説明

放電イオン化電流検出器

【課題】低周波誘電体バリア放電の放電開始電圧を下げることにより高圧電源部のコストダウンを図る。
【解決手段】プラズマガス(He)が流れる円筒管2の外部に配置した光源部20から、円筒管2の壁面を通してガス流路4中のプラズマ生成領域(プラズマ生成用電極6、7の間の領域)に光を照射する。光エネルギーによりHe分子又はHeガス中の微量不純物ガス分子は励起され光電離が生じるため、通常の放電開始電圧よりも低い低周波電圧を電極5と6、7との間に印加した状態で放電が開始され、プラズマが形成される。一旦放電が開始されると通常の放電維持電圧を電極5と6、7との間に印加していれば放電は持続するから、放電開始時に短い時間だけ光源部20をオンすればよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてガスクロマトグラフ(GC)用の検出器として好適な放電イオン化電流検出器に関し、更に詳しくは、低周波バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
GC用の検出器としては、熱伝導度検出器(TCD)、エレクトロンキャプチャ検出器(ECD)、水素炎イオン化検出器(FID)、炎光光度検出器(FPD)、フレームサーミオニック検出器(FTD)など、様々な方式の検出器が、従来から実用に供されている。こうした検出器の中で最も一般的に、特に有機物を検出するために使用されているのはFIDである。FIDは、水素炎により試料ガス中の試料成分をイオン化し、そのイオン電流を測定するものであり、6桁程度の広いダイナミックレンジを達成している。しかしながら、FIDは、(1)イオン化効率が低いため十分に低い最小検出量が得られない、(2)アルコール類、芳香族、塩素系物質に対するイオン化効率が低い、(3)危険性の高い水素を必要とするため防爆設備等の特別な設備を設置する必要があり、取扱いも面倒である、といった欠点を有している。
【0003】
一方、無機物から低沸点有機化合物までを高い感度で検出可能な検出器として、パルス放電イオン化電流検出器(PDD:Pulsed Discharge Detector)が従来知られている(特許文献1など参照)。PDDでは、高圧のパルス放電によってヘリウム分子などを励起し、その励起状態にある分子が基底状態に戻る際に発生する光エネルギーを利用して分析対象の分子をイオン化する。そして、生成されたイオンによるイオン電流を検出し、分析対象の分子の量(濃度)に応じた検出信号を得る。
【0004】
上記PDDでは一般的に、FIDよりも高いイオン化効率を達成することができる。一例を挙げると、プロパンに対するFIDのイオン化効率は0.0005%程度にすぎないのに対し、PDDでは0.07%程度のイオン化効率が得られている。しかしながら、それにも拘わらずPDDのダイナミックレンジはFIDに及ばず、1桁程度以上低いのが実状である。これが、PDDがFIDほど普及しない一つの原因である。
【0005】
従来のPDDにおけるダイナミックレンジの制約要因は、イオン化のためのプラズマの不安定性やプラズマ状態の周期的変動であると考えられる。これに対し、プラズマ状態を安定化・定常化するために、低周波交流励起誘電体バリア放電(以下「低周波バリア放電」と称す)を利用した放電イオン化電流検出器が提案されている(特許文献2など参照)。低周波バリア放電により生成されるプラズマは大気圧非平衡プラズマであり、高周波放電によるプラズマのような高温にはなりにくい。また、パルス高電圧励起によるプラズマのような印加電圧の状態の遷移に伴う周期的な変動も抑制され、安定した定常的なプラズマ状態が得られ易い。こうしたことから、本願発明者は低周波バリア放電を利用した放電イオン化電流検出器に関する様々な検討や提案を行ってきている(特許文献3、非特許文献1、2など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5394092号明細書
【特許文献2】米国特許第5892364号明細書
【特許文献3】国際公開第2009/119050号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】品田ほか3名、「大気圧マイクロプラズマを用いたガスクロマトグラフ用イオン化電流検出器」、2008年春季第55回応用物理学関係連合講演会予稿集
