説明

教官が先導する訓練環境及び環境とのインターフェース

【課題】レーンベースの教官が制御できる模擬訓練環境を使って、新兵を訓練することができるシステムを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの発砲レーンを備えた歩兵訓練シミュレーションシステムであり、少なくとも1つのディスプレイ200が、発砲レーンの端部に実質的に近接して配置されている。シミュレーションを経験している訓練生は、伝統的な歩兵の武器と殆ど同様の、少なくとも1つの物理的又は仮想の武器100を携帯することができる。ナビゲーション及びシミュレーションとの他の対話をやり易くするため、武器には、少なくとも1つのコントローラーが装備されているのが望ましい。少なくとも1つのコンピューターが、ディスプレイと武器に通信可能に連結されている。コンピューターは、少なくとも1つのコントローラーからの入力を監視し、ディスプレイに表示される訓練シミュレーションを、入力に基づいて修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教官ベースの模擬訓練環境の分野に関しており、具体的には、その様な環境への新しいインターフェースを提供する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2004年11月24日出願の米国仮特許出願第60/630,304号、及び2005年11月8日出願の米国仮特許出願第60/734,276号に関係し、且つ同出願による優先権を請求し、両出願全体を参考文献としてここに援用する。
【0003】
本出願は、著作権保護の対象となる資料を含んでいる。本特許開示は特許商標局のファイル又は記録に掲載されているので、著作権の所有者は、これを何人が複製することに対しても異論を唱えるものではないが、そうでない場合には、如何なる著作権も全てこれを留保する。
【0004】
世界中の国防軍は、良く訓練された男女に依存して危害から国を守っている。その様な訓練は、軍隊の部門が変わると大きく変わるが、最近まで、その様な訓練は、基本的に、高度に進んだシミュレーション又は連綿と引き継がれた実世界訓練、という両極端の何れかを伴っていた。
【0005】
この訓練の分かれ目には、幾つかの理由がある。その様な理由の1つは、模擬訓練環境を開発するコストが、通常、実世界の鍛錬よりはるかに高額なことである。例えば、2001年に編纂された統計によれば、米国の軍隊は、伝統的な訓練法を使って新しい歩兵科新兵を訓練するのに、約35,000ドルを費やしている。これを、軽く何千万ドルもすることになる歩兵シミュレーターの開発及び展開経費と比べると、伝統的な引き継がれた訓練を行うことが、通常は、費用対効果に優れているように見える。空軍と海軍の領域は別で、この領域では、実世界の航空機又は船艇それぞれが軽く数千万ドル掛かり、パイロットの訓練には数十万ドル掛かる。その様な事例では、入ったばかりのパイロットが、実際の航空機又は船艇のコックピット又はブリッジに入ること無く経験を積むことができるシミュレーターを開発することは、貴重な教官、訓練生、及び設備の生命と安全を危険に曝すよりも、遙かに経費対効果の高い訓練法であると証明されている。
【0006】
訓練の分かれ目のもう1つの理由は、殆どの歩兵に関わる業務が作戦行動を必要とすることである。比較的静的な一定寸法のコックピット又はブリッジに座っているパイロットとは異なり、歩兵及びその他の軍務員は、遙かに広い範囲を動き回ることが求められる。例えば、歩兵の訓練実習は、都市の建物を確保することを伴う。シミュレーションが都市の周縁で始まる場合、新兵は、都市を走り回り、適切な建物を見つけ、そこに進入し、それを確保しなければならない。その様な相互作用は、これまでは、注意を逸らしがちな扱いにくいインターフェースを使う必要があり、新兵がシミュレーションに十分没頭できなかった。従って、伝統的に、歩兵科新兵には、伝統的な引き継がれてきた訓練が好まれている。
【0007】
伝統的な引き継がれてきた実世界訓練は、伝統的に、歩兵科新兵の訓練には好まれているが、その様な訓練は欠点を有している。例えば、異なる場面で経験する様々な環境、構造、及び言語の違いをシミュレートするのは難しいことが多い。それに比べて、模擬訓練環境では、新兵がこれらの違いを容易に経験することができる。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/630,304号
【特許文献2】米国仮特許出願第60/734,276号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
必要なのは、先行技術の1つ又は複数の限界を克服する模擬環境を使って、歩兵科及び他の新兵を訓練することのできるシステムと方法である。
【0009】
本発明の目的は、レーンベースの教官が制御できる模擬訓練環境を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、歩兵科新兵又は他のその様な訓練生が、大きな模擬地形を容易に動き回ることができるユーザーインターフェース装置を提供することである。
【0011】
本発明の追加の特徴及び利点は、以下の説明に記載されており、一部は、説明から明らかになり、或いは本発明を実施することによって習得されるであろう。本発明の目的と利点は、記載されている説明と特許請求の範囲並びに添付図面に具体的に指摘されている構造によって理解され、獲得されるであろう。
【0012】
技術は、防衛及び民間の警備隊の必要性を支援するために開発された。この技術が取り組む具体的な訓練領域には、限定するわけではないが、小型武器の発砲を伴わない射撃技量訓練、状況ベースの致死的武器使用決断技量、運転訓練、及び護送保護技量訓練が含まれる。以下に説明する代表的な実施形態は、軍隊及び法的強制力のある訓練システムのための実演用途のコンテキストで今日存在するソフトウェア及びハードウェア技術に取り組んでいるが、当業者には明白なように、その様なシステムは、限定するわけではないが、ビデオゲーム、民間の武器訓練、準軍事的訓練などの様な代替的使用のコンテキストに容易に適合させることができる。代表的な実施形態で説明する技術構築ブロックは、様々なやり方で多種多様な訓練の必要性に対する解決法として強化し、組み合わせ、構成することができる。
【0013】
システムは、拡張可能であるのが望ましく、複数のレーンが、シミュレーションと同時に相互作用し、それによって、複数のチーム構成員が戦術、技法、及び手順を個々に、及びチームとしての両方で実行することができるようになっている。その様な構成は、複数のチームを同時に訓練することができ、武力対武力の訓練をすることができ、火器チーム対火器チーム、又は複数の火器チーム対複数の火器チームの訓練、及びあらゆる組み合わせの火器チーム対火器チームの訓練を行えるようにする。統合したシミュレーション制御を使えば、1つのレーンの火器チーム又は分隊のリーダーは、実習又は練習中に、他の訓練生に、対話式GUI又は音声命令によって命令することができる。
【0014】
