説明

放電ギャップパターン及び電源装置

【課題】本発明は、雷サージ及び/又は静電気を放電する放電ギャップパターン及び電源装置に関し、放電に対する放電ギャップパターンの耐久性を向上させることを課題とする。
【解決手段】雷サージ及び/又は静電気を放電する放電ギャップパターンであって、 第1の配線パターン(18)から突出する放電用パターン(41)と、放電用パターン(41)と対向する部分に放電領域(54)を有する第2の配線パターン(53)と、を有し、放電用パターン(41)の側面と放電領域(54)の側面とを略平行に配置し、放電用パターン(41)及び放電領域(54)上に、導電部材を設け、放電用パターン(41)の幅が、第2の配線パターン(53)の幅未満であり、放電領域(54)は、第2の配線パターン(53)の側面の一部を含む矩形領域であり、第1の配線パターン(18)と第2の配線パターン(53)は、ラインフィルタを接続する接続部(33〜36)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ギャップパターン及び電源装置に係り、特に雷サージ及び/又は静電気を放電する放電ギャップパターン及び電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の放電ギャップパターンを示す平面図である。図7において、Fは、第1の放電用パターン201の先端201Aと第2の放電用パターン202の先端202Aとの間の所定の間隔(以下、「所定の間隔F」という)を示している。なお、所定の間隔Fとは、雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを放電する際に好適な間隔のことである。
【0003】
図7を参照するに、従来の放電ギャップパターン200は、雷サージ及び/又は静電気を放電するためのパターンであり、第1及び第2の放電用パターン201,202により構成されている。第1の放電用パターン201は、第1の配線パターン204と一体的に構成されている。第1の放電用パターン201は、先鋭形状(具体的には、三角形)とされており、第1の配線パターン204から突出している。第1の放電用パターン201は、第1の配線パターン204と同じ厚さとされている。
【0004】
第2の放電用パターン202は、第2の配線パターン205と一体的に構成されている。第2の放電用パターン202は、先鋭形状(具体的には、三角形)とされており、第2の配線パターン205から突出している。第2の放電用パターン202は、第2の配線パターン205と同じ厚さとされている。
【0005】
第1及び第2の放電用パターン201,202は、第1の放電用パターン201の先端201Aと第2の放電用パターン202の先端202Aとが対向すると共に、先端201Aと先端202Aとの間が所定の間隔Fとなるように配置されている。
【0006】
上記構成とされた放電ギャップパターン200は、例えば、電源装置(図8参照)に適用されている。
【0007】
図8は、従来の放電ギャップパターンを備えた電源装置の概略構成図である。図8において、図7に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。また、図8では説明の便宜上、ラインフィルタ212を一点鎖線で図示する。
【0008】
図8を参照するに、従来の電源装置210は、基板211と、2つの第1の配線パターン204と、2つの第2の配線パターン205と、放電ギャップパターン200と、ラインフィルタ212と、電源213と、内部回路215とを有する。
【0009】
第1及び第2の配線パターン204,205、及び放電ギャップパターン200は、基板211上に設けられている。第1の配線パターン204は、ラインフィルタ212の端子が接続される接続部204Aを有する。第1の配線パターン204は、ラインフィルタ212及び電源213と電気的に接続されている。
【0010】
第2の配線パターン205は、ラインフィルタ212の端子が接続される接続部205Aを有する。第2の配線パターン205は、ラインフィルタ212及び内部回路215と電気的に接続されている。第1及び第2の配線パターン204,205は、第1の配線パターン204の一方の端部と、第2の配線パターン205の一方の端部とが対向するように配置されている。
【0011】
放電ギャップパターン200は、対向する部分の第1及び第2の配線パターン204,205に設けられている。
【0012】
ラインフィルタ212は、ノイズを除去するためのものであり、4つの端子を有する。ラインフィルタ212は、第1及び第2の配線パターン204,205の接続部204A,205Aに実装されている。
【0013】
