説明

放電電極および放電装置

【課題】電極剥がれや電極内での放電等を防止し、耐熱性に優れた放電電極および放電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】従来の電極の部分を導電性の粉体5に替えることで、温度影響による電極剥がれを防止することができる。また、従来の誘電体バリアの部分を、セラミックあるいは石英で形成され、粉体5を収容可能に構成した筒6に替えることで、筒6と粉体5との間に隙間が生じにくいので、放電電圧が上昇しにくく、発熱しにくくなる。また、筒6がセラミックあるいは石英で形成されているので、耐熱性に優れ、ピンホールもなく、非常に長寿命が期待できる。その結果、電極剥がれや電極内での放電等を防止し、耐熱性に優れたプラズマ用電極1を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ用電極(大気圧成膜、プラズマ応用処理)、ガス分解、オゾン発生用電極等に用いられる放電電極および放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放電電極として、大気圧成膜などに用いられるプラズマ用電極を例に採って説明する。プラズマ用電極として誘電体バリア電極を用いる。誘電体バリア電極を用いることで誘電体バリアが容量結合されて、2極の電極間で放電させることが可能になる。このような誘電体バリア電極を用いた場合には、大気圧下でプラズマ放電させてプラズマ処理を行うことが可能である。したがって、真空装置が不要で、電源も高圧パルス電源でよく、コスト的にも有利である特徴がある。
【0003】
一般的に、1枚のセラミック基板の片面に金属電極を設け、セラミック側でプラズマ放電させる。電極をセラミック基板に接合させるには、接着や溶剤などで接合されている場合が多い(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1の方法ではゾルゲル法によりセラミックの薄膜コーティングを金属電極に施し、特許文献2の方法では誘電体シートを金属電極に貼り付ける。このような方法により誘電体バリア電極を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−132067号公報
【特許文献2】特開平7−111195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のコーティングによる方法や誘電体シートを貼りつける方法の場合には、電極に対する誘電体の剥がれ、ピンホールの発生があり、長寿命が期待できないという問題がある。また、電極と誘電体との間に微小な隙間ができ、これが放電電圧の上昇、発熱の増加につながってしまうという問題もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電極剥がれや電極内での放電等を防止し、耐熱性に優れた放電電極および放電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放電電極は、導電性の粉体と、セラミックあるいは石英で形成され、前記粉体を収容可能に構成した収容部とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]本発明に係る放電電極によれば、従来の電極の部分を導電性の粉体に替えることで、温度影響による電極剥がれを防止することができる。また、従来の誘電体バリアの部分を、セラミックあるいは石英で形成され、粉体を収容可能に構成した収容部に替えることで、収容部と粉体との間に隙間が生じにくいので、放電電圧が上昇しにくく、発熱しにくくなる。また、収容部がセラミックあるいは石英で形成されているので、耐熱性に優れ、ピンホールもなく、非常に長寿命が期待できる。その結果、電極剥がれや電極内での放電等を防止し、耐熱性に優れた放電電極を実現することができる。
【0009】
また、本発明に係る放電装置は、放電電極と、前記放電電極に電圧を印加する電源とを備えた放電装置であって、前記放電電極は、導電性の粉体と、セラミックあるいは石英で形成され、前記粉体を収容可能に構成した収容部とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
[作用・効果]本発明に係る放電装置によれば、電源の他に、上述のように構成された放電電極を備えている。すなわち、放電電極は、導電性の粉体と、セラミックあるいは石英で形成され、粉体を収容可能に構成した収容部とを備えることにより、電極剥がれや電極内での放電等を防止し、耐熱性に優れた放電電極を有した放電装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る放電電極および放電装置によれば、放電電極は、導電性の粉体と、セラミックあるいは石英で形成され、粉体を収容可能に構成した収容部とを備えることにより、電極剥がれや電極内での放電等を防止し、耐熱性に優れた放電電極、およびそれを有した放電装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1に係るプラズマ用電極を有したプラズマ処理装置の概略断面図である。
