放電装置
【課題】放電装置の電子放出効率を向上させることを課題とする。
【解決手段】放電装置1は、透光性を有する中空体2と、この中空体2の内部に設けられた蛍光層3と、この中空体2の内部に封止された放電ガス4と、この放電ガス4に電圧を印加するため、中空体2の内部又は外部に配置された、少なくとも一対の電極5と、中空体2の内部に設けられたナノダイヤモンド7とを備える。また、電極5を、中空体2の外部に配置し、ナノダイヤモンド7を、中空体2の内面における、中空体2を介して電極5と対向する位置に配置する。
【解決手段】放電装置1は、透光性を有する中空体2と、この中空体2の内部に設けられた蛍光層3と、この中空体2の内部に封止された放電ガス4と、この放電ガス4に電圧を印加するため、中空体2の内部又は外部に配置された、少なくとも一対の電極5と、中空体2の内部に設けられたナノダイヤモンド7とを備える。また、電極5を、中空体2の外部に配置し、ナノダイヤモンド7を、中空体2の内面における、中空体2を介して電極5と対向する位置に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極を用いて放電を行う放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、照明用光源や液晶表示装置のバックライト用光源等として、放電装置が広く利用されている。この放電装置は、その内部に配置される陰極の種類に基づいて、冷陰極放電装置と熱陰極放電装置とに大別される。
【0003】
このうち、冷陰極放電装置は、概略的には、内面に蛍光層を形成したガラス管の内部に、一対の冷陰極タイプの電極を配置すると共に放電ガスを封入して構成されている。このような構成において、電極に導入線を介して交流電圧を印加すると、プラス側の電極に引かれたガラス管内の電子が放電ガスと衝突して増殖し、この増殖した電子や放電ガスが電極に衝突して2次電子を放出させることで放電が発生する。そして、この放電による2次電子が水銀に衝突してこれを励起させ、励起した水銀が紫外線を放射して蛍光体を励起することで、この蛍光体から可視光が発光される。
【0004】
一方、熱陰極放電装置は、冷陰極放電装置と同様の構成のうち、冷陰極に代えて一対の熱陰極タイプの電極を備えて構成されている。この電極は、フィラメントに電子放出物質であるエミッタを設けて構成されている。このような構成において、電極に交流電圧を印加すると、通電によって高温になったエミッタから電子が放出され、この電子が対極の電極に移動することによって放電が発生する。そして、この放電が各電極の相互間で繰り返され、この放電により、冷陰極放電装置と同様に可視光が発光される。
【0005】
このように構成された冷陰極放電装置や熱陰極放電装置において、装置全体の発光効率を高めるためには、電極からの電子放出効率を高めることが考えられる。特に、冷陰極放電装置は、熱陰極放電装置に比べて、簡易な構成で安定的発光を得ることができるという利点を有する反面、電極の近傍での電圧降下が大きいために発光効率が悪いという不利な点を有するため、電極での電子放出効率を高めることが要望されている。さらに、冷陰極放電装置や熱陰極放電装置のいずれにおいても、環境問題の観点から、中空体内部に封止されている水銀を低減することが求められており、この水銀の低減化に応じて生じる発光効率の低下を、電極からの電子放出効率を高めることで補いたいとの要望がある。
【0006】
このような観点から、電極にダイヤモンド膜を設けることが提案されている。すなわち、ダイヤモンドの微粒子を電極の表面に付着等させてダイヤモンド膜を形成することで、電極の電子放出効率を向上させることができる(例えば、特許文献1には、粒径0.01μm〜10μmのダイヤモンドを熱陰極に付着させた構成が開示されている)。これは、ダイヤモンドは、負又は極めて低い電子親和力を有しており、真空準位に対してほとんど放出障壁がないため、電子や放電ガスが電極に衝突した際に、二次電子が電極から飛び出し易いためである。
【0007】
【特許文献1】特開2000−106130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本願発明者は、単に一般的な粒子径0.01μm〜10μmのダイヤモンド膜を電極に設けただけでは、電極の電子放出効率が必ずしも充分に向上しないことを見出した。すなわち、一対の電極には交流電圧が印加されているため、これら電極は実際には陰極及び陽極に交互に切り替えられる。ここで、電極が陰極に切り替えられている際(以下、陰極サイクルと称する)においては、電極から電子が放出されるために当該電極には正孔が形成される。一方、電極が陽極に切り替えられている際(以下、陽極サイクルと称する)においては、電極に形成された正孔に電子が注入され、この電子が励起状態から基底状態に戻るために、これら励起状態と基底状態との差に対応したエネルギーが生じ、このエネルギーが光として放出され得る(以下、注入発光効果と称する)。しかしながら、一般的な粒子径0.01μm〜10μmのダイヤモンド膜を用いた場合、陽極サイクルにおいて、価電子帯に励起された電子が発光を伴わずに基底状態に戻ってしまい、励起状態と基底状態との差に対応したエネルギーが光ではなく熱として放出されてしまう確率が高いため、電極の注入発光効果を充分に発揮させることができなかった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電子の注入発光効果を高めること等のできる、放電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る放電装置は、透光性を有する中空体と、前記中空体の内部に封止された放電ガスと、前記中空体の内部に設けられた蛍光層と、前記放電ガスに電圧を印加するため、前記中空体の内部又は外部に配置された、少なくとも一対の電極と、前記中空体の内部に設けられたナノダイヤモンドとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る放電装置によれば、陰極サイクルにおいては、高γ効果を得ることができるために発光効率を向上させることができ、さらに、陰極サイクルにおいても、ナノダイヤモンドの個々の粒子がナノサイズ化されていることによって量子閉じ込め効果が高くなるため、注入発光効果による直接発光の確率が高くなり、従来よりも高い確率で電子の注入発光効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る放電装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。この実施の形態1では、外部電極型の冷陰極放電装置において、中空体の内面のうち、当該中空体を介して電極(冷陰極)と対向する内面に、ナノダイヤモンドを配置した例について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態1に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図1に例示するように、放電装置1は、外囲器としての中空体2と、この中空体2の内面に形成された蛍光層3と、中空体2の内部に収容された放電ガス4と、中空体2の外部に配置された一対の電極5とを備えて構成されている。
【0015】
このうち、中空体2は、中空管状の密閉構造体として形成されており、その内部空間に放電ガス4が封止されている。この中空体2は、透光性を有する素材、例えば透明なガラスにて形成されており、その内部の蛍光層3から発光された可視光を当該中空体2の外部に透過させる。また、蛍光層3は、紫外線にて励起されて可視光を発光する蛍光体から構成されており、この蛍光体を中空体2の内面に塗布等することで形成されている。なお、これら中空体2と蛍光層3とは、それぞれ特許請求の範囲における中空体と蛍光層とに対応する。
【0016】
また、放電ガス4は、不活性ガス及び水銀を含んで構成されている。このうち、不活性ガスは、中空体2の内部で放電を発生させるためのもので、例えば、Ar、Ne、又は、Xeの如き希ガスを、単体で又は混合して構成されている。また、水銀は、電子や不活性ガスと衝突して励起されることで紫外線を発生させることにより、蛍光層3を励起するものである。この他、放電ガス4としては任意のガス、例えば微量の水素を含めることができ、この場合には、後述するナノダイヤモンド7の表面を終端している水素が不活性ガスとの衝突によって失われた場合においても、この水素終端を維持することができる。これら放電ガス4の各成分は、所定の分圧比で中空体2に封入されている。なお、放電ガス4は、特許請求の範囲における放電ガスに対応する。
【0017】
また、電極5は、放電を行うもので、特許請求の範囲における電極に対応する。具体的には、電極5は、中空体2の長手方向の両端の外部にそれぞれ設けられており、リード線6を介して図示しない電源に接続され、交流電圧を印加されることによって、陰極及び陽極に交互に連続的に切替えられる。
【0018】
ここで、中空体2の内部には、ナノダイヤモンド7が設けられている。このナノダイヤモンド7は、電極5の電子の放出効率及び注入発光効果を高めるためのもので、特許請求の範囲におけるナノダイヤモンドに対応する。具体的には、ナノダイヤモンド7は、中空体2の内面のうち、当該中空体2を介して電極5と対向する内面に、すなわち、中空体2の長手方向の両端の内面に配置されている。このナノダイヤモンド7は、従来の一般的な粒子径のダイヤモンドよりも電子放出効率を高めるために微粒子化されたもので、例えば、1000nm以下、好ましくは200nm以下の粒子径のダイヤモンドカーボンクラスタとして構成されている(このような粒径を採用する理由については後述する)。
【0019】
このナノダイヤモンド7の形成面積に関しては、概略的には面積が広い程に電子放出効率が向上するため、形成面積は広い方が好ましく、例えば、中空体2の両端の内面のうちの略全域に配置されている。また、ナノダイヤモンド7の層厚に関しては、少なくともスパッタ等にて生じ得るナノダイヤモンド7の破損や剥がれによる機能不全を生じない程度の層厚にて形成されることが好ましく、例えば、粒子レベルで10〜1000層、層厚で数十nm〜数十μmにて形成される。
【0020】
このようなナノダイヤモンド7は、パウダーあるいは水溶液、コロイド等の任意の形態のものを用いることができる。特に、ナノダイヤモンド7の発光効率を向上させるためには、FeやNiなどの金属不純物を含まないほうが望ましく、触媒法によらない爆発合成ナノ粒子は好適である。さらに、ナノダイヤモンド7の表面は、グラファイトやアモルファスカーボンなどの成分が極力少ないことが望ましく、このためには加熱した酸で前記のような非ダイヤモンド成分をエッチングしつつ洗浄することが望ましい。また、ナノダイヤモンド7の成分としては、純粋なダイヤモンドにて形成されたものの他、燐、窒素、又は、硫黄等のn型を示すものや、ボロン等のp型を示す物質を不純物としてドープしたものを用いることができる。
【0021】
このように構成されたナノダイヤモンド7を中空体2の内部に配置するための方法については任意であり、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)にてナノサイズのダイヤクラスタを含む膜を成膜することができる。あるいは、電極5にナノダイヤモンド7を塗布した後、これを焼結されて固着しても良い。また、CVD成膜した膜をそのまま用いても良いが、より安定に長寿命を得るためには、ナノダイヤモンド7の表面を酸等で洗浄することが望ましい。さらに、成膜に際しては、中空体2の表面をあらかじめ十分に処理し、ナノダイヤモンド7が稠密でかつ十分な強度で固着されるようにすることが望ましい。この事前処理としては、中空体2の表面を洗浄後、ナノダイヤモンド7の微粒子を表面に塗布することも有効である。さらに、中空体2の表面に対して、バイアス印加条件下で炭素系原料ガスを流し、プラズマ処理することも有効である。
【0022】
これらの処理は、本実施の形態1のように中空体2が通常である場合には、その耐熱温度範囲内及び機械強度範囲内で行う必要があり、ナノダイヤモンド7の膜の成長と併せて、通常は500℃以下の温度で行うことが望ましい。また、放電装置1によっては、ナノダイヤモンド7を大面積に形成することが求められるため、中空体2の領域のうち、必要に応じて前処理により核形成する領域を限定し、全体として中空体2のそりが低減されるようにすることが望ましい。あるいは、CVD以外の方法によるナノダイヤモンド7の配置も可能である。例えば、ナノダイヤモンド7は微粒子であるが故に顔料等と類似した塗布性を有するため、中空体2の内部に塗布することができる。なお、固着力を増すために、ナノダイヤモンド7に各種樹脂等のバインダー剤を添加しても良い。
【0023】
このように構成された放電装置1は、基本的には、従来の放電装置と同様に動作する。すなわち、電極5に交流電圧を印加すると、この電極5に引かれた中空体2の内部の電子が放電ガス4と衝突して増殖し、この増殖した電子や放電ガス4がナノダイヤモンド7に衝突して2次電子を放出させることで放電が発生する。そして、この放電による2次電子が水銀に衝突してこれを励起させ、励起した水銀が紫外線を放射して蛍光体を励起することで、この蛍光体から可視光が発光される。
【0024】
