説明

故障検出回路および電力調整器

【課題】カレントトランスを用いることなく、高価なICや規模の大きな回路構成を必要とすることなく、半導体素子の故障を検出できるようにする。
【解決手段】交流電源2とヒータ3との間の電力供給ラインに設けられてオンオフ制御されるスイッチング素子としてのサイリスタ4,5の故障を検出する回路12であって、サイリスタ4,5の両端電圧を、波形整形し、閾値と比較してデジタル信号に変換する変換部としての波形整形・比較部13と、変換されたデジタル信号を、電気的に絶縁して判定部としてのマイコン8に伝達する光結合部14と、伝達されたデジタル信号およびサイリスタ4,5に対するオンオフの制御指令に基づいて、故障の有無を判定する前記判定部としてのマイコン8とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷への電力の供給、遮断を行うスイッチング素子の故障を検出する回路およびそれを用いた電力調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ヒータなどの負荷に供給する電力を制御して温度制御を行う電力制御方法として、サイクル制御がある。
【0003】
サイクル制御は、交流電源のゼロクロスタイミングでスイッチング素子をオンオフさせて負荷への通電時間を制御して電力を調整するものであり、ゼロクロスタイミングでスイッチングを行うので、高調波ノイズが小さいという利点を有する。
【0004】
ところで、ランプヒータなどは、ヒータの電気的インピーダンスが、ヒータ温度によって大きく変化するものが多く、このような負荷に対する電力をサイクル制御で調整して温度制御しようとすると、特にランプヒータが冷えている時には、過大な突入電流が流れ、スイッチング素子が故障したり、電源ラインにフリッカを生じる場合がある。
【0005】
このため、例えば、ヒータへの通電開始時には、交流電流が流れる位相角を制御して負荷への電力を調整する位相制御を行って突入電流を抑制し、定常状態では、サイクル制御を行って低ノイズで電力制御を行うようにしたものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3313044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなスイッチング素子として用いられる、例えば、サイリスタやトライアック等の半導体素子は、サージ電圧や過電流、規定範囲外温度での使用などにより、熱破壊によるショート故障などが発生する。かかる半導体素子のショート故障などを検出するために、従来では、電流をカレントトランスなどで検出してマイコンでモニタし、電流量などで異常状態を検出する方法がとられている。
【0007】
しかし、カレントトランスは、コストが高く、また部品専有体積も大きい為、電力調整器等への搭載において、製品の小型化や低価格化を阻む要因となっている。更に、カレントトランスによってショート故障を検出するには、検出用の閾値の設定が必要になるという難点がある。
【0008】
このため、電流ではなく、電圧をマイコンでモニタすることが考えられるが、アナログ電圧をそのまま絶縁してマイコンでモニタしようとすると、高価なICが必要になったり、規模の大きな回路を構成せざるを得ないといった難点がある。
【0009】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、カレントトランスを用いることなく、高価なICや規模の大きな回路構成を必要とすることなく、半導体素子の故障を検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の故障検出回路は、電源と負荷との間の電力供給ラインに設けられてオンオフ制御されるスイッチング素子の故障を検出する回路であって、前記スイッチング素子の両端電圧を、閾値と比較してデジタル信号に変換する変換部と、変換されたデジタル信号を、電気的に絶縁して判定部に伝達する光結合部と、伝達されたデジタル信号および前記スイッチング素子に対するオンオフの制御指令に基づいて、故障の有無を判定する前記判定部とを含んでいる。
【0011】
スイッチング素子の両端電圧とは、スイッチング素子の出力両端間の電圧をいう。
【0012】
変換部は、両端電圧を閾値と比較するコンパレータを含むのが好ましい。
【0013】
スイッチング素子、例えば、サイリスタやトライアックは、出力両端端子間のオン電圧が、電流に大きく依存せず、略一定値であるので、このオン電圧に基づく閾値と、その出力両端電圧とを比較することによって、オン状態であるかオフ状態であるかに応じた出力を得ることができる。
【0014】
