説明

放熱用部品及びそれを備えた半導体パッケージ

【課題】熱伝導部材が半導体素子から剥離することを抑制可能な放熱用部品及びそれを備えた半導体パッケージを提供すること。
【解決手段】本放熱用部品は、基板上に実装された半導体素子上に、熱伝導部材を介して配置される放熱用部品であって、前記半導体素子に近い側に配置される第1層と、前記第1層上に積層され前記半導体素子から遠い側に配置される第2層と、を有し、前記第2層の熱膨張係数が、前記第1層の熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子上に配置され、半導体素子の発する熱を放熱する放熱用部品、及びそれを備えた半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
CPU(Central Processing Unit)等に使用される半導体素子は、基板に電気的に接続され、固定される。半導体素子は、動作時に高温となるため、半導体素子の温度を強制的に下げなければ、半導体素子の性能を発揮できず、半導体素子が壊れる可能性がある。
【0003】
従って、半導体素子上に、放熱板(ヒートシンク)や、放熱フィン(あるいはヒートパイプ)等の放熱用部品を装着することにより、半導体素子が発する熱を外部に有効に放出する経路を確保している。半導体素子と、放熱板等の放熱用部品との間には、熱伝導部材(TIM;Thermal Interface Material)を挟み、それぞれの凹凸面に追従して接触熱抵抗を減らし、スムーズな熱伝導が行なわれるよう試みられている。
【0004】
図1は、従来の放熱用部品を装着した半導体パッケージを例示する断面図である。図1を参照するに、半導体パッケージ100において、基板200上には、接続端子300を介して半導体素子400が実装され、基板200と半導体素子400との間にはアンダーフィル樹脂500が充填されている。
【0005】
半導体素子400上には、金属層750が形成された放熱用部品700が装着されている。半導体素子400と金属層750との間には、熱伝導部材600が配置されている。放熱用部品700は、接着剤800により基板200に固着されている。
【0006】
半導体パッケージ100において、基板200に搭載された半導体素子400から発する熱は、半導体素子400上に配置された熱伝導部材600を介して放熱用部品700に伝熱される。このように、熱伝導部材600は、半導体素子400と放熱用部品700とを直接接触させずに熱的に接続する手段として使用される。
【0007】
熱伝導部材600の材料としては、例えば、熱伝導性の良いインジウムを使用することができる。例えば、熱伝導部材600の材料としてインジウムを使用する場合には、半導体素子400上に熱伝導部材600を介して放熱用部品700を装着する際に、インジウムからなる熱伝導部材600を溶融させるため、半導体パッケージ100を、例えば180℃程度に加熱した後常温に戻す。
【0008】
ここで、例えば、半導体素子400がシリコンである場合の熱膨張係数は3ppm/℃程度であり、基板200がFR−4基板(難燃性のガラス布基材にエポキシ樹脂を含浸させた銅張り積層板)である場合の熱膨張係数は15ppm/℃程度である。前述のように、半導体パッケージ100を加熱した後常温に戻すと、このような半導体素子400と基板200との熱膨張係数の差により、半導体パッケージ100に反りが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−186869号公報
【特許文献2】特開2004−327711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図2は、従来の放熱用部品を装着した半導体パッケージに反りが発生した状態を例示する断面図である。図2に示すように、半導体パッケージ100に反りが発生すると、反りに追従できない熱伝導部材600が半導体素子400から剥離し(図2の矢印部)、放熱性能が低下するという問題があった。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、熱伝導部材が半導体素子から剥離することを抑制可能な放熱用部品及びそれを備えた半導体パッケージを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本放熱用部品は、基板上に実装された半導体素子上に、熱伝導部材を介して配置される放熱用部品であって、前記半導体素子に近い側に配置される第1層と、前記第1層上に積層され前記半導体素子から遠い側に配置される第2層と、を有し、前記第2層の熱膨張係数が、前記第1層の熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
