説明

放電灯点灯装置

【課題】 休止時間を適当に設定したことで、発光効率の向上と点灯を確実とした放電灯点灯装置を提供すること。
【解決手段】 トランスT1を介して希ガス放電灯に加える、互いに180度位相の異なる2つの駆動信号を発生する点灯装置であって、前記駆動信号の周波数を定める第1の制御回路11と、この第1の制御回路11が出力する、互いに位相の異なる2つの制御信号の同時にオフとなる休止時間を設定する第2の制御回路12と、この第2の制御回路の出力を供給され、前記トランスに前記駆動信号を供給する第1、第2のスイッチング素子とを備えて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、スキャナなどの画像読取用光源を点灯させる放電灯点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、スキャナ、ファクシミリなどの画像読取用光源として蛍光ランプが用いられている。これらの外部電極型の蛍光ランプでは、通常、180度位相の異なる矩形波を駆動信号として、加えて放電を行わせる。
【0003】
この駆動信号については、効率や輝度変動の防止のための工夫がなされている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−160497公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記駆動パルスの両方がオン状態になると、電源短絡などの不都合が生ずるので、通常、これらの駆動パルス両方がオフになる時間(休止時間)を設けて、回路を保護する。この休止時間は、発光効率などを考慮して予め所定値に設定されるが、駆動パルスの周波数などが変わると休止期間が変化してしまい、発光効率が適切でなくなるなどの問題点があった。
【0005】
また、点灯開始時には、瞬時的に高い駆動パルスを加える必要があり、そのためには、上記休止期間が短いほうが好ましいが、このような場合に従来の点灯装置では休止期間を変えることができないという問題点もあった。
【0006】
本発明は、休止時間を適当に設定したことで、発光効率の向上と点灯を確実とした放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1によれば、トランスを介して希ガス放電灯に加える、互いに180度位相の異なる2つの駆動信号を発生する点灯装置であって、前記駆動信号の周波数を定める第1の制御回路と、この第1の制御回路が出力する、互いに位相の異なる2つの制御信号の同時にオフとなる休止時間を設定する第2の制御回路と、この第2の制御回路の出力を供給され、前記トランスに前記駆動信号を供給する第1、第2のスイッチング素子と、を備えて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、休止時間を適当に設定することが可能な放電灯点灯装置が得られる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の放電灯点灯装置は、ガラス管内に1種類以上の希ガスが封入された、いわゆる希ガス放電灯を点灯する装置である。
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1に本発明一実施形態による放電灯点灯装置の全体の構成例を示す。この放電灯点灯装置10は、直流電圧を供給されるコネクタCN1と、このコネクタに並列に接続されているコンデンサC1と、上記コネクタCN1に一次側巻線の中点を接続されるトランスT1と、このトランスT1の二次側巻線に抵抗R1を介して接続され外部電極型放電灯が接続されるコネクタCN2と、このコネクタCN2と抵抗R1の間の点に直列に接続されたダイオードD1、抵抗R2、コンデンサC2と、この抵抗R2とコンデンサC2の接続点に接続されたトランジスタQ1と、上記トランスT1の一次側巻線の両端に各々ドレインを接続された電界効果トランジスタFET1、FET2と、これらの電界効果トランジスタFET1,FET2のベースに各々並列接続された抵抗R3,R4、R5,R6と、上記コネクタCN1に接続され、FET1,FET2の駆動信号を生成すると、この第1の制御回路の出力からFET1,FET2が同時にオフになる休止時間を決める第2の制御回路12とから成る。
【0011】
トランジスタQ1のエミッタは、電界効果トランジスタFET1,FET2のソース及び抵抗R4,R6の他端に接続されており、このトランジスタQ1の出力は第2の制御回路12に入力されている。
【0012】
第1の制御回路11は、鋸波状の電圧を発生し、この鋸波状電圧の立下りから、鋸波状電圧と入力の直流電圧を比較して同電位になったときにオフとなる互いに位相が180度異なる矩形波を発生して出力A,Bとして出力する。
【0013】
第2の制御回路12の回路構成例を図2に示す。この制御回路12は2つの増幅器AP1,AP2を有している、増幅器AP1の+側入力端子には第1の制御回路11の出力SAが抵抗21を介して入力され、この入力端子と接地間にはコンデンサC21が接続される。一方、増幅器AP2の+側入力端子には第1の制御回路11の出力SBが抵抗22を介して入力され、この入力端子と接地間にはコンデンサC22が接続されており、これらの抵抗とコンデンサが時定数回路を形成する。
【0014】
増幅器AP1の−入力端子には抵抗23が接続されこの抵抗23の他端は電源電圧と抵抗R24に接続されている。この抵抗24は上記図1のトランジスタQ1と接続され、トランジスタQ1のオン,オフに応じて第2の制御回路が制御される。
【0015】
増幅器AP1の−入力端子は抵抗25と抵抗26及び増幅器AP2の−入力端子に接続されている。抵抗R25の他端は接地され、抵抗R26の他端はトランジスタQ21に接続されている。増幅器AP1の出力SCは抵抗R3を介して電界効果トランジスタFET1にまた増幅器AP2の出力SDは抵抗R5を介して電界効果トランジスタFET2に制御信号として供給される。
【0016】
上記図3及び図4により、放電灯点灯装置において、点灯信号の周波数が変わっても両方の電界効果トランジスタFET1,FET2のオフになる休止時間がほぼ変わらないことを説明する。
【0017】
直流電圧がV1とすると、第1の制御回路11から、位相の異なる2つの矩形波の制御信号が第2の制御回路12に入力される。このとき増幅器AP1に入力される信号の立ち上がりは、図3(a)に示すように抵抗R21とコンデンサC21により定まる時定数で立ち上がる。一方、増幅器AP2に入力される信号の立ち上がりは、図3(b)に示すように抵抗R22とコンデンサC22により定まる時定数で立ち上がる。この信号が直流電圧V1と比較される。
