説明

散布作業車

【課題】薬液タンクを機体後部に備えた散布作業車において、機体後部に設けている作業機昇降用の昇降リンクを利用し、薬液タンクの据付け作業を一人の作業者でできるようにする。
【解決手段】左右昇降リンクの先端部に前記薬液タンクの底面前側部を取り付け可能に構成し、後側部を下方に前側部を上方にしている接地状態の前記薬液タンクの底面前側部を後側下方に下降回動している左右昇降リンクの先端部に連結し、左右昇降リンクを前側上方に回動し薬液タンクを持ち上げ、薬液タンクの底面後側部が走行車体の据付け面に到達すると、左右昇降リンクから薬液タンクを取り外し、次いで、左右昇降リンクの先端部で薬液タンクの底面を下側から支持しながら下降回動し据付け状態に移動するようにしたことを特徴とする散布作業車の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散布作業車の薬液タンクの昇降据付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
散布作業車において、機体後部に薬液タンクを設け、機体の前側部に左右方向に拡縮する使用状態と車体の前後方向に沿わせる収納状態とに変更可能な薬液散布用の左右サイド散布ブームを設けたものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−88094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術の散布作業車における薬液タンクはメンテナンスの取り外し時には、複数の作業者が取り外す必要があり、ハードな作業であった。
この発明は、散布作業車の後側部に設けられている作業機昇降用の昇降リンクを有効に利用し一人の作業者で楽に取付取外しをし、前記問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
請求項1の発明は、走行車体(2)の後部に薬液タンク(9)を備え、機体後部に後方に延出している作業機昇降用の左右昇降リンク(17,17)を上下回動自在に設けている散布作業車において、前記左右昇降リンク(17,17)の先端部に前記薬液タンク(9)の底面前側部を取り付け可能に構成し、後側部を下方に前側部を上方にしている接地状態の前記薬液タンク(9)の底面前側部を後側下方に下降回動している左右昇降リンク(17,17)の先端部に連結し、左右昇降リンク(17,17)を前側上方に回動し薬液タンク(9)を持ち上げ、薬液タンク(9)の底面後側部が走行車体(2)の据付け面に到達すると、左右昇降リンク(17,17)から薬液タンク(9)を取り外し、次いで、左右昇降リンク(17,17)の先端部で薬液タンク(9)の底面を下側から支持しながら下降回動し据付け状態に移動するようにしたことを特徴とする散布作業車とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記薬液タンク(9)にはその前側部を上方にし、その後側部を下方にした状態で支持することのできるスタンド(23)を取り付けたことを特徴とする散布作業車とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記左右昇降リンク(17,17)の先端部には左右方向の軸回りに回転するローラ(24,24)を設けたことを特徴とする散布作業車とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記薬液タンク(9の)の底面には左右昇降リンク(17,17)側の左右方向の軸回りに回転する前記ローラ(24,24)の嵌合することのできるガイド溝(9a,9a)を前後方向に沿わせて設けたことを特徴とする散布作業車とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によると、後側部を下方に前側部を上方にしている接地状態の薬液タンク(9)の底面前側部を後側下方に下降回動している昇降リンク(17,17)の先端部に連結し、左右昇降リンク(17,17)を前側上方に回動し薬液タンク(9)を持ち上げ、薬液タンク(9)の底面後側部が走行車体(2)の据付け面の高さに到達すると、左右昇降リンク(17,17)から薬液タンク(9)を取り外し、次いで、左右昇降リンク(17,17)の先端部で薬液タンク(9)の底面を下側から支持しながら下降回動することにより、据付け状態にすることができ、作業機昇降用の左右昇降リンク(17,17)を利用し、薬液タンク(9)を一人の作業者で取付取外しをすることができる。