上記構成とされた従来の電源装置210は、放電ギャップパターン200により、ラインフィルタ212に蓄積された雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを放電することで、内部回路215の破損を防止している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−232091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図9は、従来の放電ギャップパターンの問題を説明するための図である。図9において、図7に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0016】
しかしながら、従来の放電ギャップパターン200では、第1及び第2の放電用パターン201,202が先鋭形状(具体的には、三角形)とされていたため、図9に示すように、繰り返し放電を行なった場合、第1及び第2の放電用パターン201,202の先端部分が破損してしまう。これにより、第1の放電用パターン201と第2の放電用パターン202との間隔が所定の間隔Fよりも広くなるため、放電ギャップパターン200により、雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを放電することができなくなってしまうという問題があった。
【0017】
そこで、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、第1の放電用パターンと第2の放電用パターンとの間を所定の間隔に保つことで、繰り返し放電を行うことのできる放電ギャップパターン及び電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一観点によれば、雷サージ及び/又は静電気を放電する放電ギャップパターンであって、第1の配線パターン(18、19)と接続され、前記第1の配線パターンから突出する放電用パターン(41、44)と、前記放電用パターン(41、44)と対向する部分に放電領域(54、58)を有すると共に、前記第1の配線パターン(18、19)及び前記放電用パターンと電気的に絶縁された第2の配線パターン(53、56)と、を有し、前記放電用パターン(41、44)と前記放電領域(54、58)に対応する部分の前記第2の配線パターン(53、56)との間は、所定の間隔とされており、前記放電用パターン(41、44)に前記放電領域(54、58)に対応する部分の前記第2の配線パターン(53、56)の側面(54A,58A)と対向する放電用側面を設け、前記第2の配線パターン(53、56)の側面と前記放電用側面(41A,44A)とを略平行に配置し、前記放電用パターン及び前記放電領域上に、導電部材を設け、前記放電用パターン(41、44)の幅が、前記第2の配線パターン(53、56)の幅未満であり、放電領域(54、58)は、前記第2の配線パターン(53、56)の側面の一部を含む矩形領域であり、前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンは、ラインフィルタを接続する接続部(33〜36)を有することを特徴とする放電ギャップパターン(51,57)が提供される。
【0019】
また、前記放電用パターンの形状は、矩形としてもよい。
【0020】
また、前記放電用パターンの幅は、前記第1の配線パターンから突出する長さよりも短いようにしてもよい。
【0021】
また、上記放電ギャップパターンを、基板(16)と、前記第1の配線パターン(18,19,63,66)と電気的に接続された電源(11)と、前記第2の配線パターン(53)と電気的に接続された内部回路(31)と、前記第1及び第2の配線パターン(18,19)と電気的に接続されたラインフィルタ(28)と、を備えた電源装置(10)に適用してもよい。
【0022】
本発明によれば、放電用パターン(41,44)に前記放電領域(54,58)に対応する部分の前記第2の配線パターン(53,56)の側面(54A,58A)と対向する放電用側面(41A,44A)を設け、前記第2の配線パターン(53,56)の側面(54A,58A)と前記放電用側面(41A,44A)とを略平行に配置することにより、放電用パターン(41,44)及び/又は放電領域(54,58)に対応する部分の第2の配線パターン(53,56)の一部が破損した場合でも、放電用パターン(41,44)と放電領域(54,58)に対応する部分の第2の配線パターン(53,56)との間を所定の間隔(C)に保つことが可能となるので、繰り返し放電を行うことができる。
【0023】
また、上記放電ギャップパターンを、基板(16)と、前記第1の配線パターン(18,19)と電気的に接続された電源(11)と、前記第2の配線パターン(21,22,53,56)と電気的に接続された内部回路(31)と、前記第1及び第2の配線パターン(53,56)と電気的に接続されたラインフィルタ(28)と、を備えた電源装置(10)に適用してもよい。
