説明

放送装置、番組送出装置、番組配信装置および緊急情報送出装置

【課題】本発明は、ディジタル放送の特定のセグメントに番組を送信する放送装置と、放送系または放送局において既定のスケジュールに基づいて放送されるべき番組を送信機に送出する番組送出装置と、放送されるべきコンテンツを放送系に配信する番組配信装置と、緊急時に緊急情報を送出する緊急情報送出装置とに関し、構成が大幅に変更されることなく、全ての端末や受信機のユーザに緊急情報を確度高く伝達できることを目的とする。
【解決手段】ディジタル放送の特定のセグメントを介して番組を送信する放送装置であって、緊急時に前記番組に代えて緊急情報を前記特定のセグメントを介して送信する制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル放送の特定のセグメントに番組を送信する放送装置と、放送系または放送局において既定のスケジュールに基づいて放送されるべき番組を送信機に送出する番組送出装置と、放送されるべきコンテンツを放送系に配信する番組配信装置と、緊急時に緊急情報を送出する緊急情報送出装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広範に普及した携帯電話等の端末の多くは、ワンセグ放送の視聴を可能とするチューナが搭載され、多様な分野への活用が期待されている。
【0003】
このような端末は、ユーザによって常時携帯される可能性が高いために、ユーザが位置する地域や地点における多様な自主放送の聴取に併せて、これらの地域や地点の如何にかかわらず災害の予報その他の緊急情報の迅速な伝達を可能とするツールとしての活用が期待されている。
【0004】
従来のディジタル放送系では、個々の放送局は、通常時には、既定のセグメントを介して放送を行う。
【0005】
また、これらの放送局は、災害の予告その他の緊急状態については、放送中の番組に字幕等として伝達している。
しかし、このような緊急状態の伝達については、ディジタル放送の特性を活用することにより、例えば、通常時の放送に供されていたチャネル(セグメント)(以下、「通常放送チャネル」という。)に代えて、災害時の放送に適用されるべき既定のチャネル(以下、「緊急放送チャネル」という。)を介して緊急情報を放送することも可能である。なお、緊急放送チャネルを介して複数の放送局が並行して緊急情報を放送することに起因する混信等は、個々の放送局の無線ゾーンと、地理的に隣接する他の放送局の無線ゾーンとがオーパラップする地域までの放送波の伝搬所要時間の差がガードインターバル(≒126μ秒)以下に設定されることによって、回避が可能である。
【0006】
なお、本発明に関連する先行技術としては、例えば、以下に列記する特許文献1ないし特許文献8があった。
【0007】
(1) 「情報サービス提供元から複数のコンテンツを取得し、該複数のコンテンツをオンエア期間が来たときにそれぞれ1放送チャネルを含むメッセージダウンロードを処理するセル放送マップ用パケットに変換し、それぞれのセル放送マップ用パケットを対応する交換機へダウンロードし、該交換機は受信した前記セル放送マップ用パケットを専用に設けた放送用物理チャネルの1スーパーフレーム毎にそれぞれ設定し指定された放送エリアの基地局を介して移動機へ送信し、該移動機は受信したチャネルのコンテンツを表示部で表示する」ことによって、「異なる多数の文字情報を地域毎の全加入者に対し同時に選択的に提供することができ、かつ緊急情報では早急に提供できる」点に特徴があるデジタル無線電話による文字情報放送方法及びその放送システム…特許文献1
【0008】
(2) 「ディジタル放送の特定のチャネルの電波を選択的に受信する第1のチューナ部と、該第1のチューナ部にて受信された受信信号を復調して目的とする情報を取り出すための第1の復調部と、前記情報を保持する第1の記憶部とを有する第1のディジタル放送受信端末と、前記ディジタル放送の特定のチャネルの電波を選択的に受信する第2のチューナ部と、該第2のチューナ部にて受信された受信信号を復調して目的とする情報を取り出すための第2の復調部と、前記情報を保持する第2の記憶部とを有する第2のディジタル放送受信端末とを備え、前記第2のディジタル放送受信端末が着脱可能に接続されるように構成される」ことによって、「ディジタル放送の一つのチャネルの情報を受信している最中に他のチャネルのサービス等の情報を受信する」点に特徴があるディジタル放送受信装置…特許文献2
【0009】
(3) 「キャリア信号発生回路10−1、10−2、…10−8から発生されたラジオ、テレビ等の受信チャネルに対応する複数の周波数帯の複数のキャリア信号で音声合成IC40から出力またはハンドマイク210から入力された所定の緊急警報を行う音声信号を変調回路20−1、20−2、…20−8で変調し、この変調回路20−1、20−2、…20−8の出力をコンバイナ回路60で合成してアンテナ220から送信し、このアンテナ220から送信された音声信号を受信中の一般のラジオ、テレビ等の音声に混信させて緊急警報情報の報知を行う」ことによって、「一般のラジオ、テレビ等の公共放送無線受信装置を用いて特定の地域に密着した最適な緊急警報情報を報知することができる」点に特徴がある緊急警報発生装置…特許文献3
【0010】
(4) 「基地局は情報サービス提供元から取得した複数のコンテンツを所定の時間間隔で送信される放送用物理チャネルに設定し移動機へ送信し、移動機は前記放送用物理チャネルを受信するタイミングを設定し、待ち受け時に前記設定されたタイミングにより放送用物理チャネルを受信し、受信した前記コンテンツを待ち受け画面に表示する」ことによって、「異なる多数の文字情報を地域毎の全加入者に対し同時に選択的に提供することができ、かつ緊急情報では早急に提供できる」点に特徴があるデジタル無線電話による文字情報放送方法及びその放送システム…特許文献4
【0011】
(5) 「情報サービス提供元から複数のコンテンツを取得し、該複数のコンテンツをオンエア期間が来たときにそれぞれ1放送チャネルを含むメッセージダウンロードを処理するセル放送マップ用パケットに変換し、それぞれのセル放送マップ用パケットを対応する交換機へダウンロードし、該交換機は受信した前記セル放送マップ用パケットを専用に設けた放送用物理チャネル(BPCH)の1スーパーフレーム毎に放送チャネルとして割り当てて基地局から繰り返し送信されるように設定するとともに、前記放送用物理チャネル(BPCH)を共通制御チャネル(CCH)に隣接するタイムスロットに設定して指定された放送エリアの基地局を介して移動機へ送信し、移動機は共通制御チャネル(CCH)内の一斉呼出チャネル(PCH)を受信する受信期間を延長して一斉呼出チャネル(PCH)と共に放送用物理チャネル(BPCH)を受信し、受信した放送用物理チャネル(BPCH)に割り当てられた放送チャネルのコンテンツを待ち受け画面に表示する」ことによって、「異なる多数の文字情報を地域毎の全加入者に対し同時に選択的に提供することができ、かつ緊急情報では早急に提供できる」点に特徴があるデジタル無線電話による文字情報放送方法及びその放送システム…特許文献5
【0012】
