説明

整列搬送物品の間隔変更用ベルトコンベヤ

【課題】 整列搬送物品の間隔変更用ベルトコンベヤとして、短いベルト長さで搬送物品の間隔を大きく変更することができるとともに、構造がコンパクトで低コストのものを提供する。
【解決手段】 前ベルトコンベヤ26、後ベルトコンベヤ27間に設置するナイフエッジ形ベルト支持板11と、ベルト支持板11に上下部を通して前後のベルトコンベヤ隣接端辺間を往復的にのびる張設した、両側部の外周部にエンドレスのタイミングベルト13を取り付けた筒状の横編布製シームレスベルト12と、シームレスベルト12の直上でタイミングベルト13の内側部に走行案内可能に沿接するとともにシームレスベルト12をベルト支持板11上に両側辺を傾斜辺とする台形状にのびるように張設する一対のベルトガイド・張設バー14と、一対のタイミングベルト13に係合する一対の伝動タイミングギヤ19とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、整列して搬送するパンなどの物品の間隔を拡大又は縮小するために前ベルトコンベヤと後ベルトコンベヤの間に設置する、物品搬送方向における幅が連続的に増加又は減少する整列物品の間隔変更用ベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、先に、この種のベルトコンベヤとして、筒状の伸縮織布製のシームレスベルトの両側部(耳端部)を、物品搬送方向において相互の間隔が連続的に増加又は減少するサイドフレームに沿って上下に定置した複数対の回転駆動型の把持部材で挟持して走行させることにより、シームレスベルトが物品搬送方向において幅を連続的に増加又は減少しながら走行するようにしたものを提案した(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この既提案のベルトコンベヤは、それ以前の慣用のものに相当の改良を加えて、構造のコンパクト化を図ったものであるが、伸縮織布製のシームレスベルトは、伸縮性を有するとは言え、伸縮率が小さいため、搬送物品の間隔を大きく変更するには、ベルトの長さ(周長)を長くしなければならないとともに、これに伴ってベルトを挟持して走行駆動するための回転駆動型の把持部材数も多くなることから、製作コストや保守点検コストの低減が図りにくいという難点がある。
【特許文献1】特開平6−336330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、既提案のものに認められる上記のような難点に鑑み、この種のベルトコンベヤとして、短いベルトの長さで搬送物品の間隔を大きく変更することができるとともに、構造がよりコンパクトで、コストがより低いものを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明によれば、第一には、特許請求の範囲の請求項1に記載のように、前ベルトコンベヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺を有するナイフエッジ形ベルト支持板と、ベルト支持板の前ベルトコンベヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺の間をベルト支持板の上下(表裏)部を通して往復的にのびるように張設した筒状の編布製シームレスベルトであって、両側部の筒口端部の外周部に一対のエンドレスのタイミングベルト(歯付きベルト)を取り付けたシームレスベルトと、シームレスベルトの両側部の直上において一対のタイミングベルトの対向側部(内側部)に走行案内可能に沿接するとともにシームレスベルトをベルト支持板上において、前ベルトコンベヤに隣接する往路部の始端と後ベルトコンベヤに隣接する往路部の終端の一方を短辺、他方を長辺としかつ両側端を傾斜辺とする台形状にのびるように張設する一対のベルトガイド・張設バーと、各タイミングベルトに係合する一対の伝動タイミングギヤとからなる、整列搬送物品の間隔変更用ベルトコンベヤによって、上記の課題を解決する。
【0006】
この発明に係る第一のベルトコンベヤでは、伝動タイミングギヤによる両タイミングベルトの同期走行により、ベルト支持板上のシームレスベルトの往路部を、物品搬送方向に連続的に拡幅又は減幅しながら伸長状態で走行させるもので、これにより前ベルトコンベヤから受容した整列物品は順次相互の間隔を離隔又は接近して、最終的には所望の離隔状態で後ベルトコンベヤに送り出される。
【0007】
この第一のベルトコンベヤにおいては、特許請求の範囲の請求項2に記載のごとく、シームレスベルトの筒状の編布は、筒状の横編布とすることが望ましい。
【0008】
また第一のベルトコンベヤにおいては、特許請求の範囲の請求項3に記載のように、一対のベルトガイド・張設バーは、一端部を支点としてベルト支持板の幅方向(従ってシームレスベルトの幅方向)に揺動可能にすることが望ましい。
【0009】
