故障予測装置及びプログラム
【課題】画像形成装置に対する保守作業に起因する画像形成パラメータの時系列変動が故障予測に与える影響を軽減する技術を提案する。
【解決手段】保守情報関連パラメータ抽出部55が、保守情報に関連する画像形成パラメータを抽出し、時系列データ補間部56が、抽出された画像形成パラメータについて画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている保守タイミング前後の補間対象期間の時系列データ部分を削除及び補間し、時系列データ変化点検出部57が、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている補間後の画像形成パラメータの時系列データについて変化点の検出を行い、故障予兆判定部58が、各画像形成パラメータについての変化点の検出結果に基づいて故障予兆の検出を行い、故障予兆通知部59が、検出された故障予兆の通知を行う。
【解決手段】保守情報関連パラメータ抽出部55が、保守情報に関連する画像形成パラメータを抽出し、時系列データ補間部56が、抽出された画像形成パラメータについて画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている保守タイミング前後の補間対象期間の時系列データ部分を削除及び補間し、時系列データ変化点検出部57が、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている補間後の画像形成パラメータの時系列データについて変化点の検出を行い、故障予兆判定部58が、各画像形成パラメータについての変化点の検出結果に基づいて故障予兆の検出を行い、故障予兆通知部59が、検出された故障予兆の通知を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障予測装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ(文書印刷装置)、コピー機(文書複写装置)、ファクシミリ装置(文書転送装置)などのように、用紙等の記録材に文書の画像を形成して出力する画像形成機能を備えた画像形成装置がある。
例えば、電子写真方式の画像形成装置では、その複雑な構成により、高画質を維持するためにサービスエンジニアによる保守サービスを必要としている。また、近年では、各画像形成装置をリモート(遠隔)で監視して、故障診断や消耗品のライフ(寿命)を予測する所謂リモートメンテナンスシステムにより、保守サービスを効率化することが行われている。更に、印刷分野において生産材として使用される画像形成装置などについて、画像形成装置の状態の時間的変化を監視して、ダウンタイム(画像形成機能の使用が不可能或いは制限された状況)の発生を未然に防止するための予兆監視システムへの発展が期待されている。
【0003】
これまで、装置の状態を監視して故障の予測等を行う技術に関して種々の発明が提案されている。
例えば、ログ収集手段により収集されたエラーログを故障徴候として故障診断解析を行い、被疑故障部品情報を指摘し、ログファイルに記録すると共に、被疑故障部品情報により修理が行われた場合に対応するエラーログを削除する発明が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
例えば、画像形成装置の稼働状況に関連する稼動情報と、稼動情報に対応させて画像形成装置を外部から監視した監視情報とに基づいて画像形成装置を管理することにより、稼動異常状態の発生原因の解析、画像形成装置の修理期間の短縮を図る発明が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
例えば、過去の挙動に基づいてもうすぐ故障が発生するのか否かを判定する故障予測装置において、被検対象に対する保守情報が取得された場合には、その後の一定期間、まだ故障が発生しない旨の判定を行うように構成する発明が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平04−003233号公報
【特許文献2】特開2003−076533号公報
【特許文献3】特開2010−101948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、画像形成装置で実行された画像形成処理に係る画像形成パラメータに基づく故障予測に関し、画像形成装置に対する保守作業に起因する画像形成パラメータの時系列変動が故障予測に与える影響を軽減する技術を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、画像形成装置に施された保守作業の実施日時を特定する特定手段と、前記画像形成装置で実行された画像形成処理のパラメータの時系列データから、前記特定手段により特定された保守作業の実施日時前後の予め定められた長さの期間のデータ部分を除外した時系列データを用いて、前記画像形成装置における故障の発生を予測する予測手段と、を備えたことを特徴とする故障予測装置である。
【0009】
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る本発明において、前記予測手段は、除外の対象となる期間のデータ部分を削除して他の期間のデータ部分により補間した時系列データを用いて、前記画像形成装置における故障の発生を予測する、ことを特徴とする故障予測装置である。
【0010】
請求項3に係る本発明は、請求項1又は請求項2に係る本発明において、除外の対象となる期間のデータ部分の変動度合が予め定められた基準を超える場合に、時系列データの除外が行われる、ことを特徴とする故障予測装置である。
【0011】
請求項4に係る本発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る本発明において、保守作業の際に前記画像形成装置で発生することが想定される事象が予め設定されており、前記特定手段は、前記画像形成装置で前記事象の発生が検出された場合に、当該事象の発生日時を、前記画像形成装置に施された保守作業の実施日時として特定する、ことを特徴とする故障予測装置である。
【0012】
請求項5に係る本発明は、 コンピュータに、画像形成装置に施された保守作業の実施日時を特定する特定機能と、前記画像形成装置で実行された画像形成処理のパラメータの時系列データから、前記特定機能により特定された保守作業の実施日時前後の予め定められた長さの期間のデータ部分を除外した時系列データを用いて、前記画像形成装置における故障の発生を予測する予測機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、2、5に係る本発明によれば、画像形成装置で実行された画像形成処理に係る画像形成パラメータに基づく故障予測に関し、画像形成装置に対する保守作業に起因する画像形成パラメータの時系列変動が故障予測に与える影響を、本発明を適用しない場合に比べて軽減することができる。
【0014】
請求項3に係る本発明によれば、画像形成パラメータの時系列変動が保守作業に起因すると推定される場合に、画像形成パラメータを除外して故障予測に与える影響の軽減を図ることができる。
【0015】
請求項4に係る本発明によれば、保守作業の実施日時の特定を、人手を介在させず行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る予兆監視システムによる監視対象となる画像形成装置の構造を例示する図である。
【図2】第1実施例に係る予兆監視システムの機能ブロックを例示する図である。
【図3】保守情報の種別と画像形成パラメータの種別とを対応付けた対応表を例示する図である。
【図4】画像形成パラメータの時系列データを多項式近似により補間する様子を例示する図である。
【図5】画像形成パラメータの時系列データを線形近似により補間する様子を例示する図である。
【図6】故障事象の種別と画像形成パラメータの種別とを対応付けた対応表を例示する図である。
【図7】故障予兆判定アルゴリズムの概要を例示する図である。
【図8】第1実施例に係る予兆監視システムの処理フローを例示する図である。
【図9】第2実施例に係る予兆監視システムの機能ブロックを例示する図である。
【図10】保守イベント情報の種別と画像形成パラメータの種別とを対応付けた対応表を例示する図である。
【図11】第2実施例に係る予兆監視システムの処理フローを例示する図である。
【図12】予兆監視システムに係るサーバ装置のハードウェア構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る予兆監視システムについて、図面を参照して説明する。
まず、本発明の一実施形態に係る予兆監視システムによる監視対象となる画像形成装置について説明する。
画像形成装置は、用紙等の記録材に画像を形成して出力する画像形成機能を備えた装置である。画像形成装置としては、プリンタ(文書印刷装置)、コピー機(文書複写装置)、ファクシミリ装置(文書転送装置)などの装置が挙げられるほか、これらの装置の機能を複合的に備えた複合機も含まれる。
【0018】
図1には、本例の画像形成装置における画像形成部の構造を例示してある。
本例の画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式であり、代表的な機構として、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を用紙P(記録材の一例)に一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着器34と、を備えている。
また、本例の画像形成装置は、各部の動作を制御する制御部40、操作者への情報の提示や操作者からの指示を受け付けるためのユーザーインタフェース(UI)41、を備えている。
【0019】
本例において、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々は、矢印A方向に回転する感光体ドラム11(11Y,11M,11C,11K)を有する。また、感光体ドラム11の各々の周囲には、感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に露光ビームBmを照射して静電潜像を書き込む露光器13、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラムクリーナ17、といった各種の電子写真用デバイスが順次配設されている。
これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されており、中間転写ベルト15に対して接離可能に構成されている。
【0020】