本半導体パッケージは、基板上に接続端子を介して半導体素子が実装された半導体パッケージであって、前記半導体素子上に、熱伝導部材を介して放熱用部品が配置され、前記放熱用部品は、前記半導体素子に近い側に配置される第1層と、前記第1層上に積層され前記半導体素子から遠い側に配置される第2層と、を有し、前記第2層の熱膨張係数が、前記第1層の熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱伝導部材が半導体素子から剥離することを抑制可能な放熱用部品及びそれを備えた半導体パッケージを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の放熱用部品を装着した半導体パッケージを例示する断面図である。
【図2】従来の放熱用部品を装着した半導体パッケージに反りが発生した状態を例示する断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る放熱用部品を装着した半導体パッケージを例示する断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る放熱用部品を装着した半導体パッケージに反りが発生した状態を例示する断面図である。
【図5】第1の実施の形態の変形例に係る放熱用部品を装着した半導体パッケージに反りが発生した状態を例示する断面図である。
【図6】第2の実施の形態に係る放熱用部品を装着した半導体パッケージに反りが発生した状態を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0017】
〈第1の実施の形態〉
図3は、第1の実施の形態に係る放熱用部品を装着した半導体パッケージを例示する断面図である。図3を参照するに、半導体パッケージ10において、基板20上には、接続端子30を介して半導体素子40が実装され、基板20と半導体素子40との間にはアンダーフィル樹脂50が充填されている。
【0018】
基板20としては、例えば、FR−4基板(難燃性のガラス布基材にエポキシ樹脂を含浸させた銅張り積層板)等を用いることができる。基板20の半導体素子40側の面には、電極パッド(図示せず)が形成されている。なお、基板20は、ビルドアップ工法により製造されたコアレスやコア有りの多層配線基板、スルービアで各配線層を接続する貫通多層配線基板、IVH(Interstitial Via Hole)で特定の配線層を接続するIVH多層配線基板等を含む様々な配線基板であっても良い。
【0019】
半導体素子40は、例えばシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)等からなる半導体基板に半導体集積回路(図示せず)が形成されたものである。半導体素子40の基板20側の面には、電極パッド(図示せず)が形成されている。基板20の電極パッドと半導体素子40の電極パッドとは、接続端子30を介して電気的に接続されている。接続端子30は、例えば、はんだボール等である。
【0020】
半導体素子40上には、金属層75が形成された放熱用部品70が装着されている。半導体素子40と金属層75との間には、インジウム等の熱伝導部材60が配置されている。放熱用部品70は、接着剤80により基板20に固着されている。
【0021】
半導体パッケージ10において、基板20に搭載された半導体素子40から発する熱は、半導体素子40上に配置された熱伝導部材60を介して放熱用部品70に伝熱される。このように、熱伝導部材60は、半導体素子40と放熱用部品70とを直接接触させずに熱的に接続する手段として使用される。熱伝導部材60の材料としては、例えば、熱伝導性の良いインジウム等を使用することができる。
【0022】
放熱用部品70の半導体素子40側の一部の領域には、金属層75が形成されている。金属層75は、インジウム等からなる熱伝導部材60を濡れ性よく放熱用部品70に接続するために形成された層である。金属層75は、例えば金めっき層等とすることができる。なお、金属層75は、形成しなくても構わない。
【0023】
