放電ランプ
【課題】 ランプ点灯回路の構成を複雑にすることなく、光束立ち上がり特性を改善し得る放電ランプを提供する。
【解決手段】 この放電ランプは、放電媒体が封入されたガラス管バルブ１と、バルブ１内に配設されたフィラメント電極２と、フィラメント電極２の両側にそれぞれ接続されたリード線８，９と、リード線に配設された補助アマルガム４と、リード線８，９間に接続された負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５とを具備する。補助アマルガムは、フィラメント電極と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器との間に配設することができる。また、補助アマルガムと負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とをリード線間に直列接続してもよい。さらに、補助アマルガムと負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とをガラス管バルブの端部からほぼ同一距離の同一平面上に配設することもできる。
【解決手段】 この放電ランプは、放電媒体が封入されたガラス管バルブ１と、バルブ１内に配設されたフィラメント電極２と、フィラメント電極２の両側にそれぞれ接続されたリード線８，９と、リード線に配設された補助アマルガム４と、リード線８，９間に接続された負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５とを具備する。補助アマルガムは、フィラメント電極と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器との間に配設することができる。また、補助アマルガムと負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とをリード線間に直列接続してもよい。さらに、補助アマルガムと負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とをガラス管バルブの端部からほぼ同一距離の同一平面上に配設することもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は水銀または水銀化合物を使用した放電ランプに係り、特に放電生起直後の光束立ち上がり特性を改善した放電ランプに関する。
【背景技術】
【０００２】
アマルガムのような水銀化合物を使用した放電ランプでは、一般的に水銀を使用した放電ランプに比べて、放電生起直後の光束立ち上がり特性が劣る。そこで、例えばアマルガムを使用した電球形蛍光ランプでは、定常点灯時の水銀蒸気圧を決めるための主アマルガムとは別に、放電生起直後の水銀放出を促進する目的で、電極近傍に補助アマルガムを設けている。補助アマルガムには水銀を吸着・放出しやすいようにしたメッシュ状の金属体がよく用いられる。しかし、放電生起直後は補助アマルガムの温度が低いために水銀を効率良く放出することが難しい。
そこで、例えば特開２００２−２６０５８３号公報に記載の蛍光ランプでは、ランプ点灯時に発光管の管端部以外の放電路中に配置された補助アマルガムに放電電流を流入させる手段を蛍光ランプの電子点灯回路に備える。これにより、ランプ点灯直後の光束立ち上がり特性を改善しようとするものである。
【特許文献１】特開２００２−２６０５８３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、蛍光ランプの電子点灯回路中に補助アマルガムを通電加熱する機能を付加する場合には回路構成が複雑になり、また部品点数が増加するために点灯回路基板面積が大きくなるという欠点を有する。
【０００４】
従って本発明の目的は、ランプ点灯回路の構成を複雑にすることなく、光束立ち上がり特性を改善し得る放電ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記目的は、放電媒体が封入されたガラス管バルブと、前記バルブ内に配設された電極と、前記電極の両側にそれぞれ接続されたリード線と、前記リード線に配設された前記放電媒体を吸着および放出するための金属体と、前記リード線間に接続された負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを具備した放電ランプにより達成される。
【０００６】
ここで、前記放電媒体を吸着および放出するための金属体は、前記電極と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器との間に配設することができる。また、前記放電媒体を吸着および放出するための金属体と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを前記リード線間に直列接続することができる。さらに、前記放電媒体を吸着および放出するための金属体と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを前記バルブの端部からほぼ同一距離の同一平面上に配設することができる。
【０００７】
本発明に係る放電ランプは、内部に主アマルガムを備えたガラス管バルブと、前記バルブ内に配設された電極と、前記電極の両側にそれぞれ接続されたリード線と、前記リード線に配設された補助アマルガムと、前記リード線間に接続された負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを具備したものである。この場合、前記補助アマルガムは、前記電極と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器との間に配設することができ、また、前記補助アマルガムと負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを前記リード線間に直列接続することができ、さらに、前記補助アマルガムと負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを前記バルブの端部からほぼ同一距離の同一平面上に配設することができる。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば、放電生起直後に、ガラス管バルブ内に設けられた負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器の自己発熱による輻射熱によって放電媒体を吸着および放出するための金属体（補助アマルガム）からの水銀放出が促進されて光束立ち上がり特性が改善される。これにより、ランプ点灯回路の構成を複雑にすることなく、光束立ち上がり特性を改善し得る放電ランプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
