説明

救命ロープ

【課題】大幅に伸縮可能な救命ロープを提供する。
【解決手段】救命ロープは、所与の負荷に耐えるためのコア110と、前記コア110を保護するとともに、所与の負荷にさらに耐えるための外被130と、を含み、前記コア110および前記外被130が70°〜80°の傾斜角を持つようにX字状に織られてできており、前記外被130がその長手方向で比較的緊密にしわ寄せされており、複数の弾性紐111がその外周に応じて一定間隔を有するようにその長手方向で前記外被130に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は韓国仮出願番号10-2008-0066003(2008年7月8日出願)の出願日を優先日として主張するものである。
【0002】
本発明は、救命ロープに関するものであり、特に、その優れた弾性のため大幅に伸縮可能な救命ロープに関するものである。
【背景技術】
【0003】
救命ロープは避難設備の1つであり、一般に高層ビルの下降用ライフライン(命綱)の設置に使用されるか、または海難救助作業中にレスキューチューブに接続されて利用されている。前記ロープの代表例を図6および図7に例示する。
【0004】
図6に示すように、従来のロープ10はコア11、外被13および接続コード15で構成されている。
【0005】
前記コア11は、所与の負荷に耐えるためのものであり、紐または細長い布片または一束の繊維がX字状に織られてできている。
【0006】
前記外被13は、前記コア11を保護することに加えて、所与の負荷にさらに耐えるためのものであり、紐または細長い布片または一束の繊維などの材料がX字状に織られてできている。
【0007】
前記接続コード15は前記コア11と前記外被13とを接続フック(図示せず)に接続するためのものであり、その一端が前記コア11および前記外被13と縫合されている。
【0008】
前述の構造を持つ従来の救命ロープ10は、前記コア11および前記外被13および前記X字状の織組織の弾性のため、それに対して負荷がかかると長手方向に伸長される。
【0009】
しかしながら、図7に示したように、前記従来の救命ロープ10は、約30°〜40°の傾斜角(θ)で織られた構造を有するので、その総伸縮可能量は、前記傾斜角(θ)が15°〜20°になるまで伸長された場合でさえも2倍以上にならない。従って、比較的に大きな保存スペースを必要とする非常に長いロープが必要となり、運搬に不便をきたす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前述の従来技術の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、前記外被を長手方向で緊密にしわ寄せし、複数の弾性紐を前記外被の外周に応じて一定間隔で前記外被に長手方向で挿入することによってコアおよび外被の織組織が約70°〜80°の傾斜角を持つようにすることで、4倍以上伸長することができる救命ロープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、所与の負荷に耐えるためのコアと、前記コアを保護することに加えて、所与の負荷にさらに耐えるための外被において、前記外被が比較的緊密にその長手方向でしわ寄せされることを特徴とする外皮と、を含む救命ロープを提供する。
【0012】
本発明に係る救命ロープでは、前記コアおよび前記外被を70°〜80°の傾斜角を持つようにX字状に織ってもよい。
【0013】
本発明に係る救命ロープでは、複数の弾性紐をその外周に応じて一定間隔を有するようにその長手方向で前記外被に挿入してもよい。
【0014】
本発明に係る救命ロープでは、前記コアをその幅方向に二重折りにしてもよい。
【0015】
本発明に係る救命ロープでは、前記コアを2つの同一サイズのコアを積層させることによって形成してもよい。
【0016】
本発明に係る救命ロープでは、前記コアは、1つのコアを別のコアに挿入することによって形成してもよい。
【0017】
本発明に係る救命ロープでは、前記コアは、カーブラー(kervlar)、トワロンおよびスターボンドなどのアラミド系繊維、ダイニーマ、スペクトラ、ポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などのポリエチレン系繊維、またはポリプロピレンをはじめとするポリエチレン系繊維、炭素繊維またはガラス繊維からなる群から選ばれる任意の繊維からなるものであってもよい。
【0018】
