説明

放電器および画像形成装置

【課題】着脱可能な放電器を軽量化しつつ、放電器が着脱される際に電極を清掃する部材の位置がずれて放電不良が発生することを抑制すること。
【解決手段】第1の電極部材(11)に接触可能に配置されて第1の電極部材(11)の清掃を行う電極清掃部材(22、26)と、電極清掃部材(22、26)を第1の電極部材(11)に沿って基準位置に向かう方向と基準位置から離れる方向とに移動させる清掃移動部材(6+18+19)と、放電器本体(1)が被着脱体(U3)に装着された場合に、清掃移動部材(6+18+19)を基準位置から離れる方向に移動させ、検知部(SN1)が被検知部(21b)を検知不能になると、清掃移動部材(6+18+19)を基準位置に向けて移動させて、基準位置に移動させる移動制御手段(C4)と、を備えたことを特徴とする放電器(CCy〜CCk)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電器および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置において、像保持体の表面を帯電させたり、除電したり、像保持体表面のトナー像を媒体に転写したり、媒体を除電したりする際に、コロトロンやスコロトロン等の電極から放電を行う放電器が広く使用されている。放電器に関し、以下の特許文献1〜4記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開2008−26646号公報には、帯電器(1)の鋸歯状の針電極(2)を清掃する清掃ローラ(5)を、針電極(2)の前端から後端に移動させて清掃するために、モータ(8)が正回転および逆回転して、清掃ローラを往復させる構成が記載されている。特許文献1記載の構成では、モータ(8)が帯電器(1)に支持されており、清掃ローラ(5)を後方に移動させる正回転は、十分に長い時間行って、清掃ローラ(5)が後端に到達しても正回転し続けると共に、逆回転は、前端に配置されたセンサ(9B)が清掃ローラ(5)の支持体(4)を検出するまで行う構成が記載されている。
【0004】
特許文献2としての特開2003−202734号公報には、モータ(8)が正回転および逆回転して送りネジ(5)を回転させることで、チャージワイヤ(2)を清掃するクリーニングパッド(3)を支持するスライダ(4)を前後方向に移動させる構成が記載されている。特許文献2記載の構成では、チャージャ本体(1)の外部に配置されたモータ(8)の正回転に応じてスライダ(4)が後方に移動して、リア側エンドブロック(11)に到達すると、モータ(8)がロックされる際に発生する拘束電流に相当する電圧をロック信号として出力することで、後端に到達したことを検出している。このとき、モータ(8)の正回転の開始時に、タイマーによる計時を開始しておき、30秒たってもロック信号が出力されない場合や、正回転を開始してから4秒以内にロック信号が出力された場合には、動作異常と判別する構成が記載されている。
【0005】
特許文献3としての特開2003−91145号公報には、特許文献2と同様の構成において、チャージャ本体(1)の外部に配置されたモータ(8)の正回転に応じてスライダ(4)が後方に移動して、リア側エンドブロック(11)に到達すると、モータ(8)の出力トルクにより変化する検出電流によりロック状態を検出して、後端に到達したことを検出する構成が記載されている。
【0006】
特許文献4としての特開平11−242374号公報には、2本の帯電ワイヤー(14)を有するコロナ帯電器(7)において、毎日の電源投入直後および千枚の画像形成毎に、クリーニングパッド(20)により帯電ワイヤー(14)を1往復させ、サービスマン用のスイッチが押された場合には、5往復させる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−26646号公報(「0037」〜「0064」、図2〜図4)
【特許文献2】特開2003−202734号公報(「0011」〜「0018」、図1〜図2)
【特許文献3】特開2003−91145号公報(「0005」〜「0009」)
【特許文献4】特開平11−242374号公報(「0016」〜「0023」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、放電器が着脱される際に電極を清掃する部材の位置がずれて放電不良が発生することを抑制することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の放電器は、
被放電部に対向して配置されると共に、被着脱体に対して着脱可能な放電器本体と、
前記放電器本体に支持され、線材により構成された第1の電極部材と、
前記第1の電極部材に対向して配置され、前記第1の電極部材との間に放電用の電圧が印加される第2の電極部材と、
前記第1の電極部材に接触可能に配置され、前記第1の電極部材の清掃を行う電極清掃部材と、
前記電極清掃部材に一体的に配置された被検知部と、
前記電極清掃部材が予め設定された基準位置に移動した場合において、前記被検知部を検知可能な位置に配置された検知部材と、
前記電極清掃部材を、前記第1の電極部材に沿って、前記基準位置に向かう方向と前記基準位置から離れる方向とに移動させる清掃移動部材と、
前記清掃移動部材の移動を制御する移動制御手段であって、前記放電器本体が前記被着脱体に装着された場合に、前記清掃移動部材を前記基準位置から離れる方向に移動させ、前記検知部が前記被検知部を検知不能になると、前記清掃移動部材を前記基準位置に向けて移動させて、前記基準位置に移動させる前記移動制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放電器において、
前記基準位置において前記第1の電極部材から前記電極清掃部材とを離間させると共に、前記基準位置から前記電極清掃部材が前記第1の電極部材に沿った方向に移動した場合に、前記第1の電極部材に前記電極清掃部材を接触させる清掃接触機構、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の放電器において、
前記第1の電極部材と前記被放電部との間に配置され、前記第1の電極部材との間に放電用の電圧が印加される第3の電極部材と、
前記第3の電極部材に接触可能に配置されて前記第3の電極部材の清掃を行う第3の清掃部を有する前記電極清掃部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の放電器において、