また、本例の画像形成装置は、用紙搬送系として、用紙収容部から用紙Pを取り出して二次転写部20へと送り込む給紙動作を行う給紙機構部31と、二次転写部20を通過した用紙Pを定着器34側へと搬送する搬送ベルト32と、用紙Pを定着器34の入口へとガイドする定着入口ガイド33と、定着器34から排紙された用紙Pをガイドする排紙ガイド35と、排紙ガイド35によりガイドされた用紙Pを装置外部に排出する排紙ロール36と、を備えている。
【0021】
すなわち、給紙機構部31により用紙収容部から二次転写部20へと給紙された用紙Pは、二次転写部20にて中間転写ベルト15上のトナー像が静電転写された後、中間転写ベルト15から剥離された状態で搬送ベルト32へと搬送される。そして、搬送ベルト32により、定着器34の動作速度に合わせて、定着入口ガイド33を介して定着器34まで搬送される。定着器34に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着器34によって熱及び圧力を加える定着処理を受けることで用紙P上に定着される。その後、定着画像が形成された用紙Pは、排紙ガイド35及び排紙ロール36を介して、装置外部に設けられた排紙収容部(図示せず)へと搬送される。
【0022】
ここで、例えば、印刷分野において生産材として使用される画像形成装置では、専任のオペレータが画像形成装置を操作・管理するのが一般的であるが、専任のオペレータによるメンテナンスや部品交換などの保守作業によって、予兆監視システムのための機械データ(画像形成パラメータ)に関する時系列データの不具合が発生すると、故障予兆を検出する処理のノイズとなる。すなわち、例えば、専任のオペレータによる部品交換の結果、機械データ(画像形成パラメータ)を時系列順に並べた時系列データに不連続性が生じてしまい、故障予兆としてリモートメンテナンスシステムで検出され、同一部品の再交換が指示される可能性がある。
そこで、以下に例示する予兆監視システムでは、画像形成装置に対する保守作業に起因する画像形成パラメータの時系列変動が故障予測に与える影響を軽減するように工夫してある。
【実施例1】
【0023】
図2には、第1実施例に係る予兆監視システムの機能ブロックを例示してある。
本例の予兆監視システムは、画像形成パラメータ収集部51、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52、保守情報入力部53、保守情報蓄積部54、保守情報関連パラメータ抽出部55、時系列データ補間部56、時系列データ変化点検出部57、故障予兆判定部58、故障予兆通知部59を有している。
なお、本例では、これらの機能ブロック51〜59を、監視対象となる複数台の画像形成装置に通信可能に接続されたサーバ装置に設けてあり、当該サーバ装置が各画像形成装置について故障予測する構成となっているが、各画像形成装置にこれらの機能ブロック51〜59を設け、各画像形成装置が自身について故障予測する構成としてもよい。
【0024】
画像形成パラメータ収集部51は、印刷出力されるページ毎(1枚の画像形成処理を実行する毎)、或いは予め定められたタイミングで、画像形成処理に係る画像形成パラメータの値を収集する。本例では、監視対象となる複数台の画像形成装置から、画像形成パラメータの各種別について、各画像形成パラメータの値(設定値や測定値)をページ毎に収集する。収集された画像形成パラメータの値には、収集元の画像形成装置を識別する装置識別情報が対応付けてあり、以降の処理では、装置識別情報により各画像形成装置を識別して画像形成装置毎に処理が実行される。
【0025】
収集する画像形成パラメータの種別としては、例えば、感光体電位(感光体ドラム11の電位)、感光体帯電電流(感光体ドラム11の帯電電流)、半導体レーザ光量(露光器13のレーザ光量)、現像器トナー濃度(現像器14により形成されるトナー像の濃度)、一次転写電流(一次転写部10における転写電流)、二次転写電流(二次転写部20における転写電流)、定着器ヒートロール温度(定着器34を加熱するヒートロールの温度)、プロコンパッチ濃度(トナー像の位置合わせや濃度制御などのプロセスコントロールに用いるパッチ画像の濃度)等が挙げられる。尚、上記した画像形成パラメータは、電子写真方式の画像形成パラメータの一例であり、上記に限定されるものではない。
【0026】
画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52は、画像形成パラメータ収集部51により収集された画像形成パラメータの値を、画像形成パラメータの種別毎に統計処理し、予め定められた期間について保存(蓄積)する。
統計処理としては、例えば、印刷処理のジョブ(1回の印刷命令により1枚又は複数枚を印刷する一連の処理)単位、或いは一定長の期間単位(例えば、1日単位)の平均値や分散値(例えば、標準偏差値)等の統計値を算出する処理が行われる。本例では、印刷処理のジョブ単位で統計処理を行う。
統計処理された画像形成パラメータの値(本例では、標準偏差値)は、その元となった各画像形成パラメータを収集したタイミング(収集タイミング)を示すタイミング情報(本例では、印刷処理のジョブの実行日時)が付されて時系列順に(時系列データとして)保存される。
【0027】
統計処理された画像形成パラメータの値を保存する期間は、故障予兆を検出する処理のために必要な期間長の過去を含む監視期間であり、例えば、1ヶ月間である。なお、保存の期間を超える画像形成パラメータの値は、順次サイクリックに上書きされるようにしてある。すなわち、直近の一定量の画像形成パラメータの値を保存する。
なお、本例のような時間長を単位とした期間に代えて、印刷処理のジョブ数といった処理量を単位とした期間(例えば、100ジョブ分の期間)について画像形成パラメータの値を保存するようにしても良い。
【0028】
保守情報入力部53は、ユーザー(例えば、専任のオペレータ等)やサービスエンジニアなどの作業者が画像形成装置に対して部品交換や清掃等の保守作業を実施した場合に、例えば、当該画像形成装置の操作パネル上に表示される保守メニュー画面に当該作業者が作業内容を入力する等により、保守作業の作業内容を記録した保守情報を作成する。
また、本例では、操作パネルに対する指示入力に応じて、或いは予め定められたタイミングの到来を契機に自動で実行されるキャリブレーション(校正)等の保守関連動作を保守作業の一種として扱っており、この保守関連動作の実行に応じて作成される実行ログも保守情報として用いるようにしている。
なお、これらの保守情報には、その保守作業(或いは保守関連動作)が実施されたタイミング(保守タイミング)を示すタイミング情報(本例では、保守作業の実施日時)が付される。
【0029】
保守情報蓄積部54は、保守情報入力部53により作成された保守情報を、後段の時系列データ補間部56にて保守情報に関わる画像形成パラメータが前後データにより補間されるまで、一時的に保存(蓄積)する。なお、画像形成パラメータの補間後に保存し続けるようにしても構わない。
【0030】
保守情報関連パラメータ抽出部55は、保守情報蓄積部54に蓄積されている保守情報に関連する画像形成パラメータを抽出(特定)し、後段の時系列データ補間部56に通知する。
保守情報に関連する画像形成パラメータは、例えば、図3に例示するような、保守情報の種別と画像形成パラメータの種別とを対応付けた対応表に基づいて抽出される。具体的には、例えば、各色チャージコロトロンユニットの交換や清掃の保守作業については、これに関連する画像形成パラメータとして、各色感光体電位(設定値及び測定値)、各色帯電電流、半導体レーザ光量(設定値及び測定値)が抽出される。
【0031】
時系列データ補間部56は、保守情報関連パラメータ抽出部55により抽出された保守情報に関連する画像形成パラメータについて、当該保守情報に付されたタイミング情報に基づき、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている保守タイミング前後を含む期間(故障予兆を検出する処理のために必要な期間長の過去を含む監視期間)の画像形成パラメータの時系列データをスキャンして、後述の補間対象期間における時系列変動の程度(変動度合)が予め定められた基準を超えるか否かを判定し、基準を超える時系列変動が発生したことを検出する変動検出処理を行う。そして、変動検出処理により基準を超える時系列変動の発生が検出された画像形成パラメータについて、保守タイミング前後の時系列データ部分を削除し、当該削除した時系列データ部分を他の期間の時系列データにより補間する補間処理を行う。
【0032】
上記の変動検出処理及び補間処理は、保守情報に関連する画像形成パラメータ毎に、例えば、以下の(手順1)〜(手順3)で行われる。
(手順1)保守タイミング前後を含む期間の画像形成パラメータの時系列データに対して多項式近似を行う。多項式近似は、例えば、下記のような2次多項式を適用する。比較的低次の多項式近似を用いることにより、微小な変動を除去し、大きな時系列変動を捉えることが可能となる。
【0033】
[2次多項式近似] y=ax2+bx+c (x0≦x<xn:近似区間)
この近似式において、xは、画像形成パラメータの収集タイミングを表す数値であり、yは、そのタイミングにおける画像形成パラメータの予測値を表す。
なお、x0≦x<xnで表される近似区間は、故障予兆に係る監視期間に対応する。例えば、xnとしては、最新の画像形成パラメータの収集タイミングが用いられ、x0としては、70ジョブを遡った時点の画像形成パラメータの収集タイミングが用いられる。
【0034】
(手順2)保守タイミング前後の予め定められた長さの補間対象期間について、上記の多項式近似式による予測データと実際の画像形成パラメータの時系列データとの差分を求めて、当該差分を予め定められた変動判定閾値と比較し、変動判定閾値を越える差分が検出された場合に、保守作業に起因して時系列データに基準を超える変動が発生したと判断し、監視期間の時系列データのうち、当該補間対象期間の時系列データについて補間処理を行う。補間対象期間としては、例えば、保守タイミングを中心にした5ジョブ分の期間が用いられる。
【0035】
ここで、上記の変動判定閾値は、画像形成パラメータの平均的な変化に基づいて決定される。なお、画像形成パラメータ毎に平均的な変化の大きさは異なるため、画像形成パラメータ毎に過去の時系列データの標準偏差(σ)を随時算出して閾値を決定する。標準偏差を算出する際には保守作業によるデータ変動を除外するのが望ましいが、時系列データにおける保守作業の影響は閾値に含めることが可能であるため、補間対象期間の時系列データを含めても良い。閾値としては、通常、1.5σ〜3σの間で設定される。
【0036】