【図2】(a)、(b)は、図1とは別の実施形態の実施例1に係るプラズマ用電極の概略断面図である。
【図3】図1および図2とは別の実施形態の実施例1に係るプラズマ用電極の概略断面図である。
【図4】図1〜図3とは別の実施形態の実施例1に係るプラズマ用電極の概略断面図である。
【図5】図2に示すチューブ状電極のプラズマ用電極を応用したプラズマ処理装置の概略断面図である。
【図6】(a)は実施例2に係るガス分解装置の概略平面図、(b)は(a)の概略断面図である。
【図7】図2に示すチューブ状電極のプラズマ用電極の変形実施の概略断面図である。
【実施例1】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係るプラズマ用電極を有したプラズマ処理装置の概略断面図であり、図2(a)、図2(b)は、図1とは別の実施形態の実施例1に係るプラズマ用電極の概略断面図であり、図3は、図1および図2とは別の実施形態の実施例1に係るプラズマ用電極の概略断面図であり、図4は、図1〜図3とは別の実施形態の実施例1に係るプラズマ用電極の概略断面図である。本実施例1では、放電電極として、プラズマ用電極を例に採って説明するとともに、放電装置として大気圧成膜に用いられるプラズマ処理装置を例に採って説明する。
【0014】
図1に示すように、プラズマ用電極1はドラム状ローラー電極であり、フィルムなどに代表される長尺状のワークWを図1の矢印の方向に送り出すローラーと、ワークWの表面に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理部とを兼用している。プラズマ用電極1は、本発明における放電電極に相当する。
【0015】
図1の場合には、プラズマ用電極1に対向して対向電極2を設けている。図1のプラズマ処理装置10はパルス電源3を備え、各電極1,2とパルス電源3とを電気的に接続し、パルス電源3から各電極1,2に電圧を印加する。本実施例1のパルス電源3は、1kHz〜100kHz程度の交流電源を使用する。パルス電源3から各電極1,2に電圧を印加することにより、各電極1,2間にプラズマPMが生成される。パルス電源3は、本発明における電源に相当し、プラズマ処理装置10は、本発明における放電装置に相当する。
【0016】
図1に示すように、プラズマ用電極1は、内部電極4と粉体5と筒6とを備えている。筒6は中空になっており、この中空の部分に内部電極4を収容し、内部電極4と筒6との間にある隙間に粉体5を収容して隙間を埋める。内部電極4は、ステンレス鋼や銅等に代表される金属で形成されている。粉体5は炭素粉末で形成されている。なお、粉体5は導電性の粉体であれば、炭素に限定されず、銅粉などに代表される金属粉末であればよい。粉体5は粒径0.1mm程度のものが好ましい。筒6は、セラミックあるいは石英で形成されている。セラミック単体あるいは石英単体で筒6を形成してもよいし、セラミックと石英とを両方組み合わせて筒6を形成してもよい。粉体5は、本発明における粉体に相当し、筒6は、本発明における収容部に相当する。
【0017】
図1の正面および背面には、粉体5が外部に出ないように、セラミック接着剤などからなるセラミック封止材(図示省略)によって、内部電極4と筒6との間にある隙間を封止する。図1の構造の場合には、内部電極4および粉体5が電極の部分となる。粉体5のみならず、内部電極4をも備えたのは、粉体のみでは抵抗率が高くなって発熱しやすくなってしまうのを防止するためである。このように、内部電極4を有することで、より一層発熱を抑え、放電効率が良くなる。もちろん、内部電極4を必ずしも備える必要はなく、筒6の中空部分に導電性の粉体のみを充填して収容してもよい。
【0018】
なお、対向電極2については、必ずしも誘電体バリア電極である必要はなく、金属電極のみであってもよい。もちろん、対向電極2を従来のような誘電体バリア電極で形成してもよいし、図1に示すようなプラズマ用電極1と同様にドラム状電極で形成してもよい。また、対向電極2は、後述する図2、図3あるいは図4に示すような形態であってもよい。
【0019】
図1では、プラズマ用電極1をドラム状ローラー電極で形成したが、このような形態に限定されない。図2、図3あるいは図4に示すような形態であってもよい。それぞれの具体的な形態について詳しく説明する。
【0020】
