説明

散水ノズル

【課題】吐水仕様の選択が容易な散水ノズルの提供。
【解決手段】散水ノズルは、吐水スクリーンを有する外筒と内筒と基準位置表示とを備えている。外筒の外面が、表示部E1を有している。外筒と内筒との相対回転により、吐出水形の変化が可能とされている。この相対回転により、吐水流量及び/又は吐水流速の変化が可能とされている。この相対回転により、表示部E1と基準位置表示との相対位置の変化が可能とされている。この表示部E1は、上記吐出水形を示す複数の絵柄Pc1、Pc2、Pc3、Pc4と、上記吐水流量及び/又は吐水流速の変化を示す高さ変化部Hcとを有する。好ましくは、上記吐水流量及び/又は吐水流速の変化が連続的である。好ましくは、表示部E1は、上記吐水流量及び/又は吐水流速の連続的な変化を示す連続的高さ変化部を有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散水ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
散水ノズルは、園芸、清掃、洗車など、様々な用途で用いられている。また、吐水形状の切り替えが可能な散水ノズルが知られている。
【0003】
特開2003−181327号公報は、散水ノズルにおける吐水形状の切替基準位置の表示方法を開示する。この公報の図4には、ノズルヘッドの外筒外周面に表示される文字又は絵文字の例が示されている。この図4には、シャワー、ジョロ、ストップ、ストレート及びキリの5種類が表示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−181327号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2003−181327号公報に記載の表示では、表示と吐水仕様(例えば吐水流量)との関係が不明確である。
【0006】
本発明の目的は、吐水仕様の調整が容易であり、利便性の高い散水ノズルの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の散水ノズルは、吐水スクリーンを有する外筒と内筒と基準位置表示とを備えている。上記外筒の外面は、表示部を有している。上記外筒と上記内筒との相対回転により、吐出水形の変化が可能とされている。上記相対回転により、吐水流量及び/又は吐水流速の変化が可能とされている。上記相対回転により、上記表示部と上記基準位置表示との相対位置の変化が可能とされている。この表示部は、上記吐出水形を示す複数の絵柄と、
上記吐水流量及び/又は吐水流速の変化を示す高さ変化部とを有している。
【0008】
好ましくは、上記吐水流量及び/又は吐水流速の変化が連続的であり、上記表示部が、上記吐水流量及び/又は吐水流速の連続的な変化を示す連続的高さ変化部を有する。
【0009】
好ましくは、上記絵柄が、上記高さ変化部の内部に配置されている。好ましくは、上記表示部が、複数の目盛りを有する。
【0010】
好ましくは、上記高さ変化部は、平面展開図において右側に位置する右高さ変化部と、平面展開図において左側に位置する左高さ変化部とを有している。好ましくは、上記右高さ変化部は、右ベースラインと右傾斜線とを有している。好ましくは、上記左高さ変化部は、左ベースラインと左傾斜線とを有している。好ましくは、この散水ノズルは、上記右ベースラインに対して直角な方向における、上記右ベースラインと上記右傾斜線との距離が高さRhとされ、上記左ベースラインに対して直角な方向における、上記左ベースラインと上記左傾斜線との距離が高さLhとされるとき、次の(a)、(b)、(c)又は(d)を満たす。
(a)上記高さRhの変化率がXRとされ、上記高さLhの変化率がXLとされ、右回転領域での平均流速変化率がSRとされ、左回転領域での平均流速変化率がSLとされるとき、XRとXLとの大小関係が、SRとSLとの大小関係に一致している。
(b)上記高さRhの変化率がXRとされ、上記高さLhの変化率がXLとされ、右回転領域での平均流量変化率がVRとされ、左回転領域での平均流量変化率がVLとされるとき、XRとXLとの大小関係が、VRとVLとの大小関係に一致している。
(c)上記高さRhの最大値がRmxとされ、上記高さLhの最大値がLmxとされ、右回転領域での最大流速がSR1とされ、左回転領域での最大流速がSL1とされるとき、RmxとLmxとの大小関係が、SR1とSL1との大小関係に一致している。
(d)上記高さRhの最大値がRmxとされ、上記高さLhの最大値がLmxとされ、右回転領域での最大流量がVR1とされ、左回転領域での最大流量がVL1とされるとき、RmxとLmxとの大小関係が、VR1とVL1との大小関係に一致している。
【0011】
好ましくは、上記複数の絵柄のそれぞれが、水形高さWhと、水形手前幅W1と、水形先端幅W2とを有している。好ましくは、この散水ノズルは、次の(e)、(f)又は(g)を満たす。
(e)上記複数の絵柄において、上記水形高さWhが、吐水流量及び/又は吐水流速に対応して相違している。
(f)上記複数の絵柄において、上記水形手前幅W1が、上記吐水スクリーンにおける水形幅に対応して相違している。
(g)上記複数の絵柄において、上記水形先端幅W2が、着水範囲に対応して相違している。
【0012】
好ましくは、上記吐水スクリーンが、内側領域と、この内側領域の外側に位置する外周領域とを有している。好ましくは、 上記内側領域にシャワー孔が設けられている。好ましくは、 上記外周領域にシャワー孔が設けられている。好ましくは、上記相対移動により、上記内側領域からの吐出と上記外周領域からの吐出との切替が可能とされている。好ましくは、上記相対移動に基づき、上記内側領域からの吐水流量が連続的又は段階的に変化しうるように構成されている。好ましくは、上記相対移動に基づき、上記外周領域からの吐水流量が連続的又は段階的に変化しうるように構成されている。好ましくは、上記複数の絵柄の全てが、上記シャワー孔による吐出水形を示している。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る散水ノズルでは、吐水仕様の選択が容易とされうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態に係る散水ノズルの右側面図である。
【図2】図2は、図1の散水ノズルの左側面図である。
【図3】図3は、図1の散水ノズルの平面図である。
【図4】図4は、図1の散水ノズルの底面図である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、第一実施形態に係る表示部の平面展開図である。
【図6】図6は、図5(a)の平面展開図が線図に変換された図である。
【図7】図7は、第二実施形態に係る表示部の平面展開図である。
【図8】図8は、第三実施形態に係る表示部の平面展開図である。
【図9】図9は、第四実施形態に係る表示部の平面展開図である。
【図10】図10は、図1の散水ノズルにおける吐水スクリーンの平面図である。
【図11】図11は、図1の散水ノズルの先端部における断面図である。
【図12】図12は、図1の散水ノズルの先端部における断面図である。
【図13】図13は、図1の散水ノズルの先端部における断面図である。
【図14】図14は、図1の散水ノズルの先端部における断面図である。
【図15】図15は、図1の散水ノズルの先端部における断面図である。
【図16】図16(a)及び図16(b)は、実施例における水形の輪郭線を示す図である。
【図17】図17は、実施例におけるデータを示すグラフである。
【図18】図18は、実施例におけるデータを示すグラフである。
【図19】図19は、実施例におけるデータを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0016】
[指示位置の定義]
本願において、基準位置表示G1(後述)によって指し示された表示部での位置が、指示位置と定義される。例えば、図3(後述)における指示位置は、中央部ECである。
【0017】
[右及び左の定義]
本願における「右」及び「左」は、後述される平面展開図(図5(a)等)において判断される。この平面展開図では、基準位置表示G1(後述)側が下側とされ、吐水スクリーン114(後述)側が上側とされる。
【0018】
[右回転領域及び左回転領域の定義]
本願において、上記指示位置が右部分ER(後述)である回転領域が、右回転領域である。本願において、指示位置が左部分EL(後述)である回転領域が、左回転領域である。
【0019】
[第一実施形態]
図1及び図2は、本発明の第一実施形態である散水ノズル100の側面図である。図1は、右側面図である。図2は、左側面図である。図3は、上側から見た散水ノズル100の平面図である。図4は、下側から見た散水ノズル100の底面図である。
【0020】
散水ノズル100は、本体102、外筒104及び内筒106を有する。本体102は、給水接続部108、把持部110及びレバー112を有する。図示しないが、本体102の内部には、内筒106に水を供給する水供給管が配置されている。レバー112により、吐水と止水との切替が可能である。この切替を実現する構造は公知である。給水接続部108には、例えばホースが接続される。所定の供給水圧(水道水圧)で供給される水は、このホースから、上記水供給管を経由して、内筒106に至る。散水ノズル100は、通常、一般の水道に接続される。一般の水道水圧は、下限としては0.05MPa以上、より一般的には0.15MPa以上であり、上限としては、0.74MPa以下である。散水ノズル100は、この範囲の水道水圧において好ましく用いられる。水道水圧は、ポンプ水圧等よりも比較的低い。散水ノズル100では、このような比較的低い水道水圧においても、多様な水形が得られる。
【0021】
外筒104は、内筒106に対して回転可能である。この回転により、回転ポジションが変化する。この回転ポジションの変化により、水形が変化する。この点の詳細については、後述される。
【0022】
外筒104は、円周外面105と、吐水スクリーン114を有する。吐水スクリーン114は、外筒104の前面を形成している。円周外面105は、外筒104の後方部分に位置する。
【0023】
