説明

散布機

【課題】薬液などの液状物を気泡として圃場等に噴出しやすい散布機を提供すること。
【解決手段】1以上の薬液発泡発生部Aを機体前方に配置し、機体後方に前記薬液発泡発生部Aへ接続する送風機15を配置し、薬液発泡発生部Aと送風機15の間に設けた送風配管14に風量調節弁27を設けたので、機体の前後方向のバランスが良く、また運転席7の近傍に風量調節弁27の手動操作レバー29を配置したので運転席7に着席した作業者は薬液散布時の風量調節をし易やすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タンクに収容された液状薬剤(薬液)を圃場に散布する散布機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体の前部に散布ブームを左右ローリング自在に支持して設け、この散布ブームから散布する薬液の散布方向を車幅方向に対して前側又は後側に傾斜させることができる散布機が知られている。
特許文献1記載の発明は、走行装置上に配置した薬液タンクから送風搬送される薬液を機体の後方の左右に設けた噴管から散布する散布機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−117151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載の発明では、機体後方に薬液を送風搬送する送風機と噴管(ブーム)を配置している。そして送風機からの風を機体進行方向に向かって左右方向に送り出し、薬液タンクから機体の左右方向に伸びた噴管のノズルから薬液を噴出し、噴管のノズルの下方にある気泡を形成するための多孔性部材に付着させて、前記送風により多孔性部材に付着した薬液を気泡化した後、圃場などに噴出させる構成である。
上記構成では、送風機からの風は機体の左右方向に送り出されるため、薬液の気泡化が簡単ではない。その理由は噴管(ブーム)の下向きに設けた多孔性ノズルの薬液噴出方向に対して直角に曲がった方向から送られてくる薬液を風が直角に曲げて供給する必要があるため気泡にする気泡形成能力が減少すると共に、泡が出にくくなるためである。
【0005】
そこで本発明の課題は、薬液などの液状物を気泡として圃場等に噴出しやすい散布機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題を解決するために次のような解決手段を採用する。
すなわち、請求項1記載の発明は、薬液散布部を機体(1)の前方に配置し、該薬液散布部に薬液を送るための薬液貯留部(8)を機体(1)上に設けた散布機において、薬液散布部には1以上の薬液発泡発生部(A)を有し、機体(1)の後方に前記薬液発泡発生部(A)に送風配管(14)を介して接続する送風機(15)を設け、前記送風配管(14)に風量調節手段(27)を設けたことを特徴とする散布機である。
【0007】
請求項2記載の発明は、機体に設けた運転席(7)の近傍に風量調節手段(27)の手動調節用操作具(29)を配置したことを特徴とする請求項1記載の散布機である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、機体前方に薬液発泡発生部(A)を配置し、機体後方に送風機(15)を配置し、薬液発泡発生部(A)と送風機(15)の間に設けた送風配管(14)に風量調節手段(27)を設けたので機体の前後方向のバランスが良い。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、運転席(7)の近傍に風量調節手段(27)の手動調節用操作具(29)を配置したので運転席(7)に着席した作業者は薬液散布時の風量調節をし易い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態の薬液散布装置を取付けた散布機の側面図である。
【図2】図1の散布機の正面図である。
【図3】図1の散布機の薬液散布装置の風量調節弁を設けた送風配管部付近の側面図(図3(a))と図3(a)の矢印A方向から配管内部を見た図(図3(b))である。
【図4】図1の散布機の薬液散布コントローラと風量調節レバー操作部を並列配置した構成図である。
【図5】図1の散布機の薬液散布装置の薬液発泡発生部の近傍の拡大側面図(図5(a))とブームの拡大正面図(図5(b))である。
【図6】図1の散布機の薬液散布装置の送風配管部付近の側面図(図6(a))と、図6(a)の矢印A方向から送風配管の内部を見た図(図6(b))と予め求めている薬液散布流量に対応した適切な送風量の関係図(図6(c))である。
【図7】図1の薬液散布装置の薬液配管と送風配管の系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいてこの発明の実施態様について説明する。
