説明

放電ランプへの給電構造、放電ランプユニット及び紫外線照射装置

【課題】放電ランプへの良好な電気的接触を確保できる給電構造を提供する。
【解決手段】放電ランプ5の端部が挿入されるソケット部61に設けられて、外部電極52A、52Bに接触する接触端子62A、62Bを備え、ソケット部61側に固定される固定片部621と、それぞれが放電ランプ5の挿入方向又はその反対方向に沿って延びるとともにその挿入方向又はその反対方向と直交する方向に互いに離間して設けられて外部電極52A、52Bに接触する複数の接触片部622とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプへ給電を行う給電構造、この給電構造を用いた放電ランプユニット及びこの放電ランプユニットを備えた紫外線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部電極を備えた放電ランプとしては、特許文献1に示すように、角筒状の放電管とこの放電管の対向する一対の平坦面に設けられた一対の外部電極とを有するもの、又は、特許文献2に示すように、円筒状の放電管とこの放電管の対向する曲面に設けられた一対又は複数対の外部電極を有するものがある。
【0003】
特許文献1に示す角筒状の放電管を有するものでは、外部電極が放電管の対向する平坦面に形成されるため、外部電極は平面状となる。このような放電管を給電具及び固定具を兼ねる板ばねを用いて支持する場合には、板ばねと外部電極との接触は面と面によるものであるため、板ばねや電極の形状を工夫しなくても、給電具と電極との接触についての課題は生じない。
【0004】
また、特許文献2に示す円筒状の放電管を有するものでは、円筒状の放電管に膜状の外部電極を設ける場合にその外部電極自体も曲面状となる。しかしながら、特許文献2では、幅の細い電極を設けているため、外部電極が円形面の影響を受けて曲面状とはならないため、給電具と電極との接触についての課題は生じない。
【0005】
一方で、放電ランプは、放電管の製造コストの点から円筒状の放電管が好ましく、また、外部電極は1対であることが好ましい。さらに、放電管内部の放電空間全域で放電させるためには、放電管の長手方向にも周方向にも幅広く広がった電極が好ましい。
【0006】
しかしながら、円筒状の放電管に設けられた周方向に幅広い外部電極を、給電具及び固定具を兼ねる板バネと接触させた場合、板バネと外部電極の周方向端部との間に隙間が生じてしまう。このような板バネと外部電極との間に隙間が生じたまま、すなわち良好な接触ができないままに高周波電圧を印加すると、板バネと外部電極との間でスパークが発生してしまう。このようなスパークが繰り返し生じると、外部電極や放電管の劣化に繋がってしまう。また、上記問題を解決するために、板バネの接触片部を円弧状に加工した給電具を用いて外部電極と接触させることも試みたが、前記隙間は生じ難くなるが、給電具の設計や加工が難しくなるし、ランプ挿入時や交換時に円弧状に加工した接触片部と外部電極との位置合わせに手間が掛かったり、また、外部電極や放電管を傷つけてしまうという新たな問題も発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開WO2010/032849号公報
【特許文献2】特表2004−510310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであって、放電ランプへの良好な電気的接触の確保と外部電極を傷つけることなく容易にランプ交換ができることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る放電ランプへの給電構造は、内部の放電空間に放電用ガスを封入した放電管及びこの放電管の長手方向に沿って設けられた少なくとも1つの外部電極を有する放電ランプへの給電構造であって、前記放電ランプの端部が挿入されるソケット部に設けられて、前記外部電極に接触する接触端子を備え、前記接触端子が、前記ソケット部側に固定される少なくとも1つの固定片部と、それぞれが前記放電ランプの挿入方向又はその反対方向に沿って延びるとともにその挿入方向又はその反対方向と直交する方向に互いに離間して設けられて前記外部電極に接触する複数の接触片部を有することを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、複数の接触片部が固定片部から延設されるので、各接触片部は独立して変形することになる。