散水ノズル

【課題】係止片と係止受け部材とからなる開閉弁のロック機構を有する散水ノズルにおいて、係止片の偏摩耗を防止することができる散水ノズルを提供する。
【解決手段】ノズル本体7に設けた係止片18と、開閉弁の操作レバー15に設けられ、操作レバー15の接近離間に伴って係止片18が摺動する摺動路21を形成するとともに、この摺動路21中に係止片18が係止して操作レバー15とノズル本体7との位置関係を保持する係止凹部22を凹設した係止受け部材17とからなるロック機構を設け、係止片18を上下方向に可動に設置するとともに、係止片18を所定高さに支持する弾性部材7eを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭などで園芸や清掃、農業などに用いられ、ホースを介して水道等の給水設備の先端に接続されて散水を行う散水ノズルに関し、特に使用者が手に持って操作する散水ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭においては、ホースの先端に取り付けられて任意に散水と止水とを切り換えられる散水ノズルが広く園芸、農業、清掃などに使用されている。このような散水ノズルは、ホースを介して水道等の給水設備から水の供給を受け、先端に形成した散水口から散水を行う。
【0003】
従来の散水ノズルには、ノズル本体内部には基端の導入口から先端の散水口までを接続する水の流路を形成し、この流路中に弁座および弁体からなる開閉弁を配置するとともに、ノズル本体の前方に操作レバーを接近離間可能に取り付け、操作レバーの接近離間に連動して弁体を弁座に接近離間させ、開閉弁の開閉を行うものがあった。
また、このような従来の散水ノズルの中には、操作レバーを固定することで、使用者が操作レバーを握り続けることなく散水状態を保持することができるロック機構を備えたものがあった。
【0004】
特許文献1には、ノズル本体に取り付けられて操作レバー側に突出するアームと、操作レバーに取り付けられたカムとからなるロック機構が記載されている。このロック機構によれば、使用者が操作レバーを握り込むと、操作レバーの接近に伴って、アームに設けられた係止片がカムの側面に形成された摺動路を摺動し、摺動路中に凹設された係止凹部に係止して、ノズル本体と操作レバーとの間隔を保持することにより、開閉弁の開状態を維持することができる。係止片が係止凹部に係止したロック状態から再度操作レバーを握り込むと、係止が解除され、開閉弁は閉状態に戻される。
【0005】
また、特許文献1の散水ノズルは、カムのアーム側に、摺動路へ接続する斜面からなる誘導路を形成したため、落下等の衝撃で係止片が摺動路から外れてしまった場合にも、使用者が操作レバーを再度握り込むことにより、係止片を誘導路に沿って摺動させ摺動路へと復帰させることができた。
この誘導路は、係止片が上下に動きうる範囲の全てに設けてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4482832号公報
【0007】
特許文献1の散水ノズルでは、図12に示すように、カム(係止受け部材)17の側面から横倒ししたハート形状のハートカム部17dを突設し、摺動路21として弁閉状態で係止片18が位置する進入路をハートカム部17dの後方に形成するとともに(図12(a))、操作レバーの握り操作中に係止片18がハートカム部17dの周囲に沿って動く摺動路21を形成し(図12(b)から(j))、ハートカム部17dの中心に係止凹部22を形成していた(図12(f))。
操作レバーがノズル本体へ接近離間するのに伴い、係止片18はカム(係止受け部材)17のハートカム部17dや周壁に当接しながら摺動する。このとき係止片18は、図12(a)から(j)に示すように、重力に従ってその下側の面でハートカム部17d等に接触していた。そのため、長く使用するうちに係止片18の下側の面のみが摩耗によって変形してしまい、当初のようにスムーズな摺動ができなくなることがあった。
【0008】
