説明

放送受信装置およびストリーム出力装置

【課題】
著作権保護されたバス上でのストリームデータ伝送において、一旦記録装置によって記
録されたストリームデータを安全かつ確実に他の記録装置の媒体に移し変えることを実現
する。
【解決手段】
ムーブ先以外の装置が接続されている場合はムーブ開始を禁止する。ムーブ実行中に他
の装置が接続された場合は一旦ムーブを中断し、ムーブ先のみが接続された状態でムーブ
を再開する。またムーブ開始前に予めムーブ対象のコンテンツを外部からアクセス不可の
別メモリに一時的に蓄積する。そして、ムーブ成功時には該メモリに蓄積した内容を削除
し、ムーブ失敗時には該メモリからアナログ再生のみ可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタル放送等の放送を受信する放送受信装置、およびデジタル映像音声信号などのストリームデータを記録再生するストリーム出力装置におけるに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年デジタル映像信号処理技術の発展に伴い、デジタル放送を受信するセットトップボックス(STB)や、デジタル放送番組を録画・再生するデジタルVTR(DVTR)、ディスクレコーダ等のデジタルAV装置が次々と製品化されている。また、これらのデジタルAV装置間において、映像音声信号をデジタル信号形式のまま伝送するために最も適したデジタルインターフェースとして、IEEE1394規格に定められた高速シリアルバス(以下1394バス)が有る。前記1394バス上ではストリームや制御コマンドを同時に送受信することができ、ストリーム送受信の制御や制御コマンドとしてIEC61883規格、AV/Cコマンドセットが規定されている。
【0003】
ここで、不正コピーを防止する技術としてDTCP(Digital Transmission Contents Protection)方式が1394バスで採用されている。DTCP方式では映像音声ストリームにコピーに関する条件を記載したコピー制御情報が付与されており、これによって”copy free”(コピー無制限)、”copy never”(コピー禁止)、”copy one generation”(コピー1回可)の3つに区分する。デジタルVTRなどの記録装置では”copy free”または”copy one generation”のストリームのみを受信して記録することができ、”copy one generation”のストリームを記録した場合にはコピー制御情報を”no more copies”(コピー不可)に変更し、それ以上他の記録装置などによって記録することを禁止している。
【0004】
一方最近ではハードディスクドライブ(HDD)を用いて映像音声ストリームデータを記録するいわゆるHDDレコーダのようなストリーム記録再生装置が実現できる様になっている。このようなHDDレコーダでは装置内に固定されたディスク容量に限りがあるため、使用者はディスクの空き容量が少なくなってきた場合には保存しておくコンテンツをVTRや光ディスク装置などに転送してテープもしくは光ディスクなどの保存用メディアに蓄積できるようにしておく必要がある。
【0005】
このような状況を鑑み、DTCP方式では、一度記録媒体に記録した”no more copies”のコンテンツを他の記録媒体にコピーした後に削除あるいは再生不能化することにより、コンテンツの移動を行う“ムーブ機能”を規定している。ムーブ機能は、内蔵あるいはデジタル接続された一つの記録媒体に対してのみ行うことができ、ムーブ動作中にムーブ元とムーブ先の双方に同時に1分を超える長さのコンテンツが再生可能な状態であることを禁止している。上記ムーブ機能を実装する技術としては例えば特許文献1、特許文献2に記載されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−245718号公報
【特許文献2】特開2002−238023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記DTCP方式では、”no more copies”のコンテンツをデジタル接続された他のストリーム記録再生装置へムーブする場合は必ず一つの記録媒体に対してのみ行う規定であるため、ムーブ先以外の装置に該コンテンツを不正コピーされてはならない仕組みが必須となる。しかし、ムーブ機能の実現には、ムーブ開始前に既に他の装置との間で認証が終了している場合やムーブ中にムーブ先の装置が他の装置からリモート制御される場合など、様々な予期せぬ状況が想定されるため、実装には特別な配慮が必要になる。
