説明

放電ランプを音響動作させるための自励発振帰還を含むシステム及び方法

【課題】放電ランプを音響動作させるための自励発振帰還を含むシステム及び方法を提供することである。
【解決手段】安定器104に連結され且つ該安定器により駆動されるガス放電ランプ102と、当該ガス放電ランプからの光が照射されるようガス放電ランプ102に隣り合って配置した光検出器106と、当該光検出器106の出力を安定器104に接続して当該安定器104に正帰還変調を提供する帰還回路10と、が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放電ランプを音響作動させるための自励発振帰還を含むシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高輝度放電(HID)ランプ等のガス放電ランプは広汎な用途で一般化されている。ガス放電ランプの場合、光はランプの電極間に生じるアーク放電により発生する。代表的にはランプは、シールされた放電管をその内部に含む電球を含む。放電管は、例えば、電極間のアークにより蒸発してアーク放電を確立する1つ以上のハロゲン化金属を含む充填材を含み得る。充填材には、アーク放電から管壁への、またある場合には開始ガスへのエネルギー伝達を制限するバッファをも含み得る。電極は放電管の上部及び底部に位置決めされ得、電極間の充填材内にアーク放電を生じさせる安定器に連結され得る。電極間のアーク放電により生じた光は管及び電球の透光性材料を通過して照明を提供する。
【0003】
アーク放電は、特定動作条件下においてその形状が望ましからざるものとなること及びまたは不安定化し得ることが知られている。例えば、その軸を水平状態として放電ランプを動作させるとアーク放電は弓状、または上方に湾曲する。軸が水平でないとアーク放電形状は歪み、不安定化され得、気相分離(放電の気相内の添加金属の混合不完全)が生じ得る。アーク放電におけるこれらの所望されざる状況は、管全長での色分離、アーク放電の意図せざる消滅、発光量低下、アーク管壁の局部的過熱及びその他、ランプの早期故障の原因となり得る問題を生じさせ得る。これは、アスペクト比が比較的高いアーク管、例えば、その長さ対幅比が約2以上であるランプにおいて特にそうである。
【0004】
それら条件を緩和または回避させるため、音響周波数でのランプ入力電力を変調させることが提案されている。ランプ入力電力を変調させると、アークの温度分布が変化し、その結果、ランプのアーク放電管全体でのガス圧分布が変化する。ランプ入力電力の特定周波数を変調させると、管内のガス圧に定在波音響振動が生じ、それがガスまたは蒸気をして、アーク放電の分離または重力起因対流を打ち消すよう動作せしめる。
【0005】
放電ランプにおけるガス圧の定在波音響モードは当業者には既知である。一般に、市販のアーク放電管は全体に円筒形状であることから、当該音響モードはランプのアーク管内にアークが形成されるところの空間に匹敵するサイズのシリンダでのモードとして一般に説明され得る。圧力に、管(即ち、匹敵するサイズのシリンダ)の軸方向に沿った場所依存性がある場合、当該モードは、定在波内の半波長数でそのオーダーが決まる長手方向モードである。例えば、半波長数が2であれば2長手方向(2L)モードである。圧力に、管半径に沿った場所依存性がある場合は当該モードは半径方向モードであり、圧力が管の周囲方向に沿った場所依存性を持つ場合はモードは方位モードである。半径−長手方向モードや方位−長手方向モード等の組み合わせ音響モードもあり得、その場合の圧力分布は1つ以上の座標に沿って変動する。これらの組み合わせモードは更に、例えば3方位モード及び2長手方向モードの組み合わせ音響モード定在波の周期性に基づく定義付けがなされ得る。
【0006】
任意の音響モードを励起させるためのランプ入力電力変調周波数を、例えば、ここで参照することにより本明細書の一部とする米国特許第6,844,687号に記載される如き円筒形モデルを用いて推定し得る。アーク放電内の関連条件を回避する上で、アーク放電管内に特定モードを励起させることが特に有効であることが見出された。例えば、2方位(2A)モードの励起はアーク放電の直線化に特に有効である。また、2長手方向(2L)モードの励起はアーク分離の低減または回避に特に有効であることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,844,687号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