本発明の或る実施形態は、少なくとも1つの発砲レーンを備え、少なくとも1つのディスプレイが発砲レーンの実質的に端部近くに配置されている、歩兵訓練シミュレーションシステムを含んでいる。シミュレーションを使用する訓練生は、代表的には歩兵の武器と同様の少なくとも1つの武器を携帯することができる。ナビゲーション及びシミュレーションとの他の対話を行い易くするため、武器は、少なくとも1つのコントローラーが装備されているのが望ましい。少なくとも1つのコンピューターが、ディスプレイ及び武器と通信可能に連結されており、少なくとも1つのコントローラーからの入力を監視し、ディスプレイに表示される訓練シミュレーションを、入力に基づいて修正する。
【0015】
本発明の別の実施形態は、複数の発砲レーンを備え、各発砲レーンに少なくとも1つのディスプレイが設けられている、歩兵訓練シミュレーションシステムを含んでいる。少なくとも1つのコンピューターが、複数のディスプレイの内の少なくとも1つと通信可能に連結されており、コンピューターが取り付けられている少なくとも1つのディスプレイによって表示するための訓練シミュレーションを作る。この実施形態は、更に、少なくとも1つの教官ステーションを含んでいるのが望ましく、教官ステーションは、少なくとも1つのコンピューターに通信可能に連結されており、教官がシミュレーション内の少なくとも1つのエンティティを制御できるようになっている。訓練生及び/又は教官は、少なくとも1つの武器を含む様々な手段を通してシミュレーションと対話することができる。各武器は、発砲レーンと関係付けられているのが望ましく、各武器は、少なくとも1つのコンピューターに通信可能に連結されていて、少なくとも1つのコンピューターは、訓練生及び/又は教官が武器と相互作用すると、訓練生及び/又は教官を監視することができるようになっているのが望ましい。
【0016】
本発明の更に別の実施形態は、模擬歩兵シナリオと対話する方法を含んでおり、その方法は、物理的な武器に少なくとも1つのコントローラーを装備する段階と、少なくとも1つのコントローラーを使ってシミュレーション内を動き回る段階と、少なくとも1つの敵対目標に対するシミュレーションを監視する段階と、物理的武器を使って敵対目標と係合する段階と、を含んでいる。
【0017】
以上の一般的な説明と以下の詳細な説明は、共に、代表的なもので、説明を目的としており、請求している本発明について更に説明する意図であるものと理解頂きたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】2つのコントローラーが装備された武器の左側立面図である。
【図2】2つのコントローラーが装備された武器の左側立面図である。
【図3】2つのコントローラーが装備された武器の上平面図である。
【図4】武器の銃身に使用するためのコントローラー取付手段の外観図である。
【図5】武器の引金付近で使用するためのコントローラー取付手段の外観図である。
【図6】2つのコントローラーが装備された武器の左側平面図である。
【図7】無線送信器が装備された武器の右側平面図である。
【図8】代わりのコントローラー及び取付手段の詳細な斜視図である。
【図9】代わりのコントローラー及び取付手段の詳細な斜視図である。
【図10】シミュレーションの一部として使用されている複数の訓練レーンの斜視図である。
【図11】単一の訓練レーンの斜視図である。
【図12】或る訓練センターの実施形態の斜視図である。
【図13】或る訓練センターの実施形態の別の斜視図である。
【図14】或る訓練センターの実施形態の上面図である。
【図15】コントローラー入力を各訓練生の嗜好に合わせて特注仕様化することができるユーザーインターフェースのスクリーンキャプチャである。
【図16】教官ステーションが使用するためのエンティティリストのスクリーンキャプチャである。
【図17】模擬歩兵訓練シナリオのスクリーンキャプチャである。
【図18】模擬歩兵訓練シナリオのスクリーンキャプチャである。
【図19】教官ステーションのディスプレイのスクリーンキャプチャであり、代表的なシナリオ制御インターフェースを示している。
【図20】教官ステーションのディスプレイのスクリーンキャプチャであり、代表的なホストシナリオ制御インターフェースを示している。
【図21】教官ステーションのディスプレイの代わりのスクリーンキャプチャであり、代表的なシナリオ制御インターフェースと、代表的なエージェント制御インターフェースを示している。
【図22】教官ステーションのディスプレイの代わりスクリーンキャプチャであり、代表的なシナリオ制御インターフェースと、代表的な訓練生監視インターフェースを示している。
【図23】代表的な教官が制御するエージェント占領プロセスを示す流れ図である。
【図24】代表的な武器故障シミュレーションプロセスを示す流れ図である。
【図25】代表的な武器故障解消プロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に述べ、その例を添付図面に示す。本発明の或る態様は、レーンベース(lane-based)の教官先導歩兵訓練シミュレーターを提供する。図12−14に示している実施形態では、各訓練生システム300と310は、視覚的シミュレーションの1つの「チャネル」を提供するように設計されており、1つの発砲レーンを維持することができる。1つの視覚チャネルによって標準的な4:3横縦比で生成された画像は、水平方向に約45度、垂直方向に約34度の仮想環境の視界(EOV)を提供する。複数のチャネルを、訓練生システム310の様に横に並べて組み合わせ、水平方向に120度、垂直方向に34度の様な大きな複合FOVを作ることもできる。より大きな垂直FOVが必要な場合は、各システムを、回転した横縦比4:3で構成することもできるし、他の横縦比を使用してもよい。
【0020】
基本的には、本発明の或る実施形態は、コンピューターシステム、模擬又は改造された武器、及び訓練レーンを使って具体化される。システムのソフトウェアの現在の実施形態の全要素は、ウインドウベースのPC上で実行されるが、当業者には自明なように、本発明の精神又は範囲から逸脱すること無く、代わりのオペレーティングシステムに置き換えることができる。各ソフトウェア構成要素は、キーボード及びマウスの様な標準的な入力装置を使って容易に構成され、制御される。限定するわけではないが、ゲームパッド、ジョイスティック、ステアリングホイール、フットペダル、フットパッド、ライトグローブ、あらゆるMicrosoft DirectInput互換USB装置などの様な追加の入力装置も、必要に応じてソフトウェア構成要素と共に使用することができる。DirectInputは、その様な装置と接続するための好適なAPIであるが、当業者には自明のように、本発明の精神又は範囲から逸脱すること無く、別のインターフェース手段に置き換えることもできる。
【0021】
PCは、標準的なCOTSゲームレベル性能のPCであるのが望ましいが、技術が進歩すれば、そのような高性能マシンは必ずしも必要ではない。代表的な目下の好適なコンピューター構成は、
ペンティアム(登録商標)−4 2.5GHz以上
1GB RAM
ATI Radeon9800XT128MBビデオカード以上