【非特許文献2】品田ほか3名、「大気圧マイクロプラズマを用いたガスクロマトグラフ用イオン化電流検出器(II)」、2008年秋季第69回応用物理学会学術講演会講演予稿集
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように低周波バリア放電はプラズマ状態が安定でありノイズの点でも有利であるものの、一般にプラズマを生成するための放電開始電圧と放電維持電圧との差が大きいという特性がある。このため、放電開始時にはプラズマ生成用電極に一旦十分に高い電圧(通常、放電維持電圧の1.5倍以上)を印加して放電を開始させたあとに、印加電圧を所定の放電維持電圧に下げるという制御を行う必要がある。使用するプラズマガスの種類や純度などによって放電開始電圧は変わるため、確実に放電を開始するには、放電維持電圧に対して2倍以上の電圧を発生するような高圧電源を使用しなければならない。このため、必要となる電源がかなり高価であり、装置自体が高価になるという問題がある。
【0009】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、放電維持電圧と同程度の低い電圧で安定的に低周波バリア放電を開始させることにより、プラズマ生成用高圧電源に要するコストを下げることができる放電イオン化電流検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明は、放電により所定ガスからプラズマを生成するために、少なくとも1つの表面が誘電体で被覆された対をなす電極、及び該電極に低周波交流電圧を印加する電圧印加手段を含む放電生起手段と、生成されたプラズマの作用によりイオン化された気体状の試料成分に由来するイオン電流を検出する電流検出手段と、を具備する放電イオン化電流検出器において、
前記放電生起手段によるプラズマの生成領域に対し光を照射する光照射手段を備え、前記電圧印加手段から前記電極に低周波交流電圧を印加して放電を開始させる際に前記光照射手段による光照射を行うようにしたことを特徴としている。
【0011】
前記所定ガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、キセノンのいずれか1つ、又はそれらの混合ガスを用いることができる。
【0012】
また、前記電極に印加される低周波交流電圧の周波数は1kHz〜100kHz、好ましくは5kHz〜50kHz程度の範囲とすればよい。
【0013】
本発明に係る放電イオン化電流検出器において、光照射手段から出射した光がプラズマ生成領域に照射されると、該領域付近に存在する所定ガス(又はその所定ガスに混入している不純物)分子は光エネルギーにより励起され、また場合によっては一部が光電離する。これにより、放電が起き易い状態となり、通常必要とされる放電開始電圧よりも低い電圧で放電が開始される。一旦、放電が開始されると、通常の放電開始電圧よりも低い放電維持電圧を電極に印加し続けることで放電は継続され、安定したプラズマが形成される。このため、放電が開始した後には光照射手段からの光照射を停止することができる。
【0014】
こうしたことから、本発明に係る放電イオン化電流検出器の好ましい一態様として、前記電圧印加手段から前記電極に低周波交流電圧の印加を開始する際に又は開始してから所定時間が経過した後に前記光照射手段から所定時間の間だけ光を照射するように該光照射手段を制御する制御手段、をさらに備える構成とすることができる。
【0015】
この構成によれば、光照射手段は放電開始時に短い時間駆動されるだけであるので、光照射手段の寿命を延ばすことができる。また、光照射手段による消費電力を抑えることができる。
【0016】
光照射手段は励起や光電離に必要な光エネルギーを供給できさえすれば光源の種類を問わないが、発光輝度が高いことが望ましい。また、寿命やコストの点から言えば、発光ダイオード(LED)が好ましい。また、波長が短いほど光エネルギーは大きいため、波長域は可視光であれば橙色に相当する波長以下であることが好ましい。もちろん、可視光よりも短波長である紫外光を用いるとさらによい。
【0017】