本発明に係る光束立ち上がり特性を改善する放電ランプにおける実施形態につき、その実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下に説明するが、その前に本発明に係る放電ランプの例として電球形蛍光ランプの概略について説明する。
【００１０】
図１（ａ）は電球形蛍光ランプの一例を示す一部切欠き図である。図中、参照符号１１は放電ランプ、１２はガラスグローブ、１３はプラスチック製ケース、１４は口金である。放電ランプ１１は、本例では４本のＵ字状ガラス管が連結されて一体化されている。その構造は正方形の各辺にＵ字状ガラス管が配置され、隣接するＵ字状ガラス管とはその下部で連通している。
【００１１】
図１（ｂ）は図１（ａ）の電球形蛍光ランプに用いられる本発明に係る放電ランプの一例を示す展開図である。本例では説明を簡略化するためＵ字状ガラス管バルブの連結数を２本にしているが、Ｕ字状ガラス管バルブの数はこれに限定されず１本または複数本とすることができる。図中、放電媒体が封入されたＵ字状ガラス管バルブ２１，２２は連結部２３において接合され一つの放電路を形成している。Ｕ字状ガラス管バルブ２１，２２の両端のガラス管バルブには電極部２４，２５が設けられている。Ｕ字状ガラス管バルブ２１には細管２６が接続され、その中に主アマルガム２７が設置されている。主アマルガムは、例えばＨｇとＩｎやＢｉ、Ｐｂ、Ｓｎなどとの合金である。電極部２４，２５には、放電媒体を吸着および放出するための金属体（補助アマルガム）がリード線に固定されている。補助アマルガムは、例えば鋼やニッケルの表面にＩｎなどをメッキして表面に水銀合金が形成できるようにしたものである。電極部２４，２５の構成については以下の実施例で詳述する。Ｕ字状ガラス管バルブの連結数が３本以上の場合は中間部のＵ字状ガラス管バルブ内に別途補助アマルガムが設置される。
【００１２】
（実施例１）
図２は、本発明に係る放電ランプの第１の実施例を示すもので、放電ランプの電極部の縦断面図である。図２において、参照符号１は透光性のガラス管バルブ、２はフィラメント電極、３はガラス管バルブ内に封入された放電媒体、４は補助アマルガム、５は負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器、６はガラス管バルブ内に塗布された蛍光体、７はガラス管バルブを封止するマウント、８および９はフィラメント電極に接続されたリード線である。リード線８，９は所定間隔を保ってそれぞれマウント７を通してガラス管バルブ１内に伸び、それぞれフィラメント電極２の両側に接続されている。フィラメント電極２よりもマウント７側のリード線８，９間には負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５が接続されている。すなわち、フィラメント電極２と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５はリード線間に並列接続される。また、フィラメント電極２とマウント７間であって負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の近傍に補助アマルガム４が配置される。本実施例では、補助アマルガム４はフィラメント電極２と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５間のリード線９に取り付けられているが、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５よりもマウント７側に設けることもできる。この抵抗器５は放電ランプ点灯装置内にあったものを用いることで装置内の基板を小さくできる。リード線８，９は図示しない放電ランプ点灯装置に接続される。
【００１３】
図２に示すような放電ランプは、放電ランプ点灯装置に接続されて点灯する場合、先ずフィラメント電極２に電流を流してフィラメント電極２から放電生起を促進する電子を放出させる。このときフィラメント電極２に並列接続されている負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５にも電流が流れるため、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５が自己発熱する。
【００１４】
図３は、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の抵抗温度特性を示すグラフである。この抵抗器５は、図示のように、温度上昇と共に抵抗値が減少する負性抵抗特性を持つ。
【００１５】
フィラメント電極２とマウント７の間、且つ負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の近傍に配設された補助アマルガム４は、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５からの輻射熱によって表面に吸着している水銀を効率良く放出する。従って、放電生起直後の光束立ち上がり特性を改善することができる。また、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５は前述の通り、通電直後は抵抗値が比較的高いが、自己発熱によって温度が上昇すると抵抗値が小さくなるために、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の温度が十分上昇した後はフィラメント電極２に流れる電流を低減できる。従って、ランプ点灯中にフィラメント電極２で発生する損失を低減することもできる。また、放電ランプ点灯装置の回路基板に部品を追加搭載する必要がないため、基板面積増大の必要性がない。