(6) 「地上デジタルテレビ放送局から放送された複数セグメント放送とワンセグメント放送の両者が受信可能で、TV放送またはデータ放送の映像・音声信号を受信する受信手段と、受信した映像・音声信号に基づき映像・音声を出力する出力手段と、受信信号から緊急警報放送の開始を検出する緊急警報放送開始検出手段と、受信信号から緊急警報放選局情報を抽出する抽出手段と、緊急警報信号が検出されると緊急警報放送選局情報に基づき受信手段に対し選局制御を行なって緊急警報放送を受信させる受信制御手段と、を備えた緊急警報放送受信機能付受信機において、受信制御手段は、緊急警報放送の選局制御をする際、選局先の地上デジタルテレビ放送局がワンセグメント放送を放送中のときは、受信手段にワンセグメント放送を優先して受信させるようにしたこと、」ことによって、「災害情報をより確実に入手できる」点に特徴がある緊急警報放送受信機能付受信機…特許文献6
【0013】
(7) 「地上デジタルテレビジョン放送波からAC信号を受信する受信機であって、TMCC信号と同一フレーム長であり、TMCC信号と同一の位相基準及び同期信号と、少なくとも緊急地震速報の有無を識別するフラグと、緊急地震速報を含む緊急速報とを格納する電文情報が、送信側からACキャリアにて伝送されるように予め規定されており、地上デジタルテレビジョン放送波を受信してACキャリアを復調する復調部と、前記位相基準及び前記同期信号に基づいてフレーム同期を行って、前記フラグの値のみを常時監視する監視手段と、前記監視手段によって前記フラグが緊急地震速報である旨を表すフラグ値を判別した場合にのみ、前記緊急地震速報を復号する復号手段と、前記復号した緊急地震速報の情報から、当該受信機の位置する地域の震度及び到達予測時間の予測情報を計算する予測情報計算手段とを備える」ことによって、「地上デジタルテレビジョン放送の受信機への迅速、且つ、確実な緊急地震速報の伝達を可能とする」点に特徴がある受信機…特許文献7
【0014】
(8) 「地上デジタルテレビジョン放送波からAC信号を受信する受信機に、TMCC信号と同一フレーム長であり、同期信号を兼ねた、少なくとも緊急地震速報の有無を識別するフラグであって、平常時であるか、又は緊急警報放送或いは緊急地震速報が発せられた時であるかを区別可能なNビット(Nは整数)の符号列が付与されたフラグと、緊急地震速報を含む緊急速報とを格納する電文情報をAC信号にて伝送する」ことによって、「緊急警報放送または緊急地震速報が発せられた際に、迅速、かつ、確実に受信可能とする送信装置」点に特徴がある地上デジタルテレビジョン放送用の送信装置…特許文献8
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2001−197021号公報
【特許文献2】特開2005−167915号公報
【特許文献3】特開2005−182381号公報
【特許文献4】特開2007−060715号公報
【特許文献5】特許第3918064号公報
【特許文献6】特開2009−044453号公報
【特許文献7】特開2009−213105号公報
【特許文献8】特開2009−272954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、上述した従来例では、通常放送チャネルとは別に確保され、かつ実質的に異なる緊急放送チャネルを介して緊急情報が放送されるため、端末や受信機は、通常放送チャネルから緊急放送チャネルへのチャネルを切り替えなければ、このような緊急情報を受信できなかった。
【0017】
また、放送局では、通常放送チャネルで行われていた放送に代えて、緊急放送チャネルを介する緊急情報の放送を行うために、放送装置の設定が変更され、あるいは放送装置が切り替えられなければならなかった。
【0018】
本発明は、ディジタル放送の提供および視聴に供される装置の構成が大幅に変更されることなく、全ての端末や受信機のユーザに緊急情報を確度高く伝達できる放送装置、番組送出装置、番組配信装置および緊急情報送出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1に記載の発明に係る放送装置では、ディジタル放送の特定のセグメントを介して番組を送信する。制御手段は、緊急時に前記番組に代えて緊急情報を前記特定のセグメントを介して送信する。
すなわち、緊急時には、通常時において上記番組が放送されていた特性のセグメントを介して、緊急情報が送信される。
【0020】
請求項2に記載の発明に係る番組送出装置では、放送系の送信機に番組を送出する。制御手段は、緊急時に前記番組に代えて緊急情報を送出する。
すなわち、緊急時には、放送系の送信機は、通常時に送信されていた番組に代えて緊急情報を送信することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明に係る番組配信装置では、放送されるべきコンテンツを放送系に配信する。制御手段は、緊急時に前記コンテンツに代えて緊急情報を配信する。
すなわち、緊急時には、上記放送系は、通常時に放送されていたコンテンツに代えて緊急情報を放送することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明に係る緊急情報送出装置では、緊急時に緊急情報を送出する。制御手段は、前記緊急情報の送出先によって放送されるべきコンテンツを前記緊急時以外の期間に前記緊急情報に代えて送出する。
すなわち、上記コンテンツを放送すべき放送系には、緊急時に緊急情報を送出する緊急情報送出装置との間に形成された通信路や伝送路を介してそのコンテンツが与えられ、しかも、緊急時には、そのコンテンツに代わる緊急情報が速やかに与えられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、番組を視聴している端末のユーザは、その番組に変わる緊急情報を速やかに、かつ特別の操作を伴うことなく視聴することができる。
また、本発明によれば、緊急情報の伝送に供される通信路や伝送路の形成のためにその緊急情報の放送が遅れる時間が確度高く短縮される。
【0024】
したがって、本発明が適用された放送系では、緊急時には、通常時における放送に供されていたセグメントを介して緊急情報の放送が速やかに開始され、しかも、その緊急情報の視聴に供される端末のユーザに特別な操作が強要されないため、緊急情報の迅速かつ確実な伝達が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の第二の実施形態を示す図である。
【図3】本発明の第三の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の第四の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1は、本発明の第一の実施形態を示す図である。
図において、予め制作された番組コンテンツが登録されたコンテンツサーバ10と、緊急情報サーバ90とは、ネットワーク20を介して番組送出装置30に接続され、その番組送出装置30が有する所定の数N(≧1)のポートは多重化装置40の対応する入力ポートに接続される。多重化装置40が有する所定の数n(≦N)の出力ポートは、それぞれ送信機50-1〜50-nを介してアンテナ60-1〜60-nの給電点に接続される。これらのアンテナ60-1〜60-nによって形成される無線ゾーン60Zには、番組の視聴を可能とするチューナ(図示されない。)を個別に有する携帯端末71、テレビ72およびラジオ73が位置する。
