説明

整列搬送装置

【課題】搬送効率を高めることができながらも、装置の小型化及び設計の自由度を高めることができる整列搬送装置を提供することを課題とする。
【解決手段】扁平面を備えた対象物1を貯留するための貯留部と、この貯留部からの対象物1を整列させるための整列手段とを備え、前記整列手段が、対象物1を直線状の搬送経路に搬送する搬送手段9と、この搬送手段9にて搬送される対象物1に搬送経路に対して斜めに横切って形成された当接面10Aに当接して該対象物1を該当接面10Aに沿って整列させるためのガイド部材10とを備え、前記直線状の搬送経路Kとこの搬送経路Kに搬送される対象物1が当接する前記ガイド部材10の当接面10Aとのなす角度を、搬送方向終端側が、搬送方向始端側よりも小さくなるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤やカプセル等の医薬品、飴等の菓子、ワッシャ、ボタン電池、半導体等の電子部品等の小さな対象物(小物品)を搬送しながら整列させるための整列搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送されてきた対象物を、上記整列搬送装置により整列させ、それら整列された対象物の外観(例えば錠剤の側面)を検査することが行われている。そして、前記整列搬送装置の一例としては、水平回転自在に設けられ、上面に供給された対象物をその回転方向に搬送するターンテーブルと、ターンテーブル上の対象物を外周方向に案内する第1ガイドと、第1ガイドにて外周に案内された対象物を案内しながら整列させる円弧状の第2ガイドと、第2ガイドの終端に接続され、第2ガイドからの対象物を直線状に案内するための左右一対の第3ガイドとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
前記特許文献1の整列搬送装置のように回転により整列させる構成の場合には、ターンテーブルの回転数を高速にすると、遠心力の影響等により対象物の姿勢が不安定になり、良好に整列させることができないことになるため、ターンテーブルをあまり高速にすることができず、整列効率を十分に高めることができないものであった。
又、直線状に搬送する左右一対の駆動ベルトと、これら左右の駆動ベルト間の下方に駆動ベルトを外れた対象物を受け止めて駆動ベルトの搬送始端側まで戻すための還元用のベルトとを備え、前記左右の駆動ベルト上にそれぞれ、垂直面を備える側壁を設け、前記左右の垂直面の間隔が搬送方向始端部から搬送方向終端部にかけてしだいに狭くなるように該垂直面を平面視において搬送方向に対して斜めに形成し、それら垂直面にて整列しながら搬送方向終端まで対象物を案内し、整列しなかった対象物を還元用ベルトに排出して再度駆動ベルトの搬送始端側へ戻して整列作業を繰り返し行うようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−219844号公報(図1参照)
【特許文献2】特開2003−128233号公報(図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献2の構成では、搬送方向に対して斜めとなる垂直面と直線状の搬送方向とのなす角度が、搬送始端から搬送終端までの間において同一角度に設定されているため、搬送始端から搬送終端までの対象物の垂直面による搬送速度が一定になる。従って、例えば搬送始端において対象物間に隙間が発生している状態で対象物が垂直面に沿って移動すると、その隙間を維持したまま、対象物が搬送されてしまうことになり、搬送効率が低下する不都合があった。
又、左右一対の駆動ベルト間に還元用のベルトを備えさせることから、装置全体が搬送幅方向(左右方向)に大型化してしまう不都合があるだけでなく、整列搬送装置を構成する場合には、駆動ベルトを必ず偶数設けなければならず、設計の自由度が低い不都合もあった。