この散水ノズル100では、外筒104と内筒106との相対回転により、吐出水形が変化するように構成されれている。また、散水ノズル100では、外筒104と内筒106との相対回転により、吐水流量が連続的に変化しうるように構成されている。散水ノズル100の構造の詳細については、後述される。
【0024】
外筒104は、表示部E1を有する。表示部E1は、外筒104の外面に設けられている。表示部E1は、円周外面105に設けられている。円周外面105の断面形状は円形である。本体102は、基準位置表示G1を有する(図3参照)。基準位置表示G1の形状は、略三角形である。基準位置表示G1の形状は、略二等辺三角形である。この略三角形(略二等辺三角形)の頂点は、前方(外筒104側)に向いている。表示部E1と基準位置表示G1との位置関係によって、回転ポジションR(後述)が視覚的に認識される。なお、基準位置表示G1の形状は限定されない。基準位置表示G1の数は限定されないが、1つが好ましい。基準位置表示G1は、別部品によって形成されていてもよい。この別部品の色は、基準位置表示G1の周囲の色とは異なるのが好ましい。また、基準位置表示G1は、印刷、シール、塗装等により形成されてもよいし、凸部であってもよいし、凹部であってもよい。印刷の剥がれ等によって表示が不明確となることを防止する観点から、基準位置表示G1は、次の(x)とされるのが特に好ましく、次の(y)と(z)との併用によって形成されるのも好ましい。
(x)基準位置表示G1が、色違いの別部品とされる。
(y)基準位置表示G1が、凹部又は凸部とされる。
(z)基準位置表示G1が、印刷、シール、塗装等とされる。
【0025】
なお、図1から図4は、後述される回転ポジションR3(前後ポジションP3)における図である。回転ポジションRに基づいて、表示部E1と基準位置表示G1との位置関係は変化する。
【0026】
図5(a)及び図5(b)は、表示部E1の展開図である。但し、図5(b)では、後述される水形名称表示N1からN4の記載が省略されている。前述の通り、表示部E1は円周面上に配置されているが、この図5(a)及び図5(b)では、表示部E1が平面上に展開されている。このような展開図が、前述した平面展開図である。図6は、図5(a)の実施形態において認識されうる形状を線図で示した図である。
【0027】
図5(a)の実施形態では、水形名称表示N1からN4がネガ表示されている。即ち、水形名称表示N1からN4を除く部分に印刷又は塗装がなされることによって、印刷又は塗装がなされていない部分である水形名称表示N1からN4が表示されている。もちろん、水形名称表示N1からN4は、例えば、ポジ表示であってもよく、後述されるような線表示であってもよい。表示部E1は、視覚によって認識されればよい。
【0028】
表示部E1は、吐出水形を示す複数の絵柄として、第一絵柄Pc1、第二絵柄Pc2、第三絵柄Pc3及び第四絵柄Pc4を有している。また、表示部E1は、吐水流量の変化を示す高さ変化部Hcを有している。更に、表示部E1は、上記複数の絵柄Pc1から絵柄Pc4のぞれぞれに対応する水形名称表示N1からN4を有している。水形名称表示N1は、「シャワー」との文字である。水形名称表示N2は、「ジョロ」との文字である。
水形名称表示N3は、「ソフトジョロ」との文字である。水形名称表示N4は、「清掃シャワー」との文字である。水形名称表示N1は、第一絵柄Pc1に対応している。水形名称表示N2は、第二絵柄Pc2に対応している。水形名称表示N3は、第三絵柄Pc3に対応している。水形名称表示N4は、第四絵柄Pc4に対応している。
【0029】
高さ変化部Hcの形成方法は限定されず、例えば、凹凸によって形成することができる。具体的には、高さ変化部Hcは、外筒104の外面に形成された凹又は凸とされうる。ただし、高さ変化部Hcは、外筒104の外面に周方向に沿って形成されるため、凹又は凸によって形成されるとコストが高くなりやすい。この観点から、高さ変化部Hcは、印刷、シール又は塗装によって形成するのが好ましい。
【0030】
図5(a)が示すように、表示部E1は、右部分ERと、左部分ELと、中央部ECとを有する。右部分ERは、中央部ECの右側に位置する。左部分ELは、中央部ECの左側に位置する。中央部ECは、右部分ERと左部分ELとの間の部分である。中央部ECは、回転ポジションR3(後述)における指示位置である。図5(a)の実施形態では、中央部ECは、表示のない間欠部とされている。中央部ECには、高さ変化部Hcが設けられていない。右部分ERは、全体として、略三角形又は略台形である。左部分ELは、全体として、略三角形又は略台形である。なお、図5(a)の実施形態では、中央部ECには何も記載されていないが、本願では、この中央部ECを、表示部E1の一部として扱う。中央部ECは、吐水流量がゼロ又は最小であることを分かりやすく表示している。
【0031】
表示部E1では、絵柄Pc2(ジョロ)及び絵柄Pc3(ソフトジョロ)における水形が、曲線によって示されている。これらの曲線は、吐水流量及び吐水流速が小さいことを、使用者に連想させる。よって、使用者による水形選択が容易とされている。
【0032】
表示部E1では、絵柄Pc1(シャワー)及び絵柄Pc4(清掃シャワー)における水形が、直線によって示されている。これらの直線は、吐水流量及び吐水流速が大きいことを、使用者に連想させる。よって、使用者による水形選択が容易とされている。
【0033】
表示部E1は、ベースラインB1と傾斜線K1とを有する。ベースラインB1は、円周外面105の周方向に沿って延在している。平面展開図において、ベースラインB1は直線である。傾斜線K1は、ベースラインB1に対して傾斜している。即ち傾斜線K1は、ベースラインB1と平行ではない。平面展開図において、傾斜線K1は、直線である。ベースラインB1及び傾斜線K1は、表示部E1の輪郭線である。後述されるように、ベースラインB1及び傾斜線K1は、線そのものであってもよい。なお、平面展開図において、ベースラインB1及び傾斜線K1が曲線とされてもよい。吐出形態の理解を容易とする観点から、ベースラインB1は直線であるのが好ましい。平面展開図において傾斜線K1が曲線とされる場合、その曲線は、吐水流量及び/又は吐水流速を示すように曲がっているのが好ましい。
【0034】
図5(a)が示すように、右部分ERは、ベースラインB1としての右ベースラインB1Rと、傾斜線K1としての右傾斜線K1Rとを有する。左部分ELは、ベースラインB1としての左ベースラインB1Lと、傾斜線K1としての左傾斜線K1Lとを有する。
【0035】
右傾斜線K1Rは、右高さ変化部HRの長手方向の全体に亘って連続した線である。左傾斜線K1Lは、左高さ変化部HLの長手方向の全体に亘って連続した線である。これらの連続的な線は、高さH1の連続的な変化を効果的に視認させうる。
【0036】
本実施形態において、表示部E1の高さH1は、ベースラインB1に対して垂直な方向における表示部E1の幅である(図6参照)。本実施形態では、ベースラインB1に対して垂直な方向は、円周外面105の中心軸線の方向と同じである。表示部E1においては、ベースラインB1に対して垂直な方向における、傾斜線K1とベースラインB1との距離が、上記高さH1である。右部分ERにおける高さH1が、高さRhである。左部分ELにおける高さH1が、高さLhである。右部分ERにおいては、高さRhが、中央部ECに近づくほど短くなっている。左部分ELにおいては、高さLhが、中央部ECに近づくほど短くなっている。
【0037】
表示部E1において、高さH1は、中央部ECに近づくほど徐々に小さくなる。この表示部E1の変化は、連続的である。高さ変化部Hcは、連続的高さ変化部である。
【0038】
左部分ELにおいて、高さ変化部Hcは、高さLhの上記変化によって形成されている。この左部分ELの高さ変化部Hcが、左高さ変化部HLである。右部分ERにおいて、高さ変化部Hcは、高さRhの上記変化によって形成されている。この右部分ERの高さ変化部Hcが、右高さ変化部HRである。
【0039】
左部分ELにおいて、高さLhは、中央部ECに近づくほど徐々に小さくなる。この高さLhの変化は、連続的である。左部分ELは、連続的高さ変化部を有している。左高さ変化部HLは、連続的高さ変化部である。右部分ERにおいて、高さRhは、中央部ECに近づくほど徐々に小さくなる。この高さRhの変化は、連続的である。右部分ERは、連続的高さ変化部を有している。右高さ変化部HRは、連続的高さ変化部である。
【0040】
図5(a)の実施形態では、絵柄Pcの存在に起因して、実際に表記されているベースラインB1が部分的に欠落している。本願では、ベースラインB1が平面展開図において直線である場合、その直線を繋げた仮想線Lxも、ベースラインB1とみなされる。図5(b)に、この仮想線Lxが示されている。この図5(b)に示されるように、左部分ELの仮想線Lxは、左ベースラインB1Lとみなされる。右部分ERの仮想線Lxは、右ベースラインB1Rとみなされる。
【0041】
よって、右部分ERにおいて、仮想線Lxと右傾斜線K1Rとの間の、ベースラインB1に垂直な方向における距離は、上記高さRhとみなされる(図5(b)参照)。また、左部分ELにおいて、仮想線Lxと左傾斜線K1Lとの間の、ベースラインB1に垂直な方向における距離は、上記高さLhとみなされる
【0042】
表示部E1の高さH1は、吐水流量及び/又は吐水流速を表示している。右部分ERにおいては、基準位置表示G1が指す位置の高さRhが大きいほど、吐水流量及び/又は吐水流速が大きい。よって、吐水流量及び/又は吐水流速を視覚的に認識することができ、使用者による吐出仕様の選択が容易とされる。本実施形態では、基準位置表示G1が指す位置の高さRhが大きいほど、吐水流量及び吐水流速が大きい。
【0043】
左部分ELにおいては、基準位置表示G1が指す位置の高さLhが大きいほど、吐水流量及び/又は吐水流速が大きい。よって、吐水流量及び/又は吐水流速を視覚的に認識することができ、使用者による吐出仕様の選択が容易とされる。本実施形態では、基準位置表示G1が指す位置の高さLhが大きいほど、吐水流量及び吐水流速が大きい。
【0044】
表示部E1に基づく利便性を更に高める観点から、表示部E1は、次の(a)、(b)、(c)又は(d)を満たしているのが好ましく、(a)、(b)、(c)及び(d)から選ばれる2以上を満たしているのがより好ましく、(a)、(b)、(c)及び(d)から選ばれる3以上を満たしているのが更に好ましく、(a)、(b)、(c)及び(d)の全てを満たしているのが特に好ましい。
