説明

放電ランプ用点灯装置および照明器具

【課題】樹脂の膨張・収縮による回路基板への応力が低減されるとともに防水性および放熱性が向上される放電ランプ用点灯装置およびこの放電ランプ用点灯装置を具備する照明器具を提供する。
【解決手段】放電ランプ用点灯装置1は、金属製のケース2と、点灯回路部品9を実装し、ケース2に収容された回路基板3と、回路基板3かつ点灯回路部品9の少なくとも端子部分をそれぞれ覆うようにケース2内に充填された第1の樹脂4と、第1の樹脂4よりも固化したときの硬度、線膨張率および熱伝導率が大きいものであり、ケース2内において第1の樹脂4の周囲に充填された第2の樹脂5とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプを点灯する放電ランプ用点灯装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
放電ランプ用点灯装置などの電気機器には、電子部品が実装された回路基板をケースに収納し、ケースに放熱用の樹脂を充填しているものがある。例えば、回路基板の下面において電子部品がはんだ固定されるとともに発熱量の大きい電子部品が前記下面に表面実装され、回路基板の前記下面とケースの内側面との間にのみ放熱用の樹脂が充填されている電気機器が提案されている(特許文献1参照。)。この従来技術の電気機器は、回路基板の上面に配置されている電子部品と回路基板との間には樹脂が入り込まないから、樹脂の膨張・収縮によってはんだにクラックが生じるのを防止することができるというものである。
【0003】
また、少なくとも二つの収容空間を区画している絶縁性のケースと、ケースの第1収容空間内に収容され比較的発熱量が多い第1電子部品および第2収容空間内に収容され比較的発熱量が少ない第2電子部品が搭載された1つの回路基板と、第1収容空間に充填され第1電子部品を覆っている比較的放熱性が大きい第1樹脂部と、第2収容空間に充填され第2電子部品を覆っている比較的放熱性が小さい第2の樹脂部とからなる制御ユニットが提案されている(特許文献2参照。)。この従来技術の制御ユニットは、第1樹脂部がウレタン樹脂にフィラを混合したものからなり放熱性に優れているので、第1電子部品の多い発熱を良好に放熱できるとともに、第2電子部品の発熱量は少なく、第2樹脂部がウレタンからなっていても第2樹脂部での放熱が不十分となることがないものである。したがって、放熱板を設けることなく樹脂部のみで放熱が達成され、少ない部品点数でしかも簡単な構造で、電子部品の限度以上の温度上昇を防止できるというものである。
【0004】
また、電子部品が実装された基板をケース内に収納した後、先ず低又は中粘度かつ低硬度の第1の樹脂材料をケース内に注入してから、第1の樹脂材料に比して硬度が高くかつ高チクソ性の第2の樹脂材料をケース内に注入することによって電子部品及び/又は基板の表面に所定の層厚をもって被覆するようにした被覆生成物が提案されている(特許文献3参照。)。この従来技術の被覆生成物は、所定の層厚をもって被覆する第2の樹脂材料により防水、防湿等にすることができ、低粘度かつ低硬度の第1の樹脂材料をケース内の下層に形成することによって温度変化によるストレスを低減することができて樹脂やはんだにクラックが生じることや電子部品に不当な力が加わることを防止できるというものである。
【特許文献1】特開2002−141676号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】特開2005−294703号公報(第6頁、第2図)
【特許文献3】特開平6−53681号公報(第3−4頁、第9図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電気機器は、回路基板の下面とケースの内側面との間にのみ放熱用樹脂が充填されているので、樹脂の膨張・収縮によるはんだクラックを防止できるが、回路基板の上面側のケース内に電子部品から放熱された熱がこもるので、電子部品全体の放熱は不十分である。また、回路基板の下面に発熱量の大きい電子部品を実装するので、回路基板の設計の自由度が小さい。また、回路基板の上面側に実装された電子部品は、樹脂で覆われないので、少なくとも電子部品に対する防水性を有せず、電気機器を高湿度の場所や屋外などで使用することが制限される欠点を有する。
【0006】
特許文献2の制御ユニットは、比較的発熱量の多い電子部品および比較的発熱量の少ない電子部品に区分して回路基板に実装するので、やはり回路基板の設計の自由度が小さいという問題がある。また、ケースも第1および第2の収容空間を有するように形成するので、構造が複雑となり、コストアップするという欠点を有する。
【0007】