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1に薬液散布装置を前部に取り付けた散布機の左側面図を示し、図2には図1の散布機の正面図を示す。なお、本明細書では散布機を操縦中のオペレータが散布機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進側を前、後進側を後という。
【0012】
散布機の機体1は、高床形態として前輪2及び後輪3が、アクスルハウジングの左右両側部に高く軸装され、ステアリングハンドル4によって操向可能に設けられると共にボンネット5の下に配置されるエンジン6によって伝動走行される。この機体1には操縦席7の後部から左右両側にわたって囲うように形成された薬液タンク8を搭載し、この薬液タンク8内の薬液を機体前側に設けられる散布ブーム10へ薬液路11(図1、2)を経由して圧送するための防除ポンプ48(図7)と、送風配管14を経由して散布ブーム10へ送風する送風機15を機体1後端の薬液タンク8の後部に設けている。
【0013】
薬液タンク8とこれの後方に設けた送風機15は機体1の上に配置しているので、従来技術のように機体1に牽引される走行台車などに薬液タンクを搭載し、これに送風機とブームでの薬液発泡部を設ける方式のように機体全長が長くなることがなく、畑の枕地などで小回りがきくメリットがある。
【0014】
前記機体1の前部にあるボンネット5の左右両側部に左右一対のリンクブラケット17がボルトによる締めで取付けられる。リフトリンク18は、アッパリンク18aとロワリンク18bを平行に配置し、アッパリンク18aとロワリンク18bの前端部間を前フレーム(ヒッチブラケット)19で連結し、後端部間を連結リンク(図示せず)で連結して平行リンク形態に構成される。このような平行リンク機構は、正面視で囲桁状のヒッチブラケット19の左右両側部に設けられる。このヒッチブラケット19と左右のロワリンク18bの左右間隔部に設けられるシリンダ軸(図示せず)には、電気的に作動するギヤードモータ等によって伸縮されるリフトシリンダ20が設けられている。ヒッチブラケット19の前側下部には散布ブーム10やその他の作業機を装着する。
リフトシリンダ20の伸縮によって、ヒッチブラケット19に対してアッパリンク18や連結リンクを上下に回動することができる。
【0015】
機体1の左右方向の中央とその両側には複数のブーム10があり、該ブーム10を覆うように送風配管14の先端部に接続して機体1の左右方向に配置された第2送風配管22が設けられ、各ブーム10に対応した位置にそれぞれ下向きの開放端部がある送風出口23が設けられている。
【0016】
該送風出口23には多孔性板24(図1の丸枠内)が取り付けられているので、ブーム10から噴出する薬液が多孔性部材24で送風により発泡して発泡発生部Aを形成している。該薬液発泡発生部Aは機体前方に配置されているが、該薬液発泡発生部Aと送風機15との間にある送風配管14には風量調節弁27(図3)を設けている。
【0017】
図3には風量調節弁27を設けた送風配管部付近の側面図(図3(a))と図3(a)の矢印A方向から配管内部を見た図(図3(b))を示す。風量調節弁27は調節ワイヤー30の押し引きにより送風配管14内の送風断面積を変更することにより、薬液発泡発生部へ送る風量を調節する。
前記風量調節弁27を設ける理由は、薬液の散布流量に対して送風量が強すぎると、泡化せず飛散防止効果が薄まる欠点があるためである。
【0018】
図4には運転席近傍に設けた薬液散布コントローラ31と風量調節レバー29の操作部33を並列配置した構成を示す。風量調節レバー29を操作することで調節ワイヤー30を介して図3に示す風量調節弁27を作動させることができる。操作部33には風量調節レバー29の操作位置を複数段に切り替えできる溝付き開口部33aが設けられている。
【0019】
こうして本実施例の上記構成により、オペレータは薬液発泡発生部Aにおける泡の発生状態を観察しながら風量調節レバー29を操作することで送風配管14内にある風量調節弁27を操作し、泡発生の状況を確認しながら薬液の散布流量に最適な風量を供給できる。
【0020】
また、薬液散布コントローラ31の中央部にはディスプレイ(表示部)32が設けられ、該ディスプレイ32内の左側に上位から散布設定、比重、メモリ、圧力、流量、流量累計等の表示部が表示されていて、複数の異なる散布条件を表示する構成である。ディスプレイ32内の右側には表示切換用の表示切換ボタン34が設けられている。
【0021】