【0045】
(a)上記高さRhの変化率がXRとされ、上記高さLhの変化率がXLとされ、右回転領域での平均流速変化率がSRとされ、左回転領域での平均流速変化率がSLとされるとき、XRとXLとの大小関係が、SRとSLとの大小関係に一致している。
(b)上記高さRhの変化率がXRとされ、上記高さLhの変化率がXLとされ、右回転領域での平均流量変化率がVRとされ、左回転領域での平均流量変化率がVLとされるとき、XRとXLとの大小関係が、VRとVLとの大小関係に一致している。
(c)上記高さRhの最大値がRmxとされ、上記高さLhの最大値がLmxとされ、右回転領域での最大流速がSR1とされ、左回転領域での最大流速がSL1とされるとき、RmxとLmxとの大小関係が、SR1とSL1との大小関係に一致している。
(d)上記高さRhの最大値がRmxとされ、上記高さLhの最大値がLmxとされ、右回転領域での最大流量がVR1とされ、左回転領域での最大流量がVL1とされるとき、RmxとLmxとの大小関係が、VR1とVL1との大小関係に一致している。
【0046】
上記高さRhの変化率XRとは、右ベースラインB1R上の移動距離に対する高さRhの変化率である。図5(a)の実施形態では、右傾斜線K1Rの傾斜角度の絶対値が、この変化率XRに該当する。上記高さLhの変化率XLとは、左ベースラインB1L上の移動距離に対する高さLhの変化率である。図5(a)の実施形態では、左傾斜線K1Lの傾斜角度の絶対値が、この変化率XLに該当する。
【0047】
右回転領域での平均流速変化率SRとは、右回転領域全体における、相対回転角度に対する流速の平均変化率である。左回転領域での平均流速変化率SLとは、左回転領域全体における、相対回転角度に対する流速の平均変化率である。
【0048】
右回転領域での平均流量変化率VRとは、右回転領域全体における、相対回転角度に対する流量の平均変化率である。左回転領域での平均流量変化率VLとは、左回転領域全体における、相対回転角度に対する流量の平均変化率である。
【0049】
Rmxは、上記高さRhの最大値である(図5(b)参照)。Lmxは、上記高さLhの最大値である(図5(b)参照)。
【0050】
上記(a)、(b)、(c)及び(d)は、表示部E1と吐出状態(水形、吐水流量及び/又は吐水流速)との相関性を高める。よって、使用者は、表示部E1に基づき、所望の吐出状態を選択しやすい。
【0051】
図6においては、水形高さWh、水形手前幅W1及び水形先端幅W2が示されている。図6において両矢印Wh1で示されるのは、絵柄Pc1の水形高さWhである。図6において両矢印Wh2で示されるのは、絵柄Pc2の水形高さWhである。図6において両矢印Wh3で示されるのは、絵柄Pc3の水形高さWhである。図6において両矢印Wh4で示されるのは、絵柄Pc4の水形高さWhである。図6において両矢印W11で示されるのは、絵柄Pc1の水形手前幅W1である。図6において両矢印W12で示されるのは、絵柄Pc2の水形手前幅W1である。図6において両矢印W13で示されるのは、絵柄Pc3の水形手前幅W1である。図6において両矢印W14で示されるのは、絵柄Pc4の水形手前幅W1である。図6において両矢印W21で示されるのは、絵柄Pc1の水形先端幅W2である。図6において両矢印W22で示されるのは、絵柄Pc2の水形先端幅W2である。図6において両矢印W23で示されるのは、絵柄Pc3の水形先端幅W2である。図6において両矢印W24で示されるのは、絵柄Pc4の水形先端幅W2である。
【0052】
好ましくは、表示部E1は、次の(e)、(f)又は(g)を満たす。より好ましくは、表示部E1は、(e)、(f)及び(g)から選択される2以上を満たす。更に好ましくは、表示部E1は、(e)、(f)及び(g)の全てを満たす。
【0053】
(e)上記複数の絵柄において、上記水形高さWhが、吐水流量及び/又は吐水流速に対応して相違している。
(f)上記複数の絵柄において、水形手前幅W1が、上記吐水スクリーンにおける水形幅に対応して相違している。
(g)上記複数の絵柄において、水形先端幅W2が、着水範囲に対応して相違している。
【0054】
上記(e)に関して、複数の水形高さWhは、吐水流量及び/又は吐水流速に対応して相違している。左部分ELにおいて、中央部ECに近い絵柄Pcほど、水形高さWhが小さい。即ち、水形高さWh2は水形高さWh1よりも小さい。右部分ERにおいて、中央部ECに近い絵柄Pcほど、水形高さWhが小さい。即ち、水形高さWh3は水形高さWh4よりも小さい。
【0055】
本実施形態の表示部E1では、複数の水形高さWhは、吐水流量及び吐水流速に対応して相違している。基準位置表示G1が絵柄Pc2を指す回転ポジションRにおける吐水流量は、基準位置表示G1が絵柄Pc1を指す回転ポジションRにおける吐水流量よりも少ない。基準位置表示G1が絵柄Pc2を指す回転ポジションRにおける吐水流速は、基準位置表示G1が絵柄Pc1を指す回転ポジションRにおける吐水流速よりも少ない。基準位置表示G1が絵柄Pc3を指す回転ポジションRにおける吐水流量は、基準位置表示G1が絵柄Pc4を指す回転ポジションRにおける吐水流量よりも少ない。基準位置表示G1が絵柄Pc3を指す回転ポジションRにおける吐水流速は、基準位置表示G1が絵柄Pc4を指す回転ポジションRにおける吐水流速よりも少ない。
【0056】
上記(f)に関して、複数の水形手前幅W1は、吐水スクリーン114における水形幅に対応して相違している。左部分ELに位置する絵柄Pcの水形手前幅W1(W11、W12)は、右部分ERに位置する絵柄Pcの水形手前幅W1(W13、W14)よりも大きい。左部分ELにおける水形手前幅W1の最小値W11は、右部分ERにおける水形手前幅W1の最大値W14よりも大きい。後述されるように、基準位置表示G1が右部分ERを指している回転ポジションRにおいては、吐水スクリーン114の内側領域A1(後述)から吐水される。一方、基準位置表示G1が左部分ELを指している回転ポジションRにおいては、吐水スクリーン114の外周領域A2(後述)から吐水される。内側領域A1からの水形幅は、外周領域A2からの水形幅よりも小さい。この水形幅に対応して、複数の水形手前幅W1が上述の如く相違している。なお、水形幅とは、水平方向に発射されている吐水を上方から見たときの幅である。
【0057】
上記(g)に関して、複数の水形先端幅W2は、着水範囲に対応して相違している。左部分ELに位置する絵柄Pcの水形先端幅W2(W21、W22)は、右部分ERに位置する絵柄Pcの水形先端幅W2(W23、W24)よりも大きい。左部分ELにおける水形先端幅W2の最小値(W21又はW22)は、右部分ERにおける水形先端幅W2の最大値W24よりも大きい。後述される直進吐水状態においては、基準位置表示G1が右部分ERを指している回転ポジションRにおける着水範囲は、基準位置表示G1が左部分ELを指している回転ポジションRにおける着水範囲よりも小さい。この着水範囲に対応して、複数の水形先端幅W2が上述の如く相違している。なお、着水範囲は、吐水方向に対して垂直な平面において判断される。
【0058】
ソフトジョロ水形が直進吐水状態を維持できない飛水距離においては、着水範囲は、清掃シャワーのほうがソフトジョロよりも大きくなりうる。この点を考慮し、水形先端幅W24は、水形先端幅W23よりも大きくされている。
【0059】
散水ノズル100の吐水流量及び/又は吐水流速の変化が連続的である場合、表示部E1は前述した連続的高さ変化部を有するのが好ましい。外筒104が回転されると、指示位置における高さH1が連続的に変化し、吐水流量及び/又は吐水流速も連続的に変化する。左部分ELにおいて、指示位置における高さLhが小さいほど、吐水流量及び/又は吐水流速が小さくなる。右部分ERにおいて、指示位置における高さRhが小さいほど、吐水流量及び/又は吐水流速が小さくなる。このように、吐水流量及び/又は吐水流速の連続的な変化と、高さ変化部における高さH1の連続的な変化とが対応している。よって、使用者が吐水仕様を容易に設定することができる。なお、吐水流量及び/又は吐水流速の変化が段階的である場合、表示部E1は段階的高さ変化部を有するのが好ましい。
【0060】
なお、散水ノズル100の吐水流量及び/又は吐水流速の変化が連続的である場合に、表示部E1が段階的高さ変化部を有していてもよい。可能な態様として、以下の態様1から4が例示される。表示と吐水仕様との一致性を考慮すると、以下の態様3及び態様4が好ましい。本実施形態は、態様3である。
(態様1)散水ノズル100の吐水流量及び/又は吐水流速の変化が連続的であり、表示部E1が段階的高さ変化部を有する。
(態様2)散水ノズル100の吐水流量及び/又は吐水流速の変化が段階的であり、表示部E1が連続的高さ変化部を有する。
(態様3)散水ノズル100の吐水流量及び/又は吐水流速の変化が連続的であり、表示部E1が連続的高さ変化部を有する。
(態様4)散水ノズル100の吐水流量及び/又は吐水流速の変化が段階的であり、表示部E1が段階的高さ変化部を有する。
【0061】
表示部E1は、設定可能な全ての指示位置に存在している。設定可能なあらゆる回転ポジションRにおいて、基準位置表示G1は、左部分EL、中央部EC又は右部分ERのいずれかを指し示している。あらゆる回転ポジションRにおいて表示部E1が機能しているため、使用者があらゆる回転ポジションRにおいて吐水状態を容易に把握することができる。よって、節水効果が向上する。また、指示位置が中央部ECである場合、吐水流量はゼロ(吐水ストップ)又は吐水流量が最小とされている。よって、節水効果が一層向上する。
【0062】
図5(a)に示されるように、絵柄Pc1から絵柄Pc4は、高さ変化部Hcの内部に配置されている。絵柄Pc1及び絵柄Pc2は左部分EL(左高さ変化部HL)の内部に位置している。絵柄Pc3及び絵柄Pc4は右部分ER(右高さ変化部HR)の内部に配置されている。散水ノズル100において、表示部E1が配置可能な部分の面積には制約がある。よって、絵柄Pcと高さ変化部Hcとが分離している場合、高さ変化部Hc及び/又は絵柄Pcが小さくなる。高さ変化部Hcが小さい場合、使用者が吐水流量等の変化を認識しにくくなることがある。また、絵柄Pcが小さい場合、絵柄Pcの形状、水形手前幅W1、水形先端幅W2、水形高さWh等を認識しにくくなることがある。実施形態では、絵柄Pc1から絵柄Pc4が高さ変化部Hcの内部に配置されている。高さ変化部Hc及び絵柄Pcのいずれについても、高い視認性が確保されている。
