説明

放電型光触媒脱臭装置

【課題】異常放電をなくすようにする。
【解決手段】送風機3が配置された送風経路5内に、高電圧が印加されるプラス電極9とそのプラス電極9と対向するマイナス電極11と前記プラス電極9とマイナス電極11の間に配置された光触媒13とを設ける。
前記プラス電極9には、多数の貫通した孔を有する電極板15を所定の寸法に裁断して形成された裁断端部領域Aに端面19aが丸みのある電極カバー19によって被覆し、裁断端部から異常放電が起きるのを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫の脱臭に適する放電型光触媒脱臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に脱臭装置としては、活性炭等の吸着剤を用いる手段の外に長期間にわたって脱臭機能が得られる光触媒ユニットが用いられた脱臭装置が公知となっている(特許文献1参照)。
【0003】
光触媒ユニットが用いられた脱臭装置の概要は、光触媒フィルターユニットを挟んで設けられた放電電極と対極とから構成された構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−192940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脱臭装置の放電電極は、タングステン等のワイヤによって網目状に形成され高電圧が印加されることで対極へむかって高電圧放電が行なわれる。この高圧放電時の放電部位は一箇所に特定されるものではなく、網目状に作られた放電電極の電極面全面にわたる。
【0006】
これは、ワイヤ状もしくは三角形の頂点のようなエッジ部に電界が集中し放電しやすい性質があるために起こる現象であるが、放電電極の電極面にかぎらず、外周の枠部にエッジ部があるとその枠部からも放電する異常放電現象が起こる問題があった。
【0007】
また、放電電極を作るにあたって放電電極と枠部が一体構造のものであると仕様態様が異なる場合に各仕様態様の大きさのものをそれぞれ用意する必要があり、コストや加工性の面で望ましくない。
【0008】
そこで、本発明にあっては異常放電の発生を防止することができると共にコストの面においても大変好ましい放電型光触媒脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明にあっては、送風機が配置された送風経路内に、高電圧が印加されるプラス電極とそのプラス電極と対向するマイナス電極と前記プラス電極とマイナス電極の間に配置された光触媒とを備え、
前記プラス電極は、多数の貫通した孔を有する電極板を所定の寸法に裁断して形成され前記プラス電極の裁断端部領域は端面が丸みのある電極カバーによって被覆されていることを特徴とする。
【0010】
本発明を実施するにあたって、第1に前記プラス電極を、ハニカム構造体で形成し、中央部に放電部を形成することで、集中した放電が長期間にわたり安定して行なわれるようにすることが望ましい。
【0011】
第2に前記電極カバーを、プラス電極より薄い薄板材で形成することで、電極間の距離をできる限り小さく抑え異常放電が起きないようにすることが望ましい。
【0012】
第3に、前記電極カバーを、電極板の裁断端部に嵌め込むキャップ形状に作ることで、裁断端部に対する被覆状態を確実にし、かつ、迅速に完了できるようにすることが望ましい。
【0013】
第4に前記プラス電極の外周端部を、全領域にわたり電極カバーによって被覆することで、プラス電極からの異常放電が起きるのを確実に阻止できるようにすることが望ましい。
【0014】
第5に所定の寸法に裁断して形成されるマイナス電極の裁断端部を、電極カバーによって被覆することで、マイナス電極からの異常放電が起きないようにすることが望ましい。
【0015】
第6に前記マイナス電極の外周端部を、全領域にわたり電極カバーによって被覆することで、マイナス電極からの異常放電が起きるのをより確実に阻止できるようにすることが望ましい。
【0016】
第7に前記マイナス電極の裁断端部又は外周端部全領域にわたって設けられた電極カバーを、電極カバーと一体形状の電極接続部を備えるようにすることで、組立時の工程及び部品点数の削減が図れるようにすることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、所定のサイズに作られた電極板を設定された寸法に裁断してプラス電極とするため、余分なコストをかけずに各仕様態様に対して迅速に対応することができる。
【0018】
また、裁断した裁断端部領域は端面が丸みのある電極カバーによって被覆することができるため裁断箇所からの異常放電を確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる放電型光触媒脱臭装置のプラス電極を示した分解概要説明図。
【図2】プラス電極を作るための説明図。
【図3】放電型光触媒脱臭装置の概要断面説明図。
【図4】電極カバーを全周にわたって設けるようにした図1と同様の分解概要説明図。
【図5】電極カバーをキャップの形状とした概要説明図。
【図6】(a)(b)はマイナス電極を作るための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1乃至図6の図面を参照しながら本発明にかかる実施形態について具体的に説明する。
【0021】
図3は本発明にかかる放電型光触媒脱臭装置の概要切断側面図を示している。
【0022】
放電型光触媒脱臭装置1は、送風機3が配置され矢印の如く図面右側から左側へ向かって風が流れる送風経路5内に、オゾンを分解する触媒フィルタ7の外に高電圧が印加されるプラス電極9とそのプラス電極9と対向するマイナス電極11と前記プラス電極9とマイナス電極11の間に配置された光触媒13とを有し、光触媒13を挟んでプラス電極9とマイナス電極11とによりサンドイッチ状に重ね合せ結合された光触媒ユニットを構成している。
【0023】
プラス電極9は、図2に示す如くタングステン等の金属でできた帯板状の電極板15に凸部15aと凹部15bとを交互に屈曲加工し、各電極板15の凹部15bと凸部15aとを溶接Pすることで、強度と耐久性を備えた六角形のハニカム構造体の電極面が得られるようになっている。