また、特許文献1の散水ノズルでは、係止片18が摺動路21から外れてしまった場合に摺動路21へと復帰させるには、係止片18が誘導路の形状に沿って左右方向あるいは下方に弾性変形しながら摺動路21に摺動させていたため、係止片18に大きな負荷がかかっていた。このため、誘導路を摺動させるのに操作レバーを強く握り込む必要があり、スムーズな操作感に欠けるとともに、無理な弾性変形によって係止片18に歪みや割れを生じ、散水ノズルが故障するおそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、係止片と係止受け部材とからなるロック機構を有する散水ノズルにおいて、係止片の偏摩耗を防止することができる散水ノズルを提供することを課題とする。また、本発明は、係止片が係止受け部材の摺動路から外れても復帰させる誘導路を設けた散水ノズルにおいて、係止片の破損を防止することができる散水ノズルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明において、上記課題が解決される手段は以下の通りである。
第1の発明は、導入口から散水口までを接続する水の流路を内部に形成したノズル本体と、このノズル本体に接近離間可能に取り付けた操作レバーと、上記流路中に配置されるとともに上記操作レバーに連動し、上記操作レバーと上記ノズル本体との位置関係に応じて上記流路を開閉する開閉弁とを有する散水ノズルであって、上記ノズル本体と上記操作レバーとの一方に設けた係止片と、他方に設けられ、上記操作レバーの接近離間に伴って上記係止片が摺動する摺動路を形成するとともに、この摺動路中に上記係止片が係止して上記操作レバーと上記ノズル本体との位置関係を保持する係止凹部を凹設した係止受け部材とからなるロック機構を設け、上記係止片を上下方向に可動に設置するとともに、上記係止片を所定高さに支持する弾性部材を設けたことを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、上記係止受け部材に、係止受け部材の外縁から上記摺動路までを接続し、摺動路から離脱した係止片が摺動路へ復帰するための誘導路を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、上記ノズル本体と上記操作レバーとの一方に設けた係止片と、他方に設けられ、上記操作レバーの接近離間に伴って上記係止片が摺動する摺動路を形成するとともに、この摺動路中に上記係止片が係止して上記操作レバーと上記ノズル本体との位置関係を保持する係止凹部を凹設した係止受け部材とからなるロック機構を設け、上記係止片を上下方向に可動に設置するとともに、上記係止片を所定高さに支持する弾性部材を設けたことにより、係止片が摺動路を摺動する際に、係止片の下面で係止受け部材と接触させるだけでなく、係止片の上面も係止受け部材と接触させながら摺動させることができる。
このため、係止片の下面のみが偏摩耗することなく、上面もバランスよく接触させることができるので、製品寿命を長期化することができる。また、係止片が上下方向に可動であるため、係止受け部材と接触する場合にも、大きな摩擦力が働きづらく、係止片の摩耗速度を低下させることができる。
【0013】
第2の発明によれば、上記係止受け部材に、係止受け部材の外縁から上記摺動路までを接続し、摺動路から離脱した係止片が摺動路へ復帰するための誘導路を設けたことにより、落下等の衝撃により係止片が係止受け部材の摺動路から離脱しても、使用者が操作レバーを握り込めば係止片を誘導路に沿って摺動させ、摺動路に復帰させることができる。
また、係止片が上下方向に可動であるため、離脱した係止片に過負荷をかけることなく、誘導路に沿って容易に摺動路に復帰させることができ、係止片の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一実施形態に係る散水ノズルを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側方図である。
【図2】同散水ノズルの縦断面図である。
【図3】同散水ノズルのロック機構を示す側方図である。
【図4】同ロック機構の係止アームを示す図であり、(a)は前上方斜視図、(b)は平面図、(c)は後ろ上方斜視図、(d)は正面図、(e)は側方図、(f)は背面図、(g)は前下方斜視図、(h)は底面図である。
【図5】(a)は同散水ノズルの通水パイプの側方図であり、(b)は同通水パイプのバネ台座の拡大図である。
【図6】同ロック機構を示す分解斜視図である。
【図7】同ロック機構の係止受け部材を示す図であり、(a)は前上方斜視図、(b)は平面図、(c)は後ろ上方斜視図、(d)は正面図、(e)は側方図、(f)は背面図、(g)は前下方斜視図、(h)は底面図、(i)後ろ下方斜視図である。
