説明

放送受信装置

【課題】緊急地震速報を検出したタイミングで迅速に報知を実施する機能を保ったうえで、重複した内容の報知を回避することができる放送受信装置を提供する。
【解決手段】本発明の放送受信装置は、選局された放送波と同一または類似すると推定される放送波を検索し、検索結果に基づいて放送受信部へ選局指示を与えるサーチ部を備える。また、放送波から所定の災害情報を抽出する災害情報抽出部、及び記録部を備える。また、選局が実施され、且つ災害情報の抽出が行われた場合に、災害情報に含まれる情報のうち所定の情報を抽出して履歴情報として記録部に記録する履歴取得部を備える。また、選局が実施され、且つ災害情報の抽出が行われた場合に、災害情報に含まれる所定の情報が履歴情報と一致するか否かを判定し、一致しない場合に災害情報に基づく報知を行い、一致する場合に災害情報に基づく報知を行わない報知制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送波を受信する放送受信装置に関するものであり、特に放送波に含まれる災害情報を抽出して報知を行う放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル放送の一つとして、地上デジタル放送が存在する。日本においては現行の地上アナログ放送は2011年に放送終了予定であり、地上デジタル放送への移行が行われている。これに伴い、カーナビや携帯電話等に搭載される移動体用の放送受信装置も、広く開発が行われている。
【0003】
地上デジタル放送の放送波を利用した情報配信サービスとして、災害発生時における災害情報配信サービスの実用化が進められている。代表的な災害情報配信サービスとしては例えば、日本で西暦2007年10月1日より実施が開始された緊急地震速報が存在する。緊急地震速報は、地震発生時に実施される災害情報配信サービスである。
【0004】
地上デジタル放送を用いた緊急地震速報の伝送方法については、いくつかの提案がされている。その中の一つにAC(Auxiliary Channel)信号を用いた伝送方法がある。AC信号は、映像や音声などを伝送するTS(Transport Stream)より雑音特性に優れた変調方式を用いている。またAC信号は、時間インターリーブを伴わず、1フレーム(=204OFDMシンボル)で情報が完結するという特性がある。
【0005】
このため、映像や音声よりも早く受信側でデコードすることが可能である。また画像や音声を含む信号より雑音(マルチパス)特性に優れている。従って画像や音声の復元が行えないほど雑音が多い状態でも、高い確率で復元し、緊急地震速報を検出することが可能である。
【0006】
言い換えれば、AC信号を用いることにより、選局された放送が受信できるか否かの判断を行うことなく、つまり受信放送局やサービス、画像、音声等を特定することなく、緊急地震速報を検出することが可能である。
【0007】
緊急地震速報を検出した放送受信装置は、例えば液晶パネルによる画像表示や、スピーカによる音声出力等を行うことにより、放送受信装置の使用者(以下、「ユーザ」という)に対して報知を行う。この報知は、緊急地震速報の検出後に、できる限り速やかに実施することが重要である。つまり、緊急地震速報を伝送している放送局が特定できるまで報知を行わないというのは望ましくない。
【0008】
上記に関連して特許文献1においては、緊急情報を確実に受信できるか否かをユーザに知らしめることが可能な放送受信装置が開示されている。この放送受信装置は、地上デジタル放送波からAC信号を抽出する。そして受信電力または受信電界強度を示す情報、シンボル同期の検出情報、MER(Modulation Error Ratio)情報、及び緊急情報同期確立情報のうちの一つ以上を検出する。そして検出した値を基に、緊急情報の受信状態を表すレベル計の値を決定する。これによりユーザは、放送受信装置が緊急情報を受信できるか否かを、放送受信装置の電源を投入していなくても予め知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−296575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されているような従来の放送受信装置を、車両等の移動体により搬送しながら使用する場合(例えばカーナビゲーション装置に内蔵して使用する場合)、移動による受信状態の変化に対応させる必要がある。
【0011】
地上デジタル放送では、広地域で同一の放送を実現するため、親局から送出された電波を中継局が受け、中継局から再送信する仕組みを持っている。この一つとして、同じ周波数帯で中継する単一周波数ネットワーク(SFN−Single Frequency Network)が提案されている。しかしながら遅延波による干渉の問題から、SFNだけで同一の放送を実現することは難しい。このため、複数の周波数を用いたMFN(Multi Frequency Network)で運用されているのが実態である。
【0012】
このことから、特に移動体用の放送受信装置では、放送局毎の中継局の物理チャンネルを示すテーブルを保持し、任意の放送局がユーザ操作により選局された場合に、テーブルに含まれる物理チャンネルをサーチする機能(以下、「手動サーチ機能」という)を備えるものがある。
【0013】
また、受信状態が劣化した場合に、放送受信装置が自動で中継局や系列局などをサーチし、受信状態が良好な物理チャンネルに切り換える機能(以下、「自動サーチ機能」という)を備えるものもある。
【0014】
例えば車載用の放送受信装置であれば、走行中に自車の位置、速度等により受信状態が刻々と変化する。そして現在の放送地域と移動先の地域との境界域に近づくにつれて、現在の放送地域に向けられた放送波の受信が困難となる。そして移動先の地域に向けられた放送波の受信が可能となる。自動サーチ機能は、このような境界域において効果を発揮する。