【0024】
これにより、ラインフィルタ(28)に蓄積された雷サージ及び/又は静電気を繰り返し放電行うことが可能となるので、ラインフィルタ(28)と電気的に接続された内部回路(31)が破損することを防止できる。
【0025】
なお、上記参照符号は、あくまでも参考であり、これによって、本願発明が図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、放電に対する放電ギャップパターンの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る電源装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す領域Aに対応する部分の電源装置の平面図である。
【図3】第1及び第2の放電用パターンが破損した状態を模式的に示す図である。
【図4】導電部材が設けられた放電ギャップパターンを示す図である。
【図5】本実施の形態の第1変形例に係る放電ギャップパターンを示す図である。
【図6】本実施の形態の第2変形例に係る放電ギャップパターンを示す図である。
【図7】従来の放電ギャップパターンを示す平面図である。
【図8】従来の放電ギャップパターンを備えた電源装置の概略構成図である。
【図9】従来の放電ギャップパターンの問題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る電源装置の概略構成図であり、図2は、図1に示す領域Aに対応する部分の電源装置の平面図である。図1では、図2に示す放電ギャップパターン25,26を図示することが困難なため、その図示を省略する。図2では、説明の便宜上、図1に示すラインフィルタ25の図示を省略する。また、図2において、Bはラインフィルタ28が実装される基板16の領域(以下、「ラインフィルタ実装領域B」という)を示している。
【0030】
図1及び図2を参照するに、電源装置10は、電源であるAC電源11から必要な大きさのDC電圧を得るための装置であり、AC電源11と、ヒューズ12と、バリスタ14と、コンデンサ15と、基板16と、第1の配線パターン18,19と、第2の配線パターン21,22と、放電ギャップパターン25,26と、ラインフィルタ28と、内部回路31とを有する。
【0031】
ヒューズ12は、AC電源に対して直列に接続されている。バリスタ14は、ヒューズ12に対して直列に接続されている。コンデンサ15は、バリスタ14に対して並列に接続されている。
【0032】
基板16は、絶縁層、ビア、及び配線等(図示せず)から構成されている。基板16としては、例えば、プリント配線基板を用いることができる。
【0033】
第1の配線パターン18は、基板16上に設けられている。第1の配線パターン18は、ラインフィルタ28の後述する端子28Aが実装される接続部33(ラウンド部)を有する。接続部33は、ラインフィルタ実装領域Bに対応する部分の基板16上に配置されている。上記構成とされた第1の配線パターン18は、AC電源11、バリスタ14、及びコンデンサ15の一方の端子と電気的に接続されている。
【0034】
第1の配線パターン19は、基板16上に設けられている。第1の配線パターン19は、ラインフィルタ28の後述する端子28Bが実装される接続部34(ラウンド部)を有する。接続部34は、ラインフィルタ実装領域Bに対応する部分の基板16上に配置されている。上記構成とされた第1の配線パターン19は、AC電源11、バリスタ14、及びコンデンサ15の他方の端子と電気的に接続されている。
【0035】
第2の配線パターン21は、基板16上に設けられている。第2の配線パターン21は、ラインフィルタ28の後述する端子28Cが実装される接続部35(ラウンド部)を有する。接続部35は、ラインフィルタ実装領域Bに対応する部分の基板16上に配置されている。
【0036】
第2の配線パターン22は、基板16上に設けられている。第2の配線パターン21は、ラインフィルタ28の後述する端子28Dが実装される接続部36(ラウンド部)を有する。接続部34は、ラインフィルタ実装領域Bに対応する部分の基板16上に配置されている。上記構成とされた第2の配線パターン21,22は、内部回路31と電気的に接続されている。
【0037】
放電ギャップパターン25は、ラインフィルタ28に蓄電された雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを放電することで内部回路31が破損することを防止するためのパターンであり、第1の放電用パターン41と、第2の放電用パターン42とを有する。
【0038】