【0063】
このように、本実施形態では、吐出水形を示す複数の絵柄Pcが、吐水流量及び/又は吐水流速の変化を示す高さ変化部Hcの内部に表示されている。これらの絵柄Pcが高さ変化部Hcの外部に表示されてもよい。ただし、複数の絵柄Pcが高さ変化部Hcの内部に表示される場合、使用者は、吐出水形と、吐水流量及び/又は吐水流速の変化との両者を、容易に確認しやすい。この観点からも、吐出水形を示す複数の絵柄Pcが高さ変化部Hcの内部に表示されているのが好ましい。なお、吐出水形を示す複数の絵柄Pcが高さ変化部Hcの内部に表示されている場合、水形名称表示N1は、高さ変化部Hcの外側に配置されてもよい。本実施形態では、水形名称表示N1は、高さ変化部Hcの外側に配置されている。
【0064】
本実施形態では、絵柄Pc同士の間の位置に高さ変化部Hcが存在している。よって、絵柄Pc同士の間の位置において吐水が可能であることが表示されている。また、高さ変化部Hcにより、スリーブを回転させる操作が容易に連想されるため、使用者が操作方法を理解しやすい。また、高さ変化部Hcにより、スリーブの回転方向と水形の変化との関係が容易に想像されうる。更に、絵柄Pc同士の間の位置に高さ変化部Hcが存在しているため、絵柄Pc同士の間の回転ポジションが容易に記憶されうる。前述した特開2003−181327号では、絵柄Pcが所定間隔おきに表示されているため、これらの効果が得られない。
【0065】
本願に係る他の発明は、散水ノズル及びその使用説明書のセットである。このセットは、散水ノズル100に付属している。この使用説明書には、次の説明1が記載されている。好ましくは、この使用説明書には、次の説明2及び/又は説明3が記載されている。
(説明1)表示部E1の高さH1が吐水流量及び/又は吐水流速を表示していることを意味する説明。
(説明2)右部分ERにおいて、基準位置表示G1が指す位置の高さRhが大きいほど、吐水流量及び/又は吐水流速が大きいことを意味する説明。
(説明3)左部分ELにおいては、基準位置表示G1が指す位置の高さLhが大きいほど、吐水流量及び/又は吐水流速が大きいことを意味する説明。
【0066】
図7は、第二実施形態の表示部E2を示す平面展開図である。上記表示部E1に代えて、この表示部E2が用いられても良い。この表示部E2については、図5(a)の実施形態と異なる点について説明する。表示部E2は、目盛りSc1を有している。目盛りSc1は、複数の絵柄Pcの間に設けられている。目盛りSc1は、ベースラインB1に設けられている。目盛りSc1は、高さ変化部Hcの内部に配置されている。絵柄Pc1と絵柄Pc2との間の目盛りSc1は、左部分EL(左高さ変化部HL)の内部に配置されている。絵柄Pc3と絵柄Pc4との間の目盛りSc1は、右部分ER(右高さ変化部HR)の内部に配置されている。
【0067】
左部分ELにおいて、複数の目盛りSc1が、絵柄Pc1と絵柄Pc2との間に設けられている。複数の目盛りSc1は、等間隔で設けられている。右部分ERにおいて、複数の目盛りSc1が、絵柄Pc3と絵柄Pc4との間に設けられている。複数の目盛りSc1は、等間隔で設けられている。目盛りSc1は、外筒104と内筒106との相対回転の位置を示す。これらの目盛りSc1は、回転ポジションRの設定における利便性を高める。基準位置表示G1を絵柄Pcに合わせたときの水形では満足できない使用者は、目盛りSc1を利用することで、好みの水形を容易に再現することができる。
【0068】
図7の実施形態では、水形名称表示N1として、「ワイドシャワー」との名称が用いられている。この文言により、右回転領域でのシャワー水形(清掃シャワー)と比較して着水範囲が広いことが、容易に認識されうる。
【0069】
図7の実施形態では、絵柄Pc及び目盛りSc1の存在に起因して、実際に表記されているベースラインB1が部分的に欠落している。本願では、ベースラインB1が平面展開図において直線である場合、その直線を繋げた仮想線Lxも、ベースラインB1とみなされる。この仮想線Lxについては、図5(b)に示されており、図7では記載が省略されている。
【0070】
表示部E2では、絵柄Pc2(ジョロ)及び絵柄Pc3(ソフトジョロ)における水形が、ドット(破線)によって示されている。これらの絵柄は、吐水流量及び吐水流速が少ないことを、使用者に容易に連想させる。よって、使用者による水形選択が容易とされている。
【0071】
表示部E2では、中央部ECに、吐水状態を示す文字が記載されている。本実施形態では、吐水状態を示す文字は、「ストップ」である。指示位置が中央部ECであるときの回転ポジションRにおいて、吐水がストップする場合に、この表示部E2が好ましく用いられる。
【0072】
図8は、第三実施形態に係る表示部E3の平面展開図である。この表示部E3で表示されている内容は、表示部E2(図8)と同じである。ただし、表示部E2がネガ表示であるのに対して、この表示部E3は、線表示である。このように、表示の形態は限定されず、視覚によって認識できる表示であればよい。上記表示部E1に代えて、この表示部E3が用いられても良い。
【0073】
図9は、第四実施形態に係る表示部E4の平面展開図である。この実施形態では、実際に表記されているベースラインB1が絵柄Pcの存在に起因して欠落している欠落部が存在しない。この点を除き、この表示部E4は、上記表示部E2と同様である。この実施形態では、図5(b)に示す仮想線Lxを考慮する必要がない。上記表示部E1に代えて、この表示部E4が用いられても良い。
【0074】
以下、散水ノズル100の構造について、詳細に説明される。
【0075】
図10は、吐水スクリーン114の平面図である。吐水スクリーン114は、内側領域A1と、外周領域A2とを有する。平面視(図10)において、内側領域A1は、直径がD1である円形の領域である。外周領域A2は、円環状の領域である。外周領域A2は、内側領域A1の外側(半径方向外側)に位置する。図10において符号D2で示されるのは、外周領域A2の外径である。直径D2は、平面視における直径である。図示されないが、吐水スクリーン114の外面は、凸状の曲面を形成している。この凸状の曲面は、球面形状である。この凸状の曲面により、着水範囲が拡大される。
【0076】
内側領域A1から吐水される場合、指示位置は、右部分ER又は左部分ELの一方である。外周領域A2から吐水される場合、指示位置は、右部分ER又は左部分ELの他方である。本実施形態では、内側領域A1から吐水される場合に指示位置が右部分ERであり、外周領域A2から吐水される場合に指示位置が左部分ELである。
【0077】
内側領域A1は円形とするのが良いが、他の形状、例えば楕円又は矩形とすることもできる。ここで、その内側領域A1の外輪郭線上の2つの点の距離を離間距離Lとする。この離間距離Lは、上記2点を両端とし且つ上記外輪郭線の図心を通る線分の長さである。離間距離Lの最大値がLmaxとされ、離間距離Lの最小値がLminとされる。内側領域A1の外輪郭線が非円形とされる場合、(Lmax/Lmin)は、2以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下が更に好ましい。円形の内側領域A1では、(Lmax/Lmin)が1である。
【0078】
外周領域A2の内輪郭線の形状は、上述の内側領域A1の外輪郭線の形状と同じとされるのが好ましい。この場合、外周領域A2の内輪郭線が、内側領域A1の外輪郭線と一致しているのがより好ましい。外周領域A2の外輪郭線は円形とするのがよいが、他の形状、例えば楕円又は矩形とすることもできる。ここで、その外周領域A2の外輪郭線上の2つの点の距離を離間距離Mとする。この離間距離Mは、上記2点を両端とし且つ上記外輪郭線の図心を通る線分の長さである。離間距離Mの最大値がMmaxとされ、離間距離Mの最小値がMminとされる。外周領域A2の外輪郭線が非円形である場合、(Mmax/Mmin)は、2以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下が更に好ましい。外輪郭線が円形である外周領域A2では、(Mmax/Mmin)が1である。
【0079】
内側領域A1には、複数のシャワー孔h1が設けられている。内側領域A1において、吐水が可能な孔は、シャワー孔h1のみである。内側領域A1に、シャワー孔h1以外の他の孔が併設されてもよい。好ましくは、本実施形態のように、内側領域A1における吐水が可能な孔は、シャワー孔h1のみとされる。
【0080】
吐水スクリーン114の内面に面した水路における流量が、本願において、スクリーン内流量とも称される。吐水スクリーン114の内面に面した水路における動水圧が、本願において、スクリーン内圧とも称される。吐水スクリーン114の内面に面した水路における流速が、本願において、スクリーン内流速とも称される。
【0081】
スクリーン内圧が高くなると、スクリーン内流量及び吐水流量が増加する。この場合、多数のシャワー孔h1からの吐水は、清掃シャワー水形を形成する。指示位置が絵柄Pc4の場合に、清掃シャワー水形が形成される。スクリーン内圧が低くなると、スクリーン内流量及び吐水流量が低下する。この場合、多数のシャワー孔h1からの吐水は、ソフトジョロ水形を形成する。指示位置が絵柄Pc3の場合に、ソフトジョロ水形が形成される。これらの水形と、前述した絵柄Pcとが対応している。これらの水形の詳細については、後述される。
【0082】
なお、内側領域A1の更に内側の中央部に、シャワー孔以外の吐水孔が配置されてもよい。このシャワー孔以外の吐水孔から吐水の水形として、上記特許文献1(特公平4−39386号公報)に記載されている、キリ及びストレートが例示される。キリ及びストレートの水形が設定される場合、これらの水形が吐出される回転ポジションRでの指示位置に、キリ及びストレートの絵柄Pcが記載されるのが好ましい。この実施形態の場合、このシャワー孔以外の吐水孔に連通する水路が設けられる。なお、内側領域A1の内側の中央部にシャワー孔以外の吐水孔が設けられた場合、散水ノズル100の構造が複雑となり、散水ノズル100が大型化しやすい。よって、散水ノズル100の小型化及び構造の簡素化の観点から、内側領域A1の内側にシャワー孔以外の吐水孔を設けないのが好ましい。内側領域A1は、吐水スクリーン114の中心を含み、吐水スクリーン114の中央領域を構成しているのが好ましい。
