説明

放送番組録画システム、携帯端末装置、録画装置、および放送番組録画方法

【課題】携帯端末装置での録画が困難な状況に陥った場合においても安定かつ確実に放送番組を録画する。
【解決手段】本発明による放送番組録画システム100は、携帯端末装置110が、放送番組を受信する端末放送受信部310と、ユーザの操作に応じて受信した放送番組を端末メモリ212に録画する端末録画部312と、録画する放送番組の電子番組ガイドを、基地局130を介してEPGサーバから取得するEPG取得部314と、録画装置160に電子番組ガイドを送信し録画指示を行う録画指示部318と、を備え、録画装置160が、放送番組を受信可能な装置放送受信部510と、携帯端末装置110の録画指示に応じて、電子番組ガイドが示す放送番組を装置放送受信部510に受信させ装置メモリに録画する装置録画部512と、を備えること特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送番組を携帯端末装置および録画装置に並行して録画可能な放送番組録画システム、携帯端末装置、録画装置、および放送番組録画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等の通信網を利用して携帯電話等の携帯端末装置と自宅の各電子機器を接続し、この各電子機器を外出先から遠隔操作できる技術が浸透しつつある。その利用例の一つとして、録画予約を忘れたまま外出した場合においても、自己の携帯端末装置に電子番組ガイド(EPG:Electronic Program Guide)を取り込み、かつ、その電子番組ガイドから所望する放送番組を選択して遠隔にある録画装置の録画予約を実行することが可能な技術が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、かかる技術はあくまで録画予約の遠隔操作であって、携帯端末装置自体による放送番組視聴や放送番組録画を考慮した技術ではない。
【0003】
現在、携帯端末装置には地上アナログ放送対応のTVチューナーを内蔵しているものもあり、ユーザは、携帯端末装置に備わる例えば400×240ドットの液晶画面で、通常のテレビジョン宛らの映像を楽しむことができる。また、地上デジタル放送のチャンネルのうちの1セグメントが割り当てられたワンセグのサービスも開始され、低画質で低音質ではあるものの、テレビジョン放送の携帯性をより身近なものに転化させるきっかけとなった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−145140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、携帯端末装置に予め実装される、または外部から追加されるメモリの容量も著しい進歩を告げ、放送番組における動画をある程度録画できるようになってきた。さらにはリチウム電池等の単位体積当たりの電池容量も増しており、放送番組の受信およびその録画に耐え得るものになりつつある。
【0006】
しかし、かかる電池やメモリは、通話や撮像といった携帯端末装置本来の機能とリソースを共有しているので、電池やメモリの残容量を推測することは不可能であり、例え携帯端末装置が放送番組を録画可能であったとしてもその放送番組を最後まで録画できるかどうかを知り得る術がなかった。従って、ユーザは、かかる電池やメモリの残容量を常に気にしながら録画しなくてはならなかった。
【0007】
また、移動等によって携帯端末装置の周囲の通信環境が変化すると、放送番組の電波状況も変化して不安定になり、受信する電波によっては画像として認識できない場合もあった。さらに、着呼等予測不能な割り込み処理によって録画を中断せざるを得ない場合もあった。
【0008】
そこで、本願発明者は、決して録画に適した環境とは言えないこのような携帯端末装置での録画機能をもっと安定して遂行する方法がないか検討し、十分な電池容量およびメモリ容量かつ安定した動作が見込める録画装置と当該携帯端末装置とを連動させることで、録画を安定かつ確実に遂行可能なことを見出して本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、従来の携帯端末装置が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、携帯端末装置を、安定動作が見込める録画装置と連動させることで、携帯端末装置での録画が困難な状況に陥った場合においても安定かつ確実に放送番組を録画することが可能となり、ユーザに安心感を与え、携帯端末装置における録画機能の使い勝手を向上させることが可能な、新規かつ改良された放送番組録画システム、携帯端末装置、録画装置、および放送番組録画方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、放送番組を受信可能な携帯端末装置と、携帯端末装置と無線通信可能な基地局に通信網を介して接続され放送番組を受信可能な録画装置と、からなる放送番組録画システムであって、携帯端末装置は、放送番組を受信する端末放送受信部と、ユーザの操作に応じて受信した放送番組を端末メモリに録画する端末録画部と、録画する放送番組の電子番組ガイドを、基地局を介してEPGサーバから取得するEPG取得部と、録画装置に電子番組ガイドを送信し録画指示を行う録画指示部と、を備え、録画装置は、放送番組を受信可能な装置放送受信部と、携帯端末装置の録画指示に応じて、電子番組ガイドが示す放送番組を装置放送受信部に受信させ装置メモリに録画する装置録画部と、を備えること特徴とする、放送番組録画システムが提供される。