前記被着脱体に前記放電器本体が着脱された場合に前記被着脱体に支持された駆動源からの駆動が伝達される伝達部材に着脱可能に接続される被伝達部材を有し、前記被伝達部材に前記駆動源の正回転駆動が伝達された場合に前記電極清掃部材を前記基準位置に向かう方向に移動させると共に、前記被伝達部材に前記駆動源の逆回転駆動が伝達された場合に前記電極清掃部材を前記基準位置から離れる方向に移動させる前記清掃移動部材、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
前記技術的課題を解決するために、請求項5に記載の発明の画像形成装置は、
媒体に画像を記録する画像記録部を有する画像形成装置の本体と、
前記画像形成装置の本体に対して着脱可能に装着される請求項1ないし4のいずれかに記載の放電器と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、
画像を表面に保持して回転する像保持体と、
前記放電器により構成され、前記像保持体の表面を帯電させる帯電器と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の画像形成装置において、
前記放電器により構成され、前記帯電器により帯電された前記像保持体の表面を除電する除電器、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項5ないし7のいずれかに記載の画像形成装置において、
画像を表面に保持して回転する像保持体と、
前記放電器により構成され、前記像保持体の表面の画像を媒体に転写する転写器と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、5に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、放電器が着脱される際に電極を清掃する部材の位置がずれて放電不良が発生することを抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、基準位置において電極清掃部材と第1の電極部材とを離間させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、電極清掃部材の移動に伴って第3の電極部材の清掃も行うことができる。
請求項4に記載の発明によれば、駆動源の正回転及び逆回転に応じて、電極清掃部材を往復移動させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、帯電不良の発生を抑制することができる。
請求項7に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、除電不良の発生を抑制することができる。
請求項8に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、転写不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は像保持体ユニットおよび現像器を有する可視像形成装置の説明図である。
【図3】図3は本発明の実施例1の帯電器の斜視説明図である。
【図4】図4は本発明の実施例1の帯電器の要部断面説明図である。
【図5】図5は図4の矢印V方向から見た図である。
【図6】図6は図5のVI−VI線断面図であり、電極クリーナが基準位置に移動した状態の説明図である。
【図7】図7は図6に示す状態から電極クリーナが前方に移動した状態の説明図である。
【図8】図8は本発明の実施例1のプリンタの制御部の機能図、いわゆるブロック図である。
【図9】図9は実施例1の電極クリーナの基準位置復帰処理のフローチャートの説明図である。
【図10】図10は実施例1の電極クリーナの説明図であり、電極クリーナがホームポジションから前方に少しずれた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0021】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置Uは、操作部の一例としてのユーザインタフェースUI、画像読取部の一例としてのイメージ入力装置U1、給紙装置U2、画像形成装置の本体の一例であって被着脱体の一例としての画像記録装置U3、および用紙処理装置U4を有している。
【0022】
前記ユーザインタフェースUIは、入力部の一例としてのコピースタートキー、テンキー等の入力キーおよび表示器UI1を有している。
前記イメージ入力装置U1は、画像読取装置の一例としてのイメージスキャナ等により構成されている。図1において、イメージ入力装置U1では、図示しない原稿を読取って画像情報に変換し、画像記録装置U3に入力する。
給紙装置U2は、複数の給紙部の一例としての給紙トレイTR1〜TR4と、前記各給紙トレイTR1〜TR4に収容された媒体の一例としての記録用紙Sが搬送される給紙路SH1等を有している。
【0023】
図1において、画像記録装置U3は、前記給紙装置U2から搬送された記録用紙Sに画像記録を行う画像記録部、トナーディスペンサー装置U3a、および用紙搬送路SH2、用紙排出路SH3、用紙反転路SH4、用紙循環路SH6等を有している。なお、前記画像記録部については後述する。
また、画像記録装置U3は、制御部C、および、前記制御部Cにより制御される潜像書込装置の駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路D、前記制御部Cにより制御される電源回路E等を有している。制御部Cにより作動を制御されるレーザ駆動回路Dは、前記イメージ入力装置U1から入力されたY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の画像情報に応じたレーザ駆動信号を予め設定された時期に、各色の潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
前記各色の潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkの下方には、像形成ユニット用の引出部材U3bが左右一対の案内部材R1,R1により、画像記録装置U3の前方に引き出された引出位置と画像記録装置U3内部に装着された装着位置との間で移動可能に支持されている。
【0024】
図2は像保持体ユニットおよび現像器を有する可視像形成装置の説明図である。
図1、図2において、黒の像保持体ユニットUKは、像保持体の一例であって被放電体の一例としての感光体Pkと、放電器の一例としての帯電器CCkと、像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLkと、を有している。なお、実施例1では、帯電器CCkは、画像記録装置U3に対して着脱可能な帯電ユニットにより構成されている。そして、他の色Y,M,Cの像保持体ユニットUY,UM,UCも、感光体Py,Pm,Pc、放電器の一例としての帯電器CCy,CCm,CCc、感光体クリーナCLy,CLm,CLcを有している。なお、実施例1では、使用頻度の高く表面の磨耗が多いK色の感光体Pkは、他の色の感光体Py,Pm,Pcに比べて大径に構成され、高速回転対応および長寿命化がされている。