【0010】
請求項2の発明によると、請求項1の発明の前記効果に加えて、薬液タンク(9)を昇降途中における据付け部上方位置で、前側部が上方に位置し後側部が下方に位置した前上り傾斜姿勢でスタンド(23)により支持することができ、薬液タンク(9)の落下を防止しながら安全に昇降することができる。
【0011】
請求項3の発明によると、請求項1又は請求項2の発明の前記効果に加えて、左右昇降リンク(17,17)の先端部には左右方向の軸回りに回転するローラ(24,24)を設けたので、薬液タンク(9)の昇降中において左右昇降リンク(17,17)のローラ(24,24)により薬液タンク(9)の底面を支持し前上り姿勢から水平姿勢にゆっくりと変更し安定した状態で昇降することができる。
【0012】
請求項4の発明によると、請求項3の発明の前記効果に加えて、昇降途中における薬液タンク(9)の前側部が上方に位置し下側部が下方に位置している前上り傾斜姿勢で、左右昇降リンク(17,17)と薬液タンク(9)を取り外し左右昇降リンク(17,17)を下降させることにより、薬液タンク(9)の底面のガイド溝(9a,9a)に左右昇降リンク(17,17)側のローラ(24,…)を嵌合し後側下方へ回転しながら移動し、薬液タンク(9)を徐々に水平姿勢に修正することができ、安定した状態で左右方向の位置を適正にしながら据え付部に下降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】散布作業車の側面図。
【図2】散布作業車の平面図。
【図3】散布作業車の背面図。
【図4】散布作業車の拡大した側面図。
【図5】散布作業車の前側部の切断側面図。
【図6】散布作業車の前側部の背面図。
【図7】ラジエータ部の斜視図、側面図。
【図8】ラジエータ部の斜視図、側面図。
【図9】散布作業車の側面図。
【図10】散布作業車の平面図。
【図11】散布作業車の正面図。
【図12】防除散布装置のブロック図。
【図13】防除散布装置のブロック図。
【図14】散布作業車の後側部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明を備えた薬液散布用の散布作業車1の全体構成について説明する。
散布作業車1の走行車体2には略等径の左右前輪3,3、左右後輪4,4が設けられていて、車体2の前側部には防除散布装置Yを取り付けている。走行車体2の左右前輪3,3間上方にはエンジンEを搭載し、エンジンE回りをボンネット5で被覆している。左右前輪3,3と左右後輪4,4間上方には操縦席6を設け、操縦席6の前方にハンドル7を設けている。ハンドル7を左右に操舵すると、左右前輪3,3及び左右後輪4,4が同時に操舵される四輪操舵構成としている。また、操縦席6の回りを取り囲むように薬液タンク9を着脱自在に取り付け、その下方に防除ポンプ10を設けている。
【0015】
防除散布装置Yはセンター散布ブーム11及び左右サイド散布ブーム12,12で構成し、機体前側部の昇降調節自在のブーム支持部材15に支持されている。ブーム支持部材15にセンター散布ブーム11を左右方向に沿うように取り付けている。また、ブーム支持部材15の左右両側部に、左右サイド散布ブーム12,12の基部を前後方向の軸回りに回動可能に支持し、左右開閉シリンダ17,17により左右両側に突出した散布姿勢、機体内側に沿う収納姿勢に回動可能に構成している。
【0016】
しかして、薬液タンク9の薬液は防除ポンプ10により防除散布装置Yに送られ、センター散布ブーム11及び左右サイド散布ブーム12,12の散布ノズル14,…から薬液を散布する。
【0017】