【0011】
携帯端末装置が携帯性および汎用性に優れているのに対して、録画装置は、携帯性や汎用性を要さず、電源を無限に受電できる場所に固定設置することが可能である。従って、携帯端末装置が持ち合わせていない電源(無制限)、記憶容量、電波状況、割り込み処理(録画を中断しない)の全てにおいて安定性と確実性を兼ね揃えており、携帯端末装置と補完し合うことで安定かつ確実な放送番組の録画を遂行することができる。
【0012】
本発明では、ユーザが携帯端末装置における端末メモリへの録画を操作するだけで、連動して録画装置での録画も開始されるので、ユーザによる電子番組ガイドの取り込み等煩雑な操作を要さず、安定かつ確実な並行録画が可能となる。従って、携帯端末装置での録画が困難な状況に陥った場合においても、録画装置において安定かつ確実に放送番組が録画されるので、ユーザに安心感を与え、携帯端末装置における録画機能の使い勝手を向上させることができる。
【0013】
携帯端末装置は、さらに、放送番組の録画状況を監視する録画状況監視部を備え、録画指示部は、録画状況の変化に応じて録画装置に電子番組ガイドを送信し録画指示を行うとしてもよい。
【0014】
上述した発明においては、ユーザの操作による端末メモリの録画開始に連動して装置メモリの録画が開始されていた。本発明では、携帯端末装置の録画状況の変化を監視し、良好な録画状況を維持することができないと判断した時点から録画装置における録画を開始する。かかる構成により、携帯端末装置において良好な録画が遂行されている間の録画装置による不要な録画を抑制することが可能となり、また、携帯端末装置における良好な録画が維持され続ければ録画装置へのアクセスすら回避できる。従って、コストおよびアクセス数を削減しつつ安定かつ確実な録画を図ることができる。
【0015】
録画状況は、電池残量、メモリ残量、電波状況、割り込み処理の有無からなる群から選択された1または2以上の状況であってもよい。
【0016】
携帯端末装置での録画中断の主要因は、上記電池残量、メモリ残量、電波状況、割り込み処理の有無と考えることができる。このうち、電池残量、メモリ残量に関しては録画再開が困難であるが、他の電波状況、割り込み処理の有無に関してはその状況によって録画再開することができる。
【0017】
録画装置は、放送番組の録画が開始されたことを受けて開始通知を携帯端末装置に送信する開始通知部をさらに備えることができる。
【0018】
かかる構成により携帯端末装置は、遠隔にある録画装置が録画を開始したことを把握することができ、携帯端末装置での録画が困難な状況に陥った場合においても、録画が確実に遂行されていることでユーザは安心感を得ることができる。
【0019】
携帯端末装置は、開始通知を受けて、端末録画部による端末メモリへの録画を終了するかどうかをユーザに判断させ、ユーザが終了判断した場合に録画を終了させる終了判断部をさらに備えることができる。
【0020】
かかる構成により、ユーザは録画が確実に遂行されていることを踏まえて、携帯端末装置での録画を続行するかどうかを判断することができる。例えば、電波状況の悪化によって録画装置の録画が開始された場合に、多少画質が悪くとも携帯端末装置での録画を望むのであれば、そのまま録画を継続できる。
【0021】
携帯端末装置は、装置メモリに録画されている放送番組を画質変換しつつ端末メモリに読み込む端末録画移動部をさらに備えることができる。
【0022】
かかる構成により、録画困難となった時点からの端末メモリの録画データに安定した装置メモリの録画データを上書きすることができ、携帯端末装置にて安定した録画視聴が可能となる。
【0023】
録画装置は、端末メモリに録画されている放送番組を装置メモリに読み込む装置録画移動部をさらに備えることができる。
【0024】
かかる構成により、装置メモリに録画されている録画データが放送番組の途中からであったとしても端末メモリの録画データで補完することができる。
【0025】
録画装置は、通信網に接続された録画サーバで代用されるとしてもよい。近年、メモリの高密度化により、通信網に接続されたサーバが大容量のメモリをユーザに開放できるようになってきた。本発明では、上述した録画装置の構成要素を録画サーバで代用するものであり、ユーザは、自宅に録画装置を準備せずとも、通信網を介して録画装置同様のサービスを受けることができる。