また、本発明に係る放電イオン化電流検出器の一態様として、所定ガスは透光性を有する管路中に流通され、前記光照射手段は該管路の外部に配置された構成とすることができる。この構成によれば、光照射手段由来の汚染物質が所定ガスに混入することを防止することができる。また、光照射手段の交換などのメンテナンス作業も容易である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る放電イオン化電流検出器によれば、通常、放電維持電圧の2倍程度以上が必要とされる低周波バリア放電の開始電圧をその放電維持電圧と同程度まで下げることが可能である。その結果、プラズマ生成用の電極に高い放電開始電圧を与える必要がなく、また高電圧の電圧値を上下させるような制御も不要になる。こうしたことから、放電開始電圧を印加するためだけに高価な高圧電源を用意する必要がなくなり、装置を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例による放電イオン化電流検出器の概略構成図。
【図2】本実施例の放電イオン化電流検出器の動作及び効果を説明するためのタイミング図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施例による放電イオン化電流検出器について添付図面を参照して説明する。図1は本実施例による放電イオン化電流検出器の概略構成図である。
【0021】
本実施例の放電イオン化電流検出器1は、石英などの透光性を有する誘電体から成る円筒管2を備え、この内部がガス流路4となっている。円筒管2としては例えば外径がφ3.9mmの石英管を用いることができる。この円筒管2の外壁面にそれぞれ所定距離離して、金属(例えばSUS、銅など)製の環状のプラズマ生成用電極5、6、7が周設されている。プラズマ生成用電極5、6、7とガス流路4との間には円筒管2の壁面が存在するから、誘電体であるこの壁面自体が電極5、6、7の表面を被覆する誘電体被覆層として機能し、誘電体バリア放電を可能としている。
【0022】
3個のプラズマ生成用電極5、6、7のうち、中央の電極5には励起用高圧電源8が接続され、この電極5を上下から挟む2個の電極6、7はいずれも接地されている。このように、高電圧が印加される電極5を2つの接地した電極6、7で挟む構造を採用することにより、放電で発生したプラズマがガス上流側及び下流側に拡がるのを抑えることができ、実質的なプラズマ生成領域を2個のプラズマ生成用電極6、7の間に制限することができる。
【0023】
励起用高圧電源8は低周波の高圧交流電圧を発生するものであり、その周波数は1kHz〜100kHzの範囲、さらに好ましくは5kHz〜50kHzの範囲とするとよい。また、交流電圧の波形形状は、正弦波、矩形波、三角波、鋸歯状などのいずれでもよい。
【0024】
円筒管2の下部(ガス下流側)には、ガス流に沿って反跳電極10、バイアス電極11、及びイオン収集電極12が、アルミナ、PTFE樹脂などの絶縁体13、14を間に介挿して配置されている。これらはいずれも同一内径の円筒形状体であり、それらの内側には円筒管2中のガス流路4に連続したガス流路が形成されるから、電極10、11、12は流路中のガスに直接晒される。このガス流路中には下端のガス排出口からキャピラリ管15が挿入されており、キャピラリ管15を通して所定流量で検出対象である試料成分を含む試料ガスが供給される。
【0025】
反跳電極10は接地されており、プラズマ中の荷電粒子が下流側のイオン収集電極12に到達することを抑制する。これによって、ノイズを低減し、SN比を改善することができる。バイアス電極11はイオン電流検出部19に含まれるバイアス直流電源17に接続され、イオン収集電極12は同じくイオン電流検出部19に含まれる電流アンプ18に接続されている。
【0026】
本実施例の放電イオン化電流検出器1に特徴的な構成として、円筒管2の外側には、円筒管2の周面に向けて(実際にはガス流路4中のプラズマ生成領域に向けて)光を照射する光源部20が備えられている。光源部20は例えば白色のLEDライト(3W程度)であり、光源部20と円筒管2外周面との離間距離は例えば10mm〜15mm程度である。駆動部21はCPUなどを備える制御部22の制御の下に、光源部20をオン(点灯)・オフ(消灯)させる。制御部22はまた、励起用高圧電源8のオン・オフ動作も制御する。
【0027】
この放電イオン化電流検出器1による検出動作を説明する。図1中に下向き矢印で示すように、ガス供給口3にはプラズマガスとしてヘリウムが所定流量で供給される。また、図1中に上向き矢印で示すように、キャピラリ管15には試料ガスが供給される。なお、プラズマガスとしては、電離され易いガスであればヘリウムのほか、アルゴン、窒素、ネオン、キセノンなどのうちの1種又はそれらを2種以上混合したガスなどでもよい。