また、これらの下方には、散布条件に基づいて自動的に薬剤を散布する自動薬剤散布モードを設定するための自動押しボタン(スイッチ)35が設けられ、この自動スイッチ35をオンにすると、パイロットランプ36が点灯する。この状態で、もう一度自動スイッチ35を押すと、パイロットランプ36が消灯して、手動で薬剤を散布する手動薬剤散布モードに切り換わる。更に、散布設定ボタンスイッチ、増減ボタンスイッチ、累計リセットスイッチ等がディスプレイ32内に配置されている。また、薬液タンク8内の薬液残量がランプ表示され、また左右のブーム10の開閉スイッチ37,38及び気泡化用の送風機15の作動スイッチ39と防除ポンプ48を駆動するスイッチ40が配置されている。
【0022】
また、薬液発泡発生部Aで最適な薬液泡を発生させるため、散布流量に最適な送風量をディスプレイ32に表示し、風量レンジの範囲内で風量を合わせ易くしたので、薬液散布作業時の泡発生状況を細かく気をつける必要がなく、散布操作の負荷を軽減できるようにした。
【0023】
図5(a)に機体右側面の昇降リンクに設けた薬液発泡発生部Aの近傍の拡大側面図を示す。図5(b)にはブーム10の拡大正面図を示す。なお、図5(b)のブーム送風口のB−B線断面の矢視図を図5(a)の送風出口23を図示した部分に示している。
【0024】
図5(a)に示すように送風配管14の一部に蛇腹部14aを設け、送風配管14の昇降リンク18に近い側をフレキシブル化した。このため、散布対象となる作物によって、散布高さを変更する際に平行な昇降リンク18(18a、18b)を上下させることができ、送風配管14が昇降リンク18の昇降時の抵抗となることなく、スムーズに薬液散布高さを調節できる。
【0025】
また、図4に示す風量調節レバー29に代えて図6にはアクチュエータ42を用いて風量調節弁27を作動させる構成を示す。
図6(a)には送風配管部付近の側面図を示し、図6(a)の矢印A方向から送風配管14の内部を見た図を図6(b)に示し、図6(c)には予め求めている薬液散布流量に対応した適切な送風量の関係図を示し、図7には薬液散布配管系統図を示す。
【0026】
図7によると薬液タンク8からの給水路(ホース)43に給水コック44を設け、該給水コック44より下流の給水路第1吐水ホース45のサクションフィルタ46の出口部に防除ポンプ48を設ける。該防除ポンプ48の出口部には第1吐水ホース45を接続し、該第1吐水ホース45の先端は第2吐水ホース41を介して、噴霧コック47の設置部に接続している。前記第1吐水ホース45と第2吐水ホース41の間に上流側から順に安全弁50とエアチャンバー51と流量制御弁52と流量センサ53が設置されている。また安全弁50の圧力設定部の吐水ホース45と薬液タンク8との間に余水ホース54が接続されている。前記安全弁50を開いておくと、第1吐水ホース45内の余分な薬液を薬液タンク8に還流させることができる。また、余水ホース54の設置部より上流側の第1吐水ホース45から分岐して薬液タンク8に接続した攪拌ホース55も設けられている。
【0027】
薬液は噴霧コック47を経由して分岐した複数の薬液路11からそれぞれの薬液路11に対応したブーム10に薬液を供給する構成になっている。各ブーム10への薬液の単位時間当たりの供給量は流量制御弁52で調整できる。
【0028】
例えば図6(c)に示すように、薬液散布流量センサ53(図7)の検出値に応じてアクチュエータ42(図6(a))の作動量が予め決められているので、該薬液散布流量検出センサ53の検出値に応じたアクチュエータ42の作動量で送風配管14に設けられた風量調節弁27の開度を求められる。
【0029】
図7に示すように、送風配管14に風量調節弁27を配置し、該風量調節弁27による配管開度を前記薬液流量センサ53で検出した流量信号に基づいて防除コントローラ31が調整するようにアクチュエータ42を作動させる。また前記薬液流量センサ53で検出した薬液流量信号に基づき防除コントローラ31が第2吐水ホース41への薬液供給量を流量制御弁52の調節により行うこともできる。
【0030】
上記図7に示す構成により薬液散布自動モードを選択するとした場合は、薬液散布と同時に風量も自動調整可能としている。薬液散布には自動モードと手動モードがあり、自動モードでは車速センサからの信号があると自動的に薬液散布を始め、風量も自動調整する。
【0031】
また、自動モードでは車速センサからの信号があると、車速に応じて計算して適性な圧力にする。この適正な圧力とは、設定している単位面積当たりの散布量となるようにするための圧力である。そして、実際に流れている薬液の量を流量センサ53で測定して、この測定した薬液量に応じて風の量を自動調節する構成としている。
【0032】
これに対して、手動モードでは、圧力を設定する必要があり、この設定している圧力となるように構成している。また、薬液散布や風量調整も手動で行う構成である。
【0033】