【0008】
また、ムーブ終了時にはムーブ元のコンテンツが削除あるいは再生不能となるため、記録媒体の不足や誤った操作等によりムーブが失敗した場合、利用者は二度とそのコンテンツを視聴することができない。
【0009】
本発明の目的は、利用者に対して可能な限り安全に確実に実行でき、そしてより簡単に実装可能なムーブ機能を備えたストリームデータ記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明では、ムーブ開始前にムーブ先の装置以外の装置が接続されている場合は、ムーブ先の装置のみが接続された状態になるまでムーブ開始を禁止する。ムーブ実行中に他の装置が接続された場合は、ムーブ動作を一旦停止し、ムーブ先のみが接続された状態を確認した後、ムーブ動作を再開する。これにより、簡単に同時に複数の装置によってコンテンツが受信されることがないようにする。
【0011】
またムーブ開始前に予めムーブ対象のコンテンツを外部からアクセス不可の別メモリに一時的に蓄積する様にして、ムーブが成功した場合はムーブ終了後に該メモリに蓄積した内容を削除する。中断等によりムーブが失敗した場合は、制限付きで該メモリからアナログ再生のみ可能とする。これにより、ムーブに失敗した場合でもコンテンツを視聴可能とする。
【発明の効果】
【0012】
コンテンツの著作権を尊重しつつ、ユーザにとって使い勝手の良いデジタル機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態であるシステムの一構成例
【図2】本発明の実施形態である放送受信装置(STB)の一ブロック構成例
【図3】本発明の実施形態であるデジタルVTR(DVTR)の一ブロック構成例
【図4】本発明の実施形態である放送受信装置とデジタルVTRとの間のムーブ処理初期手順を示す一シーケンス図
【図5】本発明の実施形態である放送受信装置とデジタルVTRとの間のムーブ処理実行手順を示す一シーケンス図
【図6】本発明の実施形態である放送受信装置とデジタルVTRとの間のムーブ処理中断手順を示す一シーケンス図
【図7】本発明の実施形態である放送受信装置とデジタルVTRとの間のムーブ処理終了手順を示す一シーケンス図
【図8】本発明の実施形態である放送受信装置でムーブ処理に失敗した場合に表示する一画面例
【図9】本発明の実施形態である放送受信装置に搭載するムーブ処理対象装置リストの構成例
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明を説明するための一実施例であり、複数のストリーム記録再生装置を含むAVシステムの構成を示したものである。AVシステムは放送受信装置(STB)100、デジタルVTR(DVTR)200、DVDレコーダ(DVD)300が互いに1394バス20によりデジタル接続されているものとし、STB100にはモニタ30がアナログ接続されているものとする。
【0016】
STB100は、アンテナ10にて受信した放送番組をモニタ30で視聴することができ、内蔵した記録メモリに該放送番組を蓄積することも可能である。また、他のDVTR200やDVD300に対して1394バス20を介して放送番組のデジタル出力や制御コマンドの送受信を行うことができる。
【0017】
DVTR200やDVD300は、1394バス20経由で受信した放送番組を着脱可能な記録ディスクに記録することができる。
【0018】
次に、図2を用いて、図1のSTB100の一構成について説明する。STB100は、チューナ処理部101、デスクランブラ102、デマルチプレクサ103、デコーダ104、入力処理部105、タイマー管理部106、記録/再生処理部107、デジタルI/F108、番組記録メモリ109、制御部110、アナログ出力端子111、デジタル入出力端子112から構成されている。
【0019】
チューナ処理部101は、放送局から受信した複数のチャンネルから所望のチャンネルを選局し、デジタル変調された番組を復調する部分である。デスクランブラ102は、サービス事業者と契約したチャンネルのみを受信可能とするためにかけられている放送番組のスクランブルを解除する部分である。デマルチプレクサ103は、放送番組から音声データ、映像データを抽出する部分である。
【0020】