【図8】本発明の第二実施形態に係る散水ノズルを示す図であり、(a)はロック機構の分解斜視図、(b)は板バネの前方斜視図、(c)は同後方斜視図、(d)は同正面図、(e)は同側方図である。
【図9】本発明の第三実施形態に係る散水ノズルを示す図であり、(a)はロック機構の分解斜視図、(b)は圧縮バネ部材の側方図、(c)は同背面図、(d)は後方斜視図である。
【図10】本発明の第四実施形態に係る散水ノズルを示す図であり、(a)はロック機構の分解斜視図、(b)はトーションバネの側方図、(c)は同背面図、(d)は前方斜視図である。
【図11】本発明の第一実施形態に係るロック機構の動作を示す説明図である。
【図12】従来の散水ノズルのロック機構の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第一実施形態に係る散水ノズルについて説明する。
この散水ノズル1は、園芸、農業、清掃、その他の用途において、ホースを介して水道等の給水設備の先端に接続されて散水を行う器具であって、使用者が手に持って使用するものである。
【0016】
図1に示すように、散水ノズル1は、ホース等に接続されて水を導入する接続口2を形成した基端部3aから上方に延びる略筒状に形成されたグリップ部3と、このグリップ部3の上端から前方に延びるとともに先端に散水口5a、5bを形成したノズル部4とからなり、全体としてL字形、くの字形もしくはピストル形等の屈曲形状に形成されたノズル本体6を有している。
図2に示すように、ノズル本体6の内部には、接続口2から散水口5a、5bまで延在する水の流路10が形成されている。
ノズル本体6は、図2に示すように、屈曲した通水パイプ7(図5参照)に、ホースニップル8や吐水ヘッド9を接続し、外周を覆う複数のカバーを組み付けてなるが、これらのうちいくつかについて一体に成形したものであってもよい。
【0017】
図1、図2に示すように、グリップ部3は、基端部3aから上方に延びる略筒状に形成され、使用者が手で把持して取り回すことができるようになっている。
グリップ部3の基端部3aでは、ホースに取り付けられた受け具(図示せず)と連結するための凹凸やOリング外周面に設けるとともに、その中心に給水設備からの水を導入する接続口2を開口したホースニップル8が通水パイプ7の下方に取り付けられている。
グリップ部3の向きは、垂直であってもよいが、図1(b)に示すように傾斜して上方に延びたものであってもよい。
【0018】
図2に示すように、ノズル部4は、グリップ部3の上端から前方に延びる略筒状に形成されている。ノズル部4の先端では、通水パイプ7の先端に吐水ヘッド9を取り付けている。
吐水ヘッド9は、通水パイプ7に接続される第一部材11と、この第一部材11の先端に取り付けられ、シャワー散水口5aおよびストレート散水口5bを形成した第二部材12とからなる。
第一部材11の周面には通水パイプ7から供給された水を第二部材12側へ流すための切換口11aが形成され、第二部材12は第一部材11に対し、螺進によって前後動することができるように取り付けられている。これにより、第一部材11に対する第二部材12の位置によって、切換口11aをシャワー散水口5aまたはストレート散水口5bに連通させ、シャワー散水とストレート散水を切り換えることができる。
【0019】
図2に示すように、この散水ノズル1は、通水パイプ7の流路中に、通水と止水とを切り換える開閉弁を有している。
開閉弁は、通水パイプ7のグリップ部3側の流路10に配置された開閉弁体13を有している。開閉弁体13は、通水パイプ7に内接する有蓋円筒状に形成され、蓋の上に突起状の弁体部13aを形成している。開閉弁体13の外周面の2箇所にはOリング13c、13cを配設して開閉弁体13の外周を水が流れないようにするとともに、Oリング13cより上の外周面に通水口13bを形成している。通水パイプ7の基端(下方)から供給された水は、開閉弁体13の内部を通過して通水口13bより外周に流出し、下流へ流れるようになっている。
【0020】
開閉弁体13の弁体部13aは、通水パイプ7に設けられた開閉弁座7aよりも大径に形成され、ホースニップル8と開閉弁体13との間に介在するコイルスプリング14によって、開閉弁座7a側に付勢されて流路10を閉塞する(止水状態)。この付勢力に反して弁体部13aが開閉弁座7aから離間させられると、流路10が開放され、散水口5a、5bから散水することができる(通水状態)。