放熱用部品70は、第1層71と、第2層72とを有する。放熱用部品70は、例えばクラッド材を用い、クラッド材をプレス等で変形させることにより作製できる。ここで、クラッド材とは、異種金属を一枚の板に圧延し、それぞれの材料特性を引き出すための複合材である。放熱用部品70において、第2層72には、第1層71よりも熱膨張係数の小さな金属や合金等を用いている。なお、クラッド材に代えて、銅と炭素材料の複合材料等を用いても構わない。
【0024】
第1層71及び第2層72の材料としては、例えば、熱伝導率の高い銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銅とタングステンの合金(CuW:例えば10〜20%Cu)、銅とモリブデンの合金(CuMo:例えば15〜20%Mo)、モリブデン(Mo)等の金属又は合金等を用いることが好ましい。なお、放熱用部品70の表面に、ニッケル(Ni)めっき等を施しても構わない。
【0025】
ここで、銅(Cu)の熱伝導率は、390W/mK程度である。アルミニウム(Al)の熱伝導率は、247W/mK程度である。銅とタングステンの合金(CuW:例えば10〜20%Cu)の熱伝導率は、190W/mK程度である。銅とモリブデンの合金(CuMo:例えば15〜20%Mo)の熱伝導率は、165W/mK程度である。モリブデン(Mo)の熱伝導率は、140W/mK程度である。
【0026】
又、銅(Cu)の熱膨張係数は、17ppm/℃程度である。アルミニウム(Al)の熱膨張係数は、24ppm/℃程度である。銅とタングステンの合金(CuW:例えば10〜20%Cu)の熱膨張係数は、6.5〜8.3ppm/℃程度である。銅とモリブデンの合金(CuMo:例えば15〜20%Mo)の熱膨張係数は、7〜8ppm/℃程度である。モリブデン(Mo)の熱膨張係数は、5ppm/℃程度である。
【0027】
上記物性値を考慮すると、例えば、第1層71の材料としてアルミニウム(Al)を選択した場合には、第2層72の材料はアルミニウム(Al)よりも熱膨張係数の小さな銅(Cu)を用いることができる。又、他の例として、第1層71の材料として銅(Cu)を選択した場合には、第2層72の材料は銅(Cu)よりも熱膨張係数の小さなモリブデン(Mo)を用いることができる。もちろん、『第2層72には、第1層71よりも熱膨張係数の小さな金属や合金等を用いる』という要件を満足すれば、他の組み合わせであっても良いことは言うまでもない。
【0028】
放熱用部品70において、半導体素子40上部の厚さ(T+T)は、例えば1mm程度とすることができる。第1層71がアルミニウム(Al)で第2層72が銅(Cu)である場合、第1層71の厚さTは例えば0.10mm、第2層72の厚さTは例えば0.90mmとすることができる。第1層71が銅(Cu)で第2層72がモリブデン(Mo)である場合、第1層71の厚さTは例えば0.76mm、第2層72の厚さTは例えば0.24mmとすることができる。
【0029】
ところで、実際には、半導体パッケージ10の製造時(放熱用部品70装着時)に、半導体素子40上に熱伝導部材60を介して放熱用部品70を装着する際に、例えばインジウムからなる熱伝導部材60を溶融させるため、半導体パッケージ10を、例えば180℃程度に加熱した後常温に戻す。従って、図4に示すように、半導体パッケージ10にも、従来の半導体パッケージ100と同様に、反りが生じている。なお、図4は、第1の実施の形態に係る放熱用部品を装着した半導体パッケージに反りが発生した状態を例示する断面図である。
【0030】
しかしながら、第1の実施の形態に係る放熱用部品70では、第2層72には、第1層71よりも熱膨張係数の小さな金属や合金等を用いているため、半導体パッケージ10に反りが生じても、放熱用部品70が基板20や半導体素子40と同様に図4の矢印方向に反る。このため、従来の半導体パッケージ100とは異なり、熱伝導部材60が半導体素子40の反りに追従し、熱伝導部材60が半導体素子40から剥離することを抑制可能となる。その結果、半導体パッケージ10における放熱性能の低下を防止できる。
【0031】
又、半導体パッケージ10の製造後(放熱用部品70装着後)、半導体素子40の動作時には半導体素子40が発熱し、半導体素子40の非動作時には半導体素子40が常温に戻る。このような加熱及び冷却が繰り返された場合にも、放熱用部品70が基板20や半導体素子40と同様に図4の矢印方向に反る。この場合にも、半導体パッケージ10の製造時(放熱用部品70装着時)と同様に、熱伝導部材60が半導体素子40の反りに追従するため、熱伝導部材60が半導体素子40から剥離することを抑制可能となる。その結果、半導体パッケージ10における放熱性能の低下を防止できる。