前記各像保持体ユニットUY,UM,UC,UKと現像ロールR0を有する現像器GY,GM,GC,GKとによりトナー像形成部材UY+GY,UM+GM,UC+GC,UK+GKが構成されている。前記像形成ユニット用の引出部材U3bには、前記像保持体ユニットUY,UM,UC,UKおよび現像器GY,GM,GC,GKが着脱可能に装着される。
【0025】
図1において、感光体Py,Pm,Pc,Pkは、それぞれ帯電器CCy,CCm,CCc,CCkにより帯電された後、前記潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkによりその表面に静電潜像が形成される。前記感光体Py,Pm,Pc,Pk表面の静電潜像は、現像器GY,GM,GC,GKによりY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の色のトナー像に現像される。
【0026】
感光体Py,Pm,Pc,Pk表面上のトナー像は、一次転写器の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、像保持体の一例であって中間転写体の一例としての中間転写ベルトB上に順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色画像、いわゆる、カラー画像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラー画像は、画像記録位置の一例としての2次転写領域Q4に搬送される。
なお、黒画像データのみの場合はK(黒)の感光体Pkおよび現像器GKのみが使用され、黒のトナー像のみが形成される。
1次転写後、感光体Py,Pm,Pc,Pk表面の残留トナーは感光体用のクリーナCLy,CLm,CLc,CLkによりクリーニングされる。
【0027】
前記像形成ユニット用の引出部材U3bの下方には、中間転写体用の引出部材U3cが画像記録装置U3の前方に引き出された引出位置と画像記録装置U3内部に装着された装着位置との間で移動可能に支持されている。前記中間転写体用の引出部材U3cには、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが、前記感光体Py,Pm,Pc,Pkの下面に接触する上昇位置と前記下面から下方に離れた下降位置との間で昇降可能に支持されている。
前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、中間転写体支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aと、前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kとを有する。ベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aは、駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、張力付与部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としての複数のアイドラロールRfおよび二次転写領域Q4の対向部材の一例としてのバックアップロールT2aを有する。そして、前記中間転写ベルトBは、前記ベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
【0028】
前記バックアップロールT2aの下方には2次転写ユニットUtが配置されている。2次転写ユニットUtは、二次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bを有する。2次転写ロールT2bは、前記中間転写ベルトBを挟んでバックアップロールT2aに離隔および接触可能に配置されており、前記2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと接触する領域により2次転写領域Q4が形成されている。また、前記バックアップロールT2aには、電圧印加用の接触部材の一例としてのコンタクトロールT2cが接触しており、前記各ロールT2a〜T2cにより2次転写器T2が構成されている。
前記コンタクトロールT2cには制御部Cにより制御される電源回路から予め設定された時期に、トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
【0029】
前記ベルトモジュールBM下方には用紙搬送路SH2が配置されている。前記給紙装置U2の給紙路SH1から給紙された記録用紙Sは、前記用紙搬送路SH2に搬送され、給紙時期の調節部材の一例としてのレジロールRrにより、トナー像が2次転写領域Q4に搬送されるのに時期を合わせて、転写前の媒体案内部材SGr、SG1を通って2次転写領域Q4に搬送される。
前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に前記2次転写器T2により前記記録用紙Sに転写される。なお、フルカラー画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
【0030】
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体用の清掃器の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃、すなわち、クリーニングされる。
前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1k、中間転写ベルトB、二次転写器T2、ベルトクリーナCLB等により、感光体Py〜Pk表面の画像を記録用紙Sに転写する転写装置T1+B+T2+CLBが構成されている。
【0031】
トナー像が2次転写された前記記録用紙Sは、転写後の媒体案内部材SG2、定着前の媒体搬送部材の一例としての用紙搬送ベルトBHを通って定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有し、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが接触する領域により定着領域Q5が形成されている。
前記記録用紙S上のトナー像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。
