説明

散布装置

【課題】組立性を高めつつ、防水性を高めた散布装置を提供することを課題とする。
【解決手段】液体を散布するためのポンプ12と、ポンプ12を駆動させるモータ14と、モータ14に電力を供給するバッテリ18と、モータ14及びバッテリ18を覆うカバー10と、を備えた散布装置において、カバー10を、バッテリ18に上から被せるようにして覆う構成とすることで、シール剤を用いることなく、カバー10内への液体の浸入を防止でき、組立性を高めつつ、防水性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記の分野において、バッテリから電力の供給を受けたモータがポンプを駆動して液体タンクの液体を散布する動力型の散布装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この散布装置では、液体タンクの側面にモータ、ポンプ及びバッテリが配置され、これらが液体タンクの側面に取り付けられたカバーにより側方から覆われて保護されている。
【特許文献1】特開2005−118674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の散布装置においては、液体タンクの表面に滴る液体が、液体タンクと液体タンクの側面に取り付けられたカバーとの継ぎ目を介して、カバー内部に浸入する場合があり防水性が低い。そこで、これを防止するためにはシール剤の塗布が必要となるが、これでは組立が煩雑となり、組立性が低下してしまう。
【0004】
本発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであって、組立性を高めつつ、防水性を高めた散布装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る散布装置(1)は、液体を散布するためのポンプ(12)と、ポンプ(12)を駆動させるモータ(14)と、モータ(14)に電力を供給するバッテリ(18)と、モータ(14)及びバッテリ(18)を覆うカバー(10)と、を備えた散布装置(1)において、カバー(10)は、バッテリ(18)を、上から被せるようにして覆う構成である、ことを特徴とする。
【0006】
このような散布装置(1)によれば、シール剤を用いることなく、上から被せるようにして覆うカバー(10)によって、カバー(10)内部への液体の浸入が防止されるため、組立性を高めつつ防水性を高めることができる。
【0007】
ここで、バッテリ(18)は、カバー(10)の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有する構成であると、カバー(10)表面に滴る液体が、バッテリ(18)とカバー(10)の内表面との隙間を介して毛細管現象によってカバー(10)内部へ浸入することが防止されるため、防水性を一層高めることができる。
【0008】
また、バッテリ(18)が有する端子(18b)は、カバー(10)によって上から覆われており、且つ、当該端子(18b)は、カバー(10)の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有する構成であると、カバー(10)の表面に滴る液体が、毛細管現象により端子(18b)に到達することが防止されるため、防水性を一層高めることができる。
【0009】
また、バッテリ(18)に電気的に接続される内部配線(10b)は、カバー(10)によって上から覆われており、且つ、当該内部配線(10b)はカバー(10)の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有する構成であると、カバー(10)の表面に滴る液体が、毛細管現象により内部配線(10b)に到達することが防止されるため、防水性を一層高めることができる。
【0010】
さらに、バッテリ(18)は、カバー(10)内においてバッテリケース(16)に収容されており、バッテリケース(16)は、カバー(10)の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有する構成であると、カバー(10)の表面に滴る液体が、バッテリケース(16)とカバー(10)の内表面との隙間を介して毛細管現象によってカバー(10)の内部に浸入することが防止されるため、防水性を一層高めることができる。さらにバッテリ(18)はバッテリケース(16)に収容されているため、防水性を一層高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、組立性を高めつつ防水性を高めた散布装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る散布装置の一実施形態について詳細に説明する。また、以下では、本発明に係る散布装置を、農薬等の薬液を散布するための散布装置として説明する。
【0013】
図1は本実施形態に係る散布装置1の斜視図、図2は図1に示した散布装置1の下方からの斜視図、図3は図2に示した散布装置1の分解斜視図、図4は図3のさらなる分解斜視図、図5は図4を前後方向に逆から見た分解斜視図、図6は図2に示した散布装置1の底部カバー20を取り外した場合の底面図、図7は図6のさらなる分解斜視図、図8はバッテリケースの分解斜視図である。
【0014】