【0015】
サーチ処理において、受信不可と判定される条件はいくつか考えられるが、例として以下のようなものが挙げられる。
1.画像や音声の情報(TS)を取得できない。
2.ユーザが選択した放送局と異なる放送局を受信した。
【0016】
電波が存在しない場合を除き、上記の判定が完了するのは、AC信号による緊急地震速報の検出より遅くなってしまう。つまり、緊急地震速報を検出したが受信不可と判断されてしまい、緊急地震速報を表示した後にすぐ別の物理チャンネルをサーチすることになる。
【0017】
この結果、受信可能になるまでサーチを継続し、緊急地震速報が送出されている物理チャンネルをサーチする毎に、同一の緊急地震速報を表示するといった事態が発生する可能性がある。このため、サーチ中においてユーザに煩わしさを感じさせるという問題がある。
【0018】
仮に、受信可能な物理チャンネルを検出してから緊急地震速報を表示するよう制御すると、緊急地震速報の検出後に速やかに地震情報を表示するという、本来の目的を果たせなくなってしまう。
【0019】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、緊急地震速報を検出したタイミングで速やかに報知を実施する機能を保ったうえで、内容が重複する報知を回避することができる放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明の放送受信装置は、放送波の選局及び受信を行う放送受信部と、前記放送受信部により選局された放送波と同一または類似すると推定される放送波を検索し、前記検索の結果に基づいて前記放送受信部へ選局指示を与えるサーチ部と、前記放送受信部により受信される放送波から災害情報を抽出する災害情報抽出部と、情報の記録を行う記録部とを備える放送受信装置において、前記放送受信部による選局が実施され、且つ前記災害情報抽出部による前記災害情報の抽出が行われた場合に、前記災害情報に含まれる情報を抽出して履歴情報として前記記録部に記録する履歴取得部と、前記放送受信部による選局が実施され、且つ前記災害情報抽出部による前記災害情報の抽出が行われた場合に、抽出された該災害情報に含まれる情報が前記履歴情報と一致するか否かを判定し、一致しない場合に該災害情報に基づく報知を行い、一致する場合に該災害情報に基づく報知を行わない報知制御部とを備えることを特徴とする。
【0021】
この構成によると、本発明の放送受信装置は、放送波の選局及び受信を行う放送受信部を備える。また、選局された放送波と同一または類似すると推定される放送波を検索し、検索結果に基づいて放送受信部へ選局指示を与えるサーチ部を備える。また、放送受信部により受信される放送波から所定の災害情報を抽出する災害情報抽出部を備える。また、情報の記録を行う記録部を備える。また、選局が実施され、且つ災害情報の抽出が行われた場合に、災害情報に含まれる情報のうち所定の情報を抽出して履歴情報として記録部に記録する履歴取得部を備える。また、選局が実施され、且つ災害情報の抽出が行われた場合に、災害情報に含まれる所定の情報が履歴情報と一致するか否かを判定し、一致しない場合に災害情報に基づく報知を行い、一致する場合に災害情報に基づく報知を行わない報知制御部を備える。これにより、重複する災害情報の報知を回避することができる。
【0022】
また上記目的を達成するために前記履歴取得部は、前記災害情報の更新有無を示す更新情報、災害の詳細を示す災害詳細情報、または前記災害情報の識別に用いられる識別情報を、前記災害情報から抽出して前記履歴情報として前記記録部に記録し、前記報知制御部は、前記放送受信部による選局が実施され、且つ前記災害情報抽出部による前記災害情報の抽出が行われた場合に、抽出された該災害情報に含まれる前記更新情報、前記災害詳細情報、または前記識別情報と前記履歴情報とが一致するか否かを判定し、一致しない場合に該災害情報に基づく報知を行い、一致する場合に該災害情報に基づく報知を行わないことを特徴とする。
【0023】
この構成によると、本発明の放送受信装置が備える履歴取得部は、災害情報の更新有無を示す更新情報、災害の詳細を示す災害詳細情報、または災害情報の識別に用いられる識別情報を災害情報から抽出し、履歴情報として記録部に記録する。また報知制御部は、選局が実施され、且つ災害情報の抽出が行われた場合に、抽出された災害情報に含まれる更新情報、災害詳細情報、または識別情報と履歴情報とが一致するか否かを判定する。そして、一致しない場合に災害情報に基づく報知を行い、一致する場合に災害情報に基づく報知を行わない。
【0024】
また上記目的を達成するために前記放送受信部は、地上デジタルテレビジョン放送波からAC(Auxiliary Channel)信号を抽出し、前記災害情報抽出部は、前記AC信号に含まれる更新フラグを前記更新情報として抽出し、前記AC信号に含まれるページ種別及び地震動情報を前記災害詳細情報として抽出することを特徴とする。
【0025】
この構成によると、本発明の放送受信装置が備える放送受信部は、地上デジタルテレビジョン放送波からAC信号を抽出する。また災害情報抽出部は、AC信号に含まれる更新フラグを更新情報として抽出するとともに、AC信号に含まれるページ種別及び地震動情報を災害詳細情報として抽出する。
【0026】
また上記目的を達成するために前記履歴取得部は、前記災害情報の伝送に用いられた放送波の周波数帯域を示すチャンネル情報と、前記災害情報から抽出した情報であり災害の詳細を示す災害詳細情報とを前記履歴情報として前記記録部に記録し、前記報知制御部は、前記放送受信部による選局が実施され、且つ前記災害情報抽出部による前記災害情報の抽出が行われた場合に、該選局がなされた放送波の周波数帯域を示す選局チャンネル情報、及び抽出された該災害情報に含まれる前記災害詳細情報と前記履歴情報とが一致するか否かを判定し、一致しない場合に該災害情報に基づく報知を行い、一致する場合に該災害情報に基づく報知を行わないことを特徴とする。