【0021】
開閉弁体13を操作するために、グリップ部3の前方には操作レバー15が取り付けられている。この操作レバー15は、下端を固定端としてグリップ部3の下部に取り付け、上端を自由端としているため、使用者がグリップ部3を持った手で握り込むことにより前後方向に回動可能となっている。
通水パイプ7は、グリップ部3側部分の前面に開口7bを形成している。図2に示すように、縦断面L字状の弁開閉用アーム16が、一端で操作レバー15に当接し、他端で開口7bにて開閉弁体13に当接し、L字状の屈曲部分を支点として通水パイプ7に回動可能に支持されているため、使用者が止水操作レバー15を握り込むと、弁開閉用アーム16を介し、コイルスプリング14の付勢力に反して開閉弁体13を開閉弁座7aから離間させ、通水状態にすることができる。
通水パイプ7の開口7bは常時開閉弁体13の2つのOリング13c、13cの中間に位置するため、水が開口7bから通水パイプ7の外側へ漏れることはない。
【0022】
ノズル本体6と操作レバー15との間には、開閉弁を通水状態で保持するためのロック機構を設けている。
図2、図3に示すように、ロック機構は、ノズル本体6の通水パイプ7に取り付けられた係止アーム16と、操作レバー15に取り付けられた係止受け部材17とからなる。
【0023】
図4に示すように、係止アーム16は、前方に延びる左右一対のアーム部16aを有する平面視略H字状に成形され、各アーム部16aの先端には内方に向かって突出する小円筒形状の一対の係止片18を有している。各アーム部16aは、強度確保のため、側面視で略三角形状に形成されている。
両アーム部16aの連結部分には、後述する板バネ19を当接させるためのバネ受け16bを形成している。
また、係止アーム16の基端には、後方へ延びる左右一対の取り付け部16cが形成されている。両取り付け部16cはアーム部16aよりも広い間隔を有し、後端には内方に向かって突出する左右一対の凸片16dを有している。
係止アーム16の各アーム部16aは、アーム部16aの係止片18側である先端部位の厚みを、この先端部位より取り付け部16c側に位置する中央部位の厚みより大きくし(図4(b)参照)、これにより係止アーム16が作動する際に係止片18と先端部位との連結部分の周辺に係る応力に対する強度を高めている。
また、先端部位と中央部位との連結部分は、アーム部16aの延在方向平面に対して垂直な1つの面でなく、当垂直面に対して傾斜した面で形成しており(図4(b)参照)、これにより当部位の強度を高めている。なお、この傾斜した面は、先端部位から中央部位に行くに従って、徐々に及び/又は段階的にアーム部16aの厚さが減少するように形成すればよい。
係止片18の先端は、本実施形態では平面としており(図4(a)(b)(d)参照)、これにより係止片18の先端の磨滅を防止している。なお、アーム部16aの摺動路21内での引っかかりを抑制してスムーズな動きを高めるためには、係止片18先端の平面部位の周縁を面取りするのがよい。また、特にアーム部16aの摺動路21内での引っかかりを抑制してスムーズな動きを高める必要がある場合は、係止片18の先端を、断面形状においてなめらかな曲線で構成される形状、例えば円弧形状とするのが良い。
【0024】
図5に示すように、通水パイプ7のグリップ部3側上部の側面には左右一対の凹部7cが形成され、図6のように、この凹部7cに係止アーム16の凸片16dを嵌め込むことで、係止アーム16を通水パイプ7の正面側に回動可能に取り付けることができるようにしている。
【0025】
図3、図6に示すように、通水パイプ7に取り付けられた係止アーム16は、通水パイプ7に一体に設けられたバネ部7eによって、回動可能範囲の下限から所定の高さに支持される。図5に示すように、通水パイプ7のグリップ部3側正面にはバネ台座7dを設けて、このバネ台座7dから上方にバネ部7eを突設している。
【0026】
図5(b)、図6に示すように、このバネ部7eは、通水パイプ7と一体成形され、前後方向に緩やかに折り曲げられたS字状の板状部分からなり、前後方向に弾性を有する。バネ部7eの材料には、通水パイプと同じ樹脂を用いている。
ロック機構において、バネ部7eは、上端で係止アーム16のバネ受け16bに当接する。
【0027】