ここで、本実施の形態1においては、ナノダイヤモンド7を用いているために以下の顕著な効果が発揮される。すなわち、陰極サイクルにおいては、図2に模式的に示すように、ナノダイヤモンド7は、従来のダイヤモンドと同様に、負又は極めて低い電子親和力を有しており、真空準位に対してほとんど放出障壁がないため、電子や放電ガス4がナノダイヤモンド7の表面層に衝突した際に、この衝突エネルギーによって価電子帯から伝導帯に容易に励起(オージェ中和)され、ナノダイヤモンド7から二次電子が容易に放出される(以下、高γ効果と称する)。特に、ナノダイヤモンド7の個々の粒子がナノサイズ化されていることによって、ナノダイヤモンド7の粒子内における電子個々の閉じ込め効果(以下、量子閉じ込め効果と称する)が高くなるため、電子が抜けた後に残る正孔がナノダイヤモンド7の粒子内に保持され易くなる。
【0025】
更に、本願出願人は、電極5に印加される電圧が負から正に反転した際の陽極サイクルにおいては、注入発光効果の確率が高くなることを見出した。すなわち、陽極サイクルにおいては、図3に模式的に示すように、ナノダイヤモンド7の各粒子内に高い割合で保持された正孔に対して電子が飛び込むため、高い確率で電子と正孔とが再結合する。更に、ナノダイヤモンド7の個々の粒子がナノサイズ化されていることによって、量子サイズ効果によるバンド構造の変化が生じ、このことが発光効率の向上に寄与する。すなわち、一般の粒子径のダイヤモンドは、バルクではいわゆる間接遷移型であり、非発光遷移する確率が高いのに対して、ナノサイズ化されたダイヤモンドは、いわゆる直接遷移型であり、発光遷移する確率が高まる。これによって、電子と正孔との注入発光効果による直接発光の確率が高くなり、従来よりも高い確率で注入発光効果を得ることができる。ここで、ダイヤモンドは、ワイドギャップであることから、電子の直接注入によって得られた光には真空紫外領域の波長が含まれる。したがって、通常の放電プラズマの励起紫外線波長と近い波長の光を放出することができ、これによって蛍光体を一層効率よく励起して可視光を得ることができる。
【0026】
このような効果は、ナノダイヤモンド7を電極5の近傍に配置することによって一層向上する。すなわち、このように配置した場合には、陰極サイクルにおいては、放電ガス4の陽イオンが高い確率で電子に衝突するために、一層の高γ効果を得ることができる。さらに、陽極サイクルにおいては、電極5に引き寄せられた電子がより高い確率でナノダイヤモンド7に衝突するために、一層の注入発光効果を得ることができる。このような点に鑑みて、本実施の形態1においては、上述のように、中空体2を介して電極5と対向する内面、換言すれば、中空体2の内部において電極5に最も近い位置に、ナノダイヤモンド7を配置している。ただし、このような効果を無視できる場合には、中空体2の内部における任意の位置にナノダイヤモンド7を配置しても良い。あるいは、電極5に対応する位置に加えて、他の位置にもナノダイヤモンド7を配置することができる。
【0027】
次に、このような効果を得るために好ましいナノダイヤモンド7の粒径について考察した結果について説明する。図4は、ダイヤモンドの粒径と量子閉じ込め効果との関係を示したグラフである(出典:Y. K. Chang, et al., "Quantum Confinement Effect in Diamond Nanocrystals Studies by X-Ray-Absorption Spectroscopy," Fig. 4, Physical Review Letters, June 28, 1999, Volume 82, Number 26)。この図4において、横軸はダイヤモンドの粒径、縦軸はエネルギー位置を示す。この図から明らかなように、ダイヤモンドの粒径が小さくなるにつれて、量子閉じ込め効果が大きくなり、バンド構造が変化する。この変化は、1000nmを切るぐらいから明らかになり、数百nm以下、特に、20〜30nm以下では顕著である。この図4の結果は、あくまで量子閉じ込め効果に関するものであり、ダイヤモンドの発光効率に関するものではないが、本件出願人は、上記のように量子閉じ込め効果と発光効率との関係を見出し、この量子閉じ込め効果の変化傾向が発光効率についても適用できることを見出した。
【0028】
また、図5は、カソードルミネッセンス(CL)発光時の発光波長と光強度との関係を示したグラフであり、本件出願人による実験結果を示すものである。この図5において、横軸は発光波長、縦軸は光強度を示す。この図5においては、粒径約150nmのナノダイヤモンド7による光強度と、多結晶ダイヤ膜による光強度とがプロットされている。なお、光強度はオフセットされて示されているため、実際には、ナノダイヤモンド7による最低光強度と、多結晶ダイヤ膜による最低光強度とが、相互に略対応する。この図から明らかなように、ナノダイヤモンド7による光強度は、多結晶ダイヤ膜による光強度よりも明らかに強く、ナノダイヤモンド7の方が多結晶ダイヤ膜よりも高強度で発光することが判る。これら図4及び図5から、ナノダイヤモンド7の粒径としては、量子閉じ込め効果が大きくなる1000nm以下であることが好ましく、さらには、光強度が高くなる150〜200nm以下、特に20〜30nm以下であることがより好ましい。なお、発光波長は、ナノダイヤモンド7中の不純物濃度によって変化し、不純物濃度が少なくなると発光波長が短くなる。従って、ナノダイヤモンド7中の不純物濃度を調整することで、発光波長を調整可能である。
【0029】
次に、中空体2の内面にナノダイヤモンド7を配置する具体的構造の変形例について説明する。図6には、ナノダイヤモンド7が配置された中空体2の拡大断面図を示す。この図6に示すように、中空体2の内面は、多数の凸部2aや凹部2bが形成されることによって粗面化されている。そして、この粗面化された内面にナノダイヤモンド7が配置されている。このような粗面化の具体的方法については任意であるが、例えば、サンドブラスト法、化学エッチング法、あるいは、ダイヤモンドによる粗面化処理を挙げることができる。サンドブラスト法では、中空体2の内面に小径粒子を噴射することで、この内面に傷を付けて粗面化する。また、化学エッチング法では、中空体2の内面をフッ酸を含有する無機酸にて処理し、エッチングを生じさせることによって、この内面に凹凸を形成して粗面化する。また、ダイヤモンドによる粗面化処理では、ダイヤモンド微粒子のスラリーを中空体2の内面に直接こすり付けることで、この内面に傷を付けて粗面化する。この他にも、例えば、タイヤモンド微粒子を含む懸濁液中に中空体2の少なくとも内面を配置し、この懸濁液に超音波を与えることでダイヤモンド微粒子を内面に衝突させ又はめり込ませ、この内面に傷を付けたり、この内面にダイヤモンド微粒子の種付けを行うことができる。特に、この超音波を用いた方法では、中空体2の内面を粗面化すると同時に、この内面にナノダイヤモンド7を配置できるので、粗面化とダイヤモンド配置とを別工程で行う場合に比べて、製造工程の簡易化を図ることができる。
【0030】
このように粗面化した中空体2の内面にナノダイヤモンド7を配置することの利点は下記の通りである。すなわち、ナノダイヤモンド7のうち、内面の凸部2aに配置されたナノダイヤモンド7は、内面の凹部2bに配置されたナノダイヤモンド7に比べて、より中心側(中空体2の長手方向における中央側)に配置されることになる。このようにナノダイヤモンド7の高さを不均一化した場合、凸部2aに配置されたナノダイヤモンド7に電子が衝突する確率は、凹部2bに配置されたナノダイヤモンド7に電子が衝突する確率よりも高くなると予想され、電界の局所集中を生じさせることができ、ひいては、発光効率を向上させることができる。特に、放電開始時においては、電界の局所集中の効果によって、放電開始電圧を低下させることができる。
【0031】
また、粗面化した内面は、単に平滑な内面に比べて、光の散乱効率が良いため、外部に光を取り出しやすくなり、放電装置1の全体としての発光効率が向上する。これは、平滑な内面に浅い角度で光が入射した場合には、この光が内面によって反射されて外部に放出されないことになるが、粗面化した内面に光が同様な角度で入射した場合には、この粗面化した内面に対しては深い角度で入射することになるために、光が外部に放出される場合があるからである。あるいは、内面で光が反射されても、この反射光が直ちに他の内面の凸部に照射されるために(例えば、図6の光線L1)、この光が最終的には外部に放出される可能性が高まるためである。また、このように光が散乱することによって、中空体2の外部から見たときの発光の均一性が向上するので、放電装置1の全体における発光の均一性を高めることができる。従って、これらの効果が最も高くなるように、中空体2の内面の粗面化の程度や、ナノダイヤモンド7の層厚を決定することが好ましい。
【0032】
更に、中空体2の内面にナノダイヤモンド7を配置する具体的構造の他の変形例について説明する。図7には、ナノダイヤモンド7が配置された中空体2の拡大断面図を示す。この図7の例では、図6の例と異なり、中空体2の内面が略平滑化されている。そして、この内面には、通常の粒径(例えば、0.01μm〜10μm)のダイヤモンド8が配置されており、さらにその表面に、ナノダイヤモンド7が配置されている。より詳細には、局所的に、中空体2の表面にナノダイヤモンド7が配置されて一重構造を形成している部分と、ダイヤモンド8とナノダイヤモンド7との2重構造になっている部分とが存在する。このような構造においても、上記のように中空体2の内面を粗面化した場合と略同様の効果を得ることができる。すなわち、通常の粒径のダイヤモンド8の表面に配置されたナノダイヤモンド7は、中空体2の内面に直接配置されたナノダイヤモンド7に比べて、より中心側に配置されることになり、電界の局所集中を生じさせることができ、ひいては、発光効率を向上させることができる。従って、これらの効果が最も高くなるように、通常の粒径のダイヤモンド8の粒径や形状を決定することが好ましい。例えば、ナノダイヤモンド7の配置位置を不均一化するためには、通常の粒径のダイヤモンド8に関し、各粒子を鋭角形状に形成し、また、複数の粒子を相互に離間的に配置することが好ましい。
【0033】
このように本実施の形態1によれば、ダイヤモンドをナノサイズ化することによって高γ効果と高確率での注入発光効果を得ることができ、放電装置1の全体の発光効率を向上させることができる。特に、ナノダイヤモンド7を電極5に対応する位置に配置したので、高γ効果と注入発光効果とを一層高めることができる。さらに、粗面化した中空体2の内面にナノダイヤモンド7を配置することや、通常の粒径のダイヤモンド8の表面に、さらにナノダイヤモンド7が配置することで、発光効率を一層向上させることができると共に、発光の均一性を高めることができる。
【0034】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、ナノダイヤモンドを蛍光体と混合した状態で配置している点において、ナノダイヤモンドを単体で配置していた実施の形態1と異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態1と同様であり、同一の構成には実施の形態1で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
図8は、本実施の形態2に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図8に例示するように、放電装置20は、中空体2、蛍光層3、放電ガス4、電極5、及び、混合層9を備えて構成されている。
【0036】
この混合層9は、蛍光層3を構成する蛍光体3aとナノダイヤモンド7とを混合して形成されており、特許請求の範囲における混合層に対応する。このように蛍光体3aとナノダイヤモンド7とを混合した場合、注入発光効果によってナノダイヤモンド7から発せられた、励起紫外線波長と近い波長の光が、当該ナノダイヤモンド7に隣接する蛍光体3aに効率よく照射される。このため、蛍光体3aが効率よく励起され、可視光の発光効率を向上させることができる。
【0037】
このような蛍光体3aとナノダイヤモンド7との混合は、ナノダイヤモンド7がナノサイズ化されて微粒子状になっていることから、従来のような一般的な粒径のダイヤモンド粒子を混合する場合に比べて容易に行うことができ、一層高い均質性を得ることができる。この際の蛍光体3aとナノダイヤモンド7との混合比率は任意であるが、蛍光体3aの発光効果と、ナノダイヤモンド7による高γ効果及び注入発光効果とを比較考慮し、放電装置20が全体として最も発光効率が良くなる比率が採用されることが好ましい。なお、これら蛍光体3aとナノダイヤモンド7とには、必要に応じて、さらにバインダー剤を添加することで、混合性や中空体2への塗布性を高めても良い。
【0038】
また、この混合層9は、実施の形態1のナノダイヤモンド7と同様に、中空体2の内部において電極5に最も近い位置に配置されている。従って、陰極サイクルにおいては、放電ガス4の陽イオンが高い確率で混合層9に衝突するために、一層の高γ効果を得ることができる。さらに、陽極サイクルにおいては、電極5に引き寄せられた電子がより高い確率で混合層9に衝突するために、一層の注入発光効果を得ることができる。ただし、このような効果を無視できる場合には、中空体2の内部の任意の位置に混合層9を配置しても良い。あるいは、電極5に対応する位置に加えて、他の位置にも混合層9を配置することができる。