また、特許文献3の被覆生成物は、第2の樹脂材料により防水、防湿等にすることができる。しかし、電子部品の端子(リード)は、回路基板の表面では低又は中粘度かつ低硬度の第1の樹脂材料で薄く充填され、大部分が第1の樹脂材料に比して硬度が高くかつ高チクソ性の第2の樹脂材料により充填されているので、電子部品からの熱により第1および第2の樹脂材料が膨張、収縮したときに前記端子(リード)が第2の樹脂材料により大きく押圧され、引っ張られるようになるものである。これにより、回路基板のはんだ接着部分に力が加わるようになり、はんだクラックの防止が完全であるとは言えないものである。また、被覆生成物は、電子部品が所定の層厚を有するように第2の樹脂材料で充填されているので、ケースの内部空間が大きく、ケース内に熱がこもり、電子部品全体の放熱が不十分になるおそれがある。
【0008】
本発明は、樹脂の膨張・収縮による回路基板への応力が低減されるとともに防水性および放熱性が向上される放電ランプ用点灯装置およびこの放電ランプ用点灯装置を具備する照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の放電ランプ用点灯装置の発明は、金属製のケースと;点灯回路部品を実装し、ケースに収容された回路基板と;回路基板かつ点灯回路部品の少なくとも端子部分をそれぞれ覆うようにケース内に充填された第1の樹脂と;ケース内において第1の樹脂の周囲に充填されていて、固化したときの硬度、線膨張率および熱伝導率のいずれもが第1の樹脂よりも大きい第2の樹脂と;を具備していることを特徴とする。
【0010】
本発明および以下の各発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
【0011】
回路基板は、長手方向における上面および下面などの全体が第1の樹脂により覆われるものである。点灯回路部品は、全体または端子部分が第1の樹脂により覆われるものである。ここで、複数の点灯回路部品のうち、一部の点灯回路部品は、その全体が第1の樹脂により覆われ、残部の点灯回路部品は、その端子部分が第1の樹脂により覆われてもよい。
【0012】
第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ硬度、線膨張率および熱伝導率が異なれば同種類の樹脂であってもよい。第1の樹脂は、例えばウレタン樹脂などであり、第2の樹脂は、例えばウレタン樹脂、シリコーン樹脂やエポキシ系の樹脂などである。
【0013】
第1の樹脂は、硬度が低いほどよく、線膨張率が小さいほどよく、第2の樹脂は、熱伝導率が大きいほどよい。例えば、第1の樹脂は、JIS K 6253(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方)に規定する硬度(shoreAorCorD)で例えば35(A)以下とすることができ、線膨張率で例えば15×10−5(mm/mm・℃)以下とすることができ、熱伝導率で0.2〜0.5(W/m・k)とすることができる。そして、第2の樹脂は、熱伝導率を高めるために、フィラを混合したものとすることができる。
【0014】
本発明によれば、第1の樹脂は、固化したときの硬度および線膨張率が第2の樹脂よりも小さいものとなるように比較的小さくされているので、点灯回路部品からの熱により膨張・収縮が繰り返されても、回路基板および点灯回路部品を押圧するときの歪み量が大きく当該押圧の剛性が緩和され、かつ体積の変化量が小さく、これにより回路基板および点灯回路部品に対する応力が低減される。また、第2の樹脂は、熱伝導率が第1の樹脂よりも大きいものとなるように比較的大きくされているので、点灯回路部品からの熱を迅速に金属製のケースに伝熱させて放熱させる。そして、第1の樹脂は、回路基板および点灯回路部品の少なくとも端子部分をそれぞれ覆っているので、防水性および放熱性を有する放電ランプ用点灯装置が形成される。
【0015】
請求項2記載の放電ランプ用点灯装置の発明は、請求項1記載の放電ランプ用点灯装置において、点灯回路部品および回路基板の間には、絶縁性を有する中間部材が介在していることを特徴とする。
【0016】
中間部材は、回路基板の全域に対向して設けられることを要しない。また、中間部材の厚さは、点灯回路部品および回路基板の隙間に応じて異なっていてもよい。
【0017】
本発明によれば、中間部材の体積分、点灯回路部品および回路基板の間の第1の樹脂の充填量が減少するので、第1の樹脂が膨張・収縮したときの点灯回路部品および回路基板の間での体積の変化量がより小さくなって、回路基板に対する応力がより低減される。
【0018】
請求項3に記載の照明器具の発明は、請求項1または2記載の放電ランプ用点灯装置と;この放電ランプ用点灯装置により点灯される放電ランプと;放電ランプを配設している器具本体と;を具備していることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、請求項1または2記載の放電ランプ用点灯装置を具備する照明器具が提供される。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、第1の樹脂は、回路基板および点灯回路部品の少なくとも端子部分をそれぞれ覆っているので、回路基板および点灯回路部品に対する防水性を向上させることができ、また、固化したときの硬度および線膨張率がそれぞれ比較的小さくされているので、膨張・収縮による回路基板および点灯回路部品に対する応力を低減して、回路基板でのはんだのクラックや剥離を防止することができる。