【００１６】
（実施例２）
図４は、本発明に係る放電ランプの第２の実施例を示すもので、放電ランプの電極部の縦断面図である。図４において、参照符号１は透光性のガラス管バルブ、２はフィラメント電極、３はガラス管バルブ内に封入された放電媒体、４は補助アマルガム、５は負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器、６はガラス管バルブ内に塗布された蛍光体、７はガラス管バルブを封止するマウント、８および９はフィラメント電極に接続されたリード線である。本実施例が第１の実施例と異なる点は、補助アマルガム４の取り付け位置である。本実施例では、補助アマルガム４は負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５と直列接続される。すなわち、補助アマルガム４と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の直列接続体が、図示のように、フィラメント電極２と並列接続される。
【００１７】
図４に示す放電ランプにおいても前述の第１の実施例と同様に、放電ランプ点灯装置に接続されて点灯する場合、先ずフィラメント電極２に電流を流してフィラメント電極から放電生起を促進する電子を放出させる。このときフィラメント電極２に並列接続されている補助アマルガム４と、補助アマルガム４に直列接続された負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５にも電流が流れる。補助アマルガム４は電流が流れることによる自己発熱と、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５からの輻射熱によって表面に吸着している水銀を効率良く放出することができる。従って、放電生起直後の光束立ち上がり特性を改善することができる。
【００１８】
（実施例３）
図５は、本発明に係る放電ランプの第３の実施例を示すもので、放電ランプの電極部の縦断面図である。また、図６は、図５に示す放電ランプの電極部のＸ−Ｘ’断面図である。図５および図６において、参照符号１は透光性のガラス管バルブ、２はフィラメント電極、３はガラス管バルブ内に封入された放電媒体、４は補助アマルガム、５は負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器、６はガラス管バルブ内に塗布された蛍光体、７はガラス管バルブを封止するマウント、８および９はフィラメント電極に接続されたリード線である。図５および図６では、補助アマルガム４と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５をマウント７からほぼ同一距離の同一平面上に設けてある。従って、補助アマルガム４と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５間の距離を短くすることができ、補助アマルガム４は負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の輻射熱を受けやすくなるために水銀の放出が促進される。従って、放電生起直後の光束立ち上がり特性を改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【００１９】
本発明は水銀または水銀化合物を使用した放電ランプに係り、特に放電生起直後の光束立ち上がり特性を改善した放電ランプに関するものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】（ａ）は電球形蛍光ランプの一例を示す一部切欠き図、（ｂ）は（ａ）の電球形蛍光ランプに用いられる本発明に係る放電ランプの一例を示す展開図である。
【図２】本発明に係る放電ランプの第１の実施例を示すもので、放電ランプの電極部の縦断面図である。
【図３】負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の抵抗温度特性を示すグラフである。
【図４】本発明に係る放電ランプの第２の実施例を示すもので、放電ランプの電極部の縦断面図である。
【図５】本発明に係る放電ランプの第３の実施例を示すもので、放電ランプの電極部の縦断面図である。
【図６】図５に示す放電ランプの電極部のＸ−Ｘ’断面図である。
【符号の説明】
【００２１】
１・・・透光性のガラス管バルブ
２・・・フィラメント電極
３・・・放電媒体
４・・・補助アマルガム
５・・・負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器
６・・・蛍光体
７・・・マウント
８，９・・・リード線
１１・・・放電ランプ
１２・・・ガラスグローブ
１３・・・プラスチック製ケース
１４・・・口金
２１，２２・・・Ｕ字状ガラス管バルブ
２３・・・連結部
２４，２５・・・電極部
２６・・・細管
２７・・・主アマルガム
【技術分野】
【０００１】
本発明は水銀または水銀化合物を使用した放電ランプに係り、特に放電生起直後の光束立ち上がり特性を改善した放電ランプに関する。
【背景技術】
【０００２】
アマルガムのような水銀化合物を使用した放電ランプでは、一般的に水銀を使用した放電ランプに比べて、放電生起直後の光束立ち上がり特性が劣る。そこで、例えばアマルガムを使用した電球形蛍光ランプでは、定常点灯時の水銀蒸気圧を決めるための主アマルガムとは別に、放電生起直後の水銀放出を促進する目的で、電極近傍に補助アマルガムを設けている。補助アマルガムには水銀を吸着・放出しやすいようにしたメッシュ状の金属体がよく用いられる。しかし、放電生起直後は補助アマルガムの温度が低いために水銀を効率良く放出することが難しい。
そこで、例えば特開２００２−２６０５８３号公報に記載の蛍光ランプでは、ランプ点灯時に発光管の管端部以外の放電路中に配置された補助アマルガムに放電電流を流入させる手段を蛍光ランプの電子点灯回路に備える。これにより、ランプ点灯直後の光束立ち上がり特性を改善しようとするものである。