この発明によれば、第二には、特許請求の範囲の請求項4に記載のごとく、前ベルトコンベヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺を有するナイフエッジ形ベルト支持板と、ベルト支持板の前ベルトコンベヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺の間をベルト支持板の上下部を通して往復的にのびるように張設した筒状の編布製シームレスベルトであって、両側部の筒口端部の外周部に一対のエンドレスのタイミングベルトを取り付けたシームレスベルトと、一対のタイミングベルト上に物品搬送方向において相互の間隔を順次増大又は減少するように支持した、各タイミングベルトに間隔をおいて係合する複数のフランジ付き伝動タイミングギヤからなる伝動タイミングギヤ列であって、シームレスベルトをベルト支持板上において、前ベルトコンベヤに隣接する往路部の始端と後ベルトコンベヤに隣接する往路部の終端の一方を短辺、他方を長辺としかつ両側端を傾斜辺とする台形状にのびるように張設する一対の伝動タイミングギヤ列とからなる、整列搬送物品の間隔変更用ベルトコンベヤによって、上記の課題を解決する。
【0010】
この発明に係る第二のベルトコンベヤにおいても、第一のそれと同様に、一対の駆動タイミングギヤ列による両タイミングベルトの同期駆動により、ベルト支持板上のシームレスベルトの往路部を、物品搬送方向に連続的に拡幅又は減幅しながら伸長状態で走行させる。これにより前ベルトコンベヤから受容した整列物品を、順次相互の間隔を離隔又は接近させて、最後は所定の離隔状態で後ベルトコンベヤに送り出す。
【0011】
この第二のベルトコンベヤにおいても、特許請求の範囲の請求項5に記載のように、シームレスベルトの筒状の編布は、筒状の横編布とすることが望ましい。
【0012】
さらに第二のベルトコンベヤにおいては、特許請求の範囲の請求項6に記載のように、一対の伝動タイミングギヤ列は、一端近傍部を支点としてベルト支持板の幅方向に揺動的に移動可能にすることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
特許請求の範囲の請求項1、請求項4に記載のこの発明に係る第一、第二のベルトコンベヤの基本構成によれば、シームレスベルトが編布製で、伸縮率が極めて大きいので、長さが短くても、拡幅率又は減幅率を大きくすることができ、これにより搬送物品の間隔を大きく変更することができる。また構成手段が、前者は、ナイフエッジ形ベルト支持板、一対のタイミングベルト付き編布製シームレスベルト、一対のベルトガイド・張設バーと伝動タイミングギヤのみ、後者は、ナイフエッジ形ベルト支持板、一対のタイミングベルト付き編布製シームレスベルトと一対の伝動タイミングヤア列のみのいずれもコンパクトな構造上、製作コスト、保守点検コストが安価である。
【0014】
また特許請求の範囲の請求項2、請求項5に記載のシームレスベルトの筒状の横編布による構成によれば、製編に使用する編糸が1本であるとともにベルトの長さ(周長)に対応する筒径の設定が簡単であるため、特にサイズや材質の異なる多種多様のシームレスベルト、従ってベルトコンベヤを安価に製作することができる。
【0015】
さらに特許請求の範囲の請求項3、請求項6に記載のベルトガイド・張設バーの揺動可能な構成、伝動タイミングギヤ列の揺動的な移動可能な構成によれば、シームレスベルトの物品搬送方向における拡幅状態(拡幅率)又は減幅状態(減幅率)の変更を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図1と図2及び図3と図4に基づいて、この発明に係るベルトコンベヤの第一及び第二の実施形態について説明する。
【0017】
まず図1と図2に示す第一の形態は、前ベルトコンベヤ26から狭い間隔の整列状態で受容した物品28を、より広い間隔の整列状態にして、後ベルトコンベヤ27上に送り出すもので、ナイフエッジ形のベルト支持板11は、前ベルトコンベヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺の幅がそれぞれ前ベルトコンベヤ26と後ベルトコンベヤ27の幅より大きい台形状で、各コーナー部が支脚(図示せず)を介して支持してある。
【0018】
シームレスベルト12は筒状の横編布製で、両側部の外周部にエンドレスのタイミングベルト13が取り付けてあり、ベルト支持板11にその上下部を物品搬送方向にのびるように装着して張設してある。
【0019】
両側のタイミングベルト13の走行案内とシームレスベルト12の張設をつかさどる一対のベルトガイド・張設バー14は、前ベルトコンベヤ隣接端部(前端部)が、基端部をベルト支持板11の各側部の前ベルトコンベヤ隣接端辺部に固定するとともにタイミングベルト13の直上を通ってシームレスベルト12のタイミングベルト13隣接部の直上までのびる枢支アーム15の先端部に枢支(枢着)してある一方、後ベルトコンベヤ隣接端部(後端部)が、ベルト支持板11の各側部の後ベルトコンベヤ隣接端辺部に取り付けたクランプねじ18に嵌合するガイド長孔17付きでかつタイミングベルト13の直上を通してシームレスベルト12のタイミングベルト13隣接部の直上までのびるクランプアーム16の先端部に取り付けてある。これによりベルトガイド・張設バー14は、枢支アーム15の先端部における枢着部を支点としてシームレスベルト12の直上を揺動可能であり、この揺動によるタイミングベルト13の連動揺動を介して、シームレスベルト12の張設を所定の台形状態に調整してセットすることができる。
【0020】
また各伝動タイミングギヤ19は、ベルト支持板11の下方部に、それぞれのタイミングベルト13の復路部に駆動係合させて設置してあり、図示しない電動モータに伝動機構を介して伝動連結されている。
【0021】