また、第2の樹脂は、その熱伝導率が比較的大きくされているので、第1の樹脂から伝熱された点灯回路部品からの熱を迅速に金属製のケースに伝熱させて放熱させることができて、回路基板および点灯回路部品の温度上昇を抑制することができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、点灯回路部品および回路基板の間に絶縁性を有する中間部材を介在させることにより、中間部材の体積分、点灯回路部品および回路基板の間の第1の樹脂の充填量が減少して、第1の樹脂が膨張・収縮したときの回路基板および点灯回路部品に対する応力が低減するので、回路基板でのはんだのクラックや剥離をより防止することができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、請求項1または2記載の放電ランプ用点灯装置を具備するので、放電ランプ用点灯装置の放熱が良好であって防水性を有する照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態を示す放電ランプ用点灯装置の概略横断面図である。
【0025】
放電ランプ用点灯装置1は、ケース2、回路基板3、第1の樹脂4および第2の樹脂5を有して構成されている。
【0026】
ケース2は、それぞれ金属製例えばアルミニウム(Al)からなるケース本体6およびケース蓋体7からなっている。ケース本体6は、開口6aを有する長方形の箱状に形成されている。そして、長手方向の両端側の底面6bに円柱状の支持部材8,8を配設している。
【0027】
ケース蓋体7は、ケース本体6の開口6aを閉塞するようにケース本体6に嵌着されている。ケース蓋体7は、1枚の平板を断面凹状に折り曲げて形成した長尺枠体であり、図示しない両側部がばね性を有するように折り曲げ形成されている。そして、ケース蓋体7がケース本体6に嵌着されたとき、両側部がケース本体6の長手方向の図示しない両側部に強固に固定している。
【0028】
回路基板3は、長方形状の例えばガラスエポキシ材や紙フェノール材などからなり、ケース本体6の底面6bに沿って収容され、両端側がケース本体6の支持部材8,8に図示しないねじにより固定されている。そして、上面3aに放電ランプを点灯させる高周波点灯回路のトランジスタTr、コンデンサC1、ダイオードD1、抵抗R1,R2、集積回路ICやトランスT1などの点灯回路部品9を実装している。高周波点灯回路は、放電ランプを高周波点灯させる周知の回路で形成されている。
【0029】
第1の樹脂4は、例えばポリウレタン樹脂からなり、回路基板3および点灯回路部品9の端子(リード)部分をそれぞれ覆うようにケース本体6内に充填されている。すなわち、第1の樹脂4は、ケース本体6の開口6aから底面6b側に注入され、点灯回路部品9の全ての端子部分が全て埋もれるまで注入されたものである。そして、第1の樹脂4は、例えば固化したときの硬度が33(A)であり、線膨張率が15×10−5(mm/mm・℃)であり、熱伝導率が0.33(W/m・k)となっている。硬度33(A)および線膨張率が15×10−5(mm/mm・℃)は、従来の放電ランプ用点灯装置よりも低い値である。
【0030】
第2の樹脂5は、例えばアルミナ系のフィラが混合されたポリウレタン樹脂からなり、ケース本体6内において第1の樹脂4の周囲に充填されたものである。すなわち、第2の樹脂5は、ケース本体6の開口6aから第1の樹脂4の表面側に注入され、ケース本体6の開口6a部分まで注入されたものである。そして、第2の樹脂5は、例えば固化したときの硬度が64(A)であり、線膨張率が20×10−5(mm/mm・℃)であり、熱伝導率が0.75(W/m・k)となっており、第1の樹脂4の硬度、線膨張率および熱伝導率よりもそれぞれ大きい値となっている。
【0031】
そして、第2の樹脂5が充填されて固化した後、ケース本体6にケース蓋体7が嵌着されている。なお、ケース本体6には、図示しない貫通孔が設けられており、回路基板3に接続されている入力線および出力線が当該貫通孔からケース本体6の外方に導出されている。
【0032】
次に、本発明の第1の実施形態の作用について説明する。
【0033】
回路基板3に入力線を介して商用交流電源から交流電圧が供給されると、点灯回路部品9が動作し、出力線から高周波交流電圧が出力される。そして、点灯回路部品9から熱が放出される。
【0034】
点灯回路部品9から放出された熱は、直接的に、第1の樹脂4および第2の樹脂5に伝熱される。第1の樹脂4に伝熱された熱は、第1の樹脂4を伝達してケース本体6から外方に放熱される。また、第2の樹脂5に伝熱された熱は、第2の樹脂5を伝達してケース本体6およびケース蓋体7から外方に放熱される。ここで、第2の樹脂5の熱伝導率(例えば0.75(W/m・k))は、第1の樹脂4の熱伝導率(例えば0.33(W/m・k))よりも大きいので、第2の樹脂5に伝熱された熱は、第1の樹脂4に伝熱された熱よりも迅速に第2の樹脂5を伝達してケース本体6およびケース蓋体7から放熱される。これにより、第1の樹脂4に伝熱された熱の一部が第2の樹脂5に伝熱されて放熱されるようになる。すなわち、点灯回路部品9から放出された熱は、迅速にケース2から外方側に放熱されることになり、点灯回路部品9の温度上昇が抑制される。これにより、点灯回路部品9の放熱性が向上し、点灯回路部品9を長寿命化させることができる。