(手順3)補間処理は、例えば、補間対象期間の時系列データを削除し、当該削除部分に上記の多項式近似による予測データをそのまま適用して行われる。すなわち、補間対象期間の時系列データ部分を予測データの値に置換する。補間処理された時系列データは、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に出力されて置き換えられる。これにより、その期間の時系列データを除外した状態で、後段の故障予兆判定部58による処理が行われることになる。
【0037】
このように、本例では、監視期間内の画像形成パラメータの時系列データについて、保守作業に起因して時系列データに基準を超える変動が発生したか否かを判定し、基準を超える変動が発生した場合、すなわち、画像形成パラメータの時系列変動が保守作業に起因すると推定される場合に、保守タイミング前後の補間対象期間の時系列データを予測データに基づいて補間するようにした。なお、保守作業近傍における画像形成パラメータの時系列データを常にノイズと見做してもよく、この場合には、基準を超える変動の有無に関わらず、保守タイミングを基準にした補間対象期間の時系列データを削除及び補間すればよい。
【0038】
図4には、画像形成パラメータの時系列データを多項式近似により補間する様子を例示してある。図4(a)は、或る画像形成パラメータの標準偏差変化を監視パラメータとした事例の補間前の様子であり、図4(b)は、当該事例について補間処理を施した後の様子である。なお、図4(a)、(b)において、横軸(x軸)は、ジョブ単位での時間の経過を表しており、縦軸(y軸)は、統計処理された画像形成パラメータの値(本例では、標準偏差値)を表している。また、図4(a)には、x0≦x<xnの期間における実際の画像形成パラメータの時系列データの推移に加え、この推移の近似式(本例では、2次多項式)による予測データの推移(2次多項式回帰曲線)を示してある。
【0039】
図4の事例では、画像形成パラメータの値(本例では、標準偏差)の標準偏差を随時算出し、予測データに対して1.5σ離れた点を閾値としている。図4(a)によれば、保守作業時付近の時系列データが閾値から外れた値となっており、変動検出処理により検出される。この結果、保守タイミング前後の時系列データ部分(補間対象期間の時系列データ部分)が削除及び補間されることになる。そこで、本例では、図4(b)に示すように、この時系列データ部分を変動検出処理で用いた近似式(本例では、2次多項式)による予測データをそのまま適用して補間する。
【0040】
なお、上記の補間処理では、変動検出処理で用いた近似式による予測データをそのまま適用しているが、これに代えて、保守作業近傍の時系列データのみを利用して、例えば、下記の線形近似のように、変動検出処理で用いた近似式とは異なる近似式による補間を行うようにしても良い。
【0041】
[線形近似] y=ax+b (x1≦x<xn:保守作業近傍の近似区間)
この近似式において、xは、画像形成パラメータの収集タイミングを表す数値であり、yは、そのタイミングにおける画像形成パラメータの予測値を表す。
なお、x1≦x<xnで表される近似区間は、故障予兆に係る監視期間より短く、補間対象期間を含む期間である。例えば、xnとしては、最新の画像形成パラメータの収集タイミングが用いられ、x1としては、20ジョブを遡った時点の画像形成パラメータの収集タイミングが用いられる。
【0042】
図5には、画像形成パラメータの時系列データを線形近似により補間する様子を例示してある。なお、図5において、横軸(x軸)は、ジョブ単位での時間の経過を表しており、縦軸(y軸)は、統計処理された画像形成パラメータの値(本例では、標準偏差値)を表している。また、図5では、x1≦x<xnの期間における実際の画像形成パラメータの時系列データの推移に加え、当該期間の推移の近似式(本例では、線形近似式)による予測データの推移(線形近似直線)を示してあり、保守タイミング前後の補間対象期間の時系列データ部分を線形近似式による予測データを適用して補間している。
なお、上記のような線形近似の他、微小な変動の影響を受けない低次の多項式近似、累乗近似、指数近似等を適用して、より誤差の少ない近似式を用いる構成にしても良い。
【0043】
時系列データ変化点検出部57は、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に保存(蓄積)されている補間後の各画像形成パラメータの時系列データに基づき、監視期間内における変化点を変化点検出アルゴリズムにより検出する。
変化点検出アルゴリズムとしては、例えば、上述した時系列データ補間部56と同様に、時系列データの変動が予め定められた閾値を超えるか否か、分散値(標準偏差値)の変動が予め定められた閾値を超えるか否か等により変化点を検出するアルゴリズムなどが挙げられる。
【0044】
故障予兆判定部58は、時系列データ変化点検出部57にて変化点が検出された画像形成パラメータ群に基づいて故障予兆の判定を行い、故障予兆が検出された場合には、その旨を示すアラート(警告情報)を出力する。
故障予兆は、例えば、図6に例示するような、故障事象(トラブル事象)の種別と画像形成パラメータの種別とを対応付けた対応表に基づいて、故障予兆判定アルゴリズムにより検出される。
【0045】
故障予兆判定アルゴリズムとしては、例えば、図7に例示するような、故障事象毎に分類された変化点を検出した画像形成パラメータ群について、予め設定された重み付け係数を乗算した結果の和が予め定められた閾値(トラブル判定閾値)を超えるか否か等により故障予兆を判定するアルゴリズムなどが挙げられる。なお、図7において、画像形成パラメータn変化検出の値は、変化点が検出された画像形成パラメータについて“1”が用いられ、変化点が検出されなかった画像形成パラメータについて“0”が用いられる。また、画像形成パラメータnの重み係数は、0〜1の範囲で設定された係数が用いられる。
なお、トラブル判定閾値を複数設け、第1の閾値を超えた場合にレベル1アラート、第2の閾値を超えた場合にレベル2アラートを出力するといったように、トラブルの確度に応じたアラート出力を行う構成にしても良い。
【0046】
故障予兆通知部59は、故障予兆判定部58にて出力されたアラートに基づいて、故障予兆を示す情報を表示してユーザーやサービスエンジニアに故障予兆を通知する。例えば、オンサイト予兆監視システムの場合は、画像形成装置の操作パネル等に表示し、リモート予兆監視システムの場合は、リモートセンターに設置された端末装置の表示パネル等に表示する。
【0047】
第1実施例に係る予兆監視システムの処理フローを、図8を参照して説明する。
画像形成パラメータ収集部51が、監視対象となる画像形成装置から画像形成パラメータの値を収集し(ステップS11)、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52が、収集された画像形成パラメータの値を統計処理して蓄積する(ステップS12)。また、保守情報入力部53が、手動により又は自動的に保守情報を作成し(ステップS11)、保守情報蓄積部54が、作成された保守情報を蓄積する(ステップS12)。これらの処理を繰り返し、予め定められた予兆診断タイミングが到来した場合又は予兆診断の指示が入力された場合に、以下の処理を行う(ステップS13)。
【0048】
まず、故障予兆に係る監視期間について、当該監視期間内の保守情報が存在するか否かを判定する(ステップS14)。
ステップS14において該当する保守情報が存在すると判定された場合には、保守情報関連パラメータ抽出部55が、当該保守情報に関連する画像形成パラメータを抽出し(ステップS15)、時系列データ補間部56が、抽出された画像形成パラメータについて画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている保守タイミング前後の補間対象期間の時系列データ部分を削除及び補間する(ステップS16)。その後、時系列データ変化点検出部57が、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている補間後の画像形成パラメータの時系列データについて変化点の検出を行い(ステップS17)、故障予兆判定部58が、各画像形成パラメータについての変化点の検出結果に基づいて故障予兆の検出を行い(ステップS18)、故障予兆通知部59が、検出された故障予兆の通知を行う(ステップS19)。
【0049】
一方、ステップS14において該当する保守情報が存在しないと判定された場合には、画像形成パラメータの時系列データの削除及び補間を行わずに、時系列データ変化点検出部57が、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている画像形成パラメータの時系列データについて変化点の検出を行い(ステップS17)、故障予兆判定部58が、各画像形成パラメータについての変化点の検出結果に基づいて故障予兆の検出を行い(ステップS18)、故障予兆通知部59が、検出された故障予兆の通知を行う(ステップS19)。
【0050】
このように、第1実施例に係る予兆監視システムでは、監視対象となる画像形成装置に係る保守情報に基づいて、当該画像形成装置に施された保守作業の実施日時を特定し、当該特定された保守作業の実施日時前後の予め定められた長さの補間対象期間について画像形成パラメータの時系列データを削除して補間した後に、補間後の画像形成パラメータの時系列データに基づく故障予測を行うようにしている。
これにより、保守作業が行われることに起因する時系列データの不連続性の影響を軽減して、保守作業が行われることに起因する故障予測の精度の低下を防いでいる。
【実施例2】
【0051】
上記の第1実施例では、画像形成パラメータに対するデータ補間のベースとなる保守情報の取得には、ユーザーやサービスエンジニア等の作業者による保守情報の入力操作が不可欠となるが、部品交換時のカウンタリセット等の作業がきちんと実施されずに保守情報が作成されない場合がある。特に、顧客であるユーザーに保守情報を確実に入力させることは更に困難であり、結果として故障予兆の判定精度が低下することが考えられる。このような状況に対し、部品交換や清掃等の保守作業に係る保守情報を自動取得する割合を上げて対処することが考えられるが、コストの増大が懸念される。
そこで、第2実施例では、ユーザーやサービスエンジニア等の作業者により入力される保守情報や、保守情報の自動取得システムから取得可能な直接的な保守情報に代えて、保守作業に関連するイベント(画像形成装置で発生する事象)の情報から保守作業が実施されたことを推定して、画像形成パラメータの削除及び補間を行うように構成する。
【0052】
図9には、第2実施例に係る予兆監視システムの機能ブロックを例示してある。
本例の予兆監視システムは、画像形成パラメータ収集部61、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部62、保守作業イベント情報収集部63、保守作業イベント情報蓄積部64、保守作業イベント情報関連パラメータ推定部65、時系列データ補間部66、時系列データ変化点検出部67、故障予兆判定部68、故障予兆通知部69を有している。