第1の放電用パターン41は、ラインフィルタ実装領域Bに対応する部分の基板16上に設けられている。第1の放電用パターン41は、第1の配線パターン18と一体的に構成されると共に、ラインフィルタ実装領域Bに位置する部分の第1の配線パターン18の端部から突出するように形成されている。第1の放電用パターン41は、第2の放電用パターン42と対向する側面41A(第1の側面)を有する。側面41Aは、基板16の上面に対して直交する平面である。側面41A(第1の側面)に対応する部分の第1の放電用パターン41の幅Wは、例えば、0.1mm〜10mmとすることができる。また、第1の放電用パターン41の厚さは、第1の配線パターン21と略等しくすることができる。具体的には、第1の放電用パターン41の厚さは、例えば、18μmとすることができる。
【0039】
第2の放電用パターン42は、ラインフィルタ実装領域Bに対応する部分の基板16上に設けられている。第2の放電用パターン42は、第2の配線パターン21と一体的に構成されると共に、ラインフィルタ実装領域Bに位置する部分の第2の配線パターン21の端部から突出している。第2の放電用パターン42は、第1の放電用パターン41と対向する側面42A(第2の側面)を有する。第2の放電用パターン42は、側面42Aが第1の放電用パターン41の側面41Aと対向すると共に、側面41Aと側面42Aとが略平行となるように配置されている。側面41Aと側面42Aとの間は、所定の間隔C(具体的には、ラインフィルタ28に蓄電された雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを適正に放電することが可能な間隔)とされている。所定の間隔Cの値は、例えば、0.1mmとすることができる。
【0040】
側面42Aに対応する部分の第2の放電用パターン42の幅Wは、第1の放電用パターン41の幅Wよりも狭くしてもよいし、第1の放電用パターン41の幅Wと略等しくしてもよいし、第1の放電用パターン41の幅Wよりも広くしてもよい。例えば、2に示すように、第1の放電用パターン41の幅Wよりも第2の放電用パターン42の幅Wが狭く、第1の放電用パターン41の幅Wが3mmの場合、第2の放電用パターン42の幅Wは、例えば、0.5mmとすることができる。また、第2の放電用パターン42の厚さは、第2の配線パターン22と略等しくすることができる。第2の放電用パターン42の厚さは、例えば、18μmとすることができる。
【0041】
図3は、第1及び第2の放電用パターンが破損した状態を模式的に示す図である。図3では、放電により、第1及び第2の放電用パターン41,42の角部が破損した状態を示している。
【0042】
上記説明したように、第1の放電用パターン41に第2の放電用パターン42と対向する第1の側面41Aを設け、第2の放電用パターン42に第1の側面41Aと対向する第2の側面42Aを設けると共に、第1の側面41Aと第2の側面42Aとを略平行に配置することにより、第1の放電用パターン41及び/又は第2の放電用パターン42の一部が破損した場合(図3参照)でも第1の放電用パターン41と第2の放電用パターン42との間を所定の間隔Cに保つことが可能となるので、ラインフィルタ28に蓄電された雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを繰り返し放電することができる。
【0043】
第1及び第2の放電用パターン41,42の形状は、例えば、矩形(図2参照)や台形にすることができる。
【0044】
このように、第1及び第2の放電用パターン41,42の形状を矩形にすることにより、先鋭形状とされた従来の第1及び第2の放電用パターン201,202を形成する場合と比較して、第1及び第2の放電用パターン41,42を容易に形成することができる。
【0045】
また、第1及び第2の放電用パターン41,42の形状を矩形にすることで、第1及び第2の放電用パターン41,42を複数設けることなく、第1及び第2の放電用パターン41,42の幅W,Wを調整することで、第1及び第2の放電用パターン41,42の製品寿命を調整することができる。
【0046】
図1及び図2を参照するに、放電ギャップパターン26は、ラインフィルタ28に蓄電された雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを放電することで内部回路31が破損することを防止するためのパターンであり、第1の放電用パターン44と、第2の放電用パターン45とを有する。
【0047】