【0035】
そして、点灯回路部品9から熱が放出され、第1の樹脂4および第2の樹脂5が当該熱を伝達すると、第1の樹脂4および第2の樹脂5は、それぞれ当該熱により温度上昇して膨張し、体積が増加する。そして、回路基板3に交流電圧が供給されなくなると、点灯回路部品9は、動作を停止し、熱を放出しなくなる。これにより、第1の樹脂4および第2の樹脂5のそれぞれの温度が次第に低下し、膨張(体積の増加)した状態から次第に収縮(体積の減少)していく。すなわち、第1の樹脂4および第2の樹脂5は、点灯回路部品9の動作および不動作に応じて、膨張および収縮する。
【0036】
第1の樹脂4および第2の樹脂5が膨張および収縮すると、それらの体積の増加、減少により、点灯回路部品9および回路基板3に応力(ストレス)が加わるようになる。すなわち、当該膨張、収縮に応じて、点灯回路部品9および回路基板3を押圧し、引っ張るようになる。ここで、回路基板3および点灯回路部品9は、主として第1の樹脂4により覆われているので、第2の樹脂5が高硬度(例えば64(A))、第1の樹脂4よりも大きい線膨張率(例えば20×10−5(mm/mm・℃))を有していても、第1の樹脂4が緩衝材として機能し、第2の樹脂5の膨張、収縮による点灯回路部品9および回路基板3への応力は非常に小さいものである。
【0037】
そして、第1の樹脂4の膨張、収縮は、直接的に点灯回路部品9および回路基板3への応力となる。特に、回路基板3および点灯回路部品9との間の膨張、収縮は、点灯回路部品9の端子(リード)が回路基板3にはんだ付けされているはんだ接着部分に作用して、はんだにクラックを発生させ、はんだを剥離させるものである。しかし、第1の樹脂4は、固化しているときの硬度が第2の樹脂5の硬度(例えば64(A))よりも小さいものとなるように低硬度(例えば33(A))に選定されているので、回路基板3および点灯回路部品9を押圧するときの歪み量が大きく押圧の剛性が緩和される。また、第1の樹脂4は、線膨張率が第2の樹脂5の線膨張率(例えば20×10−5(mm/mm・℃))よりも小さいものとなるように低い線膨張率(例えば15×10−5(mm/mm・℃))に選定されているので、膨張、収縮の割合(体積の増減)が非常に小さくなる。これらの結果、点灯回路部品9および回路基板3への応力が非常に小さくなるものである。特に、点灯回路部品9の端子(リード)部分は、全て第1の樹脂4により覆われているので、第1の樹脂4からの応力によって回路基板3のはんだ接着部分に作用する力が非常に小さくなるものである。
【0038】
こうして、第1の樹脂4および第2の樹脂5が点灯回路部品9からの熱により膨張、収縮を繰り返しても、点灯回路部品9および回路基板3に対する応力が低減されるようになる。これにより、回路基板3でのはんだのクラックや剥離を防止することができる。
【0039】
そして、回路基板3および点灯回路部品9の端子(リード)部分は、それぞれ第1の樹脂4で全て覆われており、第1の樹脂4は、第2の樹脂5で覆われているので、回路基板3および点灯回路部品9の端子部分に水分が浸入しないものである。したがって、防水性の向上した放電ランプ用点灯装置1を構成することができて、この放電ランプ用点灯装置1を高湿度の室内や雨水などが飛び散る屋外などに設置される照明器具に搭載することができる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0041】
図2は、本発明の第2の実施形態を示す放電ランプ用点灯装置の概略横断面図である。なお、図1と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0042】
図2に示す放電ランプ用点灯装置10は、図1に放電ランプ用点灯装置1において、ケース本体6の底面6b側に第2の樹脂5を充填した後に、回路基板3および点灯回路部品9の全体をそれぞれ覆うように第1の樹脂4が充填され、さらにケース本体6の開口6aまで第2の樹脂5が充填されたものである。
【0043】
点灯回路部品9から放出された熱は、第1の樹脂4に伝熱され、さらに第2の樹脂5に伝熱されてケース2から外方に放熱される。ケース本体6の開口6a側に加え、底面6b側にも第1の樹脂4よりも熱伝導率の大きい第2の樹脂5が設けられているので、点灯回路部品9からの熱は、より迅速に伝達されてケース2から放熱される。これにより、回路基板3および点灯回路部品9の放熱性がより向上し、点灯回路部品9をより長寿命化させることができる。
【0044】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0045】