放電ランプを音響動作させるための自励発振帰還を含むシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ガス放電ランプ駆動用のシステムであって、変調入力を受け、且つ前記ガス放電ランプに出力を提供する構成を有する安定器にして、前記出力が前記変調入力に従い変調される安定器と、光検出器にして、前記ガス放電ランプからの放出光受光に応じて電気的な帰還出力を提供する構成を有する光検出器と、前記帰還出力を受ける構成を有する帰還回路にして、前記帰還出力の、ガス放電ランプの選択音響共振モードに相当する一部分のみを通過させるための少なくとも1つのフィルタを含み、前記帰還出力部分を変調入力として前記安定器にカップリングし、かくしてシステムを前記選択音響共振モードで自励発振させるシステムが提供される。
また本発明によれば、ガス放電ランプの駆動システムであって、変調入力を受け且つ出力をガス放電ランプに提供する構成を有する安定器にして、前記出力が前記変調入力に従い変調される安定器と、前記ガス放電ランプからの放射光受光に応じて電気的な帰還出力を提供する構成を有する光検出器と、前記帰還出力を受ける構成を有する帰還回路にして、前記帰還出力の、ガス放電ランプの2長手方向共振モードに相当する一部分のみを通す少なくとも1つのフィルタ及びリミット回路を含み、前記安定器に、前記リミット回路により確立される固定振幅を有する前記変調入力として前記帰還出力の前記一部分を連結し、かくしてシステムをして前記2長手方向共振モードで自励発振せしめる帰還回路と、を含むシステムが提供される。
更に本発明によれば、ガス放電ランプの駆動方法であって、変調入力信号に従い前記ガス放電ランプに対する電力信号を変調すること、ガス放電ランプの放射光を検出し、該放射光検出に応じて電気的な帰還出力を提供すること、前記帰還出力の、前記選択音響共振モードに相当する一部分を前記変調入力として提供することにより、選択音響共振モードでの自励発振を生じさせること、を含む方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
放電ランプを音響動作させるための自励発振帰還を含むシステム及び方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明に従うシステムの1実施例におけるブロックダイヤグラム図である。
【図2】図2は本発明のシステム上有益な安定器の1実施例のブロックダイヤグラム図である。
【図3】図3は図2の安定器に関わる出力電圧対時間特性の例示グラフである。
【図4】図4は本発明に従うシステムの他の実施例のブロックダイヤグラム図である。
【図5】図5は本発明のシステムのアーク放電管に関連する光検出器の配置を示すダイヤグラム例示図である。
【図6】図6は本発明のシステムのアーク放電管に関連する第1及び第2の光検出器の配置を示すダイヤグラム例示図である。
【図7】図7は本発明のシステムの、単数または複数の光検出器にランプ画像を投射するための単数または複数の光学要素の配置を示すダイヤグラム図である。
【図8】図8は本発明に従う方法例のブロック流れダイヤグラム図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここに記載する各実施例に至る努力過程において、励起ガス流れにより生じるアーク温度プロファイルの変化により、励起モードの共振周波数が予測非励起周波数からもっと低い励起周波数に移行し得ることが分かった。1実施例では2L周波数は、非励起モード時の約26KHzから、完全励起時の22.5KHzに移行する。周波数移行はランプコンポーネントのエージングによって生じ得る。加えて、製造許容誤差または予測の不正確さのために実周波数と比較した場合に特定モードの予測共振周波数に差が生じ得る。本発明のシステムでは、励起モードに関連する音響共振周波数で共振する閉ループ自励発振正帰還システムを用いて、ランプ入力電力変調周波数がランプ共振周波数を設定及び追跡するべく制御される。ランプ共振周波数がシフトするとランプ入力電力変調周波数が相当分シフトし、かくして電力変調周波数が望ましい共振周波数に設定される。
【0013】
