説明

散水管継手および該散水管継手を用いた潅水システム

【課題】 潅水システムの構築に際し、散水ノズルの間隔や種類を容易に設定でき、潅水システムの構築後においても、散水ノズルの間隔等を自由かつ容易に変更でき、かつ無駄のない散水管継手および潅水システムを提供する。
【解決手段】
本発明の散水管継手は、管継手2の中央部に散水ノズル3を設けており、本発明の潅水システムは、本発明の散水管継手1、21、31等を使用することにより、散水ノズルの間隔や種類を自由に設定し、散水範囲を自由に換えて、所望の潅水システムを容易に、かつ無駄なく構築できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウス園芸、農場、果樹園等の散水装置に使用される散水管継手および該散水管継手を用いた潅水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の潅水システムとして、ハウス園芸で使用される散水装置の代表例を図4に示す。
この散水装置は、栽培ハウス10の内側面の上部に、長手方向に沿って、合成樹脂製の、適宜の間隔で散水ノズル11が設けられた散水管12が管継手13を介して連結され、この散水管12に設けられた散水ノズル11から水が放射状に散布されて、栽培エリアを均一に潅水できるようになっており、そ菜のベッド潅水や花き等の頭上潅水などに広く活用されている。
【0003】
上記散水装置で使用される散水管12は、通常、長さが4mの合成樹脂製の管体に、散水量、散水形態の異なる各種の散水ノズル11が、長手方向に等間隔をあけて一体に設けられており、散水ノズルの種類と散水ノズル間隔が異なる多種の散水管のなかから、栽培植物に応じた散水管が選択されて、潅水システムに組み込まれている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開平2−280855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の散水管は、前記した通り散水管の種類はあるものの、いずれも管体に設けられた散水ノズルの間隔が一定であるため、栽培植物の生長に伴う散水範囲の拡大、変更や、1棟の栽培ハウス内で各種の植物を栽培するような混合育成の場合、場所によって散水量や散水範囲を変えたいという要請には、充分に対応することができなかった。
【0005】
すなわち、従来の散水管を用いて、散水ノズルの種類や間隔を自由に変更しようとすると、散水ノズルの種類や間隔の異なる散水管をそれぞれ揃え、所望の寸法に合わせて切断した散水管を、管継手で接続して潅水システムを構築するしかなかった。
しかし、このような構築方法では、手間がかかる上に、各種の散水管を準備する必要があり、かつ、切断によって寸法外の散水管が残り無駄になる。そこで、簡易な手段で、施工が簡単で、所望の潅水システムが構築できる散水管および潅水システムの出現が切望されていた。
【0006】
したがって、本発明の課題は、潅水システムの構築に際し、散水ノズルの間隔や種類を容易に設定でき、潅水システムの構築後においても、散水ノズルの間隔等を自由かつ容易に変更でき、かつ無駄のない散水管継手および潅水システムを提供することにある。
【0007】
従来の散水管は、合成樹脂製の管体に散水ノズルを設けたものが知られているが、管継手自体に散水ノズルを設けた例は存在しない。
これは、管継手が、あくまで複数の散水管を連結するための部材であって、管継手部分は流路構造が複雑となり、管継手の強度を重視することから、管継手に散水ノズルを設けるという発想に至らなかったものと推察される。
【0008】
しかし、前記した課題を解決するために、発明者は、試行錯誤を繰り返した結果、散水ノズルの設置個所を、管体に代えて管継手に設けるという発想の転換を図ることにより、前記課題が容易に解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の散水管継手は、管継手の中央部に散水ノズルを設けている。また、本発明の潅水システムは、前記本発明の散水管継手に、長さ調整管を接合して使用した潅水システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、潅水システムの散水ノズルの位置を自由に設定することができるので、所望の潅水システムが実現できる。しかも、潅水システムの設置後においても、散水ノズルの間隔や種類を容易にかつ無駄なく自由に変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の散水管継手の一例を示す平面図であり、図2は、本発明に係る散水管継手の他の例の使用状態を示す部分斜視図である。また、図3は、本発明の散水管継手を用いた潅水システムの一例を示す模式的な部分概略斜視図である。
【0012】
