説明

放送受信機

【課題】高品質に再放送番組を視聴できる「放送受信機」を提供する。
【解決手段】ワンセグ独立編成放送サービスによって再放送された番組Zの受信が開始されると、受信番組の各再生時間帯について、録画データに過去にフルセグ放送サービスで受信した高品質の番組データが格納されている再生時間帯については録画データの再生出力を行う、他の再生時間帯において、ワンセグ独立編成放送サービスから番組データを正常に受信できている再生時間帯は、ワンセグ独立編成放送サービスから受信した番組データを再生出力し、正常に受信できていない再生時間帯は、録画データに過去にワンセグサイマル放送サービスで受信した番組データが含まれていれば、録画データの再生出力を行う、

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送受信機において受信不良が発生した番組の視聴を支援する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放送受信機において受信不良が発生した番組の視聴を支援する技術しては、番組を録画中に受信不良が発生し、録画データに番組データの欠損が生じた場合に、その後に行われる当該番組の再放送時に当該番組の番組データを受信して、当該番組の録画データの番組データの欠損を補完する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、同一番組を同時にフルセグ放送を用いた放送サービスとワンセグ放送を用いた放送サービスで放送するサイマル放送を行う地上波デジタルTV放送を受信する放送受信機において、番組を録画する際に、フルセグ放送を受信可能な期間はフルセグ放送を用いた放送サービスで受信した番組データを録画データとして記録し、フルセグ放送を受信できずにワンセグ放送のみを受信可能な期間は、ワンセグ放送を用いた放送サービスで受信した番組データを録画データとして記録する技術も知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-229794号公報
【特許文献2】特開2011-015175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同一番組を同時にフルセグ放送を用いた放送サービスとワンセグ放送を用いた放送サービスで放送するサイマル放送を行う地上波デジタルTV放送を受信する放送受信機を用いて番組を視聴中に受信不良が生じ、フルセグ放送もワンセグ放送も受信できなくなった、ユーザは当該番組を欠損なく視聴することができなくなる。
【0006】
このような場合に、後に当該番組の再放送が行われる場合、ユーザが当該再放送を視聴すれば当該番組を欠損無く視聴できる可能性がある。しかしながら、フルセグ放送を用いた放送サービスとワンセグ放送を用いた二つの放送サービスを行う放送局において、ワンセグ放送を用いた一方の放送サービスをフルセグ放送を用いた放送サービスと同じ番組を同時に放送するサイマル放送に用い、ワンセグ放送を用いた他方の放送サービスをフルセグ放送を用いた放送サービスとは独立編成の番組の放送に用いる場合、番組の再放送がフルセグ放送を用いた放送サービスとは独立編成の番組としてワンセグ放送を用いた放送サービスでのみ行われることがある。
【0007】
そして、このように番組の再放送がワンセグ放送を用いた放送サービスでのみ行われる場合、または、ユーザがワンセグ放送を用いた放送サービスでのみ再放送が行われる時間帯にしか当該番組を視聴できない場合、ユーザは、映像、音声の品質が低い状態でしか、当該番組を視聴することができなくなる。
【0008】
そこで、本発明は、視聴中に受信不良のために欠損が生じた番組の再放送の視聴時に、できるだけ高品質に当該番組を視聴できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題達成のために、本発明は、番組を放送する高品質放送と、前記高品質放送で放送される番組と同じ番組を前記高品質放送と同時に放送する第1の低品質放送と、前記高品質放送で放送された番組を当該番組の前記高品質放送による放送後に放送する第2の低品質放送とを放送するテレビ放送システムであって、前記高品質放送で放送される番組を表す番組データは、前記第1の低品質放送及び第2の低品質放送で放送される番組を表す番組データよりも、少なくとも映像を高品質に表すものであるテレビ放送システムに適用される放送受信機に、ユーザの前記高品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、前記高品質放送の受信品質が良好である場合には前記高品質放送から番組データを受信して再生出力し、前記高品質放送の受信品質が不良である場合には前記第1の低品質