本発明に係る救命ロープでは、前記外被は、炭素繊維、ガラス繊維、単繊維またはゴムホースからなる群から選ばれる任意の繊維からなるものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、前記救命ロープは、コアおよび外被の織組織が約70°〜80°の傾斜角を持ち、前記外被が長手方向で緊密にしわ寄せされ、さらに、複数の弾性紐が前記外被の外周に応じて一定間隔で前記外被に挿入されるので、4倍以上伸長することができる。これにより、前記ロープの保管に必要がスペースが減少され、前記ロープの運搬も容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態に係る救命ロープを添付図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の好適な実施形態に係る救命ロープを図式的に説明する図である。
【0022】
図1に示すように、好適な実施形態に係る救命ロープ100は、コア110、外被130および接続コード150を含む。
【0023】
前記コア110は所与の負荷に耐えるためのものであり、比較的に狭く近接する間隔を有するように、細長い材料がX字状に織られてできている。カーブラー(kervlar)、トワロンおよびスターボンドなどのアラミド系繊維、ダイニーマ、スペクトラ、ポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などのポリエチレン系繊維、またはポリプロピレンなどの強力繊維が、好ましくは前記コア110の材料として適用される。さらに、産業分野の特性を考慮することによって、高張力、膨張率、熱耐性、化学的耐性、紫外線および湿度などの外部条件を満たすため、炭素繊維またはガラス繊維を適用することができる。
【0024】
前記コア110は、図2で説明したように、その幅方向に二重折りにしてもよい。前記コア110がこのように二重折りにされると、前記コア110が耐え得る負荷を増すことができ、前記コア110の前記円筒状の外被130への挿入は、前記コア110が非常にソフトなため、さらに容易となる。
【0025】
代替案として、前記コア110’は、図3に示すように、2つの同一サイズのコアを積層させることによって二重折りにすることもでき、図4に示すように、1つのコア110bを別のコア110aに挿入することによって二重折りにすることもできる。
【0026】
前記外被130は前記コア110を保護することに加えて、所与の負荷にさらに耐えるためのものであり、比較的に広い間隔を有するように細長い材料がX字状に織られてできている。また、前記外被130はその長手方向で比較的緊密にしわ寄せされており、複数の弾性紐111が前記外被130の外周に応じて一定間隔で前記外被130に挿入される。このように、前記外被130は、前記従来技術に対して、その織組織のために2倍伸長されるとともに、そのしわ寄せ構造と前記弾性紐111のためにさらに2倍伸長されることによって、合計4倍以上伸長することができる。前記外被130は、好ましくは十分な弾性を有する任意の材料からなり得る。さらに、太陽光線、熱耐性、化学的耐性および耐摩耗性を考慮して、前記外被130には、弾性を有さないが産業分野の条件を満たすために、炭素繊維、ガラス繊維、単繊維、またはゴムホースを適用することもできる。
【0027】
前記接続コード150は前記コア110と前記外被130とを接続フック(図示せず)に接続するためのものであり、その一端が前記コア110および前記外被130と縫合されている。
【0028】
図5に誇張表示したように、この実施形態のコアまたは外被は従来技術を超える傾斜角(θ’)を持つように織られている。前記傾斜角(θ’)は約70°〜80°であり、従来の傾斜角θ(約30°〜40°)の約2倍となっている。従って、前記傾斜角θ’が約15°〜20°になると、前述した通り、本発明の救命ロープは前記従来技術に対して最大2倍まで伸長することができる。
【0029】
本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明がこの好適な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とする真の趣旨と範囲から逸脱することなしにさまざまな変更および修正形態が当業者によって行われ得ることは当然のことながら共通認識とする。
【0030】
本発明の前述および他の目的と利点は、下記の添付図面を併用して考慮した場合に、以下の詳細説明から直ちに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は本発明の好適な実施形態に係る救命ロープを図式的に説明する図である。