図1に示すように、本発明の散水管継手1は、管継手2に散水ノズル3を設けた構成である。散水ノズル3を設ける管継手2は、通常、図1に示すような直管形のものが用いられるが、曲管、分岐管等、各種形状の管継手も用いることができる。
散水ノズル3は、各種散水形態を有する通常の金属製散水ノズルが使用でき、かつ、散水ノズル3は、管継手2の中央部で、側周面の所望の方向に設けることができる。また、散水ノズルの軸方向も、適宜の方向に向かせることもできる。さらに、スプリンクラータイプの散水ノズルとしてもよい。
ここで、管継手の中央部とは、管継手の内部に被接続管が挿入されない部分を意味する。
【0013】
また、散水ノズル3は、図1に示すように、管継手1の側周面に直接設けるようにしてもよいが、散水ノズル3の設置の安定性を図るために、図2に示すように、管継手1の側周面に台状の平坦部4を設け、その平坦部4上に散水ノズル3を設けるようにしてもよい。
この散水管継手11では、図示しないが、上記平坦部4に対向する側周面に、同様の平坦部を設け、散水管継手の固定に際してすわりを良くし、設置の安定性を図るようにしてもよい。
同様に、図1で示した散水管継手1に、散水ノズル3に対向する管継手11の側周面に、前記同様の平坦部を設けて設置の安定性を図るようにすることもできる。
【0014】
本発明の散水管継手に設ける散水ノズル3は、管継手1に複数個設けることもできる。このような散水管継手は、特定の場所に散水量を増やしたり、散水密度を上げたいという場合に効果がある。
本発明の散水管継手に設ける散水ノズルの種類や数については、散水管継手の大きさ、用途を考慮して決定するのが好ましい。
【0015】
本発明の散水管継手に使用される管継手は、主として、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS等の合成樹脂製のものが用いられるが、これに限定されるものではなく、金属製の管継手に散水ノズルを設けるようにしてもよい。
本発明の散水管継手を金属製とした場合には、火元となり易い場所に
本発明の散水管継手を配置することにより、植物等への潅水用途に限らず、防火消火用の簡易スプリンクラーとして機能させることも可能となる。
【0016】
図3は、本発明の散水管継手を用いた潅水システムの一例を示す模式的な部分概略斜視図である。
この本発明の潅水システムでは、従来の潅水システムとは異なり、本発明の散水管継手を、散水を要する場所に対応する位置にのみ配置し、
散水を必要とない場所には、散水ノズルが設けられていない管体5を配置し、散水管継手同士の連結管として使用されている。
給水に関しては、接続管の他端に、送水ポンプを用いてもよいし、水道から直接でもかまわない。
【0017】
また、散水量を増やしたり、散水密度を上げたい場所には、複数個の散水ノズルが設けられた本発明の散水管継手21が使用され、さらに、従来散水が充分に行き渡らなかったハウス内等のコーナー部においては、曲管の外周内側面に散水ノズルが設けられた本発明の散水管継手31が使用されている。
また、図示しないが、本発明の散水管継手同士を接続する管体5に代えて、管体に散水ノズルが設けられた従来の散水管を組合わせて用いることも差し支えない。
【0018】
前記したように、本発明の散水管継手を用いれば、散水範囲を自由に換えて、所望の潅水システムを容易に、かつ無駄なく構築することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の散水管継手は、植物の生育に不可欠な散水に用いられるだけでなく、前記したように防火消火用の簡易スプリンクラーとしても使用できる等、散水を必要とするあらゆる分野で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の散水管継手の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る散水管継手の他の例の使用状態を示す部分斜視図である。
【図3】本発明の散水管継手を用いた潅水システムの一例を示す部分斜視図である。
【図4】従来の潅水システムの一例を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1、11、21、31 本発明の散水管継手
2 管継手
3 散水ノズル
4 台状の平坦部
5 管体
10 栽培ハウス
12 散水管
13 管継手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管継手の中央部に散水ノズルを設けたことを特徴とする散水管継手。
【請求項2】
請求項1に記載の散水管継手に、長さ調整管を接合して使用した潅水システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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