【0039】
このように本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、ナノダイヤモンド7を蛍光体3aと混合した状態で配置しているため、ナノダイヤモンド7から発せられた光によってその近傍の蛍光体3aを効率よく励起し、可視光の発光効率を向上させることができる。
【0040】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3は、ナノダイヤモンドと蛍光体とから構成される混合層を、中空体の内部の略全面に配置している点において、この混合層を電極に対応する位置にのみ配置している実施の形態2と異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態2と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態2で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図9は、本実施の形態3に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図9に例示するように、放電装置30は、中空体2、放電ガス4、電極5、及び、混合層9を備えて構成されている。
【0042】
この混合層9は、実施の形態2と同様に、蛍光体3aとナノダイヤモンド7とを混合して形成されており、特許請求の範囲における混合層に対応する。この混合層9は、中空体2の内部の略全面、すなわち、中空体2を介して電極と対向する内面に加えて、中空体2の長手側面の内面にも配置されている。このように構成することにより、蛍光体3aの発光効果と、ナノダイヤモンド7による高γ効果及び注入発光効果とを、中空体2の略全面に渡って得ることができる。特に、中空体2の内面の略全域に渡って同一の混合層9を形成すれば良く、特定の部位毎に異なる構造にする必要がないので、放電装置30を容易かつ低コストに製造でき、また、様々な形態の放電装置30にも容易に適用できる。
【0043】
このように本実施の形態3によれば、実施の形態2と同様の効果に加えて、中空体2の略全面をほぼ同様の構成としているので、放電装置30を容易かつ低コストに製造でき、また、様々な形態の放電装置にも容易に適用できる。
【0044】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。この実施の形態4は、放電装置を内部電極型として構成し、その電極の表面をナノダイヤモンド7で被覆した点において、外部電極型の放電装置に関する実施の形態1と異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態1と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態1で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図10は、本実施の形態4に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図10に例示するように、放電装置40は、中空体2、蛍光層3、放電ガス4、電極5、及び、ナノダイヤモンド7を備えて構成されている。
【0046】
このうち、電極5は、中空体2の内部における長手方向の端部に配置されており、この電極5に接続されたリード線6が中空体2を貫通して外部に引き出され、このリード線6を介して電極5に電圧が印加される。
【0047】
ここで、電極5の表面は、ナノダイヤモンド7にて被覆されている。このナノダイヤモンド7は、電極5の電子放出効率及び絶縁性を高めるためのもので、特許請求の範囲におけるナノダイヤモンドに対応する。すなわち、電極5を中空体2の内部に配置した場合、電極5の表面が露出して放電ガス4に直接接することによって、異常放電等の問題が生じ得る。これに対して、電極5を絶縁体であるナノダイヤモンド7にて被覆した場合には、電極5の絶縁を確保してその異常放電を低減できる。このため、ナノダイヤモンド7は、電極5の略全面を覆うように形成されることが好ましい。ただし、電極5の一部が放電ガス4に露出することを完全に排除するものではなく、例えば、電極5の表面のうちの一部分のみがナノダイヤモンド7に覆われていると共に他の部分が露出又は任意の他の物質にて覆われている状態や、ナノダイヤモンド7の一部が熱やスパッタ等にて変質した状態についても、本実施の形態4の範囲内である。
【0048】
このナノダイヤモンド7の層厚に関して、図10では2層として示されているが、これは模式的なものであり、実施にはこのような層数に限定されるものではない。より具体的には、ナノダイヤモンド7の層厚は、電極5の全面の絶縁を確保するため、実施の形態1の場合よりも厚みを有することが好ましい。具体的には、数十nm〜数十μm程度の層厚とすることが好ましい。
【0049】
このように電極5を覆うナノダイヤモンド7の成膜は、公知の方法で行うことができる。例えば、ナノダイヤモンド7を混ぜた有機溶剤中に電極5を浸し、有機溶剤に超音波を与えることでナノダイヤモンド7を電極5の表面に付着させ、必要に応じて有機溶剤の除去を行った後、CVD(Chemical Vapor Deposition)にてナノダイヤモンド7を成膜することができる。あるいは、電極5にナノダイヤモンド7を塗布した後、これを焼結させて固着しても良い。
【0050】
このように本実施の形態4によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、ナノダイヤモンド7によって電極5が覆われてその絶縁性が確保されるので、異常放電等を低減することができる。
【0051】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5は、電極を誘電体層で覆った後、さらにナノダイヤモンドで被覆した点において、電極を直接ナノダイヤモンドで被覆した実施の形態4とは異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態4と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態4で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図11は、本実施の形態5に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図11に例示するように、放電装置50は、中空体2、蛍光層3、放電ガス4、電極5、誘電体層51、及び、ナノダイヤモンド7を備えて構成されている。
【0053】
このうち、誘電体層51は、電極5の絶縁層として機能するものである。このように誘電体層51を形成した場合、ナノダイヤモンド7の一部が破損等した場合においても、電極5が誘電体層51によって保護されて放電ガスに直接触れないため、異常放電等の発生を回避できる。なお、この誘電体層51の具体的材質や製造方法は任意であるが、例えば、電極5を電解処理することによってその表面を多孔質化し、この表面に沸騰水または加熱水蒸気を接触させて、細孔を塞ぐことで、絶縁性を有する誘電体層51を形成することができる。
【0054】
このように本実施の形態5によれば、実施の形態4と同様の効果に加えて、誘電体層51によって電極5が覆われてその絶縁性が一層高められているので、バリヤ型放電における異常放電等を一層確実に低減することができる。
【0055】
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6について説明する。この実施の形態6は、面型の放電装置において、パネル型の中空体の内部の一側面にナノダイヤモンドを配置した点において、管型の放電装置に関する実施の形態1とは異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態1と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態1で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図12は、本実施の形態6に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図12に例示するように、放電装置60は、中空体61、蛍光層3、放電ガス4、電極5、及び、ナノダイヤモンド7を備えて構成されている。
【0057】
このうち、中空体61は、一対のパネル体62,63を備えて形成されており、これら一対のパネル体62,63の間に放電ガスが充填されている。なお、図示では一対のパネル体62,63の側面を開放しているように示しているが、実際にはこの側面にも中空体61が存在し、中空体61によって放電ガス4が密閉されている。ここで、一方のパネル体62の外面には、複数の電極5が略一定間隔で配置されている。これら電極5のうち、一部の電極5と他の電極5とに相互に極性の異なる交流電圧を印加することで、各電極5が陰極又は陽極に交互に連続的に切り替えられる。
【0058】
ここで、上記電極5が配置されたパネル体62の内面には、その略全面に渡り、ナノダイヤモンド7が配置されている。このナノダイヤモンド7は、電極5の電子放出効率を高めるためのもので、特許請求の範囲におけるナノダイヤモンドに対応する。一方、他のパネル体63の内面には、その略全面に渡り、蛍光層3が設けられている。すなわち、ナノダイヤモンド7と蛍光層3とが放電ガスを介して対向するように配置されている。このように、各パネル体62,63の内面の略全域に渡ってナノダイヤモンド7又は蛍光層3を形成すれば良く、特定の部位毎に異なる構造にする必要がないので、放電装置60を容易かつ低コストに製造できる。
【0059】
このように構成された放電装置60は、基本的には、従来の平面型の放電装置と同様に動作する。すなわち、電極5に交流電圧を印加すると、この電極5に引かれた中空体61の内部の電子が放電ガス4と衝突して増殖し、この増殖した電子や放電ガス4がナノダイヤモンド7に衝突して2次電子を放出させることで放電が発生する。そして、この放電による2次電子が水銀に衝突してこれを励起させ、励起された水銀が紫外線を放射して蛍光体を励起することで、この蛍光体から可視光が発光される。すなわち、蛍光層3が設けられたパネル体63から、可視光が放出される。
【0060】
また、このような面型の放電装置60においても、管型の放電装置と同様に、ナノダイヤモンド7による高γ効果と注入発光効果とを得ることができる。すなわち、陰極サイクルにおいては、ナノダイヤモンド7から二次電子が容易に放出され、特に、ナノダイヤモンド7の個々の粒子がナノサイズ化されていることによって、粒子内における電子個々の閉じ込め効果が高くなるため、電子が抜けた後に残る正孔が粒子内に保持され易くなる。また、陽極サイクルにおいては、電子と正孔との注入発光効果による直接発光の確率が高くなり、従来よりも高い発光効率を得ることができる。特に、電極5に近い側のパネル体62にナノダイヤモンド7を配置しているので、電子がより高い確率でナノダイヤモンド7に衝突するために、一層の注入発光効果を得ることができる。
【0061】
このように本実施の形態6によれば、実施の形態1と同様に、ダイヤモンドをナノサイズ化することによって高γ効果と注入発光効果を得ることができ、放電装置60の全体の発光効率を向上させることができる。特に、ナノダイヤモンド7を電極5に対応する位置に配置したので、高γ効果と注入発光効果とを一層高めることができる。
【0062】
(実施の形態7)
次に、本発明の実施の形態7について説明する。この実施の形態7は、パネル型の中空体の内部の一側面にナノダイヤモンドを配置し、さらにこのナノダイヤモンドの表面に蛍光層を配置した点において、ナノダイヤモンドのみを配置した実施の形態6とは異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態6と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態6で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図13は、本実施の形態7に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図13に例示するように、放電装置70は、中空体61、蛍光層3、放電ガス4、電極5、ナノダイヤモンド7、及び、第2の蛍光層71を備えて構成されている。
【0064】
このうち、第2の蛍光層71は、蛍光層3と同様に形成されて、紫外線にて励起されて可視光を発光する蛍光体からなるものである。この蛍光層3は、中空体61の一対のパネル体62,63のうち、電極5及びナノダイヤモンド7が配置されているパネル体62の内面に配置されている。
【0065】