デジタル信号は、スイッチング素子のオンオフに対応した2値信号であるのが好ましい。
【0015】
判定部で、故障と判定されたときには、それを報知するための警報信号を出力するのが好ましく、更に、警報信号を送信できるようにしてもよい。
【0016】
本発明の故障検出回路によると、スイッチング素子は、オンオフの状態によって、その両端電圧が相違するので、閾値と比較することによって、スイッチング素子のオンオフ状態を判定することができ、この判定結果を、2値のデジタル信号として判定部に与え、判定部では、スイッチング素子に対するオンオフの制御指令と、スイッチング素子のオンオフの状態とを比較して、スイッチング素子が、正常であるか、あるいは、オープンやショート故障であるかを判定することができる。
【0017】
しかも、スイッチング素子のオンオフの判定結果は、その両端電圧を、閾値と比較した2値のデジタル信号であり、この2値のデジタル信号を、光結合部を介して、例えば、マイコンからなる判定部でモニタすればよく、アナログの両端電圧をそのままマイコンでモニタする必要がなく、これによって、高価なICや規模の大きな回路構成を必要とすることなく、スイッチング素子の故障を検出することができる。
【0018】
(2)本発明の故障検出回路の一つの実施形態では、前記閾値は、前記スイッチング素子のオン電圧よりも高い値である。
【0019】
スイッチング素子は、オンしている状態では、その両端電圧はオン電圧となり、オフしている状態では、電源電圧となるので、この実施形態によると、スイッチング素子の両端電圧を、オン電圧よりもやや高い閾値と比較することによって、スイッチング素子の両端電圧が、閾値よりも低いオン電圧であるか、閾値よりも高い電源電圧であるかに応じて、スイッチング素子のオンオフの状態を判定することができる。
【0020】
(3)本発明の故障検出回路の他の実施形態では、前記電源が交流電源であって、前記スイッチング素子が、サイリスタまたはトライアックである。
【0021】
変換部では、スイッチング素子の両端電圧を、正負に対応する閾値とそれぞれ比較してデジタル信号に変換してもよいし、あるいは、両端電圧を整流した後に、閾値と比較してもよい。
【0022】
この実施形態によると、交流電力の供給/遮断を行うサイリスタやトライアックのオープン故障や短絡故障を検出することができる。
【0023】
(4)本発明の電力調整器は、本発明に係る故障検出回路を備えている。
【0024】
本発明の電力調整器によると、内蔵のスイッチング素子のショートやオープン故障を、高価なICや規模の大きな回路構成を必要とすることなく検出することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、スイッチング素子の両端電圧に基づいて判定したスイッチング素子のオンオフ状態とスイッチング素子に対するオンオフの制御指令とに基づいて、スイッチング素子のオープン故障やショート故障を検出することができる。
【0026】
しかも、スイッチング素子のオンオフの判定結果は、その両端電圧を、閾値と比較した2値のデジタル信号であり、この2値のデジタル信号を、光結合部を介して、例えば、マイコンからなる判定部でモニタすればよく、アナログの両端電圧をそのままマイコンでモニタする必要がなく、これによって、高価なICや規模の大きな回路構成を必要とすることなく、スイッチング素子の故障を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面によって、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る電力調整器を備えるシステムの概略構成を示すブロック図である。
【0029】
このシステムでは、交流電源2から負荷であるヒータ3に供給される交流電力を開閉するために電力調整器1を備えている。負荷としては、電気炉、乾燥器等に使用されるヒータ3に限らず、照明、赤外線装置等のランプ、または電動機械等に使用するモータなどであってもよい。
【0030】
この電力調整器1は、交流電力を開閉するためのスイッチング素子として、正負に対応するように、一対のサイリスタ4,5を逆方向に並列接続しており、各サイリスタ4,5は、マイコン8からのゲート信号によって、フォトカプラ(PHC)6,7を介してオンオフ制御される。また、サイリスタ4,5に並列に、スナバ回路10を接続している。マイコン8には、外部の温度調節器9からオンオフの出力指令が与えられ、この出力指令に応じて、サイリスタ4,5をオンオフ制御する。なお、外部の機器は、温度調節器9に限らず、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)やPC(パーソナルコンピュータ)などであってもよい。また、この実施形態では、スイッチング素子として、2個のサイリスタ4,5を逆並列にしたものを用いているが、他の実施形態として、1個で同等の働きをするトライアックで構成してもよい。