図1には本発明のシステムの、番号100で示す1実施例の簡易ブロックダイヤグラム図が示される。本システムには、安定器104に連結され且つ該安定器により駆動されるガス放電ランプ102と、当該ガス放電ランプからの光が照射されるようガス放電ランプ102に隣り合って配置した光検出器106と、当該光検出器106の出力を安定器104に接続して当該安定器104に正帰還変調入力を提供する帰還回路110を含む帰還ループ108と、が含まれる。“接続”とは、あるシステム要素の担持する信号を当該“接続”要素に与えるための任意の連結、カップリング、リンクその他を言うものとする。“接続”された装置、または信号及び装置は相互に直結する必要はなく、当該信号を操作または改変し得る中間コンポーネンツまたは装置によって分離され得る。
【0014】
一般に、安定器104の出力はガス放電ランプ102の各電極112、114に接続される。安定器は、ランプから光を放出させるアーク管内にアーク放電116を確立するに十分な電力信号をガス放電ランプ102に提供する。安定器104はガス放電ランプ102を駆動する任意の既知の構成を有し得、また、ガス放電ランプに1つ以上の音響共振モードを励起させるよう選択した1つ以上のランプ入力電力変調周波数を持つ電力信号を提供し得る。
【0015】
アーク放電116により生じた光は光検出器106を照射する。光検出器106は、受けた光に比例する電気的出力を提供するPINフォトダイオード等の任意の既知の装置であり得る。光検出器106からの電気的出力は帰還ループ108を介して帰還回路110に連結される。帰還回路110は、望ましからざる共振モード(即ち、安定器がランプに励起させたくないモード)に相当する周波数をフィルタリングし、安定器104への正帰還変調入力として、選択共振モードに相当する周波数を通過させる少なくとも1つのフィルタを含み得る。帰還回路110は、1より大きい帰還利得と、ループ位相シフト0°(または360°の整数倍)を確立する構成としても良い。
【0016】
安定器104への変調入力は振幅変調器に結合され得る。振幅変調器は安定器104の電力信号出力を変調入力に従って変調し、それにより当該電力信号内のランプ入力電力変調周波数を確立する。かくして、安定器への正帰還により、ランプの望ましい音響共振モードを励起させるに必要な正確なランプ入力電力変調周波数でガス放電ランプ102を駆動する閉ループ自励発振正帰還が確立される。本発明の開示に従い、正帰還を使用してアーク放電の共振周波数を追跡し、自励発振を確立させることにより、放電の不安定化やランプの動作非効率化または故障原因となり得るところの、ランプ入力電力変調周波数とランプ共振周波数のシフトとの間の変動が低減または回避される。
【0017】
本発明のシステムは、ランプの任意のモード、または音響共振モードの組み合わせを励起させるべく構成され得、また、それらモードを励起させるために任意の既知の安定器構造に対して自励発振正帰還を提供し得る。図2には本発明のシステム及び方法を実施する上で有益な安定器構造の概略的な1実施例が番号104aで例示される。当業者には、安定器104aが説明目的上簡略表示されていることを認識されよう。図2には安定器の特定実施例が示されるが、本発明の開示に一致する自励発振正帰還を提供するシステム及び方法を、既知の広汎な安定器構造を用いて開始し得る。また、例示された安定器は、ACランプ構造を駆動する交流(AC)主電源により運転される。しかしながら、安定器は直流(DC)主電源、例えば、自動車用バッテリーにより動作され得、及びまたは安定器がDCランプ構造を駆動し得る。
【0018】
図2に示す例示実施例では安定器104aはDC電源202、Hブリッジ整流子204、コントローラ206、振幅変調器208、を含む。DC電源は交流入力電圧、例えば、ライン電圧を受け、調整したDC出力電圧を提供する既知の構成を有し得る。正帰還ループから提供される変調入力は振幅変調器208にカップリングされ得る。振幅変調器208は変調入力に従い、DC電源202のDC出力電圧に音響振幅変調を与え得る。DC電源の出力を変調させるための各種振幅変調器構成は当業者には既知のものである。
【0019】
変調DC出力電圧は、同じく既知の構成を有し得るHブリッジ整流子204にカップリングされ得る。Hブリッジ整流子204からの出力はランプ電極の関連する一方に連結され得る。コントローラ206は、例えば図3に示す如き、音響変調方形波出力を既知の様式下にランプに提供するべく整流子を切り換える既知の様式下でHブリッジ整流子204に連結され得る。変調入力に従い振幅変調器208から音響変調器302に付与され周波数は、ランプにおける望ましい音響共振モードを励起させるべく選択され得る。先に議論したように、フォトダイオード及び帰還ループを介して提供される自励発振正帰還により、選択したモードの共振周波数における任意の変動またはシフティングが追跡される。かくして、ランプの、所望音響共振モードにおける信頼下の且つ正確な動作が確立される。
