説明

整形フィラメント状構造体の製造

周方向繊維(28)はニードルヘッド(23)によって、集積体に加えられると共に縫いこまれる。径方向に延出する繊維(34A〜34E)もまた、集積体に加えられる。製造は連続的に行われる。集積体の表面全体に亘り、一定の繊維密度が存在するように、連続繊維(28,34)は加えられる。集積体は、プリフォームに必要な全体深さよりも大きくなるように積み上げられると共に、集積体は後に、複数のプリフォームを形成するように切断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整形繊維構造体の形成方法、及び構造体に関する。本発明は特に、排他的ではないが、例えば航空機のディスクブレーキのようなブレーキ等の方法によって形成される摩擦製品に利用可能である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プリフォームの作成方法を開示しており、編組テープが螺旋状に巻回されると共に、ニードルパンチによって合わせて連結される。組ひもはその長さに沿って螺旋状繊維を有するので、いずれの繊維も内部から外部まで、半径方向に、或いはその接線方向に延在しない。繊維は必然的に、常に内部から外部まで、又は再度戻るように湾曲方向に延在している。
【0003】
特許文献2は、トウをクロスラップすると共に、そのトウにニードリングを施し、次に再度ニードリングを施す前に捨てられたトウを、更にクロスラップされたトウを加える工程を開示している。繊維は長手方向に載置されない。
【0004】
更に、上記特許文献1及び2の両者において、内側領域におけるより短い周方向距離に起因して、外側領域よりも内側領域により多くの繊維が存在する。
プリフォームに仕上げ工程を実施することは良く知られており、これにより必然的に、様々な作用がプリフォームの様々な部分に施されることになる。例えば、特許文献2は、繊維を加えることなく、3完全回転からなる最終仕上げニードリング工程を実行する。
【0005】
特許文献3は炭素繊維ディスクの別の周知の製造方法を開示している。ディスクはセグメントを1個ずつ、螺旋状に層を積み重ねるようにして加えることにより作られる。幾つかのセグメントは、長手方向に、またその他は径方向に延出する連続フィラメントを有する。セグメント層は、ニードリングヘッドによって連結される。(加熱され且つ炭化される前に知られているような)プリフォームが積み上げられる時に、プリフォームの外周を包囲する金属シリンダの内部へ発泡体基板が下降させられる。初期ニードリングの間に、ニードルは発泡体基板を貫通する。しばらくすると、ニードルはもはや、下降する発泡体基板を貫通しなくなる。しかしながら、下降、セグメントの追加、及びニードリングは継続する。およそ120ミリメートルの深さの仕上げプリフォームが積み上げられた後に、このプリフォームは発泡体基板と合わせて取り外され、この基板は次に切り取られる。
【0006】
プリフォームはオートクレーブに入れられると共に、製品を炭化及び硬化するために、およそ1400乃至2000度に加熱される。この加熱の間に、炭素分子を含む天然ガスがオートクレーブに存在し、このオートクレーブは、減圧状態にある。炭素分子は、プリフォームの空隙を満たすように空隙に入ることにより、構造体の密度を高める。上面及び下面の空隙には、間もなく炭素分子が詰められる。それ故、プリフォームはオーブンから取り出されると共に、冷却されなければならない。次に、ディスクの上面及び下面は、詰まり部分を取り除くために、機械加工が施される。次に、高密度化工程が、およそ2回又は3回繰り返される。
【0007】
上面及び下面の除去加工の繰り返しを伴う高密度化工程は、材料の浪費であると共に、プリフォームが後に続く高さの低下に必要とされるよりも高く作られなければならないので、余分なプリフォーム作成時間を必要とする。また、製造時間が増加する。
【0008】
高密度化工程は不十分であると共に、殆どの炭素分子が失われ、およそ5〜7パーセン
トの分子がプリフォームを高密度化するためにプリフォームに入る。
【特許文献1】欧州特許第0748781号明細書
【特許文献2】国際公開第98/49382号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第0232059号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記又は他の欠点の少なくとも一つを克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、繊維材料の集積体を形成するために、繊維材料から整形繊維構造体を製造する方法は、集積体が作られる一方で、支持体及び集積体を作るために繊維材料を付加する少なくとも1個の繊維材料供給体を相対移動させる工程を含む。集積体は相対回転運動の軸方向に作られる。本方法は、供給物層を互いに重ね合わせると共に、重なり合う層を相互連結させる工程を含む。
【0011】
本発明は、本発明に添付される請求項において、少なくとも部分的に定義される。