前記トナー像形成部材UY+GY,UM+GM,UC+GC,UK+GKや転写装置T1+B+T2+CLB、定着装置等により、記録用紙Sに画像を記録する実施例1の画像記録部が構成されている。
【0032】
前記定着装置Fの下流側には搬送路の切替部材の一例としての第1ゲートGT1が設けられている。前記第1ゲートGT1は用紙搬送路SH2を搬送されて定着領域Q5で加熱定着された記録用紙Sを、用紙処理装置U4の用紙排出路SH3または用紙反転路SH4側のいずれかに選択的に切り替える。前記用紙排出路SH3に搬送された用紙Sは、用紙処理装置U4の用紙搬送路SH5に搬送される。
【0033】
用紙搬送路SH5の途中には、湾曲補正装置の一例としてのカール補正装置U4aが配置されており、前記用紙搬送路SH5には、搬送路の切替部材の一例としての第2ゲートG4が配置されている。前記第2ゲートG4は、前記画像記録装置U3の用紙搬送路SH3から搬送された記録用紙Sを、湾曲、いわゆる、カールの方向に応じて、第1カール補正部材h1または第2カール補正部材h2のいずれかの側に搬送する。前記第1カール補正部材h1または第2カール補正部材h2に搬送された記録用紙Sは、通過時にカールが補正される。カールが補正された記録用紙Sは、排出部材の一例としての排出ロールRhから用紙処理装置U4の排出部の一例としての排出トレイTH1に用紙の画像定着面が上向きの状態、いわゆる、フェイスアップ状態で排出される。
【0034】
前記第1ゲートGT1により画像記録装置U3の前記用紙反転路SH4側に搬送された用紙Sは、弾性薄膜状部材により構成された搬送方向の規制部材、いわゆる、マイラーゲートGT2を押しのける形で通過して、画像記録装置U3の前記用紙反転路SH4に搬送される。
前記画像記録装置U3の用紙反転路SH4の下流端には、用紙循環路SH6および用紙反転路SH7が接続されており、その接続部にもマイラーゲートGT3が配置されている。前記第1ゲートGT1を通って用紙搬送路SH4に搬送された用紙は、前記マイラーゲートGT3を通過して前記用紙処理装置U4の用紙反転路SH7側に搬送される。両面印刷を行う場合には、用紙反転路SH4を搬送されてきた記録用紙Sは、前記マイラーゲートGT3を通過して、用紙反転路SH7に搬送された後、逆方向に搬送、いわゆる、スイッチバックさせられると、マイラーゲートGT3により搬送方向が規制され、スイッチバックした記録用紙Sが用紙循環路SH6側に搬送される。前記用紙循環路SH6に搬送された記録用紙Sは前記給紙路SH1を通って2次転写領域Q4に再送される。
【0035】
一方、用紙反転路SH4を搬送される記録用紙Sを、記録用紙Sの後端がマイラーゲートGT2を通過後、マイラーゲートGT3を通過する前に、スイッチバックすると、マイラーゲートGT2により記録用紙Sの搬送方向が規制され、記録用紙Sは表裏が反転された状態で用紙搬送路SH5に搬送される。表裏が反転された記録用紙Sは、カール補正部材U4aによりカールが補正された後、前記用紙処理装置U4の用紙排出トレイTH1に、用紙Sの画像定着面が下向きの状態、いわゆる、フェイスダウン状態で排出することができる。
前記符号SH1〜SH7で示された要素により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,Rh,SGr,SG1,SG2,BH、GT1〜GT3で示された要素により用紙搬送装置SUが構成されている。
【0036】
(帯電器の説明)
図3は本発明の実施例1の帯電器の斜視説明図である。
図4は本発明の実施例1の帯電器の要部断面説明図である。
図5は図4の矢印V方向から見た図である。
図6は図5のVI−VI線断面図であり、電極クリーナが基準位置に移動した状態の説明図である。
なお、図4において、発明を理解しやすくするためにシールド電極の一部の図示を省略している。
また、次に、実施例1の帯電器の説明を行うが、Y,M,C,Kの各色の帯電器CCy〜CCkは、同様に構成されているため、K色の帯電器CCkについて詳細に説明し、その他の色の帯電器CCy〜CCcについては詳細な説明は省略する。
【0037】
図2、図3、図4において、実施例1の帯電器CCkは、放電器本体の一例として、前後方向に延びる帯電器本体1を有する。前記帯電器本体1は、第2の電極部材の一例として、前後方向に延び且つ感光体Pk側が開放されたコの型の導電性金属材料により構成されたシールド電極2を有する。前記シールド電極2は、前後方向に延びる板状の上壁部2aと、上壁部2aの左右両側から下方に延びる板状の左壁部2bおよび右壁部2cと、を有する。上壁部2aの左部には、前後方向に延びる開口2dが形成されており、画像記録装置U3内に配置された図示しない送風機からの空気が通過して、感光体Pkと対向する帯電領域Q1を通じて、放電時に発生するオゾン等を排出可能になっている。
前記シールド電極2の後端には、一端部材の一例としての後端ブロック3が支持されており、シールド電極2の前端には、他端部材の一例としての前端ブロック4が支持されている。前後の各ブロック3,4の右上部には、清掃移動部材用の支持体の一例として、前後方向に延びる筒状のシャフト受け部3a,4aが形成されている。
【0038】
前記シャフト受け部3a,4aには、回転部材の一例として、前後方向に延びるシャフト6が回転可能に支持されている。シャフト6の外周面には、ネジ6aが形成されている。シャフト6の後端部は、後側のシャフト受け部3aを貫通して後方に延びており、後端には、被伝達部材の一例としての従動カップリング7が支持されている。従動カップリング7は、帯電器CCkが画像記録装置U3に装着された場合に、画像記録装置U3に回転可能に支持された伝達部材の一例としての駆動カップリング8に噛み合った状態で支持される。駆動カップリング8には、電極清掃部材の駆動源の一例として、画像記録装置U3に支持された正逆回転可能な電極クリーナ用のモータ9からの駆動が伝達可能に構成されている。
【0039】
図2〜図6において、前記帯電器本体1の内部には、第1の電極部材の一例として、前後方向に延びる線材により構成され、前後両端が各ブロック3,4に支持されたワイヤ電極11が配置されている。
前記シールド電極2の下側の開口位置、すなわち、感光体Pkの対向領域である帯電領域Q1側には、第3の電極部材の一例として、前後方向に延びる薄膜状の導電性材料に多数の貫通孔が形成された網状のグリッド電極12が支持されている。前記グリッド電極12は、前後両端が各ブロック3,4に張架された状態で支持される。
前記各電極2,11,12には、電源回路Eから放電用の電圧が印加され、ワイヤ電極11とシールド電極1およびグリッド電極12との電位差に伴って、ワイヤ電極11から放出された電子により感光体Pkの表面が帯電される。
