説明

散水型ノズル昇降式融雪器

【課題】 水道の水を使い短時間で一定範囲の雪を消すことのできる散水型ノズル昇降式融雪器を提供する。
【解決手段】 下部が開口した空洞部を有し、該空洞部から連通した上部穴と下部側面を貫通する横穴を有するカバーを設け、カバー内の該空洞部を上下に仕切る仕切り板を設け、仕切り板下部に取水のための取水部を設け、仕切り板上部に散水のための上下動を行なう可動体と可動体を収納するための可動機構収納部を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積もった雪に水をまくことにより融雪を行なうための散水型ノズル昇降式融雪器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、積もった雪を融かすために小さな穴をあけたパイプに水を通して流しっぱなしにしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これには次のような欠点があった。
雪は水をかけられた部分はすぐ融けるが、水の出る方向が変らないのでその他の雪を融かすことができなかった。
また、地面に広がって流れる水に雪を融かす効果を期待するが、水が地面の上を流れると水温がすぐ下がってしまい、かつ水は地面の低い所のみを流れるため、地面のより高い所にある雪に水がしみこんで融けるまで時間がかかった。
本発明は、これらの欠点を除くためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
下部が開口した空洞部を有し、該空洞部から連通した上部穴と、対向する下部側面を貫通する横穴を有するカバーと、該空洞部上部に可動機構収納部を形成するように取り付けられ、取水穴を有する仕切り板と、任意のホースに連結可能で任意位置上部で前記取水穴と連結管を介して連通する主水管と、前記可動機構収納部内で上下動し底面に斜穴を有し内部に回転室を有すると共に回転室上部に回転室から連通するノズルパイプを有する可動体と、該回転室内に設けられたボールと、前記回転室内に設けられ前記ノズルパイプを通り外部斜上方向に散水するノズル穴を有するノズル体と、ノズル体に固定され前記回転室内で前記ボールの衝撃によりノズル体に回転を発生させる回転制御体とからなり、主水管の一方の開口部を止水するための止水手段を有し、主水管に主水管内の水を抜くための水抜き機構を有する。
本発明は以上の機構よりなる散水型ノズル昇降式融雪器である。
【発明の効果】
【0005】
より少ない水の量で一定範囲の雪を短時間で消すことができ、止水手段を備えることで単独で使っては狭い面積の融雪ができ、複数個使うことで広い面積の融雪もできるようになり、水抜き機構を備えることで融雪器内部に溜まった水が凍結して使用できなくなる状況を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について図を利用して説明する。
本発明は、カバー(3)と、仕切り板(6)と、主水管(4)と、可動体(11)と、ボール(21)と、ノズル体(19)と、回転制御体(22)と、主水管(4)の一方の開口部を塞ぐ止水手段と、主水管(4)内の水を抜く水抜き機構とにより構成される。
カバー(3)は図3に示すように上部がテーパ状となった円筒形状となったものであり、内部が空洞部(25)となっており、空洞部(25)から連通する上部穴(27)と下部側壁の対向する位置にトンネル状の横穴(28)を構成するものである。
仕切り板(6)は図1に示すように前記カバー(3)の空洞部(25)の中央を仕切るように設けられたものであり、図3に示すように中央に取水穴(29)が開けられている。
主水管(4)は図1に示すように前記仕切り板(6)の中央の取水穴(29)に連結管(5)を介して連通しており、下部には図1及び図4に示すように水抜き弁(7)を有し、図2に示すようにカバー(3)の下部側面にあけられた横穴(28)におかれている。
可動体(11)は図1に示すようにカバー(3)内側の空洞部(25)を上下に仕切った仕切り板(6)の上部の可動機構収納部(2)内に設けられたものであり、図1に示すようにノズル部(30)と、可動体外殻(31)と、底板部(32)と、ボール(21)と、パッキングA(17)と、パッキングB(23)によって構成されている。
ノズル部(30)は図6に示すようにノズル体(19)の頭部にノズル穴(18)を有し、下辺に回転制御体(22)が連結しており、図1に示すようにノズル穴(18)に続くノズル(24)が上下に貫通している。
可動体外殻(31)は図7に示すように上部中央に穴があいているノズルドーム(15)の上にノズルパイプ(16)が連結し、図1に示すようにノズルドーム(15)の下端が底板(13)の外縁に連結しており、前記ノズル体(19)の頭部に有する前記ノズル穴(18)が該ノズルパイプ(16)の上に出ている。