40GB ハードドライブである。
【0022】
これらのPC上で実行されるソフトウェアは、独立モード又は協働ネットワーク式モードで作動できるのが望ましい。或る独立モードでは、訓練生は、環境内で唯一のユーザー制御エンティティであり、他の全てのエンティティは、シナリオで定義されたAIによって制御されるようになっている。協働ネットワーク式モードでは、限定するわけではないが、ネットワーク上で別々に制御されている訓練生PCの様なアプリケーションソフトウェアの各具体例は、訓練生制御エンティティを示す。訓練生制御エンティティは、好意的又は敵対的であり、役割と開始位置はシナリオによって設定されている。この機能によって、以下の交戦シナリオを訓練することができる。
【0023】
1人対プログラム可能なAI
チーム対プログラム可能なAI
1人対1人
チーム対チーム
図10と図11に示している様に、或る好適な訓練生システムは、ごついマウント205に取り付けられている高ルーメン小型プロジェクターの様な、少なくとも1つのディスプレイシステム200で構成されている。マウント205は、使用されている場合は、関係付けられたイーサネット(登録商標)ベースの命中検出システム208を保持しているか、又は命中検出システム208が別に取り付けられている。組み合わせ式プロジェクター/命中検出システムは、容易に調節して整列できるように、工業品質三脚に取り付けられている。ディスプレイシステム200は、どの様な展開状況にも対応できるように前方又は逆方向投影として構成されているのが望ましい。施設内に余裕があれば、プロジェクターと命中検出システムを投影スクリーンの後ろに配置すれば、訓練生は、プロジェクター、ケーブルなどの物理的制約無しに、スクリーンの前方付近を自由に動き回ることができる。
【0024】
命中検出システムは、訓練生のPC230又は他のコンピュータ装置が、武器100から何時発射されたかを判断できるようにしている。武器と関係付けられている引金110の様な発砲メカニズムを作動させると、レーザーは、1回の発射毎に1パルスを「発砲」し、命中検出システム208を通して、ソフトウェアに、発射が仮想環境空間の何処に入るかを示す。各武器に固有のレーザー識別特性は、同じレーンの複数の武器から発砲された個々の発射を識別することができるので、図10に示している様に、1つのレーンで複数の訓練生が訓練できるようになっている。
【0025】
図12−14に戻るが、特別任務訓練は、通常、特命の概況説明、特命の実行、及び活動後の総括で構成されている。図12−14に示している訓練場所の床面は、その様な訓練をやり易くする。訓練場所は、訓練生の処理量を最大にするために、各訓練段階に1つずつ、3つの別個のステーションに配置されているのが望ましい。図示の実施形態は、段階毎に、1つの教官ステーション320、1つの観察者ステーション330、及び1つ又は複数の訓練生ステーション又は訓練レーン300で構成されている。図示の実施形態は、目下のところ好適であるが、当業者には自明なように、本発明の精神又は範囲から逸脱すること無く、代わりの数多くのステーション及びステーション配置に置き換えることもできる。例えば、時間、画像、発射検出などが同期化されている複数のスクリーンで構成されている120度レーン310の様な代わりの訓練生ステーションを、訓練生ステーション300に置き換えてもよい。
【0026】
3つのステーションに加えて、4つの別個のソフトウェアアプリケーションが、様々なシステム構成要素に亘って具体化されるのが望ましい。4つのソフトウェアアプリケーションを、ここでは別個のエンティティとして説明しているが、当業者には自明なように、本発明の精神又は範囲から逸脱すること無く、1つ又は複数のアプリケーションの機能を組み合わせることもできるし、1つ又は複数のアプリケーションを複数のアプリケーションに分割してもよい。以下は、各アプリケーションの要約である。それぞれを、更に詳細に説明する。
【0027】
第1アプリケーションは、リアルタイム画像を、ディスプレイシステム200を介してレーン内の訓練生に示すのに使用される訓練生アプリケーションである。このアプリケーションは、更に、命中検出システム208への入力、武器100の入力(以下に説明するコントローラー115、120及び140からの入力を含む)、及び挿弾子スタンド入力(以下に説明する)を取り扱い、これらの入力をシミュレーションサーバーに伝える。或る実施形態では、入力は、訓練生ステーションを介してシミュレーションサーバーに伝えられる。この実施形態では、訓練生ステーションは、あらゆる訓練生制御装置からシミュレーションへの全ての入力を処理するのが望ましい。以下に説明するように、これらの制御装置を使用することによって、訓練生は、3D環境と完全に対話する能力を有し、武器を発射し、手榴弾を投げ、椅子の上に上がり、はしごを登り、ロープを登るなどする。或る実施形態では、教官ステーションは、観察者ステーションを制御して、訓練生アプリケーションを従属モードで実行することもできる。
【0028】
第2アプリケーションは、教官ステーションである。教官ステーションは、シミュレーションサーバー、ネットワークホスト、及び特命を実行するためのシミュレーション制御ステーションとして作用するのが望ましい。
【0029】
第3アプリケーションは、シナリオエディタである。このアプリケーションでは、コース設計者が、簡単なポイント及びクリックインターフェースと標準的なスクリプト言語を使って戦術的な状況を特注仕様化することができるようになっている。
【0030】
最後のアプリケーションは、レベルエディタである。このアプリケーションは、可視及び不可視の幾何学形状、衝突の幾何学形状、照明の情報、特殊なレンダリングパイプライン情報、及びシミュレーション内の環境、オブジェクト及び人物に関するその他の特徴で構成される環境を作るのに用いられる。
【0031】
訓練生ステーションは、少なくとも1つの物理的又は仮想の武器を含んでいるのが望ましい。図10では、武器100をマシンガンとして示しているが、当業者には自明なように、本発明の精神又は範囲から逸脱すること無く、スタンガンやテーザー銃の様な他の飛び道具及び非致死武器を含む代わりの武器に置き換えてもよい。図1−9に示している様に、各武器には、1つ又は複数の人とのインターフェースコントローラー115と120、並びにレーザーコントローラー150及びレーザー155が装備されているのが望ましい。その様な武器は、訓練生の実際に割り当てられた武器に、人とのインターフェースコントローラー115と120、及びレーザーコントローラー150とレーザー155が取り付けたものでもよいし、能動的模擬武器に、その様な構成要素を取り付けるか埋め込んだものでもよい。実際の武器か模擬武器かに関わらず、武器は、先に述べた様にシステムへの発射を識別するために、何れかの構成要素に物理的に繋がれているのではなく、武器に取り付けられ、埋め込まれている識別特性レーザー155を利用するのが望ましい。
【0032】