【0020】
帰還ループ108が、選択したモードに関連するランプ入力電力周波数で振幅変調器を駆動する正帰還に依拠していることから、Hブリッジ整流子204によるランプへのDC電力供給出力をコントローラ206の制御下に切り換えると、振幅変調器の駆動上必要とされる帰還が開始され得る。ある実施例ではコントローラ206は、選択共振モードに関連する公称非励起共振周波数でHブリッジ整流子を切替え得る。他の実施例では振幅変調器208は公称非励起共振周波数において初期変調を付与し、引き続き、変調入力に応答してのみ変調を付与する構成を有し得る。帰還ループ開始用に、例えば、DC電源202の出力の単純パルシング、ランプ入力電力への広帯域ノイズ追加、帰還ループ108の一時的切断、等の方法を実施し得る。
【0021】
当業者には、自励発振正帰還を広汎な帰還回路構成を用いて確立し得ることを認識されよう。例えば図4には、本発明の開示に従うシステムの実施例が番号100aで示され、プリアンプ302、ハイパスフィルタ304、ローパスフィルタ306、リミット回路308、随意的なベクトル信号アナライザ310、を含む帰還回路110aを有している。
例示実施例では光検出器106の出力はプリアンプ302にカップリングされる。プリアンプ302は、選択共振モードの帯域幅全体を増幅する構成を有する任意の既知の電気アンプであり得、帰還ループ108内の発光ダイオード出力を引き続きフィルタリングし得るに十分な増幅を提供する構成を有し得る。光検出器出力が、帰還ループにおける引き続くフィルタリングを可能とするに十分であり且つ光検出器がアンプを含む場合はプリアンプを省略し得る。プリアンプ302の出力はハイパスフィルタ304及びローパスフィルタ306にカップリングされ得る。
【0022】
ハイパスフィルタ304は、選択共振モードの且つそれ以上の周波数の信号を通し、それ以下の周波数を阻止する既知のフィルタ構成を有し得る。ローパスフィルタ306は、選択共振モードの且つそれ以下の周波数の信号を通し、それ以上の周波数を阻止する既知のフィルタ構成を有し得る。ハイパス及びローパスの各フィルターの組み合わせにより、選択共振モードに相当する周波数帯域のみが通過してリミット回路308に送られる。
【0023】
ハイパス及びローパスの各フィルタ304及び306を通過する周波数帯域は、選択共振モードの予測周波数ドリフトを考慮して選択し得る。例えばある実施例では、通過帯域周波数は、選択共振モードの公称(予測)非励起周波数に集中され得、また、そこから約±15%の範囲のものであり得る。従って、選択共振モードの周波数ドリフトは、組み合わせたハイパス及びローパスの各フィルタを通過する帯域範囲に維持される。例示実施例は、ハイパスフィルタ304及びローパスフィルタ306を含むものとして示されるが、光検出器106の出力はその他既知のフィルタ構造を用いて選択共振モードを通過するようフィルタリングされ得る。例えば、選択共振モードの公称非励起周波数に集中する通過帯域を含む帯域を通過させるフィルタをハイパスフィルタ及びローパスフィルタで代替させ得る。
【0024】
リミット回路308は、安定器104への変調入力振幅を固定水準に維持し、また、好適な自励振動を許容する静止振動振幅でのループ利得を1に制限する構成を有し得る。種々のリミット回路構成が当業者にはよく知られている。リミット回路は例えば、自動利得制御(AGC)振幅、バックトゥーバックツエナークランピングダイオード、または、オペアンプと、調整可能な出力を提供するデジタル−アナログコンバータとの組み合わせ構成とし得る。リミット回路308の出力をモニターする既知のベクトル信号アナライザ310を設け得る。ベクトル信号アナライザは加算機312に出力を提供し、この出力を当該加算機でリミット回路の出力に組み合わせ、それにより前記出力リミット回路の位相及びまたは大きさを自励発振が保証され且つ維持されるよう調節する構成を有し得る。当業者には、自励発振を達成するために必要なループ位相及びループ利得を確立し及び維持するその他方法が既知である。
【0025】
