説明

散水機能付グレーチング

【課題】道路側部の融雪も可能な散水機能を備えたグレーチングを提供する。
【解決手段】メインバー3にクロスバー4を直交に組み合わせて格子状をなすグレーチング部材のメインバー両端に、それぞれ上記受梁上に載置される内部に通水可能な中空管5,5をクロスバー4と平行に設ける。両中空管5,5の表面に、内部の通水を外方へ噴出させる多数の散水孔6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融雪可能な散水機能を備えたグレーチングに関する。
【背景技術】
【0002】
豪雪地方においては、屋根の雪降ろしや除雪車による除雪等により、道路脇に雪が堆積している場合が多く、歩行の妨げとなり、また車両等のスリップ事故の原因ともなっている。
【0003】
従来より、このような道路上の積雪を溶かす融雪設備としては、路面下に埋設したパイプ内に温水を循環させて路面を加熱する装置や、路面下に埋設した電熱線に通電して路面を加熱する装置(特許文献1参照)等が知られている。
【0004】
また、図7に示すように、路面15を中央部の高い蒲鉾形に形成するとともに、その路面中央部に散水ノズル16を備えた通水管17を埋設して、路面に臨む散水ノズル16より噴出させる散水で路面15の積雪を溶かす融雪装置も広く知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−64409号公報(第7頁、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の融雪装置は、いずれもパイプや電熱線、通水管17等を地下埋設するのに、路面の全面的な改修を必要とし、工期が長く、多額の工費を要していた。また、路面を加熱するものでは、その熱源に要する電気、灯油などの維持費もかなり高額なものとなっていた。このため、これらの融雪装置が設置されるのは、病院の出入り口付近や高速道路の出入り口、坂道、駐車場などの都市主要部に限られていた。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、側溝や横断溝、開渠型の融雪溝等を備えた道路であれば、都市部に限らず、郊外のいかなる場所にでも簡単かつ安価に設置することができる融雪可能な散水機能を備えたグレーチングの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明のグレーチングは、等ピッチに配置され、受梁間に架設されるメインバーと、メインバーに対して直交で等ピッチに組み合わされるクロスバーとで格子状をなすグレーチングにおいて、メインバーの両端に、それぞれ上記受梁上に載置される内部に通水可能な中空管をクロスバーと平行に設けるとともに、該両中空管の表面に、内部の通水を外方へ噴出させる多数の散水孔を設けて、当該グレーチング上面およびその設置周辺部が散水されるように構成したことを特徴とする散水機能付グレーチングを要旨とする。
【0009】
この場合、上記中空管は、メインバー両端の下面側に、それぞれクロスバーと平行に設けて、かさあげ材と兼ねるようにしてもよい。
【0010】
また、中空管は、受梁に載置した際の安定性を考慮して、角形管で形成するのが好ましく、その表面に設ける散水孔は、中空管内の通水を複数の噴出孔から多方向へ所定角度で噴出するように構成されているのがよい。
【0011】
さらに、中空管には、隣接する同様グレーチングの中空管との間を互いに連結して通水するための連結管取り付け用の連結金具を設けておくのがよい。
【発明の効果】
【0012】
上記構成よりなる本発明の散水機能付グレーチングによれば、当該グレーチングを道路の側溝や横断溝、開渠型融雪溝等の溝蓋として設置し、地下水等の水源からの水をポンプで汲み上げてメインバー両端の中空管内に通水することにより、通水された水の一部が中空管表面に開口する多数の散水孔より外部へ噴出して、当該グレーチングの設置周辺部の積雪が融解される。
【0013】
したがって、従来の融雪装置のように路面の大規模な改修工事を必要とせず、単に当該グレーチングを既設の道路側溝等の溝蓋として設置するだけの簡単かつ迅速な工事により、低コストで、人が往来する道路側部の積雪を効果的に融解することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、道路側溝1の溝蓋として本発明の散水機能付グレーチング2を設置した一例を示している。
【0016】
すなわち、道路側溝1は、道路の側方にコンクリートにて形成された断面U字形の溝であり、その両側壁1a ,1aの上端には、溝蓋を嵌め込むために内面側を段状に低く形成した受梁1b,1bが形成してある。
【0017】