【0004】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、搬送効率を高めることができながらも、装置の小型化及び設計の自由度を高めることができる整列搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の整列搬送装置は、前述の課題解決のために、扁平面を備えた対象物を貯留するための貯留部と、この貯留部からの対象物を整列させるための整列手段とを備えた整列搬送装置であって、前記整列手段が、対象物を直線状の搬送経路に搬送する搬送手段と、この搬送手段にて搬送される対象物に搬送経路に対して斜めに横切って形成された当接面に当接して該対象物を該当接面に沿って整列させるためのガイド部材とを備え、前記直線状の搬送経路とこの搬送経路に搬送される対象物が当接する前記ガイド部材の当接面とのなす角度を、搬送方向終端側が、搬送方向始端側よりも小さくなるように構成したことを特徴としている。
上記のように直線状の搬送経路とこの搬送経路に搬送される対象物が当接するガイド部材の当接面とのなす角度を、搬送方向終端側が、搬送方向始端側よりも小さくなるように構成することによって、搬送方向初端側の当接面に当接する対象物の搬送速度を低下させることによって、対象物同士間の隙間に直線状の搬送経路に沿って搬送される対象物を入り込ませることができる。そして、隙間のない密の状態に整列された対象物を搬送方向終端側において加速して直線状の搬送経路にスムーズに受け渡して迅速に搬送することができる。又、整列手段をガイド部材から構成することによって、左右一対の駆動ベルト間に還元用のベルトを備えさせる構成に比べて、装置の左右方向の大きさを小さくすることができるだけでなく、必要に応じてガイド部材を追加するだけで、整列したい列数を自由に変更することができる。前記扁平面を備えた対象物とは、対象物の搬送時に容易に転がることがない対象物であることを称するものであり、扁平面に近い面、例えば緩やかな湾曲面(R面)を備えた対象物であってもよい。
【0006】
前記ガイド部材が、搬送方向始端側に搬送方向終端側ほど前記角度が小さくなるようにかつ搬送経路側に突出する湾曲面を備え、該湾曲面にて前記貯留部からの対象物を受け止めながら整列させるとともに減速された搬送速度を上げながら該対象物を案内するための第1案内部と、該第1案内部からの対象物の搬送速度を減速させて案内される対象物同士の間隔を小さくするために搬送経路側に突出する湾曲面を備えた第2案内部と、該第2案内部にて案内された対象物を前記搬送経路と平行な直線状の案内面にて案内するための第3案内部とを備えてもよい。
【0007】
前記対象物が錠剤であり、この錠剤には円形の扁平錠剤と楕円形や長楕円形等の非円形の扁平錠剤を有し、円形の扁平錠剤を搬送する場合の前記第1案内部の角度を、非円形の扁平錠剤を搬送する場合の前記第1案内部の角度よりも小さく設定することが好ましい。
【0008】
前記ガイド部材を搬送幅方向に複数併設してもよい。
【0009】
前記貯留部からの対象物を前記搬送手段の始端部へ受け渡すための受渡部と、前記ガイド部材の当接面から離間して前記搬送手段の搬送終端部まで搬送された対象物を回収して前記受渡部へ戻すための回収手段とを備え、前記回収手段を、前記搬送手段の下方に位置させ、回収した対象物を該搬送手段の搬送始端部側へ搬送する回収用搬送部から構成し、この回収用搬送部を、前記搬送手段の終端側ほど上方に位置する後上がり傾斜部と、この後上がり傾斜部の下端から前記受渡部へ向かって上昇する前上り傾斜部とからなる側面視くの字状に構成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
直線状の搬送経路とこの搬送経路に搬送される対象物が当接するガイド部材の当接面とのなす角度を、搬送方向終端側が、搬送方向始端側よりも小さくなるように構成することによって、搬送方向始端側の当接面に当接する対象物の搬送速度を低下させることによって、対象物同士間の隙間に直線状の搬送経路に沿って搬送される対象物を入り込ませることができ、隙間のある状態で搬送される構成に比べて、搬送効率を高めることができながらも、搬送方向終端側では加速して更に搬送効率を高めることができる。又、整列手段をガイド部材から構成することによって、左右一対の駆動ベルト間に還元用のベルトを備えさせる構成に比べて、装置の左右方向の小型化を図ることができるだけでなく、必要に応じてガイド部材を追加するだけで、整列したい列数を自由に変更することができ、設計の自由度を高めることができる。
【0011】