【0031】
この実施形態では、サイリスタ4,5のショート故障やオープン故障を、カレントトランスを用いることなく、しかも、高価なICや規模の大きな回路構成を必要とすることなく、検出できるようにするために、次のように構成している。
【0032】
すなわち、この実施形態の電力調整器1では、サイリスタ4,5の両端電圧に基づいて、サイリスタ4,5の故障を検出する故障検出回路11を備えており、この故障検出回路11は、サイリスタ4,5の両端電圧に基づいて、サイリスタ4,5がオン/オフのどちらの状態にあるかを判定して、対応する「H」、「L」の2値のデジタル信号に変換して出力する素子状態判定部12と、この素子状態判定部12で判定されたサイリスタ4,5の状態とサイリスタ4,5に対するオン/オフの制御指令とに基づいて、サイリスタ4,5の故障の有無を判定する判定部としての機能を有するマイコン8とを備えている。
【0033】
素子状態判定部12は、サイリスタ4,5の両端電圧を波形整形して、閾値と比較してオン/オフのどちらの状態にあるかを判定して、対応するデジタル信号に変換する変化部としての波形整形・比較部13と、この波形整形・比較部13からの2値の判定信号を、電気的に絶縁して判定部としてのマイコン8に伝達する光結合部14とを備えている。
【0034】
ここで、この実施形態の故障の有無の判定について、図2および図3に基づいて、説明する。
【0035】
図2は、正常時の正の半サイクルにおける、サイリスタの両端電圧、ヒータ3の両端電圧である負荷電圧、サイリスタに対する制御指令を示すものであり、(a),(b),(c)は、それぞれ制御指令が、0%、50%、100%であるときの状態を示している。
【0036】
同図(a)に示すように、制御指令が0%であるときには、半サイクルの全期間において、サイリスタはオフしており、サイリスタの両端電圧は、交流電源2の交流電圧となり、負荷電圧は、略0となる。
【0037】
同図(c)に示すように、制御指令が100%であるときには、半サイクルの全期間において、サイリスタはオンしており、サイリスタの両端電圧は、略0となり、負荷電圧は、交流電源2の交流電圧となる。
【0038】
また、制御指令が50%であるときには、同図(b)に示すように、半サイクルの内、制御指令がオフしている期間は、サイリスタの両端電圧は、交流電源2の交流電圧となり、負荷電圧は、略0となる。また、制御指令がオンしている期間は、サイリスタの両端電圧は略0となり、負荷電圧は、交流電源2の交流電圧となる。
【0039】
この図2に示すように、正常時には、制御指令がオンの期間に、サイリスタがオンし、サイリスタの両端電圧は、略0となり、制御指令がオフの期間に、サイリスタがオフし、サイリスタの両端電圧は、交流電源2の交流電圧となる。したがって、サイリスタの両端電圧に基づいて、サイリスタのオンオフ状態を判定することができ、正常であれば、そのオンオフ状態は、制御指令のオンオフ状態に一致することになる。
【0040】
一方、図3は、故障時の正の半サイクルにおける、サイリスタの両端電圧、負荷電圧、サイリスタに対する制御指令を示すものであり、(a),(b)は、それぞれ制御指令が50%のショート故障時およびオープン故障時の状態を示している。
【0041】
同図(a)に示すショート故障では、制御指令に拘らず、サイリスタの両端電圧は、略0となり、負荷電圧は、交流電源2の交流電圧となる。また、同図(b)に示すオープン故障では、制御指令に拘らず、サイリスタの両端電圧は、交流電源2の交流電圧となり、負荷電圧は、略0となる。
【0042】
図2(b)に示す制御指令50%のときの正常なサイリスタの両端電圧と、図3(a),(b)に示す制御指令50%のときの故障時のサイリスタの両端電圧とを比較すれば明らかなように、両端電圧の波形は相違する。
【0043】
すなわち、図3(a)に示すショート故障では、半サイクルの内、制御指令がオフしている期間もサイリスタの両端電圧が略0となっており、図2(b)の正常時と相違している。また、図3(b)に示すオープン故障では、半サイクルの内、制御指令がオンしている期間もサイリスタの両端電圧が、交流電源2の交流電圧となっており、図2(b)の正常時と相違している。
【0044】
したがって、サイリスタの両端電圧に基づいて、サイリスタのオンオフ状態を判定し、そのオンオフの状態が、半サイクルの期間におけるオンオフの制御指令と一致しているか否かによって、正常であるか、ショート故障であるか、あるいは、オープン故障であるかを判定できることになる。