【0027】
この構成によると、本発明の放送受信装置が備える履歴取得部は、災害情報の伝送に用いられた放送波の周波数帯域を示すチャンネル情報、及び災害の詳細を示す災害詳細情報を、履歴情報として記録部に記録する。また報知制御部は、選局が実施され、且つ災害情報の抽出が行われた場合に、選局がなされた放送波の周波数帯域を示す選局チャンネル情報及び抽出された災害情報に含まれる災害詳細情報と、履歴情報とが一致するか否かを判定する。そして一致しない場合に災害情報に基づく報知を行い、一致する場合に災害情報に基づく報知を行わない。
【0028】
また上記目的を達成するために前記放送受信部は、地上デジタルテレビジョン放送波からAC(Auxiliary Channel)信号を抽出し、前記災害情報抽出部は、前記AC信号に含まれるページ種別及び地震動情報を前記災害詳細情報として抽出することを特徴とする。
【0029】
この構成によると、放送受信部は、地上デジタルテレビジョン放送波からAC信号を抽出する。また災害情報抽出部は、AC信号に含まれるページ種別及び地震動情報を、災害詳細情報として抽出する。
【0030】
また上記目的を達成するために本発明の放送受信装置は、前記放送受信装置に対する操作指示を受け付ける操作部を備え、前記放送受信部は、選局中の放送波の受信感度が予め定められた閾値を下回るか否かを監視し、前記サーチ部は、前記操作部により選局操作が検知された場合、または前記放送受信部により前記受信感度が前記閾値を下回ることが検知された場合に、前記放送受信部へ選局指示を与えることを特徴とする。
【0031】
この構成によると、本発明の放送受信装置は、放送受信装置に対する操作指示を受け付ける操作部を備える。また放送受信部は、選局中の放送波の受信感度が所定の閾値を下回るか否かを監視する。またサーチ部は、操作部により選局操作が検知された場合、または放送受信部により受信感度が閾値を下回ることが検知された場合に、放送受信部へ選局指示を与える。
【0032】
また上記目的を達成するために本発明の放送受信装置は、表示部、または音声出力部を備え、前記報知制御部は、抽出された該災害情報に含まれる予め定められた種別の情報が前記履歴情報と一致しない場合に、該災害情報を示す画像を表示するよう前記表示部を制御する、または該災害情報を示す音声を出力するよう前記音声制御部を制御することを特徴とする。
【0033】
この構成によると、本発明の放送受信装置は、表示部、または音声出力部を備える。また報知制御部は、抽出された災害情報に含まれる所定種別の情報が履歴情報と一致しない場合に、災害情報を示す画像を表示するよう表示部を制御する。または一致しない場合に、災害情報を示す音声を出力するよう音声制御部を制御する。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、放送受信装置の移動により所定の放送波が受信不可となった場合、またはユーザにより選局動作がなされた場合に、この放送波と同一系列の放送波を検索する。そして同一系列の放送波において重複する災害情報が放送されている場合に、重複する災害情報の報知を行わない。これにより、サーチ時において重複する災害情報が繰り返し報知され、ユーザに煩わしさを感じさせるという問題を回避することができる。
【0035】
また本発明によれば、重複した災害情報の報知を回避しつつ、放送波に含まれる画像/音声の再生可/不可判定の前に、重複しない災害情報の報知を行うことが可能である。これにより、災害情報の内容が更新された場合に、災害情報を迅速に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る放送受信装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る緊急地震速報テーブルを示すテーブル図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係る緊急地震速報テーブルを示すテーブル図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る選局画面を示す画面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る報知制御処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
[実施の形態1]
〈1−1.内部構成について〉
図1は、本発明の一実施形態に係る車載用テレビ100(=放送受信装置)の内部構成を示すブロック図である。図1のブロック図に示すように、本発明の車載用テレビ100は、少なくとも、制御部11、OSD(On Screen Display)処理部12、記録部13、操作部14、LCD(Liquid Crystal Display)15(=表示部)、表示制御部16(=表示部)、スピーカ17(=音声出力部)、デジタルアンテナ18(=放送受信部)、デジタルチューナ19(=放送受信部)、及びデジタル放送処理部20(=放送受信部)を含むように構成されている。
【0038】
制御部11は、車載用テレビ100の各部材の駆動を有機的に制御して、放送受信処理等を統括制御するものである。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現される機能部として、サーチ部11a〜報知制御部11dを備えている。なお、各機能部が実施する処理の詳細については後述する。
【0039】