本発明の好適な実施形態は、コントローラ115、120を、訓練生に便利で快適な場所に配置できるようになっている。訓練生は、複数の固定ねじ117とブラケット116を使って、及び/又はジョイスティック/親指スティックとボタン機構の両方を、左側の構成に合わせて取り外して回転させるだけで、腕の長さ、手の大きさなどに基づいて、制御位置を調整することができる。図示の実施形態は、ねじ117を利用してコントローラーを武器に取り付けているが、当業者には明白なように、限定するわけではないが、本発明の精神又は範囲から逸脱すること無く、両面テープなどの接着剤、及びゴムバンドなどの機械的装置を含む代わりの取付手段に置き換えることができる。
【0033】
或る好適な実施形態では、コントローラー115と120は、ジョイスティックを直接押し下げると追加の入力として作用するという機能が追加された、伝統的なジョイスティック又は親指スティックとして具体化されている。ジョイスティックが目下のところ好適ではあるが、当業者には自明のように、本発明の精神又は範囲から逸脱すること無く、限定するわけではないが、複数のボタン又はトラックボールを含む代わりのコントローラー装置に置き換えてもよい。
【0034】
複数のコントローラーは、訓練生が、同時に模擬環境を動き回って視角を調整できるようにするので、目下のところ好適である。例えば、本発明を限定するわけではないが、コントローラー115を、視角コントローラーとして構成してもよい。その様な構成では、コントローラー115を作動させると、訓練生が自身の頭を回すか傾けたかの様に、ディスプレイを変化させることができる。それに比べて、コントローラー120が運動又はナビゲーションコントローラーとして作られている場合、コントローラー120を作動させると、シミュレーション内の訓練生の位置が適切に変化する。これらの制御を組み合わせると、例えば、訓練生は後退しながら自身の左側を見ることができる。
【0035】
コントローラー115と120は、訓練生が伝統的に武器を保持する場所又はその付近に配置されているのが望ましい。図1−9に示している実施形態では、コントローラー120は、引金110付近に配置されており、コントローラー115は、銃身125に沿って配置されている。図示の実施形態では、ケーブル130は、コントローラーを無線コントローラー105に通信可能に連結している。しかしながら、当業者には自明のように、本発明の精神又は範囲から逸脱すること無く、限定するわけではないが、短距離の超音波又は無線周波数通信を含む代わりの通信連結手段に置き換えてもよい。
【0036】
この方法論は、高度に現実的な模擬武器の交戦訓練を提供する。訓練生の武器を戸内の訓練武器に変換する手順は簡単で、尾筒又は銃身を、模擬銃身又は標準的な空砲アダプターに取り替え、発射場所を示すためのレーザー155を加えればよい。次いで、武器には、特殊な戸内空砲又は標準的な空砲が適切に装填される。ユーザーが空砲の使用を望まない場合は、実際の武器と同じ形態/適合具合/重量/機能を満たす能動的模擬武器に、本発明の精神又は範囲から逸脱すること無く、置き換えることもできる。
【0037】
武器は、コントローラー115と120によるシミュレーション入力ができるように作られているだけでなく、手榴弾を投げ、跳び、武器の故障を解消し、武器を切り替えるなどの様な訓練生のシミュレーション制御機能を制御するのに、標準的なボタン押圧も用いられる。これらのボタンの配列と配置は、図8と図9の入力システム140で示している様に、各訓練生の人間工学的ばらつきと個人的な嗜好を考慮して構成することができる。その様なボタンは、武器100に取り付けられているのが望ましいが、代わりに、伝統的なキーボードによって、又は、訓練生が取り付け又は着用している複数のボタンの様な代わりの入力手段を通して提供してもよい。
【0038】
入力システム140の様な多重状態入力システムを利用することによって、複数の制御の起動に関する個別のコマンドが、同時に、及び/又は、所定の一時的ベースのシーケンスで、の何れかで定義される。これは、大量のコマンドを各訓練生が容易に利用できるようにしている。例えば、本発明を限定するわけではないが、入力システム140からのボタンの1つのコードは、入力状態マシンを、一時的に、訓練生が関係しているグループ全体に次のコマンドが影響を与える外部制御モードにする。
【0039】
或る実施形態では、訓練生は、入力システム140上の様々なボタンによって表わされる機能を、そして各コントローラー115と120に関係付けられている機能を、図15に示されている様な武器制御構成スクリーンを通して特注仕様化することができる。その様なスクリーンは、訓練生が動きを構成し、視軸を制御し、更に、器具を取り付けられた武器から受信した指示入力に基づいて、構成の「硬度」を設定できるようになっている。
【0040】
本発明の目的は、訓練生が武器によく馴染み、様々な技法及び戦術などを実践することができる没入型模擬環境を提供することである。没入型環境は、協働仮想世界であり、郊外、都市、及び郊外/都市移行の様な様々な外部地形様式、並びに、様々な建物の内部及び外部様式、及び特殊な注文建築の内部を維持しているのが望ましい。この環境のユーザーの視界は、固定していても、動いていてもよい。動いている視点は、環境内の歩行、走行、運転又は他の運動を模擬し、ユーザーによって直接制御されるか、シナリオに記載されているか、又は二次ユーザーによって制御される。環境内を歩行又は走行している間、建物の内部は、出入口を通って部屋から部屋へ移動し、角を回り、階段、ロープ、はしごなどを上り下りすることによって探検することができる。図17と図18は、損壊した建物のある代表的なバグダッド市街の仮想環境を示している。
【0041】
視点が固定されていても動いていても、ソフトウェアは、没入型環境全体に亘ってシナリオ被駆動人工知能(AI)エンティティ1800を配置して、場面に応じた交戦機会を提供することができる。AIは、個々のエンティティ又は一群のエンティティを表し、無害/非戦闘員、武装/敵対者、又は他のその様な行為者を提示することもできる。これらの行為者は、プログラム可能であるのが望ましく、複雑な行為シーケンスを組み立てるように分類され、及び/又はイベント駆動される。この技術は、訓練を受けるべき様々な状況を提供することによってビデオシナリオを発展させるのとは異なっている。更に、この技術は、AI行為者の応答に可変性を加えるための能力を提供するので、訓練生は、訓練装置ではなく、状況の扱い方を習得する。
【0042】
本発明の目標は、訓練生が、様々な状態の下で訓練できるようにし、教官が、所与の訓練シナリオを修正して、訓練生が、前のシミュレーションに基づいてイベントに単に参加するのではなく、シミュレーション内で起こるイベントへの対応の仕方を学習できるようにすることである。そのために、本発明の或る好適な実施形態は、シナリオエディタとレベルエディタを含んでいる。シナリオエディタは、教官、カリキュラム開発者、又は他のユーザーが、新しいシナリオを作り、既存のシナリオを修正することができるようにする。それは、ユーザーに、自由飛行カメラモードとロックされたカメラ視野の、少なくとも2つの異なる閲覧モードを提供し、2次元正投影図を効果的に提供するのが望ましい。レベルエディタは、カリキュラム開発者が新しい環境を作ることができるようにしている。
【0043】