放送から番組データを受信して再生出力する番組出力手段と、ユーザの前記高品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、前記番組出力手段が受信した番組データを当該番組の録画データとして記録する録画手段と、前記第2の低品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、当該視聴を指定された番組と同じ番組の録画データが記録されている場合に、前記第2の低品質放送で放送される番組の再生期間のうちの、前記高品質放送の放送から受信した当該再生期間に対応する期間の番組データが録画データに含まれている再生期間は、当該録画データに含まれる番組データを再生出力し、前記高品質放送の放送から受信した当該再生期間に対応する期間の番組データが録画データに含まれていない期間は、前記第2の低品質放送から受信した番組データを再生出力する再放送出力手段とを備えたものである。
【0010】
このような放送受信機によれば、録画データに高品質放送で受信した高品質の番組データが格納されている再生期間については、第2の低品質放送では放送されない高品質の番組データが再生、出力されることとなり、ユーザは、第2の低品質放送のみを視聴する場合に比べ、より高品質に番組を視聴できるようになる。
【0011】
ここで、このような放送受信機は、前記再放送出力手段において、ユーザの前記第2の低品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、当該視聴を指定された番組と同じ番組の録画データが記録されている場合に、前記第2の低品質放送で放送される番組の再生期間のうちの、前記第1の低品質放送から受信した当該再生期間に対応する期間の番組データが録画データに含まれている期間であって、前記第2の低品質放送の受信品質の不良が発生している再生期間は、当該録画データに含まれる番組データを再生出力するように構成してもよい。
【0012】
このようにすることにより、第2の低品質放送に受信不良が生じた期間については、録画データによって番組データが代替されるので、ユーザは第2の低品質放送のみを視聴する場合に比べ、より欠損なく番組を視聴できる。
また、前記課題達成のために本発明は、番組を放送する高品質放送と、前記高品質放送で放送される番組と同じ番組を前記高品質放送と同時に放送する第1の低品質放送と、前記高品質放送で放送された番組を当該番組の前記高品質放送による放送後に放送する第2の低品質放送とを放送するテレビ放送システムであって、前記高品質放送で放送される番組を表す番組データは、前記第1の低品質放送及び第2の低品質放送で放送される番組を表す番組データよりも、少なくとも映像を高品質に表すものであるテレビ放送システムに適用される放送受信機に、ユーザの前記高品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、前記高品質放送の受信品質が良好である場合には前記高品質放送から番組データを受信して再生出力し、前記高品質放送の受信品質が不良である場合には前記第1の低品質放送から番組データを受信して再生出力する番組出力手段と、ユーザの前記高品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、前記番組出力手段が受信した番組データを当該番組の録画データとして記録する録画手段と、前記第2の低品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、当該視聴を指定された番組と同じ番組の録画データが記録されている場合に、前記第2の低品質放送で放送される番組の再生期間のうちの、当該再生期間に対応する期間の有効な番組データが録画データに含まれている再生期間は、当該録画データに含まれる番組データを再生出力し、当該再生期間に対応する期間の有効な番組データが録画データに含まれていない期間は、前記第2の低品質放送から受信した番組データを再生出力する再放送出力手段とを備えたものである。
【0013】
このような放送受信機によっても、録画データに高品質放送で受信した高品質の番組データが格納されている再生期間については、第2の低品質放送では放送されない高品質の番組データが再生、出力されることとなり、ユーザは、第2の低品質放送のみを視聴する場合に比べ、より高品質に番組を視聴できるようになる。また、第2の低品質放送に受信不良が生じても、録画データによって番組データが代替されるので、ユーザは第2の低品質放送のみを視聴する場合に比べ、より欠損なく番組を視聴できる。
【0014】