次に、図4に基づき薬液タンク9の昇降取付取外し構成について説明する。
走行車体2の後部には操縦席6の左右両側及び後部を囲むように薬液タンク9を搭載し、走行車体2の後側部に左右昇降リンク17,17を設けている。この左右昇降リンク17,17は側面視略L字形に屈折構成し、前側基端部を左右一体に枠組み構成しその前端部を左右方向の軸回りに回動自在に軸支し、前側基端部の左右両側部から左右昇降リンク17,17を後方に延出し、昇降シリンダ(図示省略)の伸縮により左右昇降シリンダ17,17を上下に回動し、左右昇降リンク17,17の後側端部が走行車台2の後側端部から後方へ突出した状態で、且つ、据付け状態の薬液タンク9の底面下方部位から上方前側部の領域にわたり昇降回動するように構成している。
【0018】
また、左右昇降リンク17,17の先端には左右方向の軸回りに回転するローラ24,24を設けている。薬液タンク9の後側上部に上部転輪22uを、後側下部に下部転輪22dを後方へ突出するように設けている。また、薬液タンク9にはその後側部を下方にし前側部を上方にした状態で持ち上げ支持するスタンド23を設けている。
【0019】
このスタンド23の上端部を前記下部転輪22dの軸回りに回動自在に支持し、薬液タンク9が左右昇降17,17により最上昇位置に移動した状態でスタンド23が起立し、薬液タンク9を支持するように構成している。
【0020】
そして、図4に示すように、薬液タンク9の後側面を下方にして接地状態で上部転輪22u,下部転輪22dで支持し、後側下方に下降回動している昇降リンク17,17側のローラ24,24に薬液タンク9の底面前側部に設けている係止具25,25を取り付ける。
【0021】
次いで、左右昇降リンク17,17を最下降位置から前側上方に回動すると、薬液タンク9が徐々に持ち上げられ、薬液タンク9の底面後側部が走行車体2の据付け部に到達すると、スタンド23が起立し、薬液タンク9は前上り姿勢で支持される。この状態でローラ24,24から係止具25を取り外し、左右昇降リンク17,17を下降回動させると、薬液タンク9の底面に設けている前後方向のガイド溝9a,9aに沿って左右昇降リンク17,17側のローラ24,24が回転しながら後側に移動し、薬液タンク9の前側部が下がり、水平姿勢の据付け状態とすることができる。
【0022】
また、走行車体2から薬液タンク9を取り外す場合には、薬液タンク9にスタンド23をセットし、スタンド23の下部を接地させ、走行車体2に対する薬液タンク9のロックを外し、最下降位置にある左右昇降リンク17,17を上昇し先端のローラ24,24で薬液タンク9の底面後側部を持ち上げ走行車体2から浮かせ、散布作業車1を前進させる。すると、薬液タンク9に対して走行車体2が後方へ移動し、薬液タンク9の後側部が大きく移動し下動するとスタンド23の下端部が接地し、薬液タンク9の前端部が走行車体2の後端部から後方へ離れると、薬液タンク9の前側部が下方へ回動しスタンド23に支持され、楽に取り外すことができる。
【0023】
前記構成によると、作業機昇降用の左右昇降リンク17,17を利用することにより、薬液タンク9を一人で取付取外しすることができる。また、薬液タンク9の昇降途中において、薬液タンク9の底面後側部が走行車体2の据付け部まで移動すると、前上り傾斜姿勢あるいは後上り傾斜姿勢の薬液タンク9をスタンド23により支持することができ、薬液タンク9の落下を防止し安定した状態で昇降することができ安全である。
【0024】
また、据付け途中の薬液タンク9の前側部が上方に位置している前上り傾斜姿勢において、左右昇降リンク17,17から薬液タンク9を外し左右昇降リンク17,17を下降回動させると、薬液タンク9の底面に設けた前後方向のガイド溝9a,9aに沿って左右昇降リンク17,17側のローラ24,…が回転しながら後側に移動し、薬液タンク9の前上り傾斜姿勢を徐々に水平姿勢に修正することができ、薬液タンク9を安定状態で安全に据え付けることができる。
【0025】
次に、図5及び図6に基づきラジエータ32の除塵構成について説明する。