デコーダ104は、圧縮された音声データや映像データを復号して、元の音声信号、映像信号に伸長する部分である。これらの信号は、アナログ出力端子111を介してモニタ30等の外部へ出力することができる。入力処理部105は、リモコンやタッチパネルなどを利用してユーザがSTB101を操作する部分である。タイマー管理部106は、現在の時間情報や放送番組のタイマー予約を管理する部分である。記録/再生処理部107は、受信した放送番組を番組記録メモリ109に記録するための記録制御と、該番組記録メモリ109に記録した放送番組を再生するための再生制御を行う部分である。
【0021】
デジタルI/F108は、デジタル入出力端子112を介して1394バス20で接続した他のAV装置(例えば、DVTR200やDVD300)との間でAVストリームや制御コマンドを送受信する部分であり、送信するAVストリームの暗号化や暗号化されたAVストリームの複号化も行う。番組記録メモリ109は、放送番組を記録するメモリである。磁気ディスクや光ディスク、メモリカード、そしてこれらを組み合わせたハイブリッド形態などが考えられる。制御部110は、STB100における各部の動作を統括的に制御する部分である。
【0022】
同様に、図3を用いて、DVTR200の一構成について説明する。DVTR200は、入力処理部201、デジタルI/F202、タイマー管理部203、記録/再生処理部204、記録メモリ205、制御部206、デジタル入出力端子207、アナログ入力端子208から構成されている。入力処理部201は、リモコンやタッチパネルなどを利用してユーザがDVTR200を操作する部分である。
【0023】
デジタルI/F202は、デジタル入出力端子207を介して1394バス20で接続した他のAV装置(例えば、STB100やDVD300)との間でAVストリームや制御コマンドを送受信する部分であり、送信するAVストリームの暗号化や暗号化されたAVストリームの複号化も行う。
【0024】
タイマー管理部203は、現在の時間情報や放送番組のタイマー予約を管理する部分である。記録/再生処理部204は、デジタル入出力端子207あるいはアナログ入力端子208を介して受信したストリームを記録メモリ205に記録するための記録制御と、該記録メモリ205に記録したストリームを再生するための再生制御を行う部分である。記録メモリ205は、ストリームを記録するメモリであり、DVTRの場合は磁気ディスクを示す。制御部206は、DVTR200における各部の動作を統括的に制御する部分である。DVD300は、上記DVTR200の記録メモリ205が光ディスクであること以外はDVTR200と同様の構成とする。
【0025】
次に、図1に示したAVシステムのうち、STB100の番組記録メモリ109に記録した放送番組を、1394バス20経由でDVTR200の記録メモリ205にムーブする手順について以下記述する。
【0026】
まず、図4を用いて、STB100がDVTR200との間でムーブ処理を開始する際に必要な手順400を説明する。利用者がSTB100の入力処理部105を介してムーブ処理を指示すると、制御部110はムーブ処理プログラムを起動する(ステップ401)。そして、制御部110は番組記録メモリ109に格納した”no more copies”のコンテンツを抽出してモニタ30上に表示し、入力処理部105を介して利用者にムーブするコンテンツを選択してもらう(ステップ402)。続いて、制御部110は、STB100に登録された全てのストリーム録画装置をモニタ30上に表示し、入力処理部105を介して利用者にムーブ先のストリーム録画装置を選択してもらい(ここではDVTR200)、DVTR200以外の装置(ここではDVD300)の接続を外すようにモニタ30上にメッセージ表示等で利用者に通知する(ステップ403)。利用者がDVD300の接続を外して次のステップに進むように指示すると、制御部110はデジタルI/F108を介して現在1394バス20上に存在するAV装置の情報を取得し(ステップ404)、1394バス20上に現在前記DVTR200以外の装置が接続されているかチェックする(ステップ405)。その結果、DVTR200しか存在しない場合は、その現在の状態を取得するためにデジタルI/F108を介して1394バス20上に状態取得コマンドを発行する(ステップ406)。一方、DVTR200以外にも他の装置が接続されている場合は、再度DVTR200以外の装置の接続を外すようにモニタ30上にメッセージ表示等で利用者に警告し、以降の処理に進めないようにする(ステップ407)。
【0027】