このように風量調節レバー29に代えて図7に示す構成ではアクチュエータ42を用いて、任意の薬剤散布流量に応じて最適な送風量を自動調節できるので、オペレータの風量操作負荷が小さくなり操作性が従来より向上する。
【0034】
また、最適な風量を発生することで、最適な薬液の泡を発生できるメリットがあるので、薬液を泡の形態で散布すると薬液が飛散することがない。また、薬液を泡形態にすることで、泡の体積は液体の体積の20倍近くに達するので、薬液の使用量が大幅に低減でき、生産コストを同時に従来より低減できる。
【0035】
なお、薬液散布の手動モードは、圧力設定を優先した散布モードであり、オペレータは任意の散布圧力を手動にて設定して散布する。したがって、車速が変化しても圧力は設定した圧力の状態を維持する。手動で圧力を設定していても、風量は自動で調整することもできる。
この構成では薬液の散布モードは、手動モードであっても風量調節は図6に示すアクチュエータ42により自動化される。
上記構成により、オペレータは手動モードを選択した場合、薬液を送風する風量は自動調節されるので、操作負荷が小さくなり、散布作業が楽に行えるメリットがある。
【0036】
また、散布機の自動モードでは作業車が走りはじめると、コントローラ31は車速センサからのパルス信号を検知すると、散布作業を始めることができると判断して、「自動モード」表示を連続して行いながら、これを表示してメモリに記憶し、設定された条件で自動的に薬液の散布を行う。
【0037】
また車速センサからの信号があると、車速に応じて設定している薬液の散布圧力にする。薬液の散布圧力が変わると、該変更後の圧力に応じた量で散布が行われる。そして、実際に流れている薬液流量を流量センサ53(図7)で測定して、送風量を自動調節する。
【0038】
散布機の自動モードは、車速センサに連動し、車速センサからの信号があると、車速に応じて設定している薬液送風圧力にする。薬液送風圧力が変わると、この薬液送風圧力に応じた薬液散布量にする、また、実際に流れている薬液散布量を流量センサ53で測定して、送風量を自動調節する。薬液散布量は計算値よりも実際に流れている量を測定する方が正確なためである。
【0039】
また、散布機の手動モードは、車速センサに連動しないが、薬液散布圧力を手動で設定する。従って車速が変化しても薬液散布圧力は設定した圧力の状態を維持する。すなわち、手動で薬液散布圧力を設定していても、送風量は自動で調整される、
上記ブーム10に設ける薬液泡発生部Aの送風出口23には多孔性部材24(図1の丸枠内に図示)を着脱自在に取り付けており、この多孔性部材24を薬液と風が通過するときに薬液の泡が発生する。この多孔性部材24を取り外した状態では通常の薬液散布が可能となり、このとき送風機15により風をブーム10に送ると、該風がエアカーテンの役目になり、薬液飛散をエアカーテンが無い場合に比べて低減させることができる。
【0040】
このようにブーム10への多孔性部材24の着脱により、本実施例の走行車両を泡散布機又は通常の散布機又はエアカーテン付き散布機として使い分けることができる。たとえば、葉菜類の防除には泡散布方式が適合し、大豆や稲の防除にはエアカーテン方式が適合する。
【0041】
また、車速に応じて薬液流量(圧力)を連動させ、薬液流量に応じて風量を連動させる。別の言い方をすると、車速と風量は連動させない。これは、実際に散布されている薬液量に基づいて風量を調整する方が正確なためであり、薬液量は計算値に対して実測値がずれることがあるためである。
こうして、精密な薬液散布量の制御が行え、薬液散布流量が変化しても常に最適な薬液の泡形成が行える。よって、薬液の飛散を抑え、作物への付着時間が従来より長く、薬液効果が長時間持続する利点がある。
【0042】
また、この実施例の自動制御のソフトでは、車速センサからの信号に応じて薬液散布を行い、走行停止状態(車速ゼロ)では薬液を散布しない構成になっているので、図7の構成で薬液流量検出センサ53により検出される薬液散布流量が「0」の時、すなわち車速センサの防除コントローラ31への出力信号が切れた場合には、送風機15の駆動用電磁クラッチをオフとする制御を行って、送風を停止する制御を行うことができる。
この場合は、散布機が停止状態の時には、すべての駆動装置の駆動を停止することで、無駄なエネルギーの発生を抑え、省エネ運転を実現できる。
【0043】
また、散布機が停止状態から薬液散布作業を再び開始し、散布流量が発生した時には、送風機15も同時に駆動させるように制御をすると、操作負荷を低減し、送風機スイッチの入れ忘れなどの操作ミスも発生しないメリットがある。
【0044】
さらに、散布機が走行中であっても流量制御弁(散布コック)52を「閉」にし、薬液散布流量の検出が「0」となる場合は、送風機15の駆動も停止させるようにすると、消費馬力の低減ができ、無駄なエネルギー消費を抑制した省エネ制御が可能となる。
【0045】