【0083】
外周領域A2には、複数のシャワー孔h2が設けられている。外周領域A2において、吐水が可能な孔は、シャワー孔h2のみである。外周領域A2に、シャワー孔h2以外の他の孔が併設されてもよい。好ましくは、本実施形態のように、外周領域A2における吐水が可能な孔は、シャワー孔h2のみとされる。
【0084】
スクリーン内圧が高くなると、スクリーン内流量及び吐水流量が増加する。この場合、多数のシャワー孔h2からの吐水は、シャワー水形を形成する。指示位置が絵柄Pc1の場合に、シャワー水形が形成される。スクリーン内圧が低くなると、スクリーン内流量及び吐水流量が低下する。この場合、多数のシャワー孔h2からの吐水は、ジョロ水形を形成する。指示位置が絵柄Pc2の場合に、ジョロ水形が形成される。これらの水形の詳細については、後述される。
【0085】
[用語の定義]
ここで、明確性の観点から、本願における用語が以下の如く定義される。
【0086】
[回転ポジションR]
回転ポジションRとは、周方向における外筒104と内筒106との周方向での相対的位置関係である。回転ポジションRは、段階的及び/又は連続的に変化する。段階的変化と連続的変化とが併用されていてもよい。即ち、一定の範囲が連続的な変化とされ且つ他の領域が段階的な変化とされてもよい。なお、可動範囲の全体が連続的な変化であるのが好ましく、本実施形態はその一例である。この連続的な変化は、後述されるネジ結合によって実現される。
【0087】
[前後ポジションP]
前後ポジションPとは、前後方向における外筒104と内筒106との相対的位置関係である。前後ポジションPは、段階的及び/又は連続的に変化する。段階的変化と連続的変化とが併用されていてもよい。即ち、一定の範囲が連続的な変化とされ且つ他の領域が段階的な変化とされてもよい。なお、可動範囲の全体が連続的な変化であるのが好ましく、本実施形態はその一例である。連続的に変化する。前後ポジションPは、回転ポジションRに連動している。この連動は、後述されるネジ結合によって実現される。
【0088】
[シャワー孔]
シャワー孔とは、好ましくは、吐水スクリーン114の外面における孔径(孔の直径)が1.0mm以下の孔であるか、又は、吐水スクリーン114の外面における孔面積が0.79mm以下の孔である。より好ましい孔径については後述される。
【0089】
[シャワー吐水]
シャワー吐水とは、シャワー孔からの吐水を意味する。スクリーン内流量が高い場合、多数のシャワー孔からの吐水は、シャワー水形を形成する。スクリーン内流量が低い場合、多数のシャワー孔からの吐水は、ジョロ水形を形成する。
【0090】
[水形]
水形は、吐水の形状である。本実施形態では、4つの水形が実現される。これら4つの水形は、清掃シャワー水形、ソフトジョロ水形、ジョロ水形及びシャワー水形である。これら4つの水形は、いずれも、シャワー吐水による水形である。
【0091】
[清掃シャワー水形、ソフトジョロ水形]
清掃シャワー水形及びソフトジョロ水形は、いずれも、内側領域A1からの吐水の形状である。清掃シャワー水形とソフトジョロ水形との間に明確な境界は無い。つまりこれらの水形の名称は概念的である。したがって、表示部E1における絵柄Pc4(清掃シャワー)及び絵柄Pc3(ソフトジョロ)は、それぞれの水形を得るための回転ポジションRの一例である。例えば、絵柄Pc4及び絵柄Pc3は、各水形を得るために推奨される回転ポジションRを示す。指示位置が絵柄Pc4と絵柄Pc3との間である場合、これらの絵柄Pc4及び絵柄Pc3で得られる各水形の中間的な水形が得られる。
【0092】
スクリーン内流量によって、清掃シャワー水形からソフトジョロ水形まで、水形が連続的に変化しうる。散水範囲が比較的狭く且つ水の勢いが強いシャワー吐水は、水の勢いによって汚れを落とす用途に適している。
【0093】
清掃シャワー水形では、重力の存在下において水が直進する部分(吐水直進部)を有する。この吐水直進部では、水形が円錐形又は円筒形である。ソフトジョロ水形では、この吐水直進部が、無いか、又は非常に短い。
【0094】
[ジョロ水形、シャワー水形]
ジョロ水形及びシャワー水形は、いずれも、外周領域A2からの吐水の形状である。ジョロ水形とシャワー水形との間に明確な境界は無い。つまりこれらの水形の名称は概念的である。したがって、表示部E1における絵柄Pc2(ジョロ)及び絵柄Pc1(シャワー)は、それぞれの水形を得るための回転ポジションRの一例である。例えば、絵柄Pc2及び絵柄Pc1は、各水形を得るために推奨される回転ポジションRを示す。指示位置が絵柄Pc2と絵柄Pc1との間である場合、これらの絵柄Pc2及び絵柄Pc1で得られる各水形の中間的な水形が得られる。スクリーン内流量によって、ジョロ水形からシャワー水形まで、水形が連続的に変化しうる。
【0095】
シャワー水形では、重力の存在下において水が直進する部分(吐水直進部)を有する。この吐水直進部では、水形が円錐形である。ジョロ水形では、この吐水直進部が、無いか、又は非常に短い。
【0096】
図11から図15は、外筒104及び内筒106を示す断面図である。図11から図15では、外筒104を内筒106に対して回転させることにより、回転ポジションR及び前後ポジションPが変化する。よって例えば、内筒106の後端と外筒104の後端との前後方向距離Ds(図11から図15参照)も連続的に変化する。図11から図15は、連続的な変化によって生ずる多数の形態のうちの5つを例示したにすぎない。
【0097】
図11から図15が示すように、外筒104は、内側領域A1に連通する第1流路WR1と、外周領域A2に連通する第2流路WR2と、雌ネジ部fs1と、円筒部材cd1とを有する。円筒部材cd1は、通水部(第一通水部)th1と、円周内面118と、傾斜面120とを有する。第一通水部th1は、円筒部材cd1の後端部に設けられた切り欠きである。第一通水部th1は、円筒部材cd1の周方向の複数位置に設けられている。第一通水部th1は貫通孔であってもよい。傾斜面120は、前方にいくほどその内径が大きくなる円錐凹面である。
【0098】
図11から図15が示すように、内筒106は、供給流路122と、雄ネジ部ms1と、通水部(第二通水部)th2とを有する。第二通水部th2は内筒106を貫通する孔である。第二通水部th2は、内筒106の周方向の複数位置に設けられている。更に、内筒106は、第一止水部124と、第二止水部126とを有する。
【0099】
第一止水部124は、第二通水部th2の前方に設けられている。第二止水部126は、第二通水部th2の後方に設けられている。第一止水部124及び第二止水部126は、Oリングである。第一止水部124の外径は第二止水部126の外径に等しい。第一止水部124は、第二止水部126と同軸で配置されている。第一止水部124が円周内面118に接すると、水密状態が形成される。第二止水部126が円周内面118に接すると、水密状態が形成される。なお、Oリングに代えて、密封シール等のシール部材が採用されてもよい。
【0100】
雌ネジ部fs1と雄ネジ部ms1とはネジ結合を形成している。前述した通り、外筒104を内筒106に対して回転させると、このネジ結合に起因して、回転ポジションR及び前後ポジションPが連続的に変化する。
【0101】
図11は、回転ポジションRがR1であるときの断面図である。このとき、前後ポジションPはP1であり、上記距離DsはDs1である。図12は、回転ポジションRがR2であるときの断面図である。このとき、前後ポジションPはP2であり、上記距離DsはDs2である。図13は、回転ポジションRがR3であるときの断面図である。このとき、前後ポジションPはP3であり、上記距離DsはDs3である。図14は、回転ポジションRがR4であるときの断面図である。このとき、前後ポジションPはP4であり、上記距離DsはDs4である。図15は、回転ポジションRがR5であるときの断面図である。このとき、前後ポジションPはP5であり、上記距離DsはDs5である。Ds1>Ds2>Ds3>Ds4>Ds5である。
【0102】
このように、散水ノズル100では、上記相対移動により、供給流路122の水が第1水路WR1に至る状態と、供給流路122の水が第2水路WR2に至る状態とが選択可能とされている。この選択は、択一的である。
【0103】
各図面の形態において、水形及び指示位置は次の通りである。
・図11(ポジションP1、R1):シャワー水形:絵柄Pc1
・図12(ポジションP2、R2):ジョロ水形:絵柄Pc2
・図13(ポジションP3、R3):止水状態(吐水無し):中央部EC
・図14(ポジションP4、R4):ソフトジョロ水形:絵柄Pc3
・図15(ポジションP5、R5):清掃シャワー水形:絵柄Pc4
【0104】
図14(ポジションP4、R4)及び図15(ポジションP5、R5)では、水は第1流路WR1のみに流れる。図11(ポジションP1、R1)及び図12(ポジションP2、R2)では、水は第2流路WR2のみに流れる。
【0105】
上述したように、これらのポジションP、Rの変化は連続的であるから、図11から15では示されない形態においても、それぞれのポジションP、Rに応じた吐水流量、吐水流速及び水形が得られる。前述した表示部E2(図7)が用いられる場合、目盛りSc1が、複数の絵柄Pcでは示されていない回転ポジションRを再現するのに役立つ。吐水流量とは、吐水スクリーン114から散水される水の流量を意味する。吐水流速とは、吐水スクリーン114から散水される水の流速を意味する。
【0106】
図11、12、14及び15では、水の流れが二点鎖線の矢印によって示されている。なお、図13は止水状態であるから、水の流れは示されていない。
【0107】
