説明

散水ノズル

【課題】 散水ノズルの送水管への取り付けの高さを可及的に小さくする。
【解決手段】 ノズル本体1の上部に散水口27を設け、ノズル本体1の下部に形成されると共に送水管4に凹凸接続式に接続する接続口3を下向きに設け、散水口27と接続口3を結ぶ水路Wの途中に弁装置14を設ける。接続口3側を送水管4に挿入して凹凸接続の凸側とする。接続口3に弁装置14の下部を近づけて設けることにより、弁装置14の下部が送水管4に挿入するようになって弁装置14の挿入した長さ分などを散水ノズルの送水管4への取り付け状態において低くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に埋設されて消雪などに使用される散水ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして図8に示す消雪ノズルが知られている(例えば特許文献1)。この消雪ノズルは、ノズル本体101の上部に径大部102を形成し、ノズル本体101の下部には送水管103に凹凸式に接続する接続口104が形成されており、送水管103の水は接続口104から流入し、そしてノズル本体101の内部に設けられ径大部102の上面に操作部105を臨ませるように設けた弁装置106を通って径大部102の上面に開口する散水口107から噴射するようになっている。そして、接続口104は、弁装置106の下部よりノズル本体101の中央部分を下方に向けて貫通しており、この接続口104が凹側となり、一方送水本管108より分岐した送水管103が凸側となって、接続口104に送水管103が挿入している。なお、図中109は操作部105を保護するため径大部102の上面に着脱自在に設けた保護用キャップである。
【特許文献1】特許第3156914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術においては、接続口104と送水管103との接続は、接続口104が凹側となり、一方送水管103が凸側となって凹凸嵌合式となって接続するものであるが、分岐管部108の直径が弁装置106の直径より大きいことに起因して接続口104を弁装置106の下方に配置する必要があり、この結果ノズル本体101の全高を比較的大きくする必要があった。
【0004】
しかしながら、このようにノズル本体101の全高が比較的大きいと、ノズル本体101を消雪ノズルとして道路に埋設する場合、道路舗装面の厚みが薄いと設置しにくくなるという問題があった。
【0005】
解決しようとする問題点は、散水ノズルの送水管への取り付けの高さを可及的に小さくする点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ノズル本体の上部に散水口を設け、前記ノズル本体の下部に形成されると共に送水管に凹凸接続式に接続する接続口を下向きに設け、前記散水口と前記接続口を結ぶ水路の途中に弁装置を設けた散水ノズルにおいて、前記接続口を凹凸接続の凸側とすることを特徴とする散水ノズルである。
【0007】
請求項2の発明は、前記凸側の接続口に前記弁装置の下部を近づけて設けることを特徴とする請求項1記載の散水ノズルである。
【0008】
請求項3の発明は、前記ノズル本体の下部に、前記送水管に挿入する筒部を形成すると共に、この筒部の下端に前記接続口を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の散水ノズルである。
【0009】
請求項4の発明は、前記ノズル本体の側面に前記送水管の先端が係止可能なストッパーを形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の散水ノズルである。
【0010】
請求項5の発明は、前記ノズル本体の下部に、前記送水管に挿入する筒部を形成すると共に、この筒部の下端に前記接続口を設け、前記筒部の上端に前記送水管の先端が係止可能なストッパーを形成したことを特徴とする請求項2記載の散水ノズルである。
【0011】
請求項6の発明は、前記ストッパーが前記ノズル本体の軸芯を中心とし面数を偶数とした正多角形に形成されていることを特徴とする請求項4又は5記載の散水ノズルである。
【0012】
請求項7の発明は、前記凹凸接続が凹凸嵌合であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の散水ノズルである。
【0013】