また、防除コントローラ31に風量増減モードを設け、表示切換スイッチ34(図4)を操作してディスプレイ32の液晶パネルの左側に「風量」と表示し、右側に調節される風量を表示する。そして、増減スイッチにより風量を調節する構成としてもよい。
上記構成により薬液の泡形成の状態を自由に変化させることができる。つまり、薬液の種類によっては薬液散布量とそれに対応した予め自動的に決められた風量を設定しても予定した通りに薬液散布ができないことがある。そのような場合は、薬液の種類に応じて風量を任意に調節することができる。
【0046】
薬液散布における車速連動の自動散布モードと自動風量モードを有する泡散布装置において、防除コントローラ31の自動ボタン35をONすると、同時に自動散布モードと自動風量モードが開始するように構成することが可能である。
なお、車速連動の自動散布モードとは車速に応じて薬液散布量が連動するモードであり、自動風量モードとは散布される薬液量に応じて風量調節弁の開度により風量が決まるモードである。
上記構成により、防除コントローラ31の自動ボタン35を押す操作が最低回数の1回で、車速連動の自動散布モードと自動風量モードの両方を設定できるので便利である。
【0047】
また、防除コントローラ31の自動ボタン35をオフにすると自動散布モードと自動風量モードが同時にオフになる構成とすると、自動制御の停止も簡単容易で、わかりやすい。
【0048】
自動風量モードでの泡散布作業中に、防除コントローラ31のインジケータを風量に合わせ、増減ボタンを押すことで、一時的に手動風量調節に切り替わるような構成にしてもよい。この場合は、風量の調節を任意に行えることで、薬液の泡形成に自由度も持たせることができる。
【0049】
手動散布モードで、防除ポンプ48(図7)の作動スイッチ40をオンにした時、送風機15の電磁クラッチも同時にオンにする構成としてもよい。
防除ポンプスイッチ40に送風機15の駆動を連動させることで、送風機15の操作忘れを防止できる。
【0050】
前記手動散布モードで、防除ポンプスイッチ40をオフにした時に、同時に送風機15の電磁クラッチもオフになるように構成することもできる。この場合は、防除ポンプ48と送風機15を連動させることで、複数の操作を行う必要がなく、非常に操作性が高く便利である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、薬液散布装置を備えた作業車の薬液散布制御装置に関し、特にブームスプレーヤの散布制御装置に適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 機体 2 前輪
3 後輪 4 ステアリングハンドル
5 ボンネット 6 エンジン
7 操縦席 8 薬液タンク
10 散布ブーム 11 薬液路
14 送風配管 15 送風機
17 リンクブラケット 18 リフトリンク
19 ヒッチブラケット 20 リフトシリンダ
22 第2送風配管 23 送風出口
24 多孔性部材 27 風量調節弁
29 風量調節レバー 30 調節ワイヤー
31 防除コントローラ 32 ディスプレイ(表示部)
33 操作部 34 表示切換ボタン
35 自動押しボタン(スイッチ)
36 パイロットランプ 37,38ブーム開閉スイッチ
39 送風機の作動スイッチ
40 防除ポンプ駆動スイッチ
41 第2吐水ホース 42 アクチュエータ
43 給水路(ホース) 44 給水コック
45 第1吐水ホース 46 サクションフィルタ
47 薬液噴霧コック 48 防除ポンプ
50 安全弁 51 エアチャンバー
52 薬液流量制御弁 53 薬液散布流量センサ
54 余水ホース 55 撹拌ホース
A 発泡発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液散布部を機体(1)の前方に配置し、該薬液散布部に薬液を送るための薬液貯留部(8)を機体(1)上に設けた散布機において、
薬液散布部には1以上の薬液発泡発生部(A)を有し、機体(1)の後方に前記薬液発泡発生部(A)に送風配管(14)を介して接続する送風機(15)を設け、前記送風配管(14)に風量調節手段(27)を設けたことを特徴とする散布機。
【請求項2】
機体に設けた運転席(7)の近傍に風量調節手段(27)の手動調節用操作具(29)を配置したことを特徴とする請求項1記載の散布機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−67753(P2011−67753A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220807(P2009−220807)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】