走行車体2の前側部にはエンジンEを搭載してボンネット5で被覆し、エンジンEの後側部に冷却ファン31を設け、エンジンEの出力軸からベルト伝動装置を経由して冷却ファン31に動力を伝達している。冷却ファン31の後方にラジエータ32を設け、ラジエータ32の後方にラジエータネット33を張設している。
【0026】
また、ラジエータ32の上部及び左右両側部をシュラウド34で覆い、シュラウド34に例えば左右方向に沿うように枠体35を取り付け、枠体35の左右中央部に清掃体36を取り付けている。清掃体36の基端部を枠体35の中央部に前後方向の軸36a回りに回動自在に軸支し、清掃体36の前側面のブラシ部をラジエータネット33の後側面に接触回転可能に構成し、清掃モータ36bにより回転するようにし、ラジエータネット33の塵埃を除去するようにしている。
【0027】
また、清掃体36は正面視において、その中間部が回転上手側に突出し、基端部及び先端部が回転下手側に退避する円弧状に屈曲構成し、清掃体36で掻き取った塵埃を先端側に案内しながら効率良く除去するようにしている。
【0028】
次に、図7に基づきラジエータ32の除塵構成の他の実施例について説明する。
ラジエータ32の上部及び左右両側部をシュラウド34で覆い、シュラウド34の後側部に偏平な回転筒体38を前後方向の中心軸38a回りに回転自在に設け、回転筒体38の後側部にラジエータネット33を張設し、冷却風が後側から前側に流れるように構成している。そして、モータ39で回転するゴムローラ40を回転筒体38の外周面に圧接し、回転筒体38を回転するように構成している。
【0029】
また、回転筒体38のラジエータネット33の後側面には中心部から外周部にわたって除塵筒体41を臨ませて設け、除塵筒体41の外周端部に吸引ホース42を接続し、吸引ファン43で塵埃を吸引除去するように構成している。
【0030】
前記構成によると、モータ39でゴムローラ40を回転させ回転筒体38を回転させながら、吸引ファン43を駆動し除塵筒体41から吸引すると、回転筒体38のラジエータネット33の塵埃を除去することができる。
【0031】
また、回転筒体38のラジエータネット33の後側面に除塵筒体41を対向配置し、ラジエータネット33の前側面には除塵筒体41に対向するように風止め板44を配置しているので、ラジエータネット33の塵埃を効率的に吸引除去することができる。
【0032】
なお、前記構成において、回転筒体38を回転させずに、除塵筒体41と風止め板44を回転するように構成しても、同様の効果が期待できる。
次に、図8について説明する。
【0033】
ラジエータ32の後側面に対向させて無端帯状のラジエータネット33を上下ローラ46,46に巻回し、上ローラ46をモータ47で駆動し、ラジエータネット33を上下方向に回転するように構成している。そして、ラジエータネット33の後側面下部に除塵筒体48を左右方向に沿わせて左右全面に対向配置し、除塵筒体48の一端に除塵ホース49を接続し、除塵ホース49の他端に吸引ファン43(あるいは圧風ファン)を設け、塵埃を除去するようにしている。
【0034】
次に、図9乃至図11に基づき散布作業車1のステップ構成について説明する。
走行車体2の後側部には操縦席6の左右両側及び後側部回りを囲むように薬液タンク9を配設している。薬液タンク9の左右両側部に左右タンクステップ52,52を左右後輪4,4の上方部位に設けている。また、走行車体2の後側端部にはキャリヤ53を後方へ延出して設け、キャリヤ53には左右両側へ延出するようにフレーム部54a,54aを介して左右後側ステップ54,54を設け、左右後側ステップ54,54を左右タンクステップ52,52の後方へ位置するように構成し、左右下側ステップ54b、左右上側ステップ54cの上下複数段のステップ構成とし、且つ、薬液タンク9の後側面よりも後方に配設している。
【0035】
また、薬液タンク9を合成樹脂製とし、その左右両側下側部を肉厚部に構成してナットをインサートし、左右タンクステップ52,52のブラケット52a,52aをボルトで固着し、左右タンクステップ52,52の着脱を容易にしている。
【0036】