これにより、複数の接触片部は外部電極の曲面形状に合わせて独立して移動することになり、複数の接触片部と外部電極との電気的接触を確実にすることができる。特に、複数の接触片部のうち外側に位置する接触片部は、電極表面に合わせてねじれるように変形して外部電極に接触する。したがって、円筒状の放電管に形成された外部電極と接触端子との接触面積を保つことができ、良好な導通を可能にすることができる。
また、複数の接触片部は、あらかじめ外部電極の曲面形状に合わせた形状に加工したものではなく、単に固定片部から延設させただけの構造のため、接触片部の設計や加工は容易であるし、接触片部と電極の位置決めも容易になるし、電極や放電管の表面を傷つけることなく、放電管の交換作業を行うことができる。
【0011】
接触端子の具体的な実施の態様としては、前記接触端子は、前記固定片部と前記接触片部とを連結する折り曲げ部を有することが望ましい。これならば、複数の接触片部は外部電極の曲面形状に合わせて、折り曲げ部が無い場合と比べて独立して移動し易くなり、複数の接触片部と外部電極との電気的接触をより確実にすることができる。
【0012】
前記折り曲げ部が、前記複数の接触片部それぞれに対応して互いに離間して設けられた複数の折り曲げ部を有することが望ましい。これならば、複数の接触片部は外部電極の曲面形状に合わせてさらに独立して移動し易くなり、複数の接触片部と外部電極との電気的接触を確実にすることができる。
【0013】
前記接触端子が、弾性を有する導電性薄板を略U字形状に折り曲げて形成されていることが望ましい。これならば、概略矩形状をなす導電性薄板に、その長手方向一端部から長手方向他端部に向かって長手方向に沿った複数のスリット部を形成し、このスリット部を形成した導電性薄板を、略U字状に折り曲げて形成した1つのくし状をなす板ばねから構成されることになり、給電構造の部品点数を削減できるとともに、その組み立てを容易にすることができる。
【0014】
前記接触端子が、その長手方向一端部から長手方向他端部に向かって長手方向に沿った複数のスリット部を形成し、前記スリット部の切り込み終端よりも長手方向一端部側を折り返し線として折り曲げて形成したものであることが望ましい。これならば、複数の接触片部それぞれに対応して互いに離間して設けられた複数の折り曲げ部を容易に形成することができる。
【0015】
前記折り曲げ部が、前記ソケット部において前記放電ランプの挿入方向とは反対側に設けられており、前記接触片部が、前記折り曲げ部側に設けられて前記外部電極側に膨出して前記外部電極に接触する膨出接触部と、この膨出接触部に連続して設けられて前記外部電極側に延びて自由端部が前記外部電極に接触する反り返り接触部とを有することが望ましい。これならば、ランプの挿入方向に沿って膨出接触部及び反り返り接触部がこの順で設けられることになり、ランプ挿入時の接触抵抗を小さく保ったまま、脱離時の接触抵抗を大きくすることができる。これにより、誘電体バリア放電ランプがソケット部から不意に外れることを防止できる。また、接触端子は膨出接触部が外部電極に接触するだけでなく、反り返り接触部の自由端部が外部電極に接触するので、接触端子と外部電極との接触面積を大きくすることができ、より一層良好な導通を可能にすることができる。
【0016】
前記接触片部が、前記外部電極への接触に伴って前記固定片部又は前記ソケット部に接触して前記外部電極への接触を補強する補強接触部を有することが望ましい。これならば、ランプ装着時に、接触片部の外部電極への押圧力を大きくすることができる。これにより、接触片部と外部電極との密着性を向上させることができ、より一層良好な導通を可能にすることができる。また、放電空間に近い部分では、オゾンによって接触端子が腐食されてしまうだけでなく、放電空間の発熱により高温になりやすい。特に折り曲げ部がソケット部においてランプ挿入方向とは反対側に設けられている場合には、折り曲げ部の弾性力が低下してしまう恐れがある。このような場合であっても、補強接触部を設けることで、接触片部と外部電極との密着性を保つことができ、良好な導通を可能にすることができる。