底板部(32)は図8に示すように中央にへそ(14)を有し、外縁部に斜穴(12)を有する底板(13)で構成する。
パッキングA(17)は図1に示すようにノズル体(19)とノズルパイプ(16)の間におかれ、パッキングB(23)は図1に示すようにノズルパイプ(16)の外側下辺におかれている。
ボール(21)は図1に示すようにノズルドーム(15)内の空洞を回転室(20)とし、その中におかれ、回転室(20)内を自由に回転することができる。
ノズル体(19)と回転制御体(22)が連結しているノズル部(30)は図1に示すようにへそ(14)を軸として水平に回転できる。
可動体(11)は図1に示すように上は可動機構収納部(2)上辺とパッキングB(23)を間にはさむ位置から下は最深部(26)の位置まで上下に移動することができる。
止水栓(39)は、図9及び図10に示すように主水管(4)の一方の開口部をふさぐために設けるものである。
水抜き弁(7)は、図1及び図4に示すように主水管(4)の下部に連通するパイプ(8)を設け、パイプ(8)の中に弁体(9)及び弁座(10)を設けたものである。
取水部(1)と可動機構収納部(2)の境界は、図1に示すようにA−A′線である。
弁体(9)、ノズル体(19)、ノズルパイプ(16)、回転制御体(22)、ノズルドーム(15)、へそ(14)及び底板(13)はプラスチックで構成し、弁座(10)、パッキングA(17)及びパッキングB(23)はゴムで構成し、カバー(3)、ボール(21)、仕切り板(6)、連結管(5)、主水管(4)、パイプ(8)及びその他の部分は金属で構成する。
ノズル体(19)と回転制御体(22)の接合、ノズルドーム(15)とノズルパイプ(16)及び底板(13)の接合、底板(13)とへそ(14)の接合、パイプ(8)と弁座(10)の接合は接着剤により、カバー(3)と仕切り板(6)と連結管(5)と主水管(4)とパイプ(8)とその他の部分との接合は溶接により、ボール(21)と弁体(9)とパッキングA(17)及びパッキングB(23)は他との接合はない。
止水栓(39)はゴムで構成し、他との接合はない。
本発明は以上の構成よりなるもので、これを使用するときは水道の蛇口からのばしたホース(34)に本器(35)の主水管(4)をつなぎ、雪がつもる所においておき、雪がつもってから水を出す。
蛇口から出された水は、主水管(4)から水抜き弁(7)に入り弁体(9)をゴム製の弁座(10)におしつけて水抜き弁(7)を閉じる。
同水は主水管(4)から連結管(5)を通って可動機構収納部(2)内に入るが、図11に示すように水圧が低いうちは可動体(11)を上に持ち上げることができないため、可動体(11)の内部及び可動体(11)と可動機構収納部(2)とのすき間を水で満たしながら水位(38)を上げてゆき上部穴(27)から外に流れ出るが、この時上部穴(27)に入っている雪(36)は水で融かされノズル体(19)とノズルパイプ(16)が浮上するスペースをつくる。
同水は水圧が高まると可動体(11)の底板(13)にあけられた斜穴(12)を通って回転室(20)に入るとき水圧の方向を曲げられ、底板(13)の中心に設けられノズル体(19)の軸となっておりノズル(24)に通じるすき間をもつへそ(14)部分に集束し渦巻きをなすためボール(21)を回転させる。
回転したボール(21)は水との比重差により、その回転によって生じた遠心力と打撃力をもち、回転制御体(22)に衝突し、連結しているノズル体(19)のノズル穴(18)の向きを変える。
ノズル穴(18)の向きを変えつつノズル(24)を上昇した水は適宜の角度をもって上向きになっているノズル穴(18)から出たとき、図12・図13・図14・図15に示すように放物線を描いて飛び、雪を融かしつつ放物線を本器(35)を中心にして水平に回転させた形となって雪の中にすき間をつくっていく。
雪の中にできたすき間の上にある雪は、自身をささえるものがなくなるために下に落ち、本器(35)からまかれる水により次々に融け、本器(35)を中心にして放物線を水平に回転させた形を底面に残してその上の雪が消える。
ノズル穴(18)から出る水(33)は、図12に示すように水面(37)直下から出るので一定の水圧をかければ散水に支障はない。
カバー(3)は頑丈なつくりになっており、散水中のノズル体(19)頭上に自動車のタイヤや落下する雪(36)などの外的力を受けたとき、図1に示すように可動体(11)は可動機構収納部(2)の中を可動機構収納部(2)上辺とパッキングB(23)を間にはさむ位置から最深部(26)の位置まで沈むことができ、衝撃から可動体(11)を含む可動機構収納部(2)及び取水部(1)をまもることができる。