ここで、以上のような各放送受信機は、前記録画手段において、前記番組の録画データの記録中に、前記高品質放送と前記第1の低品質放送の双方に受信品質の不良が生じた場合、前記第2の低品質放送による当該番組の再放送の視聴予約を登録し、再放送出力手段において、前記登録された視聴予約に従って、前記第2の低品質放送で放送される番組の視聴の指定を受け付けるように構成してもよい。
【0015】
また、以上のような放送受信機において、前記放送システムはたとえば、地上波デジタルTV放送を行う放送システムであり、前記高品質放送はフルセグ放送による放送、前記第1の低品質放送と第2の低品質放送はワンセグ放送による放送である。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、視聴中に受信不良のために欠損が生じた番組の再放送の視聴時に、できるだけ高品質に当該番組を視聴できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る放送受信機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る受信不良番組録画処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る録画動作と受信状態テーブルを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る再放送出力処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る再放送出力処理の処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について自動車に搭載された、地上波デジタルTV放送を受信する放送受信機への適用を例にとり説明する。
ここで、本実施形態に係る放送受信機は、地上波デジタルTV放送の各周波数チャネル(物理チャネル)で、フルセグ放送を用いて番組を放送する放送サービス(以下、「フルセグ放送サービス」と呼ぶ)と、ワンセグ放送を用いて番組を放送する二つの放送サービスが提供される放送システムに適用されるものである。ここで、広帯域のフルセグ放送サービスで放送される番組の番組データは、狭帯域ワンセグ放送を用いて番組を放送する二つの放送サービスで放送される番組の番組データよりも、高品質の番組データ(高品質に番組の映像や音声を表した番組データ)となる。
【0019】
また、この放送システムにおいて、ワンセグ放送を用いた二つの放送サービスは、同周波数チャネルのフルセグ放送を用いた放送サービスと同一の番組を当該フルセグ放送と同時に放送するサイマル放送が行われる放送サービス(以下、「ワンセグサイマル放送サービス」と呼ぶ)と、同周波数チャネルのフルセグ放送を用いた放送サービスとは独立編成の番組の放送が行われる放送サービス(以下、「ワンセグ独立編成放送サービス」と呼ぶ)とよりなるものである。
【0020】
さて、図1に、本実施形態に係る放送受信機の構成を示す。
図示するように、放送受信機は、アンテナ1、フロントエンド部2、復調部3、ビデオデコーダ4、出力処理部5、アンプやスピーカなどを備えた音声出力装置6、表示装置7、入力装置8、制御部9、記録装置10を備えている。
このような構成において、フロントエンド部2は、制御部9から受信チャネルとして指定された周波数チャネルを受信し、受信信号を復調部3に出力する。復調部3は、入力する受信信号に対して所定の復調/復号処理を行って受信チャネルで受信した各放送サービスのTS(Transport Stream)、を復元し、ビデオデコーダ4に送る。
【0021】
ビデオデコーダ4は、各TSに含まれる番組データ(映像データや音声データ)をデコードし、デコードした映像信号と音声信号とを出力処理部5に出力し、デコードした各種制御情報を制御部9に出力する。
出力処理部5は、制御部9の制御に従って、ビデオデコーダ4から入力する映像信号を表示装置7に表示したり、ビデオデコーダ4から入力する音声信号を音声出力装置6に出力したり、制御部9から指定されたユーザ操作受付用のメニュー画面を表示装置7に表示したり、制御部9から指定された操作案内音声を音声出力装置6に出力する処理を行う。
【0022】
また、復調部3は、フロントエンド部2の受信電界強度などを参照して、現在の受信チャネルの受信信号のC/N(Carrier to Noise Ratio;搬送波電力対雑音電力比)や、現在の受信チャネルで放送されている各TSのBER(Bit Error Rate;ビット誤り率)を受信品質として測定し制御部9に通知する。
【0023】
ここで、制御部9は、ユーザからリモコンチャネル番号等により視聴を指定された、特定の周波数チャネルの、当該特定の周波数チャネルで放送されている特定の放送サービスを受信対象放送とする。そして、当該受信対象放送が行われている周波数チャネルを受信チャネルとしてフロントエンド部2に指定すると共に、受信チャネルで放送されている受信対象放送のTSをデコードした映像信号と音声信号を出力処理部5に表示装置7や音声出力装置6に出力させる制御を行う。