OSD処理部12は、EPG(Electronic Program Guide)用の画像や、受信した緊急地震速報を示す報知用画像等を描画する。OSD処理部12により描画された画像は表示制御部16に与えられ、LCD15に表示される。なお、OSD処理部12が描画に用いるための各種画像データやテキストデータは、記録部13に予め記録されている。或いは、デジタルアンテナ18で受信するデジタル放送波の中に含まれているデータを用いることも可能である。
【0040】
記録部13は、各種データを記録するための記録媒体である。記録部13は、記録するデータの種別毎に、複数の記録領域をその内部に設けることが可能である。図1に示す例では、記録部13は少なくとも、アプリケーション記録領域13a、及び地震情報記録領域13bを含むように構成されている。
【0041】
アプリケーション記録領域13aは、車載用テレビ100において実行される各種プログラム(例えば受信制御プログラム等)を記録する領域である。またアプリケーション記録領域13aは、地域毎のチャンネルリストや、緊急地震速報の報知を行うための各種設定情報等を記録するのにも用いられる。
【0042】
地震情報記録領域13bは、後述する地震情報抽出部11bがAC信号より抽出した地震情報を記録するのに用いられる。また、後述するテーブル管理部11cが生成する緊急地震速報テーブルや、緊急地震速報テーブルを生成するために一時的に使用される情報、例えば放送波の物理チャンネル等を記録する領域である。
【0043】
操作部14は、車載用テレビ100に対する選局指示や、チャンネル設定指示等をユーザが行うためのインタフェースである。操作部14は、例えば複数のプッシュボタンやタッチセンサ等を含むように構成されている。或いは、LCD15の背面に設けられたタッチパネル(不図示)を含む構成でもよい。
【0044】
LCD15は、車載用テレビ100が保持する各種情報、例えばEPG画像やテレビ放送受信画像、或いは緊急地震速報の報知画像等を表示する表示装置である。表示制御部16は、画像データをLCD15の信号フォーマットにあわせた信号にエンコードした後、D/A変換を行い、画像信号を出力する。表示制御部16から出力された画像信号はLCD15に送られ、画像として表示される。
【0045】
スピーカ17は、音声処理部(不図示)が音声データをデコードしてD/A変換することにより得られたアナログ音声信号により、音声を出力するための拡声器である。なお使用する音声データとしては、デジタル放送処理部20によりデコードされた音声データや、記録部13に予め記録されている音声データ等を用いる。
【0046】
デジタルアンテナ18は、デジタル放送受信用のアンテナであり、例えば複数のダイバーシティアンテナ等が用いられる。デジタルチューナ19は、デジタルアンテナ18により受信する放送波の選局及び復調を行い、TS(Transport Stream)やAC信号を出力するためのものである。
【0047】
またデジタルチューナ19は、選局中の放送波が受信不可となったか否かを監視する。具体的には例えば、車載用テレビ100を搭載した車両が受信地域を跨ぐ等により、これまで受信していた放送波の電界強度が所定の閾値を下回った場合に、受信不可となったとみなす。
【0048】
デジタル放送処理部20は、デジタルチューナ19から出力されるTSから、画像データ、音声データ、付加データ等を分離、デコードする。デコードにより得られた各種データは、先述の制御部11、表示制御部16、またはスピーカ17等に送られる。
〈1−2.チャンネル選択画面について〉
ここで、本発明の一実施形態に係るチャンネル選択画面を、図4の画面図を用いながら説明する。
【0049】
図4は、ユーザが車載用テレビ100に対して選局操作を行うためのチャンネル選択画面90を示している。なおチャンネル選択画面90の呼び出しは、例えば操作部14に含まれる選局ボタン等をユーザが押下することにより実施可能である。
【0050】
本実施形態のチャンネル選択画面90には、チャンネル一覧91、カーソル92、戻るボタン93、及び再サーチボタン94が含まれる。
【0051】
再サーチボタン94にカーソル92が合わさっている状態で、操作部14に含まれる決定キーが押下されると、現在受信中の放送局の中継局、または系列局のサーチが開始される。これにより、受信中の放送局の受信感度が低下し、画像や音声の復調に支障をきたすようになった場合に、現在受信中の放送局で視聴している番組と同一の番組を視聴できる受信感度の良い他の放送局に切り換えて視聴を継続することができる。
〈1−3.機能部の構成について〉
ここで、本発明の第一の実施形態に係る報知制御処理を行うための各機能部の関係を、図1のブロック図を用いながら説明する。
【0052】
図1に示すように、本実施形態の報知制御処理は、サーチ部11a、地震情報抽出部11b(=災害情報抽出部)、テーブル管理部11c(=履歴取得部)、及び報知制御部11dにより実施される。
【0053】
サーチ部11aは、所定の放送局からの放送波を受信するためのチャンネルサーチ(以下、「サーチ」という)を行う。サーチ部11aは、先述の手動サーチ機能及び自動サーチ機能を備え、ユーザがチャンネル選択画面90で選局操作を行った場合や、受信中の放送波の受信感度が低下したことがデジタルチューナ19またはデジタル放送処理部20により検知された場合に、中継局や系列局をサーチする。
【0054】
上記のタイミングにおいてサーチ部11aは、サーチ対象の物理チャンネル一覧を示す候補リストを作成する。そして候補リストに含まれる物理チャンネルによる受信を試行する。試行の結果、同一の系列の番組を放送している物理チャンネルの受信に成功した場合、この物理チャンネルを用いて放送波の受信を開始する。
【0055】
受信に失敗した場合、サーチ部11aは候補リストの中の未チェックの物理チャンネルを抽出し、受信を試行する。この繰り返しを行い、受信できる物理チャンネルが検知されなかった場合に、サーチに失敗したとみなす。
【0056】