図11(ポジションP1、R1)では、供給流路122に供給された水は、第二通水部th2、第一通水部th1及び第2流路WR2を経由して、外周領域A2のシャワー孔h2から吐水される。第一止水部124と円周内面118との当接により、水は第1流路WR1には流れず、第2流路WR2にのみ流れる。この水の流れは、図12(ポジションP2、R2)でも同じである。但し、図12の形態では、図11の形態に比較して、第一通水部th1と第二通水部th2との重複幅が狭い。即ち、図12の形態では、第二通水部th2と第一通水部th1との境界における流路断面積(境界流路面積Mk)が狭い。この境界流路面積Mkと、外周領域A2での通水面積M2(後述)との比によって、スクリーン内圧が変化する。即ち、Mk/M2が大きいと、スクリーン内圧が高まる。この図11(ポジションP1、R1)では、図12(ポジションP2、R2)に比較して、Mk/M2が比較的大きい。このため、図11(ポジションP1、R1)では、図12(ポジションP2、R2)に比較して、吐水流量が多く、且つ、吐水流速が速い。これら吐水流量及び吐水流速の変化に伴い、水形が変化する。もちろん、図11(ポジションP1、R1)と図12(ポジションP2、R2)との間のポジションP、Rでは、吐水流量及び吐水流速は連続的に変化し、水形も連続的に変化する。表示部E1における左部分ELの高さLhは、吐水流量が少ないほど小さくなるように連続的に変化している。表示部E1における左部分ELの高さLhは、吐水流速が少ないほど小さくなるように連続的に変化している。
【0108】
図13(ポジションP3、R3)では、第一止水部124が円周内面118に当接しており、且つ、第二止水部126が円周内面118に当接している。よって、供給流路122に供給された水は、第二通水部th2で止水される。水は、第1流路WR1及び第2流路WR2のいずれにも至ることなく、止められる。表示部E1において、この回転ポジションR3における指示位置は、中央部ECである。この中央部ECには、高さH1がゼロである。この中央部ECは、止水状態であることを分かりやすく表示している。
【0109】
なお、寸法の変更によって、止水するポジションを無くすこともできる。これは、例えば、円周内面118の前後方向長さを、第一止水部124と第二止水部126との前後方向距離よりも短くすることで、達成される。この場合、円筒部材cd1を短くすることができるので、散水ノズル100の小型化が可能である。この場合、中央部ECに、高さH1が表示部E1において最小とされている最小高さ部が設けられても良い。
【0110】
図14(ポジションP4、R4)では、供給流路122に供給された水は、第二通水部th2及び第1流路WR1を経由して、内側領域A1のシャワー孔h1から吐水される。第二止水部126と円周内面118との当接により、水は第2流路WR2には流れず、第1流路WR1にのみ流れる。この水の流れは、図15(ポジションP5、R5)でも同じである。但し、図14の形態では、内筒106の先端部130又は第一止水部124と傾斜面120との間に狭い流路N1が形成される。この流路N1により、境界流路面積Mkが小さくなり、外周領域A1での通水面積M1との比(Mk/M1)が低下する。このMk/M1の低下により、第1水路WR1におけるスクリーン内圧が低下する。よって、吐水流量及び吐水流速が低下する。一方、図15(ポジションP5、R5)では、この狭い流路N1が解消されるため、図14(ポジションP4、R4)に比較して、Mk/M1が増加する。このMk/M1の増加により、吐水流量及び吐水流速が増加し、水形が変化する。もちろん、図14(ポジションP4、R4)と図15(ポジションP5、R5)との間のポジションP、Rでは、吐水流量及び吐水流速は連続的に変化し、水形も連続的に変化する。表示部E1における右部分ERの高さRhは、吐水流量が少ないほど小さくなるように連続的に変化している。表示部E1における右部分ERの高さRhは、吐水流速が少ないほど小さくなるように連続的に変化している。
【0111】
図5から図9が示すように、上記表示部E1、表示部E2、表示部E3及び表示部E4では、ポジションP1(R1)における指示位置に、シャワー水形を連想させる第一絵柄Pc1が記載されている。ポジションP2(R2)における指示位置に、ジョロ水形を連想させる絵柄Pc2が記載されている。ポジションP3(R3)における指示位置に、止水状態を連想させる中央部ECが配置されている。ポジションP4(R4)における指示位置に、ソフトジョロ水形を連想させる絵柄Pc3が記載されている。ポジションP5(R5)における指示位置に、清掃シャワーを連想させる絵柄Pc4が記載されている。よって、使用者は、所望する水形を容易に選択することができる。
【0112】
更に、上記表示部E1、表示部E2、表示部E3及び表示部E4では、ポジションP1(R1)における指示位置に、水形名称表示N1(シャワー)が記載されている。ポジションP2(R2)における指示位置に、水形名称表示N2(ジョロ)が記載されている。ポジションP4(R4)における指示位置に、水形名称表示N3(ソフトジョロ)が記載されている。ポジションP5(R5)における指示位置に、水形名称表示N4(清掃シャワー)が記載されている。よって、使用者は、所望する水形を容易に選択することができる。また、表示部E2、表示部E3及び表示部E4では、中央部ECに、止水状態を意味する名称表示N5(ストップ)が示されている。使用者は、止水状態が選択されていることを容易に認識することができる。
【0113】
絵柄Pc1から絵柄Pc4は、全て、シャワー孔による吐出水形を示している。全ての吐出水形がシャワー孔からの吐水である場合、水形の類似性が比較的高い。即ち本実施形態では、シャワー、キリ及びストレートといった顕著に相違する水形を有する場合と比較して、水形の類似性が高い。表示部E1からE4では、類似性が高い水形を容易に区別することが可能となる。
【0114】
本来的に、シャワー吐水は、細かい水流を広い範囲に分散させることを目的としている。このため、シャワー吐水は、より広い領域からの吐水が当然とされ、狭い内側領域A1のみからシャワー吐水を行うことは想定されなかった。一方、強い水流により清掃等を行う場合、強い水の勢いを重視する観点から、ストレート水形が用いられていた。内側領域A1からのシャワー吐水という技術思想は、従来の技術水準からは容易に想到できないものであった。
【0115】
近年、多数の水形が可能な散水ノズルが一般的である。当業者は、水形の多様性によって、利便性の高い散水ノズルを実現してきた。このため従来の散水ノズルでは、シャワー水形に加えて、ストレート水形及びキリ水形への切替が可能であった。内側領域A1からの吐水をシャワー水形とするのは、水形の多様性に逆行すると考えられ、当業者の技術水準とは逆方向の構成であった。
【0116】
本実施形態の構成は、このような当業者の技術水準を覆すものである。図15(ポジションP5、R5)においては、内側領域A1から、勢いのあるシャワー吐水(清掃シャワー水形)が可能である。このシャワー吐水では、以下の作用効果が得られうる。
(1)吐水範囲を、吐水スクリーン114の中央部における狭い領域(即ち内側領域A1)に限定している。この狭い範囲から勢いのあるシャワー吐水がなされるため、細い円錐形状の水形で、狭い範囲に、勢いのあるシャワー吐水が可能となる。
(2)強く且つ局所的なシャワー吐水により、落ちにくい汚れを洗い流すことができる。また、ストレート水形と比較して、着水範囲が広いため、汚れを落とす効果が広範囲で得られる。
(3)シャワー水形であり、水流が細いため、吐水流速が高いにも関わらず、ストレート水形のような激しい水ハネは生じない。
(4)吐水流速が高いにも関わらず、従来のストレート水形と比較して、吐水流量は少ない。よって、節水しながら、高い清掃効果が得られる。
【0117】
一方、図14(ポジションP4、R4)では、内側領域A1のみから、吐水流量が少ない水形(ソフトジョロ水形)の吐水がなされる。着水範囲は狭く、吐水流量を微小とすることが可能である。よって例えば、植木鉢及び観葉植物への給水に最適である。図12(ポジションP2、R2)によるジョロ水形でも、狭い着水範囲と少ない吐水流量が可能であるが、吐水が広い範囲(外周領域A2)からなされるため、上記ソフトジョロ水形の場合と比較して、着水範囲及び吐水流量の調節に限界があった。よって、例えば、小さな植木鉢及び小さな観葉植物等への給水が難しいことがあった。また、園芸用途では、勢いが小さく且つ少量の水を吐出したい場合があるが、上記ジョロ水形ではそのような吐水が困難であった。図14(ポジションP4、R4)のソフトジョロ水形は、この問題を解決しうる。
【0118】
なお、傾斜面120は、回転ポジションRの回転角度に対する吐水流量又は吐水流速の変化率を緩やかにするのに寄与している。即ち、傾斜面120は、ソフトジョロ水形において、吐水流量及び吐水流速の調整を容易としている。
【0119】
図11(ポジションP1、R1)のシャワー水形では、円環状(ドーナツ型)の外周領域A2からシャワー吐水がなされる。よって、少ない吐水流量で、着水範囲の直径が広い水形が得られる。内側領域A1の外側に外周領域A2を設けることで、外周領域A2の直径D2を大きくしつつ、外周領域A2の面積を抑制することができる。この面積の抑制により、シャワー孔h2の配置密度を適切に維持しながら、直径D2を拡大することが可能となる。よって、吐水スクリーン114の外面の球面形状の曲率を過度に大きくすることなく、シャワー吐水の着水範囲を大きくすることができる。吐水スクリーン114の外面の球面形状の曲率が過大である場合、水流が乱れ、適切なシャワー水形が得られないことがある。
【0120】
散水ノズル100では、内側領域A1から連続的に変化するシャワー吐水が得られるのに加え、外周領域A2からも、連続的に変化するシャワー吐水が得られる。さらに、前述の通り、内側領域A1からのシャワー吐水と、外周領域A2からのシャワー吐水とで、多くの相違がある。このように散水ノズル100では、多様なシャワー吐水が実現される。表示部E1からE4により、使用者は、この多様なシャワー吐水を容易に選択することができる。
【0121】
[内側領域A1のシャワー孔h1の孔径等]
内側領域A1からのシャワー吐水の吐水流速を高める観点及び水ハネ抑制の観点から、シャワー孔h1の孔径は、0.46mm以下が好ましく、0.38mm以下がより好ましい。吐水流量が過少となることを防ぐ観点から、シャワー孔h1の孔径は、0.34mm以上が好ましく、0.38mm以上がより好ましい。後述される実施例では、このシャワー孔h1の孔径は0.38mmとされた。
【0122】
異なる孔径のシャワー孔h1が併用されてもよい。この併用の場合、全てのシャワー孔h1の孔径の平均値が、上記数値限定を満たすのが好ましく、全てのシャワー孔h1の孔径が、上記数値限定を満たすのがより好ましい。