【0024】
また、制御部9は、受信対象放送がフルセグ放送サービスやワンセグサイマル放送サービスである場合には、復調部3から通知される受信チャネルの受信信号のC/Nや、受信対象放送のTSの受信品質に応じて、受信対象放送を、受信チャネルで放送されているフルセグ放送サービスとワンセグサイマル放送との間で切り替える。すなわち、受信品質が、フルセグ放送サービスを正常に受信可能なほどに良好なときには、受信対象放送をフルセグ放送サービスとし、そうではない場合には、受信対象放送をワンセグサイマル放送サービスとする。
【0025】
次に、本実施形態において、記録装置10に記憶される各種データについて説明する。
図示するように、記録装置10には、番組を録画した録画データ、録画データ毎に設けられた録画ソーステーブル、視聴予約番組テーブル、EPGデータが格納される。
ここで、EPGデータは、電子番組表であり、各周波数チャネルの各放送サービスによって、各日の各時間帯に放送される番組を示すものである。なお、EPGデータは、地上波デジタルTV放送の各周波数チャネルの各放送サービスのTSに含まれるEITから取得することができる。ただし、EPGデータは、別途、EPGデータを提供するサーバより通信を介して取得する等、他の手段により取得するようにしてもよい。
【0026】
次に、制御部9が行う受信不良番組録画処理について説明する。
図2に、この受信不良番組録画処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、フルセグ放送サービスまたはワンセグサイマル放送サービスからの新たな番組の受信の開始を監視する(ステップ202)。ここでは、受信チャネルや受信対象放送の切替によらない、受信対象放送で受信するTSのEITが示す現在の番組の識別情報の変化、受信チャネルの周波数チャネル間の切替、受信対象放送の同周波数チャネル内のフルセグ放送サービスとワンセグ独立編成放送サービス間の切替、受信対象放送の同周波数チャネル内のワンセグサイマル放送サービスとワンセグ独立編成放送サービス間の切替を、新たな番組の受信の開始として検出する。一方、受信対象放送の同周波数チャネル内のフルセグ放送サービスとワンセグサイマル放送サービス間での切替は、新たな番組の受信の開始としては検出しない。
【0027】
そして、新たな番組の受信が開始したならば、EPGデータを参照し、現在、受信対象放送で受信している番組と同じ番組の、ワンセグ独立編成放送サービスによる再放送が将来予定されているかどうかを調べる(ステップ204)。
そして、再放送が予定されていない場合にはステップ202に戻り、再放送が予定されている場合には、受信対象放送で受信開始した番組の録画を開始し(ステップ206)、以降、ビデオデコーダ4や記録装置10を制御し、受信対象放送で受信した当該番組データを録画データとして記録装置10に記録していく。また、録画を開始した録画データに対応する録画ソーステーブルを記録装置10に作成し、録画ソーステーブルに、現在の再生時刻(番組開始時点からの経過時刻)と録画ソースとを登録する(ステップ208)。
【0028】
ここで、録画ソースは、録画データとして記録する番組データの受信元の放送サービスがフルセグ放送サービスであるときには「フルセグ」、録画データとして記録する番組データの受信元の放送サービスがワンセグサイマル放送サービスであるときには「ワンセグ」、録画データとして記録する番組データの受信元の放送サービスが無いときには「無」となる。
【0029】
ここで、上述のように、受信対象放送は、制御部9によって、受信品質に応じて、受信チャネルで放送されているフルセグ放送サービスとワンセグサイマル放送との間で切り替えられる。したがって、受信チャネルの受信品質がフルセグ放送サービスから正常に番組データを受信できるほどに良好なときには、録画ソースは「フルセグ」となり、受信チャネルの受信品質がフルセグ放送サービスを正常に受信できず、ワンセグサイマル放送サービスから正常に番組データを受信できる程度に良好である場合には、録画ソースは「ワンセグ」となる。また、受信チャネルの受信品質がフルセグ放送サービスからもワンセグサイマル放送サービスからも正常に番組データを受信できない程に劣化している場合には、録画ソースは「無」となる。
【0030】
そして、以降、ステップ202で受信開始を検出した番組の受信の終了が発生するまで(ステップ212)、放送受信状態が変化し、録画ソースが変化する度に(ステップ210)、録画ソーステーブルに、その時点の再生時刻と録画ソースを登録していく(ステップ208)。
【0031】