図3は、本発明の第3の実施形態を示す放電ランプ用点灯装置の概略横断面図である。なお、図1と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0046】
図3に示す放電ランプ用点灯装置11は、図1に放電ランプ用点灯装置1において、点灯回路部品9の本体および回路基板3の間に、絶縁性を有する中間部材12が介在されたものである。中間部材12は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂からなり、回路基板3に沿うように形成され、点灯回路部品9の端子(リード)または本体が挿通する孔が設けられている。点灯回路部品9は、端子(リード)または本体が前記孔を挿通して回路基板3に実装されている。中間部材12は、回路基板3に設けられた支持部材13,13に接着材により固定されている。
【0047】
点灯回路部品9の本体および回路基板3の間に中間部材12が介在することにより、点灯回路部品9および回路基板3の間の第1の樹脂4の充填量が中間部材12の体積分減少するようになる。そして、点灯回路部品9からの熱に応じて第1の樹脂4が膨張、収縮すると、第1の樹脂4の体積の増減量が中間部材12の体積に対応する分量減少する。これにより、第1の樹脂4による点灯回路部品9および回路基板3への応力が低減される。したがって、回路基板3におけるはんだのクラックや剥離をより防止することができる。
【0048】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0049】
図4は、本発明の第4の実施形態を示す照明器具であり、(a)は概略上面図、(b)は概略正面図、(c)は一部切り欠き概略側面図である。なお、図1と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0050】
図4に示す照明器具14は、駅などの屋外に設置される屋外用照明器具である。照明器具14は、逆富士形に形成された器具本体15の内部に図1に示す放電ランプ用点灯装置1を配設している。また、器具本体15の長手方向の両端側には、それぞれ対を成すランプソケット取付金具16,16がねじ17により固定されている。このランプソケット取付金具16,16にランプソケット18,18が取り付けられている。そして、ランプソケット18,18に放電ランプとしての直管形の蛍光ランプ19が装着されている。
【0051】
蛍光ランプ19は、放電ランプ用点灯装置1の動作により点灯する。蛍光ランプ19が点灯すると、蛍光ランプ19からの放射光が直接光および器具本体15で反射された反射光となって照射面側に照射される。そして、放電ランプ用点灯装置1の動作により点灯回路部品9から放出された熱は、ケース2から器具本体15に伝熱されて外気に放出される。
照明器具14は、防水性および放熱性が向上された放電ランプ用点灯装置1を具備しているので、器具本体15に例えば雨水などの水分が付着することがある駅などの屋外の場所に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す放電ランプ用点灯装置の概略横断面図。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す放電ランプ用点灯装置の概略横断面図。
【図3】本発明の第3の実施形態を示す放電ランプ用点灯装置の概略横断面図。
【図4】本発明の第4の実施形態を示す照明器具であり、(a)は概略上面図、(b)は概略正面図、(c)は一部切り欠き概略側面図。
【符号の説明】
【0053】
1,10,11…放電ランプ用点灯装置
2…ケース
3…回路基板
4…第1の樹脂
5…第2の樹脂
12…中間部材
14…照明器具
15…器具本体
19…放電ランプとしての蛍光ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製のケースと;
点灯回路部品を実装し、ケースに収容された回路基板と;
回路基板かつ点灯回路部品の少なくとも端子部分をそれぞれ覆うようにケース内に充填された第1の樹脂と;
ケース内において第1の樹脂の周囲に充填されていて、固化したときの硬度、線膨張率および熱伝導率のいずれもが第1の樹脂よりも大きい第2の樹脂と;
を具備していることを特徴とする放電ランプ用点灯装置。
【請求項2】
点灯回路部品および回路基板の間には、絶縁性を有する中間部材が介在していることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ用点灯装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の放電ランプ用点灯装置と;
この放電ランプ用点灯装置により点灯される放電ランプと;
放電ランプを配設している器具本体と;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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