また、左右下側ステップ54b、左右上側ステップ54cの表面をエキスパンドメタルや網目状に構成し、オペレータの靴に付着している泥を落としながら左右タンクステップ52,52に乗降するようにし、ステップ部の水洗いを容易にしている。
【0037】
前記構成によると、左右タンクステップ52,52及び左右後側ステップ54,54が左右後輪4,4の上方を通過し、作物との干渉を防止することができる。また、走行車台2の地上高が高い場合にも、左右下側ステップ54bから左右上側ステップ54cを経て左右タンクステップ52,52に容易に登ることができ、薬液タンク9の点検を容易に行なうことができる。
【0038】
次に、図12に基づき防除散布装置Yの散布制御について説明する。
薬液タンク9の底部吸入部にサクションホース61を接続し、サクションホース61の中途部にサクションフィルタ62を設け、サクションホース61の終端側を防除ポンプ10に接続している。防除ポンプ10の吐出部に高圧吐出ホース63を接続しその終端側を散布調節装置64に接続している。散布調節装置64には圧力調整弁66、安全弁67、流量制御弁68を設けている。
【0039】
しかして、高圧吐出ホース65により送られた薬液のうち一定圧以上の薬液を圧力調整弁66から逃がして圧力を調整し、余分の薬液を戻しホース70を経由して薬液タンク9に戻している。また、調整された薬液は散布調節装置64の安全弁67、流量制御弁68を経て調整吐出ホース65に送られ、流量センサ69、圧力センサ70で検出されながら防除散布装置Yへ送ら散布される。
【0040】
本実施例の散布制御は、防除ポンプ10の吐出量を標準型式よりもアップした高吐出型の防除ポンプ10を採用した場合において、高吐出型の防除ポンプ10の駆動馬力が例えば2馬力増加したとすると、2馬力出力をアップした高出力型のエンジンを搭載しなければ、散布作業性能が低下する。
【0041】
しかし、本実施例では、防除ポンプ10の駆動馬力が増加した場合にも従来のエンジンを搭載したままで、圧力調整弁66を設定散布量の大小に対応して調節することにより、少量散布状態での散布作業性能の低下を回避しようとするものである。
【0042】
散布パネル73の操作手段を操作し防除散布装置Yの散布量を少量散布、普通散布及び多量散布のいずれかに設定し、散布作業を開始する。すると、防除コントローラ60の指令により、少量散布のときには圧力調整弁66の設定圧力を10kgに、普通散布のときには20kgに、多量散布の時には30kgに調整される。しかして、少量散布及び普通散布の場合には、防除ポンプ10のエンジンEの駆動馬力を少なくし、余分の馬力を散布作業車1の走行動力等に回し、散布作業性能の低下を回避することができる。
【0043】
なお、安全弁67を廃止し、安全弁取付部位に第2戻しホース(図示省略)を取り付け、第2戻しホースを戻しホース71の中途部に接続し、薬液タンク9に薬液を還流するようにすると、コストの低減を図ることができる。
【0044】
また、図13に示すように構成しても同様の効果が期待できる。散布調節装置64には第1圧力調整弁66aと第2圧力調整弁66bを設け、少量散布設定の場合には、第1圧力調整弁66aから薬液タンク9へ例えば所定時間毎に3〜5リットルの薬液を還流するように圧力を設定し、第2圧力調整弁66bを開放状態とし、第1圧力調整弁66aで調整された薬液を調整吐出ホース65に送り散布作業をする。
【0045】
また、これより少し散布量を増量したい場合には、第1圧力調整弁66aを閉鎖して薬液タンク9への薬液の還流を無しにし、第2圧力調整弁66bを多量設定にする。しかして、第1圧力調整弁66aを通過した薬液は安全弁67、第2圧力調整弁66bを経て多量の薬液が調圧吐出ホース65に流れ、多量散布をすることができる。
【0046】
次に、図14に基づき薬液タンク9への給水構成ついて説明する。
散布作業車1には防除ポンプ10よりも給水能力の高いジェットポンプ81を装備している。ジェットポンプ81を水槽86内に配置し、薬液タンク9側のサクションホース61の上手側に3方向切り換え型のコック82を取り付け、ジェットポンプ81に接続している給水ホース83の終端側をコック82に着脱自在に接続している。サクションホース61の中途部にサクションフィルタ62を介装し、サクションホース61の終端側を防除ポンプ10に接続している。