ただし、番組の受信の終了は、受信チャネルや受信対象放送の切替によらない、受信対象放送で受信するTSのEITが示す現在の番組の識別情報の変化、受信チャネルの周波数チャネル間の切替、受信対象放送の同周波数チャネル内のフルセグ放送サービスとワンセグ独立編成放送サービス間の切替、受信対象放送の同周波数チャネル内のワンセグサイマル放送サービスとワンセグ独立編成放送サービス間の切替を、番組の受信の終了として検出する。一方、受信対象放送の同周波数チャネル内のフルセグ放送サービスとワンセグサイマル放送サービス間での切替は、番組の受信の終了としては検出しない。
【0032】
そして、ステップ202で受信開始を検出した番組の受信の終了が発生したならば(ステップ212)、録画を終了し(ステップ214)、録画中に受信不良、すなわち、番組データを記録できていない状態が発生したかどうかを、録画ソーステーブルへの「無」の登録の有無より参照して調べ(ステップ216)、発生していなければ、今回作成した録画データと録画ソーステーブルを消去し(ステップ218)、ステップ202からの処理に戻る。
【0033】
一方、録画中に受信不良が発生していれば、ステップ204で検出している、録画した番組の再放送に相当する番組の視聴予約を、当該再放送の放送時間帯、当該再放送の周波数チャネル、当該再放送の番組の放送が行われる放送サービスの識別(ここでは、ワンセグ独立編成放送サービスの識別)、今回録画した録画データの識別と共に視聴予約テーブルに登録し(ステップ220)、ステップ202からの処理に戻る。
【0034】
なお、ステップ220では、再放送を視聴予約したことを、「番組ZのA時B分からの再放送の視聴予約を行いました。」といったようなメッセージの、表示装置7への表示や、音声出力装置6からの音声出力により、ユーザに通知する処理も行うようにしてもよい。
【0035】
以上、制御部9が行う受信不良番組録画処理について説明した。
このような受信番組録画処理によれば、たとえば、図3a1に示すように、受信対象放送がフルセグ放送サービスであるときに、受信対象放送において番組Zの再生時間Taにおいて番組Zの新たな受信が開始されると、当該番組Zの録画が開始される。
そして、番組Zの再生時間Ta-Tbの期間中は、受信チャネルの受信品質がフルセグ放送サービスを正常に受信できるレベルにあり、番組Zの再生時間Tb-Tcの期間中は、受信チャネルの受信品質がフルセグ放送サービスを正常に受信できず、かつ、ワンセグサイマル放送サービスを正常に受信できるレベルにあり、番組Zの再生時間Tc-Tdの期間中は受信チャネルの受信品質がフルセグ放送サービスもワンセグサイマル放送サービスも正常に受信できないレベルにあり、番組Zの再生時間Td-Teの期間中は、受信チャネルの受信品質がフルセグ放送サービスを正常に受信できるレベルにあり、番組Zの再生時間Te-Tfの期間中は、受信チャネルの受信品質がフルセグ放送サービスを正常に受信できず、かつ、ワンセグサイマル放送サービスを正常に受信できるレベルにあったものとする。
【0036】
この場合、フルセグ放送サービスを正常受信できるTa-Tbの再生時間帯、Td-Teの再生時間帯については、フルセグ放送サービスで受信した高品質の番組データが録画データに格納されていくこととなる。また、フルセグ放送サービスを正常受信できず、ワンセグサイマル放送サービスを正常受信できるTb-Tcの再生時間帯、Te-Tfの再生時間帯については、ワンセグサイマル放送サービスで受信した低品質の番組データが録画データに格納されていくこととなる。また、フルセグ放送サービスもワンセグサイマル放送サービスも正常受信できないTc-Tdの再生時間帯については、録画データに番組データが格納されず、欠損することとなる。
【0037】
なお、録画データは、図3a2のように、フルセグ放送サービスで受信した番組データを格納した録画データと、ワンセグサイマル放送サービスで受信した番組データを格納した録画データとをそれぞれに設けるようにしてもよい。
また、以上のような場合、番組Zの録画データに対応する録画ソーステーブルには、図3bに示すように、録画データに格納された番組データの受信元の放送サービス(録画ソース)の切り替わりの時刻と、当該時刻における切り替わり後の録画ソースとが登録される。したがって、このような録画ソーステーブルから、各再生時間帯について録画データに格納されている番組データが、フルセグ放送サービスで受信した高品質の番組データであるのか、ワンセグサイマル放送サービスで受信した低品質の番組データであるのか、それとも番組データが欠損しているのかを識別できるようになる。
【0038】
次に、制御部9が行う再放送出力処理について説明する。