【0024】
図1はハニカム構造体に形成されたプラス電極9を示しており、設計仕様に基づいて縦Aと横Bの寸法が決められている。本実施形態では縦Aと横Bの内、例えば横Bの寸法については図1仮想線で示す如くハニカム構造体の電極板15を横幅方向に沿って連続した長い形状に予め形成しておき、それを設定された横B幅の寸法に裁断して使用される。
【0025】
したがって、プラス電極9は、図2に示す如く横Bの寸法方向となる端面はエッジ部のない面状(図面左側)に形成される一方、切断線Xで裁断して形成される縦Aの寸法方向となる端面は角のあるエッジ部17が作られる。
【0026】
プラス電極9のエッジ部17の領域、即ち、裁断端部領域(縦Aの寸法)は、前記プラス電極9と同じ金属で作られた電極カバー19によって被覆され、異常放電の発生要素を被覆する手段をとっている。
【0027】
加えて、本発明にあっては、図1に示す如くハニカム構造体によって形成された電極板15の中央部に切欠した開口縁によってリング状のエッジ部を作り、そのエッジ部によって積極的に放電を催す放電部21を形成し、前記電極カバー19との組合せによって放電部19からのみ放電が行なわれる構造となっている。
【0028】
電極カバー19は、エッジ感のない丸みのある端部19aの形状となっていて、高電圧が印加される接続端子23が設けられている。電極カバー19の板厚は前記プラス電極9より薄い板厚形状となっていて、プラス電極9とマイナス電極11の放電距離に悪影響を与えることのない厚みとなっている。
【0029】
なお、電極カバー19は、図5に示す如く裁断端部領域(縦A)に対して嵌め込むことで、確実で安定した被覆状態が得られるキャップ形状としてもよい。また、電極カバー19は必ずしもプラス電極9の裁断端部領域(縦A)に特定して組付けるだけではなく、図4に示す如くプラス電極9の横B領域にわたって組付けることで、端面からの異常放電を確実に阻止することができるようにプラス電極9の全周にわたって電極カバー19を設けるようにしてもよい。
【0030】
光触媒13は、酸化チタンを含む多孔質セラミックで形成されている。光触媒13の酸化チタンは放電時に発生する紫外線を照射されることで空気中の酸素と水から過酸化水素と水素基ラジカルを生成し、この時の酸化力で臭い・ホルムアルデヒド等を分解、浮遊菌を除菌、不活性化する。
【0031】
一方、マイナス電極11は、図6に示す如く電極カバー29と網目状の電極面31と前記電極カバー29と一体形状の電極接続部33とを有する構造となっている。
【0032】
マイナス電極11を作るにあたって本実施形態では図6(a)に示す如く金属製の電極板35の両サイドに周縁部を残して千鳥配列の切れ目37と電極接続部33とをプレス成形した後、次の工程で電極板35を押し延ばしながら図6(b)に示す如く網目状の電極面31を形成するものである。
【0033】
これにより、2工程によってマイナス電極11が得られるようになると共に両サイドの周縁部が電極カバー29として機能するようになる。
【0034】
この場合、図6(b)に示す如く電極面31の上下端部にも電極カバー19を設け、全周にわたって電極カバー19が設けられた形状としてもよい。
【0035】
このように構成された放電型光触媒脱臭装置によれば、プラス電極9に高電圧が印加されることでプラス電極9の放電部21から高電圧放電が行なわれる。
【0036】
この高電圧放電時、強度、耐久性を備えたハニカム構造体の電極板15によって長期間にわたり安定した放電が得られる。
【0037】
また、電極カバー19によって被覆された裁断端面領域(縦A)からは異常放電は発生しない。
【0038】
また、放電部21によって集中した高電圧放電が安定して得られるようになる。
【符号の説明】
【0039】
3 送風機
5 送風経路
7 触媒フィルタ
9 プラス電極
11 マイナス電極
13 光触媒
15 プラス電極の電極板
17 エッジ部
19 電極カバー
19a 端面
21 放電部
29 マイナス電極の電極カバー
33 電極接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機が配置された送風経路内に、高電圧が印加されるプラス電極とそのプラス電極と対向するマイナス電極と前記プラス電極とマイナス電極の間に配置された光触媒とを備え、
前記プラス電極は、多数の貫通した孔を有する電極板を所定の寸法に裁断して形成され前記プラス電極の裁断端部領域は端面が丸みのある電極カバーによって被覆されていることを特徴とする放電型光触媒脱臭装置。
【請求項2】
前記プラス電極は、ハニカム構造体で形成されると共に中央部に放電部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の放電型光触媒脱臭装置。
【請求項3】
前記電極カバーは、プラス電極より薄い薄板材で形成されていることを特徴とする請求項1記載の放電型光触媒脱臭装置。
【請求項4】
前記電極カバーは、電極板の裁断端部に嵌め込むキャップ形状に作られていることを特徴とする請求項1記載の放電型光触媒脱臭装置。
【請求項5】
前記プラス電極の外周端部は、全領域にわたり電極カバーによって被覆されていることを特徴とする請求項1記載の放電型光触媒脱臭装置。
【請求項6】
所定の寸法に裁断して形成されるマイナス電極の裁断端部は、電極カバーによって被覆されていることを特徴とする請求項1記載の放電型光触媒脱臭装置。
【請求項7】
前記マイナス電極の外周端部は、全領域にわたり電極カバーによって被覆されていることを特徴とする請求項1記載の放電型光触媒脱臭装置。
【請求項8】
前記マイナス電極の裁断端部又は外周端部全領域にわたって設けられた電極カバーは、電極カバーと一体形状の電極接続部を備えていることを特徴とする請求項1、6、7のいずれかに記載の放電型光触媒脱臭装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−214001(P2010−214001A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66694(P2009−66694)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】