【0017】
前記放電管が、円筒状のものであれば、接触片部と外部電極との密着性を保つことができ、良好な導通を可能にすることができるので、円筒状の放電管を使用することができる。
【0018】
前記放電ランプが、誘電体バリア放電ランプであれば、接触片部と外部電極との密着性を保つことができるので、高電圧印可に伴うスパークの発生をなくすことができる。
【0019】
また本発明に係る誘電体バリア放電ランプユニットは、内部の放電空間に放電用ガスを封入した放電管及びこの放電管の長手方向に沿って互いに対向して設けられた少なくとも1つの外部電極を有する放電ランプと、前記放電ランプの端部が挿入されて、前記外部電極に給電する給電ソケットとを備え、前記給電ソケットが、前記放電ランプの端部が挿入されるソケット部と、当該ソケット部内に設けられて前記外部電極に接触する接触端子とを備え、前記接触端子が、前記ソケット部側に固定される少なくとも1つの固定片部と、それぞれが前記放電ランプの挿入方向又はその反対方向に沿って延びるとともにその挿入方向又はその反対方向と直交する方向に互いに離間して設けられて前記外部電極に接触する複数の接触片部とを有することを特徴とする。
【0020】
このようなものであれば、複数の接触片部が固定片部から延設されるので、各接触片部は独立して変形することになる。これにより、複数の接触片部は外部電極の曲面形状に合わせて独立して移動することになり、複数の接触片部と外部電極との電気的接触を確実にすることができる。特に、複数の接触片部のうち外側に位置する接触片部は、電極表面に合わせてねじれるように変形して外部電極に接触する。したがって、円筒状の放電管に形成された外部電極と接触端子との接触面積を保つことができ、良好な導通を可能にすることができる。また、複数の接触片部は、あらかじめ外部電極の曲面形状に合わせた形状に加工したものではなく、単に固定片部から延設させただけの構造のため、接触片部の設計や加工は容易であるし、接触片部と電極の位置決めも容易になるし、電極や放電管の表面を傷つけることなく、放電管の交換作業を行うことができる。
【0021】
前記少なくとも1つの外部電極において、前記接触端子と接触する電極表面に粗面加工を施していることが望ましい。電極表面に粗面加工を施して、電極表面に凹凸を付加することで、接触片部と外部電極との接触抵抗を増すことができ、放電管がソケット部から不意に外れることを防止することができるとともに、ソケット部に挿入された放電管が周方向に回転することを防止することもできる。なお、放電管が周方向に回転すると、一対の外部電極の間に形成される光取り出し領域がずれてしまうという問題がある。
【0022】
前記接触端子は、前記固定片部と前記接触片部とを連結する折り曲げ部を有することが望ましい。これならば、複数の接触片部は外部電極の曲面形状に合わせて、折り曲げ部が無い場合と比べて独立して移動し易くなり、複数の接触片部と外部電極との電気的接触を確実にすることができる。
【0023】
前記接触端子が、前記ソケット部において、前記折り曲げ部が前記放電ランプの挿入方向とは反対側に位置するように設けられており、前記接触片部が、前記折り曲げ部側に設けられて前記外部電極側に膨出して前記外部電極に接触する膨出接触部と、この膨出接触部に連続して設けられて前記外部電極側に延びて自由端部が前記外部電極に接触する反り返り接触部とを有することが望ましい。これならば、電極表面に反り返り接触部の自由端部が食い込むようになり、放電管がソケット部から不意に外れることを一層防止することができる。また、反り返り接触部の自由端部が電極表面に食い込むことにより、接触片部と外部電極との接触面積を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の紫外線照射装置を示す平面図及び正面図。
【図2】同実施形態の隣接する誘電体バリア放電ランプユニットの断面図。
【図3】同実施形態のランプ装着時の挿入方向から見た給電ソケットを示す図。
【図4】同実施形態のランプ装着時の給電ソケットを前後方向に沿って切断した断面図。
【図5】同実施形態の接触端子を示す斜視図。
【図6】同実施形態の接触端子を示す側面図、平面図及び展開平面図。
【図7】同実施形態のランプ装着時の接触端子を示す部分拡大断面図。
【図8】変形実施形態に係る接触端子を示す側面図。
