説明

放熱性ポリウレタン樹脂組成物及び放熱性ポリウレタンシート

【課題】 高い体積固有抵抗値及び優れた柔軟性を長期に亘って維持し得るポリウレタン樹脂組成物、及びこれを用いた放熱性ポリウレタンシートを提供すること。
【解決手段】
ポリイソシアネート及びポリブタジエンポリオールとの反応により得られるポリウレタン樹脂中に、無機充填材と、変性ひまし油可塑剤とを含有している放熱性ポリウレタン樹脂組成物であって、ポリブタジエンポリオールとして、(シス−1,4構造/トランス−1,4構造/1,2−ビニル構造)の比率が、5〜20/10〜30/50〜85であるものを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱性ポリウレタン樹脂組成物及び放熱性ポリウレタンシートに関し、より詳細には、高い体積固有抵抗値及び優れた柔軟性を長期に亘って維持し得るポリウレタン樹脂組成物、及びこれを用いた放熱性ポリウレタンシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電化製品等に使用される電子回路の基板においては、電子部品を湿気等から保護するために体積抵抗値の高い難燃性の放熱性ポリウレタン樹脂組成物等からなる封止材によって基板全体を封止することが行われている(特許文献1)。しかし、電子回路の基板には、動作時に発熱する多くの電子部品が取り付けられ、近年ではLSI等に見られるように電子回路の集積化及び高機能化が為されているため、放熱量の増大とともにその発熱も局部的なものとなってきている。このように電子部品から発生する熱を効率よく除去するためには、封止材が回路基板や電子部品に長期間密着していることが必要なため、長期に亘って柔軟性を保持し得ることが必要である。また、封止剤として使用される放熱性ポリウレタン樹脂は、電子部品に密着した状態で使用されるため、長期に亘って高い体積固有抵抗値を維持し得ることも必要とされる。
【0003】
このような点に鑑み、従来の問題点を解決すべく、種々の放熱性ポリウレタン樹脂組成物の開発が行われている(特許文献2〜7)。しかしながら、すべての性能において満足し得る放熱性ポリウレタン樹脂組成物は得られておらず、特に、高い体積固有抵抗値及び優れた柔軟性を長期に亘って維持し得るポリウレタン樹脂組成物は得られていないというのが実情である。
【特許文献1】特開2000−226426号公報
【特許文献2】特開2002−121529号公報
【特許文献3】特開2002−134666号公報
【特許文献4】特開2003−133493号公報
【特許文献5】特開2003−138130号公報
【特許文献6】特開2004−300300号公報
【特許文献7】特開2007−131830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来技術に鑑みて為されたものであり、本発明の目的は、高い体積固有抵抗値及び優れた柔軟性を長期に亘って維持し得るポリウレタン樹脂組成物、及びこれを用いた放熱性ポリウレタンシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物は、ポリイソシアネートと、ポリブタジエンポリオールとの反応により得られるポリウレタン樹脂中に、無機充填材と、変性ひまし油可塑剤とを含有している放熱性ポリウレタン樹脂組成物であって、前記ポリブタジエンポリオールにおける、(シス−1,4構造/トランス−1,4構造/1,2−ビニル構造)の比率が、5〜20/10〜30/50〜85であることを特徴とする。
【0006】
本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物は、ポリイソシアネートとして多官能のものを使用しているため、得られるポリウレタンポリマーがネットワーク状に形成される。一方、ポリオールとしては、1,2−ビニル構造の比率が高いポリブタジエンポリオールを使用しているため、生成するポリウレタン樹脂の可撓性が大きくなる。その結果、無機充填材を配合した場合にも、得られる放熱性ポリウレタン樹脂組成物の柔軟性が高くなる。
【0007】
本発明の放熱性ポリウレタンシートは、上記放熱性ポリウレタン樹脂組成物を成型することにより得られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物及び放熱性ポリウレタンシートは、高い体積固有抵抗値を長期に亘って維持し得るので、長期間使用しても回路を構成する電子部品等の機能に影響を与えることもない。また、優れた柔軟性を長期に亘って維持し得るので、電子部品に十分に密着して発生する多量の熱を外部に放出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のポリウレタン樹脂成分は、ポリイソシアネートと、特定の構造を有するポリブタジエンポリオールとを反応させて得られる。ここで使用し得るポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。
【0010】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0011】
脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0012】
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0013】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0014】
また、これらの有機ポリイソシアネートの2量体、3量体や、イソシアヌレート体、ビューレット体、アダクト体等の変性体を挙げることができる。尚、これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることもできる。
【0015】
これらのうち、特に、変色が起こりにくいという観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート変性イソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネート変性ビューレット体、及びヘキサメチレンジイソシアネート変性アダクト体がより好ましい。
【0016】
また、本発明においては、上記ポリイソシアネートと特定の構造を有するポリブタジエンポリオールとをイソシアネート基過剰条件で反応させて得られるウレタンプレポリマーをポリイソシアネートとして使用してもよい。
【0017】
また、本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物に使用されるポリオールはポリブタジエンポリオールであり、ポリブタジエン骨格部分における(シス−1,4構造/トランス−1,4構造/1,2−ビニル構造)の比率が、5〜20/10〜30/50〜85の範囲にあるポリブタジエンポリオールである。また、ポリオールとして、前述のポリイソシアネートと前記特定の構造を有するポリブタジエンポリオールとを水酸基過剰条件で反応させて得られるものを使用してもよい。このように1,2−ビニル構造が多く存在させることにより、得られるポリウレタン分子が合成ゴムのような性質を発現し、ポリウレタン樹脂成分の可撓性が高められることとなる。
【0018】
また、ポリブタジエンポリオールの水酸基の平均官能基数は、1.5〜2.1の範囲であることが好ましい。水酸基の平均官能基数がこの範囲より小さいと、得られる樹脂の耐熱性が低くなり、この範囲より大きいと、樹脂が硬くなり、柔軟性に乏しいものとなる場合があるからである。
【0019】
更に、本発明の組成物に使用されるポリブタジエンポリオールは、臭素価が0.1〜200g/100gであることが好ましい。臭素価が上記範囲より小さいと、得られる樹脂の耐熱性が低くなり、この範囲より大きいと、高温下で経時的に硬度が上昇しすぎる場合があるからである。
【0020】
本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物においては、ポリイソシアネートと、ポリブタジエンポリオールとの比率は、ポリイソシアネートのイソシアネート基と、ポリブタジエンポリオールの水酸基とのモル比(NCO/OH)が0.3〜1.1の範囲内であることが好ましい。イソシアネート基と水酸基のモル比がこの範囲より小さいと、得られる樹脂の耐熱性が低くなり、この範囲より大きいと、樹脂が硬くなり、柔軟性に乏しいものとなる場合があるからである。
【0021】
本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物に使用される無機充填材としては、電気伝導度が小さいものを使用することが好ましい。具体的には、無機充填材と水とを8/80(無機充填材/水)の重量比で混合した後、80℃で13時間放置後の上澄み液の電気伝導度が40μS/cm以下となるものである。このような無機充填材として、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化マグネシウムなどを挙げることができる。
【0022】
また、本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物に使用される変性ひまし油可塑剤としては、メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、アセチル化リシノール酸トリグリセリド、アセチル化ポリリシノール酸トリグリセリド等を挙げることができる。変性ひまし油を可塑剤として配合すれば、ポリイソシアネートと、ポリブタジエンポリオールと、無機充填材とを配合したときの粘度を低減することができ、本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物の製造が容易となる。
【0023】
本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物においては、前述のポリイソシアネートと、ポリブタジエンポリオールとの反応により得られるポリウレタン樹脂と、無機充填材と、変性ひまし油可塑剤との配合割合が、1〜69重量%/30〜95重量%/1〜30重量%の範囲であることが好ましい。上記配合割合が上記範囲を外れると、放熱性ポリウレタン樹脂組成物の柔軟性が低下したり、熱伝導率が低下したり、また、製造時の粘度が上昇するなど、好ましくない事態を引き起こす場合がある。
【0024】
本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物には、酸化防止剤、分散剤など、必要に応じて各種の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのフェノール含有酸化防止剤、フェニルジイソデシルホスファイトなどのリン含有酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステルなどのイオウ含有酸化防止剤、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのフェノールとイオウとを一分子中に含有する酸化防止剤などを挙げることができる。酸化防止剤を用いる場合、放熱性ポリウレタン樹脂組成物を100重量%とした場合に、0.01〜5重量%の範囲で添加することが好ましい。また、分散剤としては、下記の化1に示すリン酸エステル系のものを使用することができる。リン酸エステル系の分散剤を用いる場合、放熱性ポリウレタン樹脂組成物を100重量%とした場合に、0.01〜2重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0025】
【化1】