レベルエディタのユーザーは、限定するわけではないが、OpenFlight(商標)ファイルを生成できるソフトウェアの様な様々な外部のソフトウェアから、新しい地形又は幾何学形状を移入することができる。更に、3DStudioMax又は他の3次元CAD又は描画ツールで作られる幾何学形状も、同様に移入することができる。その様な移入は、例えば、Apex(商標)Exporter又は他のその様なツールを使用して行われる。マウス及びキーボード、又はナビゲーション領域を使用して、ユーザーは、移入された地形の周りを動き、飛行し、又は動き回り、シナリオ内にオブジェクトを配置する。オブジェクトは、或る場所を(例えばマウスクリックによって)明示的に指定することにより、ペイント機能を使ってオブジェクト(森又は茂み、ごみ、又は他の都市のがらくた)を迅速に配置することにより、又は、無作為配置機能を使用してユーザーがオブジェクト密度を指定することによって、配置することができる。地形を描くのに用いられる方法論に依っては、ユーザーは、使用する地形テクスチャ、タイル張り因子、及び詳細なテクスチャを指定してもよい。地形は、更に、そこに配置されている水、道、焼け跡、及び他の型式の視覚的詳細の様な視覚的細部を有している。レベルエディタを使って環境に加えられたオブジェクトは、移動、回転、縮尺させることができ、それらのオブジェクト指定属性を編集することもできる。レベルエディタは、地形とオブジェクト衝突メッシュを生成又は指定するのにも用いられる。
【0044】
シナリオエディタは、ユーザーが環境にエンティティを配置し、それらのデフォルト行為を指定することができるAIメニューを含んでいるのが望ましい。対抗力エンティティには、特命又は目的、技量レベル、ステルスレベル、及び、生きている参加者に与えられているのと同様な一式の人間的特徴を与えることができる。非戦闘員エンティティには、例えば、開始地点、数、経路、及び目的地(即ち彼等が作戦行動する領域)、又は留まっているが指定の動作を実行する場所の何れかが与えられる。他の機能には、複雑なシナリオ行為を指定するためのトリガ/イベントシステムが含まれている。
【0045】
シナリオエディタには、ユーザーが、武器の様な特殊なオブジェクトの属性(例えば、武器の型式、有用範囲、スロープ、死亡率、損傷/オブジェクトとの対話)と爆発装置の属性(例えば、火球の大きさ、致死範囲、傷害範囲、及び損傷/オブジェクトとの対話)を指定することができる別のメニュー項目が入っているのが望ましい。シナリオエディタは、更に、環境内のオブジェクトに「活力」を割り当てる能力を維持している。特定のオブジェクトとの何らかの相互作用は、速度、硬度、及び他の因子によって、オブジェクトに損害を与える(「活力」を減らす)可能性がある。
【0046】
壊れ易いオブジェクトシステムは、材料システムに密接に結び付けられている。ユーザーが、オブジェクトのサブメッシュが「木」であると指定すれば、そのサブメッシュには木の特性が適用される。「木」材料の基本特性には、粒子効果、衝突相互作用音、弾痕と焼け跡が含まれるが、脆性の様な更に高度な物理的特性も含まれ、これは、壊れ易いオブジェクトシステムが何らかの役割を果たす場合である。
【0047】
木又はガラスの様な材料の脆性は、材料が割り当てられるオブジェクトを破壊するのに必要な衝撃又は力の量を決める。破壊点と破損経路は、加えられる接触力の位置と方向に基づいて、オンザフライで判断される。本発明を限定するわけではないが、分かり易くするために、2次元では、破損経路は、無作為に摂動する方位を伴う一連の接続線区画として考えることができる。脆性シミュレーションの実施には、元のオブジェクトで構成されていた体積を分割する段階と、新しく作られた多面体に事前に割り当てされたテクスチャを適用する段階と、を伴っているのが望ましい。このテクスチャは、オブジェクトの、新たに露出した内側を示す。
【0048】
シミュレーション内のエンティティの視覚的表示は、特注仕様化することのできる外観と組み合わせた様々な身体型式の表示(男性、女性、子供など)で構成されていて、異なる顔、肌、髪、及び洋装を採用できるようになっているのが望ましい。ソフトウェアは、エンティティ具体化へのこの多重可変法を使って、視覚的に無限の人間表示セットを提供する。図18は、4つの異なるエンティティの、訓練生への発砲を示している。
【0049】
エンティティは、シミュレーション中に、物理的又は仮想の武器を使って交戦する。擬似環境内で発射が記録されると、場面又は他のエンティティに損傷を加えることを通して適切な応答が顕在化される。視覚的に特別な効果並びに物理的反応は、損傷を視覚的に示す。視覚的に特別な効果には、爆発、血液飛散、埃飛散、破片飛散、火花、(木からの)木片、セメント飛散、銃弾穴、及び焼け跡が含まれる。物理的な指標には、身体的運動反応、大きな飛行破片、車両の物理的衝撃が含まれる。更に、環境内で記録された発射は、所与のシナリオにプログラムされている行為パターン毎に、その場面のエンティティからの応答行為を顕在化させる。
【0050】
本発明は、異なる要因を備えた基本モラルスコアを使用して、シミュレーション内の各エンティティ又はエンティティグループについてモラルスコアを計算するのが望ましい。モラルスコアは、好意的及び敵対的なAIエンティティの行為に影響を与える。また、スコアは、エンティティを抑制すべきか否かを判断するのにも用いることができる。以下は、モラルスコアに寄与する代表的な要因である。以下のリストは、代表的なものであり、モラルスコアに寄与する要因を包括しているリストではない。
【0051】
敵 ShotAt+1
敵 Hit+3
敵 Killed+5
味方 ShotAt−1
味方 Hit−3
味方 Killed−5
モラルが低い場合、AIエンティティは、好意者への視線を援護し、好意者へ接近し、カットオフコストを下げ、精度を下げ、(匍匐前進のような)低い姿勢を使用し、走って逃げると、恐慌を起こして撃ち返さず、恐怖からの距離を増す。モラルスコアと、AIエンティティ又はエンティティのグループへの弾丸発射量に基づいて、シミュレーションは、エンティティが鎮静されている(即ち、より長い援護間隔を示す)か、釘付けにされている(鎮静されている+身動きできない)か、畏縮している(釘付けにされている+撃ち返さない)か、などを判断する。
【0052】
弾丸の接近を検出するために、球体が各エンティティの回りに作られており、エンティティへの弾丸の入口、出口、及び中間点(球体の入口と出口地点を結ぶ線の中間点)を通過する光線痕跡が計算される。光線が球体を通過すれば、それは、弾丸が近くを通過したことを意味しており、エンティティは、それを認識して、先に述べた様にエンティティのモラルスコアを変更する。
【0053】
シナリオは、独立した訓練として設計することもできるが、訓練は、教官ステーションを介して制御されるのが望ましい。シミュレーション中は、教官には、図19−22に示しているのと同様のユーザーインターフェースが提示されている。教官ステーションは、マスターシナリオ選択とシミュレーション全体の実行制御を提供する。シナリオ実行制御コマンドは、限定するわけではないが、開始、停止、一時停止、及び再開を含んでいる。教官には、環境について自分自身の自由飛行カメラ視野が呈示され、教官がシナリオを望んだ視点から見ることができるようになっているのが望ましい。