より具体的には、第2の蛍光層71は、パネル体62の内面において、ナノダイヤモンド7がバリヤ型放電に寄与しない位置、すなわち、電極5に対応する位置以外の位置に配置されている。すなわち、放電は、電極5からパネル体62及びナノダイヤモンド7を介して放電ガス4に至り、さらに放電ガス4からナノダイヤモンド7及びパネル体62を介して他の電極5に至る経路を経て行われるので、電極5に対応する位置以外の位置については放電には直接寄与していない。そこで、このような位置に第2の蛍光層71を配置しても放電の障害にはならず、逆に、蛍光発光の効率を向上させることができるため、放電装置70の全体としての発光効率を向上させることができる。なお、本実施の形態8においては、ナノダイヤモンド7の内面に第2の蛍光層71を配置して2層構造としており、ナノダイヤモンド7を単に均一に形成すれば良いので、その形成が一層容易になる。ただし、このような利点が省略できる場合には、ナノダイヤモンド7を断続的に配置すると共に、このナノダイヤモンド7の間に第2の蛍光層71を配置する1層構造を採用しても良い。
【0066】
また、変形例として、実施の形態1の変形例で図6,7を参照して説明したように、粗面化した中空体61の内面にナノダイヤモンド7を配置しても良い。平面型の放電装置70は、液晶のバックライト等として利用されることが多く、発光の均一性が高いことが特に好ましいため、内面を粗面化することによる発光の均一性の向上効果は、特に平面型の放電装置70において有効である。また、このように中空体61の構成を工夫することで発光の均一性を向上できる場合には、従来、発光の均一性を向上させるために中空体61の外部に設けていた拡散板や散乱板の負担を低減でき、場合によってはこれら拡散板や散乱板を省略できる。
【0067】
このように本実施の形態7によれば、実施の形態6と同様の効果に加えて、第2の蛍光層71によって蛍光発光の効率を向上させることができる。特に、ナノダイヤモンド7を単に均一に形成すれば良いので、その形成が一層容易である。
【0068】
(実施の形態8)
次に、本発明の実施の形態8について説明する。この実施の形態8は、ナノダイヤモンドを蛍光体と混合した状態で配置している点において、ナノダイヤモンドを単体で配置していた実施の形態6と異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態6と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態6で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図14は、本実施の形態8に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図14に例示するように、放電装置80は、中空体61、蛍光層3、放電ガス4、電極5、及び、混合層9を備えて構成されている。
【0070】
このうち、中空体61を構成する一方のパネル体62の内面には、その略全面に、混合層9が設けられている。この混合層9は、蛍光体とナノダイヤモンド7とを混合して形成されており、特許請求の範囲における混合層に対応する。この混合層9の具体的な構成や形成方法等については、実施の形態2と同様な構成や形成方法を採用できるので、その詳細な説明は省略する。
【0071】
このように本実施の形態8によれば、実施の形態6と同様の効果に加えて、実施の形態2と同様に、ナノダイヤモンド7を蛍光体と混合した状態で配置しているため、ナノダイヤモンド7から発せられた光によってその近傍の蛍光体を効率よく励起し、可視光の発光効率を向上させることができる。
【0072】
(実施の形態9)
次に、本発明の実施の形態9について説明する。この実施の形態9は、パネル型の中空体の内部にリブを配置し、このリブの側面にナノダイヤモンドを配置した点において、リブを含まない実施の形態8とは異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態8と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態6で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
図15は、本実施の形態9に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図15に例示するように、放電装置90は、中空体61、蛍光層3、放電ガス4、電極5、複数のリブ91、及び、混合層9を備えて構成されている。
【0074】
このうち、リブ91の各々は、板状体又は柱状体に形成されており、このような複数のリブ91が、中空体61を構成する一対のパネル62,63の間に所定間隔を隔てて配置されて、これら一対のパネル62,63を相互に一定間隔に維持している。各リブ91の側面には、ナノダイヤモンドを蛍光体と混合して構成された混合層9が配置されており、放電空間に存在する電子やイオンがこの混合層9に高確率で衝突することで、二次電子放出効率や注入発光効果が一層向上する。なお、リブ91の側面には、混合層9に代えて、ナノダイヤモンドをそのまま配置しても良い。
【0075】
なお、複数のリブ91の具体的な平面形状や配置構成は、種々の形態を取り得る。例えば、図16の放電装置90aの平面図に示すように、各リブ91aを長手板状に形成して配置することで、特にこの長手方向における強度を保つことができると共に、容易にリブ91aを形成できるので製造コストを低減できる。また、図17の他の例における放電装置90bの平面図に示すように、各リブ91bを短手板状に形成して配置することで、放電空間における気体流動の自由度を高めることができ、放電空間に放電ガス4を封止する際に必要になる真空引きを容易に行い、また、放電ガス4のばらつきを低減してその分圧を所定分圧に容易に維持できる。あるいは、図18の他の例における放電装置90cの平面図に示すように、各リブ91cを平面略十字形状に形成することで、図示における上下左右の各方向における強度を均等に維持できると共に、図17の場合と同様に、放電空間における放電ガス4の流動性を高めることができる。
【0076】
このように本実施の形態9によれば、実施の形態8と同様の効果に加えて、リブ91の側面に形成した混合層9によって放電空間における二次電子放出効率や注入発光効果を一層向上させることができる。ただし、リブ91には、混合層9以外に、ナノダイヤモンドや通常のダイヤモンドを配置しても良い。
【0077】
(実施の形態に対する変形例)
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び方法は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような実施の形態の変形例について説明する。
【0078】
実施の形態1〜9に示した構造を相互に混在させて、他の構造を形成しても良い。例えば、実施の形態1では、粗面化した中空体2の内面にナノダイヤモンド7を配置した例を説明したが、この構造を実施の形態4に適用し、中空体2の内部に配置した電極5の表面を粗面化し、この粗面化した表面にナノダイヤモンド7を配置しても良い。あるいは、この構造を実施の形態6に適用し、パネル体62の表面を粗面化し、この粗面化した表面にナノダイヤモンド7を配置しても良い。あるいは、実施の形態9におけるリブ91を、実施の形態1〜5における中空体2の内部に形成し、このリブ91の側面にナノダイヤモンド7や混合層9を形成しても良い。また、リブ91の表面を粗面化しても良い。
【0079】
また、本発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、上記に記載されていない課題を解決したり、上記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、電極5の電子放出効率が飛躍的に向上していない場合においても、従来のダイヤモンド膜を用いた同一条件下での放電装置に比べて、電子放出効率が若干でも向上できている限りにおいて、本願の課題が解決されている。
【0080】
また、各図面は模式的なものであり、そこに示された構成要素の各部の寸法や相互の比率は図示のものに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明に係る放電装置は、ダイヤモンドを用いて放電装置の電子放出効率を向上させることに有用であり、高い発光効率が求められる放電装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態1に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図2】陰極サイクルにおける効果を模式的に示す図である。
【図3】陽極サイクルにおける効果を模式的に示す図である。
【図4】ダイヤモンドの粒径と量子閉じ込め効果との関係を示したグラフである。
【図5】ダイヤモンドの粒径と、カソードルミネッセンス発光時の光強度との関係を示したグラフである。
【図6】ナノダイヤモンドが配置された中空体の拡大断面図である。
【図7】ナノダイヤモンドが配置された中空体の拡大断面図である。
【図8】実施の形態2に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図9】実施の形態3に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図10】実施の形態4に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図11】実施の形態5に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図12】実施の形態6に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図13】実施の形態7に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図14】実施の形態8に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図15】実施の形態9に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図16】他の例における放電装置の平面図である。
【図17】他の例における放電装置の平面図である。
【図18】他の例における放電装置の平面図である。
【符号の説明】
【0083】
1,20,30,40,50,60,70,80,90,90a〜90c 放電装置
2,61 中空体
2a 凸部
2b 凹部
3 蛍光層
4 放電ガス
5 電極
6 リード線
7 ナノダイヤモンド
8 ダイヤモンド
9 混合層
51 誘電体層
62,63 パネル体
71 第2の蛍光層
91,91a〜91c リブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極を用いて放電を行う放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、照明用光源や液晶表示装置のバックライト用光源等として、放電装置が広く利用されている。この放電装置は、その内部に配置される陰極の種類に基づいて、冷陰極放電装置と熱陰極放電装置とに大別される。
【0003】
このうち、冷陰極放電装置は、概略的には、内面に蛍光層を形成したガラス管の内部に、一対の冷陰極タイプの電極を配置すると共に放電ガスを封入して構成されている。このような構成において、電極に導入線を介して交流電圧を印加すると、プラス側の電極に引かれたガラス管内の電子が放電ガスと衝突して増殖し、この増殖した電子や放電ガスが電極に衝突して2次電子を放出させることで放電が発生する。そして、この放電による2次電子が水銀に衝突してこれを励起させ、励起した水銀が紫外線を放射して蛍光体を励起することで、この蛍光体から可視光が発光される。
【0004】
一方、熱陰極放電装置は、冷陰極放電装置と同様の構成のうち、冷陰極に代えて一対の熱陰極タイプの電極を備えて構成されている。この電極は、フィラメントに電子放出物質であるエミッタを設けて構成されている。このような構成において、電極に交流電圧を印加すると、通電によって高温になったエミッタから電子が放出され、この電子が対極の電極に移動することによって放電が発生する。そして、この放電が各電極の相互間で繰り返され、この放電により、冷陰極放電装置と同様に可視光が発光される。
【0005】
このように構成された冷陰極放電装置や熱陰極放電装置において、装置全体の発光効率を高めるためには、電極からの電子放出効率を高めることが考えられる。特に、冷陰極放電装置は、熱陰極放電装置に比べて、簡易な構成で安定的発光を得ることができるという利点を有する反面、電極の近傍での電圧降下が大きいために発光効率が悪いという不利な点を有するため、電極での電子放出効率を高めることが要望されている。さらに、冷陰極放電装置や熱陰極放電装置のいずれにおいても、環境問題の観点から、中空体内部に封止されている水銀を低減することが求められており、この水銀の低減化に応じて生じる発光効率の低下を、電極からの電子放出効率を高めることで補いたいとの要望がある。
【0006】