前記ガイド部材が、搬送方向始端側に搬送方向終端側ほど前記角度が小さくなるようにかつ搬送経路側に突出する湾曲面を備え、該湾曲面にて前記貯留部からの対象物を受け止めながら整列させるとともに減速された搬送速度を上げながら該対象物を案内するための第1案内部と、該第1案内部からの対象物の搬送速度を減速させて案内される対象物同士の間隔を小さくするために搬送経路側に突出する湾曲面を備えた第2案内部と、該第2案内部にて案内された対象物を前記搬送経路と平行な直線状の案内面にて案内するための第3案内部とを備えている場合には、第1案内部にて対象物の搬送速度を低下させて、対象物同士間の隙間に直線状の搬送経路に沿って搬送される対象物を入り込ませることができ、搬送効率を高めることができる。そして、第1案内部の終端側で加速されて搬送速度が速くなった対象物を第2案内部にて受け止めて対象物の搬送速度を減速させることによって、対象物間に発生する隙間を無くす又は小さく抑えることができ、搬送効率を高めることができる。しかも、前記第2案内部を湾曲面とすることによって、徐々に(緩やかに)対象物を減速させることができ、対象物の姿勢が乱れることがなく第3案内部にスムーズに受け渡して良好な搬送することができる利点がある。
【0012】
前記対象物が錠剤であり、この錠剤には円形の扁平錠剤と楕円形や長楕円形等の非円形の扁平錠剤を有し、円形の扁平錠剤を搬送する場合の前記第1案内部の角度を、非円形の扁平錠剤を搬送する場合の前記第1案内部の角度よりも小さく設定することによって、扁平錠剤が第1案内部から受ける当接力を小さくすることができるから、特に非円形の扁平錠剤のようにガイド部材との当接に伴って姿勢が乱れ易いものであっても、ガイド部材との当接により例えば表裏両面が180度引っくり返るようなことがなく、姿勢乱れによる搬送効率が低下することを確実に回避することができる。
【0013】
前記ガイド部材を搬送幅方向に複数併設することによって、搬送効率を飛躍的に高めることができるだけでなく、不具合の発生した搬送列は搬送しなくても、正常な搬送列にて搬送を行うことができ、トラブル発生時でも整列搬送が行える商品価値の高いものにすることができる。
【0014】
前記貯留部からの対象物を前記搬送手段の始端部へ受け渡すための受渡部と、前記ガイド部材の当接面から離間して前記搬送手段の搬送終端部まで搬送された対象物を回収して前記受渡部へ戻すための回収手段とを備え、前記回収手段を、前記搬送手段の下方に位置させ、回収した対象物を該搬送手段の搬送始端部側へ搬送する回収用搬送部から構成し、この回収用搬送部を、前記搬送手段の終端側ほど上方に位置する後上がり傾斜部と、この後上がり傾斜部の下端から前記受渡部へ向かって上昇する前上り傾斜部とからなる側面視くの字状に構成している場合には、ガイド部材にて整列させることができなかった対象物を回収手段にて受渡部まで戻して再度整列させることができるだけでなく、搬送手段の下方空間を利用して回収手段を配置することができ、装置が搬送幅方向に大型化することを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図2に、上下一対の扁平面を備えた対象物の一例である円形の扁平錠剤1(図4参照)を貯留するための貯留部としてのホッパ2と、このホッパ2からの扁平錠剤1を整列させるための整列手段3とを備えた整列搬送装置を示している。前記対象物としては、扁平錠剤1やカプセル等の医薬品の他、飴等の菓子、ワッシャ、ボタン電池、半導体等の電子部品等の小さな対象物(小物品)を整列させる整列搬送装置であってもよい。尚、前記対象物は、自らが転がることのない形状のものであれば、構わないが、扁平面又は扁平面に近い湾曲面を備えていることが好ましい。例えば、湾曲面(扁平に近い緩やかな曲面)を備えた平面視において円形又は長楕円等の非円形の錠剤等の対象物であってもよい。
又、図1には、前記整列搬送装置にて整列された後の扁平錠剤1を受け取って、例えば扁平錠剤1の表面、裏面、側面の画像を撮像して外観検査を行うための検査用照明装置を備えた整列検査システムを示している。尚、このシステムは、図示していない開閉自在な扉を備えたケーシングにて覆われている。
ここでは、整列搬送装置の後に検査用照明装置を備えさせたものを示しているが、扁平錠剤1を包装する包装装置等であってもよい。尚、図1において紙面の左右を左右方向とし、紙面を垂直に突き抜ける方向を前後方向とし、紙面の上下を上下方向として以下説明していく。
