説明

散粒器

【課題】作業状況に合わせて簡単に構造を変えることができ、散布量の調節が可能な散粒器を提供する。
【解決手段】取手つきのフレーム1は塩ビ管を組み合わせたもので、それに粒剤収納タンク8を取り付けてある。粒剤収納タンク8には粒剤の吐出器10を挿し込み、吐出器10に繋いだワイヤー6を引き上げることで作動する。本散粒器は、軽くて丈夫な樹脂ボトル(農薬空ボトル)を薬剤タンクに活用し、塩ビ管のフレームに取り付けている。吐出器は側面に穴を開けた2つの径の異なる円筒を組み込み内側の円筒をスライドさせることで、薬剤の補給と吐出を連続して出来る。薬剤の調節は、内部円筒にネジでスライドする調節機構により行なう。また、各種薬剤の調節は計量筒にて調整確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状の農薬を定量散布するための簡易な散粒器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粒状の農薬を散布する場合には、作業者が必要量を量り取り農地に手作業で撒く方法が採られていた。しかし、手作業は過酷で作業効率が悪いことから、例えば、特許文献1に示されるような散粒器が提供されている。これは、取手を付けたフレームに薬剤収納タンクを付けたもので、レバーを引いて薬剤を所定の場所に適量撒くものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−103201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような散粒器は、複雑な一体構造となっており、使用者が作業場面の状況により使い易いように対応ができないという問題がある。また、散布量の調節が簡単にできないという問題も抱えている。本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、作業状況に合わせて簡単に構造を変えることができ、散布量の調節が可能な散粒器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための第1の手段は、粒状農薬を定量散布するための散粒器であって、取手付きフレーム1と、前記フレーム下部に取り付けられた、粒剤収納タンク8及びステック14と、を備え、前記粒剤収納タンクは、上部に粒剤投入漏斗7を、下部に吐出器10を設けられてなることを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段の散粒器において、吐出器は、外筒17、内筒18、バネ16及び調節ネジ19で可動する調節シリンダー部20を有する調整部を備え、前記外筒は、上部に粒剤入口22、下部に粒剤出口23を設けてなり、当該入口と出口の位置は各径の端が隣接するようにずらしてあり、前記内筒は、上部に粒剤入口24、下部に粒剤出口25を正対して設けてなり、前記調節シリンダー部により粒剤量の調整が可能で、前記バネは、前記外筒と前記内筒に取り付けられ、前記内筒の両端に取り付けられたワイヤー6の牽引後の戻す機能を有することを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段の散粒器において、散粒器の吐出器に備わる調節部は、内筒のバネ取り付け部に固定されるナット部27を有し、ネジ部26により調節可能であることを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第1〜3の手段いずれかに記載の散粒器において、粒剤計量筒28を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の散粒器は、構造が簡単で、ノズル部とステック部が着脱可能であるため、長さを変えることができ、使用者が作業場面の状況に合わせて使い易い対応ができる。また、粒剤の散布量調節が自在にでき、備えつけの計量筒で散布量の確認できる。さらに、ステック部を土に差し込むことで現場に立てられ、使用者に使い易く作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の散粒器の全体図である。
【図2】散粒器の粒剤収納タンク部分の詳細図である。
【図3】粒剤吐出前の吐出器の側面図である。
【図4】粒剤吐出前の吐出器の正面図である。
【図5】粒剤吐出時の吐出器の側面図である。
【図6】粒剤吐出時の吐出器の側面図である。
【図7】(a)吐出器の全体図、(b)吐出器の外筒、(c)吐出器のバネ、(d)吐出器の内筒、(e)粒剤調節部の詳細図である。
【図8】粒剤計量筒における粒剤の調節例である。
【図9】ステックの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図1〜9に基づいて説明する。
【0012】
図1は散粒器の全体図で、取手つきのフレーム1は塩ビ管を組み合わせたもので、それに粒剤収納タンク8を取り付けてある。粒剤収納タンク8には粒剤の吐出器10を挿し込み、吐出器10に繋いだワイヤー6を引き上げることで作動する。
【0013】
図2は粒剤収納タンク8の拡大図である。同タンクの上部に着脱できる粒剤投入漏斗7を取り付け、使用残量の取り出しも簡便にした。同タンクの下部に取り付けた吐出器10にはバネとワイヤー6がついており、ワイヤー6の牽引とバネの伸縮で粒剤の吐出・充填を反復作動させている。
【0014】