【0027】
上記番組送出装置30および多重化装置40は放送局80の局舎に配置され、その放送局80には、放送業務の担当者とこれらの番組送出装置30および多重化装置40との間におけるインタフェースをとる制御端末81が配置される。なお、送信機50-1〜50-nは、何れも、放送局80の局舎と、その局舎とは異なるサイト(例えば、放送タワーの頂部や山頂等に接地された送信所)との何れに配置されてもよい。
【0028】
送信機50-1は、以下の要素から構成される。
(1) ネットワーク20に接続された緊急情報処理部51-1
(2) その緊急情報処理部50-1の出力と、多重化装置40の対応するポートとにそれぞれ接続された2つの入力を有する切り替え器52-1
(3) 切り替え器52-1に縦続接続された変調器53-1
【0029】
(4) 変調器53-1に縦続接続され、かつアンテナ60-1の給電点に接続された電力増幅器54-1
(5) 緊急情報処理部51-1、切り替え器52-1、変調器53-1および電力増幅器54-1の制御端子に接続された入出力ポートに併せて、ネットワーク20に接続された通信ポートを有するプロセッサ55-1
【0030】
なお、送信機50-2〜50-nの構成については、送信機50-1の構成と同じであるので、ここでは、図示および説明を省略し、以下では、機能および構成が同じ要素については、添え番号「1」に代わる添え番号「2」〜「n」を同じ符号に付加して示すこととする。
【0031】
また、以下では、送信機50-1〜50-nに何れにも同様に当てはまる事項については、添え番号「1」〜「n」の何れにも該当し得ることを意味する添え文字「c」を関連する要素の符号に付加して記述する。
【0032】
本実施形態の特徴は、「緊急情報」を送信するために後述する通りに行われる送信器50-cの動作にある。
以下、このような動作の前提となる各部の基本的な動作を説明する。
【0033】
コンテンツサーバ10には、放送局80から送信されるべき番組コンテンツが予め登録される。
番組送出装置30は、セグメント毎または送信機50-1〜50-n毎に既定のスケジュールに基づいて放送されるべき番組を個別に識別し、ネットワーク20を介してコンテンツサーバ10と連係する。
【0034】
コンテンツサーバ10は、このような連係の下でネットワーク20を介して番組送出装置30宛に上記放送されるべき番組の番組コンテンツを転送する。
番組送出装置30は、これらの転送された番組コンテンツを多重化装置40に引き渡す。
【0035】
多重化装置40は、上記転送された番組コンテンツに基づいて、例えば、以下の処理を行うことにより、送信機50-cを介して送信(放送)されるべきTSストリームを生成する。
(1) 番組送出装置30が番組毎に与える制御情報,あるいは制御端末81を介して与えられる指示に基づくTSストリームの速度やパケットの数の設定
(2) 受信機である携帯端末71、テレビ72、ラジオ73と、送信機50-cと間における時刻の同期の基準として上記TSストリームに含まれる情報PCR(Program Clock Reference) の書き換え
【0036】
(3) 上記TSストリームに対する送信制御情報の付加(多重化)
(4) 上記TSストリームに含まれるコンテンツのリストPMT(Program Map Table)上において該当するコンテンツを示すPIDに基づくフィルタリング
(5) 番組特定情報PSI(Program Specific Information)と、番組配信情報SI(Program Specific Information)との上記TSストリームに対する付加(多重化)
【0037】
送信機50-cは、このようにして生成されたTSストリームを放送波に変換して送信する。
【0038】
無線ゾーン60Zに位置する携帯端末71、テレビ72、ラジオ73は、その放送波を受信して上記TSストリームを復元し、さらに、画像や音声に変換することにより、ユーザによる該当する番組の視聴を可能とする。
なお、上記各部の基本的な動作については、後述する第二ないし第四の実施形態でも同様である。
【0039】
以下、本実施形態において既述の「緊急情報」が送信されるために行われる各部の動作を説明する。
緊急情報サーバ90は、地震、洪水、津波、大規模火災その他の緊急状態が予測されあるいは発生すると、ネットワーク20を介して関連する機関や放送局(放送系)にその緊急状態に関する情報(以下、「緊急情報」という。)を配信する。
【0040】
送信機50-cでは、プロセッサ55-cは、このような緊急情報が配信されていない通常状態では、配下の切り替え器52-cを介して変調器53-cに、多重化装置40によって生成された既述のTSストリームを引き渡す。変調器53-cは、そのTSストリームに基づいて所定の搬送波信号(例えば、特定の1つのセグメントに対応する。)を変調することにより放送波(以下、「通常放送波」という。)を生成する。電力増幅器54-cは、プロセッサ55-cの配下で、その放送波を増幅し、かつアンテナ60-cを介して無線ゾーン60Zに送信する。なお、このような変調は、プロセッサ55-cによって指示された形態で行われる。
【0041】
また、緊急情報処理部51-cは、上記緊急情報が配信されて来た場合には、その旨(以下、「緊急報知情報」という。)をプロセッサ55-cに通知し、さらに、該当する緊急情報を示し、かつ上記TSストリームと代替されるべきTSストリーム(以下、「緊急情報ストリーム」という。)を生成する。なお、このような緊急情報ストリームは、例えば、ネットワーク20を介してコンテンツサーバ10や緊急情報サーバ90から配信され(る情報に基づいて生成され)てもよい。
【0042】
プロセッサ55-cは、上記緊急報知情報を識別すると、通常の放送より緊急情報の放送が優先されるべき旨を示す「緊急情報優先指令」を切り替え器52-cに与える。
切り替え器52-cは、その緊急情報優先指令が与えられると、多重化装置40から与えられるTSパケットに代えて、上記「緊急情報ストリーム」を変調器53-cに与える。
【0043】
変調器53-cおよび電力増幅器54-cは、その緊急情報ストリームに基づいて上記所定の搬送波信号を変調することにより、既述の通常放送波に代わる緊急放送波を生成し、かつアンテナ60-cを介して無線ゾーン60Zに送信する。
【0044】
すなわち、送信機50-1〜50-nによって行われる送信の対象となるセグメントは、緊急時にも通常放送波に代わる緊急放送波の送信(放送)に供されるため、
携帯端末71、テレビ72、ラジオ73のユーザは、通常放送波が受信されていたセグメントから他のセグメントに受信の対象を切り替えることなく緊急情報を視聴することができる。したがって、従来例に比べて緊急情報の視聴にかかわる操作が大幅に簡略化され、その操作に伴う緊急情報の伝達の遅れが回避される。
【0045】
また、本実施形態では、送信機50-cは、既述の各部の基本的な動作を実現する変調器53-c、電力増幅器54-cおよびプロセッサ55に、緊急情報処理部51-cおよび切り替え器52-cが付加される軽微の構成の変更により実現される。
【0046】
したがって、本実施形態に係る放送系では、既存の構成が大幅に変更されることなく、かつ安価に緊急情報の伝達の効率化および即時化が図られる。