【0026】
また、上記放送番組録画システムを構成する携帯端末装置および録画装置もそれぞれ独立して提供される。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、放送番組を受信可能な携帯端末装置と、携帯端末装置と無線通信可能な基地局に通信網を介して接続され放送番組を受信可能な録画装置と、を用いて放送番組を録画する放送番組録画方法であって、携帯端末装置が、放送番組を受信する端末放送受信ステップと、ユーザの操作に応じて受信した放送番組を端末メモリに録画する端末番組録画ステップと、録画する放送番組の電子番組ガイドを、基地局を介してEPGサーバから取得するEPG取得ステップと、録画装置に電子番組ガイドを送信し録画指示を行う録画指示ステップと、録画装置が、携帯端末装置の録画指示に応じて、電子番組ガイドが示す放送番組を受信して装置メモリに録画する装置録画ステップと、を含むこと特徴とする、放送番組録画方法が提供される。
【0028】
上述した放送番組録画システムにおける技術的思想に対応する構成要素やその説明は、携帯端末装置、録画装置や当該放送番組録画方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明によれば、携帯端末装置を安定動作が見込める録画装置と連動させることで、携帯端末装置での録画が困難な状況に陥った場合においても安定かつ確実に放送番組を録画することが可能となり、ユーザに安心感を与え、携帯端末装置における録画機能の使い勝手を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態における放送番組録画システムの概略的な構成を示したブロック図である。
【図2】同実施形態における携帯端末装置のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。
【図3】同実施形態における携帯端末装置の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図4】同実施形態における録画装置のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。
【図5】同実施形態における録画装置の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図6】同実施形態における放送番組録画方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0032】
携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)端末等の携帯端末装置は、自己の携帯端末装置内にTVチューナーを有し、放送番組を受信することができる。また、その放送番組をある程度の時間、携帯端末装置内の端末メモリに録画することも可能である。
【0033】
しかし、携帯端末装置に備わる電池や端末メモリは必ずしも十分な容量を有さず、また、通話や撮像といった携帯端末本来の機能を遂行するため、電池や端末メモリを録画用途に使い切ってしまうわけにもいかない。また、移動等によって携帯端末装置の周囲の通信環境が変化すると、受信電波が弱くなったり、着呼等予測不能な割り込み処理が入ったりして録画を中断せざるを得ない場合もあり得る。
【0034】
本実施形態では、携帯端末装置の携帯性および汎用性と、録画装置の安定性と確実性とを活かし、外出先における放送番組の試聴、録画を実行させつつ、携帯端末装置での録画が困難な状況に陥った場合においても、放送番組の確実な録画を録画装置でバックアップする。このような放送番組の録画を行う放送番組録画システムの概略を説明し、その後で各構成要素に関して詳述する。
(放送番組録画システム100)
図1は、放送番組録画システム100の概略的な構成を示したブロック図である。かかる放送番組録画システム100は、携帯端末装置110と、放送局120と、基地局130と、通信網140と、EPGサーバ150と、録画装置160と、録画サーバ170とを含んで構成される。
【0035】
上記放送番組録画システム100では、携帯端末装置110の通常の機能として、基地局130を介した他の携帯端末装置110との無線通信が行われる。また、携帯端末装置110は、通信網140に接続される様々なサーバからWeb閲覧サービスを受けることも可能である。
【0036】
本実施形態において、携帯端末装置110は、放送局120からの放送電波により放送番組を受信することができ、また、自宅162の録画装置160に基地局130および通信網140を介して接続することができ、さらに、基地局130および通信網140を介してEPGサーバ150から電子番組ガイドを受信することもできる。従って、携帯端末装置110は、放送局120からの放送番組を受信しつつ、自己の携帯端末装置110にその放送番組を録画し、さらに、電子番組ガイドを用いて録画装置160に放送番組を並行録画させることが可能となる。このような放送番組録画システム100における携帯端末装置110および録画装置160の機能および動作を以下に詳述する。