図6に示すように、通水パイプ7に係止アーム16を取り付けると、バネ部7eの先端が係止アーム16のバネ受け16bに当接し、バネ部7eの弾性力によって係止アーム16が所定高さに支持される。
通水パイプ7は、凹部7cの上方に左右一対の回動規制部20を突設しており、係止アーム16の取り付け部16c上端がこの回動規制部20に当接することで、係止アーム16の回動範囲の上限が規制される。
図6のように、バネ部7eの形状や弾性力を調整し、組立後の自然状態では、係止アーム16の取り付け部16cと回動規制部20との間に遊びを設けるようにすることが好ましい。
各回動規制部20は、下面を取り付け部16cに当接する当接面部としてそれぞれ形成しており、且つ、両回動規制部20の当接面部同士は、通水パイプ7の左右方向中央で一体に繋がっており、これにより回動規制部20に係る応力に対する強度を高めている。また、通水パイプ7には、正面中央から前方に突出し、回動規制部20同士の連結部分から上方に延在する縦リブ7fを設け、これによっても回動規制部20に係る応力に対する強度を高めている。
【0028】
図7に示すように、係止受け部材17は、上端に操作レバーの内面と嵌着される舌片17aを形成するとともに、下端には操作レバー15の支持棒15aが挿通される貫通孔17bを設けている。
係止受け部材17の高さ中央には、係止アーム16の係止片18が摺動するカム部17cを設けている。このカム部17cは、所定の厚みを有する縦板の側面から横倒しにしたハート形のハートカム部17dを突設し、ハートカム部17dの周囲に係止片18が摺動する摺動路21を形成している。ハートカム部17dの中心には、係止片18を係止する係止凹部22を凹設している。
【0029】
摺動路21の上下には、上壁および下壁を立設して係止片18の可動範囲を規制しているが、摺動路21の前方および後方は開放されている。摺動路21の後方のみでなく前方も開放したことにより、操作レバー15が何らかの衝撃によって過剰に押し込まれたときにも、係止片18を前方に逃がして破損を防止することができる。
上壁の後端には下方に傾斜した斜面である誘導路23aを形成し、下壁の後端には上方に傾斜した斜面である誘導路23bを形成している。
また、カム部17cの後端には、左右方向に傾斜して摺動路21に接続する傾斜面からなる誘導路23cを形成している。
誘導路23a、23b、23cを形成したことにより、落下等の衝撃により係止片18が係止受け部材17の摺動路21から離脱してしまっても、使用者が操作レバー15を握り込めば係止片18を誘導路23a、23b、23cに沿って摺動させ、摺動路21に復帰させることができる。
【0030】
図11(a)に示すように、係止受け部材17を操作レバー15に取り付けて散水ノズル1を組み立てると、開閉弁の止水状態では係止片18がハートカム部17dより後方の摺動路21に配置される。このとき、係止アーム16が板バネ19に支持されていることにより、係止片18は、カム部17cの上壁、下壁およびハートカム部17dのいずれにも接触しない位置に配置されている。
【0031】
使用者が操作レバー15を握り込んで開閉弁を開放すると、ノズル本体6への操作レバー15の接近に伴って、係止片18がハートカム部17dの上側の摺動路21を摺動し、ハートカム部17d前方に到達する(図11(b)から(e))。
このとき、係止片18は下面でハートカム部17dの上面に接触しながら摺動路21を進入していくが、係止アーム16が容易に上方に回動できるため、大きな摩擦力は働かない。
【0032】
ここで使用者が操作レバー15の握りを緩めると、コイルスプリング14によって開閉弁が止水状態に戻ろうとし、操作レバー15がノズル本体6から離間しようとする。しかし、これに伴い係止片18がハートカム部17dに沿って摺動し、係止凹部22に係止されることで、操作レバー15とノズル本体6との離間を防止し、開閉弁を通水状態に保持する(ロック状態)(図11(f))。
【0033】
このロック状態で使用者が再度操作レバー15を握り込むと、ノズル本体6への操作レバー15の接近に伴って、係止片18がハートカム部17dの下側前方の摺動路21に入り込む(図11(g))。次いで使用者が操作レバー15を開放すると、コイルスプリング14によって開閉弁が止水状態に戻るとともに、操作レバー15の離間に伴って係止片18がハートカム部17dの下側の摺動路21を摺動し、ハートカム部17d後方の当初の位置に戻る(図11(h)から(j)、(a))。なお、係止凹部22とハートカム部17dの下側の摺動路21との間には段差部17e(図7(e)(g)参照)が形成され、係止片18はこの段差部17eに接触しながらハートカム部17dの下側の摺動路21を誘導されるため、係止凹部22に逆行してしまうことはない。