このような観点から、電極にダイヤモンド膜を設けることが提案されている。すなわち、ダイヤモンドの微粒子を電極の表面に付着等させてダイヤモンド膜を形成することで、電極の電子放出効率を向上させることができる(例えば、特許文献1には、粒径0.01μm〜10μmのダイヤモンドを熱陰極に付着させた構成が開示されている)。これは、ダイヤモンドは、負又は極めて低い電子親和力を有しており、真空準位に対してほとんど放出障壁がないため、電子や放電ガスが電極に衝突した際に、二次電子が電極から飛び出し易いためである。
【0007】
【特許文献1】特開2000−106130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本願発明者は、単に一般的な粒子径0.01μm〜10μmのダイヤモンド膜を電極に設けただけでは、電極の電子放出効率が必ずしも充分に向上しないことを見出した。すなわち、一対の電極には交流電圧が印加されているため、これら電極は実際には陰極及び陽極に交互に切り替えられる。ここで、電極が陰極に切り替えられている際(以下、陰極サイクルと称する)においては、電極から電子が放出されるために当該電極には正孔が形成される。一方、電極が陽極に切り替えられている際(以下、陽極サイクルと称する)においては、電極に形成された正孔に電子が注入され、この電子が励起状態から基底状態に戻るために、これら励起状態と基底状態との差に対応したエネルギーが生じ、このエネルギーが光として放出され得る(以下、注入発光効果と称する)。しかしながら、一般的な粒子径0.01μm〜10μmのダイヤモンド膜を用いた場合、陽極サイクルにおいて、価電子帯に励起された電子が発光を伴わずに基底状態に戻ってしまい、励起状態と基底状態との差に対応したエネルギーが光ではなく熱として放出されてしまう確率が高いため、電極の注入発光効果を充分に発揮させることができなかった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電子の注入発光効果を高めること等のできる、放電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る放電装置は、透光性を有する中空体と、前記中空体の内部に封止された放電ガスと、前記中空体の内部に設けられた蛍光層と、前記放電ガスに電圧を印加するため、前記中空体の内部又は外部に配置された、少なくとも一対の電極と、前記中空体の内部に設けられたナノダイヤモンドとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る放電装置によれば、陰極サイクルにおいては、高γ効果を得ることができるために発光効率を向上させることができ、さらに、陰極サイクルにおいても、ナノダイヤモンドの個々の粒子がナノサイズ化されていることによって量子閉じ込め効果が高くなるため、注入発光効果による直接発光の確率が高くなり、従来よりも高い確率で電子の注入発光効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る放電装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。この実施の形態1では、外部電極型の冷陰極放電装置において、中空体の内面のうち、当該中空体を介して電極(冷陰極)と対向する内面に、ナノダイヤモンドを配置した例について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態1に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図1に例示するように、放電装置1は、外囲器としての中空体2と、この中空体2の内面に形成された蛍光層3と、中空体2の内部に収容された放電ガス4と、中空体2の外部に配置された一対の電極5とを備えて構成されている。
【0015】
このうち、中空体2は、中空管状の密閉構造体として形成されており、その内部空間に放電ガス4が封止されている。この中空体2は、透光性を有する素材、例えば透明なガラスにて形成されており、その内部の蛍光層3から発光された可視光を当該中空体2の外部に透過させる。また、蛍光層3は、紫外線にて励起されて可視光を発光する蛍光体から構成されており、この蛍光体を中空体2の内面に塗布等することで形成されている。なお、これら中空体2と蛍光層3とは、それぞれ特許請求の範囲における中空体と蛍光層とに対応する。
【0016】
また、放電ガス4は、不活性ガス及び水銀を含んで構成されている。このうち、不活性ガスは、中空体2の内部で放電を発生させるためのもので、例えば、Ar、Ne、又は、Xeの如き希ガスを、単体で又は混合して構成されている。また、水銀は、電子や不活性ガスと衝突して励起されることで紫外線を発生させることにより、蛍光層3を励起するものである。この他、放電ガス4としては任意のガス、例えば微量の水素を含めることができ、この場合には、後述するナノダイヤモンド7の表面を終端している水素が不活性ガスとの衝突によって失われた場合においても、この水素終端を維持することができる。これら放電ガス4の各成分は、所定の分圧比で中空体2に封入されている。なお、放電ガス4は、特許請求の範囲における放電ガスに対応する。
【0017】
また、電極5は、放電を行うもので、特許請求の範囲における電極に対応する。具体的には、電極5は、中空体2の長手方向の両端の外部にそれぞれ設けられており、リード線6を介して図示しない電源に接続され、交流電圧を印加されることによって、陰極及び陽極に交互に連続的に切替えられる。
【0018】
ここで、中空体2の内部には、ナノダイヤモンド7が設けられている。このナノダイヤモンド7は、電極5の電子の放出効率及び注入発光効果を高めるためのもので、特許請求の範囲におけるナノダイヤモンドに対応する。具体的には、ナノダイヤモンド7は、中空体2の内面のうち、当該中空体2を介して電極5と対向する内面に、すなわち、中空体2の長手方向の両端の内面に配置されている。このナノダイヤモンド7は、従来の一般的な粒子径のダイヤモンドよりも電子放出効率を高めるために微粒子化されたもので、例えば、1000nm以下、好ましくは200nm以下の粒子径のダイヤモンドカーボンクラスタとして構成されている(このような粒径を採用する理由については後述する)。
【0019】
このナノダイヤモンド7の形成面積に関しては、概略的には面積が広い程に電子放出効率が向上するため、形成面積は広い方が好ましく、例えば、中空体2の両端の内面のうちの略全域に配置されている。また、ナノダイヤモンド7の層厚に関しては、少なくともスパッタ等にて生じ得るナノダイヤモンド7の破損や剥がれによる機能不全を生じない程度の層厚にて形成されることが好ましく、例えば、粒子レベルで10〜1000層、層厚で数十nm〜数十μmにて形成される。
【0020】
このようなナノダイヤモンド7は、パウダーあるいは水溶液、コロイド等の任意の形態のものを用いることができる。特に、ナノダイヤモンド7の発光効率を向上させるためには、FeやNiなどの金属不純物を含まないほうが望ましく、触媒法によらない爆発合成ナノ粒子は好適である。さらに、ナノダイヤモンド7の表面は、グラファイトやアモルファスカーボンなどの成分が極力少ないことが望ましく、このためには加熱した酸で前記のような非ダイヤモンド成分をエッチングしつつ洗浄することが望ましい。また、ナノダイヤモンド7の成分としては、純粋なダイヤモンドにて形成されたものの他、燐、窒素、又は、硫黄等のn型を示すものや、ボロン等のp型を示す物質を不純物としてドープしたものを用いることができる。
【0021】
このように構成されたナノダイヤモンド7を中空体2の内部に配置するための方法については任意であり、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)にてナノサイズのダイヤクラスタを含む膜を成膜することができる。あるいは、電極5にナノダイヤモンド7を塗布した後、これを焼結されて固着しても良い。また、CVD成膜した膜をそのまま用いても良いが、より安定に長寿命を得るためには、ナノダイヤモンド7の表面を酸等で洗浄することが望ましい。さらに、成膜に際しては、中空体2の表面をあらかじめ十分に処理し、ナノダイヤモンド7が稠密でかつ十分な強度で固着されるようにすることが望ましい。この事前処理としては、中空体2の表面を洗浄後、ナノダイヤモンド7の微粒子を表面に塗布することも有効である。さらに、中空体2の表面に対して、バイアス印加条件下で炭素系原料ガスを流し、プラズマ処理することも有効である。
【0022】
これらの処理は、本実施の形態1のように中空体2が通常である場合には、その耐熱温度範囲内及び機械強度範囲内で行う必要があり、ナノダイヤモンド7の膜の成長と併せて、通常は500℃以下の温度で行うことが望ましい。また、放電装置1によっては、ナノダイヤモンド7を大面積に形成することが求められるため、中空体2の領域のうち、必要に応じて前処理により核形成する領域を限定し、全体として中空体2のそりが低減されるようにすることが望ましい。あるいは、CVD以外の方法によるナノダイヤモンド7の配置も可能である。例えば、ナノダイヤモンド7は微粒子であるが故に顔料等と類似した塗布性を有するため、中空体2の内部に塗布することができる。なお、固着力を増すために、ナノダイヤモンド7に各種樹脂等のバインダー剤を添加しても良い。
【0023】
このように構成された放電装置1は、基本的には、従来の放電装置と同様に動作する。すなわち、電極5に交流電圧を印加すると、この電極5に引かれた中空体2の内部の電子が放電ガス4と衝突して増殖し、この増殖した電子や放電ガス4がナノダイヤモンド7に衝突して2次電子を放出させることで放電が発生する。そして、この放電による2次電子が水銀に衝突してこれを励起させ、励起した水銀が紫外線を放射して蛍光体を励起することで、この蛍光体から可視光が発光される。
【0024】
ここで、本実施の形態1においては、ナノダイヤモンド7を用いているために以下の顕著な効果が発揮される。すなわち、陰極サイクルにおいては、図2に模式的に示すように、ナノダイヤモンド7は、従来のダイヤモンドと同様に、負又は極めて低い電子親和力を有しており、真空準位に対してほとんど放出障壁がないため、電子や放電ガス4がナノダイヤモンド7の表面層に衝突した際に、この衝突エネルギーによって価電子帯から伝導帯に容易に励起(オージェ中和)され、ナノダイヤモンド7から二次電子が容易に放出される(以下、高γ効果と称する)。特に、ナノダイヤモンド7の個々の粒子がナノサイズ化されていることによって、ナノダイヤモンド7の粒子内における電子個々の閉じ込め効果(以下、量子閉じ込め効果と称する)が高くなるため、電子が抜けた後に残る正孔がナノダイヤモンド7の粒子内に保持され易くなる。
【0025】
更に、本願出願人は、電極5に印加される電圧が負から正に反転した際の陽極サイクルにおいては、注入発光効果の確率が高くなることを見出した。すなわち、陽極サイクルにおいては、図3に模式的に示すように、ナノダイヤモンド7の各粒子内に高い割合で保持された正孔に対して電子が飛び込むため、高い確率で電子と正孔とが再結合する。更に、ナノダイヤモンド7の個々の粒子がナノサイズ化されていることによって、量子サイズ効果によるバンド構造の変化が生じ、このことが発光効率の向上に寄与する。すなわち、一般の粒子径のダイヤモンドは、バルクではいわゆる間接遷移型であり、非発光遷移する確率が高いのに対して、ナノサイズ化されたダイヤモンドは、いわゆる直接遷移型であり、発光遷移する確率が高まる。これによって、電子と正孔との注入発光効果による直接発光の確率が高くなり、従来よりも高い確率で注入発光効果を得ることができる。ここで、ダイヤモンドは、ワイドギャップであることから、電子の直接注入によって得られた光には真空紫外領域の波長が含まれる。したがって、通常の放電プラズマの励起紫外線波長と近い波長の光を放出することができ、これによって蛍光体を一層効率よく励起して可視光を得ることができる。
【0026】
このような効果は、ナノダイヤモンド7を電極5の近傍に配置することによって一層向上する。すなわち、このように配置した場合には、陰極サイクルにおいては、放電ガス4の陽イオンが高い確率で電子に衝突するために、一層の高γ効果を得ることができる。さらに、陽極サイクルにおいては、電極5に引き寄せられた電子がより高い確率でナノダイヤモンド7に衝突するために、一層の注入発光効果を得ることができる。このような点に鑑みて、本実施の形態1においては、上述のように、中空体2を介して電極5と対向する内面、換言すれば、中空体2の内部において電極5に最も近い位置に、ナノダイヤモンド7を配置している。ただし、このような効果を無視できる場合には、中空体2の内部における任意の位置にナノダイヤモンド7を配置しても良い。あるいは、電極5に対応する位置に加えて、他の位置にもナノダイヤモンド7を配置することができる。
【0027】
次に、このような効果を得るために好ましいナノダイヤモンド7の粒径について考察した結果について説明する。図4は、ダイヤモンドの粒径と量子閉じ込め効果との関係を示したグラフである(出典:Y. K. Chang, et al., "Quantum Confinement Effect in Diamond Nanocrystals Studies by X-Ray-Absorption Spectroscopy," Fig. 4, Physical Review Letters, June 28, 1999, Volume 82, Number 26)。この図4において、横軸はダイヤモンドの粒径、縦軸はエネルギー位置を示す。この図から明らかなように、ダイヤモンドの粒径が小さくなるにつれて、量子閉じ込め効果が大きくなり、バンド構造が変化する。この変化は、1000nmを切るぐらいから明らかになり、数百nm以下、特に、20〜30nm以下では顕著である。この図4の結果は、あくまで量子閉じ込め効果に関するものであり、ダイヤモンドの発光効率に関するものではないが、本件出願人は、上記のように量子閉じ込め効果と発光効率との関係を見出し、この量子閉じ込め効果の変化傾向が発光効率についても適用できることを見出した。