(携帯端末装置110)
図2は、携帯端末装置110のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。携帯端末装置110は、上述した携帯電話やPHSの他に、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯可能な様々な電子機器で構成され、構成要素として、端末制御部210と、端末メモリ212と、表示部214と、操作部216と、音声入出力部218と、端末TVチューナー220と、端末無線部222とを含んでいる。
【0037】
上記端末制御部210は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により携帯端末装置110全体を管理および制御する。端末制御部210は、端末メモリ212のプログラムを用いて、携帯端末装置110を利用した通話機能やメール配信機能も当然にして遂行するが、後述する各機能も同様に遂行する。
【0038】
上記端末メモリ212は、ROM、RAM、EPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成され、端末制御部210で処理されるプログラムや、放送番組の録画データ、電子番組ガイドを記憶する。
【0039】
上記表示部214は,カラーまたはモノクロのディスプレイで構成され,端末メモリ212に記憶されたまたは通信網140を介してアプリケーションサーバ(図示せず)から提供される、WebブラウザやアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。また、後述する録画終了の案内も表示することができる。
【0040】
上記操作部216は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等のスイッチから構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。本実施形態において、ユーザは、操作部216を介して放送番組の録画開始を指示し、携帯端末装置110は、かかる入力に応じて端末メモリ212への録画を開始する。また、録画終了の案内に対する確認入力を行うこともできる。
【0041】
上記音声入出力部218は、マイクやスピーカから構成され、通話時に入力されたユーザの音声を音声信号に変換し、また、通話相手の音声信号を音声に変えて出力する。また、着信音や操作部216による操作音、アラーム音等も出力できる。
【0042】
上記端末TVチューナー220は、同調装置で構成され、地上アナログ放送または地上デジタル放送(特にワンセグ)の所定チャンネルの電波を受信し、当該携帯端末装置110で視聴可能となるように中間周波数に変換する。
【0043】
上記端末無線部222は、携帯電話網における基地局130と無線通信を行い、その基地局130に接続された、インターネットやLAN等の通信網140を通じて、EPGサーバ150、録画装置160、または録画サーバ170にアクセスする。
【0044】
以上、図2を用いて携帯端末装置110のハードウェアの説明をしたが、以下にそのようなハードウェア上で遂行される機能および動作を詳述する。
【0045】
図3は、携帯端末装置110の概略的な機能を示した機能ブロック図である。携帯端末装置110の端末制御部210は、端末メモリ212のプログラムを用いて、端末放送受信部310と、端末録画部312と、EPG取得部314と、録画状況監視部316と、録画指示部318と、終了判断部320と、端末録画移動部322として機能する。
【0046】
上記端末放送受信部310は、放送局120からの放送番組を、端末TVチューナー220を介して受信する。
【0047】
上記端末録画部312は、ユーザの操作に応じて端末放送受信部310が受信した放送番組を端末メモリ212に録画する。かかる録画された録画データは、当該携帯端末装置110を用いて視聴することを想定している。
【0048】
上記EPG取得部314は、録画する放送番組の電子番組ガイドを、基地局130を介してEPGサーバ150から取得する。ここで、電子番組ガイド(EPG:Electronic Program Guide)とは、携帯端末装置110の表示部214やテレビ画面に番組表を表示するシステムであって、電波の隙間を利用して各電子機器に配信される。録画装置160は、かかる電子番組ガイドにより録画すべき放送番組を特定する。
【0049】