図2に示すように、プラズマ用電極11はチューブ状電極である。プラズマ用電極11は、内部電極14と粉体15と石英ガラス管16とを備えている。石英ガラス管16は他端が開放端となっており、この開放端の部分から内部電極14を収容し、内部電極14と石英ガラス管16との間にある隙間に粉体15を収容して隙間を埋める。図1と同様に、内部電極14は、ステンレス鋼や銅等に代表される金属で形成され、粉体15は、炭素粉末あるいは金属粉末で形成されている。石英ガラス管16は石英で形成されているが、セラミックで形成されたセラミック管に替えてもよいし、セラミックと石英とを両方組み合わせた管に替えてもよい。プラズマ用電極11は、本発明における放電電極に相当し、粉体15は、本発明における粉体に相当し、石英ガラス管16は、本発明における収容部に相当する。
【0021】
その他に、粉体15が熱による膨張で、石英ガラス管16の開放端を介して外部に出ないように、スプリング機構17を石英ガラス管16の開放端から挿入して、石英ガラス管16とスプリング機構17との間にある隙間を、セラミック接着剤などからなるセラミック封止材18によって封止する。図1と同様に、内部電極14を有することで、より一層発熱を抑え、放電効率が良くなる。図2の場合においても、内部電極14を必ずしも備える必要はなく、石英ガラス管16内に導電性の粉体のみを充填して収容してもよい。
【0022】
スプリング機構17は、図2(b)の拡大図に示すように、バネ17aとボール17bと金属棒17cと金属筒17dと抑え蓋17eとを備えている。金属筒17dは中空になっており、この中空の部分にバネ17a,ボール17b,金属棒17cを順に収容することで、石英ガラス管16の開放端側から、バネ17a,ボール17b,金属棒17cが順に配置される。また、バネ17aの一端は、金属筒17dの開放端側よりも外部に出ないように固定されている。金属棒17cの一端は抑え蓋17eを支持している。金属棒17cおよび金属筒17dは、金メッキした真鍮で形成されている。また、抑え蓋17eはステンレス鋼で形成されている。
【0023】
このように、スプリング機構17を構成することで、粉体15が熱によって膨張して抑え蓋17e,さらには金属棒17c,ボール17b,バネ17aの他端が図2(b)中の矢印の方向に移動しても、バネ17aの弾性力およびセラミック封止材18により粉体15が外部に出ることはない。
【0024】
図2に示すプラズマ用電極11を複数個互いに対向して並べて配置し、パルス電源3(図1を参照)から各プラズマ用電極11に電圧を印加することにより、各プラズマ用電極11間にプラズマPM(図1を参照)が生成される。プラズマ用電極11に対向する電極については、同じプラズマ用電極11である必要はなく、図1に示す対向電極2であってもよいし、後述する図3あるいは図4に示すような形態であってもよい。
【0025】
また、図3に示すように、プラズマ用電極21はL型電極であってもよい。プラズマ用電極21は、粉体25と2つのL型板26とを備えている。各L型板26は互いに対向配置されており、各L型板26間において、セラミック接着剤などからなるセラミック封止材27によっていずれかの面で封止した後に、各L型板26間の隙間に粉体25を収容して隙間を埋める。その後で、セラミック封止材27によって残りの面(図3の正面および背面については図示省略)で封止する。図1や図2と同様に、粉体25は、炭素粉末あるいは金属粉末で形成され、各L型板26は、セラミック単体、石英単体あるいはセラミックと石英とを両方組み合わせて形成されている。プラズマ用電極21は、本発明における放電電極に相当し、粉体25は、本発明における粉体に相当し、2つのL型板26は、本発明における収容部に相当する。
【0026】
なお、2つのL型板26に限定されず、2つのL型板26をつなげて、開口面を少なくとも1つ有した収容板に替えて使用してもよい。この場合には、開口面から粉体25を収容して隙間を埋める。その後で、セラミック封止材27によって当該開口面で封止する。また、図1や図2のように内部電極(図1では内部電極4、図2では内部電極14)を有してもよい。
【0027】
図3に示すプラズマ用電極21を互いに対向して並べて配置し、パルス電源3(図1を参照)から各プラズマ用電極21に電圧を印加することにより、各プラズマ用電極21間にプラズマPMが生成される。プラズマ用電極21に対向する電極については、同じプラズマ用電極21である必要はなく、図1に示す対向電極2であってもよいし、上述した図2に示すプラズマ用電極11であってもよいし、後述する図4に示すような形態であってもよい。
【0028】
また、図4に示すように、プラズマ用電極31はプレート状電極であってもよい。プラズマ用電極31は、粉体35と2つの平板36とを備えている。各平板36は互いに対向配置されており、各平板36間において、セラミック接着剤などからなるセラミック封止材37によっていずれかの面で封止した後に、各平板36によって残りの面(図4の正面および背面については図示省略)で封止する。図1〜図3と同様に、粉体35は、炭素粉末あるいは金属粉末で形成され、各平板36は、セラミック単体、石英単体あるいはセラミックと石英とを両方組み合わせて形成されている。プラズマ用電極31は、本発明における放電電極に相当し、粉体35は、本発明における粉体に相当し、2つの平板36は、本発明における収容部に相当する。