ステップ406にて取得したDVTR200の状態が現在停止中であれば、IEC61883規格のストリーム転送プロトコルに基づきストリームを送出するために、STB100のデジタルI/F108とDVTR200のデジタルI/F202との間に必要なコネクションを設立する(ステップ408)。そして、DTCP方式に基づき” copy one generation”のストリーム(空のパケットでも良い)をデジタルI/F108を介して1394バス20上に送信開始する(ステップ409)。受信側であるDVTR200のデジタルI/F202は前記ストリームを受信すると、STB100のデジタルI/F108に対して認証の要求を行い、STB100とDVTR200の間で互いに相手の認証を実行する。認証に成功すると、STB100から送信する暗号化されたストリームをDVTR200で正しく復号化することができる(ステップ410)。そして、DVTR200を記録一時停止状態にするため、1394バス20上に記録一時停止のコマンドを発行する(ステップ411)。
【0028】
次に、図5を用いて、STB100がDVTR200との間でムーブ処理を実行する手順500を説明する。STB100の制御部110は、図4のステップ402にて選択したムーブ対象のコンテンツがアナログ方式でのコピーに制限があるかチェックし(ステップ501)、制限がない場合には前記コンテンツを番組記録メモリ109上の外部からアクセスできない領域あるいは別メモリに一時的にコピーする(ステップ502)。そして、DVTR200を記録開始状態にするため、1394バス20上に記録開始コマンドを発行する(ステップ503)。DVTR200が記録開始したことを確認した後、前記ムーブ対象のコンテンツを“copy one generation”としてデジタルI/F108を介して1394バス20上へ送信開始する(ステップ504)。
【0029】
ムーブ実行が開始した後、STB100の制御部110は、DVTR200の動作状態を取得するために定期的にDVTR200に対して状態取得コマンドを発行する(ステップ505)。また、デジタルI/F108を介して現在1394バス20上に存在するAV装置の情報を取得する(ステップ506)。そして、DVTR200が現在記録中であり、1394バス20上に現在前記DVTR200以外の装置が接続されていないことを常にチェックする(ステップ507)。また、送信し終えたコンテンツを定期的に削除あるいは再生不能とする(ステップ508)。
【0030】
ここで、DVTR200にセットした記録メモリ205の容量が途中でなくなったり、利用者が誤ってDVTR200をリモコン操作することにより、DVTR200の動作状態が記録以外の状態に遷移した場合には、中断処理を実施する(ステップ509)。中断処理の詳細については以下図6で説明する。
【0031】
ムーブすべきコンテンツの送信が全て終了すると(ステップ510)、STB100はDVTR200の記録状態を停止するため、1394バス20上に記録停止コマンドを発行し(ステップ511)、停止処理を実行する(ステップ512)。終了処理の詳細については以下図7で説明する。
【0032】
ここで、ステップ509において、DVTR200だけでなく、利用者が誤ってSTB100をリモコン操作することによりコンテンツの送信を停止してしまう可能性もある。そこで、ムーブ以外のダビング処理(Copy Freeのコンテンツ)についてはダビング実行中でもリモコン操作でコンテンツの送信停止を指示できるが、ムーブ処理についてはムーブ実行中にリモコン操作でコンテンツの送信停止を指示できないようにする方法も挙げられる。
【0033】
次に、図6を用いて、上記ステップ508のムーブ処理を中断する手順について説明する。上記で述べた通りムーブ先の装置であるDVTR200の動作状態が何らかの原因により記録以外の状態に遷移した場合、STB100は1394バス20上へのコンテンツの送信を一旦停止し(ステップ601)、ムーブ処理が中断した旨をモニタ30上にメッセージ表示等で利用者に通知する(ステップ602)。そして、利用者がDVTR200に別の記録メモリ205をセットする等必要な処理をした後に、入力処理部105を介してムーブ処理の続行を指示すると(ステップ603)、STB100の制御部110は、DVTR200を記録状態にするために再度記録開始コマンドを発行し(ステップ604)、1394バス20上のコンテンツの送信を再開する(ステップ605)。ステップ602において、利用者がムーブ処理の続行を指示しなかった場合や一定期間利用者からの指示が入力されなかった場合は、終了処理511へ移行する。
【0034】