【0047】
[第二の実施形態]
図2は、本発明の第二の実施形態を示す図である。
図において、図1に示すものと機能および構成が同じものについては、同じ符号を付与し、ここでは、その説明を省略する。
【0048】
本実施形態と既述の第一の実施形態との構成の相違点は、以下の点にある。
(1) 送信機50-1〜50-nに代えて、送信機50A-1〜50A-nが備えられる。
(2) 番組送出装置30に代えて番組送出装置30Aが備えられる。
【0049】
送信機50A-1と送信機50-1との構成の相違点は、以下の点にある。
(1) 緊急情報処理部51-1および切り替え器52-1が備えられない。
(2) 多重化装置40の対応する出力ポートが、切り替え器52-1を介することなく変調機53-1の入力に接続される。
【0050】
なお、送信機50A-2〜50A-nの構成については、送信機50A-1の構成と同じであるので、ここでは、図示および説明を省略し、以下では、機能および構成が同じ要素については、添え番号「1」に代わる添え番号「2」〜「n」を同じ符号に付加して示すこととする。
【0051】
また、以下では、送信機50A-1〜50A-nに何れでも同様に当てはまる事項については、添え番号「1」〜「n」の何れにも該当し得ることを意味する添え文字「c」を関連する要素の符号に付加して記述する。
【0052】
番組送出装置30Aは、以下の要素から構成される。
(1) バス31
(2) ネットワーク20に接続されたネットワークインタフェース部32
【0053】
(3) 多重化装置40の対応する入力ポートに個別に接続されたポート対応部33-1〜33-N
(4) 上記ネットワークインタフェース部31およびポート対応部32-1〜32-Nと共に、バス31上に接続されたプロセッサ34、緊急情報処理部35および外部記憶装置36
【0054】
本実施形態の特徴は、番組送出装置30Aの各部が以下の通りに連係する点にある。
緊急情報が配信されていない通常状態では、番組送出装置30Aに備えられたプロセッサ34は、主記憶(図示されない。)または外部記憶装置36に格納され、かつセグメント毎または送信機50-1〜50-n毎に設定された放送スケジュールに基づいて放送局80から放送されるべき個々の番組を識別し、ネットワークインタフェース部32およびネットワーク20を介してコンテンツサーバ10と連係する。
【0055】
コンテンツサーバ10は、このような連係の下でネットワーク20を介して番組送出装置30A宛に上記個々の番組の番組コンテンツを転送する。
【0056】
番組送出装置30Aでは、ネットワークインタフェース部32は、プロセッサ34の配下で作動し、ポート対応部33-1〜33-Nの内、上記転送された番組コンテンツの放送に供されるべき送信機(送信機50A-1〜50A-nの何れか)に対応したポート対応部との間にバス31を介して形成されたDMAチャネルと、そのポート対応部とを介して多重化装置40に、その番組コンテンツを引き渡す。なお、このような番組コンテンツの引き渡しの過程では、コンテンツサーバ10からネットワークインタフェース部32に至る区間の伝送速度と、ポート対応部と多重化装置40との間における伝送速度との相違を吸収するために、外部記憶装置36がバッファメモリとして機能してもよい。
【0057】
このようにして引き渡された番組コンテンツは、多重化装置40によってTSストリームに変換され、さらに、送信機50A-Cによって放送波として無線ゾーン60Zに送信される。
【0058】
また、番組送出装置30Aでは、プロセッサ34は、地震、洪水、津波、大規模火災その他の緊急状態が予測され、あるいは発生した時に緊急情報サーバ90からネットワーク20を介して配信された緊急情報を識別すると、緊急情報処理部35を起動し、かつネットワークインタフェース部32とポート対応部33-1〜33-Nとの間(外部記憶装置36が介在してもよい。)に形成されているDMAチャネルを解除する。さらに、プロセッサ34は、これらのDMAチャネルに代わる「代替DMAチャネル」を緊急情報処理部35とポート対応部33-1〜33-Nとの間に形成する。
【0059】
緊急情報処理部35は、上記緊急情報を示し、かつ既述の番組コンテンツと代替されるべき「緊急番組コンテンツ」を生成する。なお、このような緊急番組コンテンツは、例えば、ネットワーク20を介してコンテンツサーバ10や緊急情報サーバ90から配信されてもよい。
【0060】
さらに、緊急情報処理部35は、代替DMAチャネルおよびポート対応部33−1〜33-Nを介して多重化装置40の対応する入力ポートに、上記「緊急番組コンテンツ」を引き渡す。
【0061】
多重化装置40は、その緊急番組コンテンツをTSストリームに変換し、さらに、送信機50A-Cを介して無線ゾーン60Zに放送波として送信される。
すなわち、送信機50A-1〜50A-nによって行われる送信の対象であるセグメントは、何れも、緊急時には、通常放送波に代わる緊急放送波の送信(放送)に供されるため、携帯端末71、テレビ72、ラジオ73のユーザは、通常放送波が受信されていたセグメントから他のセグメントに受信の対象を切り替えることなく、緊急情報を視聴することができる。
【0062】
また、本実施形態では、番組送出装置30Aは、既述の各部の基本的な動作を実現するネットワークインタフェース部32、プロセッサ34およびポート対応部33-1〜33-Nに、緊急情報処理部35が付加される軽微の構成の変更により実現され、従来例に比べて、緊急情報の視聴にかかわる操作が大幅に簡略化され、その操作に伴う緊急情報の伝達の遅れが回避される。
【0063】
したがって、本実施形態に係る放送系では、既存の構成が大幅に変更されることなく、かつ安価に緊急情報の伝達の効率化および即時化が図られる。
なお、本実施形態では、緊急情報処理部35およびポート対応部33-1〜33-Nは、必ずしも番組送出装置30Aに備えられなくてもよく、例えば、ネットワークインタフェース部32と、これらの連係および機能を既述の通りに実現するためにプロセッサ34によって実行されるソフトウェアと共に、以下の何れに配置されてもよい。
(1) 多重化装置40の初段または入力端
(2) 多重化装置の出力端または最終段
【0064】
[第三の実施形態]
図3は、本発明の第三の実施形態を示す図である。
図において、図1に示すものと機能および構成が同じものについては、同じ符号を付与し、ここでは、その説明を省略する。
【0065】
本実施形態と既述の第一の実施形態との構成の相違点は、以下の点にある。
(1) 送信機50-1〜50-nに代えて、送信機50A-1〜50A-nが備えられる。
(2) コンテンツサーバ10に代えてコンテンツサーバ10Aが備えられる。
【0066】
コンテンツサーバ10Aは、以下の要素により構成される。
(1) ネットワーク20に接続されたネットワークインタフェース部11
(2) バス12
(3) ネットワークインタフェース部11と共にバス12に接続されたプロセッサ13、外部記憶装置14および緊急情報処理部15
【0067】
本実施形態の特徴は、コンテンツサーバ10Aの各部が以下の通りに連係する点にある。
外部記憶装置14には、放送局80を介して放送されるべき番組コンテンツが予め蓄積される。
【0068】