【図9】変形実施形態に係る誘電体バリア放電ランプを示す部分拡大断面図。
【図10】変形実施形態に係るランプ装着時の給電ソケットを前後方向に沿って切断した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明に係る紫外線照射装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
本実施形態に係る紫外線照射装置100は、半導体基板又はガラス基板等の被処理物に紫外線を照射することにより当該被処理物の表面に付着した有機物を分解してこれを除去することで、被処理物を洗浄するものである。
【0027】
具体的にこの紫外線照射装置100は、図1に示すように、複数本(例えば10本)の誘電体バリア放電ランプ5を前後方向に並列した状態で一体化したものである。なお、前後方向とは、被処理物の搬送方向と同一方向である。
【0028】
そして、この紫外線照射装置100は、複数の誘電体バリア放電ランプユニット2と、この誘電体バリア放電ランプユニット2に給電を行う一対の給電部材3A、3Bとを備えている。
【0029】
なお、一対の給電部材3A、3Bは、複数の誘電体バリア放電ランプユニット2を前後方向に並列して一体化するものであり、平面視において概略コの字状をなす第1の給電部材3A及び第2の給電部材3Bとを有する。これら第1の給電部材3A及び第2の給電部材3Bは、アルミ合金、ステンレス等の導電性材料から形成されており、各自由端部が絶縁部材4を介して互いに接続されることにより平面視概略矩形枠状となる。
【0030】
第1の給電部材3Aは、交流電圧を印加する電源装置の高電圧端子側に電気的に接続されるとともに、誘電体バリア放電ランプユニット2の一方の給電ソケット6Aがねじ固定により電気的に接続される。一方、第2の給電部材3Bは、電源装置のアース端子側に電気的に接続されるとともに、誘電体バリア放電ランプユニット2の他方の給電ソケット6Bがねじ固定により電気的に接続される。
【0031】
誘電体バリア放電ランプユニット2は、図2及び図3に示すように、円筒状の放電管51及びこの放電管51の長手方向に沿って対向して設けられた一対の外部電極52A、52Bを有する誘電体バリア放電ランプ5と、誘電体バリア放電ランプ5の両端部が挿入される一対の給電ソケット6A、6Bとを有する。
【0032】
放電管51は、合成石英ガラス製の円筒の両端を閉じた断面円形状の丸管である。また、放電管51の内部に形成された放電空間には誘電体バリア放電用ガスが充填されている。なお、誘電体バリア放電用ガスとしては、キセノン(Xe)、アルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)等の希ガス、或いは、フッ素(F)又は塩素(Cl)等のハロゲンガス等を用いることができる。誘電体バリア放電ランプ5は、ガスの種類に応じて異なる波長(172nm、222nm、308nm等)のエキシマ光を発光する。例えば有機化合物を分解するためには、放電用ガスとしてキセノン(Xe)を用いて、172nmを中心波長とするエキシマ光を発光する誘電体バリア放電ランプ5とする。
【0033】
一対の外部電極52A、52Bは、放電管21と略同等の長さを有する膜状をなすものであり、放電管21を前後方向から挟んだ位置に設けられている。この外部電極52A、52Bは、アルミニウム、アルミ合金、ステンレス等の導電性材料から形成されており、例えばメッキ、溶射、蒸着又はスパッタにより放電管の側周面上に形成した薄膜電極である。なお、放電管51の側周壁において一対の外部電極52A、52Bの間からエキシマ光が射出される。
【0034】
そして、図2に示すように、一対の外部電極52A、52Bのうち一方の外部電極52Aが、誘電体バリア放電ランプ5の一端部に装着される給電ソケット6Aにより、電源装置の高電圧端子側に電気的に接続されて高電圧印加側電極となり、一対の外部電極52A、52Bのうち他方の外部電極52Bが、誘電体バリア放電ランプ5の他端部に装着される給電ソケット6Bにより電源装置のアース端子側に電気的に接続されてアース側電極となる。なお、隣接する誘電体バリア放電ランプ間の放電を防止するため、隣接する誘電体バリア放電ランプ5の高電圧印加側電極52A同士又はアース側電極52B同士を向かい合うように配置している。