図3及び4は、吐出器10部分の側面図と正面図である。ワイヤー6の牽引前は、円筒形の吐出器内に粒剤が充填されている。図5及び6は、粒剤吐出時の側面図と正面図である。ワイヤー6の牽引時に円筒形の吐出部から粒剤が放出される。
【0015】
図7(a)は吐出器10の全体図である。これは外筒17、バネ16、内筒18、調節部(調節ネジ19及び調節シリンダー部20)が組み合わさった状態で、樹脂製の粒剤収納タンク8の下部に装着される。図7(b)は吐出器の外筒17で、上部に粒剤入口22、下部に粒剤出口23がある。その位置は径の端が隣接するようにずらしてある。図7(c)はバネ16で、外筒17と内筒18に取り付け、ワイヤー6の牽引後の戻しに作用する。図7(d)は内筒18で、両端にそれぞれワイヤー取り付けリング32、吐出器バネストッパー33を取り付けてある。側面上部に粒剤入口24、下部に粒剤出口25があり、それらは正対している。この部分が、粒剤が充填される「室」でワイヤー取り付け側は閉じられ、吐出器バネストッパー33側には調節シリンダー部20が挿入され可動で、それにより粒剤の量の調整ができる。図7(e)は粒剤の調節部で、円筒の調節シリンダー部20を調節ネジ19で可動させることができる。ナット部27を内筒18のバネ取り付け部に固定し、ネジ部26を動かすことで調節できる。
【0016】
図8の粒剤計量筒28で量(g)の計量確認を行う。1回の吐出量は0〜2gまで調節できる。粒剤計量筒28を吐出口に挿し込み、同筒の10gのラインまで5回で満たすと1回の吐出量は2gとなる。10gのラインまで10回で満たすと1回の吐出量は1gとなる。調整ネジ19を右に回すと減量され、左に回すと増量される。粒剤の量(g)は無段階に自在にできる。また、比重の異なる粒剤の計量も自在にできる。調整はリングを引き上げたまま、充填吐出反復室が空の状態で行う。
【0017】
図9は取付けステック14である。通常は、図1の全体図のように粒剤収納タンク8の脇のフレーム1に取り付けられた状態で使用する。ステック14で散布的を絞る。また、ステック14を土に挿し、散粒器を立てたままの状態で散布作業の中断ができる。さらに、ステック14の先の部分を上にして、逆さの状態で取り付ければ、補助取手部に手を添えると、吐出口を作業者の腰部分よりも上に保持することができ、必要に応じて成長している作物の上部に連続散布することも簡単できる。
【0018】
以上、本発明の散粒器は、軽くて丈夫な樹脂ボトル(農薬空ボトル)を薬剤タンクに活用し、それを身近にある塩ビ管のフレームに取り付けている。吐出器は側面に穴を開けた2つの径の異なる円筒を組み込み内側の円筒をスライドさせることで、薬剤の補給と吐出を連続して出来る。薬剤の調節は、内部円筒にネジでスライドする調節機構により行なう。また、各種薬剤の調節は計量筒にて調整確認できる。
【符号の説明】
【0019】
1 フレーム
2 フレーム取手部
3 フレームL継部
4 フレーム直継部
5 引き上げリング
6 ワイヤー
7 粒剤投入漏斗
8 粒剤収納タンク
9 タンク取り付け鋼線
10 吐出器
11 吐出ノズル
12 滑車
13 ステック取り付けパッカー
14 ステック
15 補助取手
16 バネ
17 外筒
18 内筒
19 調整ネジ
20 調整シリンダー部
21 粒剤充填吐出反復室
22 粒剤入口
23 粒剤出口
24 粒剤入口
25 粒剤出口
26 ネジ部
27 ナット部
28 粒剤計量筒
29 目印兼結束ひも
30 粒剤計量筒表記板
31 パッカーとステックの取り付けネジ
32 ワイヤー取り付けリング
33 吐出器バネストッパー
34 調整シリンダーナットの固定部所
35 内筒スライド戻りの止めネジ
36 内筒スライド引きの止め筒
37 粒剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状農薬を定量散布するための散粒器であって、
取手付きフレーム(1)と、前記フレーム下部に取り付けられた、粒剤収納タンク(8)及びステック(14)と、を備え、
前記粒剤収納タンクは、上部に粒剤投入漏斗(7)を、下部に吐出器(10)を設けられてなることを特徴とする散粒器。
【請求項2】
吐出器は、外筒(17)、内筒(18)、バネ(16)及び調節ネジ(19)で可動する調節シリンダー部(20)を有する調整部を備え、
前記外筒は、上部に粒剤入口(22)、下部に粒剤出口(23)を設けてなり、当該入口と出口の位置は各径の端が隣接するようにずらしてあり、
前記内筒は、上部に粒剤入口(24)、下部に粒剤出口(25)を正対して設けてなり、前記調節シリンダー部により粒剤量の調整が可能で、
前記バネは、前記外筒と前記内筒に取り付けられ、前記内筒の両端に取り付けられたワイヤー(6)の牽引後の戻す機能を有することを特徴とする請求項1に記載の散粒器。
【請求項3】
調節部は、内筒のバネ取り付け部に固定されるナット部(27)を有し、ネジ部(26)により調節可能であることを特徴とする請求項2に記載の散粒器。
【請求項4】
粒剤計量筒(28)を備えることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の散粒器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−217717(P2011−217717A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100328(P2010−100328)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(510115306)株式会社シー・ジー・エス (1)
【Fターム(参考)】