ここで、ムーブ実行中に他の装置(例えばDVD300)が1394バス20上に接続されてバスリセットが発生した場合も上記の中断処理508と同様の処理を実行する。具体的には、STB100がバスリセットの発生を検知した際、制御部110はデジタルI/F108を介して現在1394バス20上に存在するAV装置の情報を取得し、DVTR200のみが接続されていることを確認する。そして、DVTR200以外の他の装置が接続されたことが分かると、DVTR200の記録状態を停止するために記録一時停止コマンドを発行した後、上記中断処理508を実施する。
【0035】
次に、図7を用いて、上記ステップ511のSTB100がDVTR200に対するムーブ処理を終了する際に必要な手順について説明する。
【0036】
STB100の制御部110は、番組記録メモリ109にムーブ済のコンテンツが存在していないことを確認する(ステップ701)。この際、ムーブ済のコンテンツが一部でも存在する場合には該コンテンツを全て削除あるいは再生不能とする(ステップ702)。
【0037】
その後、ムーブ処理の実行結果を確認し(ステップ703)、前記ステップ502にて番組記録メモリ109上の外部からアクセスできない領域あるいは別メモリに前記コンテンツのコピーが存在するかチェックする(ステップ704)。そして、最後にモニタ30上にムーブ処理の実行結果等を利用者に通知する(ステップ706)。
【0038】
ここで、ステップ703にてムーブ処理が成功し、ステップ704にて前記コンテンツのコピーが存在する場合には該コピーを削除し(ステップ705)、ステップ706にてムーブ処理が成功した旨を通知する。
【0039】
一方、図8に示すように、ムーブ処理が中断により失敗した場合はムーブ処理が失敗した旨を通知し(800)、さらに前記コンテンツのコピーが存在する場合には、デコーダ104を介してアナログ出力端子111から該コンテンツを再生することができる旨を通知する。この際、デジタルI/F108を介して1394バス20上に該コンテンツを送出することは禁止する。また、アナログコピーの制限があるコンテンツについては、アナログ出力端子111から送出するコンテンツにマクロビジョン等の処理を施し、他のストリーム記録装置に記録することができないようにする。
【0040】
以上により、ムーブ処理が失敗した場合でも前記コンテンツを視聴することを可能とし、アナログコピーの制限がないコンテンツについてはアナログ信号で他のストリーム記録装置に記録することができる。この際、一定期間あるいは限定した回数、画質をダウンコンバート等の条件の下で前記コンテンツの再生を可能とする方法もある。
【0041】
ムーブ失敗時のその後の具体的な画面表示とて801のような選択肢をユーザに提示してもよい。
【0042】
また、ムーブ処理が中断した場合、既にムーブ済みのコンテンツが全体の何割に相当するかに因って(例えば、半分以上のコンテンツを既にムーブした場合等)、前記別メモリにコピーしたものを削除する方法もある。
【0043】
さらに、本実施例のSTB100とモニタ30を一体化した装置の場合には、前記別メモリにコピーしたコンテンツをデジタルI/F108およびアナログ出力端子111を介して外部へ送出せず、内蔵したモニタ30上でのみ再生可能とする方法もある。
【0044】
ここで、図4のステップ404、図5のステップ506で取得する現在1394バス20上に存在するAV装置の情報と、図4のステップ405、図5のステップ507で接続装置がムーブ先装置のみであるかチェックする方法の一例を説明する。
【0045】
1394バス20上に装置を接続すると、他の装置と重複しないように該装置に対して自動的にノードIDというアドレスが0から62まで昇順に割り当てられる。このノードIDは、接続構成が変化する度に割り当てられる値も変化する可能性がある。制御コマンドなどに利用するアシンクロナス通信では、該ノードIDを使用して通信を行う。一方、1394バス20に接続するSTB100やDVTR200など通常のAV装置は、固有のユニークIDという識別子を備えている。
【0046】
前記ステップ404、ステップ506では1394バス20上に存在するノードIDを取得し、前記ステップ405、ステップ507では該ノードIDが0と1のみであることをチェックした後、ムーブ先装置に録画機能があることを確認する方法がある。あるいは、前記ステップ404、ステップ506では1394バス20上に存在する全装置のユニークIDを取得し、前記ステップ405、ステップ507では取得したユニークIDの数が1であることをチェックした後、ムーブ先装置に録画機能があることを確認する方法がある。