緊急情報が配信されていない通常状態では、コンテンツサーバ10Aに備えられたプロセッサ13は、外部記憶装置14に蓄積された番組コンテンツの内、番組送出装置30から与えられる要求に対応する番組コンテンツを特定する。
【0069】
コンテンツサーバ10Aでは、ネットワークインタフェース部11は、プロセッサ13の配下で作動し、外部記憶装置14との間にバス12を介して形成されたDMAチャネルを介してネットワーク20に、上記特定された番組コンテンツを引き渡す。
【0070】
したがって、このような番組コンテンツは、番組送出装置30および多重化装置40によってTSストリームに変換され、さらに、送信機50A-Cによって放送波として無線ゾーン60Zに送信される。
【0071】
また、コンテンツサーバ10Aでは、プロセッサ13は、地震、洪水、津波、大規模火災その他の緊急状態が予測され、あるいは発生した時に緊急情報サーバ90からネットワーク20を介して配信された緊急情報を識別すると、緊急情報処理部15を起動し、その緊急情報処理部15とネットワークインタフェース部11との間に代替DMAチャネルを形成する。
【0072】
緊急情報処理部15は、上記緊急情報を示し、かつ既述の番組コンテンツと代替されるべき「緊急番組コンテンツ」を生成する。なお、このような緊急番組コンテンツは、例えば、ネットワーク20を介してコンテンツサーバ10から配信され、あるいは外部記憶装置14の特定の記憶領域に予め蓄積されていてもよい。
【0073】
さらに、緊急情報処理部15は、上記DMAチャネルおよびネットインタフェース部11を介してネットワーク20に上記「緊急番組コンテンツ」を送出する。
【0074】
放送局80では、番組送出装置30および多重化装置40は、その緊急番組コンテンツをTSストリームに変換し、さらに、送信機50A-Cを介して無線ゾーン60Zに緊急放送波として送信する。
【0075】
すなわち、送信機50A-1〜50A-nによって行われる送信の対象であるセグメントは、何れも、緊急時には、通常放送波に代わる緊急放送波の送信(放送)に供されるため、携帯端末71、テレビ72、ラジオ73のユーザは、通常放送波が受信されていたセグメントから他のセグメントに受信の対象を切り替えることなく緊急情報を視聴することができる。
【0076】
したがって、従来例に比べて緊急情報の視聴にかかわる操作が大幅に簡略化され、その操作に伴う緊急情報の伝達の遅れが回避される。
【0077】
また、本実施形態では、コンテンツサーバ10Aは、既述の各部の基本的な動作を実現するネットワークインタフェース部11、プロセッサ13および外部記憶装置14に、緊急情報処理部15が付加される軽微の構成の変更により実現される。
【0078】
したがって、本実施形態に係る放送系では、既存の構成が大幅に変更されることなく、かつ安価に緊急情報の伝達の効率化および即時化が図られる。
【0079】
[第四の実施形態]
図4は、本発明の第四の実施形態を示す図である。
図において、図1に示すものと機能および構成が同じものについては、同じ符号を付与し、ここでは、その説明を省略する。
【0080】
本実施形態と既述の第一の実施形態との構成の相違点は、以下の点にある。
(1) 送信機50-1〜50-nに代えて、送信機50A-1〜50A-nが備えられる。
(2) コンテンツサーバ10に代えてコンテンツサーバ10Bが備えられる。
(3) 緊急情報サーバ90に代えて緊急情報サーバ90Aが備えられる。
【0081】
緊急情報サーバ90Aは、以下の要素により構成される。
(1) ネットワーク20に接続されたネットワークインタフェース部91
(2) バス92
(3) ネットワークインタフェース部91と共にバス92に接続されたプロセッサ93、外部記憶装置94および緊急情報処理部95
【0082】
本実施形態の特徴は、緊急情報サーバ90Aの各部とコンテンツサーバ10Bとが以下の通りに連係する点にある。
【0083】
コンテンツサーバ10Bは、既述の第一の実施形態と同様に、ネットワーク20を介して番組コンテンツを転送する。しかし、このような番組コンテンツの転送先は、番組送出装置30(放送局80)ではなく、緊急情報サーバ90Aに設定される。さらに、上記番組コンテンツの転送は、ネットワーク20で生じる伝送遅延時間と緊急情報サーバ90Aの最大の応答時間との和以上に亘って、時間軸上で先行して行われる。
【0084】
緊急情報サーバ90Aでは、ネットワークインタフェース部91は、プロセッサ93の配下で外部記憶装置94と連係し、上述したようにコンテンツサーバ10Bから転送された番組コンテンツを外部記憶装置94に適宜蓄積する。
【0085】
緊急情報が配信されていない通常状態では、緊急情報サーバ90Aに備えられたプロセッサ93は、外部記憶装置94に蓄積された番組コンテンツの内、番組送出装置30から与えられた要求に対応する番組コンテンツを特定する。
【0086】
ネットワークインタフェース部91は、プロセッサ94の配下で作動し、外部記憶装置14との間にバス12を介して形成されたDMAチャネルを介してネットワーク20に、上記特定された番組コンテンツを引き渡す。
【0087】
したがって、このような番組コンテンツは、番組送出装置30および多重化装置40によってTSストリームに変換され、さらに、送信機50A-Cによって放送波として無線ゾーン60Zに送信される。
【0088】
また、緊急情報サーバ90Aでは、プロセッサ93は、地震、洪水、津波、大規模火災その他の緊急状態が予測され、あるいは発生したことを示す緊急情報を識別すると、緊急情報処理部95を起動し、その緊急情報処理部95とネットワークインタフェース部91との間にDMAチャネルを形成する。
【0089】
緊急情報処理部95は、上記緊急情報を示し、かつ既述の番組コンテンツと代替されるべき「緊急番組コンテンツ」を生成する。なお、このような緊急番組コンテンツは、例えば、ネットワーク20を介してコンテンツサーバ10Bから配信され、あるいは外部記憶装置94の特定の記憶領域に予め蓄積されていてもよい。
【0090】
さらに、緊急情報処理部95は、上記DMAチャネルおよびネットインタフェース部91を介してネットワーク20に上記「緊急番組コンテンツ」を送出する。
【0091】
放送局80では、番組送出装置30および多重化装置40は、その緊急番組コンテンツをTSストリームに変換し、さらに、送信機50A-Cを介して無線ゾーン60Zに緊急放送波として送信する。
【0092】
すなわち、送信機50A-1〜50A-nによって行われる送信の対象であるセグメントは、何れも、緊急時には、通常放送波に代わる緊急放送波の送信(放送)に供される。
【0093】
携帯端末71、テレビ72、ラジオ73のユーザは、通常放送波が受信されていたセグメントから他のセグメントに受信の対象を切り替えることなく、緊急情報を視聴することができる。したがって、従来例に比べて緊急情報の視聴にかかわる操作が大幅に簡略化され、その操作に伴う緊急情報の伝達の遅れが回避される。
【0094】
また、本実施形態では、緊急情報サーバ90Aは、既述の各部の基本的な動作を実現するネットワークインタフェース部91、プロセッサ93および外部記憶装置94に、緊急情報処理部95が付加される軽微の構成の変更により実現される。
【0095】