【0016】
前記整列搬送装置について詳述すれば、前記ホッパ2の下端開口を通して排出された扁平錠剤1を受け取って図1において左側に配置した左側ほど下方に位置する左下り傾斜姿勢のシュータ4に排出するための第1供給部5と、前記シュータ4の下端から排出される扁平錠剤1及び後記する回収手段8にて回収された扁平錠剤1を受け取って右側へ移動させる右側ほど下方に位置する右下がり傾斜姿勢のシュータ6を介して供給され、供給された扁平錠剤1を前記整列手段3へ受け渡すための受渡部としての第2供給部7と、前記整列手段3にて整列させることができず、整列手段3の下方に位置させて該整列手段3の終端から落下する扁平錠剤1を回収して前記シュータ6を介して第2供給部7へ戻すための回収手段8を備えている。ここでは、回収手段8にて回収した扁平錠剤1をシュータ6を介して第2供給部6へ戻すようにしているが、第1供給部5又はホッパ2へ戻してもよいし、あるいは整列手段3の上流側へ直接戻すようにしてもよい。
【0017】
図2〜図4に示すように、前記整列手段3が、対象物を直線状の搬送経路に搬送する搬送手段の一例であるベルトコンベア9と、このベルトコンベア9にて搬送される扁平錠剤1に搬送経路Kに対して斜めに横切って形成された当接面10Aに当接して扁平錠剤1を該当接面10Aに沿って4列に整列させるために所定間隔を置いて併設された4枚のガイド部材10とを備え、前記直線状の搬送経路Kとこの搬送経路Kに搬送される扁平錠剤1が当接する前記ガイド部材10の当接面10Aとのなす角度を、搬送方向終端側の角度θ2,θ1が、搬送方向始端側の角度θ3よりも小さくなるように構成している。ここでは、4枚のガイド部材10を備えさせた場合を示しているが、1枚又は2枚あるいは5枚以上であってもよいが、複数枚設ける方が整列の効率化を図る上でも好ましい。
前記ベルトコンベア9は、搬送方向終端部に配置した駆動プーリ9C(図示していない電動モータにて駆動可能に構成されている)と、搬送方向始端部に配置した従動プーリ9Bと、テンションプーリ9Dと、これらプーリ9B,9C,9Dに巻回されたゴム製(布製や合成樹脂製あるいは金属製であってもよい)の無端ベルト9Aとからなっているが、チェーン駆動式のベルトコンベアであってもよいし、他の汎用の搬送装置であってもよい。尚、前記ガイド部材10の下端面が、ベルト9A面に強く接触してベルト9Aの駆動に抵抗となることがないように接触させる又は接触しないように少し上方に位置する箇所に(対象物がすり抜けない程度の隙間をおいて)配設することになる。
【0018】
詳述すれば、図4に示すように、前記ガイド部材10が、一枚の板状で長尺な金属製(プラスチック等であってもよい)の材料からなり、搬送方向始端側に搬送方向終端側ほど前記角度が小さくなるように(θ3>θ2となるように)かつ搬送経路K側に突出する湾曲面10Bを備え、該湾曲面10Bにて前記ホッパ2からの扁平錠剤1を受け止めながら整列させるとともに減速された搬送速度を搬送方向終端側から上げながら扁平錠剤1を案内するための第1の湾曲領域を構成する第1案内部R1と、該第1案内部R1からの扁平錠剤1が第1案内部R1から延出された直線部分(直線に近い緩やかな湾曲部分であってもよい)で構成される第1案内部R1の終端側から補助案内部X1にかけて速くなった搬送速度を減速させてガイド部材10にて案内される扁平錠剤1,1同士の間隔を小さくするために搬送経路K側に突出する湾曲面10Cを備えた第2湾曲領域(第1領域に比べて狭い領域、図では第1領域の約1/5程度であるが、これに限定されない)を構成する第2案内部R2と、該第2案内部R2にて案内された扁平錠剤1を前記搬送経路Kと平行な直線状の案内面にて案内するための第3案内部X2とを備えている。前記第3案内部X2の搬送方向終端側には、扁平錠剤1を一列となって順次入り込むことができる位置に対向させるとともに第3案内部X2と平行に配置したガイド板11を備えている。前記ガイド板11の材質は、前記ガイド部材10と同一又は異なるものであってもよい。
【0019】