【特許文献１】特開２００２−２６０５８３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、蛍光ランプの電子点灯回路中に補助アマルガムを通電加熱する機能を付加する場合には回路構成が複雑になり、また部品点数が増加するために点灯回路基板面積が大きくなるという欠点を有する。
【０００４】
従って本発明の目的は、ランプ点灯回路の構成を複雑にすることなく、光束立ち上がり特性を改善し得る放電ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記目的は、放電媒体が封入されたガラス管バルブと、前記バルブ内に配設された電極と、前記電極の両側にそれぞれ接続されたリード線と、前記リード線に配設された前記放電媒体を吸着および放出するための金属体と、前記リード線間に接続された負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを具備した放電ランプにより達成される。
【０００６】
ここで、前記放電媒体を吸着および放出するための金属体は、前記電極と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器との間に配設することができる。また、前記放電媒体を吸着および放出するための金属体と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを前記リード線間に直列接続することができる。さらに、前記放電媒体を吸着および放出するための金属体と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを前記バルブの端部からほぼ同一距離の同一平面上に配設することができる。
【０００７】
本発明に係る放電ランプは、内部に主アマルガムを備えたガラス管バルブと、前記バルブ内に配設された電極と、前記電極の両側にそれぞれ接続されたリード線と、前記リード線に配設された補助アマルガムと、前記リード線間に接続された負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを具備したものである。この場合、前記補助アマルガムは、前記電極と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器との間に配設することができ、また、前記補助アマルガムと負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを前記リード線間に直列接続することができ、さらに、前記補助アマルガムと負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを前記バルブの端部からほぼ同一距離の同一平面上に配設することができる。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば、放電生起直後に、ガラス管バルブ内に設けられた負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器の自己発熱による輻射熱によって放電媒体を吸着および放出するための金属体（補助アマルガム）からの水銀放出が促進されて光束立ち上がり特性が改善される。これにより、ランプ点灯回路の構成を複雑にすることなく、光束立ち上がり特性を改善し得る放電ランプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
本発明に係る光束立ち上がり特性を改善する放電ランプにおける実施形態につき、その実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下に説明するが、その前に本発明に係る放電ランプの例として電球形蛍光ランプの概略について説明する。
【００１０】
図１（ａ）は電球形蛍光ランプの一例を示す一部切欠き図である。図中、参照符号１１は放電ランプ、１２はガラスグローブ、１３はプラスチック製ケース、１４は口金である。放電ランプ１１は、本例では４本のＵ字状ガラス管が連結されて一体化されている。その構造は正方形の各辺にＵ字状ガラス管が配置され、隣接するＵ字状ガラス管とはその下部で連通している。
【００１１】
図１（ｂ）は図１（ａ）の電球形蛍光ランプに用いられる本発明に係る放電ランプの一例を示す展開図である。本例では説明を簡略化するためＵ字状ガラス管バルブの連結数を２本にしているが、Ｕ字状ガラス管バルブの数はこれに限定されず１本または複数本とすることができる。図中、放電媒体が封入されたＵ字状ガラス管バルブ２１，２２は連結部２３において接合され一つの放電路を形成している。Ｕ字状ガラス管バルブ２１，２２の両端のガラス管バルブには電極部２４，２５が設けられている。Ｕ字状ガラス管バルブ２１には細管２６が接続され、その中に主アマルガム２７が設置されている。主アマルガムは、例えばＨｇとＩｎやＢｉ、Ｐｂ、Ｓｎなどとの合金である。電極部２４，２５には、放電媒体を吸着および放出するための金属体（補助アマルガム）がリード線に固定されている。補助アマルガムは、例えば鋼やニッケルの表面にＩｎなどをメッキして表面に水銀合金が形成できるようにしたものである。電極部２４，２５の構成については以下の実施例で詳述する。Ｕ字状ガラス管バルブの連結数が３本以上の場合は中間部のＵ字状ガラス管バルブ内に別途補助アマルガムが設置される。
【００１２】
（実施例１）