【0026】
また、本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物の調製に際しては、ポリウレタン樹脂の硬化を早めるために触媒を添加してもよい。触媒としては、通常、ポリウレタン樹脂の製造に使用される、金属触媒やアミン系触媒を使用することができる。金属触媒としては、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクテートなどの錫触媒、オクチル酸鉛、オクテン酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛触媒、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどのビスマス触媒などを挙げることができる。アミン系触媒としては、ジエチレントリアミンなどを挙げることができる。
【0027】
本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物は、硬化後のタイプAによる硬度が80以下となることが好ましい。また、121℃で相対湿度100%の条件下に100時間放置した直後の体積固有抵抗値が109Ω・cm以上であることが好ましい。更に、硬化後の熱伝導率が1〜2.5W/m・Kの範囲であることが好ましい。
【0028】
本発明の放熱性ポリウレタンシートは、放熱性ポリウレタン樹脂組成物を用いて成形することにより得られるものである。このシートは、180゜折り曲げても破損しないことが好ましい。また、150℃で60時間放置後のタイプAによる硬度が90以下であることが好ましい。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物及び放熱性ポリウレタンシートについて詳細に説明する。なお、本明細書中に於ける「部」、「%」は、特に明示した場合を除き、「重量部」、「重量%」をそれぞれ表している。
【0030】
表1に、本発明の実施例及び比較例において使用するポリオールについて、(シス−1,4構造/トランス−1,4構造/1,2−ビニル構造)の比率と、臭素価(g/100g)と、水酸基価(OHV)と、水酸基の平均官能基数をまとめて示した。
【0031】
【表1】