【図2】図2は図1におけるコアの代表的一実施例を図式的に説明する図である。
【図3】図3は図1におけるコアの別実施例を図式的に説明する図である。
【図4】図4は図1におけるコアのさらに別の実施例を図式的に説明する図である。
【図5】図5は図1における外被またはコアの織組織を図式的に説明する図である。
【図6】図6は従来の救命ロープを図式的に説明する図である。
【図7】図7は図6における外被またはコアの織組織を図式的に説明する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
救命ロープであって、
所与の負荷に耐えるためのコアと、さらに、
前記コアを保護するとともに、所与の負荷にさらに耐えるための外被において、前記外被が比較的緊密にその長手方向でしわ寄せされることを特徴とする外被と、を含むロープ。
【請求項2】
前記コアがその幅方向に二重折りされることを特徴とする請求項1に係る救命ロープ。
【請求項3】
前記コアが2つの同一サイズのコアを積層させることによって形成されることを特徴とする請求項1に係る救命ロープ。
【請求項4】
前記コアが1つのコアを別のコアに挿入することによって形成されることを特徴とする請求項1に係る救命ロープ。
【請求項5】
前記コアが、トワロンおよびスターボンドなどのアラミド系繊維カーブラー(kervlar)、ダイニーマ、スペクトラ、ポリエステル、ナイロン、ナイロンなどのポリエチレン系繊維またはポリプロピレンを含むポリエチレン系繊維、炭素繊維またはガラス繊維からなる群から選ばれる任意の繊維からなることを特徴とする請求項1に係る救命ロープ。
【請求項6】
前記外被が炭素繊維、ガラス繊維、単繊維またはゴムホースからなる群から選ばれる繊維からなることを特徴とする請求項1に係る救命ロープ。
【請求項7】
前記コアおよび前記外被が70°〜80°の傾斜角を持つようにX字状に織られてできていることを特徴とする請求項1に係る救命ロープ。
【請求項8】
前記コアがその幅方向に二重折りされることを特徴とする請求項7に係る救命ロープ。
【請求項9】
前記コアが2つの同一サイズのコアを積層させることによって形成されることを特徴とする請求項7に係る救命ロープ。
【請求項10】
前記コアが1つのコアを別のコアに挿入することによって形成されることを特徴とする請求項7に係る救命ロープ。
【請求項11】
前記コアがカーブラー(kervlar)、トワロンおよびスターボンドなどのアラミド系繊維、ダイニーマ、スペクトラ、ポリエステル、ナイロン、ナイロンなどのポリエチレン系繊維またはポリプロピレンを含むポリエチレン系繊維、炭素繊維またはガラス繊維からなる群から選ばれる任意の繊維からなることを特徴とする請求項7に係る救命ロープ。
【請求項12】
前記外被が炭素繊維、ガラス繊維、単繊維またはゴムホースからなる群から選ばれる繊維からなることを特徴とする請求項7に係る救命ロープ。
【請求項13】
複数の弾性紐がその外周に応じて一定間隔を有するようにその長手方向で前記外被に挿入されることを特徴とする請求項1に係る救命ロープ。
【請求項14】
前記コアがその幅方向に二重折りされることを特徴とする請求項13に係る救命ロープ。
【請求項15】
前記コアが2つの同一サイズのコアを積層させることによって形成されることを特徴とする請求項13に係る救命ロープ。
【請求項16】
前記コアが1つのコアを別のコアに挿入することによって形成されることを特徴とする請求項13に係る救命ロープ。
【請求項17】
前記コアがカーブラー(kervlar)、トワロンおよびスターボンドなどのアラミド系繊維、ダイニーマ、スペクトラ、ポリエステル、ナイロン、ナイロンなどのポリエチレン系繊維またはポリプロピレンを含むポリエチレン系繊維、炭素繊維またはガラス繊維からなる群から選ばれる任意の繊維からなることを特徴とする請求項13に係る救命ロープ。
【請求項18】
前記外被が炭素繊維、ガラス繊維、単繊維またはゴムホースからなる群から選ばれる繊維からなることを特徴とする請求項13に係る救命ロープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−18939(P2010−18939A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234914(P2008−234914)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(508277760)
【Fターム(参考)】