【0123】
シャワー孔h1は円形とされるのが良いが、他の形状、例えば楕円又は矩形とすることもできる。また、円形のシャワー孔h1と、1種以上の非円形のシャワー孔h1とが併用されてもよい。円形のシャワー孔h1と、2種以上の非円形のシャワー孔h1とが併用されてもよい。前述の実施形態では、全てのシャワー孔h1は円形である。
【0124】
非円形のシャワー孔h1が採用される場合、そのシャワー孔h1の外輪郭線は、内方への凹みが存在しない形状、例えば、楕円又は正多角形とされるのが好ましい。ここで、シャワー孔h1の外輪郭線上の2つの点の距離を離間距離Gとする。この離間距離Gは、上記2点を両端とし且つ上記外輪郭線の図心を通る線分の長さである。離間距離Gの最大値がGmaxとされ、離間距離Gの最小値がGminとされる。シャワー孔h1の外輪郭線が非円形とされる場合、(Gmax/Gmin)は、2以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下が更に好ましい。円形のシャワー孔h1では、(Gmax/Gmin)が1である。
【0125】
非円形のシャワー孔h1が採用される場合、その非円形の孔と同じ面積を有する円形の直径Dhが算出される。内側領域A1からのシャワー吐水の吐水流速を高める観点及び水ハネ抑制の観点から、この直径Dhは、0.46mm以下が好ましく、0.38mm以下がより好ましい。吐水流量が過少となることを防ぐ観点から、直径Dhは、0.34mm以上が好ましく、0.38mm以上がより好ましい。
【0126】
[内側領域A1のシャワー孔h1の数]
内側領域A1からのシャワー吐水において水ハネを抑制する観点から、シャワー孔h1の数は、68以上が好ましい。吐水流速及び節水の観点から、シャワー孔h1の数は、100以下が好ましく、68以下がより好ましい。後述される実施例では、このシャワー孔h1の数は68とされた。
【0127】
[内側領域A1での通水面積M1]
吐水流量が過少となることを防ぐ観点から、内側領域A1での通水面積M1は、7.7mm以上が好ましい。吐水流速を高める観点から、内側領域A1での通水面積M1は、11mm以下が好ましく、7.7mm以下がより好ましい。後述される実施例では、この通水面積M1は7.7mmとされた。通水面積M1は、内側領域A1にある全ての通水孔の孔面積の総和である。この孔面積は、吐水スクリーンの外面における面積である。
【0128】
[外周領域A2のシャワー孔h2の孔径]
吐水流速の観点から、シャワー孔h2の孔径は、0.36mm以下が好ましく、0.28mm以下がより好ましい。吐水流量が過少となることを防ぐ観点から、シャワー孔h2の孔径は、0.24mm以上が好ましく、0.28mm以上がより好ましい。後述される実施例では、このシャワー孔h2の孔径は0.28mmとされた。
【0129】
異なる孔径のシャワー孔h2が併用されてもよい。この併用の場合、全てのシャワー孔h2の孔径の平均値が上記数値限定を満たすのが好ましく、全てのシャワー孔h2の孔径が上記数値限定を満たすのがより好ましい。
【0130】
シャワー孔h2は円形とされるのが良いが、他の形状、例えば楕円又は矩形とすることもできる。また、円形のシャワー孔h2と、1種以上の非円形のシャワー孔h2とが併用されてもよい。円形のシャワー孔h2と、2種以上の非円形のシャワー孔h2とが併用されてもよい。前述の実施形態では、全てのシャワー孔h2は円形である。
【0131】
非円形のシャワー孔h2が採用される場合、そのシャワー孔h2の外輪郭線は、内方への凹みが存在しない形状、例えば、楕円又は正多角形とされるのが好ましい。ここで、シャワー孔h2の外輪郭線上の2つの点の距離を離間距離Hとする。この離間距離Hは、上記2点を両端とし且つ上記外輪郭線の図心を通る線分の長さである。離間距離Hの最大値がHmaxとされ、離間距離Hの最小値がHminとされる。シャワー孔h2の外輪郭線が非円形とされる場合、(Hmax/Hmin)は、2以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下が更に好ましい。円形のシャワー孔h2では、(Hmax/Hmin)が1である。
【0132】
非円形のシャワー孔h2が採用される場合、その非円形の孔と同じ面積を有する円形の直径Djが算出される。外周領域A2からのシャワー吐水の吐水流速を高める観点及び水ハネ抑制の観点から、この直径Djは、0.46mm以下が好ましく、0.38mm以下がより好ましい。吐水流量が過少となることを防ぐ観点から、直径Djは、0.34mm以上が好ましく、0.38mm以上がより好ましい。
【0133】
[外周領域A2のシャワー孔h2の数]
適切な吐水流量及び吐水流速をうる観点から、シャワー孔h2の数は、220以上が好ましく、250以上がより好ましい。吐水流速及び節水の観点から、シャワー孔h2の数は、258以下が好ましい。後述される実施例では、このシャワー孔h2の数は258とされた。
【0134】
[外周領域A2での通水面積M2]
吐水流量が過少となることを防ぐ観点から、外周領域A2での通水面積M2は、15.0mm以上が好ましく、15.9mm以上がより好ましい。適切な吐水流速をうる観点から、外周領域A2での通水面積M2は、15.9mm以下が好ましい。後述される実施例では、この通水面積は15.9mmとされた。通水面積M2は、外周領域A2にある全ての通水孔の孔面積の総和である。この孔面積は、吐水スクリーンの外面における面積である。
【0135】
[シャワー吐水の広がり形状]
後述される図16(a)及び図16(b)が示すように、水平方向での吐水において、上方から見た水形幅が計測されうる。水平方向での吐水において、吐水の直進性が維持されうる状態(直進吐水状態)が設定される。例えば、吐水スクリーンからの距離が500mmである地点まで直進吐水状態とされる場合の水道水圧は、例えば、0.3MPa以上である。この直進吐水状態において、上記水平距離が200mmである地点での上記水形幅がS1又はS3とされ、上記水平距離が500mmである地点での上記水形幅がS2又はS4とされる。
【0136】
[内側領域A1からの吐水における水形幅S1(200mm地点)]
水ハネ抑制の観点及び着水範囲の観点から、内側領域A1からのシャワー吐水における水形幅S1は、30mm以上が好ましい。清掃効果を高める観点から、内側領域A1からのシャワー吐水における水形幅S1は、40mm以下が好ましい。後述される実施形態では、上記直進吐水状態において、水形幅S1が33mmであった。
【0137】
[内側領域A1からの吐水における水形幅S2(500mm地点)]
水ハネ抑制の観点及び着水範囲の観点から、内側領域A1からのシャワー吐水における水形幅S2は、47mm以上が好ましい。清掃効果を高める観点から、内側領域A1からのシャワー吐水における水形幅S2は、57mm以下が好ましい。後述される実施形態では、上記直進吐水状態において、水形幅S2が52mmであった。
【0138】
[外周領域A2からの吐水における水形幅S3(200mm地点)]
着水範囲を確保する観点から、外周領域A2からのシャワー吐水における水形幅S3は、88mm以上が好ましい。過度な拡散水形を防止する観点から、外周領域A2からのシャワー吐水における水形幅S3は、98mm以下が好ましい。後述される実施形態では、上記直進吐水状態において、水形幅S3が93mmであった。
【0139】
[外周領域A2からの吐水における水形幅S4(500mm地点)]
着水範囲を確保する観点から、外周領域A2からのシャワー吐水における水形幅S4は、161mm以上が好ましい。過度な拡散水形を防止する観点から、外周領域A2からのシャワー吐水における水形幅S4は、171mm以下が好ましい。後述される実施形態では、上記直進吐水状態において、水形幅S4が166mmであった。
【0140】
図16(a)と図16(b)とが示すように、飛水距離が200mm及び500mmの地点において、上記内側領域からの吐水の着水範囲は、上記外側領域からの吐水の着水範囲よりも狭い。更に、この実施形態では、飛水距離に関わらず、上記内側領域からの吐水の着水範囲は、上記外側領域からの吐水の着水範囲よりも狭い。この着水範囲は、上記直進吐水状態において判断される。
【0141】
吐水スクリーン114の材質として、POM(ポリアセタール)樹脂及びABS樹脂が例示される。耐薬品性及び耐光性の観点から、POM(ポリアセタール)樹脂が好ましい。後述される実施例ではPOM(ポリアセタール)樹脂を用いた。
【0142】
外筒104の材質としては、印刷の定着性、溶着強度及び外観性の観点からABS樹脂が好ましい。後述される実施例ではABS樹脂を用いた。
【0143】
円筒部材cd1の材質としては、溶着強度の観点からABS樹脂が好ましい。後述される実施例ではABS樹脂を用いた。
【0144】
内筒106の材質としては、溶着強度及び外観の観点からABS樹脂が好ましい。後述される実施例ではABS樹脂を用いた。
【実施例】
【0145】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0146】
[実施例]
前述した第一実施形態の散水ノズル100を用いて、水形、吐水流量及び吐水流速に関するテストを行った。この散水ノズル100には、前述した表示部E1及び基準位置表示G1が設けられている。
【0147】
回転ポジションRとして、各絵柄Pcで示された指示位置が選択された。即ち、回転ポジションRとして、「シャワー」、「ジョロ」、「ソフトジョロ」及び「清掃シャワー」が選択された。
【0148】
図16(a)は、水平方向の吐水された「清掃シャワー」の水形(輪郭)を上方から見た図である。図16(b)は、水平方向の吐水された「シャワー」の水形(輪郭)を上方から見た図である。前述した通り、測定結果は、水形幅S1が33mmであり、水形幅S2が52mmであり、水形幅S3が93mmであり、水形幅S4が166mmであった。このように、多様なシャワー吐水が可能であった。また、清掃等の用途において利便性が高い清掃シャワーの水形が実現された。
【0149】
図17は、これら4つの回転ポジションRにおける、水道水圧(MPa)と吐水流量(L/min)との関係を示すグラフである。図18は、これら4つの回転ポジションRにおける、水道水圧(MPa)と吐水流速(m/s)との関係を示すグラフである。図19は、回転角度と吐水流量との関係、及び、回転速度と吐水流速との関係を示すグラフである。図19の測定において、水道水圧は0.2MPaとされた。図19では、各プロット点において、吐水流量又は吐水流速の値が付記されている。