【0047】
上記の方法に加え、録画機能を備えた不正な装置(例えば、2つの記録媒体を備え、同時に録画できるような装置)に対してムーブ処理を行わないために、特定の装置に対してのみムーブを行う方法がある。例えば、STB100の制御部110に、図9に示すようなムーブ処理対象装置リスト900を搭載する。該リスト900には、ムーブ処理対象とするAV装置を一意に特定できる情報、例えばメーカー名やモデル名を登録する。そして、前記ステップ404、ステップ506にて1394バス20上に存在するAV装置からノードIDと/あるいはユニークIDと共に該情報を取得し、前記ステップ405、ステップ507にてムーブ先装置以外が接続されていないことをチェックすると共に、該ムーブ先装置が前記ムーブ処理対象リスト900内に登録されている装置であることを確認する。該ムーブ先装置が該リスト内に登録されている装置であればムーブ処理を実行し、登録されていない装置であればムーブ処理を中断する。前記ムーブ処理対象装置リスト900の内容は、外部からの改ざんを防止するために暗号化処理等を施して格納する。また、放送やインターネットによるダウンロードやICカードや専用端末等を用いて該リスト900内容を更新することも可能とする。
【0048】
以上述べた様にすれば、ムーブ実行前に既にムーブ先以外の装置との間で認証処理が終了している場合でも該装置の接続を外さなければムーブ実行できないため、必然的にムーブ実行時には1394バス20上にムーブ元(STB100)とムーブ先(DVTR200)のみが存在することとなり、他の装置による不正コピーを簡単に防ぐことができる。また、ムーブ先は通常の”copy one generation”のコンテンツを記録するのと全く同じ動作をすれば良い。
【0049】
また、ムーブ実行前に予めムーブ対象のコンテンツを別メモリ領域にコピーして、ムーブ処理に失敗した場合に該コピー内容をアナログ形式でのみ再生可能となり、利用者に対しては本来ムーブできるはずだった番組をアナログ形式で残すことができる。
【0050】
ここで、本実施例ではムーブ元装置としてSTB100を例に挙げたが、DVTR200やDVD300でも良い。
【0051】
本発明によれば、一旦ストリームデータ記録再生装置により記録された、コピー制限されているコンテンツを、他のストリームデータ記録再生装置に転記することができ、その際に不正なコピーを作成される恐れがない。また、記録領域不足や操作誤りによりストリームデータの転記に失敗した場合にのみアナログ再生することができ、利用者に対して安全で使い勝手の良いシステムを提供することができる。
【符号の説明】
【0052】
10…アンテナ
30…モニタ
100…放送受信装置
200…デジタルVTR
300…DVDレコーダ
104…デコーダ
105、201…入力処理部
107、204…記録/再生処理部
108、202…デジタルI/F
109…番組記録メモリ
205…記録テープ
110、206…制御部
111、208…アナログ端子
112、207…デジタル端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送番組を受信して他のデジタル機器へ出力する放送受信装置であって、
コピー制御情報が付加された番組を受信する受信手段と、
前記受信手段において受信された番組をデジタル記録する記録手段と、
前記記録手段において記録された番組を他のデジタル機器に対しデジタル出力する出力手段と、を備え、
前記出力手段から出力される番組のコピーが前記コピー制御情報により所定の制限を受ける場合において、前記出力手段は、その出力先に前記番組が記録されるべき1つのデジタル機器以外の機器が接続されているときには、前記番組の出力をしないことを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
請求項1記載の放送受信装置において、
出力先に番組が記録されるべき1つのデジタル機器以外の機器が接続されているため前記番組を出力しない旨を通知する通知手段を備えたことを特徴とする放送受信装置。
【請求項3】
前記コピー制御情報における所定の制限とは、前記記録手段に記録されることにより当該番組のコピー制限情報が 'no more copies'とされた場合であることを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項4】
請求項1記載の放送受信装置において、
アナログ信号を出力するアナログ出力手段と、