地震情報抽出部11bは、放送波に含まれるAC信号から、緊急地震速報に関連する情報である地震情報(=災害情報)を抽出する。地震情報には例えば、地震検知時刻、地震識別番号、震央地名コード、震源の緯度/経度、震源の深さ、マグニチュード、最大予測震度、データの正確性(測定に使用したシステムや処理手法等)等のデータが含まれている。なお通常、親局と中継局とは同一データを送信するため、AC信号に関しても同一のものが伝送されている。
【0057】
テーブル管理部11cは、サーチ部11aによるサーチが発生した時点で、緊急地震速報テーブル(=履歴情報)を生成して記録部13に記録する。緊急地震速報テーブルは、一度表示した地震情報の重複表示を避けるために、過去の地震情報を記録して管理するためのテーブルである。
【0058】
図2は、本実施形態の緊急地震速報テーブル(=履歴情報)を示している。緊急地震速報テーブルの一行分のデータは、一つのAC信号から取得した地震情報に該当する。なお、緊急地震速報テーブルに含まれる「地震動警報情報」及び「地震動警報詳細情報」の内容は、社団法人電波産業会が策定した規格であるARIB規格STD−B31に準拠するものとする(参考URL:http://www.arib.or.jp/tyosakenkyu/kikaku#hoso/hoso#std-b031.html、http://www.soumu.go.jp/main#content/000037088.pdf)。
【0059】
地震動警報情報に含まれる「更新フラグ」(=更新情報)は、二ビットのフラグ情報であり、「00」、「01」、「10」、及び「11」のいずれかの値をとる。放送局は地震動警報詳細情報を送出してない場合、固定で「11」の値を更新フラグに含める。逆に
地震動警報詳細情報を送出する場合に、「00」〜「11」のいずれかの値を更新フラグに含める。そして地震動警報詳細情報の内容が更新されるたびに、値を一増加させる。なお「11」の状態で値を一増加させた場合、「00」に戻るものとする。つまり更新フラグは、「00」→「01」→「10」→「11」→「00」→(以下繰り返し)と変化する。
【0060】
上記の仕組みを利用すれば、更新フラグの値の変化を監視することにより、地震動警報詳細情報の内容が更新されたか否かを判定できる(ただしAC信号を含む放送波の放送局が、同一系列の放送局であることを前提とする)。
【0061】
図中の「地震動警報詳細情報」(=災害詳細情報)は、AC信号に含まれる地震情報のうち、時々刻々と変化する時刻情報等を除いた情報である。本実施形態では、地震情報に含まれるページ種別及び地震動情報を、地震動警報詳細情報として取得する。
【0062】
ページ種別は、0及び1のいずれかの値をとる一ビットの情報である。ページ種別が0の場合、地震動情報には地域情報(都道府県コード等)が含まれている。ページ種別が1の場合、地震動情報には震源地情報(震源地の緯度経度等)が含まれている。このようにページ種別と地震動情報とは、一組で一つの地震動警報詳細情報を構成するようになっている。なお放送局が地震情報を伝送しない場合、地震動情報の各ビットには「1」が設定される。
【0063】
以上のことから、一つのAC信号に複数の地震動警報詳細情報が含まれる場合があるため、緊急地震速報テーブルにも複数の「地震動警報詳細情報」欄が設けられている。
【0064】
なお「地震動警報詳細情報」欄に対して、チェックサムやCRC(Cyclic Redundancy Check)等により生成される誤り検出用パリティビット(=識別情報)を記録する形態でもよい。ただし以下の実施例では、ページ種別及び地震動情報のみを記録するものとする。
【0065】
報知制御部11dは、上記の緊急地震速報テーブルを用いて、地震情報が更新されたか否かの判定を行う。例えばサーチ部11aにより中継局サーチが行われ、新たなAC信号が受信された場合に、緊急地震速報テーブルの各種データ、つまり更新フラグや地震動詳細情報を参照することにより、既に表示した地震情報であるか否かを判定する。
【0066】
なお緊急地震速報テーブルに複数の地震動警報詳細情報が記録されている場合、一AC信号に対して、複数回のチェック処理を行う。例えば図2の例では、まず更新フラグ及び地震動警報詳細情報1を用いたチェック処理を行った後、更新フラグ及び地震動警報詳細情報2を用いたチェック処理を行う。
【0067】
そして緊急地震速報テーブルに含まれる更新フラグ及び地震動詳細情報と、受信したAC信号に含まれる更新フラグ及び地震動詳細情報とが一致する場合、地震情報に基づく報知を行わない。逆に一致しない場合、「新たな地震情報」と判断し、地震情報に基づく報知を行う。
【0068】
また報知制御部11dは所定のタイミング、例えばサーチ部11aによる中継局や系列局のサーチが行われるたびに、緊急地震速報情報テーブルの内容を更新し、所定期間だけ保持し続ける。所定期間の一例としては、例えば緊急地震速報の発生を検知してから予め定められた時間が経過するまでの期間や、サーチ開始からサーチ終了までの期間を所定期間とする。
〈1−4.報知制御処理について〉
ここで、本発明の第一の実施形態に係る車載用テレビ100が実施する、緊急地震速報受信時の報知制御処理について、図5のフロー図を用いながら説明する。
【0069】
本実施形態の処理フローでは、受信中のAC信号に含まれる地震動警報情報及び地震動警報詳細情報と、緊急地震速報テーブルに含まれる地震動警報情報及び地震動警報詳細情報とを比較する。そして一致していれば、既に報知を行った緊急地震速報と同じであると判断する。なお地震動警報詳細情報を比較する場合は、地震動警報詳細情報に含まれるページ種別と地震動情報とをペアとして比較する。
【0070】
図5に示す処理フローは、車載用テレビ100の電源が起動し、且つサーチ部11aにより中継局サーチや系列局サーチ、またはその他のサーチが実施された時点で開始される。これらのサーチは例えば、デジタルチューナ19またはデジタル放送処理部20により受信感度の低下が検知された場合に開始される。或いは所定のユーザ操作、例えば図4に示す再サーチボタン94の押下等が検知された場合に開始される。