【0032】
ここで、放熱用部品70が基板20や半導体素子40と同様な方向に反る理由は、放熱用部品70の第1層71と第2層72との熱膨張係数の大小関係を、基板20と半導体素子40との熱膨張係数の大小関係と同様に設定しているからである。
【0033】
なお、放熱用部品70の反りの程度は、第1層71と第2層72の熱膨張係数の差が大きいほど大きくなる。そこで、基板20や半導体素子40の反りに合わせて第1層71と第2層72の熱膨張係数の差を適宜選択することにより、放熱用部品70の反りの程度を基板20や半導体素子40の反りの程度に合わせることができる。
【0034】
具体的には、第1層71と第2層72の熱膨張係数の差を、基板20と半導体素子40の熱膨張係数の差と同程度にすればよい。例えば、基板20がFR−4基板であれば熱膨張係数は15ppm/℃程度、半導体素子40がシリコンであれば熱膨張係数は3ppm/℃程度であり、その差は12ppm/℃程度となる。この場合には、第1層71の材料として熱膨張係数が24ppm/℃程度であるアルミニウム(Al)を、第2層72の材料として熱膨張係数が17ppm/℃程度である銅(Cu)を用いると、その差は7ppm/℃程度となり、基板20の熱膨張係数と半導体素子40の熱膨張係数の差12ppm/℃程度との差は、5ppm/℃程度となる。このように、第1層71の熱膨張係数と第2層72の熱膨張係数の差と、基板20の熱膨張係数と半導体素子40の熱膨張係数の差との差が、5ppm/℃以下であることが好ましい。
【0035】
他の例として、第1層71の材料として熱膨張係数が17ppm/℃程度である銅(Cu)を、第2層72の材料として熱膨張係数が5ppm/℃程度であるモリブデン(Mo)を用いると、その差は12ppm/℃程度となり、基板20の熱膨張係数と半導体素子40の熱膨張係数の差12ppm/℃程度と同等となり、更に好適である。
【0036】
以上のように、第1の実施の形態によれば、放熱用部品を第1層及び第2層を含む構成とし、半導体素子から遠い側に配置される第2層の材料として、半導体素子に近い側に配置される第1層の材料よりも熱膨張係数の小さな金属や合金等を用いる。これにより、加熱や冷却を繰り返すことで半導体素子に反りが生じても、放熱用部品が半導体素子と同一方向に反る。そのため、半導体素子と放熱用部品との間に配置される熱伝導部材が半導体素子の反りに追従でき、熱伝導部材が半導体素子から剥離することを抑制可能となる。その結果、半導体パッケージにおける放熱性能の低下を防止できる。
【0037】
又、第1の実施の形態に係る放熱用部品では、比重の大きな銅(Cu)を用いる割合を従来よりも少なくできるため、放熱用部品の軽量化が可能となり、更には半導体パッケージ全体の軽量化が可能となる。
【0038】
又、第1の実施の形態に係る放熱用部品は、半導体素子の反りに追従できるため、放熱用部品と半導体素子との間に配置される熱伝導部材を薄くできる。このことは、特に熱伝導部材としてインジウム等の高価な材料を使用した場合に、半導体パッケージ全体の製造コストを低減する効果がある。
【0039】
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態の変形例では、半導体素子上部の第1層の厚さを、他の部分の厚さよりも厚くする例を示す。
【0040】
図5は、第1の実施の形態の変形例に係る放熱用部品を装着した半導体パッケージに反りが発生した状態を例示する断面図である。図5を参照するに、半導体パッケージ10Aにおいて、放熱用部品70が放熱用部品70Aに置換された点が半導体パッケージ10と相違している。以下、半導体パッケージ10Aにおいて、半導体パッケージ10と同一構成部分の説明は省略し、半導体パッケージ10と相違する点を中心に説明する。
【0041】
放熱用部品70Aは、第1層71Aと、第2層72Aとを有する。放熱用部品70Aに用いる材料等は、放熱用部品70の場合と同様である。放熱用部品70Aにおいて、半導体素子40上部の第1層71Aの厚さTは、他の部分の厚さTよりも厚くなっている。又、半導体素子40上部の第2層72Aの厚さTは、他の部分の厚さTよりも薄くなっている。なお、放熱用部品70Aにおいて、半導体素子40上部の厚さ(T+T)は、放熱用部品70と同様に、例えば1mm程度とすることができる。
【0042】
このように、厚さTを厚さTよりも厚くすることにより、放熱用部品70Aを図5の矢印方向に更に反り易くすることができる。厚さTを厚さTに対して厚くする割合は、反らせたい程度に応じて適宜設定すればよいが、例えば10%程度厚くすることができる。第1層71Aを部分的に厚くすることは、例えば放熱用部品70Aにクラッド材等を用い、クラッド材等をプレスで変形させる場合に、プレスの条件を調整することにより、容易に実現できる。