なお、シールド電極2や、ワイヤ電極11、グリッド電極12の構成は、従来公知であり、例えば、特開2008−233254号公報等に記載された構成を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0040】
図4〜図6において、帯電器本体1の内部において、ワイヤ電極11と、シールド電極2およびグリッド電極12との間には、電極清掃体の一例としての電極クリーナ16が配置されている。電極クリーナ16は、第1の清掃枠体の一例として、絶縁材料により構成され、シールド電極2の内周面に沿って配置された下方が開放された角筒状の上スライダフレーム17を有する。上スライダフレーム17の右下端には、連結部の一例として、シールド電極2の右壁部2cの下端を回り込むようにU字状に形成されたアーム部18が形成されており、アーム部18の上端には、連動部の一例として、シャフト6が内部を貫通する円筒状のシャフト貫通部19が形成されている。シャフト貫通部19の内部には、シャフト6のネジ6aと噛み合うネジ19aが形成されている。したがって、シャフト6が正逆回転すると、ネジ6a,19aを介してアーム部18がシャフト6に沿って前後方向、すなわち、基準位置の一例としての後端のホームポジションに対して、離れる方向である前方や近づく方向である後方に移動し、電極クリーナ16が前後方向に移動するように構成されている。
前記シャフト6やアーム部18、シャフト貫通部19等により、実施例1の清掃移動部材6+18+19が構成されている。
【0041】
前記上スライダフレーム17の下部には、第2の清掃枠体の一例として、上方が開放されたU字状の下スライダフレーム21が支持されている。図6において、下スライダフレーム21の前端部には、第3の清掃支持部の一例として、下方のグリッド電極12に向けて凹んだ形状に形成されたグリッドクリーナ支持部21aが形成されている。前記グリッドクリーナ支持部21aの下面には、第3の清掃部の一例として、グリッド電極12に対向、接触した状態で支持され、電極クリーナ16の前後方向の往復移動に応じて、グリッド電極12を清掃するグリッドクリーナ20が支持されている。実施例1のグリッドクリーナ20は、基布に清掃用の毛が植毛されたいわゆるブラシ状に構成されているが、これに限定されず、布状の構成とする等、清掃可能な任意の構成とすることが可能である。なお、グリッドクリーナについては、例えば、特開2006−91456号公報等に記載されており、従来公知の種々の構成を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0042】
図6において、下スライダフレーム21の前後方向中央部の上面には、電極清掃部材の一例として、ワイヤ電極11に対して対向して配置された下ワイヤクリーナ22が支持されている。図6に示すように、下ワイヤクリーナ22は、電極クリーナ16が基準位置の一例としてのホームポジションに移動した状態では、ワイヤ電極11に対して離間した状態となる位置に配置されている。
また、前記下スライダフレーム21の下面には、下方に延びる板状の被検知部21bが形成されている。電極クリーナ16が図6に示すホームポジションに移動した状態における被検知部21bに対応する位置には、検知部材の一例として、被検知部21bを検知することで電極クリーナ16がホームポジションに移動したことを検知する光センサSN1が配置されている。
【0043】
図5、図6において、前記上スライダフレーム17の内面には、左右方向の内側に延びる左右一対の軸部23が支持されている。前記軸部23の内側には、第1の清掃部材の支持体の一例としての上クリーナ支持体24が配置されている。上クリーナ支持体24は、軸部23に回転可能に支持される左右一対の回転中心部24aと、連結部の一例として回転中心部から前方に延びる左右一対のアームプレート部24bと、アームプレート部24bどうしの前端を接続して左右方向に延びる板状の支持体本体24cと、を有する。前記支持体本体24cの下面には、電極清掃部材の一例として、ワイヤ電極11に対向して配置された上ワイヤクリーナ26が支持されている。前記アームプレート部24bの下面には、下方に膨らんだ扇形状の離間用の被接触部24dが形成されており、後端ブロック3から電極クリーナ16内に延びる左右一対の離間用の接触部27に接触可能に構成されている。
また、実施例1の軸部23には、上クリーナ支持体24の前端を下方に回転させる方向、すなわち、上ワイヤクリーナ26をワイヤ電極11に接近させる方向に付勢する付勢部材の一例としてのネジリバネ28が装着されている。
【0044】
図7は図6に示す状態から電極クリーナが前方に移動した状態の説明図である。
したがって、図6に示す基準位置では、被接触部24dが接触部27に接触して、ネジリバネ28を弾性変形させてワイヤ電極11と上ワイヤクリーナ26とが離間した状態となる。そして、電極クリーナ用のモータ9が駆動して、電極クリーナ16が前方に移動すると、図7に示すように、被接触部24dと接触部27との接触が解除されて、上クリーナ支持体24の自重やネジリバネ28の弾性力により、上ワイヤクリーナ26がワイヤ電極11に上方から押し当てられる。このとき、上ワイヤクリーナ26によりワイヤ電極11が下方に押されて、二点鎖線で示す基準位置におけるワイヤ電極11の位置に対して、下方に移動する。したがって、ワイヤ電極11の下面が下ワイヤクリーナ22に接触し、上下のワイヤクリーナ22,26のバランスおよびワイヤ電極11の張力により、ワイヤ電極11に上下のワイヤクリーナ22,26が予め設定された接触圧力で接触する図7に示す位置に保持される。そして、ワイヤ電極11にワイヤクリーナ22,26が接触した状態で、電極クリーナ16が前後方向に往復移動することで、ワイヤ電極11の清掃が行われる。
【0045】
なお、電極クリーナ16が帯電器CCkの前端に到達したことの検出は、従来公知であり、前記特許文献1〜4に記載された方法や、センサを配置して検出する等、任意の方法を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。そして、清掃が終了すると、電極クリーナ16がホームポジションに戻る。
前記上クリーナ支持体24や被接触部24d、接触部27、ネジリバネ28等により、実施例1の清掃接触機構24+27+28が構成されている。
【0046】
(実施例1の制御部の説明)
図8は本発明の実施例1のプリンタの制御部の機能図、いわゆるブロック図である。
図8において、前記制御部Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/O、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリ、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリ、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置、ならびに発振器等を有する小型情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0047】