したがって、本実施形態に係る放送系では、既存の構成が大幅に変更されることなく、かつ安価に緊急情報の伝達の効率化および即時化が図られる。
【0096】
なお、上述した各実施形態では、コンテンツサーバ10(10A、10B)、番組送出装置30(30A)、多重化装置40、送信機50-1〜50-n(50A-1〜50A-n)、アンテナ60-1〜60-nおよび緊急情報サーバ90(90A)は、既述の連係が実現されるならば、共通のサイトや局舎に配置されてもよく、あるいは如何なるサイトに分散されて配置されてもよい。
【0097】
また、ネットワーク20は、必ずしもインタネット等のコンピュータネットワークでなくてもよく、例えば、本発明が適用される放送系のために敷設された私設網、あるいは既述の連係を実現するために必要な信号や情報の引き渡しを実現する多様な線路や伝送路で代替されてもよい。
【0098】
さらに、これらの私設網や伝送路を介する連係のために行われる伝送や通信には、如何なる伝送方式や通信手順が適用されてもよい。
【0099】
また、上述した各実施形態では、例えば、コンテンツサーバ10(10A)や緊急情報サーバ90Aから転送される番組コンテンツ(緊急番組コンテンツ)が即時に通常放送波や緊急放送波として無線ゾーン60Zに送信される場合には、番組送出装置30(30A)は、備えられなくてもよい。
【0100】
さらに、上述した各実施形態では、番組送出装置30(30A)は、多重化装置40に一体化され、あるいはその多重化装置40に着脱可能なユニットやモジュールとして構成されてもよい。
【0101】
また、上述した各実施形態は、アンテナ60-1〜60-nが同軸ケーブルや光伝送路で代替されることにより、ケーブルテレビジョンの放送系として構成されてもよい。
【0102】
さらに、上述した各実施形態では、コンテンツサーバ10(10A、10B)、番組送出装置30(30A)、多重化装置40、送信機50-1〜50-n(50A-1〜50A-n)、アンテナ60-1〜60-nおよび緊急情報サーバ90(90A)は、機能分散が如何なる形態で図られた装置の組み合わせとして構成されてもよい。
【0103】
また、上述した各実施形態では、送信機50-1〜50-n(50A-1〜50A-n)の全て一部は、特定の狭い地域における自主放送に供される送信機であってもよい。
【0104】
さらに、上述した各実施形態では、緊急状態および緊急情報は、緊急情報サーバ90によってネットワークを介して通知されている。
しかし、このような緊急状態および緊急情報は、例えば、図1ないし図4に点線枠で示すように、送信機50-c、番組送出装置30A、緊急情報サーバ90A、コンテンツサーバ10Aの全てまたは一部に配置されたセンサによって与えられ、あるいは制御端末81や図示されないコンソールによって与えられてもよい。
【0105】
また、上述した各実施形態では、送信機50-1〜50-n(50A-1〜50A-n)は、個別に既定のワンセグメントのみに対して通常放送波または緊急放送波を送信し、これらの放送波が送信されるセグメントは変更されていない。
しかし、本発明はこのような構成に限定されず、緊急放送波は、例えば、以下の何れの形態で送信されてもよい。
【0106】
(1) 送信機50-1〜50-n(50A-1〜50A-n)の何れによって形成される無線ゾーンも共通である場合、これらの送信機50-1〜50-n(50A-1〜50A-n)の内、特定の1つのみが(放送が許容され、あるいは放送可能である)全てのセグメントに対して緊急放送波を送信し、残りの送信機は送信動作を停止する。
【0107】
(2) 送信機50-1〜50-n(50A-1〜50A-n)によってそれぞれ形成される無線ゾーンが異なる場合、これらの送信機50-1〜50-n(50A-1〜50A-n)の全てまたは一部がこれらの無線ゾーンに対して緊急放送波を送信し、残りの送信機は送信動作を停止する。
【0108】
このような緊急放送波の送信は、隣接する無線ゾーン(送信機50-1〜50-n(50A-1〜50A-n)以外の送信機によって形成される他の無線ゾーンを含む。)に対する混信や干渉が回避または許容されるように、これらの送信機50-1〜50-n(50A-1〜50A-n)が設置されたサイト(局舎)の地理的配置および地形に併せて、アンテナ60-1〜60-nの指向性および送信電力が総合的に勘案されて設定され、必要であれば、アンテナ60-1〜60-nの指向性のビームフォーミングおよび送信電力の変更が適宜行われてもよい。
【0109】
また、上記(1)、(2)の形態で緊急放送波を送信する送信機は、例えば、本願と同一の出願人にかかる先の特許出願「送信装置およびこれを利用した送信システム」(特願2008−309022号、特願2008−309023号)に係る送信装置が適用されてもよい。
【0110】
さらに、上述した各実施形態では、本発明は、地上波ディジタル放送に適用されている。
しかし、本発明は、以下に列記する放送にも同様に適用可能である。
(1) 「自主放送」には該当しないメジャーな画像放送、文字放送、音声(ラジオ)放送
(2) フルセグ、3セグその他の多様な数のセグメントを介して行われる放送
【0111】
また、本発明は、既述の地震、洪水、津波、大規模火災だけではなく、例えば、台風や大雨等の災害、交通機関の事故、遅延、スト等々のように、緊急性を要し、かつ大勢のユーザに速やかに伝達されるべき多様な情報の放送にも同様に適用可能である。
【0112】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲において多様な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
【0113】
以下、本願に開示された発明を整理し、「特許請求の範囲」の欄に対する記載から除外された本発明の構成、手段および効果を「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段」の欄の記載に準じた様式により列記する。
【0114】
[請求項5] 請求項1に記載の放送装置において、
前記制御手段は、
前記ディジタル放送を行う系の構成に基づいて前記緊急情報の送信の対象となるべきセグメントを特定し、前記特定されたセグメントを介して前記緊急情報を送信する
ことを特徴とする放送装置。
このような構成の放送装置では、前記制御手段は、前記ディジタル放送を行う系の構成に基づいて前記緊急情報の送信の対象となるべきセグメントを特定し、前記特定されたセグメントを介して前記緊急情報を送信する。
【0115】
すなわち、緊急情報の送信は、通常時に番組の放送に供されていたセグメントだけではなく、上記ディジタル放送を行う系の構成に基づいて特定されるセグメントを介して行われる。
【0116】
したがって、緊急時には、緊急情報は適用可能なセグメントを介して送信され、これらのセグメントの全てに対する緊急情報の送信は、これらのセグメントの数の如何にかかわらず、正常に稼働し、かつ速やかに応答可能な放送装置に優先的に割り振られる。
【0117】
[請求項6] 請求項1に記載の放送装置において、
前記制御手段は、
前記ディジタル放送を行う系の構成に基づいて前記緊急情報の送信の対象となるべきセグメントの全てを特定し、前記特定されたセグメントを介して前記緊急情報を送信する
ことを特徴とする放送装置。
【0118】