本実施形態では、携帯端末装置110から録画装置160への録画指示の際、上記電子番組ガイドを送信するとしているが、かかる場合に限られず、録画装置が録画すべき放送番組を特定する情報であり、かつ、通信網140を介して自動的に取得できる情報であれば、Gコード等様々な情報を適用することができる。
【0050】
上記録画状況監視部316は、放送番組の録画状況を監視する。携帯端末装置110での録画中断の主要因は、電池残量、メモリ残量、電波状況、割り込み処理の有無と考えることができる。従って、電池330の残量、端末メモリ212の残量、放送電波の受信レベル等の電波状況、着呼等の割り込み処理の有無、からなる群から選択された1または2以上の状況を録画状況として挙げ、録画状況監視部316で所定時間毎に繰り返し監視する。このうち、電池残量、メモリ残量に関しては録画再開が困難であるが、他の電波状況、割り込み処理の有無に関してはその状況によっては録画再開することができる。
【0051】
上記録画指示部318は、録画状況監視部316が監視する録画状況の如何に拘わらず録画装置160に電子番組ガイドを送信し録画指示を行ってもよいし、録画状況の変化に応じて録画装置160に電子番組ガイドを送信し録画指示を行うとしてもよい。即ち、携帯端末装置110への録画指示と同時に録画装置160も連動させて録画させるか、携帯端末装置110での録画が困難になったときから録画装置160を連動するかを選択できる。
【0052】
いずれにしても、ユーザが携帯端末装置110における端末メモリ212への録画を操作するだけで、直ぐに、もしくは録画状況を維持することができないと判断した時点から、連動して録画装置160での録画も開始されるので、ユーザによる電子番組ガイドの取り込み等煩雑な操作を要さず、安定かつ確実な並行録画が可能となる。従って、携帯端末装置110での録画が困難な状況に陥った場合においても、録画装置160において安定かつ確実に放送番組が録画されるので、ユーザに安心感を与え、携帯端末装置110における録画機能の使い勝手を向上させることができる。
【0053】
また、後者の、録画状況の変化に応じて録画を開始する場合は、携帯端末装置110において良好な録画が遂行されている間の録画装置160による不要な録画を抑制することが可能となり、携帯端末装置110における良好な録画が維持され続ければ録画装置160へのアクセスすら回避できる。従って、コストおよびアクセス数を削減しつつ安定かつ確実な録画を達成することができる。
【0054】
上記終了判断部320は、録画装置160からの開始通知を受けて、当該携帯端末装置110における録画を終了するかどうかの選択画面、例えば「遠隔録画が開始されました。本機による録画を終了しますか?」の案内を表示部214に表示し、ユーザに終了するかどうかを判断させ、ユーザが終了判断した場合に端末録画部312による録画を終了させる。
【0055】
録画中止の原因が電池残量またはメモリ残量であった場合、以後の録画はいずれにしても不可能なので、強制終了とすることができる。原因が電波状況または割り込み処理であった場合、録画状況が復帰したときに録画再開することが可能なので、ユーザは以後の処理をどうするか選択することとなる。また、ユーザの手間を省くため、録画装置160から開始通知を受けた後、ユーザにその旨案内することなく強制的に録画を終了するように設定することもできる。
【0056】
かかる構成により、ユーザは、録画が確実に遂行されていることを踏まえて、携帯端末装置110での録画を続行するかどうかを判断することができる。例えば、電波状況の悪化によって録画装置160の録画が開始された場合に、多少画質が悪くとも携帯端末装置110での録画を望むのであれば、そのまま録画を継続できる。
【0057】
このとき、電波状況によっては、動画が途切れたり、画質が悪くなったりする場合がある。そこで、ユーザは、録画中の画像に任意にキャプチャーを挿入し、再生時にこのキャプチャーを指標として画像をスキップさせることができる。また、デジタル放送に関しては、画像が映るか映らないか(青色画面になるか)に分けられるため、画像の有無を携帯端末装置110自体で認識して、自動的にスキップさせてもよい。
【0058】
上記端末録画移動部322は、装置メモリ412に録画されている放送番組を画質変換しつつ端末メモリに読み込む。かかる読み込みは端末無線部222や他の無線通信を介して読み込まれてもよいし、外部用端子から有線で読み込んでもよい。録画装置160では高画質な画像を録画できるが、携帯端末装置110では、画質が制限される。従って、携帯端末装置110に読み込む際、画質を落とす処理を行う必要がある。かかる構成により、録画困難となった時点からの端末メモリ212の録画に安定した装置メモリ412の録画データを上書きすることができ、携帯端末装置110にて安定した録画視聴が可能となる。
【0059】
また、コンピュータによって、上記携帯端末装置110として機能するプログラムも提供され得る。
(録画装置160)