【0028】
ヘリウムガスはガス流路4を下向きに流れ、キャピラリ管15を通して供給される試料ガスと合流し、キャピラリ管15の外側の流路を下方に向かって流れ、最終的に下端のガス排出口16から排出される。
【0029】
上述したようにヘリウムガスがガス流路4中に流通している状態で、制御部22からの制御信号により励起用高圧電源8が駆動され、励起用高圧電源8は低周波の高圧交流電圧をプラズマ生成用の電極5と電極6、7との間に印加する。その電圧印加と同時に、所定時間だけ遅延して、又は、所定時間だけ先行して、制御部22は光源部20を点灯させるように駆動部21に指示を与える。円筒管2の材料である石英(合成石英)はおおよそ170nm〜2200nmの範囲の波長を透過させる。したがって、光源部20から発した光は円筒管2の周壁を通過し、ガス流路4中を流通するヘリウムガスに当たる。すると、光エネルギーによりヘリウム分子又はヘリウムガス中に含まれる微量の不純物ガス分子は励起され、電離エネルギーを超えれば光電離が生じる。
【0030】
これにより、ガス流路4中で電極6、7で挟まれるプラズマ生成領域は放電が起こり易い状態となるので、電極5と6、7との間に印加される低周波交流電圧が通常(光照射がない状態)では放電が開始されない程度の低い電圧であっても、電極5と6、7との間で放電が起こる。この放電は誘電体被覆層(円筒管2)を通して行われるため誘電体バリア放電である。この誘電体バリア放電によって、ガス流路4中を流れるヘリウムガスが広く電離されてプラズマ(大気圧非平衡マイクロプラズマ)が発生する。
【0031】
上記のように生成された大気圧非平衡マイクロプラズマから放出された励起光やヘリウム励起種は、ガス流路4中を通して試料ガスが存在する部位まで到達し、その試料ガス中の試料成分分子(又は原子)をイオン化する。こうして生成された試料イオンは、バイアス電極11に印加されているバイアス直流電圧の作用により、イオン収集電極12で電子を授受する。これにより、生成された試料イオンの量、つまりは試料成分の量に応じたイオン電流が電流アンプ18に入力され、電流アンプ18はこれを増幅して検出信号として出力する。このようにして、この放電イオン化電流検出器1では、導入された試料ガスに含まれる試料成分の量(濃度)に応じた検出信号が出力される。
【0032】
放電開始時に光源部20からの光照射を利用することで放電開始電圧を低下できること、を確認するために実施した実験におけるタイミング図を、図2に示す。この実験では、励起用高圧電源8の出力電圧(正弦波電圧)の電圧値を5kVp-p、周波数を15kHzに固定して図2(a)に示すタイミングでオン・オフし、その電源8のオン時点から所定時間(数秒〜十数秒程度)遅れて光源部20をオンさせ、所定時間(7〜10秒程度)、光源部20のオン状態を継続してその後オフさせるようにした(図2(b))。そして、このときの電流出力をモニタした(図2(c))。なお、この放電イオン化電流検出器1において照射光がない場合の放電開始電圧は約8kVp-p、放電維持電圧は約4kVp-pである。
【0033】
励起用高圧電源8の出力電圧が0V、光源部20がオフである状態では、放電は起きていないため、電流出力は0である。時刻A1で出力電圧が5kVp-pに上げられるが、これは照射光がない場合の放電開始電圧よりも低いため放電は開始されず、電流出力は0のままである。時刻A2で光源部20がオンされると即座に放電が開始され、電流出力は上昇する。このときの出力電圧は放電維持電圧よりは高いため、時刻A3で光源部20がオフされても放電は持続し、電流出力も維持される。即ち、一旦、放電が開始されれば、光源部20をオフしても試料の検出が可能である状態が継続される。そして、時刻A4で励起用高圧電源8の出力電圧を0に下げると放電は停止し、電流出力も0になる。同様のシーケンスが時刻B1〜B4、C1〜C4でも繰り返されており、光源部20からの光照射を契機として放電が開始されていることが確認できる。
【0034】