このような構成の放送装置では、前記制御手段は、前記ディジタル放送を行う系の構成に基づいて前記緊急情報の送信の対象となるべきセグメントの全てを特定し、前記特定されたセグメントを介して前記緊急情報を送信する。
【0119】
すなわち、緊急情報の送信は、通常時における番組の放送に供されていたセグメントだけではなく、上記ディジタル放送を行う系の構成に基づいて特定されるセグメントの全てを介して行われる。
【0120】
したがって、緊急時には、緊急情報は適用可能なセグメントの全てを介して送信され、これらのセグメントの全てに対する緊急情報の送信は、これらのセグメントの数の如何にかかわらず、正常に稼働し、かつ速やかに応答可能な放送装置に優先的に割り振られる。
【0121】
[請求項7] 請求項1に記載の放送装置において、
前記緊急情報は、
前記緊急時に外部から与えられる
ことを特徴とする放送装置。
【0122】
このような構成の放送装置では、前記緊急情報は、前記緊急時に外部から与えられる。
すなわち、緊急情報の送信のきっかけは、本発明に係る放送装置と連係可能なセンサや機関によって与えられる。
したがって、本発明が適用された放送系は、多様な緊急時に対する柔軟な適応が可能となる。
【0123】
[請求項8] 請求項1に記載の放送装置において、
前記緊急時に前記緊急情報の情報源から前記緊急情報を取得する緊急情報取得手段を備えた
ことを特徴とする放送装置。
【0124】
このような構成の放送装置では、緊急情報取得手段は、前記緊急時に前記緊急情報の情報源から前記緊急情報を取得する。
すなわち、緊急情報の送信のきっかけは、プッシュ型だけではなくプル型の情報源からも得ることができる。
【0125】
したがって、本発明が適用された放送系は、緊急情報およびその緊急情報の送信のきっかけを多様なセンサや機関から得ることができる。
【0126】
[請求項9] 請求項1に記載の放送装置において、
前記緊急時に対応して前記緊急情報が予め記録された記憶手段を備えた
ことを特徴とする放送装置。
このような構成の放送装置では、記憶手段には、前記緊急時に対応して前記緊急情報が予め記録される。
【0127】
すなわち、緊急時に送信されるべき緊急情報は、上記記憶手段に予め記録されているために通信路や伝送路の確保の手順の省略が可能となって即時に得られる。
【0128】
したがって、本発明が適用された放送系では、緊急時における緊急情報の放送が速やかに開始される。
【0129】
[請求項10] 請求項2に記載の番組送出装置において、
前記制御手段は、
前記放送系の構成に基づいて前記緊急情報が送出されるべき送出先を特定する
ことを特徴とする番組送出装置。
【0130】
このような構成の番組送出装置では、前記制御手段は、前記放送系の構成に基づいて前記緊急情報が送出されるべき送出先を特定する。
【0131】
すなわち、緊急情報の送出は、通常時における番組の放送に供されていたセグメントに対応する送信先だけではなく、上記放送系の構成に基づいて特定された送出先に対しても行われる。
【0132】
したがって、緊急時には、緊急情報は適用可能なセグメントを介して送信され、これらのセグメントの全てに対する緊急情報の送信は、これらのセグメントの数の如何にかかわらず、正常に稼働し、かつ速やかに応答可能な放送装置に優先的に割り振られる。
【0133】
[請求項11] 請求項2に記載の番組送出装置において、
前記制御手段は、
前記放送系の構成に基づいて前記緊急情報が送出されるべき送出先の全てを特定する
ことを特徴とする番組送出装置。
【0134】
このような構成の番組送出装置では、前記制御手段は、前記放送系の構成に基づいて前記緊急情報が送出されるべき送出先の全てを特定する。
【0135】
すなわち、緊急情報の送出は、通常時における番組の放送に供されていたセグメントに対応する送信先だけではなく、上記放送系の構成に基づいて特定された送出先の全てに対して行われる。
【0136】
したがって、緊急時には、緊急情報は適用可能なセグメントの全てを介して送信され、これらのセグメントの全てに対する緊急情報の送信は、これらのセグメントの数の如何にかかわらず、正常に稼働し、かつ速やかに応答可能な放送装置に優先的に割り振られる。
【0137】
[請求項12] 請求項2に記載の番組送出装置において、
前記緊急情報は、
前記緊急時に外部から与えられる
ことを特徴とする番組送出装置。
このような構成の番組送出装置では、前記緊急情報は、前記緊急時に外部から与えられる。
【0138】
すなわち、緊急情報の送出のきっかけは、本発明に係る番組送出装置と連係可能なセンサや機関によって与えられる。
【0139】
したがって、本発明が適用された放送系は、多様な緊急時に対する柔軟な適応が可能となる。
【0140】
[請求項13] 請求項2に記載の番組送出装置において、
前記緊急時に前記緊急情報の情報源から前記緊急情報を取得する緊急情報取得手段を備えた
ことを特徴とする番組送出装置。
【0141】
このような構成の番組送出装置では、緊急情報取得手段は、前記緊急時に前記緊急情報の情報源から前記緊急情報を取得する。
【0142】
すなわち、緊急情報の送出のきっかけは、プッシュ型だけではなくプル型の情報源からも得ることができる。
【0143】
したがって、本発明が適用された放送系は、緊急情報およびその緊急情報の送信のきっかけが多様なセンサや機関から得ることができる。
【0144】
[請求項14] 請求項2に記載の番組送出装置において、
前記緊急時に対応して前記緊急情報が予め記録された記憶手段を備えた
ことを特徴とする番組送出装置。
このような構成の番組送出装置では、記憶手段には、前記緊急時に対応して前記緊急情報が予め記録される。
【0145】
すなわち、緊急時に送信されるべき緊急情報は、上記記憶手段に予め記録されているために通信路や伝送路の確保の手順の省略が可能となって即時に得られる。
【0146】
したがって、本発明が適用された放送系では、緊急時における緊急情報の放送が速やかに開始される。
【0147】
[請求項15] 請求項3に記載の番組配信装置において、
前記制御手段は、
前記放送系の構成に基づいて前記緊急情報が配信されるべき配信先を特定する
ことを特徴とする番組配信装置。
【0148】
このような構成の番組配信装置では、前記制御手段は、前記放送系の構成に基づいて前記緊急情報が配信されるべき配信先を特定する。
【0149】
すなわち、緊急情報の配信は、通常時における番組の放送に供されていたセグメントに対応する配信先だけではなく、上記放送系の構成に基づいて特定された配信先に対しても行われる。
【0150】
したがって、緊急時には、緊急情報は適用可能なセグメントを介して送信され、これらのセグメントの全てに対する緊急情報の送信は、これらのセグメントの数の如何にかかわらず、正常に稼働し、かつ速やかに応答可能な放送装置に優先的に割り振られる。
【0151】
[請求項16] 請求項3に記載の番組配信装置において、
前記制御手段は、
前記放送系の構成に基づいて前記緊急情報が配信されるべき配信先の全てを特定する
前記放送系が複数ある
ことを特徴とする番組配信装置。
【0152】
このような構成の番組配信装置では、前記制御手段は、前記放送系の構成に基づいて前記緊急情報が配信されるべき配信先の全てを特定する。
【0153】