請求項8の発明は、前記凹凸接続が雌螺子部と雄螺子部による螺子接合であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の散水ノズルである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、散水ノズル本体の下部を送水管に落し込むことで、散水ノズルにおける送水管への取り付け高さを低くすることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、弁装置の下部を接続口近づけて設けることにより、前記弁装置の下部が送水管に挿入するようになり、その弁装置の挿入した長さ分などを散水ノズルの送水管への取り付け状態において高さを短くすることができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、弁装置の下部が内蔵した筒部が、送水管に挿入してその挿入長さ分、散水ノズルの送水管への取り付け状態において高さを短くすることができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、凹凸接続におけるノズル本体に対する送水管の上端を簡単に位置決めすることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、弁装置の下部が内蔵した筒部が、送水管に挿入してその挿入長さ分、散水ノズルの送水管への取り付け状態において高さを短くすることができ、さらに凹凸接続におけるノズル本体に対する送水管の上端を簡単に位置決めすることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、各面にレンチなどの工具を係合しやすくなり、散水ノズルの取り付け作業を簡単に行うことができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、凹凸嵌合により接続口を送水管に挿入することで簡単に接続することができる。
【0021】
請求項8の発明によれば、凹凸接続を雄螺子と雌螺子との螺合によるため、確実な接続が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0023】
図1〜図4は実施例1を示しており、同図において、1はステンレス材、鋳鉄等により形成されるノズル本体であり、このノズル本体1は、上部に径大部2を有し、下部には接続口3が形成されている。ノズル本体1下部の中央部分を貫通し端部を面取り加工した接続口3は、上向きソケット状の送水管4に接続するように下方を開口している。接続口3の上方には短い筒部5が突出形成されている。この短い筒部5はその直径Dに対して例えば筒長さLが3倍以内、好ましくは1.5倍以内、さらに好ましくは1倍以内の大きさを有している。また、短い筒部5の上端には側面外形が径大に形成された段差状のストッパー6を介して内部には上方へ向けて次第に径大となるように下中上の3段状な凹陥部7,7A,7Bが接続口3と同心的に形成され、その最上部に形成した凹陥部7Bは、前記径大部2の上面に開口して形成される。
【0024】
そして、接続口3は、筒部5が送水管4に挿入することで送水管4に凹凸接続式に接続するようになっている。すなわち、筒部5が凹凸接続の凸側となり、一方送水管4の上端が凹側となっている。さらに、ストッパー6には前記送水管4の先端が係止するように接続している。
【0025】
前記ストッパー6は前記ノズル本体1の軸芯Xを中心とし面6Aの数を4、6、8のような偶数とした正多角形に形成されている。実施例1では6面としている。
【0026】
10は前記凹陥部7,7A,7Bの内面に嵌め入れる着脱自在なリング体であり、中央部に貫通孔11を有し、その貫通孔11の上面周縁には、逆円錐状に窪んだテーパ面12を形成している。さらに、そのテーパ面12に断面U字型をなした複数の溝部13をリング体10の中心に向かって放射状に形成している。
【0027】
なお、リング体10の外周面には突起10Aが1箇所突設され、その突起10Aと嵌合する窪み部7Cが前記上段の凹陥部7Bの周面内面に等間隔に4箇所形成されており、そして、突起10Aがいずれかの窪み部7Cに嵌入してリング体10を回り止めしている。
【0028】
前記接続口3と後述する散水口27とを結ぶ水路Wの途中に設ける弁装置14は、前記リング体10をリング押えたるバルブケース15の下端部にバルブ本体16を内蔵する筒部17と、この筒部17の上端部に水平方向に突出して前記リング体10を上方側から押える押圧部18とからなり、この押圧部18の下面に前記リング体10に形成するテーパ面12と同一角度で傾斜するテーパ面18Aを形成している。また、前記筒部17の下端部外周面には前記短い筒部5の雌螺子部5Aにねじ込まれる雄螺子部17Aを形成すると共に、バルブケース15には、前記接続口3と通じる連通孔19が軸芯X方向に貫通して設けられ、この連通孔19に前記接続口3から流入する水量を調整する前記バルブ本体16が装着されている。そして、筒部5の下端に形成された接続口3に接触或いは近接して近づいてバルブ本体16を内蔵する筒部17の下端、すなわち弁装置14の下部が設けられている。なお、近接とは筒部17、特に筒部17の下端が筒部5に挿入している状態をさしている。