【0053】
なお、画像形成パラメータ収集部61、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部62、時系列データ補間部66、時系列データ変化点検出部67、故障予兆判定部68、故障予兆通知部69は、第1実施例に係る画像形成パラメータ収集部51、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52、時系列データ補間部56、時系列データ変化点検出部57、故障予兆判定部58、故障予兆通知部59と同様であるため説明を省略し、第1実施例と相違する機能ブロックである保守作業イベント情報収集部63、保守作業イベント情報蓄積部64、保守作業イベント情報関連パラメータ推定部65について主に説明する。
【0054】
保守作業イベント情報収集部63は、ドアオープン、部品着脱等の保守作業に関連するイベント(保守作業の際に発生することが想定されるイベント(事象))の発生を示すイベント信号や当該イベント信号の継続時間を記録した保守イベント情報を収集する。また、キャリブレーションの実施等の自動取得可能な保守イベント情報も収集する。ドアオープン、部品着脱等のイベント信号は、画像形成装置の各部に設けられたセンサー等によるイベント検出に応じて発生される。このイベント信号には、その発生タイミングを示すタイミング情報(本例では、イベント信号の発生日時)が付されており、当該タイミング情報により特定されるタイミング(保守作業に関連するイベントの発生タイミング)を保守タイミングと見做して後続の処理が行われる。
【0055】
保守作業イベント情報蓄積部64は、保守作業イベント情報収集部63により収集された保守イベント情報(イベント信号やその継続時間の情報など)を、後段の時系列データ補間部66にて保守情報に関わる画像形成パラメータが前後データにより補間されるまで、一時的に保存(蓄積)する。なお、画像形成パラメータの補間後に保存し続けるようにしても構わない。
【0056】
保守作業イベント情報関連パラメータ推定部65は、保守作業イベント情報蓄積部64に蓄積されている保守イベント情報に関連する画像形成パラメータを推定(特定)し、後段の時系列データ補間部66に通知する。
保守イベント情報に関連する画像形成パラメータは、例えば、図10に例示するような、保守イベント情報の種別と画像形成パラメータの種別とを対応付けた対応表に基づいて推定される。なお、図10の例では、イベント信号の種別及びその継続時間と、これに関連することが推定される保守作業の種別及び当該保守作業が実施された確率(推定保守作業確率)とを対応付けると共に、更に、当該保守作業に関連する画像形成パラメータを対応付けている。なお、推定保守作業確率は、保守イベント情報と画像形成パラメータとの対応関係の強度を表す関連指数とも言える。
【0057】
本例では、推定保守作業確率を変動判定閾値の調整に用いており、推定保守作業確率の値が大きい場合には変動判定閾値の幅を広く(判定を緩く)し、推定保守作業確率の値が小さい場合には変動判定閾値の幅を狭く(判定を厳しく)している。すなわち、時系列データ補間部66では、変動判定閾値を推定保守作業確率に従って調整し、当該調整後の変動判定閾値を用いて変動検出処理を行うことで、変動検出の精度を高めるようにしている。以後の処理は第1実施例と同じであるため、その説明を省略する。
【0058】
第2実施例に係る予兆監視システムの処理フローを、図11を参照して説明する。
画像形成パラメータ収集部61が、監視対象となる画像形成装置から画像形成パラメータの値を収集し(ステップS21)、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部62が、収集された画像形成パラメータの値を統計処理して蓄積する(ステップS22)。また、保守作業イベント情報収集部63が、部品着脱等の保守作業に関連するイベントに係る保守イベント情報を収集し(ステップS21)、保守作業イベント情報蓄積部64が、収集された保守イベント情報を蓄積する(ステップS22)。これらの処理を繰り返し、予め定められた予兆診断タイミングが到来した場合又は予兆診断の指示が入力された場合に、以下の処理を行う(ステップS23)。
【0059】
まず、故障予兆に係る監視期間について、当該監視期間内の保守イベント情報が存在するか否かを判定する(ステップS24)。
ステップS24において該当する保守イベント情報が存在すると判定された場合には、保守作業イベント情報関連パラメータ推定部65が、当該保守イベント情報に関連する画像形成パラメータを推定し(ステップS25)、時系列データ補間部66が、推定された画像形成パラメータについて画像形成パラメータ時系列データ蓄積部62に蓄積されている保守タイミング前後の補間対象期間の時系列データ部分を削除及び補間する(ステップS26)。その後、時系列データ変化点検出部67が、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている補間後の画像形成パラメータの時系列データについて変化点の検出を行い(ステップS27)、故障予兆判定部68が、各画像形成パラメータについての変化点の検出結果に基づいて故障予兆の検出を行い(ステップS28)、故障予兆通知部69が、検出された故障予兆の通知を行う(ステップS29)。
【0060】
一方、ステップS24において該当する保守情報が存在しないと判定された場合には、画像形成パラメータの時系列データの補間を行わずに、時系列データ変化点検出部67が、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部62に蓄積されている画像形成パラメータの時系列データについて変化点の検出を行い(ステップS27)、故障予兆判定部68が、各画像形成パラメータについての変化点の検出結果に基づいて故障予兆の検出を行い(ステップS28)、故障予兆通知部69が、検出された故障予兆の通知を行う(ステップS29)。
【0061】
このように、第2実施例に係る予兆監視システムでは、監視対象となる画像形成装置に係る保守イベント情報に基づいて、当該画像形成装置に施された保守作業の実施日時を推定し、当該推定された保守作業の実施日時前後の予め定められた長さの補間対象期間について画像形成パラメータの時系列データを削除して補間した後に、補間後の画像形成パラメータの時系列データに基づく故障予測を行うようにしている。
これにより、保守作業が行われることに起因する誤報の発生を回避するための保守情報の取得に関し、ユーザーやサービスエンジニア等の操作を大幅に軽減することが可能となる。
【0062】
ここで、上記の第1実施例及び第2実施例では、保守タイミングを基準にした補間対象期間の時系列データを削除及び補間しているが、時系列データに不連続な部分が存在しても支障がない故障予兆判定アルゴリズムを用いる場合には、補間対象期間の時系列データを削除するだけでも良い。
【0063】
図12には、予兆監視システムに係るサーバ装置のハードウェア構成を例示してある。
本例では、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)81、CPU81の作業領域となるRAM(Random Access Memory)82や基本的な制御プログラムを記録したROM(Read Only Memory)83等の主記憶装置、本発明の一実施形態に係るプログラムや各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)84等の補助記憶装置、各種情報を表示出力するための表示装置及び操作者により入力操作に用いられる操作ボタンやタッチパネル等の入力機器とのインタフェースである入出力I/F85、他の装置との間で有線又は無線により通信を行うインタフェースである通信I/F86、等のハードウェア資源をサーバ装置のコンピュータが有している。
そして、本発明の一実施形態に係るプログラムを補助記憶装置84等から読み出してRAM82に展開し、これをCPU81により実行させることで、上述した予兆監視システムに係る各機能部をサーバ装置のコンピュータ上に実現している。
【0064】
なお、本発明の一実施形態に係るプログラムは、例えば、当該プログラムを記憶したCD−ROM等の外部記憶媒体から読み込む形式や、通信網等を介して受信する形式などにより、本例に係るサーバ装置のコンピュータに設定される。
また、本例のようなソフトウェア構成により各機能部を実現する態様に限られず、それぞれの機能部を専用のハードウェアモジュールで実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
51:画像形成パラメータ収集部、 52:画像形成パラメータ時系列データ蓄積部、 53:保守情報入力部、 54:保守情報蓄積部、 55:保守情報関連パラメータ抽出部、 56:時系列データ補間部、 57:時系列データ変化点検出部、 58:故障予兆判定部、 59:故障予兆通知部、
61:画像形成パラメータ収集部、 62:画像形成パラメータ時系列データ蓄積部、 63:保守作業イベント情報収集部、 64:保守作業イベント情報蓄積部、 65:保守作業イベント情報関連パラメータ推定部、 66:時系列データ補間部、 67:時系列データ変化点検出部、 68:故障予兆判定部、 69:故障予兆通知部
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障予測装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ(文書印刷装置)、コピー機(文書複写装置)、ファクシミリ装置(文書転送装置)などのように、用紙等の記録材に文書の画像を形成して出力する画像形成機能を備えた画像形成装置がある。
例えば、電子写真方式の画像形成装置では、その複雑な構成により、高画質を維持するためにサービスエンジニアによる保守サービスを必要としている。また、近年では、各画像形成装置をリモート(遠隔)で監視して、故障診断や消耗品のライフ(寿命)を予測する所謂リモートメンテナンスシステムにより、保守サービスを効率化することが行われている。更に、印刷分野において生産材として使用される画像形成装置などについて、画像形成装置の状態の時間的変化を監視して、ダウンタイム(画像形成機能の使用が不可能或いは制限された状況)の発生を未然に防止するための予兆監視システムへの発展が期待されている。
【0003】
これまで、装置の状態を監視して故障の予測等を行う技術に関して種々の発明が提案されている。