供給体は、集積体と相対的に、集積体の上方において、円周方向を横断する方向に前後に移動する。連続するこの運動は常に、集積体の外側部分を含むと共に、前後運動の内部への運動は、集積対の内側部分からの距離が変化してもよい。連続する前後運動は、定期的に集積体の外側部分に達せず、或いは連続運動は集積体の様々な径方向範囲において、その大きさが異なり、又は集積体の中心からの距離が増加するにつれて増加してもよい。供給体は、供給体が径方向を横断する方向に前後に移動するにつれて、周方向を横断する方向に移動してもよい。
【0012】
集積体は円柱状であると共に、中空円柱形状を含んでもよい。
本発明はまた、軸方向及び径方向範囲を有する整形繊維構造体を含む。構造体は、周方向に延出する連続繊維及び径方向に延出する連続繊維を含む複数の重なり層を含む。
【0013】
本発明はまた、構造体の軸方向範囲全体に亘り、周方向に延出する連続繊維、及び径方向に延出する連続繊維を含む整形繊維構造体を含む。
本発明の別の態様によれば、複数の整形繊維構造体の形成方法は、繊維材料から集積体を作る工程を含む。集積体は軸方向及び径方向範囲を有する。また続いて、集積体から複数の構造体を形成するために、軸方向範囲を横切り集積体を分割する工程を含む。
【0014】
本発明はまた、分割に先立ち、整形繊維構造体を硬化させる工程を含む。
本発明の更なる態様によれば、整形繊維構造体は、2:3又は1:1又は2:1又は3:1又は4:1よりも大きい軸方向長さ対外径の比率を有する。
【0015】
本発明はまた、本明細書のいずれかに言及されるような方法によって作られる整形繊維構造体を含む。
本発明の別の態様によれば、炭化可能な繊維を含む整形繊維ディスクの高密度化方法は、気体及び炭素分子を、ディスクの内径から、炭素分子の少なくとも幾らかがディスクに残る状態で、ディスクを通り、且つ外径から外へ流出させる工程を含む。
【0016】
上記の流れは、構造体が積み上げられた層の平面内にあってよい。
本発明はまた、本明細書に言及されるような方法によって高密度化されたディスクを含む。
【0017】
本明細書は、本発明の多様な記載及び独立請求項を含む。これらのいずれかは、どのよ
うな組み合わせにも組み合わせられ得ると共に、従属する特徴及び請求項のいずれかは、このような組み合わせられた独立請求項のいずれかに従属させられ得る。
【0018】
本明細書及び請求項では、集積体について言及されている。集積体は作られようとするもの、部分的に完成した集積体であり−即ち集積体は必ずしも全ての層が集積体に加えられておらず−また完成集積体であってよい。また、例えばニードリングと相対的な集積体の移動について言及されているところでは、集積体の底部等、移動させられるのは既に形成された部分完成集積体であり、その結果、材料は例えば上端まで、継続して加えられ得る。
【0019】
材料の供給体についても言及されている。少なくとも2個の供給体が存在する。言及を簡易にするために、後に、これらは例えば概ね半径方向及び概ね円周方向等、互いに交差する方向に材料を送る第1供給体及び第2供給体と呼ばれ、これらは径方向及び周方向である。
【0020】
本発明は、多様な方法で実施され得るが、一実施形態を、添付の図面を参照しつつ、添付の図面に示されるように、以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
プリフォームを形成するために使用される機械10は、長手状鋼ドラム16を含む。発泡体中空円筒物18は、ドラムの内方対向面上に位置すると共に、発泡体円筒物20が、ドラム内において中心に間隔があけられている。発泡体円筒物18、或いは又は加えて発泡体円筒物20は、ドラム16の深さ全体に延在し、或いはドラムの基部から円筒物20のために延出する中心台、又はドラム表面内部から中空円筒物18のために内方に延出する径方向フランジ等、ドラムによってもたらされる支持体に載り、或いは支持体に固定されてもよい。
【0022】
図2に示す可動基板19は、下方へ移動可能な発泡体円筒物の間の空間に、製造の間に連続的又は段階的に配置される。基板はディスク形状であると共に、基板と共に下方に移動する発泡体層22を支持する。基板の移動及び基板上での発泡体の作用は、国際公開第95/05502号パンフレットに記載されているとおりであり、その内容はここに組み入れられる。
【0023】
集積体の製造が開始された時に、繊維は発泡体22の上に置かれ、ニードルが幾つかの繊維を発泡体へ移動させるように、基板が回転すると共に、ニードルヘッド23が往復運動する。基板を低下させることなく、基板の1回転又は数回転があり、或いは基板は初期ニードリングから下降し始める。繊維は当初連続的に加えられ、或いは例えば1回転毎に加えられ、次に停止させられる一方でニードリングが開始し、或いは例えば繊維が再度加えられる前に、更なる回転が継続する。繊維は第1周方向供給体24から、又は径方向供給体26から、又はそれら両方から同時に或いは別々の時に加えられる。好適には、繊維は供給体24及び26の両方から同時に加えられると共に、好適にはニードリングが同時に生じる。一方又は両方の供給体からの1個又は複数の層は、所望であれば、ニードリングが開始する前に生じる。