【0028】
また、図5は、カソードルミネッセンス(CL)発光時の発光波長と光強度との関係を示したグラフであり、本件出願人による実験結果を示すものである。この図5において、横軸は発光波長、縦軸は光強度を示す。この図5においては、粒径約150nmのナノダイヤモンド7による光強度と、多結晶ダイヤ膜による光強度とがプロットされている。なお、光強度はオフセットされて示されているため、実際には、ナノダイヤモンド7による最低光強度と、多結晶ダイヤ膜による最低光強度とが、相互に略対応する。この図から明らかなように、ナノダイヤモンド7による光強度は、多結晶ダイヤ膜による光強度よりも明らかに強く、ナノダイヤモンド7の方が多結晶ダイヤ膜よりも高強度で発光することが判る。これら図4及び図5から、ナノダイヤモンド7の粒径としては、量子閉じ込め効果が大きくなる1000nm以下であることが好ましく、さらには、光強度が高くなる150〜200nm以下、特に20〜30nm以下であることがより好ましい。なお、発光波長は、ナノダイヤモンド7中の不純物濃度によって変化し、不純物濃度が少なくなると発光波長が短くなる。従って、ナノダイヤモンド7中の不純物濃度を調整することで、発光波長を調整可能である。
【0029】
次に、中空体2の内面にナノダイヤモンド7を配置する具体的構造の変形例について説明する。図6には、ナノダイヤモンド7が配置された中空体2の拡大断面図を示す。この図6に示すように、中空体2の内面は、多数の凸部2aや凹部2bが形成されることによって粗面化されている。そして、この粗面化された内面にナノダイヤモンド7が配置されている。このような粗面化の具体的方法については任意であるが、例えば、サンドブラスト法、化学エッチング法、あるいは、ダイヤモンドによる粗面化処理を挙げることができる。サンドブラスト法では、中空体2の内面に小径粒子を噴射することで、この内面に傷を付けて粗面化する。また、化学エッチング法では、中空体2の内面をフッ酸を含有する無機酸にて処理し、エッチングを生じさせることによって、この内面に凹凸を形成して粗面化する。また、ダイヤモンドによる粗面化処理では、ダイヤモンド微粒子のスラリーを中空体2の内面に直接こすり付けることで、この内面に傷を付けて粗面化する。この他にも、例えば、タイヤモンド微粒子を含む懸濁液中に中空体2の少なくとも内面を配置し、この懸濁液に超音波を与えることでダイヤモンド微粒子を内面に衝突させ又はめり込ませ、この内面に傷を付けたり、この内面にダイヤモンド微粒子の種付けを行うことができる。特に、この超音波を用いた方法では、中空体2の内面を粗面化すると同時に、この内面にナノダイヤモンド7を配置できるので、粗面化とダイヤモンド配置とを別工程で行う場合に比べて、製造工程の簡易化を図ることができる。
【0030】
このように粗面化した中空体2の内面にナノダイヤモンド7を配置することの利点は下記の通りである。すなわち、ナノダイヤモンド7のうち、内面の凸部2aに配置されたナノダイヤモンド7は、内面の凹部2bに配置されたナノダイヤモンド7に比べて、より中心側(中空体2の長手方向における中央側)に配置されることになる。このようにナノダイヤモンド7の高さを不均一化した場合、凸部2aに配置されたナノダイヤモンド7に電子が衝突する確率は、凹部2bに配置されたナノダイヤモンド7に電子が衝突する確率よりも高くなると予想され、電界の局所集中を生じさせることができ、ひいては、発光効率を向上させることができる。特に、放電開始時においては、電界の局所集中の効果によって、放電開始電圧を低下させることができる。
【0031】
また、粗面化した内面は、単に平滑な内面に比べて、光の散乱効率が良いため、外部に光を取り出しやすくなり、放電装置1の全体としての発光効率が向上する。これは、平滑な内面に浅い角度で光が入射した場合には、この光が内面によって反射されて外部に放出されないことになるが、粗面化した内面に光が同様な角度で入射した場合には、この粗面化した内面に対しては深い角度で入射することになるために、光が外部に放出される場合があるからである。あるいは、内面で光が反射されても、この反射光が直ちに他の内面の凸部に照射されるために(例えば、図6の光線L1)、この光が最終的には外部に放出される可能性が高まるためである。また、このように光が散乱することによって、中空体2の外部から見たときの発光の均一性が向上するので、放電装置1の全体における発光の均一性を高めることができる。従って、これらの効果が最も高くなるように、中空体2の内面の粗面化の程度や、ナノダイヤモンド7の層厚を決定することが好ましい。
【0032】
更に、中空体2の内面にナノダイヤモンド7を配置する具体的構造の他の変形例について説明する。図7には、ナノダイヤモンド7が配置された中空体2の拡大断面図を示す。この図7の例では、図6の例と異なり、中空体2の内面が略平滑化されている。そして、この内面には、通常の粒径(例えば、0.01μm〜10μm)のダイヤモンド8が配置されており、さらにその表面に、ナノダイヤモンド7が配置されている。より詳細には、局所的に、中空体2の表面にナノダイヤモンド7が配置されて一重構造を形成している部分と、ダイヤモンド8とナノダイヤモンド7との2重構造になっている部分とが存在する。このような構造においても、上記のように中空体2の内面を粗面化した場合と略同様の効果を得ることができる。すなわち、通常の粒径のダイヤモンド8の表面に配置されたナノダイヤモンド7は、中空体2の内面に直接配置されたナノダイヤモンド7に比べて、より中心側に配置されることになり、電界の局所集中を生じさせることができ、ひいては、発光効率を向上させることができる。従って、これらの効果が最も高くなるように、通常の粒径のダイヤモンド8の粒径や形状を決定することが好ましい。例えば、ナノダイヤモンド7の配置位置を不均一化するためには、通常の粒径のダイヤモンド8に関し、各粒子を鋭角形状に形成し、また、複数の粒子を相互に離間的に配置することが好ましい。
【0033】
このように本実施の形態1によれば、ダイヤモンドをナノサイズ化することによって高γ効果と高確率での注入発光効果を得ることができ、放電装置1の全体の発光効率を向上させることができる。特に、ナノダイヤモンド7を電極5に対応する位置に配置したので、高γ効果と注入発光効果とを一層高めることができる。さらに、粗面化した中空体2の内面にナノダイヤモンド7を配置することや、通常の粒径のダイヤモンド8の表面に、さらにナノダイヤモンド7が配置することで、発光効率を一層向上させることができると共に、発光の均一性を高めることができる。
【0034】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、ナノダイヤモンドを蛍光体と混合した状態で配置している点において、ナノダイヤモンドを単体で配置していた実施の形態1と異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態1と同様であり、同一の構成には実施の形態1で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
図8は、本実施の形態2に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図8に例示するように、放電装置20は、中空体2、蛍光層3、放電ガス4、電極5、及び、混合層9を備えて構成されている。
【0036】
この混合層9は、蛍光層3を構成する蛍光体3aとナノダイヤモンド7とを混合して形成されており、特許請求の範囲における混合層に対応する。このように蛍光体3aとナノダイヤモンド7とを混合した場合、注入発光効果によってナノダイヤモンド7から発せられた、励起紫外線波長と近い波長の光が、当該ナノダイヤモンド7に隣接する蛍光体3aに効率よく照射される。このため、蛍光体3aが効率よく励起され、可視光の発光効率を向上させることができる。
【0037】
このような蛍光体3aとナノダイヤモンド7との混合は、ナノダイヤモンド7がナノサイズ化されて微粒子状になっていることから、従来のような一般的な粒径のダイヤモンド粒子を混合する場合に比べて容易に行うことができ、一層高い均質性を得ることができる。この際の蛍光体3aとナノダイヤモンド7との混合比率は任意であるが、蛍光体3aの発光効果と、ナノダイヤモンド7による高γ効果及び注入発光効果とを比較考慮し、放電装置20が全体として最も発光効率が良くなる比率が採用されることが好ましい。なお、これら蛍光体3aとナノダイヤモンド7とには、必要に応じて、さらにバインダー剤を添加することで、混合性や中空体2への塗布性を高めても良い。
【0038】
また、この混合層9は、実施の形態1のナノダイヤモンド7と同様に、中空体2の内部において電極5に最も近い位置に配置されている。従って、陰極サイクルにおいては、放電ガス4の陽イオンが高い確率で混合層9に衝突するために、一層の高γ効果を得ることができる。さらに、陽極サイクルにおいては、電極5に引き寄せられた電子がより高い確率で混合層9に衝突するために、一層の注入発光効果を得ることができる。ただし、このような効果を無視できる場合には、中空体2の内部の任意の位置に混合層9を配置しても良い。あるいは、電極5に対応する位置に加えて、他の位置にも混合層9を配置することができる。
【0039】
このように本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、ナノダイヤモンド7を蛍光体3aと混合した状態で配置しているため、ナノダイヤモンド7から発せられた光によってその近傍の蛍光体3aを効率よく励起し、可視光の発光効率を向上させることができる。
【0040】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3は、ナノダイヤモンドと蛍光体とから構成される混合層を、中空体の内部の略全面に配置している点において、この混合層を電極に対応する位置にのみ配置している実施の形態2と異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態2と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態2で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図9は、本実施の形態3に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図9に例示するように、放電装置30は、中空体2、放電ガス4、電極5、及び、混合層9を備えて構成されている。
【0042】
この混合層9は、実施の形態2と同様に、蛍光体3aとナノダイヤモンド7とを混合して形成されており、特許請求の範囲における混合層に対応する。この混合層9は、中空体2の内部の略全面、すなわち、中空体2を介して電極と対向する内面に加えて、中空体2の長手側面の内面にも配置されている。このように構成することにより、蛍光体3aの発光効果と、ナノダイヤモンド7による高γ効果及び注入発光効果とを、中空体2の略全面に渡って得ることができる。特に、中空体2の内面の略全域に渡って同一の混合層9を形成すれば良く、特定の部位毎に異なる構造にする必要がないので、放電装置30を容易かつ低コストに製造でき、また、様々な形態の放電装置30にも容易に適用できる。
【0043】
このように本実施の形態3によれば、実施の形態2と同様の効果に加えて、中空体2の略全面をほぼ同様の構成としているので、放電装置30を容易かつ低コストに製造でき、また、様々な形態の放電装置にも容易に適用できる。
【0044】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。この実施の形態4は、放電装置を内部電極型として構成し、その電極の表面をナノダイヤモンド7で被覆した点において、外部電極型の放電装置に関する実施の形態1と異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態1と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態1で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図10は、本実施の形態4に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図10に例示するように、放電装置40は、中空体2、蛍光層3、放電ガス4、電極5、及び、ナノダイヤモンド7を備えて構成されている。
【0046】
このうち、電極5は、中空体2の内部における長手方向の端部に配置されており、この電極5に接続されたリード線6が中空体2を貫通して外部に引き出され、このリード線6を介して電極5に電圧が印加される。