例えば、ログ収集手段により収集されたエラーログを故障徴候として故障診断解析を行い、被疑故障部品情報を指摘し、ログファイルに記録すると共に、被疑故障部品情報により修理が行われた場合に対応するエラーログを削除する発明が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
例えば、画像形成装置の稼働状況に関連する稼動情報と、稼動情報に対応させて画像形成装置を外部から監視した監視情報とに基づいて画像形成装置を管理することにより、稼動異常状態の発生原因の解析、画像形成装置の修理期間の短縮を図る発明が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
例えば、過去の挙動に基づいてもうすぐ故障が発生するのか否かを判定する故障予測装置において、被検対象に対する保守情報が取得された場合には、その後の一定期間、まだ故障が発生しない旨の判定を行うように構成する発明が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平04−003233号公報
【特許文献2】特開2003−076533号公報
【特許文献3】特開2010−101948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、画像形成装置で実行された画像形成処理に係る画像形成パラメータに基づく故障予測に関し、画像形成装置に対する保守作業に起因する画像形成パラメータの時系列変動が故障予測に与える影響を軽減する技術を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、画像形成装置に施された保守作業の実施日時を特定する特定手段と、前記画像形成装置で実行された画像形成処理のパラメータの時系列データから、前記特定手段により特定された保守作業の実施日時前後の予め定められた長さの期間のデータ部分を除外した時系列データを用いて、前記画像形成装置における故障の発生を予測する予測手段と、を備えたことを特徴とする故障予測装置である。
【0009】
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る本発明において、前記予測手段は、除外の対象となる期間のデータ部分を削除して他の期間のデータ部分により補間した時系列データを用いて、前記画像形成装置における故障の発生を予測する、ことを特徴とする故障予測装置である。
【0010】
請求項3に係る本発明は、請求項1又は請求項2に係る本発明において、除外の対象となる期間のデータ部分の変動度合が予め定められた基準を超える場合に、時系列データの除外が行われる、ことを特徴とする故障予測装置である。
【0011】
請求項4に係る本発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る本発明において、保守作業の際に前記画像形成装置で発生することが想定される事象が予め設定されており、前記特定手段は、前記画像形成装置で前記事象の発生が検出された場合に、当該事象の発生日時を、前記画像形成装置に施された保守作業の実施日時として特定する、ことを特徴とする故障予測装置である。
【0012】
請求項5に係る本発明は、 コンピュータに、画像形成装置に施された保守作業の実施日時を特定する特定機能と、前記画像形成装置で実行された画像形成処理のパラメータの時系列データから、前記特定機能により特定された保守作業の実施日時前後の予め定められた長さの期間のデータ部分を除外した時系列データを用いて、前記画像形成装置における故障の発生を予測する予測機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、2、5に係る本発明によれば、画像形成装置で実行された画像形成処理に係る画像形成パラメータに基づく故障予測に関し、画像形成装置に対する保守作業に起因する画像形成パラメータの時系列変動が故障予測に与える影響を、本発明を適用しない場合に比べて軽減することができる。
【0014】
請求項3に係る本発明によれば、画像形成パラメータの時系列変動が保守作業に起因すると推定される場合に、画像形成パラメータを除外して故障予測に与える影響の軽減を図ることができる。
【0015】
請求項4に係る本発明によれば、保守作業の実施日時の特定を、人手を介在させず行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る予兆監視システムによる監視対象となる画像形成装置の構造を例示する図である。
【図2】第1実施例に係る予兆監視システムの機能ブロックを例示する図である。
【図3】保守情報の種別と画像形成パラメータの種別とを対応付けた対応表を例示する図である。
【図4】画像形成パラメータの時系列データを多項式近似により補間する様子を例示する図である。
【図5】画像形成パラメータの時系列データを線形近似により補間する様子を例示する図である。
【図6】故障事象の種別と画像形成パラメータの種別とを対応付けた対応表を例示する図である。
【図7】故障予兆判定アルゴリズムの概要を例示する図である。
【図8】第1実施例に係る予兆監視システムの処理フローを例示する図である。
【図9】第2実施例に係る予兆監視システムの機能ブロックを例示する図である。
【図10】保守イベント情報の種別と画像形成パラメータの種別とを対応付けた対応表を例示する図である。
【図11】第2実施例に係る予兆監視システムの処理フローを例示する図である。
【図12】予兆監視システムに係るサーバ装置のハードウェア構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る予兆監視システムについて、図面を参照して説明する。
まず、本発明の一実施形態に係る予兆監視システムによる監視対象となる画像形成装置について説明する。
画像形成装置は、用紙等の記録材に画像を形成して出力する画像形成機能を備えた装置である。画像形成装置としては、プリンタ(文書印刷装置)、コピー機(文書複写装置)、ファクシミリ装置(文書転送装置)などの装置が挙げられるほか、これらの装置の機能を複合的に備えた複合機も含まれる。
【0018】
図1には、本例の画像形成装置における画像形成部の構造を例示してある。
本例の画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式であり、代表的な機構として、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を用紙P(記録材の一例)に一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着器34と、を備えている。
また、本例の画像形成装置は、各部の動作を制御する制御部40、操作者への情報の提示や操作者からの指示を受け付けるためのユーザーインタフェース(UI)41、を備えている。
【0019】
本例において、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々は、矢印A方向に回転する感光体ドラム11(11Y,11M,11C,11K)を有する。また、感光体ドラム11の各々の周囲には、感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に露光ビームBmを照射して静電潜像を書き込む露光器13、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラムクリーナ17、といった各種の電子写真用デバイスが順次配設されている。
これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されており、中間転写ベルト15に対して接離可能に構成されている。
【0020】
また、本例の画像形成装置は、用紙搬送系として、用紙収容部から用紙Pを取り出して二次転写部20へと送り込む給紙動作を行う給紙機構部31と、二次転写部20を通過した用紙Pを定着器34側へと搬送する搬送ベルト32と、用紙Pを定着器34の入口へとガイドする定着入口ガイド33と、定着器34から排紙された用紙Pをガイドする排紙ガイド35と、排紙ガイド35によりガイドされた用紙Pを装置外部に排出する排紙ロール36と、を備えている。
【0021】
すなわち、給紙機構部31により用紙収容部から二次転写部20へと給紙された用紙Pは、二次転写部20にて中間転写ベルト15上のトナー像が静電転写された後、中間転写ベルト15から剥離された状態で搬送ベルト32へと搬送される。そして、搬送ベルト32により、定着器34の動作速度に合わせて、定着入口ガイド33を介して定着器34まで搬送される。定着器34に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着器34によって熱及び圧力を加える定着処理を受けることで用紙P上に定着される。その後、定着画像が形成された用紙Pは、排紙ガイド35及び排紙ロール36を介して、装置外部に設けられた排紙収容部(図示せず)へと搬送される。
【0022】
ここで、例えば、印刷分野において生産材として使用される画像形成装置では、専任のオペレータが画像形成装置を操作・管理するのが一般的であるが、専任のオペレータによるメンテナンスや部品交換などの保守作業によって、予兆監視システムのための機械データ(画像形成パラメータ)に関する時系列データの不具合が発生すると、故障予兆を検出する処理のノイズとなる。すなわち、例えば、専任のオペレータによる部品交換の結果、機械データ(画像形成パラメータ)を時系列順に並べた時系列データに不連続性が生じてしまい、故障予兆としてリモートメンテナンスシステムで検出され、同一部品の再交換が指示される可能性がある。
そこで、以下に例示する予兆監視システムでは、画像形成装置に対する保守作業に起因する画像形成パラメータの時系列変動が故障予測に与える影響を軽減するように工夫してある。
【実施例1】
【0023】
図2には、第1実施例に係る予兆監視システムの機能ブロックを例示してある。
本例の予兆監視システムは、画像形成パラメータ収集部51、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52、保守情報入力部53、保守情報蓄積部54、保守情報関連パラメータ抽出部55、時系列データ補間部56、時系列データ変化点検出部57、故障予兆判定部58、故障予兆通知部59を有している。
なお、本例では、これらの機能ブロック51〜59を、監視対象となる複数台の画像形成装置に通信可能に接続されたサーバ装置に設けてあり、当該サーバ装置が各画像形成装置について故障予測する構成となっているが、各画像形成装置にこれらの機能ブロック51〜59を設け、各画像形成装置が自身について故障予測する構成としてもよい。
【0024】