従って、前記ベルトコンベア9にて整列手段3へ搬送されてきた多数の扁平錠剤1がガイド部材10の搬送方向始端側の当接面10Aに当接して搬送速度を減速し、当接面10Aに沿って扁平錠剤1が移動する。このとき、ベルトコンベア9上を直線状に搬送される搬送速度よりも当接面10Aに沿って搬送される搬送速度が低下する。そして図4に示すように、扁平錠剤1,1同士間に隙間が発生した状態でガイド部材10にて搬送案内されている場合でも、直線状の搬送経路Kに沿って搬送される扁平錠剤1の搬送速度が速い(ベルトコンベア9にて搬送される速度と同じである)ため、例えば隙間の空いた扁平錠剤1,1が存在している状態において、それら扁平錠剤1,1が移動している途中でそれらの近辺に存在している扁平錠剤1が直線状(搬送経路K方向)に搬送されて破線で示すように扁平錠剤1,1の間の隙間に入り込むことができる。そして、第1案内部R1内において隙間S1が発生した状態のまま搬送方向終端を通過して搬送速度が速くなり、直線状の補助案内部X1を通過した後、第2案内部R2に受け渡されて減速されることにより、前記隙間S1が小さな隙間S2(図では隙間S1とS2との大きさの違いが明確になるようにS1を誇張した大きさにしている)となり、密の状態に整列された扁平錠剤1を搬送方向終端側において第3案内部X2にて加速してベルト搬送速度に等しい速度となり、ガイド部材10とガイド板11との間にスムーズに受け渡すことができるようにしている。ここでは、第1案内部R1及び第2案内部を湾曲面から構成したが、角度の異なる多数の直線部にて湾曲面に近い形状を構成することもできる。
【0020】
前記回収手段8を、前記搬送手段9の下方に位置させ、該搬送手段9の終端から落下した扁平錠剤1を受け止めて(回収して)該搬送手段9の搬送始端部側へ搬送する回収用搬送部としてのコンベアから構成し、このコンベア8を、前記搬送手段9の終端側ほど上方に位置する後上がり傾斜部8Aと、この後上がり傾斜部8Aの下端から前記シュータ6へ向かって上昇する前上り傾斜部8Bとからなる側面視くの字状に構成している。尚、前記後上がり傾斜部8A及び前上り傾斜部8Bそれぞれの傾斜角度は、自由に設定変更可能である。
具体的には、図2にも示すように、後上がり傾斜部8A及び前上り傾斜部8Bのそれぞれに設けられた一対の側壁12,12間に、ゴム製(布製や合成樹脂製あるいは金属製であってもよい)の無端ベルト13を張設し、その無端ベルト13の表面にベルト幅と同一幅を有し、かつ、垂直方向に設定高さを有する受板13Aの多数をベルト回動方向に設定間隔を置いて立設している。前記回収手段8を省略して、例えば搬送手段9の終端から落下した扁平錠剤1を受け止めて貯めておくための回収ボックスを設けておき、その回収ボックスに回収された扁平錠剤1を取り出して整列手段3へ人為的に戻すようにしてもよい。前記回収用搬送部としては、コンベアの他、振動フィーダ(振動コンベアとも言う)であってもよく、回収用搬送部としての具体的構成は自由に変更できる。
【0021】
図1〜図4では、円形の扁平錠剤1を整列させる場合を示したが、円形以外の扁平錠剤、例えば楕円形や長楕円形等の非円形(異形)の扁平錠剤を整列させてもよく、この非円形(異形)の扁平錠剤を整列させる場合には、図5及び図6に示すように、非円形の扁平錠剤1Aを搬送する場合の前記第1案内部R1の角度θ3を、円形の扁平錠剤1を搬送する場合の前記第1案内部R1の角度θ3よりも小さく設定することによって、非円形の扁平錠剤1Aが第1案内部R1から受ける当接力を小さくすることができるから、非円形の扁平錠剤1Aが、ガイド部材10との当接に伴って姿勢が乱れる(例えば表裏両面が180度引っくり返る)ことがない又は少なくすることができ、姿勢乱れによる搬送効率が低下することを確実に回避することができる利点がある。しかもガイド部材10による案内搬送距離をも短くすることによって、更にガイド部材10との当接に伴って姿勢が乱れることがないようにしている。
【0022】