【0018】
したがって、第2の制御回路12から抵抗R3を介して電界効果トランジスタFET1のベースに加わる制御信号は、図3(c)に示すようになる。一方、第2の制御回路12から抵抗R5を介して電界効果トランジスタFET1のベースに加わる制御信号は、図3(d)に示すようになる。
【0019】
ところで、点灯信号の周波数が図4(a)(b)に示すように、高くなったとする。この場合にも、第2の制御回路に入力される信号の立ち上がりは、増幅器AP1,AP2の+入力端子に接続されている時定数回路により、図4(c)(d)に示すような波形となり、この場合の休止時間t21,t22は上記図4の場合と変わらない。
【0020】
即ち、第2の制御回路12において、抵抗R21,R22とコンデンサC21,C22で各々構成される時定数回路により休止期間が決定されることになる。
【0021】
ところで、放電管の点灯前には休止期間を短くした方が、点灯が容易である。本発明の上記実施形態によれば、点灯開始時に休止期間を短くすることができることを図5の波形図及び図1、図2を用いて説明する。
【0022】
図1で、コネクタCN2に接続された図示していない放電灯が消灯状態にあるときには、ダイオードD1,抵抗R2には電流が流れず、トランジスタQ1はオフ状態にある(図5(a))。このとき、第1の制御回路11の出力SA,SBは、図5(b)(c)に示すようになるとすると、第2の制御回路12の出力SC,SDは、図5(d)(e)に示すようになる。このとき第2の制御回路12の増幅器AP1,AP2の+入力端子前に設けられている時定数回路に応じて過渡特性により各矩形波が変形され、この波形はVIに対応した直流電圧と比較されるので、電界効果トランジスタFET1,FET2の出力信号には、図5(f)(g)の前半に示すような休止時間が生じている。この休止時間は、図示するように時間t51である。
【0023】
そして、時刻T50で放電灯がオン状態になると、ダイオードD1及び抵抗R2に電流が流れ、トランジスタQ1がオン状態となり、第2の制御回路12に入力される電圧は図5(a)に示されるように低くなる。そして第2の制御回路12の増幅器AP1,AP2で比較される直流電圧が、図5(d)(e)の波形51で示されるように少し上がる。
【0024】
このため、上記波形51と入力信号と比較されて生成される電界効果トランジスタFET1、FET2の出力の駆動信号は、図5(f)(g)に示すように休止時間は時間t52となる。この時間t52は上記時間t51よりも長くなっており、換言すれば放電灯点灯開始前は点灯開始後よりも休止時間が短くなっていることがわかる。
【0025】
このように、点灯開始前には、休止時間を短くし放電灯に印加する出力電圧を高くし、点灯を確認して休止期間を長くすることにより、放電灯を容易に点灯させると共に点灯時の放射ノイズを低減することが可能である。
【0026】
上記実施形態では、駆動信号を発生する素子として電界効果トランジスタFET1,FET2を用いた場合について述べたが、本発明では一般的なスイッチング素子を用いることができる。上記実施形態では、トランスの二次側に接続された増幅器のオンオフにより第2の制御回路の比較直流電圧を変える場合について説明したが、これについても一般的なスイッチング素子を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明一実施形態の構成例を示す図。
【図2】図1の第2の制御回路の回路構成例を示す図。
【図3】本発明一実施形態において所定周波数における休止時間を説明するための図。
【図4】本発明一実施形態において他の周波数における休止時間を説明するための図。
【図5】本発明一実施形態において放電灯開始時の休止時間を説明するための図。
【符号の説明】
【0028】
CN1,CN2・・・コネクタ、
C1,C2,C21,C22・・・コンデンサ、
T1・・・トランス、
D1・・・ダイオード、
Q1,Q21・・・トランジスタ、
FET1,FET2・・・電界効果トランジスタ、
R1〜R6,R21〜R25・・・抵抗、
11・・・第1の制御回路、
12・・・第2の制御回路
AP1,AP2・・・増幅器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスを介して希ガス放電灯に加える、互いに180度位相の異なる2つの駆動信号を発生する点灯装置であって、
前記駆動信号の周波数を定める第1の制御回路と、
この第1の制御回路が出力する、互いに位相の異なる2つの制御信号の同時にオフとなる休止時間を設定する第2の制御回路と、
この第2の制御回路の出力を供給され、前記トランスに前記駆動信号を供給する第1、第2のスイッチング素子と、
を備えて成ることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記第2の制御回路は、前記第1の制御回路から供給される制御信号を入力される時定数回路を有し、この時定数回路の出力を所定の直流電圧と比較することにより、前記休止時間を設定することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
トランスを介して希ガス放電灯に加える、互いに180度位相の異なる2つの駆動信号を発生する点灯装置であって、
前記駆動信号の周波数を定める第1の制御回路と、
前記第1の制御回路から供給される制御信号を時定数回路を有し、この時定数回路の出力を所定の直流電圧と比較することにより、互いに位相の異なる2つの制御信号の同時にオフとなる休止時間を設定する第2の制御回路と、
この第2の制御回路の出力を供給され、前記トランスの一次側巻線に前記駆動信号を供給する第1、第2のスイッチング素子と、
前記トランスの二次側巻線に接続され前記希ガス放電灯に駆動電圧が印加されるとき、オンとなる第3のスイッチング素子とを備え、
前記第3のスイッチング素子がオンオフしたとき前記直流電圧を変えることにより、前記希ガス放電灯の開始前の前記休止時間を短くすることを特徴とする放電灯点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−12456(P2006−12456A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183888(P2004−183888)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】