【0032】
また、表2に、本発明の実施例及び比較例において無機充填材として使用する種々の平均粒子径を有する各種のアルミナ及び水酸化アルミニウムの電気伝導度を調べた結果を示した。電気伝導度は、無機充填材/水=8/80の重量比で混合した後、80℃で13時間放置後の上澄み液の電気伝導度を測定することにより調べた。
【0033】
【表2】

【0034】
(実施例1〜7)
表3に示す配合により、実施例1〜7の放熱性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。調製に際しては、表3に示す成分のうち、ポリイソシアネート成分を除く成分を混合し、この混合物にイソシアネート成分を加えることにより、各実施例の放熱性ポリウレタン樹脂組成物を得た。
【0035】
なお、放熱性ポリウレタン樹脂組成物の調製する方法として、ポリイソシアネートの全量と、ポリブタジエンポリオールの一部と、変性ひまし油可塑剤の一部とを混合してポリウレタンプレポリマー含有物を予め調製しておくと共に、ポリブタジエンポリオールの残量と、変性ひまし油可塑剤の残量と、残りの他の成分とを混合した混合物とを予め調製しておき、前記ポリウレタンプレポリマー含有物と前記混合物とを混合してもよい。このようにポリウレタンプレポリマー含有物を予め調製しておく方法によれば、前述のポリイソシアネート成分を後から加える方法に比較して、硬化速度が速くなり、製造効率が向上するという利点がある。
【0036】
次に、上記放熱性ポリウレタン樹脂組成物を用いて放熱性ポリウレタンシートの試験片を作製した。まず、上記放熱性ポリウレタン樹脂組成物の278gを110×110×10mm(121cm3)の金型に充填した。次に、この金型に蓋をして10kgf/cm2の圧力でプレスし、23℃×48時間養生した後、これを脱型して放熱性ポリウレタンの試験片を得た。
【0037】
【表3】

【0038】
(比較例1〜7)
表4に示す配合により、実施例1〜7と同様にして比較例1〜7のポリウレタン樹脂組成物を得た。また、これらのポリウレタン樹脂組成物を用いて、実施例1〜7と同様にして放熱性ポリウレタンの試験片を作製した。
【0039】
【表4】