【0043】
放熱用部品70Aにおいて、第1層71Aがアルミニウム(Al)で第2層72Aが銅(Cu)である場合、第1層71Aの厚さTは例えば0.11mm、厚さTは例えば0.10mm、第2層72Aの厚さTは例えば0.89mm、厚さTは例えば0.90mmとすることができる。第1層71Aが銅(Cu)で第2層72Aがモリブデン(Mo)である場合、第1層71Aの厚さTは例えば0.84mm、厚さTは例えば0.76mm、第2層72Aの厚さTは例えば0.16mm、厚さTは例えば0.24mmとすることができる。
【0044】
なお、厚さTの部分も含めて、第1層71A全体を厚くしても同様の効果が得られる。しかし、例えば第1層71Aに銅(Cu)等の比重の大きな金属や合金を用いる場合には、全体を厚くすると放熱用部品70Aが重くなる。そこで、反らせたい部分(半導体素子40上部)のみを厚くすることにより、放熱用部品70Aの軽量化を図ることができる。
【0045】
以上のように、第1の実施の形態の変形例によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するが、更に、以下の効果を奏する。すなわち、放熱用部品の反りの程度は、第1層及び第2層の材料の選定により調整できるが、第1層の半導体素子上部に配置される部分を他の部分よりも厚くすることにより、放熱用部品の反りの程度を更に調整することができる。
【0046】
又、第1層全体を厚くするのではなく、反らせたい部分(半導体素子上部)のみを厚くすることにより、放熱用部品の軽量化を図ることができる。
【0047】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、放熱用部品を3層から構成する例を示す。
【0048】
図6は、第2の実施の形態に係る放熱用部品を装着した半導体パッケージに反りが発生した状態を例示する断面図である。図6を参照するに、半導体パッケージ10Bにおいて、放熱用部品70が放熱用部品70Bに置換された点が半導体パッケージ10と相違している。以下、半導体パッケージ10Bにおいて、半導体パッケージ10と同一構成部分の説明は省略し、半導体パッケージ10と相違する点を中心に説明する。
【0049】
放熱用部品70Bは、第1層71Bと、第2層72Bと、第3層73Bとを有する。放熱用部品70Bは、例えば金属や合金からなる第2層72Bをプレス等で図6の形状に変形させた後、第2層72Bの両面に第1層71B及び第3層73Bをめっき等により形成することにより作製できる。放熱用部品70Bにおいて、第1層71Bは、第3層73Bよりも厚く形成されている。
【0050】
第2層72Bの材料としては、例えば、熱伝導率の高い銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銅とタングステンの合金(CuW:例えば10〜20%Cu)、銅とモリブデンの合金(CuMo:例えば15〜20%Mo)、モリブデン(Mo)等の金属又は合金等を用いることが好ましい。
【0051】
第1層71B及び第3層73Bとしては、例えば、ニッケル(Ni)めっき層等を用いることができる。なお、ニッケル(Ni)の熱膨張係数は15ppm/℃程度であるが、例えば第2層72Bを銅(Cu)とし第1層71B及び第3層73Bをニッケル(Ni)層として、第1層71Bを第3層73Bよりも厚く形成することにより、放熱用部品70Bを図6の矢印方向に反り易くすることができる。これは、第1層71Bを第3層73Bよりも厚く形成することにより、第1層71Bの熱膨張が第3層73Bの熱膨張よりも大きくなり、見かけ上、半導体素子40に近い側の熱膨張係数が大きくなったためである。
【0052】
厚さTを厚さTに対して厚くする割合は、反らせたい程度に応じて適宜設定すればよいが、例えば放熱用部品70Bの半導体素子40の上部に配置される部分全体の厚さを1mmとし、厚さTを20〜30μm程度、厚さTを10〜15μm程度とすることができる。第1層71B及び第3層73Bとして、ニッケル(Ni)めっき層を用いる場合には、厚さT及びTの調整は、各層を形成する際のニッケル(Ni)めっきの時間を変えることにより、容易に実現できる。
【0053】