【0035】
一対の給電ソケット6A、6Bは、誘電体バリア放電ランプ5を保持するものであり、図2〜図4に示すように、誘電体バリア放電ランプ5の端部が挿入されるソケット部61と、このソケット部61内に設けられて、一対の外部電極52A、52Bに接触する一対の接触端子62A、62Bを有する。
【0036】
ソケット部61は、例えばセラミックス等の絶縁性材料から形成された概略直方体形状をなすものであり、誘電体バリア放電ランプ5に対向する前面に誘電体バリア放電ランプ5の端部を収容するランプ収容部611を有する。このランプ収容部611は、誘電体バリア放電ランプ5の外形形状に対応した断面略円形状をなす凹部である。そして、このランプ収容部611の内側周面において前記一対の接触端子62A、62Bそれぞれを固定するための2つの端子固定部612が、互いに対向して形成されている。この端子固定部612は、ランプ収容部611の内側周面を正面視において概略コの字状に切り欠くことにより形成された凹部である。
【0037】
一対の接触端子62A、62Bは、ソケット部61に挿入された誘電体バリア放電ランプ5の端部にある一対の外部電極52A、52Bに接触して給電するものである。各接触端子62A、62Bは、同一形状をなすものであり、例えばステンレス等の弾性を有する導電性薄板を略U字形状に折り曲げることにより形成されている。また、各接触端子62A、62Bは、前記2つの端子固定部612に固定されて一対の外部電極52A、52Bに対応するように対向配置される。
【0038】
具体的に各接触端子62A、62Bは、図4〜図6に示すように、くし状をなす板ばねであり、1つの固定片部621と、複数の接触片部622と、複数の折り曲げ部623とを有する。
【0039】
これら固定片部621及び複数の接触片部622及び複数の折り曲げ部623は、次のようにして形成される。つまり、図6の展開平面図に示すように、概略矩形状をなす導電性薄板Pに、その長手方向一端部から長手方向他端部に向かって長手方向に沿った直線状の複数のスリット部Sを形成する。そして、この導電性薄板Pを、前記スリット部Sの切り込み終端Saよりも長手方向一端部側を折り返し線LとしてU字状に折り曲げる。なお、折り返し線Lは長手方向に直交する方向(短手方向)に沿った直線である。つまり導電性薄板Pは、折り返し線Lにおいて複数の要素(接触片部622及び折り返し部623に相当する部分)に分岐している。
【0040】
固定片部621は、図4及び図5に示すように、ソケット部61の端子固定部612において、接触片部622がランプ側(ランプ収容部内側)を向くとともに、折り曲げ部623が誘電体バリア放電ランプ5の挿入方向とは反対側に位置するように固定される。
【0041】
具体的に固定片部621は、側面視概略L字形状をなすものであり、折れ曲がり部623に連続する水平部621aと、当該水平部621aに連続する垂直部621bとを有する(図4及び図6の右側面図参照)。この垂直部621bは、ソケット部背面部分を切り欠いて形成されたねじ固定凹部613にスプリングワッシャ7を介してねじ8により固定される。このねじ固定凹部613は端子固定部612と連通しており、ねじ固定凹部613において端子固定部612の底面に繋がり、その底面に垂直な内面に垂直部621bがねじ固定される。
【0042】
なお、ねじ8は、図4に示すように、一方の接触端子62Aを固定するものと、他方の接触端子62Bを固定するものとで異なっている。例えば、接触端子62A、62Bが給電ソケット6Aのものの場合には、一方の接触端子62Aが高電圧印加側であり、当該接触端子62Aは、給電部材3Aにねじ固定するための雌ねじ孔が形成されたねじ8Aによって固定される。他方の接触端子62Bはアース側であり、当該接触端子62Bは給電部材3Bに電気的に接続されないので通常のねじ8Bによって固定される。
【0043】
複数の接触片部622は、それぞれが誘電体バリア放電ランプ5の挿入方向に沿って延びるとともにその挿入方向と直交する方向に互いに離間して設けられている。また複数の接触片部622は、同一幅を有するものである。
【0044】
複数の折り曲げ部623は、複数の接触片部622それぞれに対応して設けられて複数の接触片部622を1つの固定片部621に連結するものであり互いに離間して設けられている。