【0040】
<性能試験>
上記で得られた実施例1〜7及び比較例1〜7の試験片について、組成物調製時の混合初期の粘度、初期及び150℃で60時間放置後の試験片の硬度(タイプA)、初期及び121℃で相対湿度100%の下100時間放置後の体積固有抵抗値、熱伝導率、及び難燃性の評価を行った。また、上記とは別に3mm厚のシートを上記と同様に作製し、この3mm厚シートの折り曲げ破壊試験を行った。各試験結果を表3及び表4に併せて示した。各試験方法は、以下に示すとおりである。
【0041】
(混合粘度)
放熱性ポリウレタン樹脂組成物の調製時の粘度をBH型粘度計を用いて25℃で測定した。
【0042】
(硬度(タイプA))
硬度(タイプA)は、JIS K6253に従って測定した。
【0043】
(熱伝導率)
熱伝導率は、JIS R2618に従い、熱伝導率計(京都電子工業(株)製、QTM−D3)を用いて測定した。
【0044】
(体積固有抵抗値)
体積固有抵抗は、ADVANTEST社製、TR8601を使用して、測定開始から5分後の値を体積固有抵抗値とした。
【0045】
(難燃性)
難燃性は、UL規格のUL94(プラスチック材料の難燃性)に従って測定した。
【0046】
(3mm厚シートの折り曲げ破壊試験)
幅25mm、長さ100mm、厚み3mmのシ−トを作製し、長さ方向の中央(長さ50mm部分)にて23℃の条件下で180°折り曲げて、5秒後に割れが生じるか否かを調べた。割れが生じない場合を「○」、生じる場合を「×」として表した。
【0047】
(試験結果)
実施例1〜7の放熱性ポリウレタン樹脂組成物は、比較例1〜7の組成物に比較して混合初期の粘度が低かった。これは、変性ひまし油可塑剤を添加したことによる効果が大きいと考えられる。
【0048】
初期及び150℃で60時間放置後の硬度については、実施例1〜7の方が比較例1〜7よりも低く、柔軟性に富んでいることが分かる。
【0049】
3mm厚シートの折り曲げ破壊試験についても、実施例1〜7の方が比較例1〜7よりも低く、柔軟性に富んでいることが分かる。
【0050】
体積固有抵抗値については、初期及び121℃で相対湿度100%の下100時間放置後の何れにおいても、実施例1〜7の放熱性ポリウレタン樹脂組成物は、実用レベルであった。これに対して、比較例1〜7のポリウレタン樹脂組成物は、何れも低い体積固有抵抗値を示した。
【0051】
熱伝導率については、実施例1〜7及び比較例1〜7の何れの放熱性ポリウレタン樹脂組成物も高かった。特に、アルミナの配合比率の大きい実施例7の熱伝導率が高かった。
【0052】
難燃性については、実施例1〜7及び比較例1〜7の何れの放熱性ポリウレタン樹脂組成物も、良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の放熱性ポリウレタン樹脂組成物は、放熱性ポリウレタンシートとすれば、高い体積固有抵抗値及び優れた柔軟性を長期に亘って維持し得るので、電気製品、電子部品等の分野で利用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネートと、ポリブタジエンポリオールとの反応により得られるポリウレタン樹脂中に、無機充填材と、変性ひまし油可塑剤とを含有している放熱性ポリウレタン樹脂組成物であって、
前記ポリブタジエンポリオールにおける、(シス−1,4構造/トランス−1,4構造/1,2−ビニル構造)の比率が、5〜20/10〜30/50〜85である放熱性ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート変性イソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネート変性ビューレット体、及びヘキサメチレンジイソシアネート変性アダクト体から選択されるものである請求項1記載の放熱性ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリブタジエンポリオールの水酸基の平均官能基数が1.5〜2.1の範囲である請求項1又は2に記載の放熱性ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリブタジエンポリオールの臭素価が0.1〜200g/100gの範囲である請求項1乃至3の何れかに記載の放熱性ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリイソシアネートのイソシアネート基と前記ポリブタジエンポリオールの水酸基のモル比(NCO/OH)=0.3〜1.1の範囲内である請求項1乃至4の何れかに記載の放熱性ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項6】
前記無機充填材は、該無機充填材/水=8/80の重量比で混合し、80℃で13時間放置した後の上澄み液の電気伝導度が40μS/cm以下である請求項1乃至5の何れかに記載の放熱性ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項7】
前記ポリウレタン樹脂と、前記無機充填材と、前記変性ひまし油可塑剤との配合割合が、1〜69重量%/30〜95重量%/1〜30重量%の範囲である請求項1乃至6の何れかに記載の放熱性ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項8】
前記放熱性ポリウレタン樹脂組成物を100重量%とした場合に、酸化防止剤を0.01〜5重量%の範囲で更に含有している請求項1乃至7の何れかに記載の放熱性ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項9】
前記放熱性ポリウレタン樹脂組成物を100重量%とした場合に、リン酸エステル系分散剤を0.01〜2重量%の範囲で更に含有している請求項1乃至8の何れかに記載の放熱性ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の放熱性ポリウレタン樹脂組成物を成型することにより得られる放熱性ポリウレタンシート。

【公開番号】特開2009−13237(P2009−13237A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174642(P2007−174642)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】