散水機能付グレーチング2は、等ピッチに配置され、前記側溝1の受梁1b,1b間に架設されるメインバー3と、該メインバー3に対して直交で等ピッチに組み合わされるクロスバー4とで格子状をなすグレーチング部材のメインバー3両端部に、内部に通水可能な中空管5を、クロスバー4と平行に取り付けて構成されており、そのメインバー3両端の中空管5,5を側溝1の受梁1b,1b上に載置すると、側溝1の上部開口内に溝蓋として嵌め込み設置されるようになっている。
【0018】
このグレーチング2は、図示例では、幅W390mm,長さL995mm,高さT25mm程度の大きさに形成してある。メインバー3はI形鋼で形成してあり、その踏面となる上部フランジ端面には、滑り止めの凹凸加工3’が施してある(図4参照)。クロスバー4は丸鋼で形成してあり、その周面には、やはり滑り止めの凹凸加工4’が施してある。
【0019】
中空管5,5は、図示例では、前記受梁1b,1b上に載置した際の安定性に優れた角形管で形成してあり、その側面部を各メインバー3の幅W方向端面に溶接して取り付けてある。これらの中空管5,5は、通水路を形成するものであり、いずれもその長さL方向の両端面51 ,52 は、閉塞されていて、内側面の上記両端面51 ,52 各近傍部に、中空管内部へ通じる孔を備えた連結金具61 ,62 が設けてある(図3参照)。これらの連結金具61 ,62 は、図2に示すように、先端に雄ネジ6’を切ったニップル管で形成してあり、この雄ネジ6’と螺合する雌ネジ部7’を両端に備えたゴム製あるいは樹脂製等の連結管7を接続することによって、図3に示すように、隣接して複数設置した当該グレーチング2a,2b,2cの中空管5どうしが互いに連結されるようになっている。また、これらの連結金具61 ,62 には、上記連結管7と同様の雌ネジ部7’を備えた送水管8や、同様の雌ネジ部7’を備えた螺合式の閉塞栓9が接続できるようになっている。
【0020】
中空管5,5の表面には、その上面側に、ほぼ一定間隔で管内部に通じる多数の散水孔10が設けてある。これらの散水孔10は、中空管5内部に通水された水の一部を外部へ噴出させるものであり、図4に示すように、1つの散水孔10が噴出方向の異なる複数個(図示例では4個)の噴出孔10’で形成されている。ちなみに、図示例では、図5に示すように、周方向にほぼ等間隔で4個所、頭部から軸下端に至る溝状の切欠き11’を設けた皿リベット11を、中空管5上面を貫通させて設けたリベット孔12に打ち込むことにより、中空管5表面に開口する4方向の噴出孔10’を備えた散水孔10を形成している。各噴出孔10’の水噴出角度θは、約30°となっている。
【0021】
上記構成よりなる本発明の散水機能付グレーチング2を使用するには、先ず、融雪しようとする道路の側溝1に当該グレーチングを溝蓋として設置する。すなわち、図3に示すように、必要個数の当該グレーチング2a,2b,2cを準備し,これらのグレーチングを、いずれもその左右の中空管5,5が、側溝1の左右の受梁1b,1b上にそれぞれ載置されるようにして、順次側溝1内に嵌め込み設置する。
【0022】
次ぎに、上記の如く側溝1内に設置された各グレーチング2a,2b,2cの互いの中空管5,5を、隣接するものどうしで連結する。例えば、グレーチング2aの中空管5後部に突出する連結金具62と、これに隣接するグレーチング2bの中空管5前部に突出する連結金具61とをゴム製等の連結管7を介して連結する。このようにして連結された各グレーチング2a,2b,2cの左右の中空管5,5は、いずれも道路側溝1に沿う必要長さの通水路を形成することになる。
【0023】
次ぎに、上記の如く形成された必要長さの通水路の終端側に位置するグレーチング2cに対して、その両中空管5,5の後部連結金具62 ,62 に、それぞれ閉塞栓9を螺着する。また、この通水路の始端側に位置するグレーチング2aに対して、その両中空管5,5の前部連結金具61 ,61 に、それぞれ流量制御弁13を備えた送水管8を接続する。送水管8の他端側は、地下水等の水源からの水をポンプ(図示せず)にて圧送する送水本管14に接続する。
【0024】
そうして、上記ポンプを駆動し、流量制御弁13を開くと、地下水等の水源からの水が送水本管14から送水管を経て通水路の始端側に位置するグレーチング2aの左右の中空管5,5内に、それぞれ連結金具61 を介して流入する。上記グレーチング2aの左右の中空管5,5内に流入した水は、該中空管5、5内に充満すると、水圧によりその一部が散水孔10を構成する噴出孔10’内に入り外部へ漏出するが、他の一部は中空管5,5後部の連結金具62 ,62 から連結管7,7へと流れ、さらに隣接するグレーチング2bの左右の中空管5,5内に、その前部の連結金具61 ,61 を介して流入する。
【0025】