図4は、録画装置160のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。録画装置160は、装置制御部410と、装置メモリ412と、装置TVチューナー414を含んで構成される。
【0060】
上記装置制御部410は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により録画装置160全体を管理および制御する。装置制御部410は、装置メモリ412のプログラムを用いて、受信した放送番組を装置メモリ412に録画する。
【0061】
上記装置メモリ412は、RAM、EPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、装置制御部410で処理されるプログラムや、放送番組の録画データ等を記憶する。
【0062】
上記装置TVチューナー414は、同調装置で構成され、地上アナログ放送または地上デジタル放送(特にワンセグ)の所定チャンネルの電波を受信し、当該録画装置160で視聴可能となるように中間周波数に変換する。
【0063】
以上、図4を用いて録画装置160のハードウェアの説明をしたが、以下にそのようなハードウェア上で遂行される機能および動作を詳述する。
【0064】
図5は、録画装置160の概略的な機能を示した機能ブロック図である。録画装置160の装置制御部410は、装置メモリ412のプログラムを用いて、装置放送受信部510と、装置録画部512と、開始通知部514と、装置録画移動部516として機能する。
【0065】
上記装置放送受信部510は、放送局120からの放送番組を、装置TVチューナー414を介して受信する。
【0066】
上記装置録画部512は、携帯端末装置110の録画指示に応じて、電子番組ガイドが示す放送番組を装置放送受信部510に受信させ、装置メモリ412に録画する。また、後から携帯端末装置110に移動することを踏まえて、意図的に携帯端末装置110同様の低画質で録画することもできる。
【0067】
上記開始通知部514は、放送番組の録画が開始されたことを受けて開始通知を携帯端末装置110に送信する。かかる構成により携帯端末装置110は、遠隔にある録画装置160が録画を開始したことを把握することができ、ユーザは、携帯端末装置110での録画が困難な状況に陥った場合においても、録画が確実に遂行されていることで安心感を得ることができる。
【0068】
上記装置録画移動部516は、端末メモリ212に録画されている放送番組を装置メモリに読み込む。録画装置160では高画質な画像を録画できるが、携帯端末装置110では、画質が制限される。従って、単に端末メモリ212から放送番組を移動すると画質が不均一になる。そこで、録画装置160に読み込む際、装置メモリ412の録画データの画質を落として端末メモリ212の録画データと合わせるとしてもよい。かかる構成により、装置メモリ412に録画されている録画データが放送番組の途中からであったとしても端末メモリ212の録画データで補完することができる。
【0069】
録画装置160は、通信網140に接続された録画サーバ170で代用されるとしてもよい。近年、メモリの高密度化により、通信網140に接続されたサーバが大容量のメモリをユーザに開放できるようになってきた。本実施形態では、上述した録画装置160の構成要素を録画サーバ170で代用するものであり、ユーザは、自宅に録画装置160を準備せずとも、通信網140を介して録画装置160同様のサービスを受けることができる。
【0070】
かかる録画サーバ170は、キャリアのサービスの一環として設けられるとしてもよい。ただし、録画サーバ170には、多数のユーザの録画データが随時蓄積されてしまうので、所定時間経過後に録画データが削除されるとしてもよく、ユーザは、それまでに録画サーバ170から自己の録画データを抽出する。また、ユーザが一度抽出したらその時点で録画サーバ170から削除されるとしてもよい。
【0071】
このように、携帯端末装置110が携帯性および汎用性に優れているのに対して、録画装置160は、携帯性や汎用性を要さず、固定設置することが可能である。従って、携帯端末装置110が持ち合わせていない電源、記憶容量、電波状況、割り込み処理の全てにおいて安定性と確実性を兼ね揃えており、携帯端末装置110と補完し合うことで安定かつ確実な放送番組の録画を遂行することができる。
【0072】
また、コンピュータによって、上記録画装置160として機能するプログラムも提供され得る。
【0073】
次に、上述した携帯端末装置110と、録画装置160とを用いて、放送番組を録画する放送番組録画方法について説明する。
(放送番組録画方法)
図6は、放送番組録画方法の全体的な流れを示したフローチャートである。かかる図6を参照すると、ユーザが自己の携帯端末装置110を用いて放送番組を受信し(S600)、その中の特定の放送番組を録画しようと試みた場合、操作部216を通じて放送番組を録画する操作を行い、端末録画部312は、受信している放送番組を端末メモリ212に録画する(S602)。