【0150】
図17が示すように、「清掃シャワー」は、吐水流量に関しては、「ジョロ」とほぼ同等であり、「シャワー」よりも少ない。一方、図18が示すように、「清掃シャワー」の吐水流速は、「シャワー」よりも高い。このように「清掃シャワー」は、少ない吐水流量で、高い吐水流速が達成されている。よって、「清掃シャワー」は、清掃効果及び節水効果に優れる。図17が示すように、「ジョロ」と「清掃シャワー」とは、水形及び吐水流速が大きく相違するにも関わらず、吐水流量が近似している。これは、散水ノズル100のシャワー吐水の多様性を示している。また、図18が示すように、4種のシャワー吐水において、多様な吐水流速が達成されている。これも、散水ノズル100のシャワー吐水の多様性を示している。
【0151】
図19が示すように、「清掃シャワー」から「ソフトジョロ」への移行において、回転角度に対する吐水流速の変化は比較的急激である。これに対して、「ソフトジョロ」から「シャワー」への移行において、回転角度に対する吐水流量の変化は比較的緩やかである。これは、「清掃シャワー」で吐水流速を高めた場合でも、吐水流量はそれほど増加しないことを意味しており、高い節水効果が示されている。また、「清掃シャワー」では、少ない吐水流量で高い吐水流速が得られ、高い清掃効果が実現されている。
【0152】
図19が示すように、本実施例では、吐出流量及び吐出流速が連続的に変化している。本実施例では、吐出流量及び吐出流速が連続的に変化が、表示部E1の高さH1の連続的な変化によって表示されている。なお図19のグラフには、止水状態での値はプロットされていない。
【0153】
本実施例では、右回転領域(図19のグラフでは左側)の最大流量VR1が、左回転領域(図19のグラフでは右側)の最大流量VL1よりも小さい。これに対応して、表示部E1では、高さRhの最大値Rmx(図5(b)参照)が、高さLhの最大値がLmx(図5(b)参照)よりも小さい。このように、本実施例では、RmxとLmxとの大小関係(Rmx<Lmx)が、VR1とVL1との大小関係(VR1<VL1)に一致している。即ち、本実施例は、上記(d)を満たしている。よって、使用者による流量の把握が容易である。
【0154】
本実施例では、指示位置が清掃シャワーであるときの吐水流量は、指示位置がソフトジョロであるときの吐水流量よりも大きい。これに対応して、表示部E1では、水形高さWh4が水形高さWh3よりも大きい(図6参照)。よって本実施例は、上記(e)を満たしている。
【0155】
本実施例では、指示位置がシャワーであるときの吐水流量は、指示位置がジョロであるときの吐水流量よりも大きい。これに対応して、表示部E1では、水形高さWh1が水形高さWh2よりも大きい(図6参照)。よって本実施例は、上記(e)を満たしている。
【0156】
本実施例では、指示位置が清掃シャワーであるときの吐水流速は、指示位置がソフトジョロであるときの吐水流速よりも大きい。これに対応して、表示部E1では、水形高さWh4が水形高さWh3よりも大きい。よって本実施例は、上記(e)を満たしている。
【0157】
本実施例では、指示位置がシャワーであるときの吐水流速は、指示位置がジョロであるときの吐水流速よりも大きい。これに対応して、表示部E1では、水形高さWh1が水形高さWh2よりも大きい。よって本実施例は、上記(e)を満たしている。
【0158】
図16(a)及び図16(b)が示すように、本実施例では、直進吐水状態において、指示位置が右部分ERにあるときの吐水スクリーンにおける水形幅Saは、指示位置が左部分ELにあるときの吐水スクリーンにおける水形幅Sbよりも小さい。これに対応して、表示部E1では、水形手前幅W13及び水形手前幅W14のうちの最大値(W14)が、水形手前幅W11及び水形手前幅W12のうちの最小値(W11)よりも小さい(図6参照)。よって本実施例は、上記(f)を満たしている。
【0159】
本実施例では、指示位置が右部分ERにあるときの着水範囲は、指示位置が左部分ELにあるときの着水範囲よりも小さい。これに対応して、表示部E1では、水形手前幅W23及び水形手前幅W24のうちの最大値(W24)が、水形手前幅W21及び水形手前幅W22のうちの最小値(W22)よりも小さい(図6参照)。よって本実施例は、上記(g)を満たしている。
【0160】
このように、本実施例では、吐水状態が表示部E1によって効果的に可視化されている。よって、使用者による吐水仕様の設定及び再現が容易とされている。
【0161】
以上の記載から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0162】
以上説明された散水ノズルは、園芸、清掃、洗車など、あらゆる用途に用いられ得る。
【符号の説明】
【0163】
100・・・散水ノズル
102・・・本体
104・・・外筒
106・・・内筒
108・・・給水接続部
110・・・把持部
112・・・レバー
114・・・吐水スクリーン
118・・・円周内面
120・・・円錐凹面
122・・・供給流路
124・・・第一止水部
126・・・第二止水部
cd1・・・円筒部材
fs1・・・雌ネジ部
ms1・・・雄ネジ部
A1・・・内側領域
A2・・・外周領域
h1・・・内側領域のシャワー孔
h2・・・外周領域のシャワー孔
WR1・・・第1流路
WR2・・・第2流路
th1・・・第一通水部
th2・・・第二通水部
th・・・通水部
E1、E2、E3、E4・・・表示部
ER・・・右部分
EL・・・左部分
EC・・・中央部
HR・・・右高さ変化部
HL・・・左高さ変化部
Pc1、Pc2、Pc3、Pc4・・・絵柄
H1・・・表示部の高さ
Rh・・・右部分の高さ
Lh・・・右部分の高さ
K1R・・・右傾斜線
K1L・・・左傾斜線
B1R・・・右ベースライン
B1L・・・左ベースライン
Sc1・・・目盛り
N1、N2、N3、N4・・・水形名称表示
G1・・・基準位置表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水スクリーンを有する外筒と内筒と基準位置表示とを備えており、
上記外筒の外面が、表示部を有しており、
上記外筒と上記内筒との相対回転により、吐出水形の変化が可能とされており、
上記相対回転により、吐水流量及び/又は吐水流速の変化が可能とされており、
上記相対回転により、上記表示部と上記基準位置表示との相対位置の変化が可能とされており、
この表示部が、
上記吐出水形を示す複数の絵柄と、
上記吐水流量及び/又は吐水流速の変化を示す高さ変化部とを有する散水ノズル。
【請求項2】
上記吐水流量及び/又は吐水流速の変化が連続的であり、
上記表示部が、上記吐水流量及び/又は吐水流速の連続的な変化を示す連続的高さ変化部を有する請求項1に記載の散水ノズル。
【請求項3】
上記絵柄が、上記高さ変化部の内部に配置されている請求項1又は2に記載の散水ノズル。
【請求項4】
上記表示部が、複数の目盛りを有する請求項1から3のいずれかに記載の散水ノズル。
【請求項5】
上記高さ変化部が、平面展開図において右側に位置する右高さ変化部と、平面展開図において左側に位置する左高さ変化部とを有しており、
上記右高さ変化部が、右ベースラインと右傾斜線とを有しており、
上記左高さ変化部が、左ベースラインと左傾斜線とを有しており、
上記右ベースラインに対して直角な方向における、上記右ベースラインと上記右傾斜線との距離が高さRhとされ、上記左ベースラインに対して直角な方向における、上記左ベースラインと上記左傾斜線との距離が高さLhとされるとき、次の(a)、(b)、(c)又は(d)を満たす請求項1から4のいずれかに記載の散水ノズル。
(a)上記高さRhの変化率がXRとされ、上記高さLhの変化率がXLとされ、右回転領域での平均流速変化率がSRとされ、左回転領域での平均流速変化率がSLとされるとき、XRとXLとの大小関係が、SRとSLとの大小関係に一致している。
(b)上記高さRhの変化率がXRとされ、上記高さLhの変化率がXLとされ、右回転領域での平均流量変化率がVRとされ、左回転領域での平均流量変化率がVLとされるとき、XRとXLとの大小関係が、VRとVLとの大小関係に一致している。
(c)上記高さRhの最大値がRmxとされ、上記高さLhの最大値がLmxとされ、右回転領域での最大流速がSR1とされ、左回転領域での最大流速がSL1とされるとき、RmxとLmxとの大小関係が、SR1とSL1との大小関係に一致している。
(d)上記高さRhの最大値がRmxとされ、上記高さLhの最大値がLmxとされ、右回転領域での最大流量がVR1とされ、左回転領域での最大流量がVL1とされるとき、RmxとLmxとの大小関係が、VR1とVL1との大小関係に一致している。
【請求項6】
上記複数の絵柄のそれぞれが、水形高さWhと、水形手前幅W1と、水形先端幅W2とを有しており、
次の(e)、(f)又は(g)を満たす請求項1から5のいずれかに記載の散水ノズル。
(e)上記複数の絵柄において、上記水形高さWhが、吐水流量及び/又は吐水流速に対応して相違している。
(f)上記複数の絵柄において、上記水形手前幅W1が、上記吐水スクリーンにおける水形幅に対応して相違している。
(g)上記複数の絵柄において、上記水形先端幅W2が、着水範囲に対応して相違している。
【請求項7】
上記吐水スクリーンが、内側領域と、この内側領域の外側に位置する外周領域とを有しており、
上記内側領域に、シャワー孔が設けられており、
上記外周領域に、シャワー孔が設けられており、
上記相対移動により、上記内側領域からの吐出と上記外周領域からの吐出との切替が可能とされており、
上記相対移動に基づき、上記内側領域からの吐水流量が連続的又は段階的に変化しうるように構成されており、
上記相対移動に基づき、上記外周領域からの吐水流量が連続的又は段階的に変化しうるように構成されており、
上記複数の絵柄の全てが、上記シャワー孔による吐出水形を示している請求項1から6のいずれかに記載の散水ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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