画像形成パラメータ収集部51は、印刷出力されるページ毎(1枚の画像形成処理を実行する毎)、或いは予め定められたタイミングで、画像形成処理に係る画像形成パラメータの値を収集する。本例では、監視対象となる複数台の画像形成装置から、画像形成パラメータの各種別について、各画像形成パラメータの値(設定値や測定値)をページ毎に収集する。収集された画像形成パラメータの値には、収集元の画像形成装置を識別する装置識別情報が対応付けてあり、以降の処理では、装置識別情報により各画像形成装置を識別して画像形成装置毎に処理が実行される。
【0025】
収集する画像形成パラメータの種別としては、例えば、感光体電位(感光体ドラム11の電位)、感光体帯電電流(感光体ドラム11の帯電電流)、半導体レーザ光量(露光器13のレーザ光量)、現像器トナー濃度(現像器14により形成されるトナー像の濃度)、一次転写電流(一次転写部10における転写電流)、二次転写電流(二次転写部20における転写電流)、定着器ヒートロール温度(定着器34を加熱するヒートロールの温度)、プロコンパッチ濃度(トナー像の位置合わせや濃度制御などのプロセスコントロールに用いるパッチ画像の濃度)等が挙げられる。尚、上記した画像形成パラメータは、電子写真方式の画像形成パラメータの一例であり、上記に限定されるものではない。
【0026】
画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52は、画像形成パラメータ収集部51により収集された画像形成パラメータの値を、画像形成パラメータの種別毎に統計処理し、予め定められた期間について保存(蓄積)する。
統計処理としては、例えば、印刷処理のジョブ(1回の印刷命令により1枚又は複数枚を印刷する一連の処理)単位、或いは一定長の期間単位(例えば、1日単位)の平均値や分散値(例えば、標準偏差値)等の統計値を算出する処理が行われる。本例では、印刷処理のジョブ単位で統計処理を行う。
統計処理された画像形成パラメータの値(本例では、標準偏差値)は、その元となった各画像形成パラメータを収集したタイミング(収集タイミング)を示すタイミング情報(本例では、印刷処理のジョブの実行日時)が付されて時系列順に(時系列データとして)保存される。
【0027】
統計処理された画像形成パラメータの値を保存する期間は、故障予兆を検出する処理のために必要な期間長の過去を含む監視期間であり、例えば、1ヶ月間である。なお、保存の期間を超える画像形成パラメータの値は、順次サイクリックに上書きされるようにしてある。すなわち、直近の一定量の画像形成パラメータの値を保存する。
なお、本例のような時間長を単位とした期間に代えて、印刷処理のジョブ数といった処理量を単位とした期間(例えば、100ジョブ分の期間)について画像形成パラメータの値を保存するようにしても良い。
【0028】
保守情報入力部53は、ユーザー(例えば、専任のオペレータ等)やサービスエンジニアなどの作業者が画像形成装置に対して部品交換や清掃等の保守作業を実施した場合に、例えば、当該画像形成装置の操作パネル上に表示される保守メニュー画面に当該作業者が作業内容を入力する等により、保守作業の作業内容を記録した保守情報を作成する。
また、本例では、操作パネルに対する指示入力に応じて、或いは予め定められたタイミングの到来を契機に自動で実行されるキャリブレーション(校正)等の保守関連動作を保守作業の一種として扱っており、この保守関連動作の実行に応じて作成される実行ログも保守情報として用いるようにしている。
なお、これらの保守情報には、その保守作業(或いは保守関連動作)が実施されたタイミング(保守タイミング)を示すタイミング情報(本例では、保守作業の実施日時)が付される。
【0029】
保守情報蓄積部54は、保守情報入力部53により作成された保守情報を、後段の時系列データ補間部56にて保守情報に関わる画像形成パラメータが前後データにより補間されるまで、一時的に保存(蓄積)する。なお、画像形成パラメータの補間後に保存し続けるようにしても構わない。
【0030】
保守情報関連パラメータ抽出部55は、保守情報蓄積部54に蓄積されている保守情報に関連する画像形成パラメータを抽出(特定)し、後段の時系列データ補間部56に通知する。
保守情報に関連する画像形成パラメータは、例えば、図3に例示するような、保守情報の種別と画像形成パラメータの種別とを対応付けた対応表に基づいて抽出される。具体的には、例えば、各色チャージコロトロンユニットの交換や清掃の保守作業については、これに関連する画像形成パラメータとして、各色感光体電位(設定値及び測定値)、各色帯電電流、半導体レーザ光量(設定値及び測定値)が抽出される。
【0031】
時系列データ補間部56は、保守情報関連パラメータ抽出部55により抽出された保守情報に関連する画像形成パラメータについて、当該保守情報に付されたタイミング情報に基づき、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている保守タイミング前後を含む期間(故障予兆を検出する処理のために必要な期間長の過去を含む監視期間)の画像形成パラメータの時系列データをスキャンして、後述の補間対象期間における時系列変動の程度(変動度合)が予め定められた基準を超えるか否かを判定し、基準を超える時系列変動が発生したことを検出する変動検出処理を行う。そして、変動検出処理により基準を超える時系列変動の発生が検出された画像形成パラメータについて、保守タイミング前後の時系列データ部分を削除し、当該削除した時系列データ部分を他の期間の時系列データにより補間する補間処理を行う。
【0032】
上記の変動検出処理及び補間処理は、保守情報に関連する画像形成パラメータ毎に、例えば、以下の(手順1)〜(手順3)で行われる。
(手順1)保守タイミング前後を含む期間の画像形成パラメータの時系列データに対して多項式近似を行う。多項式近似は、例えば、下記のような2次多項式を適用する。比較的低次の多項式近似を用いることにより、微小な変動を除去し、大きな時系列変動を捉えることが可能となる。
【0033】
[2次多項式近似] y=ax2+bx+c (x0≦x<xn:近似区間)
この近似式において、xは、画像形成パラメータの収集タイミングを表す数値であり、yは、そのタイミングにおける画像形成パラメータの予測値を表す。
なお、x0≦x<xnで表される近似区間は、故障予兆に係る監視期間に対応する。例えば、xnとしては、最新の画像形成パラメータの収集タイミングが用いられ、x0としては、70ジョブを遡った時点の画像形成パラメータの収集タイミングが用いられる。
【0034】
(手順2)保守タイミング前後の予め定められた長さの補間対象期間について、上記の多項式近似式による予測データと実際の画像形成パラメータの時系列データとの差分を求めて、当該差分を予め定められた変動判定閾値と比較し、変動判定閾値を越える差分が検出された場合に、保守作業に起因して時系列データに基準を超える変動が発生したと判断し、監視期間の時系列データのうち、当該補間対象期間の時系列データについて補間処理を行う。補間対象期間としては、例えば、保守タイミングを中心にした5ジョブ分の期間が用いられる。
【0035】
ここで、上記の変動判定閾値は、画像形成パラメータの平均的な変化に基づいて決定される。なお、画像形成パラメータ毎に平均的な変化の大きさは異なるため、画像形成パラメータ毎に過去の時系列データの標準偏差(σ)を随時算出して閾値を決定する。標準偏差を算出する際には保守作業によるデータ変動を除外するのが望ましいが、時系列データにおける保守作業の影響は閾値に含めることが可能であるため、補間対象期間の時系列データを含めても良い。閾値としては、通常、1.5σ〜3σの間で設定される。
【0036】
(手順3)補間処理は、例えば、補間対象期間の時系列データを削除し、当該削除部分に上記の多項式近似による予測データをそのまま適用して行われる。すなわち、補間対象期間の時系列データ部分を予測データの値に置換する。補間処理された時系列データは、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に出力されて置き換えられる。これにより、その期間の時系列データを除外した状態で、後段の故障予兆判定部58による処理が行われることになる。
【0037】
このように、本例では、監視期間内の画像形成パラメータの時系列データについて、保守作業に起因して時系列データに基準を超える変動が発生したか否かを判定し、基準を超える変動が発生した場合、すなわち、画像形成パラメータの時系列変動が保守作業に起因すると推定される場合に、保守タイミング前後の補間対象期間の時系列データを予測データに基づいて補間するようにした。なお、保守作業近傍における画像形成パラメータの時系列データを常にノイズと見做してもよく、この場合には、基準を超える変動の有無に関わらず、保守タイミングを基準にした補間対象期間の時系列データを削除及び補間すればよい。
【0038】
図4には、画像形成パラメータの時系列データを多項式近似により補間する様子を例示してある。図4(a)は、或る画像形成パラメータの標準偏差変化を監視パラメータとした事例の補間前の様子であり、図4(b)は、当該事例について補間処理を施した後の様子である。なお、図4(a)、(b)において、横軸(x軸)は、ジョブ単位での時間の経過を表しており、縦軸(y軸)は、統計処理された画像形成パラメータの値(本例では、標準偏差値)を表している。また、図4(a)には、x0≦x<xnの期間における実際の画像形成パラメータの時系列データの推移に加え、この推移の近似式(本例では、2次多項式)による予測データの推移(2次多項式回帰曲線)を示してある。
【0039】
図4の事例では、画像形成パラメータの値(本例では、標準偏差)の標準偏差を随時算出し、予測データに対して1.5σ離れた点を閾値としている。図4(a)によれば、保守作業時付近の時系列データが閾値から外れた値となっており、変動検出処理により検出される。この結果、保守タイミング前後の時系列データ部分(補間対象期間の時系列データ部分)が削除及び補間されることになる。そこで、本例では、図4(b)に示すように、この時系列データ部分を変動検出処理で用いた近似式(本例では、2次多項式)による予測データをそのまま適用して補間する。
【0040】
なお、上記の補間処理では、変動検出処理で用いた近似式による予測データをそのまま適用しているが、これに代えて、保守作業近傍の時系列データのみを利用して、例えば、下記の線形近似のように、変動検出処理で用いた近似式とは異なる近似式による補間を行うようにしても良い。
【0041】
[線形近似] y=ax+b (x1≦x<xn:保守作業近傍の近似区間)
この近似式において、xは、画像形成パラメータの収集タイミングを表す数値であり、yは、そのタイミングにおける画像形成パラメータの予測値を表す。