【0024】
繊維が加えられると共に、基板が下降すると、当然のことながら、少なくとも初期ニードリング工程において、ニードルが基板上の発泡体22を貫通する。しかしながら、基板が下降した時には、ニードルが基板上の発泡体から十分な距離だけ離れている時がくる。初期ニードリング及び発泡体貫通と、ニードルが発泡体から離れている時までの間の運動の間に、供給体24から4又は5層及び供給体26から4又は5層を含む約8から10層の繊維が加えられてよい。しかし当然のことながら、ニードルは、より少ない回転数又は
層数だけ、発泡体を貫通してもよく、また例えば、1又は2又は3回転の間、基板上の発泡体を貫通しさえすればよい。
【0025】
ニードルは、ニードルが基板上の発泡体を貫通する時等、少なくとも最初のニードリングの間には、ニードルが基板を貫通しない時よりも短い距離を往復運動させられてよい。例えば、ニードルは当初、第1回転又は最初の数回点の間、10ミリメートル往復運動させられ、ニードルはその後に、14ミリメートル往復運動させられる。往復運動の範囲は、単一の工程で、ある深さから別の深さに、例えば10ミリメートルから14ミリメートルへ増加させられてよい。或いは、例えば10ミリメートルから11ミリメートル、12ミリメートル、13ミリメートル、そして14ミリメートルへ、或いは10ミリメートルから11ミリメートルそして、14ミリメートルへのような複数の工程変化があってもよい。或いは又は加えて、ニードリング往復運動の増加は、往復運動における少なくとも幾つかの変化で、また或いは運動の全ての往復変化で継続してもよい。
【0026】
ニードリングは、所望する完成集積体深さに到達するまで、集積体に層が加えられつつ継続する。その深さは、最大作動深さを含み、或いは機械の可能最大作動深さよりも小さい所定の深さを含む。
【0027】
周方向供給体24は、基板の回転軸に対して径方向に一列に延在する一連の開口28を含む。8個の開口24が図示されている。しかしながら、例えば12個の開口等、いかなる数であってもよい。連続繊維のトウ30が、連続繊維を発泡体基板上に、又は前に置かれた層の上に位置させるように、開口28各々を通り供給される。
【0028】
略径方向供給体26は、基板の内径及び外径の中間において、基板の上方に配置される中心点36の周りを径方向に往復運動させられる管34を通り供給される連続繊維のトウ32を含む。このようにして、管34が往復運動させられる時に、連続繊維が径方向に置かれる。
【0029】
好適には、トウ30及び32は、連続繊維のみを含む。しかしながら、いずれか又は両方のトウが、ステープル繊維を含んでもよく、或いは、ステープル繊維が別々に、例えば異なる周方向位置で加えられてもよい。
【0030】
連続繊維のトウは、例えば処理を助けるために、ある程度のニードリング加工が施された連続トウ、又は分離した連続フィラメントを含む。トウはけん縮又は非けん縮繊維を含み、或いは代わって、供給される繊維は、粗糸、スライバ、又は組紐、或いはそれらの組み合わせを含む。
【0031】
繊維は、炭素繊維等の炭化可能な繊維を含み、或いは非炭化繊維、又はPANNOX等の炭化繊維を含む。このような繊維の一つは、コードC30T50、登録商標SIGRAFILで、SGLカーボン社(SGL Carbon Ltd)により販売されている。各連続繊維トウ30又は32は、例えば30Kから70K、好適には50Kの繊維を含む。トウはトウに向けられる気流速度下で、又は重力の下で、又はその両方で供給される。50Kの各トウは、4.5グラム/メートルの重さを有する。送り速度は、2.5から6メートル/分であってよい。ドラムの回転速度は、回転中心から535ミリメートルの繊維供給体の外径で、好適には0.4メートル/分である。
【0032】
当然のことながら、周方向トウ30が同じ速度で加えられるならば、基板上の内側部分は、外側部分よりも高い密度を有する。その結果、外側部分のトウは、内側部分のトウよりも早い速度で供給され、或いは又は加えて、外側トウは内側等よりも多くの繊維を含んでもよい。より多くの繊維又は速度の増加は、内側開口28から、各隣接開口28より径
方向外方に生じる。ニードルは、各トウを発泡体基板に、或いは既に縫いこまれた下側層に取り付ける。それ故トウは、予め取り付けられていることに起因して、開口28を通り引っ張られる。その結果、外側トウは、所定の回転数で、外側に取り付けられたトウが移動させられる円弧に起因して、内側円弧に比べて、より早い速度で移動する。
【0033】
同じ要因は、径方向供給体26にも当てはまる。一定のトウ32の送り速度、及び中心点36周りにおける供給体26の一定の往復回転運動速度、及び基板の一定の回転速度を前提として、外径部分は内径部分よりも低い繊維密度を有する。しかしながら、これらの要因のいずれか、或いはこれらの要因又は他の要因の組み合わせを変化させることにより、密度の不均衡は、少なくとも部分的に補償され得る。
【0034】