このようにして送水管13からの送水を、連結された全てのグレーチング2a,2b,2cの左右の中空管5,5内に順次通水してゆくと、やがてこれら全てのグレーチングの左右の中空管5,5内に水が充満する。さらに通水を続行し、その水圧を高めてゆくと、各グレーチングの左右の中空管5,5内より散水孔10を経て外部へ漏出していた水の一部が付勢されて、図4に想像線で示すように、各グレーチング2a,2b,2cの外部四方向へ所定の角度θで一斉に噴出する。これにより、各グレーチング2の上面およびその設置周辺部の積雪が融解される。
【実施例2】
【0026】
図6は、本発明をかさあげ式グレーチングに適用した例である。すなわち、この例では、上面に散水孔10を備えた角管製の中空管5が,グレーチング2を構成するメインバー3の左右両端部の下面側に、クロスバー4と平行に溶接して取り付けてある。このグレーチングでは、上記中空管5,5が、当該グレーチングを側溝1の受梁1b,1b上に載置する際のかさあげ材の役目を兼ねている。
【0027】
また、図6に示す例では、水源からの水をポンプにて圧送する送水本管14を、側溝1の内部に敷設している。そして、この送水本管14と、側溝1の溝蓋として設置される本発明グレーチング2の左右の中空管5,5とを、それぞれ連結管7により直接連結して、上記各中空管5,5内への通水が行われるようになっている。
【0028】
なお、本発明の散水機能付きグレーチングは、雪国における道路の融雪用途に限るものではなく、他にも例えば、公園やゴルフ場等の側溝に設置して水を間欠的に噴出させると、溝蓋兼花や芝生への散水用スプリンクラーとして使用することができる。また、一般住宅用の建材としても使用することができ、例えばテラス等の床材として使用した場合には、その散水機能によって、夏場の直射日光による加熱したグレーチング表面を冷却し、その温度上昇を防止して涼感を与えることができる。プールや浴室、厨房等の水回り設備の床材としても最適であり、その散水機能により床面に付着した汚れ等を効率的に洗い流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る散水機能付グレーチングの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る散水機能付グレーチングの要部を拡大して示す断面図である 。
【図3】本発明に係る散水機能付グレーチングの連結状態を示す平面図である。
【図4】本発明に係る散水機能付グレーチングの要部を拡大して示す平面図である。
【図5】本発明に係る散水機能付グレーチングの散水孔の構造を説明する要部断面図である。
【図6】本発明に係る散水機能付グレーチングの他の実施例を説明する断面図である。
【図7】従来の道路融雪装置の一例を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 側溝
1b 受梁
2 散水機能付グレーチング
3 メインバー
4 クロスバー
5 中空管
1 ,62 連結金具
7 連結管
8 送水管
10 散水孔
10’ 噴出孔
11 皿リベット
13 流量制御弁
14 送水本管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
等ピッチに配置され、受梁間に架設されるメインバーと、メインバーに対して直交で等ピッチに組み合わされるクロスバーとで格子状をなすグレーチングにおいて、メインバーの両に、それぞれ上記受梁上に載置される内部に通水可能な中空管をクロスバーと平行に設けるとともに、該両中空管の表面に、内部の通水を外方へ噴出させる多数の散水孔を設けて、当該グレーチング上面およびその設置周辺部が散水されるように構成したことを特徴とする散水機能付グレーチング。
【請求項2】
中空管は、メインバー両端の下面側に、それぞれクロスバーと平行に設けられる請求項1に記載の散水機能付グレーチング。
【請求項3】
中空管は、角形管で形成されている請求項1又は2に記載の散水機能付グレーチング。
【請求項4】
中空管の表面に設ける散水孔は、いずれも中空管内の通水を複数の噴出孔から多方向へ所定角度で噴出するように構成されている請求項1又は2、3に記載の散水機能付グレーチング。
【請求項5】
中空管には、隣接する同様グレーチングの中空管との間を互いに連結して通水するための連結管取り付け用の連結金具が設けられる請求項1又は2、3、4に記載の散水機能付グレーチング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−120027(P2007−120027A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310016(P2005−310016)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【Fターム(参考)】