図4に、この再放送出力処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、視聴予約テーブルに登録されている視聴予約された番組の放送開始時刻が到来したならば(ステップ402)、当該番組の放送が行われる放送サービスの周波数チャネルを受信チャネル、当該番組の放送が行われる放送サービスを受信対象放送に設定することにより、当該番組の受信を開始させる(ステップ404)。ただし、ステップ404では視聴予約した番組の視聴の要否をユーザに問い合わせ、視聴の旨の指示があった場合にのみ、視聴予約された番組の受信を開始するようにしてもよい。
【0039】
そして、当該受信を開始した番組の放送が終了するまで(ステップ406)、以下の処理を行う。
すなわち、当該受信を開始した番組の視聴予約と共に視聴予約テーブルに識別が登録されている録画データを対応録画データとして、当該対応録画データに、現在の受信番組再生時間(受信している番組の現在の再生時間)に対応する再生時間の、フルセグ放送サービスで受信した番組データが含まれている期間中は(ステップ408)、ビデオデコーダ4や出力処理部5が、対応録画データに含まれている番組データの再生、および、表示装置7、音声出力装置6への出力を、現在の受信番組再生時間に対応する再生時間の番組データが出力されるように行うよう制御する(ステップ410)。なお、対応録画データに、現在の受信番組再生時間に対応する再生時間の、フルセグ放送サービスで受信した番組データが含まれているかどうかは、対応録画データに対応する録画ソーステーブルを参照して判定する。
【0040】
一方、記録装置10に記録されている対応録画データに、現在の受信番組再生時間に対応する再生時間の、フルセグ放送サービスで受信した番組データが含まれておらず(ステップ408)、かつ、ステップ404で受信を開始した番組の受信不良が生じていない期間中は(ステップ412)、ビデオデコーダ4や出力処理部5が、受信している番組データの再生、および、表示装置7、音声出力装置6への出力を行うよう制御する(ステップ414)。
【0041】
一方、記録装置10に記録されている対応録画データに、現在の受信番組再生時間に対応する再生時間の、フルセグ放送サービスで受信した番組データが含まれておらず(ステップ408)、ステップ404で受信を開始した番組の受信不良が生じている期間中は(ステップ412)、記録装置10に記録されている対応録画データに、現在の受信番組再生時間に対応する再生時間の、ワンセグサイマル放送サービスで受信した番組データが含まれているときには(ステップ416)、ビデオデコーダ4や出力処理部5が、対応録画データに含まれている番組データの再生、および、表示装置7、音声出力装置6への出力を、現在の受信番組再生時間に対応する再生時間の番組データが出力されるように行うよう制御し(ステップ418)、ワンセグサイマル放送サービスで受信した番組データが含まれていないときには(ステップ416)、受信エラーを表示装置7に表示する(ステップ420)。なお、対応録画データに、現在の受信番組再生時間に対応する再生時間の、ワンセグサイマル放送サービスで受信した番組データが含まれているかどうかは、対応録画データに対応する録画ソーステーブルを参照して判定する。
【0042】
そして、ステップ404で受信を開始した番組の放送が終了したならば(ステップ406)、ステップ402からの処理に戻る。
以上、制御部9が行う再放送出力処理について説明した。
なお、以上の再放送出力処理における再生、出力する番組データの、録画データの番組データと、ワンセグ独立編成放送サービスで受信した番組データとの間の切替は、当該切替がシームレスに行われるように、たとえば、録画データ中の各番組データの再生と、ワンセグ独立編成チャネルで受信した再放送番組の再生とを、再放送番組の受信中、常に並行して行っておくようにしてもよい。また、この場合には、録画データ中の各番組データの再生開始時間を調整し、録画データ中の、再放送番組の再生時間位置と同じ再生時間位置の番組データが再生されるようにすれば、番組データの切替を、よりシームレスに行えるようになる。
【0043】
ここで、図5aに、このような再放送出力処理の処理例を示す。
いま、図示するように、再生時間帯T1のフルセグ放送サービスで受信した高品質の番組データと、再生時間帯T2のワンセグサイマル放送サービスで受信した低品質の番組データと、再生時間帯T4のフルセグ放送サービスで受信した高品質の番組データと、再生時間帯T5-T7のワンセグサイマル放送サービスで受信した低品質の番組データを格納し、かつ、再生時間帯T3において番組データが欠損している番組Zの録画データが存在するものとする。
【0044】
また、ワンセグ独立編成放送サービスによって再放送された番組Zの番組データを、再生時間帯T1-T5、T7は正常に受信でき、再生時間帯T6は正常に受信できなかったものとする。