例えば、基板の回転速度は、トウが内径部分に分配される時には、外径部分よりも速く、或いはトウの送り速度は、外径部分において内径部分よりも速く、或いは供給体は中心点36の周りを、トウを外側部分に置く時に、トウを内側部分に置くときの回転速度よりも遅い速度で回転し、或いはこれらの組み合わせであり得る。
【0035】
或いは又は加えて、径方向供給体26は、径方向の最も外側の位置から、径方向の最も内側の位置へ向けて部分的に、次に径方向の最も内側の位置へ向けて戻るように移動する前に、再度外へ往復運動させられ得る。実際は、幾つかの部分的な内方への運動が存在し、内側戻り点34A,34B,34C及び34Dによって示すように、最も内側位置に到達する前に、連続的に最も内側の位置へ近づく。連続内側点即ち前後転換点は、互いに同じ測定値を有する(即ち、34A及び34Bの間の距離は、34B及び34Cの間の距離と同じであり、或いは内方に行くに従い減少し、又は内方に行くに従い増加してもよい)。
【0036】
代替実施形態(図示なし)において、1個以上の径方向供給体が存在してもよい。1個以上の径方向供給体は、集積体の径方向範囲の一部のみを被覆するように配置されてよい。
【0037】
それ故、集積体は、積み上げられるにつれて、内側又は外側部分の厚みが、その他方の厚みよりも大きくなることがなく、また集積体は、概ね平坦な上面を有する。或いは、径方向供給体は、短時間停止することなく、又は供給体の速度又は繊維の回転速度が変化することなく、プリフォームの内部及び外部の間を、毎回往復運動する管34又は128を含み得る。これは、かなり多くの繊維をプリフォームの内部に加えると思われる。しかしながら、実際のところ、この内側部分への付加的な繊維は、プリフォームに不利益な結果をもたらすものではない。
【0038】
ニードルヘッド23は、図示するように円弧形状であってもよく、或いは、ヘッドの外側部分に向けて増加するニードル密度を有してもよく、或いはニードリング効果が集積体の各位置で実質的に同じであるように、外側部分においてより多くのニードリング作用を施してよい。約1センチメートルの間隔があけられると共に、約580rpmの速度で往復運動する約250個のニードルを用いると、良好な結果が得られる。
【0039】
ニードリング作用は、各々又は幾つかのトウ30を、径方向内方に、小さな範囲で移動させる傾向にある。これは、開口の出口及び第1連の周方向ニードルが同じ半径上にないことに起因すると思われる。結果的に、開口の出口及びニードルの間の距離は、直線となるように減少しがちであり、ひいてはトウを接線となるように内方に引っ張ってしまう。それ故、周方向トウの速度及び量は、例えば周方向供給体28の径方向外方向に加えられるトウを増加させるように調整することによって、これを補償することを目的として調整され得る。
【0040】
ニードリングは、円板の半径範囲全体に生じる。加えて、ニードルは発泡体18及び20を貫通する。それ故、集積体のニードリングは、集積体が積み上げられ、且つ集積体完成時に、内縁及び外縁で均一であってよい。集積体の完成時には、発泡体32は基板から切り取られると共に、発泡体18及び20は、基板の上側内面及び外面から切り取られる。或いは又は加えて、取り付けられた発泡体の少なくとも幾つかが、製造方法の後続の工程で、燃やし取られてもよい。
【0041】
図2は、周方向に配向された繊維130を加える代替方法を示す。機械の他の部品全て及びその作動は、前述されたとおりである。
繊維は、集積体の内径及び外径の間の位置、好適にはこれら2つの半径の中間位置において、集積体の上方に配置された中心点マウント140を有する往復管128から加えられる。
【0042】
管は、好適には半径線142の間で繊維を加えるように集積体が回転しつつ、往復運動する。
それ故、内側においてもよりも外側において、ディスクの回転の間に移動させられるより多くの距離を補償するために、集積体の内側へ向けてよりも外側へ向けて、より多くの繊維が加えられる。管128の軸回転速度、又は管を通る繊維のニードル速度は、繊維の堆積速度を変化させるために、必要に応じて、様々な半径位置において、例えば外側部分において内側部分よりも多くの繊維を加えるように変化させられてもよい。管が半径142の間を前後に移動すると、管はまた、径方向外方に、次に径方向内方に移動する。
【0043】
管128、そして又は管34からの供給物は、集積体の各回転に際して、集積体を内部から外部へ被覆する一方、管が径方向範囲の一部のみを被覆することも可能である。更に、ニードリングが連続的ではなく、また例えば回転中且つ集積体の積み上げの間に、2回転に1回、又は3回転に1回等、定期的にのみ作用することが可能である。本実施形態に用いられるこのような交互回転又は定期的な回転はまた、第1実施形態に用いられてもよい。
【0044】
径方向に配向される発泡体、及びニードリング又は残りの工程、又は繊維を加えるための様々な可能性の付加は、前述したようであり、或いは可能な変形に関連して先に説明したとおりである。
【0045】