すなわち、緊急情報の配信は、通常時における番組の放送に供されていたセグメントに対応する配信先だけではなく、上記放送系の構成に基づいて特定された配信先の全てに対して行われる。
【0154】
したがって、緊急時には、緊急情報は適用可能なセグメントの全てを介して送信され、これらのセグメントの全てに対する緊急情報の送信は、これらのセグメントの数の如何にかかわらず、正常に稼働し、かつ速やかに応答可能な放送装置に優先的に割り振られる。
【0155】
[請求項17] 請求項3に記載の番組配信装置において、
前記緊急情報は、
前記緊急時に外部から与えられる
ことを特徴とする番組配信装置。
このような構成の番組配信装置では、前記緊急情報は、前記緊急時に外部から与えられる。
【0156】
すなわち、緊急情報の配信のきっかけは、本発明に係る番組配信装置と連係可能なセンサや機関によって与えられる。
【0157】
したがって、本発明が適用された放送系は、多様な緊急時に対する柔軟な適応が可能となる。
【0158】
[請求項18] 請求項3に記載の番組配信装置において、
前記緊急時に前記緊急情報の情報源から前記緊急情報を取得する緊急情報取得手段を備えた
ことを特徴とする番組配信装置。
【0159】
このような構成の番組配信装置では、緊急情報取得手段は、前記緊急時に前記緊急情報の情報源から前記緊急情報を取得する。
【0160】
すなわち、緊急情報の配信のきっかけは、プッシュ型だけではなくプル型の情報源からも得ることができる。
【0161】
したがって、本発明が適用された放送系は、緊急情報およびその緊急情報の送信のきっかけが多様なセンサや機関から得ることができる。
【0162】
[請求項19] 請求項3に記載の番組配信装置において、
前記緊急情報が予め記録された記憶手段を備えた
ことを特徴とする番組配信装置。
このような構成の番組配信装置では、前記記憶手段には、前記緊急情報が予め記録される。
【0163】
すなわち、緊急時に配信されるべき緊急情報は、上記記憶手段に予め記録されているために通信路や伝送路の確保の手順の省略が可能となって即時に得られる。。
【0164】
したがって、本発明が適用された放送系では、緊急時における緊急情報の放送が速やかに開始される。
【0165】
[請求項20] 請求項4に記載の緊急情報配信装置において、
前記制御手段は、
前記コンテンツを放送する系の構成に基づいて前記緊急情報が送出されるべき送出先を特定する
ことを特徴とする緊急情報配信装置。
【0166】
このような構成の緊急情報配信装置では、前記制御手段は、前記コンテンツを放送する系の構成に基づいて前記緊急情報が送出されるべき送出先を特定する。
【0167】
すなわち、緊急情報の配信は、通常時における番組の放送に供されていたセグメントに対応する配信先だけではなく、上記放送系の構成に基づいて特定された配信先に対しても行われる。
【0168】
したがって、緊急時には、緊急情報は適用可能なセグメントを介して送信され、これらのセグメントの全てに対する緊急情報の送信は、これらのセグメントの数の如何にかかわらず、正常に稼働し、かつ速やかに応答可能な放送装置に優先的に割り振られる。
【0169】
[請求項21] 請求項4に記載の緊急情報配信装置において、
前記制御手段は、
前記コンテンツを放送する系の構成に基づいて前記緊急情報が送出されるべき送出先の全てを特定する
ことを特徴とする緊急情報配信装置。
【0170】
このような構成の緊急情報配信装置では、前記制御手段は前記コンテンツを放送する系の構成に基づいて前記緊急情報が送出されるべき送出先の全てを特定する。
【0171】
すなわち、緊急情報の配信は、通常時における番組の放送に供されていたセグメントに対応する配信先だけではなく、上記放送系の構成に基づいて特定された配信先の全てに対して行われる。
【0172】
したがって、緊急時には、緊急情報は適用可能なセグメントの全てを介して送信され、これらのセグメントの全てに対する緊急情報の送信は、これらのセグメントの数の如何にかかわらず、正常に稼働し、かつ速やかに応答可能な放送装置に優先的に割り振られる。
【0173】
[請求項22] 請求項4に記載の緊急情報配信装置において、
前記コンテンツは、
前記緊急情報配信装置と異なる緊急情報配信装置によって与えられる
ことを特徴とする緊急情報配信装置。
【0174】
このような構成の緊急情報配信装置では、前記コンテンツは、前記緊急情報配信装置と異なる番組配信装置によって与えられる。
【0175】
すなわち、緊急情報の配信のきっかけは、本発明に係る緊急情報配信装置と連係可能な他の緊急情報配信装置によって与えられる。
【0176】
したがって、本発明が適用された放送系は、多様な緊急時に対する柔軟な適応が可能となる。
【0177】
[請求項23] 請求項4に記載の緊急情報配信装置において、
前記コンテンツが予め収録された記憶手段を備えた
ことを特徴とする緊急情報配信装置。
このような構成の緊急情報配信装置では、記憶手段には、コンテンツが予め収録される。
【0178】
すなわち、緊急時に配信されるべき緊急情報は、上記記憶手段に予め記録されているため、このような緊急情報を得るために供される通信路や伝送路を確保することなく速やかに得られる。
したがって、本発明が適用された放送系では、緊急時には、緊急情報の放送が速やかに開始される。
【符号の説明】
【0179】
10,10A,10B コンテンツサーバ
11,32,91 ネットワークインタフェース部
12,31,92 バス
13,34,55,93 プロセッサ
14,36,94 外部記憶装置
15,35,51,95 緊急情報処理部
20 ネットワーク
30,30A 番組送出装置
33 ポート対応部
40 多重化装置
50,50A 送信機
52 切り替え器
53 変調器
54 電力増幅器
60 アンテナ
60Z 無線ゾーン
71 携帯端末
72 テレビ
73 ラジオ
80 放送局
81 制御端末
90,90A 緊急情報サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディジタル放送の特定のセグメントを介して番組を送信する放送装置であって、
緊急時に前記番組に代えて緊急情報を前記特定のセグメントを介して送信する制御手段を備えた
ことを特徴とする放送装置。
【請求項2】
放送系の送信機に番組を送出する番組送出装置であって、
緊急時に前記番組に代えて緊急情報を送出する制御手段を備えた
ことを特徴とする番組送出装置。
【請求項3】
放送されるべきコンテンツを放送系に配信する番組配信装置であって、
緊急時に前記コンテンツに代えて緊急情報を配信する制御手段を備えた
ことを特徴とする番組配信装置。
【請求項4】
緊急時に緊急情報を送出する緊急情報送出装置であって、
前記緊急情報の送出先によって放送されるべきコンテンツを前記緊急時以外の期間に前記緊急情報に代えて送出する制御手段を備えた
ことを特徴とする緊急情報送出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−199542(P2011−199542A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63478(P2010−63478)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】