【0045】
しかして本実施形態の接触片部622は、図5〜図7に示すように、側面視概略S字形状をなすものであり、折り曲げ部623側に設けられてランプ側(ランプ収容部内側)に膨出して外部電極52A、52Bに接触する膨出接触部622aと、この膨出接触部622aに連続して設けられてランプ側(ランプ収容部内側)に延びて自由端部が外部電極52A、52Bに接触する反り返り接触部622bと、外部電極52A、52Bへの接触に伴って固定片部621に接触して外部電極52A、52Bへの接触を補強する補強接触部622cとを有する。
【0046】
膨出接触部622aは接触片部622においてランプ側を向く湾曲部からなり、反り返り接触部622b及び補強接触部622cは接触片部622において固定片部621側を向く湾曲部からなる。このように接触片部622は、ランプ挿入方向に沿って、膨出接触部622a、補強接触部622c及び反り返り接触部622bの順に一体形成されている。
【0047】
反り返り接触部622bは、特に図7に示すように、誘電体バリア放電ランプ5が接触端子62A、62Bにより固定された状態、つまり膨出接触部622aが外部電極52A、52Bに接触した状態で、外部電極52A、52Bに接触するものであり、ランプ挿入方向に向かって延びるとともに自由端部がランプ側に反り返るように構成されている。このように反り返り接触部622bを構成することで、誘電体バリア放電ランプ5を挿入する際には引っ掛かりなくスムーズに挿入することができる一方で、誘電体バリア放電ランプ5を離脱する際には反り返り接触部622bが外部電極52A、52Bに引っ掛かることになり、不意に外れることを防止することができる。また、膨出接触部622aだけでなく、反り返り接触部622bによっても外部電極52A、52Bと接触するので、接触片部と外部電極52A、52Bとの接触面積を大きくすることができ、良好な導通を可能にすることができる。
【0048】
補強接触部622cは、特に図7に示すように、膨出接触部622aにおける外部電極52A、52Bへの押圧力を補強するものであり、誘電体バリア放電ランプ5が接触端子62A、62Bにより固定された状態、つまり膨出接触部622aが外部電極52A、52Bに接触した状態で、固定片部621に接触する。このように補強接触部622cを設けることで、接触片部622と外部電極52A、52Bとの密着性を向上させることができ、より一層良好な導通を可能にすることができる。
【0049】
さらに本実施形態では、接触端子62A、62Bと外部電極52A、52Bとの接触性を向上させるために、少なくとも放電管51の端部に形成された外部電極52A、52Bの電極表面に粗面加工を施している。具体的には、上述したように外部電極52A、52Bを溶射法によりその表面に凹凸を形成することのほか、溶射法で形成したものでない場合等には、ニッケル(Ni)や銀(Ag)等の導電性ペーストを塗布することが考えられる。このように電極表面に粗面加工を施しているので、接触片部622及び電極表面との接触抵抗を大きくすることができ、誘電体バリア放電ランプ5がソケット部61から不意に外れることを防ぐことができるとともに、ソケット部61内において誘電体バリア放電ランプ5が周方向に回転することを防ぐことができる。粗面加工として導電性ペーストを塗布した場合には、外部電極52A、52Bが接触片部622により削られて摩耗することを防止することができる。なお、粗面加工により前記反り返り接触部622bが外部電極52A、52Bに食い込むことになり、反り返り接触部622bを設けた利点をより一層活かすことができる。
【0050】
このように構成した本実施形態に係る紫外線照射装置100によれば、複数の接触片部622が互いに離間して設けられた複数の折り曲げ部623により固定片部621から延設されるので、各接触片部622は各折り曲げ部623により隣接する接触片部622とは独立して変形することになる。これにより、複数の接触片部622は外部電極52A、52Bの曲面形状に合わせて独立して移動することになり、複数の接触片部622と外部電極52A、52Bとの接触面積を増やして電気的接触を確実にすることができる。したがって、円筒状の放電管51に形成された外部電極52A、52Bと接触端子62A、62Bとの接触面積を保つことができ、良好な導通を可能にすることができる。