第1の放電用パターン44は、ラインフィルタ実装領域Bに対応する部分の基板16上に設けられている。第1の放電用パターン44は、第1の配線パターン19と一体的に構成されると共に、ラインフィルタ実装領域Bに位置する部分の第1の配線パターン19の端部から突出するように形成されている。第1の放電用パターン44は、第2の放電用パターン45と対向する側面44A(第1の側面)を有する。側面44Aは、基板16の上面に対して直交する平面である。側面44A(第1の側面)に対応する部分の第1の放電用パターン44の幅Wは、例えば、0.3mm〜3mmとすることができる。また、第1の放電用パターン44の厚さは、第1の配線パターン19と略等しくすることができる。具体的には、第1の放電用パターン44の厚さは、例えば、18μmとすることができる。
【0048】
第2の放電用パターン45は、ラインフィルタ実装領域Bに対応する部分の基板16上に設けられている。第2の放電用パターン45は、第2の配線パターン22と一体的に構成されると共に、ラインフィルタ実装領域Bに位置する部分の第2の配線パターン22の端部から突出している。第2の放電用パターン45は、第1の放電用パターン44と対向する側面45A(第2の側面)を有する。第2の放電用パターン45は、側面45Aが第1の放電用パターン44の側面44Aと対向すると共に、側面44Aと側面45Aとが略平行となるように配置されている。側面44Aと側面45Aとの間は、所定の間隔C(具体的には、ラインフィルタ28に蓄電された雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを適正に放電することが可能な間隔)とされている。
【0049】
側面45Aに対応する部分の第2の放電用パターン45の幅Wは、第1の放電用パターン44の幅Wよりも狭くしてもよいし、第1の放電用パターン44の幅Wと略等しくしてもよいし、第1の放電用パターン44の幅Wよりも広くしてもよい。例えば、図2に示すように、第1の放電用パターン44の幅Wよりも第2の放電用パターン45の幅Wが広く、第1の放電用パターン44の幅Wが0.3mmの場合、第2の放電用パターン45の幅Wは、例えば、5mmとすることができる。また、第2の放電用パターン45の厚さは、第2の配線パターン22と略等しくすることができる。第2の放電用パターン45の厚さは、例えば、18μmとすることができる。
【0050】
上記説明したように、第1の放電用パターン44に第2の放電用パターン45と対向する第1の側面44Aを設け、第2の放電用パターン45に第1の側面44Aと対向する第2の側面45Aを設けると共に、第1の側面44Aと第2の側面45Aとを略平行に配置することにより、第1の放電用パターン44及び/又は第2の放電用パターン44,45の一部が破損した場合でも第1の放電用パターン44と第2の放電用パターン45との間を所定の間隔Cに保つことが可能となるので、ラインフィルタ28に蓄電された雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを繰り返し放電することができる。
【0051】
第1及び第2の放電用パターン44,45の形状は、例えば、矩形(図2参照)や台形にすることができる。
【0052】
このように、第1及び第2の放電用パターン44,45の形状を矩形にすることにより、先鋭形状とされた従来の第1及び第2の放電用パターン201,202を形成する場合と比較して、第1及び第2の放電用パターン44,45を容易に形成することができる。
【0053】
また、第1及び第2の放電用パターン44,45の形状を矩形にすることで、第1及び第2の放電用パターン44,45を複数設けることなく、第1及び第2の放電用パターン44,45の幅W,Wを調整することで、第1及び第2の放電用パターン44,45の製品寿命を調整することができる。
【0054】
ラインフィルタ28は、端子28A〜28Dを有する。ラインフィルタ28は、接続部33〜36に実装されている。これにより、端子28Aは第1の配線パターン18と電気的に接続され、端子28Bは第1の配線パターン19と電気的に接続されている。また、端子28Cは第2の配線パターン21と電気的に接続され、端子28Dは第2の配線パターン22と電気的に接続されている。つまり、ラインフィルタ28は、第1及び第2の配線パターン18,19,21,22と電気的に接続されている。
【0055】
内部回路31は、第2の配線パターン21,22と電気的に接続されている。内部回路31は、例えば、AC/DCコンバータ、AC/DCコンバータを制御する制御部等から構成することができる。
【0056】
本実施の形態の電子装置によれば、側面41Aを有した第1の放電用パターン41、及び側面41Aと対向すると共に、側面41Aに対して略平行となるように配置された側面42Aを有する第2の放電用パターン42を備えた放電ギャップパターン25と、側面44Aを有した第1の放電用パターン44、及び側面44Aと対向すると共に、側面44Aに対して略平行となるように配置された側面45Aを有する第2の放電用パターン45を備えた放電ギャップパターン26と、を備えることにより、ラインフィルタ28に蓄積された雷サージ及び/又は静電気を繰り返し放電行うことが可能となるので、ラインフィルタ28と電気的に接続された内部回路31が破損することを防止できる。