またこのとき、板バネ19に支持されていることにより、係止片18は上面でハートカム部17dの下面と摺動しながら当初の位置に戻るが、板バネ19を弾性変形させて係止アーム16が容易に下方に回動できるため、大きな摩擦力は働かない。
【0034】
図2に示すように、開閉弁の下流側には、流量操作部材24を回動することにより流量調整弁体25を回動させる流量調整弁が設けられている。
この流量調整弁では、筒状の流量調整弁体25に形成された切り欠きと、ノズル部4側の流路10とが合致する面積を増減させることにより、散水量を調整することができる。
【0035】
本実施形態の散水ノズルでは、図6に示すように、係止片18を有する係止アーム16とカム部17cを有する係止受け部材17とからなるロック機構を設け、係止アーム16を上下方向に可動に設置するとともに、係止アーム16を所定高さに支持する板バネ19を設けたことにより、係止片18が摺動路21を摺動する際に、係止片18の下面で係止受け部材17と接触させるだけでなく、係止片18の上面でも係止受け部材17と接触させながら摺動させることができる(図11)。
このため、係止片18の下面のみが偏摩耗することなく、上面もバランスよく摩耗させることができるので、製品寿命を長期化することができる。また、係止片18が上下方向に可動であるため、係止受け部材17と接触する場合にも、大きな摩擦力が働きづらく、係止片18の摩耗速度を低下させることができる。
【0036】
また、摺動路21の入口側に、離脱した係止片18の復帰用の誘導路23a、23b、23cを設けた従来のロック機構では、離脱した係止片18を誘導路23a、23b、23cに沿って摺動路21に復帰させる際に、係止片18がうまく誘導路23a、23b、23cに沿って摺動せず、復帰させるために係止片18や係止受け部材17を弾性変形させるための大きな力を必要とすることがあった。
他方、本実施形態の散水ノズル1では、係止アーム16が上下方向に回動可能にノズル本体6に取り付けられたことにより、係止片18が上下方向に昇降可能であるため、離脱した係止片18を誘導路23a、23bに沿って容易に摺動路21に復帰させることができる。
【0037】
<第二実施形態>
第一実施形態では、通水パイプに一体成形されたバネ部によって係止アーム16を所定高さに支持していたが、係止アーム16を所定高さに支持できる弾性部材であれば、形状は特に限定されない。また、弾性部材は、必ずしも通水パイプ7と一体に設けられたものでなくてもよい。
第二実施形態では、図8(a)に示すように、通水パイプ7に取り付けられた係止アーム16は、通水パイプ7に取り付けられた板バネ19によって、回動可能範囲の下限から所定の高さに支持される。通水パイプ7のグリップ部3側正面にはバネ台座7dを設けて、板バネ19を載置できるようにしている。
図8(b)から図8(e)に示すように、この板バネ19は、ポリプロピレン樹脂をL字状に成形するとともに、一部を舌片状に切り起こしており、底部19aと舌片部19bとで通水パイプ7に当接する。残りの押圧部19cは、前方に湾曲させてから上方に延長し、係止アーム16に当接する上端をさらに円弧状に湾曲させている。
【0038】
板バネ19の材料には、ポリプロピレン樹脂のほかに、他の樹脂や板金等を使用することができる。
このうち、板金は、繰り返しの弾性変形に対する耐久性に優れている。
他方、樹脂は安価であるとともに加工が容易で、製造コストを低減させることができる。
【0039】
図8(a)に示すように、通水パイプ7に板バネ19と係止アーム16とを取り付けると、板バネ19の押圧部19cが係止アーム16のバネ受け16bに当接し、板バネ19の弾性力によって係止アーム16を所定高さに支持することができる。
【0040】
<第三実施形態>
第三実施形態では、図9に示すように、弾性部材として係止アーム16を支持する圧縮バネ部材26を設けている。
図9(b)から図9(d)に示すように、この圧縮バネ部材26は、コイルスプリング27を板材28に組み付けてなる。