【0071】
本処理の開始後、テーブル管理部11cはステップS110において、緊急地震速報テーブルを初期化する。なお、ここで初期化された緊急地震速報テーブルは、本処理フローが実施されている期間は保持される。
【0072】
次に地震情報抽出部11bはステップS120において、AC信号に含まれる緊急地震速報を検知したか否かを判定する。これは例えば、AC信号に含まれる開始/終了情報等を用いて判定する。緊急地震速報を検知していない場合、後述するステップS140へ移行する。検知した場合、地震情報抽出部11bはAC信号に含まれる地震情報を抽出する。
【0073】
次にテーブル管理部11cはステップS130において、緊急地震速報テーブルを更新する。つまりステップS110で初期化した緊急地震速報テーブルに対して、上記で抽出した地震情報を記録する。
【0074】
次にサーチ部11aはステップS140において、未サーチの物理チャンネルが残っているか否かを判定する。例えばこれまで受信していた放送局Aの親局が13CHであり、この放送局Aの中継局が14CH、17CH、及び20CHであったとする。この場合、親局及び中継局の全四チャンネルに対してサーチを実施済みであるか否かを判定する。
【0075】
未サーチの物理チャンネルが残っていない場合、本処理を終了する。未サーチの物理チャンネルが残っている場合、サーチ部11aはステップS150において、未サーチチャンネルに対するサーチを開始する。
【0076】
次に地震情報抽出部11bはステップS160において、ステップS150でサーチが開始された物理チャンネルのAC信号に、緊急地震速報のための地震情報が含まれているか否かを判定する。地震情報が含まれていない場合、後述するステップS200へ移行する。
【0077】
地震情報が含まれている場合、報知制御部11dはステップS170において、受信した地震情報と、緊急地震速報テーブルに記録されている地震情報との比較を行う。そして両情報が一致する場合、後述するステップS200へ移行する。両情報が一致しない場合、報知制御部11dはステップS180において、緊急地震速報の報知を行うよう、OSD処理部12や表示制御部16、或いはスピーカ17の制御を行う。
【0078】
例えば図2の例では「更新フラグ」、「ページ種別」、及び「地震動情報」のうち一つでも一致していない項目が存在する場合、緊急地震速報を表示する。全てが一致した場合、緊急地震速報を表示しない。なお、「ページ種別」、及び「地震動情報」が複数存在する場合、その全てに対してチェックを行い、複数のうち一つでも一致しない情報があれば緊急地震速報の報知を行うことが望ましい。
【0079】
次にテーブル管理部11cはステップS190において、報知に用いられた地震情報を緊急地震速報テーブルに追加することにより、緊急地震速報テーブルの更新を行う。
【0080】
次にサーチ部11aはステップS200において、サーチを行った物理チャンネルにおいて、受信対象の放送局からの放送波の受信に成功したか否かを判定する。受信に失敗した場合、再びステップS140へ移行する。受信に成功した場合、サーチを終了し、受信放送の表示を行う。
【0081】
なお上記の処理フローでは、各物理チャンネルに対するサーチの実施回数は特に限定していないが、例えば親局と中継局とのサーチを所定回数だけ繰り返し実施する形態でもよい。例えば上記の例では、13CH、14CH、17CH、20CH、13CH(以後、繰り返し)の順にサーチを実施する。
【0082】
この形態の場合、親局である13CHが再度サーチされた場合に、13CHに緊急地震速報が含まれるか否か再チェックする。含まれない場合、この系列局の緊急地震速報テーブルを初期化する。
【0083】
以上に説明した本実施形態によれば、車両1の移動等により電波状況が変化し、受信中のチャンネルが受信不可となった場合や、ユーザ操作によりサーチ指示がなされた場合に、受信中チャンネルと同一系列のチャンネルを検索する。そして同一系列において同じ地震情報が放送されている場合に、重複する内容の地震情報を表示しない。これにより、サーチ時において同じ地震情報が繰り返し行われ、ユーザに煩わしさを感じさせるという問題を回避することができる。
【0084】
また本発明によれば、AC信号から取得した地震情報の一部を緊急地震速報テーブルに記録し、地震情報が重複するか否かの判定を行う。これにより、受信対象チャンネルの受信可/不可の判定を行う前段階で、速やかに重複の判定及び緊急地震速報の報知を行うことが可能である。
【0085】
次に、本発明の第二の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
[実施の形態2]
〈2−1.内部構成について〉
実施の形態1と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−2.チャンネル選択画面について〉
実施の形態1と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−3.機能部の構成について〉
実施の形態1の図1と同じ構成であるが、テーブル管理部11c及び報知制御部11dの機能が一部異なる。
【0086】
本実施形態のテーブル管理部11cは、サーチ部11aによるサーチが発生した時点で、図3に示す緊急地震速報テーブルを生成する。図3に示す緊急地震速報テーブルは、実施の形態1の緊急地震速報テーブル(図2)と異なり、ユーザによる選局操作が行われ、受信中の放送局とは別の系列の放送局のサーチが開始された場合に、初期化がなされる。
【0087】