【0029】
このバルブ本体16の外周面には、バルブケース15に圧入したピン20の先端を挿入する凹溝21が形成され、この凹溝21と前記ピン20によってバルブケース15に前記バルブ本体16を回動自在に支持している。そして、バルブ本体16の上端部に形成する係止溝状の操作体22に図示しない工具を挿入してバルブ本体16を回し、バルブケース15と前記バルブ本体16に形成する孔23,24の開口量を調節して水量を調節し、また、バルブ本体16の孔24を完全に塞いで止水するように構成している。なお、バルブケース15の連通孔19の上端周縁部にも工具を挿入係止する角筒状の係合凹部25が形成されており、前記ノズル本体1に対して前記バルブケース15を締め付けたりあるいは緩めることができるようになっている。そして、バルブケース15をノズル本体1に締め付けることによって、バルブケース15の押圧部18に形成するテーパ面18Aをリング体10のテーパ面12に面接触状態で密着され、これにより溝部13の前面が押圧部18のテーパ面18Aで塞がれる。また、この溝部13の下端部は前記接続口3に通じる凹陥部7Bに臨んで開口し、かつ溝部13の上端部は前記径大部2の上面に開口する。こうしてリング体10のテーパ面12に形成する溝部13とこの溝部13を塞ぐバルブケース15のテーパ面18Aによって散水口27が形成される。なお、図中30は、前記接続口3に対応して前記送水管4に設けたOリング、31は前記バルブ本体16に設けたOリング、32は操作体22の上方に位置し係合凹部25を覆う着脱可能なゴム等のキャップである。
【0030】
次に前記構成についてその作用を説明する。散水ノズルの設置にあっては、予め埋設された送水管4を凹凸接続の凹側とし、短い筒部5を凸側として両者を嵌合する。この際、面6Aにレンチ(図示せず)等の工具を係合しながら散水ノズルを回動するなどして取り付けを行う。
【0031】
そして、道路などに設置された状態で、送水管4から接続口3に流入した水は、バルブケース15の連通孔19を通って、バルブ本体16の孔24とバルブケース15の孔23からバルブケース15の周面と接続口3の内周面との隙間を上昇してバルブケース15の押圧部18によって塞がれた凹陥部7,7A,7Bの内部に溜まる。そして、この凹陥部7B内の水が凹陥部7Bに連通した溝部13によって形成される散水口27を通って外部に散水される。一方、止水する場合にはゴムキャプ32を取り外した後に工具(図示せず)の先端を操作体22に係合してバルブ本体16を回動することによって、バルブ本体16がバルブケース15に圧入したピン20に沿って水平方向に回動して孔24を塞がれ、これにより、止水できる。
【0032】
以上のように、本実施例では、ノズル本体1の上部に散水口27を設け、前記ノズル本体1の下部に形成されると共に送水管4に凹凸接続式に接続する接続口3を下向きに設け、前記散水口27と前記接続口3を結ぶ水路Wの途中に弁装置14を設けた散水ノズルにおいて、前記接続口3側を送水管4に挿入して凹凸接続の凸側とすることにより、ノズル本体1の下部を送水管4に落し込むように設けることで、送水管4に取り付けた状態では、送水管4からの散水ノズルの突出高さは、ストッパー6から径大部2の上面までとなり、ストッパー6より下方の長さ分を短くすることができる。
【0033】
また、前記接続口3に前記弁装置14の下部、すなわちバルブケース15の下端を近づけて設けることにより、前記弁装置14の下部が送水管4に挿入するようになってその弁装置14の挿入した長さ分などを散水ノズルの送水管4への取り付け状態においてその取り付け高さを短くすることができる。
【0034】
さらに前記ノズル本体2の下部に、前記送水管4に挿入する筒部5を形成すると共に、この筒部5の下端に前記接続口3を設けたことにより、前記弁装置14の下部が内蔵した筒部5が、送水管4に挿入してその挿入長さ分、散水ノズルの送水管4への取り付け状態においてその取り付け高さを短くすることができる。
【0035】
しかも、前記ノズル本体1の側面に前記送水管4の上端が係止可能なストッパー6を形成したので、凹凸接続におけるノズル本体1に対する送水管4の上端を簡単に位置決めすることができる。
【0036】
また、前記ストッパー6が前記ノズル本体1の軸芯Xを中心とし面6Aの数を偶数とした正多角形に形成したことで、その面6Aにレンチなどの工具を係合しやすくなり、散水ノズルの取り付け作業を簡単に行うことができる。
【0037】
さらに、前記接続口3と送水管4の凹凸接続は凹凸嵌合であるので、接続口3を送水管4に挿入することで簡単に接続することができる。
【実施例2】
【0038】