【0045】
この実施形態では、サイリスタの両端電圧に基づいて、サイリスタのオンオフの状態を判定するために、サイリスタのオン電圧よりもやや高い電圧を、図2(b)に示すように、閾値Vrefとし、サイリスタの両端電圧が、閾値Vrefよりも低いときには、サイリスタの状態はオンであると判定し、サイリスタの両端電圧が、閾値Vref以上であるときには、サイリスタの状態は、オフであると判定するものである。
【0046】
サイリスタあるいはトライアックは、通電電流による出力両端の端子間電圧の変化は少なく、ほぼ2V以下の電圧である。したがって、上記閾値Vrefを、例えば、2Vとし、両端電圧が2V未満であれば、サイリスタあるいはトライアックはオン状態、それ以上の電圧であればオフ状態と判定することができる。
【0047】
以上では、正の半サイクルについて説明したけれども、負の半サイクルについても同様である。
【0048】
図4は、上述の素子状態判定部12のブロック図であり、図5は、その各部の波形図である。
【0049】
素子状態判定部12は、サイリスタ4,5の両端電圧V1を波形成形する波形整形部15と、この波形成形部15の出力V2を、後述の閾値と比較して2値の信号に変換するコンパレータからなる比較部16と、比較部16の出力V3を、判定部としてのマイコン8に伝達する光結合部14とからなり、波形整形部15と比較部16とによって、上述の波形整形・比較部13が構成される。
【0050】
図5は、この素子状態判定部12の詳細構成を示す回路図であり、図6は、
出力指令が50%である場合の各部の出力波形を示すものであり、同図(a)はサイリスタの両端電圧V1を、同図(b)は波形整形部15の出力V2を、同図(c)は比較部16の出力V3を、同図(d)は光結合部14の出力V4をそれぞれ示している。
【0051】
波形整形部15は、図5に示すように、整流ダイオードDおよびツェナーダイオードZDを備え、図6(a)に示すサイリスタの両端電圧V1を、波形整形して図6(b)に示すように電圧を制限した出力電圧V2を与える。
【0052】
比較部16は、交流電圧の正負に対応する二つの第1,第2のコンパレータ17,18を備え、波形整形部15の出力電圧V2を、正負の閾値Vref1,Vref2とそれぞれ比較して図6(c)に示す出力V3を与える。なお、この正負の閾値Vref1,2は、上述のように、例えば、2V,−2Vである。
【0053】
この比較部16では、波形整形部15の出力電圧V2が、図6(b)に示すように、正側の閾値Vref1以上のときには、第1のコンパレータ17の出力は「H」となり、第2のコンパレータ18の出力は「L」となり、比較部16の出力V3は、「L」となる。また、波形整形部15の出力電圧V2が、正側の閾値Vref1未満であって、負側の閾値Vref2以上であるときには、第1,第2のコンパレータ17,18の出力は共に「H」となり、比較部16の出力V3は、「H」となる。また、波形整形部15の出力電圧V2が、負側の閾値Vref2未満であるときには、第1のコンパレータ17の出力は「H」となり、第2のコンパレータ18の出力は「L」となり、比較部16の出力V3は、「L」となる。
【0054】
このように比較部16は、波形整形部15の出力電圧V2が、正負の閾値Vref1,Vref2の範囲内のときには、サイリスタのオン状態に対応する「H」の出力V3を与え、閾値Vref1,Vref2の範囲外であるときには、サイリスタのオフ状態に対応する「L」の出力V3を与える。すなわち、比較部16は、波形整形部15のアナログの出力電圧V2を、「H」または「L」に対応する2値的なデジタル信号に変換する。
【0055】
この比較部16の2値の出力V3は、フォトカプラ19によって電気的に絶縁されて、図6(d)に示す出力V4が、判定部としての図1のマイコン8に与えられる。
【0056】
判定部としてのマイコン8は、サイリスタ4,5に対してフォトカプラ6,7を介してオンオフの出力指令を与えており、このオンオフの出力指令の状態と、素子状態判定部12からの「H」または「L」のサイリスタの判定状態とが一致するか否かに基づいて、故障の有無を判定するものである。
【0057】
図7は、この実施形態の故障検出の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0058】