【0057】
図4は、導電部材が設けられた放電ギャップパターンを示す図である。図4において、図2に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0058】
また、図4に示すように、放電ギャップパターン25を構成する第1及び第2の放電用パターン41,42の上面、及び放電ギャップパターン26を構成する第1及び第2の放電用パターン44,46の上面を導電部材48で覆ってもよい。導電部材48としては、例えば、はんだや導電性ペースト(例えば、Agペースト)等を用いることができる。導電部材48としてはんだを用いた場合、導電部材48の厚さは、例えば、0.5mmとすることができる。
【0059】
このように、第1及び第2の放電用パターン41,42,44,46の上面を導電部材で覆うことにより、第1及び第2の放電用パターン41,42,44,46のパターンが破損しにくくなるため、放電ギャップパターン25,26の製品寿命を長くすることができる。
【0060】
なお、図2に示す放電ギャップパターン25,26や図4に示す導電部材48が設けられた放電ギャップパターン25,26の代わりに、後述する図5或いは図6に示す放電ギャップパターン51,57,61,67を電子装置10に設けてもよい。この場合、放電ギャップパターン25,26を電子装置10に設けた場合と同様な効果を得ることができる。
【0061】
図5は、本実施の形態の第1変形例に係る放電ギャップパターンを示す図である。図5において、図2に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0062】
図5を参照するに、放電ギャップパターン51は、図2で説明した第1の放電用パターン41(放電用パターン)と、接続部35及び放電領域54を有した第2の配線パターン53とを有した構成とされている。第2の配線パターン53は、図2で説明した第2の配線パターン21と略等しい厚さとされており、第1の配線パターン18及び第1の放電用パターン41とは絶縁されている。
【0063】
第1の放電用パターン41と対向する部分の第2の配線パターン53は、第1の放電用パターン41の幅Wよりも幅広形状とされている。放電領域54は、第1の放電用パターン41の側面41A(放電用側面)と対向する部分の第2の配線パターン53である。つまり、放電ギャップパターン51では、第2の配線パターン53の一部を放電パターンとして利用している。放電領域54に対応する部分の第2の配線パターン53の側面54Aと第1の放電用パターン41の側面41Aとの間は、所定の間隔Cとされている。また、放電領域54に対応する部分の第2の配線パターン53の側面54Aは、第1の放電用パターン41の側面41Aに対して略平行となるように配置されている。
【0064】
このように、第1の放電用パターン41と放電領域54に対応する部分の第2の配線パターン53との間が所定の間隔Cとなるように、第1の放電用パターン41と放電領域54とを対向配置させると共に、第1の放電用パターン41の側面41Aと、放電領域54に対応する部分の第2の配線パターン53の側面54Aとを略平行とすることにより、第1の放電用パターン41及び/又は放電領域54に対応する部分の第2の配線パターン53の一部が破損した場合でも第1の放電用パターン41と放電領域54に対応する部分の第2の配線パターン53との間を所定の間隔Cに保つことが可能となるので、ラインフィルタ28に蓄電された雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを繰り返し放電することができる。
【0065】
放電ギャップパターン57は、図2で説明した第1の放電用パターン44(放電用パターン)と、接続部36及び放電領域58を有した第2の配線パターン56とを有した構成とされている。第2の配線パターン56は、先に説明した第2の配線パターン22と略等しい厚さとされており、第1の配線パターン19及び第1の放電用パターン44とは絶縁されている。
【0066】
第1の放電用パターン44と対向する部分の第2の配線パターン56は、第1の放電用パターン44の幅Wよりも幅広形状とされている。放電領域58は、第1の放電用パターン44の側面44A(放電用側面)と対向する部分の第2の配線パターン56である。つまり、放電ギャップパターン57では、第2の配線パターン56の一部を放電パターンとして利用している。放電領域58に対応する部分の第2の配線パターン56の側面58Aと第1の放電用パターン44の側面44Aとの間は、所定の間隔Cとされている。また、放電領域58に対応する部分の第2の配線パターン56の側面58Aは、第1の放電用パターン44の側面44Aに対して略平行となるように配置されている。