図1に示すように、散布装置1は、液体を散布するためのポンプ12と、ポンプ12を駆動させるモータ14と、モータ14に電力を供給するバッテリ18と、これを収容するバッテリケース16と、モータ14及びバッテリ18を覆う本体カバー(カバー)10と、この本体カバー10を下から塞ぐ底部カバー20(図2参照)と、を備えている。また、散布装置1は、底部カバー20の底部に、架台となる脚部13を有すると共に、本体カバー10の背面にホース17を有し、この脚部13のホース17と本体カバー10との間の位置に、本体カバー10の上方に突出し把手となるハンドル15を有している。以下、各部について詳細に説明する。
【0015】
モータ14は、ポンプ12の駆動源となるもので、本体カバー10内を上下方向に仕切る仕切部10e(図4参照)より上方に配置され本体カバー10の内部に収容されて覆われる。
【0016】
ポンプ12は、ポンプ作用を行うもので、図1に示すように、本体カバー10の側面より突出して設けられており、その吸入口にホース17が接続されている。そして、ポンプ12は、モータ14により駆動され、ホース17から供給される液体を排出口から排出し散布に供する。
【0017】
バッテリケース16は、図8に示すように、下部バッテリケース16bと、この下部バッテリケース16bを上から覆う上部バッテリケース16aと、から構成され、散布装置1の底部中央に位置する。底部バッテリケース16bは、矩形平板上に構成されており、内面に格子状の区画が設けられている。上部バッテリケース16aは、蓋状の構造であり、底部バッテリケース16bの側縁上にボルトにより複数箇所にて固定され、箱体のバッテリケース16を構成する。また、上部バッテリケース16aの上面前部には、バッテリケース16を本体カバー10に係止するための爪部16eが設けられ、上部バッテリケース16aの背面16fには、バッテリ18が有する接続端子(端子)18b及び充電端子18c(図5参照)を露出するための接続端子口16c及び充電端子口16dが各々設けられている。
【0018】
バッテリ18は、モータ14の動力源となるもので、底部バッテリケース16bの各区画上に載置され(図6の仮想線で示す符号18参照)、上部バッテリケース16aによって上から覆われる。したがって、バッテリケース16は、バッテリ18を上から被せて覆う構造を有する。そして、バッテリ18がバッテリケース16に収容された際、図5に示すように、接続端子18b及び充電端子18cは、接続端子口16c及び充電端子口16dを通してそれぞれ露出するように構成されている。
【0019】
本体カバー10は、図1及び図3に示すように、上方に凸となるような内部空間を有すると共に、上記仕切部10eを内部に有している。
【0020】
そして、特に本実施形態においては、本体カバー10は、バッテリケース16及びバッテリ18を、上から被せるようにして覆う構成とされている。
【0021】
具体的には、バッテリ18を収容したバッテリケース16は、図3に示すように、本体カバー10及び底部カバー20により下部に形成されて前方に開放された収容領域10dにその背面16fよりスライド挿入され、爪部16eが、本体カバー10の内表面に係止されることで着脱可能に装着される。これにより、バッテリケース16及びバッテリ18は、本体カバー10により上から被せるようにして覆われている。
【0022】
本体カバー10は、図4に示すように、内表面の背面側にコの字状の保持部材10cを有し、この保持部材10cは、モータ14に接続される内部配線10b及び、この内部配線10bに接続された本体側接続端子10aを保持する。したがって、バッテリ18を収容したバッテリケース16が収容領域10dに挿入されると、バッテリ18の接続端子18bと本体側接続端子10aとが接続される。そして、モータ14は、本体側接続端子10a及び内部配線10bを介してバッテリ18より電力の供給を受け、ポンプ12を駆動する。
【0023】
また、特に本実施形態にあっては、図6に示すように、バッテリケース16及びバッテリ18は、本体カバー10に収容された際、本体カバー10との間に毛細管現象を発現しない距離(隙間)を有する。
【0024】
また、バッテリ18が有する接続端子18b及び充電端子18cは、本体カバー10によって上から覆われており、且つ、この接続端子18b及び充電端子18cは本体カバー10の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有する。
【0025】
また、図7に示すように、本体側接続端子10aは、本体カバー10によって上から覆われており、且つ、この本体側接続端子10aは、保持部材10cによって、本体カバー10の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有するように保持される。
【0026】
さらに、図7に示すように、バッテリ18と電気的に接続される内部配線10bは、本体カバー10によって上から覆われており、且つ、この内部配線10bは、保持部材10cによって、本体カバー10の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有するように保持される。
【0027】
続いて、本実施形態に係る散布装置1の動作について説明する。本実施形態に係る散布装置1は、バッテリ18が接続端子18b、本体側接続端子10a及び内部配線10bを介してモータ14に電力を供給し、モータ14がポンプ12を駆動し、ポンプ12により農薬等の液体が散布に供される。
【0028】
そして、本実施形態に係る散布装置1によれば、本体カバー10は、バッテリ18を上から被せるようにして覆う構造であるので、シール剤を用いることなく、本体カバー10の内部への液体の浸入が防止され、組立性を高めつつ防水性を高めることができる。
【0029】