【0029】
なお、2つの平板36に限定されず、2つの平板36をつなげて、開口面を少なくとも1つ有した収容板に替えて使用してもよい。この場合には、開口面から粉体35を収容して隙間を埋める。その後で、セラミック封止材37によって当該開口面で封止する。また、図1や図2のように内部電極(図1では内部電極4、図2では内部電極14)を有してもよい。
【0030】
図4に示すプラズマ用電極31を互いに対向して並べて配置し、パルス電源3(図1を参照)から各プラズマ用電極31に電圧を印加することにより、各プラズマ用電極31間にプラズマPMが生成される。プラズマ用電極31に対向する電極については、同じプラズマ用電極31である必要はなく、図1に示す対向電極2であってもよいし、上述した図2に示すプラズマ用電極11であってもよいし、上述した図3に示すプラズマ用電極21であってもよい。
【0031】
本実施例1に係る放電電極(本実施例1ではプラズマ用電極)によれば、従来の電極の部分を導電性の粉体に替えることで、温度影響による電極剥がれを防止することができる。また、従来の誘電体バリアの部分を、セラミックあるいは石英で形成され、粉体を収容可能に構成した収容部(図1では筒6、図2では石英ガラス管16、図3では2つのL型板26、図4では2つの平板36)に替えることで、収容部と粉体との間に隙間が生じにくいので、放電電圧が上昇しにくく、発熱しにくくなる。実際に、図1〜図4に示す各プラズマ用電極では、従来と比較すると、放電電圧が1割以上低減され、電極の発熱が抑えられる。
【0032】
また、収容部がセラミックあるいは石英で形成されているので、耐熱性に優れ、ピンホールもなく、非常に長寿命が期待できる。その結果、電極剥がれや電極内での放電等を防止し、耐熱性に優れた放電電極(本実施例1ではプラズマ用電極)を実現することができる。
【0033】
また、本実施例1に係る放電装置(図1ではプラズマ処理装置10)によれば、電源(図1ではパルス電源3)の他に、上述のように構成された放電電極(本実施例1ではプラズマ用電極)を備えている。すなわち、放電電極(プラズマ用電極)は、導電性の粉体と、セラミックあるいは石英で形成され、粉体を収容可能に構成した収容部とを備えることにより、電極剥がれや電極内での放電等を防止し、耐熱性に優れた放電電極(プラズマ用電極)を有した放電装置(プラズマ処理装置10)を実現することができる。
【0034】
また、図2に示すチューブ状電極のプラズマ用電極11の応用として、例えば図5に示すように、プラズマ処理装置10を構成してもよい。すなわち、図5に示すように、複数のプラズマ用電極11を並べて配置し、シリコンなどからなるモールド材7によって封止する。これらのプラズマ用電極11に対向して対向電極2を設ける。なお、各々のプラズマ用電極11を同電位にし、パルス電源3から各電極2,11に電圧を印加することにより、各電極2,11間にプラズマPMが生成される。この図5の構造においても、対向電極2については、金属電極のみであってもよいし、従来のような誘電体バリア電極であってもよいし、図2に示すプラズマ用電極11あるいは図5に示すモールド封止された複数のプラズマ用電極11であってもよいし、図3や図4に示すプラズマ用電極であってもよい。
【実施例2】
【0035】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。
図6(a)は、実施例2に係るガス分解装置の概略平面図であり、図6(b)は、図6(a)の概略断面図である。本実施例2では、放電装置としてガス分解装置を例に採って説明する。
【0036】
図6では、図2に示すチューブ状電極のプラズマ用電極11をガス分解のための電極に応用している。図6のガス分解装置40は、開口部41aを上下に有した金属ケース41を備えている。プラズマ用電極11は、本発明における放電電極に相当し、ガス分解装置40は、本発明における放電装置に相当する。
【0037】
図6(a)の平面図に示すように、金属ケース41の開口部41aに複数のプラズマ用電極11を並べて配置している。また、図6(b)の断面図に示すように、上下段のプラズマ用電極11を千鳥状に対向して配置している。上段に配置された複数のプラズマ用電極11を上段プラズマ用電極11Aとし、下段に配置された複数のプラズマ用電極11を下段プラズマ用電極11Bとする。
【0038】
図示を省略する端子が上段プラズマ用電極11Aを支持し、当該端子にそれぞれ電気的に接続し、各々の上段プラズマ用電極11Aを同電位にする。同様に、図示を省略する端子が下段プラズマ用電極11Bを支持し、当該端子にそれぞれ電気的に接続し、各々の下段プラズマ用電極11Bを同電位にする。パルス電源3(図1を参照)から各電極電極11A,11Bに電圧を印加することにより、各電極11A,11B間にプラズマPM(図1を参照)が生成される。