【0051】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0052】
例えば、前記実施形態では、部品点数の削減及び組み立て容易性の観点から接触端子を1つのくし状板ばねを用いて構成しているが、複数のくし状板ばね(1つの固定片部に対して接触片部を2つ以上有するもの)を用いて構成しても良いし、複数の板ばね(1つの固定片部に対して接触片部が1つのもの)を並設して構成しても良い。
【0053】
また、前記実施形態では複数の接触片部622は同一幅を有するものであったが、中央部にある接触片部から端部にある接触片部に行くにしたがって幅が狭くなるように構成しても良いし、その逆となるように構成しても良い。その他、各接触片部の幅を互いに異ならせて構成しても良い。
【0054】
さらに、前記実施形態の接触片部は、側面視概略S字形状をなすものであったが、図8に示すように、側面視概略ジグザグ状であり、膨出接触部622a及び補強接触部622cが三角状をなすものであっても良い。膨出接触部622aは、その他、台形状をなすものであっても良い。
【0055】
さらに、前記実施形態の接触片部は、反り返り接触部を有さないものであっても良い。この場合には、接触端子を、折れ曲がり部が挿入方向側に位置するように、つまり前記実施形態の接触端子を挿入方向に沿って逆向きに設けても良い。
【0056】
その上、図9に示すように、放電管51の側周壁に凹部51mを形成して、反り返り接触部622bが前記凹部51mに係合することで、不意の離脱防止及び回転防止を行うようにしても良い。また、放電管の側周壁に凹部を形成して、この凹部に膨出接触部が係合するようにしても良いし、放電管の側周壁に凸部を形成して、この凸部に反り返り部又は膨出接触部が係合するように構成しても良い。
【0057】
加えて、1つの外部電極に接触する接触端子を周方向に隣接させて2つ以上設け、これら接触端子を外部電極の周方向を取り囲むように設けても良い。例えば周方向に2つの接触端子を設ける場合には、2つの接触端子をV字状に配置して外部電極の接触面積をより一層大きくするようにしても良い。
【0058】
さらにその上、前記実施形態では、接触片部の補強接触部が対向する固定片部に接触するものであったが、ソケット部の内壁面に接触するように構成しても良い。
【0059】
また、前記実施形態では、高電圧端子側に接続される給電ソケット6Aと、アース端子側に接続される給電ソケット6Bとを別部材として、誘電体バリア放電ランプ5のそれぞれの端部に設けていたが、誘電端バリア放電ランプ5の一端部のみの1つの給電ソケット6を設けるものであっても良い。この場合、図10に示すように、給電ソケット6は、高電圧端子側に接続されるとともにアース端子側に接続されるものであり、一対の接触端子62A、62Bそれぞれをソケット部61に固定するねじ8A、8Bはともに、給電部材3A又は3Bにねじ固定するための雌ねじ孔が形成されたものである。
【0060】
また、前記実施形態では、接触端子の複数の接触片部が、放電ランプの挿入方向に沿って延びるとともにその挿入方向と直交する方向に互いに離間して設けられたものであったが、逆の構成、つまり、複数の接触片部が、放電ランプの挿入方向の反対方向に沿って延びるとともにその反対方向と直交する方向に互いに離間して設けられたものであっても良い。
【0061】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
100・・・紫外線照射装置
2・・・誘電体バリア放電ランプユニット
5・・・誘電体バリア放電ランプ
51・・・放電管
52A、52B・・・一対の外部電極
6A、6B・・・給電ソケット
61・・・ソケット部
62A、62B・・・一対の接触端子
621・・・固定片部
622・・・接触片部
622a・・・膨出接触部
622b・・・反り返り接触部
622c・・・補強接触部
623・・・折り曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の放電空間に放電用ガスを封入した放電管及びこの放電管の長手方向に沿って設けられた少なくとも1つの外部電極を有する放電ランプへの給電構造であって、
前記放電ランプの端部が挿入されるソケット部に設けられて、前記外部電極に接触する接触端子を備え、
