2重量部の重合開始剤CPI-210Sを20重量部のメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた溶液をポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。塗膜を作製するために高圧水銀ランプを装着した紫外線照射器を用いて、積算露光量50mJ/cmの紫外線を照射した。
≪比較例22〜24≫
表1に示した割合でそれぞれフィラー、セロキサイド2021P、セロキサイド3000、2重量部の重合開始剤CPI−210S、および20重量部のメチルエチルケトン(MEK)を用いて、ガラス上に塗布した。塗膜を硬化させるために、高圧水銀ランプを装着した紫外線照射器を用いて、積算露光量250mJ/cmの紫外線を照射した。
≪比較例25≫
表5に示した割合でそれぞれセロキサイド2021P、jER828および2重量部の重合開始剤CPI−210S、および20重量部のメチルエチルケトン(MEK)を用いて、ガラス上に塗布した。塗膜を硬化させるために、高圧水銀ランプを装着した紫外線照射器を用いて、積算露光量80mJ/cmの紫外線を照射した。
≪比較例26〜28≫
表5に示した割合でそれぞれフィラー、セロキサイド2021P、jER828、2重量部の重合開始剤CPI−210S、および20重量部のメチルエチルケトン(MEK)を用いて、ガラス上に塗布した。塗膜を硬化させるために、高圧水銀ランプを装着した紫外線照射器を用いて、積算露光量400mJ/cmの紫外線を照射した。
【0085】
作製した実施例21〜31および比較例21〜28の試料について、測定した熱拡散率、全光線透過率、およびヘイズを測定した。測定結果を表5に示す。
表中の略称は以下の通り。
コーディエライト:CDL
ムライト:MUL
セロキサイド2021P:EP1
セロキサイド3000:EP2
重合開始剤CPI−210S:IA
重合開始剤IRGACURE250:IB
重合開始剤WPI−113:IC
重合開始剤IRGACURE907:ID
【表5】

表5に示すようにコーディエライトおよびムライトを含む放熱塗料組成物から得られる塗膜は、熱拡散率に加えて透明性にも優れていることがわかる。熱伝導性フィラーとして広く使用されているアルミナでは、30%以下のヘイズが得られない。また窒化アルミニウムは、加水分解によりアンモニアが生じる問題がある。コーディエライトおよびムライトは化学的に安定であり、適切な粒径のフィラーを使用することで、優れた熱拡散率および透明性を両立させることができる。
【0086】
≪実施例32≫
表6に示した割合でそれぞれ合成コーディエライト、(メタ)アクリル化合物および2重量部の重合開始剤IRGACURE907を100重量部のメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた溶液をポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。塗膜を硬化させるために高圧水銀ランプを装着した紫外線照射器を用いて、積算露光量500mJ/cmの紫外線を照射した。
≪比較例29≫
表6に示した割合でそれぞれ窒化アルミニウム、M−211B、M−315、4HBAおよび2重量部の重合開始剤IRGACURE907を100重量部のメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた溶液をポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。ガラス上に塗布し、塗膜を硬化させるために高圧水銀ランプを装着した紫外線照射器を用いて、積算露光量500mJ/cmの紫外線を照射した。
≪比較例30〜32≫
表6に示した割合でそれぞれフィラー、M−211B、M−315、4HBAおよび2重量部の重合開始剤IRGACURE907を100重量部のメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた溶液をポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。塗膜を作製するために高圧水銀ランプを装着した紫外線照射器を用いて、積算露光量500mJ/cmの紫外線を照射した。
【0087】
作製した実施例32および比較例29〜32の試料について、測定した熱拡散率、全光線透過率、およびヘイズを測定した。測定結果を表6に示す。
【表6】

表6に示すようにコーディエライトを含むアクリル系の放熱塗料組成物から得られる塗膜は、熱拡散率および透明性の両方に優れていることがわかる。
【0088】
≪実施例33≫
反応容器にブレンマーGHを4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを12g、および2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.2g入れ、窒素雰囲気下、80℃で2時間反応させて、架橋性官能基を有するメタクリル樹脂(ポリマー1)を得た。ポリマー1の溶液に無水トリメリット酸を2.7gおよび合成コーディエライトを1.54g加えて、ポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。混合液をガラス上に塗布し、オーブンで150℃、30分加熱した。
≪比較例33≫
反応容器にブレンマーGHを4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを12g、および2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.2g入れ、窒素雰囲気下、80℃で2時間反応させて、架橋性官能基を有するメタクリル樹脂(ポリマー1)を得た。ポリマー1の溶液に無水トリメリット酸を2.7g加えて、ポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。混合液をガラス上に塗布し、オーブンで150℃、30分加熱した。
【0089】
作製した実施例33および比較例33の試料について、熱拡散率、全光線透過率、およびヘイズを測定した。測定結果を表7に示す。
【表7】