この第一の形態においては、各伝動タイミングギヤ19を介した各タイミングベルトベルト13の走行に連動して、ベルト支持板11上のシームレスベルト12の往路部が、物品搬送方向に連続的に拡幅しながら走行する一方、復路部が反物品搬送方向に減幅しながら走行する。この結果前ベルトコンベヤ26から受容する整列状態の物品28は順次相互に離隔していき、所定の離隔状態で後ベルトコンベヤ276に送り出される。
【0022】
次に図3と図4に略示する第二の形態は、第一の形態におけるベルトガイド・張設バー14の作用を、伝動タイミングギヤが代行するような構成したもので、台形状のベルト支持板11の両側部上には、前端部の枢支と後端部の手動ウインチ21(ベルト支持板11の両側隣接部の図示しないコンベヤフレームに設置してある)からのびるロープ22の先端部の固着により、ベルト支持板11上を幅方向に揺動可能な一対のビーム形のギヤ支持フレーム20が設置してあり、それぞれのギヤ支持フレーム20には、前後に間隔をおいてタイミングベルト13に係合する複数のフランジ24付き伝動タイミングギヤ23が、それぞれの電動モータ25とともに、一列に支持してある。
【0023】
この第二の形態は、各手動ウインチ21による各ギヤ支持フレーム20の前端部を支点としたベルト支持板11上における揺動により、伝動タイミングギヤ23列からタイミングベルト13を介して、ベルト支持板11上のシームレスベルト12を物品搬送方向において所定の台形状の拡幅状態に張設した状態で使用するもので、第一の形態と同様に、前ベルトコンベヤ26から受容した物品28は相互の間隔を増大しならが搬送されて、後ベルトコンベヤ27に送り出される。
【0024】
この発明は、このほか種々の形態で実施することができるもので、上記の形態に限定されるものでないことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明に係るベルトコンベヤの第一の実施形態の略平面図である。
【図2】図1に示す実施形態の略側面図である。
【図3】この発明のベルトコンベヤの第二の実施形態の略平面図である。
【図4】図3に示す実施形態の一部の略側面図である。
【符号の説明】
【0026】
11 ベルト支持板
12 シームレスベルト
13 タイミングベルト
14 ベルトガイド・張設バー
15 枢支アーム
16 クランプアーム
17 ガイド長孔
18 クランプねじ
19 伝動タイミングギヤ
20 ギア支持フレーム
21 手動ウインチ
22 ロープ
23 伝動タイミングギヤ
24 フランジ
25 電動モータ
26 前ベルトコンベヤ
27 後ベルトコンベヤ
28 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前ベルトコンベヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺を有するナイフエッジ形ベルト支持板と、ベルト支持板に前ベルトコンベヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺の間をベルト支持板の上下部を通して往復的にのびるように張設した筒状の編布製シームレスベルトであって、両側部の筒口端部の外周部に一対のエンドレスのタイミングベルトを取り付けたシームレスベルトと、シームレスベルトの両側部の直上において一対のタイミングベルトの対向側部に走行案内可能に沿接するとともにシームレスベルトをベルト支持板上において、前ベルトコンベヤに隣接する往路部の始端と後ベルトコンベヤに隣接する往路部の終端の一方を短辺、他方を長辺としかつ両側端を傾斜辺とする台形状にのびるように張設する一対のベルトガイド・張設バーと、一対のタイミングベルトに駆動係合する一対の伝動タイミングギヤとからなる、整列搬送物品の間隔変更用ベルトコンベヤ。
【請求項2】
シームレスベルトの筒状の編布が筒状の横編布である、請求項1記載のベルトコンベヤ。
【請求項3】
ベルトガイド・張設バーは、一端部を支点としてベルト支持板の幅方向に揺動可能である、請求項1または2記載のベルトコンベヤ。
【請求項4】
前ベルトコンベヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺を有するナイフエッジ形ベルト支持板と、ベルト支持板に前ベルトコンベヤ隣接端辺と後ベルトコンベヤ隣接端辺の間をベルト支持板の上下部を通して往復的にのびるように張設した筒状の編布製シームレスベルトであって、両側部の筒口端部の外周部に一対のエンドレスのタイミングベルトを取り付けたシームレスベルトと、1一対のタイミングベルト上に物品搬送方向において相互の間隔を順次増大又は減少するように設置した、各タイミングベルトに間隔をおいて係合する複数のフランジ付き伝動タイミングギヤからなる伝動タイミングギヤ列であって、シームレスベルトをベルト支持板上において、前ベルトコンベヤに隣接する往路部の始端と後ベルトコンベヤに隣接する往路部の終端の一方を短辺、他方を長辺としかつ両側端を傾斜辺とする台形状にのびるように張設する一対の伝動タイミングギヤ列とからなる、整列搬送物品の間隔変更用ベルトコンベヤ。
【請求項5】
シームレスベルトの筒状の編布が筒状の横編布である、請求項4記載のベルトコンベヤ。
【請求項6】
一対のタイミングギヤ列は、一端近傍部を支点としてベルト支持板の幅方向に揺動可能である、請求項4たは5記載のベルトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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