なお、銅(Cu)の表面にニッケル(Ni)めっきを施すことに代えて、アルミニウム(Al)の表面に陽極酸化法によりアルミナ(Al)を形成しても構わない。この場合にも、半導体素子側のアルミナ(Al)を厚く形成することで同様の効果が得られる。
【0054】
以上のように、第2の実施の形態によれば、放熱用部品を3層から構成し、中心の層の表裏に同一の金属や合金等からなる層を異なる厚さで形成する(半導体素子側の層を厚くする)。その結果、見かけ上の熱膨張係数を変えることが可能となり、放熱用部品を容易に所望の方向に反らせることができる。これにより、加熱や冷却を繰り返すことで半導体素子に反りが生じても、放熱用部品が半導体素子と同一方向に反る。そのため、半導体素子と放熱用部品との間に配置される熱伝導部材が半導体素子の反りに追従でき、熱伝導部材が半導体素子から剥離することを抑制可能となる。その結果、半導体パッケージにおける放熱性能の低下を防止できる。
【0055】
又、第2の実施の形態に係る放熱用部品では、比重の大きな銅(Cu)を用いる割合を従来よりも少なくできるため、放熱用部品の軽量化が可能となり、更には半導体パッケージ全体の軽量化が可能となる。
【0056】
又、第2の実施の形態に係る放熱用部品は、半導体素子の反りに追従できるため、放熱用部品と半導体素子との間に配置される熱伝導部材を薄くできる。このことは、特に熱伝導部材としてインジウム等の高価な材料を使用した場合に、半導体パッケージ全体の製造コストを低減する効果がある。
【0057】
なお、第1の実施の形態やその変形例に、更に、第2の実施の形態を適用しても構わない。その場合には、放熱用部品は4層となる。
【0058】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0059】
10、10A、10B 半導体パッケージ
20 基板
30 接続端子
40 半導体素子
50 アンダーフィル樹脂
60 熱伝導部材
70、70A、70B 放熱用部品
71、71A、71B 第1層
72、72A、72B 第2層
73B 第3層
75 金属層
80 接着剤
、T、T、T、T、T 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に実装された半導体素子上に、熱伝導部材を介して配置される放熱用部品であって、
前記半導体素子に近い側に配置される第1層と、前記第1層上に積層され前記半導体素子から遠い側に配置される第2層と、を有し、
前記第2層の熱膨張係数が、前記第1層の熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする放熱用部品。
【請求項2】
前記第1層において、前記半導体素子上部に配置される部分の厚さが、他の部分の厚さよりも厚く、
前記第2層において、前記半導体素子上部に配置される部分の厚さが、他の部分の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1記載の放熱用部品。
【請求項3】
前記第1層の熱膨張係数と前記第2層の熱膨張係数との差と、前記基板の熱膨張係数と前記半導体素子の熱膨張係数との差との差が5ppm/℃以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の放熱用部品。
【請求項4】
前記第1層の前記半導体素子に近い側に第3層を、前記第2層の前記半導体素子から遠い側に第4層を更に有し、
前記第3層及び前記第4層は、同一の材料から構成され、
前記第3層は、前記第4層よりも層厚が厚くされていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の放熱用部品。
【請求項5】
前記第3層及び前記第4層は、めっきにより形成されていることを特徴とする請求項4記載の放熱用部品。
【請求項6】
基板上に接続端子を介して半導体素子が実装された半導体パッケージであって、
前記半導体素子上に、熱伝導部材を介して放熱用部品が配置され、
前記放熱用部品は、
前記半導体素子に近い側に配置される第1層と、前記第1層上に積層され前記半導体素子から遠い側に配置される第2層と、を有し、
前記第2層の熱膨張係数が、前記第1層の熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−249684(P2011−249684A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123326(P2010−123326)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】