【0074】
そして、EPG取得部314が録画する放送番組の電子番組ガイドを、基地局130を介してEPGサーバ150から取得し(S604)、取得した電子番組ガイドをいつでも録画装置160に送信できるよう準備する。
【0075】
続いて、録画状況監視部316が、放送番組の録画状況を監視し(S606)、録画状況の変化が生じた場合には、録画指示部318が録画装置160に電子番組ガイドを送信し録画指示を行う(S608)。かかる録画監視ステップ(S606)を詳細に説明すると、まず、電池330の残量が所定値より大きいかどうかが判断される(S610)。かかる所定値は、携帯端末装置110の他の機能も遂行できる程度の容量を残すように設定されている。電池330の残量が所定値より大きいと、今度は端末メモリ212の残量が所定値より大きいかどうか判断される(S612)。かかる所定値も、携帯端末装置110の他の機能も遂行できる程度の容量を残すように設定されている。
【0076】
端末メモリ212の残量が所定値より大きければ、引き続き受信レベルが所定値を超えているかどうか判断される(S614)。最後に割り込み処理の有無が判断され(S616)、割り込み処理も無ければ、放送番組が継続していること(S618)、および終了ボタンが押されてないことを確認して(S620)、電池330の残量からの監視ステップを繰り返す。
【0077】
かかる監視ステップで、いずれかの条件を満たさない場合、携帯端末装置110では録画を継続するのは困難とみなされ、上述したように、録画指示部318は、録画装置160に対して電子番組ガイドを送信し、録画指示を行う(S608)。録画装置160の装置放送受信部510は、携帯端末装置110の録画指示に応じて、電子番組ガイドが示す放送番組を受信し(S622)、装置メモリに録画する(S624)。
【0078】
そして、録画装置160の開始通知部514は、放送番組の録画が開始されたことを受けて開始通知を携帯端末装置110に送信し(S626)、携帯端末装置110の終了判断部320は、開始通知を受けて、携帯端末装置110の録画を中止する理由となる録画状況が電池330の残量または端末メモリ212の残量であったか判断される(S630)。これは、携帯端末装置110の録画を中止する理由が電池330の残量または端末メモリ212の残量であった場合、最早以後の録画は不可能なので、録画を強制終了させるためである。
【0079】
上記理由が電池330の残量または端末メモリ212の残量以外の電波状況または割り込み処理の有無であった場合、端末録画部312による端末メモリ212への録画を終了するかどうかをユーザに判断させ(S632)、ユーザが終了判断した場合に録画を終了させる(S640)。
【0080】
ユーザが終了させないと判断した場合、携帯端末装置110では、画質の悪化や割り込み処理が有っても当該ユーザは録画を中止しないとみなし、以後は、電池330の残量(S634)、端末メモリ212の残量(S636)、および放送番組の継続(S638)のみを監視する。このとき、途中で録画を止めたければ、ユーザは操作部216に設けられた終了ボタン(図示せず)を押せば(S640)よいことになる。
【0081】
このような放送番組録画方法によっても、携帯端末装置110と録画装置160とが連動し、並行録画が行われるので、携帯端末装置110での録画が困難な状況に陥った場合においても安定かつ確実に放送番組を録画することが可能となり、ユーザに安心感を与え、携帯端末装置110における録画機能の使い勝手を向上させることが可能となる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
なお、本明細書の放送番組録画方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、放送番組を携帯端末装置および録画装置に並行して録画可能な放送番組録画システム、携帯端末装置、録画装置、および放送番組録画方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0085】
100 放送番組録画システム
110 携帯端末装置
130 基地局
140 通信網
150 EPGサーバ
160 録画装置
170 録画サーバ
212 端末メモリ
310 端末放送受信部
312 端末録画部
314 EPG取得部
316 録画状況監視部
318 録画指示部
320 終了判断部
322 端末録画移動部
412 装置メモリ
510 装置放送受信部
512 装置録画部
514 開始通知部
516 装置録画移動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送番組を受信可能な携帯端末装置と、該携帯端末装置と無線通信可能な基地局に通信網を介して接続され放送番組を受信可能な録画装置と、からなる放送番組録画システムであって、