表7に示すようにコーディエライトを含む無水トリメリット酸で架橋処理したメタアクリルポリマーの放熱塗料組成物から得られる塗膜は、熱拡散率および透明性の両方に優れていることがわかる。
【0090】
≪実施例34≫
表8に示した割合でそれぞれ合成コーディエライトおよびセルバ26をポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。混合液をガラス上に塗布して、オーブンで80℃、4時間加熱した。
≪実施例35≫
表8に示した割合でそれぞれ合成コーディエライトおよび30wt%ポリ(メタクリル酸メチル)のトルエン溶液をポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。混合液をガラス上に塗布して、オーブンで80℃、4時間加熱した。
≪実施例36≫
表8に示した割合でそれぞれ合成コーディエライトおよび10wt%ポリビニルホルマールのシクロペンタノン溶液をポリプロピレン製の容器に入れ、自転・公転ミキサーで混合した。混合液をガラス上に塗布し、オーブンで80℃、4時間加熱した。
≪比較例34≫
セルバ26をガラス基板へ塗布後、オーブンで80℃、4時間加熱して、塗膜を作製した。
≪比較例35≫
30wt%ポリ(メタクリル酸メチル)のトルエン溶液をガラス基板へ塗布後、オーブンで80℃、4時間加熱して、塗膜を作製した。
≪比較例36≫
10wt%ポリビニルホルマールのシクロペンタノン溶液をガラス基板へ塗布後、オーブンで80℃、4時間加熱して、塗膜を作製した。
【0091】
作製した実施例34〜36および比較例34〜36の試料について、熱拡散率および全光線透過率を測定した。測定結果を表8に示す。
【表8】

表8に示すようにコーディエライトを含む熱可塑性樹脂類の放熱塗料組成物から得られる塗膜は、熱拡散率および透明性の両方に優れていることがわかる。
【符号の説明】
【0092】
1 放熱部材
10 金属板を有する放熱部材
11 フィラー
12 追加フィラー
13 光硬化性樹脂、バインダー樹脂
14 硬化膜、塗膜
15 金属板
20 電子デバイス
21 ガラス基板
22 陽極
23 エレクトロルミネセンス層
24 陰極
25 乾燥剤
26 封止体
27 接着剤
30 電子部品
40 モーター本体
41 外表面
50 モーター
60 バッテリー本体
70 バッテリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が0.45〜2.5μmである斜方晶系のケイ酸塩鉱物のフィラーをフィラー総重量の80%以上と;
バインダー樹脂とを含有する;
放熱塗料組成物。
【請求項2】
塗膜にした状態で、ヘイズが30%以下となる、
請求項1に記載の放熱塗料組成物。
【請求項3】
前記斜方晶系のケイ酸塩鉱物は、コーディエライトまたはムライトである、
請求項1または請求項2に記載の放熱塗料組成物。
【請求項4】
一次粒子径が100nm以下の、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、およびナノダイヤモンドからなる群から選ばれる少なくとも1種の追加フィラーをさらに含む、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱塗料組成物。
【請求項5】
前記バインダー樹脂は、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の放熱塗料組成物。
【請求項6】
前記光硬化性樹脂は、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、および(メタ)アクリル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
重合開始剤として光カチオン重合開始剤または光ラジカル重合開始剤をさらに含む、
請求項5に記載の放熱塗料組成物。
【請求項7】
前記光硬化性樹脂は、脂環式エポキシ化合物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビフェノールのジグリシジルエーテル、多官能性(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、
請求項6に記載の放熱塗料組成物。
【請求項8】
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アミノ樹脂、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂、およびポリビニルアルコールと架橋性成分の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
硬化剤として、酸、塩基、熱酸発生剤、酸無水物系硬化剤またはアミン系硬化剤をさらに含む、
請求項5に記載の放熱塗料組成物。
【請求項9】
前記熱硬化性樹脂は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビフェノールのジグリシジルエーテル、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、
請求項8に記載の放熱塗料組成物。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂は、有機溶剤または水に可溶であり、ABS樹脂、ポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、アルキド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、またはこれらの誘導体である、
請求項5に記載の放熱塗料組成物。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の放熱塗料組成物を膜状に形成した;
放熱部材。
【請求項12】
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の放熱塗料組成物より得られる塗膜と;
前記塗膜により被膜された金属板を備える;
放熱部材。
【請求項13】
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の放熱塗料組成物より得られる塗膜と;
前記塗膜により被膜された成形品を備える;
物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−100454(P2013−100454A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−168604(P2012−168604)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【Fターム(参考)】