(制御部Cに接続された信号出力要素)
前記制御部Cは、ユーザインタフェースUIや光センサSN1等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
前記ユーザインタフェースUIは、表示部UI1、電源ボタンUI2、入力釦の一例としてのコピースタートキーUI3やテンキーUI4、帯電器CCy〜CCkの電極クリーニングを開始する入力を行うための電極クリーニング開始キーUI5等を備えている。
光センサSN1は、電極クリーナ16がホームポジションに移動しているか否かを検知する。
【0048】
(制御部Cに接続された被制御要素)
また、制御部Cは、主駆動源駆動回路D1、電源回路E、電極クリーナ用のモータ駆動回路D2、その他の図示しない制御要素に接続されており、それらの作動制御信号を出力している。
主駆動源駆動回路D1は、主駆動源M1を介して感光体Py〜Pkや中間転写ベルトB等を回転駆動する。
前記電源回路Eは現像用電源回路Ea、帯電用電源回路Eb、転写用電源回路Ec、定着用電源回路Ed等を有している。
【0049】
現像用電源回路Eaは、現像装置Gy〜Gkの現像ロールR0に現像電圧を印加する。
帯電用電源回路Ebは、帯電器CCy〜CCkそれぞれに感光体Py〜Pk表面を帯電させるための帯電電圧を印加する。
転写用電源回路Ecは、1次転写器T1y〜T1kや2次転写ロールT2bに転写電圧を印加する。
定着用電源回路Edは、定着装置Fの加熱ロールFhにヒータ加熱用の電源を供給する。
電極クリーナ用のモータ駆動回路D2は、電極クリーナ用のモータ9を介して電極クリーナ16を駆動する。
【0050】
(制御部Cの機能)
前記制御部Cは、前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、制御部Cは次の機能を有している。
C1:画像形成動作制御手段
画像形成動作制御手段C1は、イメージ入力装置U1から入力された画像情報に応じて、画像形成装置Uの各部材の駆動や各電圧の印加時期等を制御して、画像形成動作の一例としてのジョブを実行する。
C2:主駆動源制御手段
主駆動源制御手段C2は、主駆動源駆動回路D1を介して主駆動源M1の駆動を制御し、感光体Py〜Pk等の駆動を制御する。
【0051】
C3:電源回路制御手段
電源回路制御手段C3は、現像用電源回路制御手段C3Aと、帯電用電源回路制御手段C3Bと、転写用電源回路制御手段C3Cと、定着用電源回路制御手段C3Dとを有し、電源回路Eの作動を制御して、各部材への電圧印加や電源供給を制御する。
C3A:現像用電源回路制御手段
現像用電源回路制御手段C3Aは、現像用電源回路Eaを制御して現像装置Gy〜Gkの現像ロールに印加する現像電圧を制御する。
C3B:帯電用電源回路制御手段
帯電用電源回路制御手段C3Bは、帯電用電源回路Ebを制御して、帯電器CCy〜CCkに印加する帯電電圧を制御する。
【0052】
C3C:転写用電源回路制御手段
転写用電源回路制御手段C3Cは、転写用電源回路Ecを制御して、1次転写器T1y〜T1kに印加する1次転写電圧や、2次転写ロールT2bに印加する2次転写電圧を制御する。
C3D:定着用電源回路制御手段
定着用電源回路制御手段C3Dは、定着用電源回路Edを制御して、定着装置Fの加熱ロールFhのヒータの温度制御、すなわち、定着温度の制御を行う。
【0053】
C4:電極清掃制御手段
電極クリーナ16の移動制御手段の一例としての電極清掃制御手段C4は、モータ制御手段C4Aと、基準位置の復帰制御手段C4Bと、を有し、電極クリーナ16を制御して、帯電器CCy〜CCkの電極11,12の清掃の制御を行う。実施例1の電極清掃制御手段C4は、電極クリーニング開始キーUI5の入力がされた場合や、予め設定された枚数の一例としての累積印刷枚数が1000枚になる度、あるいは、画像形成装置Uの電源が投入された場合、すなわち電源ボタンUI2がオンになった場合に、電極11,12の清掃を行うように制御する。また、実施例1の電極清掃制御手段C4は、電極クリーニング開始キーUI5の入力時や1000枚の印刷時には、電極クリーナ16を前後方向に予め設定された回数、往復移動させて、清掃を行い、電源投入時には、基準位置の復帰制御手段C4Bにより基準位置に電極クリーナ16が復帰する制御を行う。
【0054】
C4A:モータ制御手段
モータ制御手段C4Aは、電極クリーナ用のモータ駆動回路D2を介して電極クリーナ用のモータ9の正逆回転を制御して、電極クリーナ16の移動を制御する。
C4B:基準位置の復帰制御手段
基準位置の復帰制御手段C4Bは、電源投入時の判別フラグFL1と、検知結果の判別手段C4B1と、逆回転時間の記憶手段C4B2と、計時タイマTM1と、を有し、帯電器CCy〜CCkが画像記録装置U3に装着された場合に、電極クリーナ16をホームポジション(基準位置)から離れる方向に移動させ、光センサSN1が被検知部21bを検知不能になると、電極クリーナ16をホームポジションに向けて移動させて、ホームポジションに移動させる。実施例1の基準位置の復帰制御手段C4Bは、帯電器CCy〜CCkが着脱された可能性のある場合として、電源投入時に、ホームポジションに復帰させる前記した一連の動作を実行する。
【0055】
FL1:電源投入時の判別フラグ
着脱の判別手段の一例としての電源投入時の判別フラグFL1は、初期値は「0」であり、電源投入後に「1」となる。すなわち、電源が落とされると初期化されて「0」となる。
C4B1:検知結果の判別手段
検知結果の判別手段C4B1は、光センサSN1の検出信号に基づいて、光センサSN1の位置に被検知部21bが存在するか否か、すなわち、電極クリーナ16が基準位置から前方に移動しているか否かを判別する。
【0056】
C4B2:逆回転時間の記憶手段
逆回転時間の記憶手段C4B2は、ホームポジションに向けて電極クリーナ16を移動させるためにモータ9を逆回転させてから停止させるまでの時間である逆回転時間t1を記憶する。
TM1:計時タイマ
計時タイマTM1は、逆回転時間t1が経過したか否かの計時を行う。
【0057】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、実施例1のプリンタUにおける制御の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(電極クリーナの基準位置復帰処理のフローチャートの説明)
図9は実施例1の電極クリーナの基準位置復帰処理のフローチャートの説明図である。