板材28の中心には孔を開口し、孔の端縁を立設して、コイルスプリング27が外嵌する台座28aとする。
板材28は、下端を通水パイプ7のバネ台座7dに載置できるように湾曲させるとともに、上端を係止アーム16に当接させるために円弧状に湾曲させている。
【0041】
図9(a)に示すように、圧縮バネ部材26は、板材28の下端で通水パイプ7のバネ台座7dに載置され、コイルスプリング27の先端を通水パイプ7に当接し、板材28の上端を係止アーム16のバネ受け16bに当接することにより、コイルスプリング27の弾性力によって係止アーム16を所定高さに支持することができる。
【0042】
<第四実施形態>
第四実施形態では、図10に示すように、弾性部材として係止アーム16を支持するトーションバネ29を設けている。
図10(b)から図10(d)に示すように、このトーションバネ29は、金属棒をU字状に折り曲げ、両側に3周巻きのコイルをそれぞれ形成し、先端を左右外方に折り曲げて通水パイプ7のバネ台座7dに載置できるようにしてなる。
図10(a)に示すように、トーションバネ29は、両端部で通水パイプ7のバネ台座7dに載置され、中央部を係止アーム16のバネ受け16bに当接することにより、係止アーム16を所定高さに支持することができる。
【0043】
<その他の別態様>
また、第一実施形態の散水ノズル1では、係止片18が係止受け部材17のハートカム部17dの上側の摺動路21に進入し、下側の摺動路21から戻るロック機構を設けたが、これとは逆に、係止片18がハートカム部17dの下側の摺動路21に進入し、上側の摺動路21から戻るロック機構を設けてもよい。
また、第一実施形態から第四実施形態では、ノズル本体6(通水パイプ7)に係止アーム16と弾性部材とを設け、操作レバー15に係止受け部材17を設けたが、これとは逆に、ノズル本体6に係止受け部材17を設け、操作レバー15に係止アーム16と弾性部材とを設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 散水ノズル
6 ノズル本体
7 通水パイプ
7a 開閉弁座
7c 凹部
7d バネ台座
7e バネ部
7f 縦リブ
10 流路
13 開閉弁体
14 コイルスプリング
15 操作レバー
16 係止アーム
16a アーム部
16b バネ受け
16c 取り付け部
16d 凸片
17 係止受け部材
17a 舌片
17b 貫通孔
17c カム部
17d ハートカム部
17e 段差部
18 係止片
19 板バネ
19a 底部
19b 舌片部
19c 押圧部
20 回動規制部
21 摺動路
22 係止凹部
23a、23b、23c 誘導路
26 圧縮バネ部材
27 コイルスプリング
28 板材
28a 台座
29 トーションバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入口から散水口までを接続する水の流路を内部に形成したノズル本体と、
このノズル本体に接近離間可能に取り付けた操作レバーと、
上記流路中に配置されるとともに上記操作レバーに連動し、上記操作レバーと上記ノズル本体との位置関係に応じて上記流路を開閉する開閉弁とを有する散水ノズルであって、
上記ノズル本体と上記操作レバーとの一方に設けた係止片と、
他方に設けられ、上記操作レバーの接近離間に伴って上記係止片が摺動する摺動路を形成するとともに、この摺動路中に上記係止片が係止して上記操作レバーと上記ノズル本体との位置関係を保持する係止凹部を凹設した係止受け部材とからなるロック機構を設け、
上記係止片を上下方向に可動に設置するとともに、上記係止片を所定高さに支持する弾性部材を設けたことを特徴とする散水ノズル。
【請求項2】
上記係止受け部材に、係止受け部材の外縁から上記摺動路までを接続し、摺動路から離脱した係止片が摺動路へ復帰するための誘導路を設けたことを特徴とする請求項1記載の散水ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−103171(P2013−103171A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248770(P2011−248770)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(592243553)株式会社タカギ (31)
【Fターム(参考)】