前記接触端子が、前記ソケット部側に固定される少なくとも1つの固定片部と、それぞれが前記放電ランプの挿入方向又はその反対方向に沿って延びるとともにその挿入方向又はその反対方向と直交する方向に互いに離間して設けられて前記外部電極に接触する複数の接触片部を有する放電ランプへの給電構造。
【請求項2】
前記接触端子は、前記固定片部と前記接触片部とを連結する折り曲げ部を有する請求項1記載の放電ランプの給電構造。
【請求項3】
前記折り曲げ部が、前記複数の接触片部それぞれに対応して互いに離間して設けられた複数の折り曲げ部を有する請求項2記載の放電ランプの給電構造。
【請求項4】
前記接触端子が、弾性を有する導電性薄板を略U字形状に折り曲げて形成されている請求項2又は3記載の放電ランプへの給電構造。
【請求項5】
前記接触端子が、その長手方向一端部から長手方向他端部に向かって長手方向に沿った複数のスリット部を形成し、前記スリット部の切り込み終端よりも長手方向一端部側を折り返し線として折り曲げて形成したものである請求項2乃至4の何れかに記載の放電ランプへの給電構造。
【請求項6】
前記折り曲げ部が、前記ソケット部において前記放電ランプの挿入方向とは反対側に設けられており、前記接触片部が、前記折り曲げ部側に設けられて前記外部電極側に膨出して前記外部電極に接触する膨出接触部と、この膨出接触部に連続して設けられて前記外部電極側に延びて自由端部が前記外部電極に接触する反り返り接触部とを有する請求項2乃至5の何れかに記載の放電ランプへの給電構造。
【請求項7】
前記接触片部が、前記外部電極への接触に伴って前記固定片部又は前記ソケット部に接触して前記外部電極への接触を補強する補強接触部を有する請求項2乃至6の何れかに記載の放電ランプへの給電構造。
【請求項8】
前記放電管が、円筒状である請求項1乃至7の何れかに記載の放電ランプへの給電構造。
【請求項9】
前記放電ランプが、誘電体バリア放電ランプである請求項1乃至8の何れかに記載の放電ランプへの給電構造。
【請求項10】
内部の放電空間に放電用ガスを封入した放電管及びこの放電管の長手方向に沿って互いに対向して設けられた少なくとも1つの外部電極を有する放電ランプと、前記放電ランプの端部が挿入されて、前記外部電極に給電する給電ソケットとを備え、
前記給電ソケットが、前記放電ランプの端部が挿入されるソケット部と、当該ソケット部内に設けられて前記外部電極に接触する接触端子とを備え、
前記接触端子が、前記ソケット部側に固定される少なくとも1つの固定片部と、それぞれが前記放電ランプの挿入方向又はその反対方向に沿って延びるとともにその挿入方向又はその反対方向と直交する方向に互いに離間して設けられて前記外部電極に接触する複数の接触片部とを有する放電ランプユニット。
【請求項11】
前記少なくとも1つの外部電極において、前記接触端子と接触する電極表面に粗面加工を施している請求項10記載の放電ランプユニット。
【請求項12】
前記接触端子は、前記固定片部と前記接触片部とを連結する折り曲げ部を有する請求項10又は11記載の放電ランプユニット。
【請求項13】
前記接触端子が、前記ソケット部において、前記折り曲げ部が前記放電ランプの挿入方向とは反対側に位置するように設けられており、前記接触片部が、前記折り曲げ部側に設けられて前記外部電極側に膨出して前記外部電極に接触する膨出接触部と、この膨出接触部に連続して設けられて前記外部電極側に延びて自由端部が前記外部電極に接触する反り返り接触部とを有する請求項12記載の放電ランプユニット。
【請求項14】
前記放電管が、円筒状である請求項10乃至13の何れかに記載の放電ランプユニット。
【請求項15】
前記放電ランプが、誘電体バリア放電ランプである請求項10乃至14の何れかに記載の放電ランプユニット。
【請求項16】
請求項10乃至15の何れかに記載の放電ランプユニットを備えている紫外線照射装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−30474(P2013−30474A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−139183(P2012−139183)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】