【0054】
教官は、訓練の現実味を高めるために、当事者が果たす役割を選択することもできる。図16と図22に示している代表的なインターフェースであるオブジェクト指向出演者管理及びコマンドシステムを使えば、分散訓練アプリケーションは、多重化コマンドルーターを使用して、3D環境の仕掛けがアプリケーション内に焦点を有するときには、教官ステーションからの入力を、適切に選択され分散配置されている出演者に送ることができる。その様な分散配置されている出演者には、AIエンティティ又は訓練生が含まれ、図16と図19に示している様に、教官が「所有」(即ち、制御)し、治療し、及び/又は再生(即ち、再具体化又は復活)させることもできる。図23は、教官がエンティティを所有する方法を示している。
【0055】
図23では、教官は、所有するエンティティを選択し(ブロック2315)、所有ボタンをクリックすることができる(ブロック2320)。その後、あらゆるキーボードコマンド又は他の入力(ブロック2310)が、適切なエンティティ制御(ブロック2330)、地上車制御(ブロック2335)、又は航空機制御(ブロック2340)に多重送信される。
【0056】
図19は、更に、ホストシナリオインターフェースを示しており、教官は、それを介して、即座に所与のエンティティの場所へ動き、且つ様々な訓練生及び/又はシミュレーション選択肢を選択することができる。図22は、図19の訓練生リストの中の訓練生の名前をクリックした後で、その訓練生を視る教官の第3者視点を示している。
【0057】
図21に示している様に、教官が或るエンティティを所有又は制御している場合、教官の視野錐台とHUD1905は、当事者の視点シミュレーションと矛盾しない様に切り替えられる。コンパス、好意的なAIロケーター、敵対するロケーター、活力、及び姿勢表示器を含む追加的制御も、教官に呈示される。教官は、更に、第三者の視点からエンティティを制御し、エンティティに一定の様式で行動するようエンティティ制御2100を介して命令することができる。同様に、教官が、限定するわけではないが、車両の運転の様な、第三者の視点からより伝統的なやり方で模擬されているタスクを遂行しているエンティティを制御しているときは、教官の視野錐台は、同様に変換される。このレベルでの教官の参加の必要性が完了すると、教官は、エンティティの制御を、AI又は訓練参加者の元々の制御に戻す。
【0058】
シナリオ展開中に、活動後閲覧(AAR)ログが、教官ステーションでコンパイルされる。AAR情報は、限定するわけではないが、各訓練生が発砲した数、その内着弾した発射数、現場の射線、反応時間、及び教官が重要と考える他の関連データを含んでいるのが望ましい。AARログを使って、教官は、成果を報告するために、自分の局所的な表示及び/又は訓練生の表示システムについてシナリオを巻き戻すことができる。巻き戻しシステムは、AARログファイルの任意の所与の時点から「ここから表示する」方法を採用するのが望ましい。
【0059】
或る実施形態では、教官は、図19のシナリオ制御1900の様な簡単なユーザーインターフェースを使用し、利用できる通信チャネルを表示して、教官が通信マトリックス全体を完全に制御できるようにする。教官は、個人のチャネル、チームのチャネル、又は全世界放送チャネルを作り、使用可能にし、或いは使用不可能にすることができる。教官は、AARに記録するチャネルを指定し、AARにブックマークでフラグを立てることができる。教官は、更に、選択された個人、グループ、又はサブグループを記録することができる。発射に備えた模擬点呼に関して送られた通信などの外部通信も記録される。
【0060】
教官は、シナリオ制御インターフェース1900又は他のその様なユーザーインターフェース要素の追加マークボタンによってブックマークを挿入することができるが、一定のイベントが自動的にブックマークの引金を引くことになる。これらのイベントには、限定するわけではないが、訓練生の視界に最初に入る敵、訓練生の死、敵の死、爆発全般、引金の起動、及び台本からの指示が含まれる。特定の評価引金は、イベントを訓練生の個人のAAR統計に自動的にログする。
【0061】
多重チャネル命中検出は、マウスクリック入力が従属チャネルで受信される度にネットワークパケットが送信されることによって達成される。ネットワークパケットには、2次元のマウスクリックで作られる投射光線の位置と方向が入っている。ネットワークパケットは、マスターチャネルによって処理され、命中は光線情報を使って記録される。チャネルとチャネルの間でスクリーン領域が重なっている場合に複数の命中が記録されるのを避けるために、武器の最大発射速度に対して命中する時間を比較する。命中するのが早すぎる場合は、その命中は廃棄される。
【0062】
図24に示している様に、本発明の或る実施形態は、現在の挿弾子135、発砲された一斉射撃の累積効果などに基づいて、武器システムの故障を模擬することができる。或る実施形態では、武器100には、どの挿弾子135が目下武器に在るかを判定する挿弾子センサーが備えられている。別の実施形態では、挿弾子135は、コンテナ内に保管されるか、スタンドの上に置かれており、テーブル又はコンテナは、中に入っている挿弾子を在庫管理することができる。各挿弾子を取り外すと、現在使用中の挿弾子について、記録が作成される。挿弾子センサー入力2410に基づいて、挿弾子と弾丸は、武器が発射される(ブロック2415)度に判定される(ブロック2420)。この情報は、処理され(ブロック2425)、データベースに記憶される(ブロック2430)るので、訓練生は先に使った挿弾子を「再利用」することはできない。限定するわけではないが、各弾丸に関係する故障頻度、粒子蓄積などの様な性能測定規準にもアクセスすることができ、これらの性能測定規準を使って故障の確率が判断される。無作為数字生成器2445は、故障の確率に基づいて故障が実際に起こるか否かを判定するのに用いられる。
【0063】
データベース内の挿弾子、挿弾子内の一斉射撃、及びそれらの一斉射撃の型式(標準、トレーサー、特注、その他)を追跡することによって、どの挿弾子135が未使用であるかを識別し(それにより、どの挿弾子が使用されたかを導き出す)ように作られた特殊な挿弾子スタンドを含むRFID又は他の無線又は有線技術を使って、シミュレーションは、目下実行中の発砲サイクルの間の現実的で妥当な武器の故障を模擬するのに使用される確率を、統計的に導き出すことができる。発砲サイクル中に故障する確率は、発砲された一斉射撃の型式、このセッションで発砲された一斉射撃の合計、前回の故障以来発砲された一斉射撃の合計、このセッションで発砲された各弾薬型式の一斉射撃の数、前回の故障以来発砲された各弾薬型式の一斉射撃の数、及び、シミュレーションで追跡される他の項目に関係しており、或いは、故障は、教官の命令で、又は制御スクリプトの所定のコマンドとして模擬される。
【0064】