【0047】
防除ポンプ10の吐出部に接続している高圧吐出ホース63の終端側を前記散布調節装置64の散布マニホールド64aに接続し、散布マニホールド64aの安全弁67に余水給水ホース84を接続し、その終端側を薬液タンク9に接続している。高圧吐出ホース63の中途部に循環給水ホース85の始端側を接続し、その終端側をジェットポンプ81の吸水部に接続している。
【0048】
しかして、ジェットポンプ81から吐出した水は給水ホース83の終端側からコック82を経てサクションホース61に流れ、サクションフィルタ62で除塵され、サクションホース61の終端側から防除ポンプ10に流れる。次いで、防除ポンプ10の吐出部から高圧吐出ホース63の終端側に流れ、散布マニホールド64aの安全弁67、余水給水ホース84を経て薬液タンク9に吸水される。また、高圧吐出ホース63の吸水されなかった水は循環給水ホース85を経てジェットポンプ81の吸水部に還流し、再度防除ポンプ10に送られる。
【0049】
前記構成によると、ジェットポンプ81に接続している吸水ホース83を低位置にあるサクションホース61に接続することができ、薬液タンク9への吸水準備作業を楽にすることができる。また、防除ポンプ10から吐出した水の一部を薬液タンク9に供給するので、吸水終了間際に薬液タンク9から溢れた水が急激に吹き出すのを防止し、オペレータの薬液飛散を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0050】
2 走行車体
9 薬液タンク
9a ガイド溝
17 左右昇降リンク
23 スタンド
24 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の後部に薬液タンク(9)を備え、機体後部に後方に延出している作業機昇降用の左右昇降リンク(17,17)を上下回動自在に設けている散布作業車において、前記左右昇降リンク(17,17)の先端部に前記薬液タンク(9)の底面前側部を取り付け可能に構成し、後側部を下方に前側部を上方にしている接地状態の前記薬液タンク(9)の底面前側部を後側下方に下降回動している左右昇降リンク(17,17)の先端部に連結し、左右昇降リンク(17,17)を前側上方に回動し薬液タンク(9)を持ち上げ、薬液タンク(9)の底面後側部が走行車体(2)の据付け面に到達すると、左右昇降リンク(17,17)から薬液タンク(9)を取り外し、次いで、左右昇降リンク(17,17)の先端部で薬液タンク(9)の底面を下側から支持しながら下降回動し据付け状態に移動するようにしたことを特徴とする散布作業車。
【請求項2】
請求項1の発明において、前記薬液タンク(9)にはその前側部を上方にし、その後側部を下方にした状態で支持することのできるスタンド(23)を取り付けたことを特徴とする散布作業車。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の発明において、前記左右昇降リンク(17,17)の先端部には左右方向の軸回りに回転するローラ(24,24)を設けたことを特徴とする散布作業車。
【請求項4】
請求項3の発明において、前記薬液タンク(9の)の底面には左右昇降リンク(17,17)側の左右方向の軸回りに回転する前記ローラ(24,24)の嵌合することのできるガイド溝(9a,9a)を前後方向に沿わせて設けたことを特徴とする散布作業車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−157250(P2012−157250A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17330(P2011−17330)
【出願日】平成23年1月29日(2011.1.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】