放送局が異なると、更新フラグや、誤り検出用パリティビット等のチェック用情報が放送局毎に異なる可能性があるため、これらを地震情報の重複判定に用いることができない。従って、緊急地震速報情報テーブルに記録する必要がない。このため、本実施形態の緊急地震速報情報テーブルは、サーチ部11aがサーチを行った放送局の物理チャンネルを示す「物理CH(=チャンネル情報)」欄と、当該物理チャンネルのAC信号より抽出された地震情報に含まれるページ種別及び地震動情報を示す「地震動警報詳細情報」欄を含むように構成されている。なお、「地震動警報詳細情報」欄については、実施の形態1と同内容であるため、説明を省略する。
【0088】
緊急地震速報情報テーブルが上記のような構成をとっていることから、本実施形態の報知制御部11dは、サーチ部11aがサーチを行った物理チャンネルと、AC信号より抽出された地震情報に含まれるページ種別及び地震動情報とを参照することにより、受信した地震情報の重複判定を行う。なお物理チャンネルに関しては、受信した放送波から得られる所定の情報に基づいて判別する形態でもよい。
〈2−4.報知制御処理について〉
処理の流れは実施の形態1のフロー図(図5)と同じであるが、処理の内容が一部異なる。本実施形態の処理フローは、受信中のAC信号の物理チャンネル及びAC信号に含まれる地震動警報詳細情報と、緊急地震速報テーブルに含まれる物理チャンネル及び地震動警報詳細情報とが一致していれば、既に報知した緊急地震速報と同じであると判断する。
【0089】
また本実施形態の処理フローは、車載用テレビ100の電源が起動し、且つユーザ操作により選局操作がなされた時点で開始される。このためステップS110においてテーブル管理部11cは、図2に示す緊急地震速報情報テーブルではなく、図3に示す緊急地震速報情報テーブルの初期化を行う。以降のステップにおける緊急地震速報情報テーブルを用いた比較処理及び更新処理についても、図3に示す緊急地震速報情報テーブルを用いて行う。
【0090】
また本実施形態では、ステップS140におけるサーチ処理の内容が実施の形態1と異なる。例えばこれまで受信していた放送局Aの親局が13CHであり、ユーザ操作により選局された放送局Bの親局が13CH、中継局が15CH、18CH、及び21CHであったとする。この場合、ステップS140において、上記の全四チャンネルに対してサーチを実施済みであるか否かを判定する。ただし、仮に13CHで受信に成功したとしても、その放送内容が放送局Aのものである場合はサーチに失敗したとみなし、サーチを継続する。
【0091】
また本実施形態では、ステップS170における比較処理の内容が実施の形態1と異なる。例えば図3の例では「物理CH」、「ページ種別」、及び「地震動情報」のうち一つでも一致していない項目が存在する場合、緊急地震速報を表示する。全てが一致した場合、緊急地震速報を表示しない。なお、「ページ種別」、及び「地震動情報」が複数存在する場合、その全てに対してチェックを行い、複数のうち一つでも一致しない情報があれば緊急地震速報の報知を行うことが望ましい。
【0092】
以上に説明した本実施形態によれば、ユーザ操作により選局指示がなされた場合に、選局された放送局の親局及び中継局に対してサーチを行う。そして同一の物理チャンネルにおいて同じ地震情報が放送されている場合に、重複する内容の地震情報を表示しない。これにより、サーチ処理を繰り返し行った場合において、同内容の報知が繰り返し行われ、ユーザに煩わしさを感じさせるという問題を回避することができる。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0093】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0094】
(A)上記実施形態では、本発明の報知制御処理を実施する放送受信装置として、車載用テレビ100を例に説明しているが、これ以外の放送受信装置において実施する形態でもよい。例えば、ポータブルテレビ、携帯電話、デジタルラジオ等で実施する形態でもよい。
【0095】
(B)上記実施形態では、本発明の各種処理に関わる各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現されているが、各種機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0096】
(C)上記実施形態では、放送受信装置と表示部とが同一筐体に収容されている形態を例に説明したが、必ずしも同一筐体である必要はない。例えば、放送受信装置がSTB(Set Top Box)であり、緊急地震速報に基づいて生成した画像信号や音声信号を外部の表示装置等に出力する形態でもよい。
【0097】
(D)上記の実施形態では、地震情報が含まれる信号として地上デジタル放送のAC信号を例に説明を行っているが、これ以外の信号から地震情報を取得する放送受信装置において、本発明を実施する形態でもよい。例えば、BS(Broadcasting Satellite)デジタル放送やCS(Communications Satellite)デジタル放送、或いはアナログ放送等の放送波に含まれる所定の信号(例えばアナログ放送であれば垂直帰線期間信号)から地震情報を取得する放送受信装置において、本発明を実施する形態でもよい。なおこの場合、緊急地震速報テーブルに記録する情報の種別は、重複判定に用いる情報に合わせて適宜変更する。
【0098】
(E)上記の実施形態では、緊急地震速報の具体的な報知方法については特に限定していないが、例えばOSD処理部12が地震情報に基づいて所定の文字画像または地図画像等を表示するための画像信号を生成し、この画像信号を表示制御部16へ送信することにより、緊急地震速報に関連する画像をLCD15に表示する。或いは、スピーカ17より所定の警告音や合成音声を出力する形態でもよい。
【0099】