【0067】
このように、第1の放電用パターン44と放電領域58に対応する部分の第2の配線パターン56との間が所定の間隔Cとなるように、第1の放電用パターン44と放電領域58とを対向配置させると共に、第1の放電用パターン44の側面44Aと、放電領域58に対応する部分の第2の配線パターン56の側面58Aとを略平行とすることにより、第1の放電用パターン44及び/又は放電領域58に対応する部分の第2の配線パターン56の一部が破損した場合でも第1の放電用パターン44と放電領域58に対応する部分の第2の配線パターン56との間を所定の間隔Cに保つことが可能となるので、ラインフィルタ28に蓄電された雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを繰り返し放電することができる。
【0068】
なお、上記説明した第1の放電用パターン41,44の上面、放電領域54に対応する部分の第2の配線パターン53の上面、及び放電領域58に対応する部分の第2の配線パターン56の上面を、図4で説明した導電部材48で覆ってもよい。
【0069】
図6は、本実施の形態の第2変形例に係る放電ギャップパターンを示す図である。図6において、図2に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0070】
図6を参照するに、放電ギャップパターン61は、図2で説明した第2の放電用パターン42(放電用パターン)と、接続部33及び放電領域64を有した第1の配線パターン63とを有した構成とされている。第1の配線パターン63は、図2で説明した第1の配線パターン18と略等しい厚さとされている。第1の配線パターン63は、第2の配線パターン21及び第2の放電用パター42とは絶縁されている。
【0071】
第2の放電用パターン42と対向する部分の第1の配線パターン63は、第2の放電用パターン42の幅Wよりも幅広形状とされている。放電領域64は、第2の放電用パターン42の側面42A(放電用側面)と対向する部分の第1の配線パターン63である。つまり、放電ギャップパターン61では、第1の配線パターン63の一部を放電用パターンとして利用している。放電領域64に対応する部分の第1の配線パターン63の側面64Aと第2の放電用パターン42の側面42Aとの間は、所定の間隔Cとされている。また、放電領域64に対応する部分の第1の配線パターン63の側面64Aは、第2の放電用パターン42の側面42Aに対して略平行となるように配置されている。
【0072】
このように、第2の放電用パターン42と放電領域64に対応する部分の第1の配線パターン63との間が所定の間隔Cとなるように、第2の放電用パターン42と放電領域64とを対向配置させると共に、第2の放電用パターン42の側面42Aと、放電領域64に対応する部分の第1の配線パターン63の側面64Aとを略平行とすることにより、第2の放電用パターン42及び/又は放電領域64に対応する部分の第1の配線パターン63の一部が破損した場合でも第2の放電用パターン42と放電領域64に対応する部分の第1の配線パターン63との間を所定の間隔Cに保つことが可能となるので、ラインフィルタ28に蓄電された雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを繰り返し放電することができる。
【0073】
放電ギャップパターン67は、図2で説明した第2の放電用パターン45(放電用パターン)と、接続部34及び放電領域68を有した第1の配線パターン66とを有した構成とされている。第1の配線パターン66は、図2で説明した第2の配線パターン22と略等しい厚さとされている。第1の配線パターン66は、第2の配線パターン22及び第2の放電用パターン45とは絶縁されている。
【0074】
第2の放電用パターン45と対向する部分の第1の配線パターン66は、第2の放電用パターン45の幅Wよりも幅広形状とされている。放電領域68は、第2の放電用パターン45の側面45A(放電用側面)と対向する部分の第1の配線パターン66である。つまり、放電ギャップパターン67では、第1の配線パターン66の一部を放電パターンとして利用している。放電領域68に対応する部分の第1の配線パターン66の側面68Aと第2の放電用パターン45の側面45Aとの間は、所定の間隔Cとされている。また、放電領域68に対応する部分の第1の配線パターン66の側面68Aは、第2の放電用パターン45の側面45Aに対して略平行となるように配置されている。
【0075】