図9のフローチャートの各ステップSTの処理は、前記プリンタUの制御部Cに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理はプリンタUの他の各種処理と並行して実行される。
図9に示すフローチャートはプリンタUの電源投入により開始される。
【0058】
図9のST1において、電源投入時の判別フラグFL1が「0」であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1に戻る。
ST2において、光センサSN1が電極クリーナ16の被検知部21bを検知したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST3に進み、ノー(N)の場合はST5に進む。
ST3において、モータ9の正回転、すなわち、電極クリーナ16の前方への移動を開始する。そして、ST4に進む。
ST4において、光センサSN1が電極クリーナ16の被検知部21bを検知していないか否か、すなわち、電源投入時にホームポジションから電極クリーナ16の位置が大きくずれているか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST7に進み、ノー(N)の場合はST4を繰り返す。
【0059】
ST5において、モータ9の逆回転、すなわち、電極クリーナ16の後方のホームポジションに向けた移動を開始する。そして、ST6に進む。
ST6において、光センサSN1が電極クリーナ16の被検知部21bを検知したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST7に進み、ノー(N)の場合はST6を繰り返す。
ST7において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST8に進む。
(1)モータ9の逆回転を開始する。なお、逆回転の駆動中は、逆回転を係属する。
(2)逆回転時間t1の計時を開始する。
【0060】
ST8において、逆回転時間t1が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST9に進み、ノー(N)の場合はST8を繰り返す。
ST9において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST1に戻る。
(1)モータ9の駆動を停止する。
(2)電源投入時の判別フラグFL1を「1」にする。
【0061】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた本発明の実施例1の画像形成装置Uでは、ワイヤ電極11と対向電極部材2+12とに電圧が印加されて、電位差が発生すると、放電が発生し、感光体Py〜Pk表面が帯電される。実施例1では、前記グリッド電極12により、電荷が一様に感光体Py〜Pkに供給され、一様に帯電される。
【0062】
帯電器CCy〜CCkにおける放電時に、帯電器CCy〜CCk内部には、オゾンOや窒素酸化物NO等の放電生成物が発生する。これら放電生成物はシールド電極2やグリッド電極12に付着する。放電生成物は、送風機により送られる風によって運ばれて、空気と共に一部が排出される。
実施例1の画像形成装置Uでは、電極クリーニング開始キーUI5の入力がされた場合や、累積印刷枚数が1000枚になる度に、電極クリーナ16が前後方向に沿って往復移動して、ワイヤ電極11およびグリッド電極12に付着した放電生成物の清掃が行われる。
【0063】
図10は実施例1の電極クリーナの説明図であり、電極クリーナがホームポジションから前方に少しずれた状態の説明図である。
帯電器CCy〜CCkが故障したり、寿命になったりすると、取り外して点検を行ったり、交換が行われる場合がある。このとき、帯電器CCy〜CCkを取り外す際や、新たな帯電器CCy〜CCkを装着する前に運搬してくる間に、従動カップリング7が回転することがある。従動カップリング7が回転すると、電極クリーナ16がホームポジションからずれて前方に移動することがある。このとき、光センサSN1が被検知部21bが検知不能な状態まで前方に移動すれば、ホームポジションから電極クリーナ16がずれていることを光センサSN1が検知可能である。しかしながら、光センサSN1の取付精度や、被検知部21bの部品精度、取付精度、電極クリーナ16の移動時のガタつき等が存在して、ホームポジションから移動し且つ光センサSN1が被検知部21bを検出でき無い状態となる恐れがある。この状態では、電極クリーナ16が帯電領域Q1の幅方向の端部に差し掛かって部分的な帯電不良を発生させる恐れがある。
【0064】
特に、ホームポジションから移動すると、図10に示すように、光センサSN1が被検知部21bを検出できず、且つ、電極11,12に、各クリーナ20,22,26のいずれかまたは全てが接触した状態となる恐れもある。特に、ワイヤ電極11にクリーナ22,26が接触した状態となると、電気抵抗が変動する恐れがあり、放電性能が、予め設定された性能に対して変化する恐れがある。したがって、光センサSN1で検出できずに、ホームポジションに戻らないまま帯電動作を開始すると、帯電不良が発生し、画像形成不良が発生する恐れがある。
【0065】
これに対して、実施例1の帯電器CCy〜CCkでは、着脱された可能性のある電源投入時に、電極クリーナ16を、光センサSN1が被検知部21bを検出しなくなるまで前方に移動させた後、後方のホームポジションに向けて移動させて、ホームポジションに確実に復帰させている。
したがって、特許文献1〜4に記載の技術に比べて、帯電不良や画像形成不良の発生が低減されている。また、特許文献1記載の技術では、モータが帯電器に支持されており、重量が重たくなって交換作業の負担が大きくなると共に、交換ユニットである帯電器自体が高費用化する問題もあるが、実施例1では、モータ9が画像記録装置U3に設けられており、これらの問題が解決されている。
【0066】
また、仮に、光センサSN1の検出結果に関わらず、最初から後方に向けて移動させることも考えられるが、電極クリーナ16がホームポジションに移動した状態から後方に向けて移動させると、モータ9に負荷がかかって故障の原因となったり、帯電器本体1が歪む等の問題が発生する恐れがある。これに比べて、実施例1の帯電器CCy〜CCkでは、一度、前方に移動させた後に後方に向けて移動させており、モータ9の故障や帯電器本体1の歪み等の問題の発生が低減されている。
【0067】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H08)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機に限定されず、プリンタ、FAX等の画像形成装置にも適用可能である。また、カラーの画像形成装置に限定されず、モノクロの画像形成装置にも適用可能である。さらに、タンデム型の画像形成装置に限定されず、ロータリ型の画像形成装置にも適用可能である。