光検出器106は、ランプの光出力を受け且つ選択モードの共振周波数を表す電気信号を提供する、ランプ102に関する任意の固定位置に配置し得る。例えば、光検出器106はランプと一体化した固定位置、例えば、アーク管と関連するシュラウド上、電球上、または、電球内または電球に隣り合う別個の取り付け用フィクスチャ上、に取り付け得る。あるいは光検出器106は遠隔固定位置、例えば、安定器上に取り付け得、また、光ファイバ等の光学素子をランプからの光を収集し、収集光を光検出器106にカップリングさせ得るよう位置決めし得る。
【0026】
ある実施例では光検出器106は、選択共振モードの温度腹(anti−node)位置に対応する、ランプに関する固定位置に配置され得る。当業者には温度腹は圧力腹でもあることを認識されよう。温度腹とは、光検出器の出力における共振周波数を識別させる強い光変動が生じる場所を言う。例えば図5には、波502で示す、2L定在波音響共振を提示するアーク放電管500のダイヤグラム図が示される。図示の如く、2L音響共振は放電管の各端部から約1/4の位置に節(node)を有し、放電管の各端部及び中心位置に腹を有する。光検出器106は、図示の如く、温度腹にほぼ相当する固定位置506に取り付け得る。その他モードが図5のそれとは異なる位置に温度節及び温度腹を有し得ることは言うまでもない。また、先に議論したように、共振周波数、従って、選択したモードに関連する温度節及び温度腹は励起後にシフトし得る。
【0027】
図6に示す如く、第1の光検出器106−1をアーク管の中心位置で略正相腹位置に配置し、第2の光検出器106−2を負相腹付近でアーク管端部に隣り合って配置することにより共振周波数の識別性を改善し得る。アーク管端部に隣り合う第2光検出器106−2は、アークがそこには生じないこと、ガスが冷えていること、及び光出力が少ない、という理由から、アーク管の、腹が位置付けられる終端位置にはおそらく配置されない。第2光検出器106−2は、そうではなく、電極前方の明るいスポット位置に配置され得る。第1光検出器106−1及び第2光検出器106−2からの出力は、既知の差動アンプ600の正負の各入力に接続され得る。かくして、差動アンプ600は正相腹及び負相腹の各位置の間の光量差を表す出力を提供し得る。
【0028】
各光検出器がランプ102から離間され、例えば光が拡散する距離に位置付けられる実施例では、図7に示す如く各光検出器にランプ画像702を投射する単数または複数の光学要素700を放電管500に隣り合う位置に設け得る。各光学要素700には、第1及び第2の各光検出器106−1、106−2に光を結像させる1つ以上の既知のレンズが含まれ得る。各光学要素700は更にまたは別様には、選択共振モードに関連する波長のみを光検出器に送る構成を有する透過特性を含む1つ以上の光学フィルタを含み得る。それらフィルタには、例えば、1つ以上のレンズまたは1つ以上のランプコンポーネンツ上の個別の要素としてまたはそのコーティングとして構成した既知の干渉フィルタが含まれ得る。それらフィルタは、帰還ループ内に設けた各フィルタに代えて、またはそれらに加えて用い得る。各光検出器に隣り合わせたマスク704−1、704−2を設け得る。マスクは全体に平坦な不透明部材であり、ランプ画像の単数または複数の腹からの光を光検出器106−1、106−2に送り、他方、その他入射光を阻止する、関連する光検出器106−1、106−2と整列する小孔を含み得る。
【0029】
図8には、本発明に従うガス放電ランプ駆動用の1方法800のブロック流れダイヤグラム図が示される。例示したブロック流れダイヤグラム図は特定ステップシーケンスを含むものとして示され得る。しかしながら、ステップシーケンスはここで説明する一般的機能の開始方法例を提供するのみであることを理解されたい。各ステップは特に断りのない限り、提示順序で実行する必要はない。
図8の実施例ではランプに対する電力信号は変調入力信号に従い、例えば安定器によって変調802され得る。ランプの放出光は検出804され、当該検出に応じて電気的帰還信号が提供され得る。選択した音響共振モードでの自励発振は、選択音響共振モードに相当する帰還出力の一部分を変調入力として提供することにより生成806され得る。
【0030】
かくして本発明の1様相によれば、ガス放電ランプ駆動用システムが提供される。本システムは、変調入力を受け且つランプに出力を提供する安定器にして、前記出力が前記変調入力に従い変調される安定器と、光検出器にして、ランプからの放射光受光に応答して電気的な帰還出力を提供する光検出器と、該帰還出力を受ける構成を有する帰還回路と、を含む。帰還回路は、前記帰還出力の、ランプの選択音響共振モードに相当する一部分のみを通過させる少なくとも1つのフィルタを含む。帰還回路は、前記帰還出力の前記一部分を変調入力として前記安定器にカップリングし、それによりシステムを選択音響共振モードで自励発振させる構成を有する。