先ず、サイリスタの出力端子間電圧、すなわち、両端電圧を検出し(ステップn1)、閾値Vref以上(上述の閾値Vref1,Vref2の範囲外)であるか否かを判断し(ステップn2)、閾値Vref以上であるときには、サイリスタは、オフ状態であると判定し、オフに対応する「L」の判定出力を、判定部としてのマイコン8に与える(ステップn3)。マイコン8は、制御指令がオフであるか否かを判断し(ステップn4)、オフでなければ、すなわち、制御指令がオンであれば、制御指令のオンにも拘わらず、サイリスタがオフしたままのオープン故障であると判定する(ステップn5)。また、ステップn4において、制御指令がオフであったときには、制御指令とサイリスタの状態とが一致しており、正常動作中であると判定する(ステップn6)。
【0059】
また、ステップn2において、閾値以上(上述の閾値Vref1,Vref2の範囲外)でないときには、サイリスタはオン状態であると判定し、オンに対応する「H」の判定出力を、判定部としてのマイコン8に与える(ステップn7)。マイコン8は、制御指令がオンであるか否かを判断し(ステップn8)、制御指令がオンでなければ、すなわち、制御指令がオフであれば、制御指令のオフにも拘わらず、サイリスタがオンしたままのショート故障であると判定する(ステップn9)。また、ステップn8において、制御指令がオンであったときには、制御指令とサイリスタの状態とが一致しており、正常動作中であると判定する(ステップn6)。
【0060】
上述の実施形態では、電力調整器1に内蔵されたマイコン8よって、故障の有無を判定したけれども、本発明の他の実施形態として、例えば、図8に示すように、マイコンを用いることなく、故障の有無を判定できるようにしてもよい。温度調節器9などの外部機器から直流電圧が制御指令として与えられ、この制御指令に応じて、フォトカプラ6,7を介してサイリスタ4,5のオンフを制御する。故障の有無を判定する判定部20では、制御指令がある時にサイリスタ4,5がオン、制御指令が無い時にオフであることを確認出来ればよいので、ロジックICによって、排他的論理和回路を構成すればよい。
【0061】
上述の実施形態では、電力調整器について説明したけれども、本発明は、故障検出回路をソリッドステートリレーなどに内蔵させてもよい。
【0062】
上述の実施形態では、スイッチング素子として、サイリスタやトライアックに適用して説明したけれども、本発明の他の実施形態として、MOSFETやトランジスタに適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、負荷に対する電力を制御する電力調整器等のスイッチング素子の故障検出に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、本発明に係る電力調整器を備えるシステムの概略構成図である。
【図2】図2は、正常時の半サイクルのサイリスタ両端電圧、負荷電圧および制御指令を示す図である。
【図3】図3は、故障時の半サイクルのサイリスタ両端電圧、負荷電圧および制御指令を示す図である。
【図4】素子状態判定部12のブロック図である。
【図5】素子状態判定部12の詳細構成を示す回路図である。
【図6】図5の各部の出力波形を示す図である。
【図7】故障検出の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施形態のブロック図である。
【符号の説明】
【0065】
1 電力調整器
2 交流電源
3 ヒータ
4,5 サイリスタ
8 マイコン
11 故障検出回路
12 素子状態判定部
14 光結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と負荷との間の電力供給ラインに設けられてオンオフ制御されるスイッチング素子の故障を検出する回路であって、
前記スイッチング素子の両端電圧を、閾値と比較してデジタル信号に変換する変換部と、変換されたデジタル信号を、電気的に絶縁して判定部に伝達する光結合部と、伝達されたデジタル信号および前記スイッチング素子に対するオンオフの制御指令に基づいて、故障の有無を判定する前記判定部とを含むことを特徴とする故障検出回路。
【請求項2】
前記閾値は、前記スイッチング素子のオン電圧よりも高い値である請求項1に記載の故障検出回路。
【請求項3】
前記電源が交流電源であって、前記スイッチング素子が、サイリスタまたはトライアックである請求項1または2に記載の故障検出回路。
【請求項4】
前記請求項1ないし3のいずれか一項に記載の故障検出回路を備えることを特徴とする電力調整器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−122082(P2010−122082A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296293(P2008−296293)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】