繊維は空気によって、径方向供給体26及び128を通り吹き飛ばされる。この空気は、繊維が径方向供給体を出るにつれて、繊維が互いに離れるように繊維を吹き飛ばす傾向にある。それ故、トウが管を出ると共に、プリフォーム上に載置される時に、トウは例えば平均断面方向が4ミリメートルの適切に小さい直径の管を通過するが、トウの繊維は、例えば15ミリメートルから20ミリメートルの集積体の表面全体に範囲を有するように吹き飛ばされる。有利には、この繊維の広がりは、緊密なトウが置かれるならば生じるような、ある部分が別の部分よりも大きな繊維集中を有する可能性を伴い、集積体の上方に配置される緊密な繊維束を有するのとは対照的に、集積体の積み上げさえも援助する。
【0046】
また、概ね径方向繊維を数字の「8」の形に置くならば有利である。この形は、大部分の繊維が完全でなくても殆どが径方向に延出する極めて長細い形である。この形は、繊維供給方向の内部変化又は外部変化の少なくとも一方で重なり合う繊維によって、実施され得る。それ故、繊維の吹き戻しは、当初は繊維自体をひっくり返すと共に、吹き戻しが作られる直前に、先におかれた繊維の一部を少なくとも部分的に覆う。この形を得るために、往復運動管が前後に行き来する速度が、基板の回転速度と相対的に制御される必要がある。例えば、基板の回転毎に約60回前後に往復運動する管の比率が用いられてもよい。
【0047】
集積体の積み上げの間に、集積体に付与される径方向への圧縮力を有すると好ましい。これは、力が内側及び外側保持壁を互いに離れるように押すことによって生じ、即ちその結果である。これは結果的に、集積体即ち完成集積体(完成集積体は単一プリフォームであり、又は集積体が複数のプリフォームとなるように切断される程度に長い)の最上層が、図2の点線150によって示すように、僅かにドーム形の外観を有することになる。
【0048】
図3は、機械から取り外された完成集積体12を示す。取り外しは、集積体が加えられ且つ積み上げられるにつれて下降する発泡体基板を載せたプラットフォームを上昇させることによって実施され(この場合、繊維供給体およびニードルは、機械の上端から離れるように移動させられてよい)、或いは集積体をドラム16の底部を通り下降させることにより実施される。
【0049】
従来技術では、各機械によって作られたディスクは、1個ずつ取り外される。本実施形態では、集積体12は単一のプリフォーム又はディスクであり、或いは後に続く単一ディスクの製造のために、プリフォームの厚みよりもディスクの軸方向範囲に長く、且つ複数の個々のプリフォーム及び長さよりも長く、また後に続くディスクの製造のために、個々のプリフォームの厚みの2倍又は4倍又は6倍又は8倍又は10倍より大きくてもよく、或いはこの厚みの20倍又は18倍又は16倍又は14倍より小さくてもよい。結果的に、製造時間が減少する。ディスクは、120ミリメートルの軸方向長さを有するディスクに作られるように、複数の個々のプリフォームの軸方向長さを有してよい。それ故、ディスクは1200ミリメートルの軸方向長さを有し得る。外径に対する軸方向長さの比率は、2:3又は1:1又は2:1又は3:1又は4:1よりも大きくてよい・
ディスクが炭化繊維又は予め炭化された繊維から作られる時には、ディスクは、繊維の硬化を実施するために、オートクレーブに配置されてよい。この処理の前又は後に、図3の線44によって示されるように、軸方向範囲と直角な平行な面の周りで、個々のディスクは集積体から切り取られる。
【0050】
集積体が炭化可能な繊維から作られるならば、集積体は、図4に示す容器14に置かれ得る。容器14は中実底壁46及び円柱状壁に穿孔48を含む。上端は、中心に入口52を有する取り外し可能な蓋50によって閉鎖される。高密度化の間に、オートクレーブ内の炭素分子を含む天然ガスが、入口52を通り吸引され、更に集積体の内径から外径まで集積体を通り外へ出される。これにより、炭素分子は、集積体内の空隙に入り、この空隙を満たす。それ故、集積体からディスクが切り取られる前に、集積体全体が高密度化され得る。
【0051】
本明細書において加えられると説明されているいかなる繊維も、集積体が回転し、或いは集積体が回転することなく、又はその両方の間に加えられてよい。
高密度化の前に、プリフォームが一つずつ積み上げられるとしても、又は様々なプリフォームを作るために集積体から切り取られるとしても、繊維はプリフォームの値の20パーセント又はそれ未満を満たせばよい。
【0052】
本願と関連して、本明細書と同時に或いは本明細書より前に提出され、且つ本明細書と共に公開される全ての論文及び文献に注目が向けられると共に、このような論文及び文献全ての内容は、参照によりここに組み入れられる。
【0053】
本明細書(添付の請求項、要約書及び図面を含む)に開示される特徴全て、及び/又はここに開示される方法又は製法の全ての工程は、いかなる組み合わせに組み合わされてもよいが、これらの特徴及び/又は工程の少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせは除外する。
【0054】