このように、第2の放電用パターン45と放電領域68に対応する部分の第1の配線パターン66との間が所定の間隔Cとなるように、第2の放電用パターン45と放電領域68とを対向配置させると共に、第2の放電用パターン45の側面45Aと、放電領域68に対応する部分の第1の配線パターン66の側面68Aとを略平行とすることにより、第2の放電用パターン45及び/又は放電領域68に対応する部分の第1の配線パターン66の一部が破損した場合でも第2の放電用パターン45と放電領域68に対応する部分の第1の配線パターン66との間を所定の間隔Cに保つことが可能となるので、ラインフィルタ28に蓄電された雷サージ及び/又は静電気に起因するエネルギーを繰り返し放電することができる。
【0076】
なお、上記説明した第2の放電用パターン42,45の上面、放電領域64に対応する部分の第1の配線パターン63の上面、及び放電領域68に対応する部分の第1の配線パターン66の上面を、図4で説明した導電部材48で覆ってもよい。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0078】
例えば、本実施の形態で説明した第1の放電用パターン41,44、第2の放電用パターン42,45、第1の配線パターン63,66、及び第2の配線パターン53,56を組み合わせて、放電ギャップパターンを構成してもよい。
【0079】
また、本実施の形態で説明した放電ギャップパターン25,26,51,57,61,67を電源装置10の1次―2次間に配設してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、雷サージ及び/又は静電気を放電する放電ギャップパターン及び電源装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 電源装置
11 AC電源
12 ヒューズ
14 バリスタ
15 コンデンサ
16 基板
18,19,63,66 第1の配線パターン
21,22,53,56 第2の配線パターン
25,26,51,57,61,67 放電ギャップパターン
28 ラインフィルタ
28A,28B,28C,28D 端子
31 内部回路
33〜36 接続部
41,44 第1の放電用パターン
41A,42A,44A,45A,54A,58A,64A,68A 側面
42,45 第2の放電用パターン
48 導電部材
54,58,64,68 放電領域
A 領域
B ラインフィルタ実装領域
C 所定の間隔
,W,W,W

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雷サージ及び/又は静電気を放電する放電ギャップパターンであって、
第1の配線パターンと接続され、前記第1の配線パターンから突出する放電用パターンと、
前記放電用パターンと対向する部分に放電領域を有すると共に、前記第1の配線パターン及び前記放電用パターンと電気的に絶縁された第2の配線パターンと、を有し、
前記放電用パターンと前記放電領域に対応する部分の前記第2の配線パターンとの間は、所定の間隔とされており、
前記放電用パターンに前記放電領域に対応する部分の前記第2の配線パターンの側面と対向する放電用側面を設け、前記第2の配線パターンの側面と前記放電用側面とを略平行に配置し、
前記放電用パターン及び前記放電領域上に、導電部材を設け、
前記放電用パターンの幅が、前記第2の配線パターンの幅未満であり、
前記放電領域は、前記第2の配線パターンの側面の一部を含む矩形領域であり、
前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンは、ラインフィルタを接続する接続部を有することを特徴とする放電ギャップパターン。
【請求項2】
前記放電用パターンの形状は、矩形であることを特徴とする請求項1記載の放電ギャップパターン。
【請求項3】
前記放電用パターンの幅は、前記第1の配線パターンから突出する長さよりも短いことを特徴とする請求項2に記載の発明放電ギャップパターン。
【請求項4】
請求項1ないし3のうち、いずれか1項に記載の放電ギャップパターンと、
前記放電ギャップパターンが形成された基板と、
前記第1の配線パターンと電気的に接続された電源と、
前記第2の配線パターンと電気的に接続された内部回路と、
前記放電用パターン及び前記放電領域と電気的に接続されたラインフィルタと、を備えたことを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−85005(P2013−85005A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−25450(P2013−25450)
【出願日】平成25年2月13日(2013.2.13)
【分割の表示】特願2008−178309(P2008−178309)の分割
【原出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】