図5及び図6で示したガイド部材10も、前述同様に、一枚の板状で長尺な金属製(プラスチック等であってもよい)の材料からなり、搬送方向始端側に搬送方向終端側ほど前記角度が小さくなるように(θ3>θ2となるように)かつ搬送経路側に突出する湾曲面10B(湾曲面をわかりやすくするために一点鎖線で直線を示している)を備え、該湾曲面10Bにて前記ホッパ2からの扁平錠剤1Aを受け止めながら整列させるとともに減速された搬送速度を搬送方向終端側から上げながら扁平錠剤1Aを案内するための第1の湾曲領域を構成する第1案内部R1と、該第1案内部R1からの扁平錠剤1Aが第1案内部R1から延出された直線部分で構成される補助案内部X1にて速くなった搬送速度を減速させてガイド部材10にて案内される扁平錠剤1A,1A同士の間隔を小さくするために搬送経路K側に突出する湾曲面10Cを備えた第2湾曲領域(第1領域に比べて非常に狭い領域であるため、拡大図で示し、湾曲面をわかりやすくするために拡大図の中に、第2湾曲領域の両側に位置する補助案内部X1及び第3案内部X2のそれぞれから延ばした直線10a,10bを示している)を構成する第2案内部R2と、該第2案内部R2にて案内された扁平錠剤1Aを前記搬送経路Kと平行な直線状の案内面にて案内するための第3案内部X2とを備えている。前記第3案内部X2の搬送方向終端側には、扁平錠剤1Aを一列となって順次入り込むことができる位置に対向させるとともに第3案内部X2と平行に配置したガイド板11を備えている。前記ガイド板11の材質は、前記ガイド部材10と同一又は異なるものであってもよい。この場合も、図4で示した場合と同様に、搬送速度の増大により扁平錠剤1A,1A同士間の隙間S1が大きくなり、その大きくなった隙間S2を第2案内部R2にて小さな隙間S3になるようにしている。
【0023】
又、図3に示すように、前記各ガイド部材10の案内面のうちの搬送方向始端部、前記第1案内部R1の案内方向中間部に、平面視直角三角形の倒しガイド13Gを設けている。この倒しガイド13Gは、それの下面とベルト9A上面との間に、扁平面がベルト9A上面に接触する寝た姿勢での一枚の扁平錠剤1Aの通過を許容する隙間を備えるように設置して、二枚以上重なってガイド部材10の当接面10Aに接した状態で搬送されることを阻止するだけでなく、扁平面がベルト9A上面に対して垂直に位置する立ち姿勢の扁平錠剤1Aが倒しガイド13Gの傾斜面13Tに当接することにより、扁平面がベルト9A上面に接触する寝た姿勢に直ちに姿勢変更させることができるようになっているが、倒しガイド13Gを省略して実施することもできる。
【0024】
前記整列手段3の始端部には、回転式の開閉自在な整列シャッタ15及び各ガイド部材10に供給する開口の大きさを変更可能な供給量調節用シャッタ14を備えており、整列手段3への扁平錠剤1又は1Aを供給する場合には整列シャッタ15を開放操作し、供給しない場合には整列シャッタ15を閉じ操作することができるようになっている。また、供給量検知センサ16からの検出情報に基づいて第2供給部7からの供給量を調節することができるようになっている。
【0025】
前記検査用照明装置について説明すれば、図1に示すように、前記整列搬送装置にて整列された4列の扁平錠剤を受け取って直線状に搬送する第1搬送部17と、この第1搬送部17の上方に3つの第1照明部18,19,20と、前記第1搬送部17の終端からの扁平錠剤を受け取って直線状に搬送する第2搬送部21と、この第2搬送部21の下方に3つの第2照明部22,23,24とを備えているが、他の構成であってもよい。そして、照明部にて検査された扁平錠剤は、その検査結果を選別部25に出力し、シュータ26,27を介して未検査品回収容器28に落下させる、又は、不良品回収容器29に図示していないシュータを介して落下させる、あるいは図示していない良品回収容器に落下させるようにしている。
【0026】
前記第1照明部18,19,20のうち、搬送方向始端側に位置する第1照明部18は、扁平錠剤の上面に異物や汚れ等が付着していないかあるいは欠けている部分があるかを確認するための照明部であり、中間に位置する第1照明部19は、扁平錠剤の上面に刻印されたものが正常であるかを確認するための照明部であり、搬送方向終端側に位置する第1照明部20は、扁平錠剤の側面のうちの前側半分に傷や汚れ等があるか否かあるいは欠けている部分があるかを確認するための照明部である。又、第2照明部22,23,24のうち、搬送方向始端側に位置する第2照明部22は、扁平錠剤の下面に異物や汚れ等が付着していないかあるいは欠けている部分があるかを確認するための照明部であり、中間に位置する第2照明部23は、扁平錠剤の下面に刻印されたものが正常であるかを確認するための照明部であり、搬送方向終端側に位置する第2照明部24は、扁平錠剤の側面のうちの後側半分に傷や汚れ等があるか否かあるいは欠けている部分があるかを確認するための照明部であるが、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】整列検査システムの概略を示す正面図である。