(F)上記の実施形態では、実施の形態1のように中継局をサーチする場合に図2の緊急地震速報テーブルを使用し、実施の形態2のように系列局または系列局ではない異なる放送局をサーチする場合に図3の緊急地震速報テーブルを使用しているが、実施されるサーチの種別またはサーチの処理詳細に応じて、図2及び図3の緊急地震速報テーブルを適宜使い分ける形態でもよい。
【0100】
(G)上記の実施形態では、本発明の放送受信装置が抽出する災害情報として緊急地震速報に関連する地震情報を例に説明を行っているが、AC信号に含めて送信される災害情報であれば、これ以外の情報を対象として本発明を実施する形態でもよい。例えば津波情報、台風情報、竜巻情報等の災害情報を対象として実施する形態でもよい。
【符号の説明】
【0101】
100 車載用テレビ(放送受信装置)
11 制御部
11a サーチ部
11b 地震情報抽出部(災害情報抽出部)
11c テーブル管理部(履歴取得部)
11d 報知制御部
12 OSD処理部
13 記録部
14 操作部
15 LCD(表示部)
16 表示制御部(表示部)
17 スピーカ(音声出力部)
18 デジタルアンテナ(放送受信部)
19 デジタルチューナ(放送受信部)
20 デジタル放送処理部(放送受信部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波の選局及び受信を行う放送受信部と、
前記放送受信部により選局された放送波と同一または類似すると推定される放送波を検索し、前記検索の結果に基づいて前記放送受信部へ選局指示を与えるサーチ部と、
前記放送受信部により受信される放送波から災害情報を抽出する災害情報抽出部と、
情報の記録を行う記録部とを備える放送受信装置において、
前記放送受信部による選局が実施され、且つ前記災害情報抽出部による前記災害情報の抽出が行われた場合に、前記災害情報に含まれる情報を抽出して履歴情報として前記記録部に記録する履歴取得部と、
前記放送受信部による選局が実施され、且つ前記災害情報抽出部による前記災害情報の抽出が行われた場合に、抽出された該災害情報に含まれる情報が前記履歴情報と一致するか否かを判定し、一致しない場合に該災害情報に基づく報知を行い、一致する場合に該災害情報に基づく報知を行わない報知制御部とを備えること
を特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記履歴取得部は、前記災害情報の更新有無を示す更新情報、災害の詳細を示す災害詳細情報、または前記災害情報の識別に用いられる識別情報を、前記災害情報から抽出して前記履歴情報として前記記録部に記録し、
前記報知制御部は、前記放送受信部による選局が実施され、且つ前記災害情報抽出部による前記災害情報の抽出が行われた場合に、抽出された該災害情報に含まれる前記更新情報、前記災害詳細情報、または前記識別情報と前記履歴情報とが一致するか否かを判定し、一致しない場合に該災害情報に基づく報知を行い、一致する場合に該災害情報に基づく報知を行わないこと
を特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記放送受信部は、地上デジタルテレビジョン放送波からAC(Auxiliary Channel)信号を抽出し、
前記災害情報抽出部は、前記AC信号に含まれる更新フラグを前記更新情報として抽出し、前記AC信号に含まれるページ種別及び地震動情報を前記災害詳細情報として抽出すること
を特徴とする請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記履歴取得部は、前記災害情報の伝送に用いられた放送波の周波数帯域を示すチャンネル情報と、前記災害情報から抽出した情報であり災害の詳細を示す災害詳細情報とを前記履歴情報として前記記録部に記録し、
前記報知制御部は、前記放送受信部による選局が実施され、且つ前記災害情報抽出部による前記災害情報の抽出が行われた場合に、該選局がなされた放送波の周波数帯域を示す選局チャンネル情報、及び抽出された該災害情報に含まれる前記災害詳細情報と前記履歴情報とが一致するか否かを判定し、一致しない場合に該災害情報に基づく報知を行い、一致する場合に該災害情報に基づく報知を行わないこと
を特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記放送受信部は、地上デジタルテレビジョン放送波からAC(Auxiliary Channel)信号を抽出し、
前記災害情報抽出部は、前記AC信号に含まれるページ種別及び地震動情報を前記災害詳細情報として抽出すること
を特徴とする請求項4に記載の放送受信装置。
【請求項6】
前記放送受信装置に対する操作指示を受け付ける操作部を備え、
前記放送受信部は、選局中の放送波の受信感度が予め定められた閾値を下回るか否かを監視し、
前記サーチ部は、前記操作部により選局操作が検知された場合、または前記放送受信部により前記受信感度が前記閾値を下回ることが検知された場合に、前記放送受信部へ選局指示を与えること
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の放送受信装置。
【請求項7】
表示部、または音声出力部を備え、
前記報知制御部は、抽出された該災害情報に含まれる予め定められた種別の情報が前記履歴情報と一致しない場合に、該災害情報を示す画像を表示するよう前記表示部を制御する、または該災害情報を示す音声を出力するよう前記音声制御部を制御すること
を特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−211560(P2011−211560A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78212(P2010−78212)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】