図2の動作タイミングは放電が光照射を契機として開始されることを確認するためのものであるから、実際の装置においては、励起用高圧電源8から電圧の印加を開始するのと同時に光源部20をオンしてもよいし、電圧印加開始に先立って光源部20をオンさせておいてもよいことは当然である。即ち、励起用高圧電源8からの電圧印加開始のタイミングと光源部20のオンのタイミングとに制約はなく、重要であるのは、励起用高圧電源8から所定の電圧が印加されている状態と光源部20がオンしている(光が照射されている)状態とが所定時間以上重なっていることである。そして、一旦放電が開始されさえすれば、光の照射は不要であってどの時点で光源部20をオフするようにしてもよい。
【0035】
図2の結果は前述したように光源部20として3Wの白色LEDライトを用いた例であるが、白色LEDライトに代えて、紫外LED(波長:400nm、電源電圧:3V、定格電流:20mA)、青色LED(波長:470nm、電源電圧:3V、定格電流:20mA)を用いた場合、さらに緑色LED(波長:520nm、電源電圧:3V、定格電流:20mA)、橙色LED(波長:592nm、電源電圧:2V、定格電流:20mA)を用いた場合でも、同様の結果となることが実験により確認できた。
【0036】
即ち、或る程度以上の光エネルギーをプラズマ生成領域に供給することが可能であれば、放電を開始させることが可能である。光エネルギーは波長が短いほど高くなるから、照射する光の波長は短いほうがより好ましい。この点から言えば、青色よりもさらに短い紫外領域の光を用いたほうがより効率的である。発明者らの実験によると、紫外LED又は青色LEDであれば、円筒管2までの距離が10mm程度である状態で放電を生じるのに対し、より長い波長である緑色LEDや橙色LEDでは、5mm以下にまで近づけないと放電しないことが分かった。
但し、上記構成のように、円筒管2などの壁面を通してガス流路中に光を照射する場合には、壁面の透光性の波長依存を考慮する必要がある。もちろん、LEDに代えて、エレクトロニックフラッシュ(ストロボ)等を光源部20として用いることもできる。
【0037】
また、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
【符号の説明】
【0038】
1…放電イオン化電流検出器
2…円筒管
3…ガス供給口
4…ガス流路
5、6、7…プラズマ生成用電極
8…励起用高圧電源
10…反跳電極
11…バイアス電極
12…イオン収集電極
13、14…絶縁体
15…キャピラリ管
16…ガス排出口
17…バイアス直流電源
18…電流アンプ
19…イオン電流検出部
20…光源部
21…駆動部
22…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電により所定ガスからプラズマを発生させために、少なくとも1つの表面が誘電体で被覆された対をなす放電用電極、及び前記放電用電極に低周波交流電圧を印加する電圧印加手段を含む放電生起手段と、生起されたプラズマの作用によってイオン化された気体状の試料成分によるイオン電流を検出する電流検出手段と、を具備する放電イオン化電流検出器において、
前記放電用電極によるプラズマの生成領域に対し光を照射する光照射手段を備えることを特徴とする放電イオン化電流検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の放電イオン化電流検出器であって、
前記電圧印加手段から前記放電用電極に電圧の印加を開始する際に又は開始してから所定時間経過した後に前記光照射手段から所定時間だけ光を照射するように該光照射手段を制御する制御手段、をさらに備えることを特徴とする放電イオン化電流検出器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の放電イオン化電流検出器であって、
前記光照射手段としてLEDを用いることを特徴とする放電イオン化電流検出器。
【請求項4】
請求項3に記載の放電イオン化電流検出器であって、
前記光照射手段として橙色に相当する波長以下の波長を有するLEDを用いることを特徴とする放電イオン化電流検出器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−117854(P2011−117854A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276091(P2009−276091)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】