図２は、本発明に係る放電ランプの第１の実施例を示すもので、放電ランプの電極部の縦断面図である。図２において、参照符号１は透光性のガラス管バルブ、２はフィラメント電極、３はガラス管バルブ内に封入された放電媒体、４は補助アマルガム、５は負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器、６はガラス管バルブ内に塗布された蛍光体、７はガラス管バルブを封止するマウント、８および９はフィラメント電極に接続されたリード線である。リード線８，９は所定間隔を保ってそれぞれマウント７を通してガラス管バルブ１内に伸び、それぞれフィラメント電極２の両側に接続されている。フィラメント電極２よりもマウント７側のリード線８，９間には負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５が接続されている。すなわち、フィラメント電極２と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５はリード線間に並列接続される。また、フィラメント電極２とマウント７間であって負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の近傍に補助アマルガム４が配置される。本実施例では、補助アマルガム４はフィラメント電極２と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５間のリード線９に取り付けられているが、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５よりもマウント７側に設けることもできる。この抵抗器５は放電ランプ点灯装置内にあったものを用いることで装置内の基板を小さくできる。リード線８，９は図示しない放電ランプ点灯装置に接続される。
【００１３】
図２に示すような放電ランプは、放電ランプ点灯装置に接続されて点灯する場合、先ずフィラメント電極２に電流を流してフィラメント電極２から放電生起を促進する電子を放出させる。このときフィラメント電極２に並列接続されている負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５にも電流が流れるため、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５が自己発熱する。
【００１４】
図３は、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の抵抗温度特性を示すグラフである。この抵抗器５は、図示のように、温度上昇と共に抵抗値が減少する負性抵抗特性を持つ。
【００１５】
フィラメント電極２とマウント７の間、且つ負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の近傍に配設された補助アマルガム４は、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５からの輻射熱によって表面に吸着している水銀を効率良く放出する。従って、放電生起直後の光束立ち上がり特性を改善することができる。また、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５は前述の通り、通電直後は抵抗値が比較的高いが、自己発熱によって温度が上昇すると抵抗値が小さくなるために、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の温度が十分上昇した後はフィラメント電極２に流れる電流を低減できる。従って、ランプ点灯中にフィラメント電極２で発生する損失を低減することもできる。また、放電ランプ点灯装置の回路基板に部品を追加搭載する必要がないため、基板面積増大の必要性がない。
【００１６】
（実施例２）
図４は、本発明に係る放電ランプの第２の実施例を示すもので、放電ランプの電極部の縦断面図である。図４において、参照符号１は透光性のガラス管バルブ、２はフィラメント電極、３はガラス管バルブ内に封入された放電媒体、４は補助アマルガム、５は負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器、６はガラス管バルブ内に塗布された蛍光体、７はガラス管バルブを封止するマウント、８および９はフィラメント電極に接続されたリード線である。本実施例が第１の実施例と異なる点は、補助アマルガム４の取り付け位置である。本実施例では、補助アマルガム４は負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５と直列接続される。すなわち、補助アマルガム４と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の直列接続体が、図示のように、フィラメント電極２と並列接続される。
【００１７】
図４に示す放電ランプにおいても前述の第１の実施例と同様に、放電ランプ点灯装置に接続されて点灯する場合、先ずフィラメント電極２に電流を流してフィラメント電極から放電生起を促進する電子を放出させる。このときフィラメント電極２に並列接続されている補助アマルガム４と、補助アマルガム４に直列接続された負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５にも電流が流れる。補助アマルガム４は電流が流れることによる自己発熱と、負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５からの輻射熱によって表面に吸着している水銀を効率良く放出することができる。従って、放電生起直後の光束立ち上がり特性を改善することができる。
【００１８】
（実施例３）
図５は、本発明に係る放電ランプの第３の実施例を示すもので、放電ランプの電極部の縦断面図である。また、図６は、図５に示す放電ランプの電極部のＸ−Ｘ’断面図である。図５および図６において、参照符号１は透光性のガラス管バルブ、２はフィラメント電極、３はガラス管バルブ内に封入された放電媒体、４は補助アマルガム、５は負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器、６はガラス管バルブ内に塗布された蛍光体、７はガラス管バルブを封止するマウント、８および９はフィラメント電極に接続されたリード線である。図５および図６では、補助アマルガム４と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５をマウント７からほぼ同一距離の同一平面上に設けてある。従って、補助アマルガム４と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５間の距離を短くすることができ、補助アマルガム４は負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の輻射熱を受けやすくなるために水銀の放出が促進される。従って、放電生起直後の光束立ち上がり特性を改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【００１９】