前記携帯端末装置は、
放送番組を受信する端末放送受信部と、
ユーザの操作に応じて前記受信した放送番組を端末メモリに録画する端末録画部と、
前記録画する放送番組の電子番組ガイドを、前記基地局を介してEPGサーバから取得するEPG取得部と、
前記録画装置に前記電子番組ガイドを送信し録画指示を行う録画指示部と、
を備え、
前記録画装置は、
放送番組を受信可能な装置放送受信部と、
前記携帯端末装置の録画指示に応じて、前記電子番組ガイドが示す放送番組を前記装置放送受信部に受信させ装置メモリに録画する装置録画部と、
を備えること特徴とする、放送番組録画システム。
【請求項2】
前記携帯端末装置は、さらに、前記放送番組の録画状況を監視する録画状況監視部を備え、
前記録画指示部は、前記録画状況の変化に応じて前記録画装置に前記電子番組ガイドを送信し録画指示を行うことを特徴とする、請求項1に記載の放送番組録画システム。
【請求項3】
前記録画状況は、電池残量、メモリ残量、電波状況、割り込み処理の有無からなる群から選択された1または2以上の状況であることを特徴とする、請求項2に記載の放送番組録画システム。
【請求項4】
前記録画装置は、前記放送番組の録画が開始されたことを受けて開始通知を前記携帯端末装置に送信する開始通知部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の放送番組録画システム。
【請求項5】
前記携帯端末装置は、前記開始通知を受けて、前記端末録画部による端末メモリへの録画を終了するかどうかをユーザに判断させ、ユーザが終了判断した場合に録画を終了させる終了判断部をさらに備えることを特徴とする、請求項4に記載の放送番組録画システム。
【請求項6】
前記携帯端末装置は、前記装置メモリに録画されている放送番組を画質変換しつつ端末メモリに読み込む端末録画移動部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の放送番組録画システム。
【請求項7】
前記録画装置は、前記端末メモリに録画されている放送番組を装置メモリに読み込む装置録画移動部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の放送番組録画システム。
【請求項8】
前記録画装置は、前記通信網に接続された録画サーバで代用されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の放送番組録画システム。
【請求項9】
放送番組を受信可能な録画装置に通信網を介して接続される基地局と無線通信可能であり、かつ放送番組を受信可能な携帯端末装置であって、
放送番組を受信する端末放送受信部と、
ユーザの操作に応じて前記受信した放送番組を端末メモリに録画する端末録画部と、
前記録画する放送番組の電子番組ガイドを、前記基地局を介してEPGサーバから取得するEPG取得部と、
前記録画装置に前記電子番組ガイドを送信し録画指示を行う録画指示部と、
を備えること特徴とする、携帯端末装置。
【請求項10】
放送番組を受信可能な携帯端末装置と無線通信可能な基地局に通信網を介して接続され、放送番組を受信可能な録画装置であって、
放送番組を受信可能な装置放送受信部と、
前記携帯端末装置の録画指示に応じて、該携帯端末装置から受信した電子番組ガイドが示す放送番組を前記装置放送受信部に受信させ装置メモリに録画する装置録画部と、
を備えること特徴とする、録画装置。
【請求項11】
放送番組を受信可能な携帯端末装置と、該携帯端末装置と無線通信可能な基地局に通信網を介して接続され放送番組を受信可能な録画装置と、を用いて放送番組を録画する放送番組録画方法であって、
前記携帯端末装置が、
放送番組を受信する端末放送受信ステップと、
ユーザの操作に応じて前記受信した放送番組を端末メモリに録画する端末番組録画ステップと、
前記録画する放送番組の電子番組ガイドを、前記基地局を介して前記EPGサーバから取得するEPG取得ステップと、
前記録画装置に前記電子番組ガイドを送信し録画指示を行う録画指示ステップと、
前記録画装置が、
前記携帯端末装置の録画指示に応じて、前記電子番組ガイドが示す放送番組を受信して装置メモリに録画する装置録画ステップと、
を含むこと特徴とする、放送番組録画方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−81255(P2013−81255A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−8436(P2013−8436)
【出願日】平成25年1月21日(2013.1.21)
【分割の表示】特願2006−318624(P2006−318624)の分割
【原出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】