この場合、ワンセグ独立編成放送サービスによって再放送された番組Zの受信が開始されると、受信番組再生時間を再生時間として、録画データにフルセグ放送サービスで受信した高品質の番組データが格納されている再生時間帯T1、T4については、高品質の録画データの再生出力が行われる。
【0045】
また、録画データにフルセグ放送サービスで受信した高品質の番組データが格納されておらず、ワンセグ独立編成放送サービスから番組データを正常に受信できている再生時間帯T2-T3、T5、T7については、ワンセグ独立編成放送サービスから受信した低品質の番組データが再生、出力される。
【0046】
また、残る録画データにフルセグ放送サービスで受信した高品質の番組データが格納されておらず、ワンセグ独立編成放送サービスから番組データを正常に受信できていない再生時間帯T6については、録画データにワンセグサイマル放送サービスで受信した低品質の番組データが格納されている場合には、当該番組データが再生、出力される。
【0047】
結果、録画データにフルセグ放送サービスで受信した高品質の番組データが格納されている再生時間帯については、ワンセグ独立編成放送サービスでは放送されない高品質の番組データが再生、出力されることとなり、ユーザは、ワンセグ独立編成放送サービスから受信した番組のみを視聴する場合に比べ、より高品質に番組を視聴できるようになる。また、ワンセグ独立編成放送サービスの番組データ受信不良が生じた期間については、番組データを録画データ中の番組データで代替することができるので、ユーザはワンセグ独立編成放送サービスを視聴する場合に比べ、より欠損少なく番組を視聴できるようになる。
【0048】
なお、以上の再放送出力処理では、図5bに示したように、記録装置10に記録されている対応録画データに、現在の受信番組再生時間に対応する再生時間の、フルセグ放送サービスで受信した番組データも、ワンセグサイマル放送サービスで受信した番組データも含まれていない期間中のみ、受信している番組データの再生、および、表示装置7、音声出力装置6への出力を制御し、記録装置10に記録されている対応録画データに、現在の受信番組再生時間に対応する再生時間の、フルセグ放送サービスで受信した番組データもしくはワンセグサイマル放送サービスで受信した番組データが含まれている期間中は、対応録画データに含まれている番組データの再生、および、表示装置7、音声出力装置6への出力を制御するようにしてもよい。
【0049】
すなわち、この場合には、図5bに示すように、録画データにフルセグ放送サービスで受信した高品質の番組データが格納されている再生時間帯T1、T4については、高品質の録画データの再生出力をおこなう。
また、録画データにフルセグ放送サービスで受信した高品質の番組データが格納されておらず、ワンセグサイマル放送サービスで受信した低品質の番組データが格納されている再生時間帯T2、T5-T7については、低品質の録画データの再生出力を行う。
そして、録画データに番組データが欠損している再生時間帯T3についてのみ、ワンセグ独立編成放送サービスから受信した低品質の番組データを再生、出力する。
このようにしても、録画データにフルセグ放送サービスで受信した高品質の番組データが格納されている再生時間帯については、ワンセグ独立編成放送サービスでは放送されない高品質の番組データが再生、出力されることとなり、ユーザは、ワンセグ独立編成放送サービスを視聴する場合に比べ、より高品質に、また、欠損少なく番組を視聴できるようになる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明した。
【符号の説明】
【0051】
1…アンテナ、2…フロントエンド部、3…復調部、4…ビデオデコーダ、5…出力処理部、6…音声出力装置、7…表示装置、8…入力装置、9…制御部、10…記録装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
番組を放送する高品質放送と、前記高品質放送で放送される番組と同じ番組を前記高品質放送と同時に放送する第1の低品質放送と、前記高品質放送で放送された番組を当該番組の前記高品質放送による放送後に放送する第2の低品質放送とを放送するテレビ放送システムであって、前記高品質放送で放送される番組を表す番組データは、前記第1の低品質放送及び第2の低品質放送で放送される番組を表す番組データよりも、少なくとも映像を高品質に表すものであるテレビ放送システムに適用される放送受信機であって、
ユーザの前記高品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、前記高品質放送の受信品質が良好である場合には前記高品質放送から番組データを受信して再生出力し、前記高品質放送の受信品質が不良である場合には前記第1の低品質放送から番組データを受信して再生出力する番組出力手段と、