なお、x1≦x<xnで表される近似区間は、故障予兆に係る監視期間より短く、補間対象期間を含む期間である。例えば、xnとしては、最新の画像形成パラメータの収集タイミングが用いられ、x1としては、20ジョブを遡った時点の画像形成パラメータの収集タイミングが用いられる。
【0042】
図5には、画像形成パラメータの時系列データを線形近似により補間する様子を例示してある。なお、図5において、横軸(x軸)は、ジョブ単位での時間の経過を表しており、縦軸(y軸)は、統計処理された画像形成パラメータの値(本例では、標準偏差値)を表している。また、図5では、x1≦x<xnの期間における実際の画像形成パラメータの時系列データの推移に加え、当該期間の推移の近似式(本例では、線形近似式)による予測データの推移(線形近似直線)を示してあり、保守タイミング前後の補間対象期間の時系列データ部分を線形近似式による予測データを適用して補間している。
なお、上記のような線形近似の他、微小な変動の影響を受けない低次の多項式近似、累乗近似、指数近似等を適用して、より誤差の少ない近似式を用いる構成にしても良い。
【0043】
時系列データ変化点検出部57は、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に保存(蓄積)されている補間後の各画像形成パラメータの時系列データに基づき、監視期間内における変化点を変化点検出アルゴリズムにより検出する。
変化点検出アルゴリズムとしては、例えば、上述した時系列データ補間部56と同様に、時系列データの変動が予め定められた閾値を超えるか否か、分散値(標準偏差値)の変動が予め定められた閾値を超えるか否か等により変化点を検出するアルゴリズムなどが挙げられる。
【0044】
故障予兆判定部58は、時系列データ変化点検出部57にて変化点が検出された画像形成パラメータ群に基づいて故障予兆の判定を行い、故障予兆が検出された場合には、その旨を示すアラート(警告情報)を出力する。
故障予兆は、例えば、図6に例示するような、故障事象(トラブル事象)の種別と画像形成パラメータの種別とを対応付けた対応表に基づいて、故障予兆判定アルゴリズムにより検出される。
【0045】
故障予兆判定アルゴリズムとしては、例えば、図7に例示するような、故障事象毎に分類された変化点を検出した画像形成パラメータ群について、予め設定された重み付け係数を乗算した結果の和が予め定められた閾値(トラブル判定閾値)を超えるか否か等により故障予兆を判定するアルゴリズムなどが挙げられる。なお、図7において、画像形成パラメータn変化検出の値は、変化点が検出された画像形成パラメータについて“1”が用いられ、変化点が検出されなかった画像形成パラメータについて“0”が用いられる。また、画像形成パラメータnの重み係数は、0〜1の範囲で設定された係数が用いられる。
なお、トラブル判定閾値を複数設け、第1の閾値を超えた場合にレベル1アラート、第2の閾値を超えた場合にレベル2アラートを出力するといったように、トラブルの確度に応じたアラート出力を行う構成にしても良い。
【0046】
故障予兆通知部59は、故障予兆判定部58にて出力されたアラートに基づいて、故障予兆を示す情報を表示してユーザーやサービスエンジニアに故障予兆を通知する。例えば、オンサイト予兆監視システムの場合は、画像形成装置の操作パネル等に表示し、リモート予兆監視システムの場合は、リモートセンターに設置された端末装置の表示パネル等に表示する。
【0047】
第1実施例に係る予兆監視システムの処理フローを、図8を参照して説明する。
画像形成パラメータ収集部51が、監視対象となる画像形成装置から画像形成パラメータの値を収集し(ステップS11)、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52が、収集された画像形成パラメータの値を統計処理して蓄積する(ステップS12)。また、保守情報入力部53が、手動により又は自動的に保守情報を作成し(ステップS11)、保守情報蓄積部54が、作成された保守情報を蓄積する(ステップS12)。これらの処理を繰り返し、予め定められた予兆診断タイミングが到来した場合又は予兆診断の指示が入力された場合に、以下の処理を行う(ステップS13)。
【0048】
まず、故障予兆に係る監視期間について、当該監視期間内の保守情報が存在するか否かを判定する(ステップS14)。
ステップS14において該当する保守情報が存在すると判定された場合には、保守情報関連パラメータ抽出部55が、当該保守情報に関連する画像形成パラメータを抽出し(ステップS15)、時系列データ補間部56が、抽出された画像形成パラメータについて画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている保守タイミング前後の補間対象期間の時系列データ部分を削除及び補間する(ステップS16)。その後、時系列データ変化点検出部57が、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている補間後の画像形成パラメータの時系列データについて変化点の検出を行い(ステップS17)、故障予兆判定部58が、各画像形成パラメータについての変化点の検出結果に基づいて故障予兆の検出を行い(ステップS18)、故障予兆通知部59が、検出された故障予兆の通知を行う(ステップS19)。
【0049】
一方、ステップS14において該当する保守情報が存在しないと判定された場合には、画像形成パラメータの時系列データの削除及び補間を行わずに、時系列データ変化点検出部57が、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている画像形成パラメータの時系列データについて変化点の検出を行い(ステップS17)、故障予兆判定部58が、各画像形成パラメータについての変化点の検出結果に基づいて故障予兆の検出を行い(ステップS18)、故障予兆通知部59が、検出された故障予兆の通知を行う(ステップS19)。
【0050】
このように、第1実施例に係る予兆監視システムでは、監視対象となる画像形成装置に係る保守情報に基づいて、当該画像形成装置に施された保守作業の実施日時を特定し、当該特定された保守作業の実施日時前後の予め定められた長さの補間対象期間について画像形成パラメータの時系列データを削除して補間した後に、補間後の画像形成パラメータの時系列データに基づく故障予測を行うようにしている。
これにより、保守作業が行われることに起因する時系列データの不連続性の影響を軽減して、保守作業が行われることに起因する故障予測の精度の低下を防いでいる。
【実施例2】
【0051】
上記の第1実施例では、画像形成パラメータに対するデータ補間のベースとなる保守情報の取得には、ユーザーやサービスエンジニア等の作業者による保守情報の入力操作が不可欠となるが、部品交換時のカウンタリセット等の作業がきちんと実施されずに保守情報が作成されない場合がある。特に、顧客であるユーザーに保守情報を確実に入力させることは更に困難であり、結果として故障予兆の判定精度が低下することが考えられる。このような状況に対し、部品交換や清掃等の保守作業に係る保守情報を自動取得する割合を上げて対処することが考えられるが、コストの増大が懸念される。
そこで、第2実施例では、ユーザーやサービスエンジニア等の作業者により入力される保守情報や、保守情報の自動取得システムから取得可能な直接的な保守情報に代えて、保守作業に関連するイベント(画像形成装置で発生する事象)の情報から保守作業が実施されたことを推定して、画像形成パラメータの削除及び補間を行うように構成する。
【0052】
図9には、第2実施例に係る予兆監視システムの機能ブロックを例示してある。
本例の予兆監視システムは、画像形成パラメータ収集部61、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部62、保守作業イベント情報収集部63、保守作業イベント情報蓄積部64、保守作業イベント情報関連パラメータ推定部65、時系列データ補間部66、時系列データ変化点検出部67、故障予兆判定部68、故障予兆通知部69を有している。
【0053】
なお、画像形成パラメータ収集部61、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部62、時系列データ補間部66、時系列データ変化点検出部67、故障予兆判定部68、故障予兆通知部69は、第1実施例に係る画像形成パラメータ収集部51、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52、時系列データ補間部56、時系列データ変化点検出部57、故障予兆判定部58、故障予兆通知部59と同様であるため説明を省略し、第1実施例と相違する機能ブロックである保守作業イベント情報収集部63、保守作業イベント情報蓄積部64、保守作業イベント情報関連パラメータ推定部65について主に説明する。
【0054】
保守作業イベント情報収集部63は、ドアオープン、部品着脱等の保守作業に関連するイベント(保守作業の際に発生することが想定されるイベント(事象))の発生を示すイベント信号や当該イベント信号の継続時間を記録した保守イベント情報を収集する。また、キャリブレーションの実施等の自動取得可能な保守イベント情報も収集する。ドアオープン、部品着脱等のイベント信号は、画像形成装置の各部に設けられたセンサー等によるイベント検出に応じて発生される。このイベント信号には、その発生タイミングを示すタイミング情報(本例では、イベント信号の発生日時)が付されており、当該タイミング情報により特定されるタイミング(保守作業に関連するイベントの発生タイミング)を保守タイミングと見做して後続の処理が行われる。
【0055】
保守作業イベント情報蓄積部64は、保守作業イベント情報収集部63により収集された保守イベント情報(イベント信号やその継続時間の情報など)を、後段の時系列データ補間部66にて保守情報に関わる画像形成パラメータが前後データにより補間されるまで、一時的に保存(蓄積)する。なお、画像形成パラメータの補間後に保存し続けるようにしても構わない。
【0056】
保守作業イベント情報関連パラメータ推定部65は、保守作業イベント情報蓄積部64に蓄積されている保守イベント情報に関連する画像形成パラメータを推定(特定)し、後段の時系列データ補間部66に通知する。
保守イベント情報に関連する画像形成パラメータは、例えば、図10に例示するような、保守イベント情報の種別と画像形成パラメータの種別とを対応付けた対応表に基づいて推定される。なお、図10の例では、イベント信号の種別及びその継続時間と、これに関連することが推定される保守作業の種別及び当該保守作業が実施された確率(推定保守作業確率)とを対応付けると共に、更に、当該保守作業に関連する画像形成パラメータを対応付けている。なお、推定保守作業確率は、保守イベント情報と画像形成パラメータとの対応関係の強度を表す関連指数とも言える。
【0057】