前記コピー制御情報によりデジタルコピー制限が付加された番組であってアナログコピー制限が付加されていない場合に、前記出力先のデジタル機器へ出力する前に該番組を記憶する記憶手段と、を備え、
前記アナログ出力手段は、前記番組を出力先のデジタル装置での記録に失敗した場合は、前記記憶手段に記憶された番組をアナログ信号として出力することを特徴とする放送受信装置。
【請求項5】
前記アナログ出力手段が、前記記憶手段に記憶された番組を出力した後は、前記記憶手段に記憶された番組が削除されることを特徴とする請求項4に記載の放送受信装置。
【請求項6】
請求項4記載の放送受信装置において、
前記記憶した番組は、期間あるいは回数制限の条件下で前記アナログ出力端子を介して出力することを特徴とする放送受信装置。
【請求項7】
請求項1に記載の放送受信装置において、
前記出力手段が出力先として出力可能なデジタル機器を記憶する出力先記憶手段を備え、
前記出力先記憶手段に記憶されているデジタル機器以外の機器が接続されても、前記出力手段はデジタル出力しないことを特徴とする放送受信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の放送受信装置において、
前記出力手段は、高速シリアルバスに接続され、該高速シリアルバス上に接続されたデジタル機器を特定する情報が前記出力先記憶手段に記憶されているデジタル機器と一致するときにデジタル出力を行なうことを特徴とする放送受信装置。
【請求項9】
請求項7に記載の放送受信装置において、
前記出力先記憶手段は、外部から入力される情報により、出力可能なデジタル機器の情報が更新されることを特徴とする放送受信装置。
【請求項10】
請求項1に記載の放送受信装置において
前記出力手段からなされるデジタル出力は、出力先のデジタル機器との間でムーブ処理が行なわれることを特徴とする放送受信装置。
【請求項11】
請求項10に記載の放送受信装置において、
前記出力手段においてムーブ処理が行なわれている間は、ユーザからの前記放送受信装置に対する特定の操作が禁止されることを特徴とする放送受信装置。
【請求項12】
他のデジタル機器へストリームを出力するストリーム出力装置であって、
コピー制御情報を含むストリームを記録する記録手段と、
前記記録手段において記録されたストリームを他のデジタル機器に対し出力する出力手段と、を備え、
前記出力手段から出力されるストリームは、前記コピー制御情報によりコピーの制限を受ける場合において、前記出力手段は、その出力先に前記ストリームが記録されるべきデジタル機器以外の機器が接続されているときには、前記ストリームの出力を禁止することを特徴とするストリーム出力装置。
【請求項13】
請求項12に記載のストリーム出力装置において
前記出力手段からなされるストリームの出力におてい、出力先のデジタル機器の間でムーブ処理が行なわれることを特徴とするストリーム出力装置。
【請求項14】
請求項13記載のストリーム出力装置において、
アナログ信号を出力するアナログ出力手段と、
前記コピー制御情報によりデジタルコピー制限が付加されたストリームであってアナログコピーが許容される場合に、前記出力先のデジタル機器へ出力する前に該ストリームを記憶する記憶手段と、を備え、
前記アナログ出力手段は、前記ストリーム出力のムーブ処理が完了しなかった場合は、前記記憶手段に記憶されたストリームをアナログ信号として出力することを特徴とするストリーム出力装置。
【請求項15】
請求項12に記載のストリーム出力装置において、
前記出力手段は、高速シリアルバスに接続され、
前記出力手段が出力先として出力可能なデジタル機器を記憶する出力先記憶手段を備え、
該高速シリアルバス上に接続されたデジタル機器を特定する情報が前記出力先記憶手段に記憶されているデジタル機器と一致するときにストリームの出力を行なうことを特徴とするストリーム出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−147975(P2009−147975A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69310(P2009−69310)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【分割の表示】特願2003−403967(P2003−403967)の分割
【原出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】