武器の故障が起こると、器具が装着された武器へ送られる発射信号が遮断されるので、武器を再起動させるために、訓練生は、故障解消手続きを実行しなければならない。この手続きは、図25に示している様に、器具が装着された武器上の1つのボタンを押すことから、完全装備された武器からのシミュレーションによって感知される複雑な一連の段階までという、複雑さに亘っている。図25に示している代表的な手続きでは、故障が起こる(ブロック2500)と、挿弾子センサー2510は、訓練生が、挿弾子を外してそれを確認した(ブロック2515)か否かを判定するためにポーリングされる。武器から挿弾子が外された時間は、訓練生にシミュレーションを更に現実的なものとさせるため、監視することができる。故障の型式に依っては、武器の故障を解消するには挿弾子の確認で十分であり、通常通りにシミュレーションが継続される。武器がなお故障していれば、チャンバカバーセンサーを使ってチャンバカバーを監視し(ブロック2520)、訓練生がチャンバを確認したか否かを判定する(ブロック2525)。挿弾子センサーの場合の様に、故障の型式に依っては、武器の故障を解消するにはチャンバの確認で十分であり、通常通りにシミュレーションが継続される。武器がなお故障している場合は、システムは、クリック及び再充填センサーを監視する2530。訓練生が適切な段階を遂行していれば、武器は故障が解消する。物理的確認について上に述べたが、その様な段階は、チャンバを仮想的に確認する段階、新しい一回分をボルトでチャンバに嵌め込む段階、銃に装填アームを装填する段階などを含んでいる。正しい手続きが遂行されると、システムは、状態マシンを使ったシミュレーションによって監視されているので、発砲信号を再接続して、武器を通常通り起動させることができるようになる。
【0065】
以上、本発明について、詳細に、その具体的な実施形態に関連付けて説明してきたが、当業者には自明のように、本発明の精神及び範囲から逸脱すること無く、様々な変更及び修正を施すことができる。従って、本発明は、特許請求の範囲及びそれらと等価物の範囲に入る限り、本発明に対する修正と変更を包含するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩兵訓練シミュレーションシステムにおいて、
第1端部と第2端部を有する少なくとも1つの発砲レーンと、
前記発砲レーンの前記第2端部に近接して配置されている少なくとも1つのディスプレイと、
歩兵の武器と同様な少なくとも1つの武器と、
前記少なくとも1つの武器に取り付けられている少なくとも1つのコントローラーと、
前記少なくとも1つのディスプレイと前記少なくとも1つのコントローラーに通信可能に連結されている少なくとも1つのコンピューターであって、前記少なくとも1つのコントローラーからの入力を監視し、前記ディスプレイに表示される訓練シミュレーションを前記入力に基づいて修正する、少なくとも1つのコンピューターと、を備えているシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコントローラーは、複数のコントローラーを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のコントローラーの内の少なくとも1つは、前記武器の引金に近接して配置されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のコントローラーの内の少なくとも1つは、前記武器の銃身に沿って配置されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコンピューターは、無線通信リンクを介して、前記少なくとも1つのコントローラーに通信可能に連結されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの教官ステーションを更に備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記教官ステーションは、教官が、前記シミュレーションと相互作用すること無く、前記シミュレーションを閲覧できるようになっている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記教官ステーションは、教官が、前記シミュレーション内の少なくとも1つのエンティティを制御できるようになっている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記エンティティは訓練生である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記武器は、物理的な武器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記武器は、少なくとも1つの模擬弾丸を発砲するように作られている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの模擬弾丸は、少なくとも1つの挿弾子に保管されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの挿弾子のそれぞれは、識別子を備えて作られている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記武器は、前記識別子に基づいて、目下前記武器内にある前記挿弾子内に保管されている模擬弾丸の型式を判定することができる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの武器は、前記識別子に基づいて、或る挿弾子が前に用いられていたか否かを判断することができる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの武器は、前記武器から発砲された弾丸の数を追跡する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのコンピューターは、前記識別子に基づいて、目下前記武器内にある前記挿弾子内に保管されている弾丸の型式を判定することができる、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのコンピューターは、前記訓練生に関係付けられている前記挿弾子を在庫管理し、在庫管理から漏れた前記挿弾子を識別することによって、現在前記武器内にある前記挿弾子内に保管されている弾丸の型式を判定する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのコンピューターは、前記識別子に基づいて、前記挿弾子が既に使用されているか否かを判定する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記武器は、武器の故障を模擬することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記武器は、訓練生の前記武器との相互作用を監視して、前記模擬された武器の故障を解消するための上記段階が何時実行されたかを判定することができる、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記コンピューターは、訓練生の前記武器との相互作用を監視して、前記模擬された武器の故障を解消するための上記段階が何時実行されたかを判定することができる、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記コンピューターは、武器の故障を模擬することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記コンピューターは、訓練生の前記武器との相互作用を監視して、前記模擬された武器の故障を解消するための上記段階が何時実行されたかを判定することができる、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