また、バッテリ18は、本体カバー10との間に毛細管現象を発現しない距離を有するため、本体カバー10の表面に滴る(付着する)液体が、本体カバー10の内表面との隙間を介して毛細管現象によって本体カバー10の内部に浸入することが防止され、防水性を一層高めることができる。
【0030】
さらに、バッテリ18がバッテリケース16に収容されているため、一層防水性を高めることができる。
【0031】
また、バッテリケース16は、本体カバー10の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有する構成であるため、本体カバー10の表面に滴る液体が、バッテリケース16と本体カバー10の内表面との隙間を介して毛細管現象によって本体カバー10の内部に浸入することが防止され、防水性を一層高めることができる。
【0032】
また、バッテリ18の接続端子18b及び充電端子18cは、本体カバー10の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有するため、本体カバー10の表面に滴る液体が、毛細管現象により、バッテリ18の接続端子18b及び充電端子18cに到達することを防止することができ、防水性を一層高めることができる。
【0033】
さらに、本体側接続端子10a及び内部配線10bは本体カバー10の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有するため、本体カバー10の表面に滴る液体が、毛細管現象により、本体側接続端子10a及び内部配線10bに到達することを防止することができ、防水性を一層高めることができる。
【0034】
また、重量比率の大きいバッテリ18が散布装置1の下部中央に位置するため、高い安定性が得られる。
【0035】
また、バッテリ18を収容領域10dに挿入した際に、バッテリ18の接続端子18b、充電端子18c、及び本体側接続端子10aが本体カバー10によって覆われているため、これらの防水のためのキャップ等が不要である。
【0036】
さらに、バッテリ18を収容領域10dに挿入した際、充電端子18cが本体カバー10によって覆われるため、散布装置1の運転中にバッテリ18を充電することが不可能であり、充電中に運転することによって生じる異常発熱を防ぐことができる。
【0037】
以上、本発明に係る散布装置を、好適な実施形態を用いて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、例えば、背負式の散布装置等に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態に係る散布装置の斜視図である。
【図2】図1に示した散布装置の下方からの斜視図である。
【図3】図2に示した散布装置の分解斜視図である。
【図4】図3のさらなる分解斜視図である。
【図5】図4を前後方向に逆から見た分解斜視図である。
【図6】図2に示した散布装置の底部カバーを取り外した場合の底面図である。
【図7】図6のさらなる分解斜視図である。
【図8】バッテリケースの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1…散布装置、10…本体カバー(カバー)、10a…本体側接続端子、10b…内部配線、12…ポンプ、14…モータ、16…バッテリケース、16a…上部バッテリケース、16b…底部バッテリケース、18…バッテリ、18b…接続端子、18c…充電端子。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を散布するためのポンプ(12)と、前記ポンプ(12)を駆動させるモータ(14)と、前記モータ(14)に電力を供給するバッテリ(18)と、前記モータ(14)及び前記バッテリ(18)を覆うカバー(10)と、を備えた散布装置において、
前記カバー(10)は、前記バッテリ(18)を、上から被せるようにして覆う構成である、
ことを特徴とする散布装置(1)。
【請求項2】
前記バッテリ(18)は、前記カバー(10)の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の散布装置(1)。
【請求項3】
前記バッテリ(18)が有する端子(18b)は、前記カバー(10)によって上から覆われており、且つ、当該端子(18b)は、前記カバー(10)の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の散布装置(1)。
【請求項4】
前記バッテリ(18)に電気的に接続される内部配線(10b)は、前記カバー(10)によって上から覆われており、且つ、当該内部配線(10b)は、前記カバー(10)の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の散布装置(1)。
【請求項5】
前記バッテリ(18)は、前記カバー(10)内においてバッテリケース(16)に収容されており、
前記バッテリケース(16)は、前記カバー(10)の内表面との間に毛細管現象を発現しない距離を有する、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の散布装置(1)。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−46628(P2010−46628A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214343(P2008−214343)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】