ノズル体(19)頭上に加えられた外的力が取りのぞかれたとき、又は図11に示すようにノズル穴(18)等から出る水により上部穴(27)に入った雪が融かされてノズル体(19)及びノズルパイプ(16)が浮上するスペースができたとき、図12に示すように水圧により再び可動体(11)が上昇し散水を行なう。
本発明の原点は、水をまいて雪を融かすとき、水が出るホースを手に持ってこれを動かしながらまけば雪を早く消すことができるということにあるが、ノズル体(19)を水平に回転させるだけの散水ではノズル体(19)の頭上に落ちる雪(36)の重さでノズル体(19)が回転する動きを止められてしまうため水(33)の出る方向が一定になりそれ以上まわりの雪を融かすことができなくなるとし、可動体(11)なるものを設けてそれを解決したものである。
融雪が終り蛇口の水を止めると水圧の低下とともに水より軽いプラスチックでできた弁体(9)が弁座(10)から離れ、かつノズル穴(18)から空気が入ることで可動体(11)を含む可動機構収納部(2)及び取水部(1)の中の水が抜けて、寒冷時においても凍らせず次回使うときもスムーズである。
本器(35)の主水管(4)は両端が開いており、本発明の止水栓(39)を施した本器(35)を1個使うことで狭い面積の融雪ができ、広い面積の融雪では本発明の止水栓(39)を施した本器(35)を通水の末端に配置し、その間に複数のホース(34)と本器(35)を交互につなぐことで可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の断面図
【図2】 本発明の半断面斜視図
【図3】 本発明の可動機構収納部(2)の半断面斜視図
【図4】 本発明の取水部(1)の分解図
【図5】 本発明の可動体(11)の分解図
【図6】 本発明のノズル部(30)の分解図
【図7】 本発明の可動体外殻(31)の分解図
【図8】 本発明の底板部の(32)の分解図
【図9】 本発明の止水栓(39)の断面図
【図10】 本発明の止水栓(39)の斜視図
【図11】 本発明の可動体(11)の浮上前の状態を示した概念図
【図12】 本発明の可動体(11)の散水中の状態を示した概念図
【図13】 本発明の実施例の説明図
【図14】 本発明の実施例の説明図
【図15】 本発明の実施例の説明図
【符号の説明】
【0008】
1 取水部 2 可動機構収納部 3 カバー
4 主水管 5 連結管 6 仕切り板
7 水抜き弁 8 パイプ 9 弁体
10 弁座 11 可動体 12 斜穴
13 底板 14 へそ 15 ノズルドーム
16 ノズルパイプ 17 パッキングA 18 ノズル穴
19 ノズル体 20 回転室 21 ボール
22 回転制御体 23 パッキングB 24 ノズル
25 空洞部 26 最深部 27 上部穴
28 横穴 29 取水穴 30 ノズル部
31 可動体外殻 32 底板部 33 水
34 ホース 35 本器 36 雪
37 水面 38 水位 39 止水栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部が開口した空洞部を有し、該空洞部から連通した上部穴と対向する下部側面を貫通する横穴を有するカバーと、該空洞部上部に可動機構収納部を形成するように取り付けられ取水穴を有する仕切り板と、任意のホースに連結可能で任意位置上部で前記取水穴と連結管を介して連通する主水管と、前記可動機構収納部内で上下動し底面に斜穴を有し内部に回転室を有するとともに回転室上部に回転室から連通するノズルパイプを有する可動体と、該回転室内に設けられたボールと、前記回転室内に設けられ前記ノズルパイプを通り外部斜上方向に散水するノズル穴を有するノズル体と、ノズル体に固定され前記回転室内で前記ボールの衝撃によりノズル体に回転を発生させる回転制御体とからなることを特徴とする散水型ノズル昇降式融雪器。
【請求項2】
主水管の一方の開口部を止水する止水手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の散水型ノズル昇降式融雪器。
【請求項3】
主水管に主水管内の水を抜く水抜き機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の散水型ノズル昇降式融雪器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−46434(P2007−46434A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257020(P2005−257020)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(504233993)
【Fターム(参考)】