歩兵訓練シミュレーションシステムにおいて、
それぞれが少なくとも1つのディスプレイと関係付けられている複数の発砲レーンと、
前記複数のディスプレイの内の少なくとも1つに通信可能に連結されており、取り付けられている前記少なくとも1つのディスプレイで表示するための訓練シミュレーションを作成する少なくとも1つのコンピューターと、
前記少なくとも1つのコンピューターに通信可能に連結されており、教官が、前記シミュレーション内の少なくとも1つのエンティティを制御することができるようになっている少なくとも1つの教官ステーションと、
それぞれが、発砲レーンと関係付けられている少なくとも1つの武器であって、前記少なくとも1つのコンピューターに通信可能に連結されていて、前記少なくとも1つのコンピューターが、訓練生が前記武器と相互作用するときに、前記訓練生を監視することができるようになっている、少なくとも1つの武器と、を備えているシステム。
【請求項26】
各武器は、関係付けられた少なくとも1つのコントローラーを有しており、前記少なくとも1つのコントローラーは、少なくとも、前記訓練生が前記シミュレーション内を動き回ることができるようにしている、請求項10に記載のシステム。
【請求項27】
前記少なくとも1つのコントローラーは、前記武器の引金に近接して配置されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項28】
前記少なくとも1つのコントローラーは、前記武器の銃身に沿って配置されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項29】
複数のコントローラーが各武器に関係付けられており、前記コントローラーは、少なくとも、前記訓練生が前記シミュレーション内を動き回ることができるようにしており、前記複数のコントローラーの内の少なくとも1つは、前記武器の引金に近接して配置されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項30】
複数のコントローラーが各武器に関係付けられており、前記コントローラーは、少なくとも、前記訓練生が前記シミュレーション内を動き回ることができるようにしており、前記複数のコントローラーの内の少なくとも1つは、前記武器の銃身に沿って配置されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項31】
模擬歩兵シナリオと相互作用する方法において、
物理的武器に少なくとも1つのコントローラーを装備する段階と、
前記少なくとも1つのコントローラーによって前記シミュレーション内を動き回る段階と、
少なくとも1つの敵対目標に関して、前記シミュレーションを監視する段階と、
前記物理的武器を使って前記敵対目標と交戦する段階と、から成る方法。
【請求項32】
前記コントローラーは、前記武器を保持している訓練生が、前記シミュレーションの中を動き回ることができるようにする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記武器は弾丸を装備した武器である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記交戦する段階の一部として、弾丸を前記敵対目標に発砲する段階を更に含んでいる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記模擬環境を通る前記弾丸の経路を計算する段階を更に含んでいる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記弾丸の発砲は、前記武器によって模擬される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記武器によって発砲された前記弾丸の数を監視し、武器の故障を模擬する段階を更に含んでいる、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記武器の故障は、実世界の前記物理的武器の使用に伴う故障の頻度と同様の頻度で模擬される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
各武器の発射毎に、前記武器に取り付けられている挿弾子からの弾丸の消耗を模擬する段階を更に含んでいる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
教官が、教官端末を介して、前記シミュレーションを観察できるようにする段階を更に含んでいる、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
前記教官が、前記シミュレーションと対話できるようにする段階を更に含んでいる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記対話は、環境の特徴を変えることを含んでいる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記環境の特徴は、風、一日の内の時間、及び照明を含んでいる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記対話は、前記教官が、前記シミュレーション内の少なくとも1つのエンティティを制御できるようにすることを含んでいる、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記教官が制御できる前記少なくとも1つのエンティティは、少なくとも1つの訓練生を含んでいる、請求項44に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−15313(P2013−15313A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−180061(P2012−180061)
【出願日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【分割の表示】特願2007−543503(P2007−543503)の分割
【原出願日】平成17年11月23日(2005.11.23)
【出願人】(507170871)ダイナミック・アニメーション・システムズ,インコーポレーテッド (2)