【図2】整列搬送装置の斜視図である。
【図3】第1の整列手段の概略平面図である。
【図4】第1の整列手段のガイド部材の形状を示す拡大平面図である。
【図5】第2の整列手段の概略平面図である。
【図6】第2の整列手段のガイド部材の形状を示す拡大平面図である。
【符号の説明】
【0028】
1,1A 扁平錠剤(対象物)
2 ホッパ(貯留部)
3 整列手段
4 シュータ
5 第1供給部
6 シュータ
7 第2供給部
8 回収手段(コンベア)
9 ベルトコンベア(搬送手段)
9A 無端ベルト
9B〜9Dプーリ
10 ガイド部材
10A 当接面
10B 湾曲面
11 ガイド板
12 側壁
13 無端ベルト
13A 受板
13T 傾斜面
13G 倒しガイド
14 供給量調節用シャッタ
15 整列シャッタ
16 供給量検知センサ
17 第1搬送部
18〜20 第1照明部
21 第2搬送部
22〜24 第2照明部
25 選別部
26,27 シュータ
28 未検査品回収容器
29 不良品会容器
K 搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平面を備えた対象物を貯留するための貯留部と、この貯留部からの対象物を整列させるための整列手段とを備えた整列搬送装置であって、
前記整列手段が、対象物を直線状の搬送経路に搬送する搬送手段と、この搬送手段にて搬送される対象物に搬送経路に対して斜めに横切って形成された当接面に当接して該対象物を該当接面に沿って整列させるためのガイド部材とを備え、
前記直線状の搬送経路とこの搬送経路に搬送される対象物が当接する前記ガイド部材の当接面とのなす角度を、搬送方向終端側が、搬送方向始端側よりも小さくなるように構成したことを特徴とする整列搬送装置。
【請求項2】
前記ガイド部材が、搬送方向始端側に搬送方向終端側ほど前記角度が小さくなるようにかつ搬送経路側に突出する湾曲面を備え、該湾曲面にて前記貯留部からの対象物を受け止めながら整列させるとともに減速された搬送速度を上げながら該対象物を案内するための第1案内部と、該第1案内部からの対象物の搬送速度を減速させて案内される対象物同士の間隔を小さくするために搬送経路側に突出する湾曲面を備えた第2案内部と、該第2案内部にて案内された対象物を前記搬送経路と平行な直線状の案内面にて案内するための第3案内部とを備えてなる請求項1に記載の整列搬送装置。
【請求項3】
前記対象物が錠剤であり、この錠剤には円形の扁平錠剤と楕円形や長楕円形等の非円形の扁平錠剤を有し、円形の扁平錠剤を搬送する場合の前記第1案内部の角度を、非円形の扁平錠剤を搬送する場合の前記第1案内部の角度よりも小さく設定してなる請求項2に記載の整列搬送装置。
【請求項4】
前記ガイド部材を搬送幅方向に複数併設してなる請求項1〜3のいずれかに記載の整列搬送装置。
【請求項5】
前記貯留部からの対象物を前記搬送手段の始端部へ受け渡すための受渡部と、前記ガイド部材の当接面から離間して前記搬送手段の搬送終端部まで搬送された対象物を回収して前記受渡部へ戻すための回収手段とを備え、前記回収手段を、前記搬送手段の下方に位置させ、回収した対象物を該搬送手段の搬送始端部側へ搬送する回収用搬送部から構成し、この回収用搬送部を、前記搬送手段の終端側ほど上方に位置する後上がり傾斜部と、この後上がり傾斜部の下端から前記受渡部へ向かって上昇する前上り傾斜部とからなる側面視くの字状に構成してなる請求項1〜4のいずれかに記載の整列搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−331895(P2007−331895A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166447(P2006−166447)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(305021292)第一実業ビスウィル株式会社 (23)
【Fターム(参考)】