【0031】
本発明の他の様相によれば、ガス放電ランプ駆動用のシステムが提供され、該システムは、変調入力を受け且つランプに出力を提供する構成を有する安定器にして、前記出力が前記変調入力に従い変調される安定器と、光検出器にして、ランプからの放射光受光に応答して電気的な帰還出力を提供する光検出器と、前記帰還出力を受ける構成を有する帰還回路と、を含む。帰還回路は、ランプの2長手方向共振モードに相当する帰還出力の一部分のみを通過させるための少なくとも1つのフィルタと、リミット回路と、を含む。帰還回路は、前記帰還出力の前記部分を変調入力として、前記リミット回路により確立される固定振幅と組み合わせ、かくしてシステムを前記2長手方向共振モードで自励発振させる構成を有する。
【0032】
本発明の他の様相によれば、ガス放電ランプ駆動方法が提供される。本方法には、ランプへの電力信号を変調入力信号に従い変調すること、ランプからの放射光を検出し且つ当該放射光の受光に応じて電気的な帰還出力を提供すること、帰還出力の、選択音響共振モードに相当する一部分を変調入力として提供することにより、選択音響共振モードでの自励発振を生じさせること、が含まれる。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0033】
102 ガス放電ランプ
104 安定器
104a 安定器
106 光検出器
106−1 第1光検出器
106−2 第2光検出器
108 帰還ループ
110 帰還回路
110a 帰還回路
112 電極
116 アーク放電
202 DC電源
204 Hブリッジ整流子
206 コントローラ
208 振幅変調器
302 音響変調器
302 プリアンプ
304 ハイパスフィルタ
306 ローパスフィルタ
308 リミット回路
310 ベクトル信号アナライザ
312 加算機
500 アーク放電管
502 波
506 固定位置
600 差動アンプ
700 光学要素
702 ランプ画像
704−1、704−2 マスク
800 方法
802 変調
804 検出
806 生成

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス放電ランプ駆動用のシステムであって、
変調入力を受け、且つ前記ガス放電ランプに出力を提供する構成を有する安定器にして、前記出力が前記変調入力に従い変調される安定器と、
光検出器にして、前記ガス放電ランプからの放出光受光に応じて電気的な帰還出力を提供する構成を有する光検出器と、
前記帰還出力を受ける構成を有する帰還回路にして、前記帰還出力の、ガス放電ランプの選択音響共振モードに相当する一部分のみを通過させるための少なくとも1つのフィルタを含み、前記帰還出力部分を変調入力として前記安定器にカップリングし、かくしてシステムを前記選択音響共振モードで自励発振させるシステム。
【請求項2】
前記帰還回路が、変調入力の振幅を固定水準に維持するリミット回路を含む請求項1のシステム。
【請求項3】
選択音響共振モードがガス放電ランプの2長手方向モードである請求項1のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフィルタがハイパスフィルタ及びローパスフィルタである請求項1のシステム。
【請求項5】
光検出器が、選択音響共振モードの腹に相当する位置でガス放電ランプに隣り合って取り付けられる請求項1のシステム。
【請求項6】
ガス放電ランプからの放射光受光に応じて第2の電気的帰還出力を提供する構成を有する第2の光検出器を含み、前記帰還回路が、前記帰還出力及び前記第2の電気的帰還出力を受ける差動アンプを更に含む請求項1のシステム。
【請求項7】
前記光検出器が、選択音響共振モードの正相腹に相当する位置でガス放電ランプに隣り合って取り付けられ、前記システムが第2の光検出器を更に含み、該第2の光検出器が、前記ガス放電ランプからの放射光受光に応じて第2の電気的帰還出力を提供する構成を有し、前記第2の光検出器が、前記選択音響共振モードの負相腹に相当する位置で前記ガス放電ランプに隣り合って取り付けられる請求項1のシステム。
【請求項8】
ガス放電ランプの画像を投射する少なくとも1つの光学要素を更に含み、光検出器が前記画像の少なくとも一部を受けるよう位置決めされる請求項1のシステム。