本例では、推定保守作業確率を変動判定閾値の調整に用いており、推定保守作業確率の値が大きい場合には変動判定閾値の幅を広く(判定を緩く)し、推定保守作業確率の値が小さい場合には変動判定閾値の幅を狭く(判定を厳しく)している。すなわち、時系列データ補間部66では、変動判定閾値を推定保守作業確率に従って調整し、当該調整後の変動判定閾値を用いて変動検出処理を行うことで、変動検出の精度を高めるようにしている。以後の処理は第1実施例と同じであるため、その説明を省略する。
【0058】
第2実施例に係る予兆監視システムの処理フローを、図11を参照して説明する。
画像形成パラメータ収集部61が、監視対象となる画像形成装置から画像形成パラメータの値を収集し(ステップS21)、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部62が、収集された画像形成パラメータの値を統計処理して蓄積する(ステップS22)。また、保守作業イベント情報収集部63が、部品着脱等の保守作業に関連するイベントに係る保守イベント情報を収集し(ステップS21)、保守作業イベント情報蓄積部64が、収集された保守イベント情報を蓄積する(ステップS22)。これらの処理を繰り返し、予め定められた予兆診断タイミングが到来した場合又は予兆診断の指示が入力された場合に、以下の処理を行う(ステップS23)。
【0059】
まず、故障予兆に係る監視期間について、当該監視期間内の保守イベント情報が存在するか否かを判定する(ステップS24)。
ステップS24において該当する保守イベント情報が存在すると判定された場合には、保守作業イベント情報関連パラメータ推定部65が、当該保守イベント情報に関連する画像形成パラメータを推定し(ステップS25)、時系列データ補間部66が、推定された画像形成パラメータについて画像形成パラメータ時系列データ蓄積部62に蓄積されている保守タイミング前後の補間対象期間の時系列データ部分を削除及び補間する(ステップS26)。その後、時系列データ変化点検出部67が、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部52に蓄積されている補間後の画像形成パラメータの時系列データについて変化点の検出を行い(ステップS27)、故障予兆判定部68が、各画像形成パラメータについての変化点の検出結果に基づいて故障予兆の検出を行い(ステップS28)、故障予兆通知部69が、検出された故障予兆の通知を行う(ステップS29)。
【0060】
一方、ステップS24において該当する保守情報が存在しないと判定された場合には、画像形成パラメータの時系列データの補間を行わずに、時系列データ変化点検出部67が、画像形成パラメータ時系列データ蓄積部62に蓄積されている画像形成パラメータの時系列データについて変化点の検出を行い(ステップS27)、故障予兆判定部68が、各画像形成パラメータについての変化点の検出結果に基づいて故障予兆の検出を行い(ステップS28)、故障予兆通知部69が、検出された故障予兆の通知を行う(ステップS29)。
【0061】
このように、第2実施例に係る予兆監視システムでは、監視対象となる画像形成装置に係る保守イベント情報に基づいて、当該画像形成装置に施された保守作業の実施日時を推定し、当該推定された保守作業の実施日時前後の予め定められた長さの補間対象期間について画像形成パラメータの時系列データを削除して補間した後に、補間後の画像形成パラメータの時系列データに基づく故障予測を行うようにしている。
これにより、保守作業が行われることに起因する誤報の発生を回避するための保守情報の取得に関し、ユーザーやサービスエンジニア等の操作を大幅に軽減することが可能となる。
【0062】
ここで、上記の第1実施例及び第2実施例では、保守タイミングを基準にした補間対象期間の時系列データを削除及び補間しているが、時系列データに不連続な部分が存在しても支障がない故障予兆判定アルゴリズムを用いる場合には、補間対象期間の時系列データを削除するだけでも良い。
【0063】
図12には、予兆監視システムに係るサーバ装置のハードウェア構成を例示してある。
本例では、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)81、CPU81の作業領域となるRAM(Random Access Memory)82や基本的な制御プログラムを記録したROM(Read Only Memory)83等の主記憶装置、本発明の一実施形態に係るプログラムや各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)84等の補助記憶装置、各種情報を表示出力するための表示装置及び操作者により入力操作に用いられる操作ボタンやタッチパネル等の入力機器とのインタフェースである入出力I/F85、他の装置との間で有線又は無線により通信を行うインタフェースである通信I/F86、等のハードウェア資源をサーバ装置のコンピュータが有している。
そして、本発明の一実施形態に係るプログラムを補助記憶装置84等から読み出してRAM82に展開し、これをCPU81により実行させることで、上述した予兆監視システムに係る各機能部をサーバ装置のコンピュータ上に実現している。
【0064】
なお、本発明の一実施形態に係るプログラムは、例えば、当該プログラムを記憶したCD−ROM等の外部記憶媒体から読み込む形式や、通信網等を介して受信する形式などにより、本例に係るサーバ装置のコンピュータに設定される。
また、本例のようなソフトウェア構成により各機能部を実現する態様に限られず、それぞれの機能部を専用のハードウェアモジュールで実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
51:画像形成パラメータ収集部、 52:画像形成パラメータ時系列データ蓄積部、 53:保守情報入力部、 54:保守情報蓄積部、 55:保守情報関連パラメータ抽出部、 56:時系列データ補間部、 57:時系列データ変化点検出部、 58:故障予兆判定部、 59:故障予兆通知部、
61:画像形成パラメータ収集部、 62:画像形成パラメータ時系列データ蓄積部、 63:保守作業イベント情報収集部、 64:保守作業イベント情報蓄積部、 65:保守作業イベント情報関連パラメータ推定部、 66:時系列データ補間部、 67:時系列データ変化点検出部、 68:故障予兆判定部、 69:故障予兆通知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に施された保守作業の実施日時を特定する特定手段と、
前記画像形成装置で実行された画像形成処理のパラメータの時系列データから、前記特定手段により特定された保守作業の実施日時前後の予め定められた長さの期間のデータ部分を除外した時系列データを用いて、前記画像形成装置における故障の発生を予測する予測手段と、
を備えたことを特徴とする故障予測装置。
【請求項2】
前記予測手段は、除外の対象となる期間のデータ部分を削除して他の期間のデータ部分により補間した時系列データを用いて、前記画像形成装置における故障の発生を予測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の故障予測装置。
【請求項3】
除外の対象となる期間のデータ部分の変動度合が予め定められた基準を超える場合に、時系列データの除外が行われる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の故障予測装置。
【請求項4】
保守作業の際に前記画像形成装置で発生することが想定される事象が予め設定されており、
前記特定手段は、前記画像形成装置で前記事象の発生が検出された場合に、当該事象の発生日時を、前記画像形成装置に施された保守作業の実施日時として特定する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の故障予測装置。
【請求項5】
コンピュータに、
画像形成装置に施された保守作業の実施日時を特定する特定機能と、
前記画像形成装置で実行された画像形成処理のパラメータの時系列データから、前記特定機能により特定された保守作業の実施日時前後の予め定められた長さの期間のデータ部分を除外した時系列データを用いて、前記画像形成装置における故障の発生を予測する予測機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項1】
画像形成装置に施された保守作業の実施日時を特定する特定手段と、
前記画像形成装置で実行された画像形成処理のパラメータの時系列データから、前記特定手段により特定された保守作業の実施日時前後の予め定められた長さの期間のデータ部分を除外した時系列データを用いて、前記画像形成装置における故障の発生を予測する予測手段と、
を備えたことを特徴とする故障予測装置。
【請求項2】
前記予測手段は、除外の対象となる期間のデータ部分を削除して他の期間のデータ部分により補間した時系列データを用いて、前記画像形成装置における故障の発生を予測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の故障予測装置。
【請求項3】
除外の対象となる期間のデータ部分の変動度合が予め定められた基準を超える場合に、時系列データの除外が行われる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の故障予測装置。
【請求項4】
保守作業の際に前記画像形成装置で発生することが想定される事象が予め設定されており、
前記特定手段は、前記画像形成装置で前記事象の発生が検出された場合に、当該事象の発生日時を、前記画像形成装置に施された保守作業の実施日時として特定する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の故障予測装置。
【請求項5】
コンピュータに、
画像形成装置に施された保守作業の実施日時を特定する特定機能と、
前記画像形成装置で実行された画像形成処理のパラメータの時系列データから、前記特定機能により特定された保守作業の実施日時前後の予め定められた長さの期間のデータ部分を除外した時系列データを用いて、前記画像形成装置における故障の発生を予測する予測機能と、
を実現させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−25660(P2013−25660A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161629(P2011−161629)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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