本明細書(添付の請求項、要約書及び図面を含む)に開示される各特長は、同じ、同等、又は同様な目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよいが、そうではないと明確に言及されている場合は除く。それ故、そうではないと明確に言及されていなければ、開示される各特長は、包括的な一連の同等又は同様な特徴の一例に過ぎない。
【0055】
本発明は、前記実施形態(複数)の細部に限定されない。本発明は、本明細書(添付の請求項、要約書及び図面を含む)に開示される特徴の新規なもの、又は新規な組み合わせに及び、或いはここに開示される方法又は製法の工程の新規なもの又は新規な組み合わせに及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】プリフォーム製造機10の第1実施形態を示す概略斜視図。
【図2】プリフォーム製造機110の第2実施形態を示す概略斜視図。
【図3】製造機10又は110のいずれかから作られた繊維集積体12を示す側面図。
【図4】集積体12の容器14を示す斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料の集積体を形成するために、繊維材料から整形繊維構造体を製造する方法であって、
前記集積体が積み上げられる支持体及び該集積体を作るために前記繊維材料を付加する少なくとも1個の繊維材料供給体を相対回転運動させる工程を有し、該集積体は、該相対回転運動における軸方向に作られ、該相対回転運動及び積み重なる層の相互連結によって、供給物の層を互いに重ね合わせる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数の重なり層は、前記供給物を中断させることなく、前記供給体から供給されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
より多くの量の繊維が内側部分よりも外側部分に加えられるように、前記繊維材料を前記供給体から加える工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
加えられる繊維の量は、前記内側部分から中間部分へ増加すると共に、加えられる材料の量は、中間部分から前記外側部分へ増加することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記供給体は、前記内側部分よりも前記外側部分へ、より多くの繊維材料を置くことを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記供給体が前記集積体の内側部分へ材料を置く時の供給速度と比べて、該供給体が前記外側部分へ材料を置く時の送り速度は増加させられることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記供給体は、前記内側部分へよりも前記外側部分へ前記供給物を置くのに、より多くの時間を費やすことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記供給体は、前記集積体の円周方向を横切る方向に、該集積体と相対的に前後に移動することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記供給体の前後移動は、各前後運動毎に、前記集積体の最も内側部分及び最も外側部分に材料を置くことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記繊維の載置速度は、前記各前後運動の間に一定であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項5乃至7のいずれかに従属する時、連続前後運動は定期的に、集積体の最も内側部分に達しないことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記供給体は、該供給体が前記集積体の様々な部分の上方に載置されるように、該集積体の軸方向対向面から間隔があけられた位置で、該集積体と相対的に軸回転することを特徴とする請求項5乃至11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記供給体は、前記集積体の軸方向対向面と平行な軸の周りで、該集積体と相対的に軸回転することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記供給体は、径方向に少なくとも部分的に、また好適には略又は完全に延出する方向において、材料を前記集積体に加えることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載
の方法。
【請求項15】