【0068】
(H02)前記実施例において、ワイヤ電極11は、1本の線材の場合を例示したが、これに限定されず、2本の線材を有する構成等とすることも可能である。
(H03)前記実施例において、グリッド電極12は省略することが可能である。
(H04)前記実施例において、ワイヤ電極11に対してクリーナ22,26が接触、離間する構成を例示したが、クリーナ22,26がワイヤ電極11に常時接触する構成を採用することも可能である。
【0069】
(H05)前記実施例において、放電器の一例としての帯電器を例示したが、これに限定されず、放電器の他の例としての感光体Py〜Pkや記録用紙Sの除電器や補助帯電器、転写器T1y〜T1k,T2等としても使用可能である。
(H06)前記実施例において、電極クリーナ16を前後方向に移動させるための構成は、例示したシャフト6を使用する構成に限定されず、前後方向に移動可能な任意の構成を採用可能である。
(H07)前記実施例において、被検知部21bおよび光センサSN1を配置する位置は、実施例に例示した位置に限定されず、前後方向や左右方向の位置をずらす等、任意の位置に変更可能である。他にも、例えば、被検知部21bを帯電器本体1の外部に突出させて、光センサSN1を帯電器CCy〜CCkのユニットに配置せず、感光体Py〜Pk側に配置したり、画像形成装置の本体U3に配置して検知を行う構成とすることも可能である。
【0070】
(H08)前記実施例において、電極清掃部材20の構成は実施例に例示した構成に限定されず、設計等に応じて任意の構成を採用可能である。例えば、ブラシや布等の構成も任意の清掃可能な構成、例えば、スポンジ等に変更可能である。さらに、シールド電極1の内周面に接触する清掃部を設けてシールド電極2も清掃可能としたり、グリッド電極12の下面に接触する清掃部材を設けて、グリッド電極12の両面を清掃可能な構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…放電器本体、
2…第2の電極部材、
6+18+19…清掃移動部材、
7…被伝達部材、
8…伝達部材、
9…駆動源、
11…第1の電極部材、
12…第3の電極部材、
17…第3の清掃部、
21b…被検知部、
22,26…電極清掃部材、
24+27+28…清掃接触機構、
C4…移動制御手段、
CCy,CCm,CCc,CCk…放電器,帯電器、
Py,Pm,Pc,Pk…被放電部,像保持体、
S…媒体、
SN1…検知部材、
U…画像形成装置、
U3…被着脱体,画像形成装置の本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被放電部に対向して配置されると共に、被着脱体に対して着脱可能な放電器本体と、
前記放電器本体に支持され、線材により構成された第1の電極部材と、
前記第1の電極部材に対向して配置され、前記第1の電極部材との間に放電用の電圧が印加される第2の電極部材と、
前記第1の電極部材に接触可能に配置され、前記第1の電極部材の清掃を行う電極清掃部材と、
前記電極清掃部材に一体的に配置された被検知部と、
前記電極清掃部材が予め設定された基準位置に移動した場合において、前記被検知部を検知可能な位置に配置された検知部材と、
前記電極清掃部材を、前記第1の電極部材に沿って、前記基準位置に向かう方向と前記基準位置から離れる方向とに移動させる清掃移動部材と、
前記清掃移動部材の移動を制御する移動制御手段であって、前記放電器本体が前記被着脱体に装着された場合に、前記清掃移動部材を前記基準位置から離れる方向に移動させ、前記検知部が前記被検知部を検知不能になると、前記清掃移動部材を前記基準位置に向けて移動させて、前記基準位置に移動させる前記移動制御手段と、
を備えたことを特徴とする放電器。
【請求項2】
前記基準位置において前記第1の電極部材から前記電極清掃部材とを離間させると共に、前記基準位置から前記電極清掃部材が前記第1の電極部材に沿った方向に移動した場合に、前記第1の電極部材に前記電極清掃部材を接触させる清掃接触機構、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の放電器。
【請求項3】
前記第1の電極部材と前記被放電部との間に配置され、前記第1の電極部材との間に放電用の電圧が印加される第3の電極部材と、
前記第3の電極部材に接触可能に配置されて前記第3の電極部材の清掃を行う第3の清掃部を有する前記電極清掃部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の放電器。
【請求項4】
前記被着脱体に前記放電器本体が着脱された場合に前記被着脱体に支持された駆動源からの駆動が伝達される伝達部材に着脱可能に接続される被伝達部材を有し、前記被伝達部材に前記駆動源の正回転駆動が伝達された場合に前記電極清掃部材を前記基準位置に向かう方向に移動させると共に、前記被伝達部材に前記駆動源の逆回転駆動が伝達された場合に前記電極清掃部材を前記基準位置から離れる方向に移動させる前記清掃移動部材、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の放電器。
【請求項5】
媒体に画像を記録する画像記録部を有する画像形成装置の本体と、
前記画像形成装置の本体に対して着脱可能に装着される請求項1ないし4のいずれかに記載の放電器と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
画像を表面に保持して回転する像保持体と、
前記放電器により構成され、前記像保持体の表面を帯電させる帯電器と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記放電器により構成され、前記帯電器により帯電された前記像保持体の表面を除電する除電器、
を備えたことを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像を表面に保持して回転する像保持体と、
前記放電器により構成され、前記像保持体の表面の画像を媒体に転写する転写器と、
を備えたことを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−137678(P2012−137678A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291159(P2010−291159)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】