【0047】
ここで、電極5の表面は、ナノダイヤモンド7にて被覆されている。このナノダイヤモンド7は、電極5の電子放出効率及び絶縁性を高めるためのもので、特許請求の範囲におけるナノダイヤモンドに対応する。すなわち、電極5を中空体2の内部に配置した場合、電極5の表面が露出して放電ガス4に直接接することによって、異常放電等の問題が生じ得る。これに対して、電極5を絶縁体であるナノダイヤモンド7にて被覆した場合には、電極5の絶縁を確保してその異常放電を低減できる。このため、ナノダイヤモンド7は、電極5の略全面を覆うように形成されることが好ましい。ただし、電極5の一部が放電ガス4に露出することを完全に排除するものではなく、例えば、電極5の表面のうちの一部分のみがナノダイヤモンド7に覆われていると共に他の部分が露出又は任意の他の物質にて覆われている状態や、ナノダイヤモンド7の一部が熱やスパッタ等にて変質した状態についても、本実施の形態4の範囲内である。
【0048】
このナノダイヤモンド7の層厚に関して、図10では2層として示されているが、これは模式的なものであり、実施にはこのような層数に限定されるものではない。より具体的には、ナノダイヤモンド7の層厚は、電極5の全面の絶縁を確保するため、実施の形態1の場合よりも厚みを有することが好ましい。具体的には、数十nm〜数十μm程度の層厚とすることが好ましい。
【0049】
このように電極5を覆うナノダイヤモンド7の成膜は、公知の方法で行うことができる。例えば、ナノダイヤモンド7を混ぜた有機溶剤中に電極5を浸し、有機溶剤に超音波を与えることでナノダイヤモンド7を電極5の表面に付着させ、必要に応じて有機溶剤の除去を行った後、CVD(Chemical Vapor Deposition)にてナノダイヤモンド7を成膜することができる。あるいは、電極5にナノダイヤモンド7を塗布した後、これを焼結させて固着しても良い。
【0050】
このように本実施の形態4によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、ナノダイヤモンド7によって電極5が覆われてその絶縁性が確保されるので、異常放電等を低減することができる。
【0051】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5は、電極を誘電体層で覆った後、さらにナノダイヤモンドで被覆した点において、電極を直接ナノダイヤモンドで被覆した実施の形態4とは異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態4と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態4で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図11は、本実施の形態5に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図11に例示するように、放電装置50は、中空体2、蛍光層3、放電ガス4、電極5、誘電体層51、及び、ナノダイヤモンド7を備えて構成されている。
【0053】
このうち、誘電体層51は、電極5の絶縁層として機能するものである。このように誘電体層51を形成した場合、ナノダイヤモンド7の一部が破損等した場合においても、電極5が誘電体層51によって保護されて放電ガスに直接触れないため、異常放電等の発生を回避できる。なお、この誘電体層51の具体的材質や製造方法は任意であるが、例えば、電極5を電解処理することによってその表面を多孔質化し、この表面に沸騰水または加熱水蒸気を接触させて、細孔を塞ぐことで、絶縁性を有する誘電体層51を形成することができる。
【0054】
このように本実施の形態5によれば、実施の形態4と同様の効果に加えて、誘電体層51によって電極5が覆われてその絶縁性が一層高められているので、バリヤ型放電における異常放電等を一層確実に低減することができる。
【0055】
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6について説明する。この実施の形態6は、面型の放電装置において、パネル型の中空体の内部の一側面にナノダイヤモンドを配置した点において、管型の放電装置に関する実施の形態1とは異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態1と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態1で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図12は、本実施の形態6に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図12に例示するように、放電装置60は、中空体61、蛍光層3、放電ガス4、電極5、及び、ナノダイヤモンド7を備えて構成されている。
【0057】
このうち、中空体61は、一対のパネル体62,63を備えて形成されており、これら一対のパネル体62,63の間に放電ガスが充填されている。なお、図示では一対のパネル体62,63の側面を開放しているように示しているが、実際にはこの側面にも中空体61が存在し、中空体61によって放電ガス4が密閉されている。ここで、一方のパネル体62の外面には、複数の電極5が略一定間隔で配置されている。これら電極5のうち、一部の電極5と他の電極5とに相互に極性の異なる交流電圧を印加することで、各電極5が陰極又は陽極に交互に連続的に切り替えられる。
【0058】
ここで、上記電極5が配置されたパネル体62の内面には、その略全面に渡り、ナノダイヤモンド7が配置されている。このナノダイヤモンド7は、電極5の電子放出効率を高めるためのもので、特許請求の範囲におけるナノダイヤモンドに対応する。一方、他のパネル体63の内面には、その略全面に渡り、蛍光層3が設けられている。すなわち、ナノダイヤモンド7と蛍光層3とが放電ガスを介して対向するように配置されている。このように、各パネル体62,63の内面の略全域に渡ってナノダイヤモンド7又は蛍光層3を形成すれば良く、特定の部位毎に異なる構造にする必要がないので、放電装置60を容易かつ低コストに製造できる。
【0059】
このように構成された放電装置60は、基本的には、従来の平面型の放電装置と同様に動作する。すなわち、電極5に交流電圧を印加すると、この電極5に引かれた中空体61の内部の電子が放電ガス4と衝突して増殖し、この増殖した電子や放電ガス4がナノダイヤモンド7に衝突して2次電子を放出させることで放電が発生する。そして、この放電による2次電子が水銀に衝突してこれを励起させ、励起された水銀が紫外線を放射して蛍光体を励起することで、この蛍光体から可視光が発光される。すなわち、蛍光層3が設けられたパネル体63から、可視光が放出される。
【0060】
また、このような面型の放電装置60においても、管型の放電装置と同様に、ナノダイヤモンド7による高γ効果と注入発光効果とを得ることができる。すなわち、陰極サイクルにおいては、ナノダイヤモンド7から二次電子が容易に放出され、特に、ナノダイヤモンド7の個々の粒子がナノサイズ化されていることによって、粒子内における電子個々の閉じ込め効果が高くなるため、電子が抜けた後に残る正孔が粒子内に保持され易くなる。また、陽極サイクルにおいては、電子と正孔との注入発光効果による直接発光の確率が高くなり、従来よりも高い発光効率を得ることができる。特に、電極5に近い側のパネル体62にナノダイヤモンド7を配置しているので、電子がより高い確率でナノダイヤモンド7に衝突するために、一層の注入発光効果を得ることができる。
【0061】
このように本実施の形態6によれば、実施の形態1と同様に、ダイヤモンドをナノサイズ化することによって高γ効果と注入発光効果を得ることができ、放電装置60の全体の発光効率を向上させることができる。特に、ナノダイヤモンド7を電極5に対応する位置に配置したので、高γ効果と注入発光効果とを一層高めることができる。
【0062】
(実施の形態7)
次に、本発明の実施の形態7について説明する。この実施の形態7は、パネル型の中空体の内部の一側面にナノダイヤモンドを配置し、さらにこのナノダイヤモンドの表面に蛍光層を配置した点において、ナノダイヤモンドのみを配置した実施の形態6とは異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態6と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態6で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図13は、本実施の形態7に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図13に例示するように、放電装置70は、中空体61、蛍光層3、放電ガス4、電極5、ナノダイヤモンド7、及び、第2の蛍光層71を備えて構成されている。
【0064】
このうち、第2の蛍光層71は、蛍光層3と同様に形成されて、紫外線にて励起されて可視光を発光する蛍光体からなるものである。この蛍光層3は、中空体61の一対のパネル体62,63のうち、電極5及びナノダイヤモンド7が配置されているパネル体62の内面に配置されている。
【0065】
より具体的には、第2の蛍光層71は、パネル体62の内面において、ナノダイヤモンド7がバリヤ型放電に寄与しない位置、すなわち、電極5に対応する位置以外の位置に配置されている。すなわち、放電は、電極5からパネル体62及びナノダイヤモンド7を介して放電ガス4に至り、さらに放電ガス4からナノダイヤモンド7及びパネル体62を介して他の電極5に至る経路を経て行われるので、電極5に対応する位置以外の位置については放電には直接寄与していない。そこで、このような位置に第2の蛍光層71を配置しても放電の障害にはならず、逆に、蛍光発光の効率を向上させることができるため、放電装置70の全体としての発光効率を向上させることができる。なお、本実施の形態8においては、ナノダイヤモンド7の内面に第2の蛍光層71を配置して2層構造としており、ナノダイヤモンド7を単に均一に形成すれば良いので、その形成が一層容易になる。ただし、このような利点が省略できる場合には、ナノダイヤモンド7を断続的に配置すると共に、このナノダイヤモンド7の間に第2の蛍光層71を配置する1層構造を採用しても良い。
【0066】
また、変形例として、実施の形態1の変形例で図6,7を参照して説明したように、粗面化した中空体61の内面にナノダイヤモンド7を配置しても良い。平面型の放電装置70は、液晶のバックライト等として利用されることが多く、発光の均一性が高いことが特に好ましいため、内面を粗面化することによる発光の均一性の向上効果は、特に平面型の放電装置70において有効である。また、このように中空体61の構成を工夫することで発光の均一性を向上できる場合には、従来、発光の均一性を向上させるために中空体61の外部に設けていた拡散板や散乱板の負担を低減でき、場合によってはこれら拡散板や散乱板を省略できる。
【0067】
このように本実施の形態7によれば、実施の形態6と同様の効果に加えて、第2の蛍光層71によって蛍光発光の効率を向上させることができる。特に、ナノダイヤモンド7を単に均一に形成すれば良いので、その形成が一層容易である。
【0068】
(実施の形態8)
次に、本発明の実施の形態8について説明する。この実施の形態8は、ナノダイヤモンドを蛍光体と混合した状態で配置している点において、ナノダイヤモンドを単体で配置していた実施の形態6と異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態6と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態6で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図14は、本実施の形態8に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図14に例示するように、放電装置80は、中空体61、蛍光層3、放電ガス4、電極5、及び、混合層9を備えて構成されている。
【0070】
このうち、中空体61を構成する一方のパネル体62の内面には、その略全面に、混合層9が設けられている。この混合層9は、蛍光体とナノダイヤモンド7とを混合して形成されており、特許請求の範囲における混合層に対応する。この混合層9の具体的な構成や形成方法等については、実施の形態2と同様な構成や形成方法を採用できるので、その詳細な説明は省略する。
【0071】
このように本実施の形態8によれば、実施の形態6と同様の効果に加えて、実施の形態2と同様に、ナノダイヤモンド7を蛍光体と混合した状態で配置しているため、ナノダイヤモンド7から発せられた光によってその近傍の蛍光体を効率よく励起し、可視光の発光効率を向上させることができる。
【0072】
(実施の形態9)
次に、本発明の実施の形態9について説明する。この実施の形態9は、パネル型の中空体の内部にリブを配置し、このリブの側面にナノダイヤモンドを配置した点において、リブを含まない実施の形態8とは異なる。なお、特に説明なき構成及び作用効果については実施の形態8と同様であり、同一の構成の全部又は一部には、実施の形態6で用いたものと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