以下に他の実施例を説明する。なお、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。図6は実施例2を示しており、接続口3側の筒部5には凹凸接続の凸側となる雄螺子31が形成され、一方送水管4には凹凸接続の凹側となる雌螺子32が形成されている。したがって、雄螺子31を雌螺子32に螺合することで、送水管4に筒部5が落し込むように設けられて、送水管4に対する散水ノズルの取り付け高さを低くすることができ、しかも凹凸接続を雄螺子31と雌螺子32との螺合によるため、確実な接続が可能となる。
【実施例3】
【0039】
図7は実施例3を示しており、接続口3側の筒部5の外周には軸線Xを中心としたOリング32が設けられる。このOリング33は、筒部5の外周に軸線Xを中心とした溝34に嵌合し、Oリング33はノズル本体1と一体的に設けられる。
【0040】
したがって、送水管4を凹凸接続の凹側とし、筒部5を凸側として両者を嵌合することにより接続する。このように前記接続口3と送水管4の凹凸接続は凹凸嵌合であるので、接続口3を送水管4に挿入することで簡単に接続することができる。しかも、Oリング33は筒部5と一体的に設けられるので、その筒部5を送水管4に挿入することで接続及び漏水防止を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように本発明にかかる散水ノズルは種々の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施例1を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例1を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例1を示す側面図である。
【図4】本発明の実施例1を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例1を示す底面図である。
【図6】本発明の実施例2を示す側面図である。
【図7】本発明の実施例3を示す側面図である。
【図8】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ノズル本体
3 接続口
4 送水管
5 筒部
6 ストッパー
14 弁装置
27 散水口
W 水路
X 軸芯


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル本体の上部に散水口を設け、前記ノズル本体の下部に形成されると共に送水管に凹凸接続式に接続する接続口を下向きに設け、前記散水口と前記接続口を結ぶ水路の途中に弁装置を設けた散水ノズルにおいて、前記接続口を凹凸接続の凸側とすることを特徴とする散水ノズル。
【請求項2】
前記凸側の接続口に前記弁装置の下部を近づけて設けることを特徴とする請求項1記載の散水ノズル。
【請求項3】
前記ノズル本体の下部に、前記送水管に挿入する筒部を形成すると共に、この筒部の下端に前記接続口を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の散水ノズル。
【請求項4】
前記ノズル本体の側面に前記送水管の先端が係止可能なストッパーを形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の散水ノズル。
【請求項5】
前記ノズル本体の下部に、前記送水管に挿入する筒部を形成すると共に、この筒部の下端に前記接続口を設け、前記筒部の上端に前記送水管の先端が係止可能なストッパーを形成したことを特徴とする請求項2記載の散水ノズル。
【請求項6】
前記ストッパーが前記ノズル本体の軸芯を中心とし面数を偶数とした正多角形に形成されていることを特徴とする請求項4又は5記載の散水ノズル。
【請求項7】
前記凹凸接続が凹凸嵌合であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の散水ノズル。
【請求項8】
前記凹凸接続が雌螺子部と雄螺子部による螺子接合であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の散水ノズル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−205132(P2006−205132A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24253(P2005−24253)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000241809)北越消雪機械工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】