ユーザの前記高品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、前記番組出力手段が受信した番組データを当該番組の録画データとして記録する録画手段と、
前記第2の低品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、当該視聴を指定された番組と同じ番組の録画データが記録されている場合に、前記第2の低品質放送で放送される番組の再生期間のうちの、前記高品質放送の放送から受信した当該再生期間に対応する期間の番組データが録画データに含まれている再生期間は、当該録画データに含まれる番組データを再生出力し、前記高品質放送の放送から受信した当該再生期間に対応する期間の番組データが録画データに含まれていない期間は、前記第2の低品質放送から受信した番組データを再生出力する再放送出力手段とを有することを特徴とする放送受信機。
【請求項2】
請求項1記載の放送受信機であって、
前記再放送出力手段は、ユーザの前記第2の低品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、当該視聴を指定された番組と同じ番組の録画データが記録されている場合に、前記第2の低品質放送で放送される番組の再生期間のうちの、前記第1の低品質放送から受信した当該再生期間に対応する期間の番組データが録画データに含まれている期間であって、前記第2の低品質放送の受信品質の不良が発生している再生期間は、当該録画データに含まれる番組データを再生出力することを特徴とする放送受信機。
【請求項3】
番組を放送する高品質放送と、前記高品質放送で放送される番組と同じ番組を前記高品質放送と同時に放送する第1の低品質放送と、前記高品質放送で放送された番組を当該番組の前記高品質放送による放送後に放送する第2の低品質放送とを放送するテレビ放送システムであって、前記高品質放送で放送される番組を表す番組データは、前記第1の低品質放送及び第2の低品質放送で放送される番組を表す番組データよりも、少なくとも映像を高品質に表すものであるテレビ放送システムに適用される放送受信機であって、
ユーザの前記高品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、前記高品質放送の受信品質が良好である場合には前記高品質放送から番組データを受信して再生出力し、前記高品質放送の受信品質が不良である場合には前記第1の低品質放送から番組データを受信して再生出力する番組出力手段と、
ユーザの前記高品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、前記番組出力手段が受信した番組データを当該番組の録画データとして記録する録画手段と、
前記第2の低品質放送で放送される番組の視聴の指定時に、当該視聴を指定された番組と同じ番組の録画データが記録されている場合に、前記第2の低品質放送で放送される番組の再生期間のうちの、当該再生期間に対応する期間の有効な番組データが録画データに含まれている再生期間は、当該録画データに含まれる番組データを再生出力し、当該再生期間に対応する期間の有効な番組データが録画データに含まれていない期間は、前記第2の低品質放送から受信した番組データを再生出力する再放送出力手段とを有することを特徴とする放送受信機。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の放送受信機であって、
前記録画手段は、前記番組の録画データの記録中に、前記高品質放送と前記第1の低品質放送の双方に受信品質の不良が生じた場合、前記第2の低品質放送による当該番組の再放送の視聴予約を登録し、
再放送出力手段は、前記登録された視聴予約に従って、前記第2の低品質放送で放送される番組の視聴の指定を受け付けることを特徴とする放送受信機。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の放送受信機であって、
前記放送システムは地上波デジタルTV放送を行う放送システムであって、
前記高品質放送はフルセグ放送による放送、前記第1の低品質放送と第2の低品質放送はワンセグ放送による放送であることを特徴とする放送受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−17012(P2013−17012A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147987(P2011−147987)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】