図15は、本実施の形態9に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。この図15に例示するように、放電装置90は、中空体61、蛍光層3、放電ガス4、電極5、複数のリブ91、及び、混合層9を備えて構成されている。
【0074】
このうち、リブ91の各々は、板状体又は柱状体に形成されており、このような複数のリブ91が、中空体61を構成する一対のパネル62,63の間に所定間隔を隔てて配置されて、これら一対のパネル62,63を相互に一定間隔に維持している。各リブ91の側面には、ナノダイヤモンドを蛍光体と混合して構成された混合層9が配置されており、放電空間に存在する電子やイオンがこの混合層9に高確率で衝突することで、二次電子放出効率や注入発光効果が一層向上する。なお、リブ91の側面には、混合層9に代えて、ナノダイヤモンドをそのまま配置しても良い。
【0075】
なお、複数のリブ91の具体的な平面形状や配置構成は、種々の形態を取り得る。例えば、図16の放電装置90aの平面図に示すように、各リブ91aを長手板状に形成して配置することで、特にこの長手方向における強度を保つことができると共に、容易にリブ91aを形成できるので製造コストを低減できる。また、図17の他の例における放電装置90bの平面図に示すように、各リブ91bを短手板状に形成して配置することで、放電空間における気体流動の自由度を高めることができ、放電空間に放電ガス4を封止する際に必要になる真空引きを容易に行い、また、放電ガス4のばらつきを低減してその分圧を所定分圧に容易に維持できる。あるいは、図18の他の例における放電装置90cの平面図に示すように、各リブ91cを平面略十字形状に形成することで、図示における上下左右の各方向における強度を均等に維持できると共に、図17の場合と同様に、放電空間における放電ガス4の流動性を高めることができる。
【0076】
このように本実施の形態9によれば、実施の形態8と同様の効果に加えて、リブ91の側面に形成した混合層9によって放電空間における二次電子放出効率や注入発光効果を一層向上させることができる。ただし、リブ91には、混合層9以外に、ナノダイヤモンドや通常のダイヤモンドを配置しても良い。
【0077】
(実施の形態に対する変形例)
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び方法は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような実施の形態の変形例について説明する。
【0078】
実施の形態1〜9に示した構造を相互に混在させて、他の構造を形成しても良い。例えば、実施の形態1では、粗面化した中空体2の内面にナノダイヤモンド7を配置した例を説明したが、この構造を実施の形態4に適用し、中空体2の内部に配置した電極5の表面を粗面化し、この粗面化した表面にナノダイヤモンド7を配置しても良い。あるいは、この構造を実施の形態6に適用し、パネル体62の表面を粗面化し、この粗面化した表面にナノダイヤモンド7を配置しても良い。あるいは、実施の形態9におけるリブ91を、実施の形態1〜5における中空体2の内部に形成し、このリブ91の側面にナノダイヤモンド7や混合層9を形成しても良い。また、リブ91の表面を粗面化しても良い。
【0079】
また、本発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、上記に記載されていない課題を解決したり、上記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、電極5の電子放出効率が飛躍的に向上していない場合においても、従来のダイヤモンド膜を用いた同一条件下での放電装置に比べて、電子放出効率が若干でも向上できている限りにおいて、本願の課題が解決されている。
【0080】
また、各図面は模式的なものであり、そこに示された構成要素の各部の寸法や相互の比率は図示のものに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明に係る放電装置は、ダイヤモンドを用いて放電装置の電子放出効率を向上させることに有用であり、高い発光効率が求められる放電装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態1に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図2】陰極サイクルにおける効果を模式的に示す図である。
【図3】陽極サイクルにおける効果を模式的に示す図である。
【図4】ダイヤモンドの粒径と量子閉じ込め効果との関係を示したグラフである。
【図5】ダイヤモンドの粒径と、カソードルミネッセンス発光時の光強度との関係を示したグラフである。
【図6】ナノダイヤモンドが配置された中空体の拡大断面図である。
【図7】ナノダイヤモンドが配置された中空体の拡大断面図である。
【図8】実施の形態2に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図9】実施の形態3に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図10】実施の形態4に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図11】実施の形態5に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図12】実施の形態6に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図13】実施の形態7に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図14】実施の形態8に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図15】実施の形態9に係る放電装置の構成を模式的に例示する断面図である。
【図16】他の例における放電装置の平面図である。
【図17】他の例における放電装置の平面図である。
【図18】他の例における放電装置の平面図である。
【符号の説明】
【0083】
1,20,30,40,50,60,70,80,90,90a〜90c 放電装置
2,61 中空体
2a 凸部
2b 凹部
3 蛍光層
4 放電ガス
5 電極
6 リード線
7 ナノダイヤモンド
8 ダイヤモンド
9 混合層
51 誘電体層
62,63 パネル体
71 第2の蛍光層
91,91a〜91c リブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する中空体と、
前記中空体の内部に封止された放電ガスと、
前記中空体の内部に設けられた蛍光層と、
前記放電ガスに電圧を印加するため、前記中空体の内部又は外部に配置された、少なくとも一対の電極と、
前記中空体の内部に設けられたナノダイヤモンドと、
を備えることを特徴とする放電装置。
【請求項2】
前記電極を、前記中空体の外部に配置し、
前記ナノダイヤモンドを、前記中空体の内面における、前記中空体を介して前記電極と対向する位置に配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の放電装置。
【請求項3】
前記電極を、前記中空体の外部に配置し、
前記ナノダイヤモンドを、前記中空体の内面の略全面に配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の放電装置。
【請求項4】
前記電極を、前記中空体の内部に配置し、
前記ナノダイヤモンドを、前記電極の表面を略被覆する位置に配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の放電装置。
【請求項5】
前記電極を、前記中空体の内部に配置し、
前記電極の表面を、誘電体にて被覆し、
前記ナノダイヤモンドを、前記誘電体の表面を略被覆する位置に配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の放電装置。
【請求項6】
前記中空体は、相互に対向配置された一対のパネル体を有し、
前記一対のパネル体のうち、
一方のパネル体の外部には前記電極を配置すると共に、その内面には前記ナノダイヤモンドを配置し、
他方のパネル体の内面には前記蛍光層を配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の放電装置。
【請求項7】
前記ナノダイヤモンドの内面に、第2の蛍光層を配置したこと、
を特徴とする請求項6に記載の放電装置。
【請求項8】
前記一対のパネル体の相互間にリブを配置し、
前記リブの側面に、前記ナノダイヤモンドを配置したこと、
を特徴とする請求項6又は7に記載の放電装置。
【請求項9】
前記中空体の内面の少なくとも一部を粗面化し、この粗面化した内面に前記ナノダイヤモンドを設けたこと、
を特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の放電装置。
【請求項10】
前記中空体の内面にダイヤモンド膜を形成し、このダイヤモンド膜の内面に前記ナノダイヤモンドを設けたこと、
を特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の放電装置。
【請求項11】
前記ナノダイヤモンドは、前記蛍光層を構成する蛍光体と混合されて混合層として配置されていること、
を特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の放電装置。
【請求項1】
透光性を有する中空体と、
前記中空体の内部に封止された放電ガスと、
前記中空体の内部に設けられた蛍光層と、
前記放電ガスに電圧を印加するため、前記中空体の内部又は外部に配置された、少なくとも一対の電極と、
前記中空体の内部に設けられたナノダイヤモンドと、
を備えることを特徴とする放電装置。
【請求項2】
前記電極を、前記中空体の外部に配置し、
前記ナノダイヤモンドを、前記中空体の内面における、前記中空体を介して前記電極と対向する位置に配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の放電装置。
【請求項3】
前記電極を、前記中空体の外部に配置し、
前記ナノダイヤモンドを、前記中空体の内面の略全面に配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の放電装置。
【請求項4】
前記電極を、前記中空体の内部に配置し、
前記ナノダイヤモンドを、前記電極の表面を略被覆する位置に配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の放電装置。
【請求項5】
前記電極を、前記中空体の内部に配置し、
前記電極の表面を、誘電体にて被覆し、
前記ナノダイヤモンドを、前記誘電体の表面を略被覆する位置に配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の放電装置。
【請求項6】
前記中空体は、相互に対向配置された一対のパネル体を有し、
前記一対のパネル体のうち、
一方のパネル体の外部には前記電極を配置すると共に、その内面には前記ナノダイヤモンドを配置し、
他方のパネル体の内面には前記蛍光層を配置したこと、
を特徴とする請求項1に記載の放電装置。
【請求項7】
前記ナノダイヤモンドの内面に、第2の蛍光層を配置したこと、
を特徴とする請求項6に記載の放電装置。
【請求項8】
前記一対のパネル体の相互間にリブを配置し、
前記リブの側面に、前記ナノダイヤモンドを配置したこと、
を特徴とする請求項6又は7に記載の放電装置。
【請求項9】
前記中空体の内面の少なくとも一部を粗面化し、この粗面化した内面に前記ナノダイヤモンドを設けたこと、
を特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の放電装置。
【請求項10】
前記中空体の内面にダイヤモンド膜を形成し、このダイヤモンド膜の内面に前記ナノダイヤモンドを設けたこと、
を特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の放電装置。
【請求項11】
前記ナノダイヤモンドは、前記蛍光層を構成する蛍光体と混合されて混合層として配置されていること、
を特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の放電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−172718(P2006−172718A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−359145(P2004−359145)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]