本発明は水銀または水銀化合物を使用した放電ランプに係り、特に放電生起直後の光束立ち上がり特性を改善した放電ランプに関するものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】（ａ）は電球形蛍光ランプの一例を示す一部切欠き図、（ｂ）は（ａ）の電球形蛍光ランプに用いられる本発明に係る放電ランプの一例を示す展開図である。
【図２】本発明に係る放電ランプの第１の実施例を示すもので、放電ランプの電極部の縦断面図である。
【図３】負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器５の抵抗温度特性を示すグラフである。
【図４】本発明に係る放電ランプの第２の実施例を示すもので、放電ランプの電極部の縦断面図である。
【図５】本発明に係る放電ランプの第３の実施例を示すもので、放電ランプの電極部の縦断面図である。
【図６】図５に示す放電ランプの電極部のＸ−Ｘ’断面図である。
【符号の説明】
【００２１】
１・・・透光性のガラス管バルブ
２・・・フィラメント電極
３・・・放電媒体
４・・・補助アマルガム
５・・・負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器
６・・・蛍光体
７・・・マウント
８，９・・・リード線
１１・・・放電ランプ
１２・・・ガラスグローブ
１３・・・プラスチック製ケース
１４・・・口金
２１，２２・・・Ｕ字状ガラス管バルブ
２３・・・連結部
２４，２５・・・電極部
２６・・・細管
２７・・・主アマルガム
【特許請求の範囲】
【請求項１】
放電媒体が封入されたガラス管バルブと、前記バルブ内に配設された電極と、前記電極の両側にそれぞれ接続されたリード線と、前記リード線に配設された前記放電媒体を吸着および放出するための金属体と、前記リード線間に接続された負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを具備したことを特徴とする放電ランプ。
【請求項２】
前記放電媒体を吸着および放出するための金属体が前記電極と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器との間に配設されていることを特徴とする請求項１記載の放電ランプ。
【請求項３】
前記放電媒体を吸着および放出するための金属体と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とが前記リード線間に直列接続されていることを特徴とする請求項１記載の放電ランプ。
【請求項４】
前記放電媒体を吸着および放出するための金属体と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とが前記バルブの端部からほぼ同一距離の同一平面上に配設されていることを特徴とする請求項１記載の放電ランプ。
【請求項５】
内部に主アマルガムを備えたガラス管バルブと、前記バルブ内に配設された電極と、前記電極の両側にそれぞれ接続されたリード線と、前記リード線に配設された補助アマルガムと、前記リード線間に接続された負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを具備したことを特徴とする放電ランプ。
【請求項１】
放電媒体が封入されたガラス管バルブと、前記バルブ内に配設された電極と、前記電極の両側にそれぞれ接続されたリード線と、前記リード線に配設された前記放電媒体を吸着および放出するための金属体と、前記リード線間に接続された負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを具備したことを特徴とする放電ランプ。
【請求項２】
前記放電媒体を吸着および放出するための金属体が前記電極と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器との間に配設されていることを特徴とする請求項１記載の放電ランプ。
【請求項３】
前記放電媒体を吸着および放出するための金属体と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とが前記リード線間に直列接続されていることを特徴とする請求項１記載の放電ランプ。
【請求項４】
前記放電媒体を吸着および放出するための金属体と負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とが前記バルブの端部からほぼ同一距離の同一平面上に配設されていることを特徴とする請求項１記載の放電ランプ。
【請求項５】
内部に主アマルガムを備えたガラス管バルブと、前記バルブ内に配設された電極と、前記電極の両側にそれぞれ接続されたリード線と、前記リード線に配設された補助アマルガムと、前記リード線間に接続された負特性抵抗温度係数を持つ抵抗器とを具備したことを特徴とする放電ランプ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００６−７９９１０（Ｐ２００６−７９９１０Ａ）
【公開日】平成１８年３月２３日（２００６．３．２３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−２６１６９０（Ｐ２００４−２６１６９０）
【出願日】平成１６年９月８日（２００４．９．８）
【出願人】（０００００５４７４）日立ライティング株式会社 (130)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年３月２３日（２００６．３．２３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年９月８日（２００４．９．８）
【出願人】（０００００５４７４）日立ライティング株式会社 (130)
【Ｆターム（参考）】
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