【請求項9】
開口をその内部に有する不透明要素から成るマスクを更に含み、光検出器が、前記開口を通してのガス放電ランプからの放射光受光のために位置決めされる請求項8のシステム。
【請求項10】
ガス放電ランプの駆動システムであって、
変調入力を受け且つ出力をガス放電ランプに提供する構成を有する安定器にして、前記出力が前記変調入力に従い変調される安定器と、
前記ガス放電ランプからの放射光受光に応じて電気的な帰還出力を提供する構成を有する光検出器と、
前記帰還出力を受ける構成を有する帰還回路にして、前記帰還出力の、ガス放電ランプの2長手方向共振モードに相当する一部分のみを通す少なくとも1つのフィルタ及びリミット回路を含み、前記安定器に、前記リミット回路により確立される固定振幅を有する前記変調入力として前記帰還出力の前記一部分を連結し、かくしてシステムをして前記2長手方向共振モードで自励発振せしめる帰還回路と、
を含むシステム。
【請求項11】
前記光検出器が、選択音響共振モードの腹に相当する位置でガス放電ランプに隣り合って取り付けられる請求項10のシステム。
【請求項12】
ガス放電ランプの駆動方法であって、
変調入力信号に従い前記ガス放電ランプに対する電力信号を変調すること、
ガス放電ランプの放射光を検出し、該放射光検出に応じて電気的な帰還出力を提供すること、
前記帰還出力の、前記選択音響共振モードに相当する一部分を前記変調入力として提供することにより、選択音響共振モードでの自励発振を生じさせること、
を含む方法。
【請求項13】
前記帰還出力の、前記選択音響共振モードに相当する一部分を前記変調入力として提供することにより、選択音響共振モードでの自励発振を生じさせることが、リミット回路を使用して固定水準で前記変調入力の振幅を設定することを含む請求項12の方法。
【請求項14】
選択音響共振モードが、ガス放電ランプの2長手方向モードである請求項12の方法。
【請求項15】
前記帰還出力の、前記選択音響共振モードに相当する一部分を前記変調入力として提供することにより、選択音響共振モードでの自励発振を生じさせることが、ハイパスフィルタ及びローパスフィルタを使用して帰還出力をフィルタリングすることを含む請求項12の方法。
【請求項16】
ガス放電ランプの放射光を検出することが、選択音響共振モードの腹に相当する位置でガス放電ランプに隣り合って取り付けた光検出器を使用しての光検出を含む請求項12の方法。
【請求項17】
ガス放電ランプの放射光を検出することが、前記電気的な帰還出力を提供する構成を有する第1の光検出器を使用しての光検出と、第2の電気的な帰還出力を提供する構成を有する第2の光検出器を使用しての光検出とを含み、前記方法が、前記2つの帰還出力を差動アンプの各入力に提供することを更に含む請求項12の方法。
【請求項18】
ガス放電ランプの放射光を検出することが、前記電気的な帰還出力を提供する構成を有する第1の光検出器を使用しての光検出にして、前記第1の光検出器が、前記選択音響共振モードの正相腹に相当する位置でガス放電ランプに隣り合って取り付けられる光検出と、前記第2の電気的な帰還出力を提供する構成を有する第2の光検出器を使用しての光検出にして、前記第2の光検出器が、前記選択音響共振コードの負相腹に相当する位置でガス放電ランプに隣り合って取り付けられる光検出とを含む請求項12の方法。
【請求項19】
ガス放電ランプの放射光を検出することが、光検出器を使用しての光検出を含み、前記方法が、前記ガス放電ランプの画像を光学要素を用いて前記光検出器上に投射することを更に含む請求項12の方法。
【請求項20】
ガス放電ランプの放射光を検出することが、光検出器を使用しての光検出を含み、前記方法が、開口をその内部に有する不透明要素から成るマスクを提供することを更に含み、前記光検出器が、前記開口を貫く光を受けるよう位置決めされる請求項12の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−129519(P2011−129519A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275847(P2010−275847)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(394001685)オスラム・シルバニア・インコーポレイテッド (68)
【Fターム(参考)】