複数の供給体が、前記集積体の上方で、前記周方向を横断する方向に、該集積体と相対的に前後に移動することを特徴とする請求項8乃至14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記供給物は、連続する前後運動の少なくとも幾つかの間に、それ自体が重ね合わせられることを特徴とする請求項8乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記供給体にある繊維材料の繊維は、該材料が前記集積体に加えられる時に、互いに散在させられることを特徴とする請求項8乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記繊維は、互いに吹き離されることにより、互いに散在させられることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記供給体は、前記周方向に少なくとも部分的に、また好適には略又は完全に延在する方向に、材料を前記集積体に加えることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
径方向範囲で互いに隣接する複数の繊維材料供給体から、材料を加える工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
径方向内方の供給体からよりも径方向外方の供給体から、より多くの材料を供給する工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
径方向内方の供給体からよりも径方向外方の供給体から、より速く材料を供給する工程を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
径方向内方の供給体からよりも径方向外方の供給体から、より多くの容積の材料を供給する工程を含むことを特徴とする請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
重なり層の相互連結に起因して生じる材料の径方向内方への移動を少なくとも部分的に補償するように、材料を前記集積体に加える工程を含むことを特徴とする請求項18乃至22のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
必要な補償を決定すると共に、材料が供給される時に、最も内側の位置から離れた少なくとも1個の位置で、付加的な材料を加える工程を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記層が相互連結される位置に隣接して、材料を前記集積体に加える工程を含むことを特徴とする請求項19乃至25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記集積体が作られるにつれて、前記繊維の径方向への圧縮を生じさせる工程を含むことを特徴とする請求項1乃至26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記集積体の軸方向対向上面が、前記圧縮に起因して平坦面から変形させられる工程を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記軸方向対向上面の中間径方向範囲を、径方向内側又は外側範囲の少なくとも一方よりも高く延在させる工程を含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記重なり層にニードリングを施すことにより、該重なり層を相互に連結させる工程を含むことを特徴とする請求項1乃至29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記層が加えられるにつれて往復運動範囲が増加するようにニードリングを施すために、前記集積体の下側層になる部分を連結させる間に、ニードルの往復運動範囲を変化させる工程を含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1工程で、前記範囲を変化させる工程を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記範囲増加の少なくとも一部の間に、該範囲を連続的に変化させる工程を含むことを特徴とする請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記集積体製造の初期段階の間に、加えられた層の数に起因して、ニードルがもはや集積体を貫通しない時に、往復運動範囲がより大きくなる状態で、犠牲材料でニードリングを施す工程を含むことを特徴とする請求項31乃至33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記集積体の少なくとも一方側を越えて生じるニードリング工程を含むことを特徴とする請求項30乃至34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記集積体の一方側に加えられた繊維材料は、該集積体の径方向側に隣接して、犠牲材料に縫いこまれることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記集積体は、前記ディスクの軸中心を含む開口を有するディスクを含むことを特徴とする請求項1乃至36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記ニードリング工程は、前記集積体の径方向内側を越えて生じることを特徴とする請求項34及び35又は36に記載の方法。