【0039】
プラズマが生成された状態で、開口部41aを通して、ダクト(図示省略)からガス(図6(b)では「Gas」で表記)を通すと、ガスが分解される。ガス分解装置としては、消臭用の装置に適用され、例えばガスとして硫化水素(HS)が挙げられる。50ppmの硫化水素のガスを分解するのに有用である。
【0040】
本実施例2に係る放電装置(本実施例2ではガス分解装置40)によれば、電源(図1ではパルス電源3)の他に、上述のように構成された放電電極(図6ではプラズマ用電極11)を備えている。すなわち、放電電極(プラズマ用電極11)は、上述した実施例1と同様に、導電性の粉体と、セラミックあるいは石英で形成され、粉体を収容可能に構成した収容部とを備えることにより、電極剥がれや電極内での放電等を防止し、耐熱性に優れた放電電極(プラズマ用電極11)を有した放電装置(ガス分解装置40)を実現することができる。
【0041】
なお、本実施例2の図6では、図2に示すチューブ状電極のプラズマ用電極11をガス分解のための電極に応用したが、これに限定されない。図1、図3、図4に示す各プラズマ用電極をガス分解のための電極に応用してもよい。
【0042】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0043】
(1)上述した各実施例では、放電装置は、プラズマ放電によってプラズマを発生させるタイプであったが、酸素中の放電によってオゾン(O)を発生させるタイプでもよい。したがって、放電装置として、酸素中の放電によってオゾンを発生させるオゾン発生装置(オゾン発生用リアクタ)や、酸素中の放電によって発生したオゾンを利用したオゾン処理を行うオゾン処理装置に適用することができる。その他にも、通常に用いられるオゾン処理であれば、例えば殺菌や漂白や酸化などにも適用することができる。なお、プラズマ放電や酸素中の放電以外にも、放電を利用した所定の処理を行う装置などに適用することができる。
【0044】
(2)上述した各実施例では、大気圧下で処理を行ったが、真空中あるいは減圧下で処理を行ってもよい。また、必要に応じてガスを送り込んでプラズマ処理(プラズマエッチング、プラズマによる成膜処理など)を行ってもよい。
【0045】
(3)図2に示すチューブ状電極のプラズマ用電極11を、例えば図7に示すように、変形して実施することができる。図2と共通する箇所については同じ符号を付してその説明を省略する。図2のセラミック封止材18の替わりに図7では石英の繊維からなるグラスウールなどに代表される断熱材19を石英ガラス管16に挿入する。また、開放端側とは逆側にも断熱材19を石英ガラス管16に挿入するとともに、スプリング機構17における抑え蓋17eと同じ(ステンレス鋼で形成された)抑え蓋17eを開放端側とは逆側にも挿入する。両抑え蓋17e,断熱材19間に粉体15を収容する。粉体15を含めた両抑え蓋17e間の領域(図7では「A」で表記)で発熱し、当該領域の外に該当する領域では断熱材19によって発熱しないので、当該領域のみがプラズマ放電する領域となる。したがって、断熱材17を挿入することでプラズマ放電する領域の箇所や長さを調節することができる。また、図2のように内部電極14を有してもよいし、図2のようにセラミック封止材18でさらに封止してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1、11、21、31 … プラズマ用電極
3 … パルス電源
5,15、25、35 … 粉体
6 … 筒
10 … プラズマ処理装置
16 … 石英ガラス管
26 … L型板
36 … 平板
40 … ガス分解装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極であって、
前記放電電極は、
導電性の粉体と、
セラミックあるいは石英で形成され、前記粉体を収容可能に構成した収容部と
を備えることを特徴とする放電電極。
【請求項2】
放電電極と、前記放電電極に電圧を印加する電源とを備えた放電装置であって、
前記放電電極は、
導電性の粉体と、
セラミックあるいは石英で形成され、前記粉体を収容可能に構成した収容部と
を備えることを特徴とする放電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−58349(P2013−58349A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195183(P2011−195183)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(593030923)株式会社ニッシン (14)
【Fターム(参考)】