【請求項39】
前記ニードリング工程は、前記集積体の径方向外側を越えて生じることを特徴とする請求項35乃至38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記ニードリング工程が生じる位置及び前記集積体の軸方向範囲において当初に相互連結された重なり層の相対移動は、該集積体が積み上げられるにつれて生じることを特徴とする請求項30乃至39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1選択回転の間にニードリングを行うと共に、少なくとも1回転の間にニードリングを中止する工程を含むことを特徴とする請求項30乃至40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記集積体の完全な積み上げの間に、繰り返しニードリング工程及びニードリング中止工程を含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記犠牲材料及び前記支持体の相対軸方向移動は、前記集積体が積み上げられるにつれて生じることを特徴とする請求項36又は請求項36に従属する時のいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項44】
前記集積体が形成された後に、前記構造体を硬化させる工程を含むことを特徴とする請求項1乃至43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
複数の整形繊維構造体を供給するために、前記集積体の軸方向範囲を横切る方向に該集積体を分割する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記構造体が硬化された後に、該構造体を分割する工程を含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記集積体及び前記供給体の該集積体の軸方向範囲周りでの相対移動と同時に、繊維材料を加える工程を含むことを特徴とする請求項1乃至46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記集積体の軸方向範囲周りでの相対移動が生じることなく、該集積体に繊維材料を加える工程を含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記集積体の1相対回転の間に、該集積体の部分的径方向範囲のみを被覆する供給体を含むことを特徴とする請求項1乃至48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
連続繊維を加える工程を含むことを特徴とする請求項1乃至49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
径方向及び周方向の両方で、連続繊維を加える工程を含むことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
連続繊維のみを加える工程を含むことを特徴とする請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
第1材料が前記集積体に送られる時から、最終材料が該集積体に送られる時まで、該集積体に材料を連続的に送る工程を含むことを特徴とする請求項1乃至52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
軸方向範囲、及び概ね半径方向に延在すると共に、軸方向に相互連結される層を含むことを特徴とする成形繊維構造体。
【請求項55】
前記層は、前記構造体の各径方向範囲において、周方向に延在する連続繊維を含むことを特徴とする請求項54に記載の構造体。
【請求項56】
前記構造体の各周方向範囲において、概ね径方向に延在する連続繊維を含むことを特徴とする請求項54又は55に記載の構造体。
【請求項57】
請求項1乃至54のいずれかに記載の方法によって作られた時の請求項55又は56のいずれかに記載の構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−500533(P2009−500533A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519989(P2008−519989)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002491
【国際公開番号】WO2007/007045
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(508007709)ピー.ジー.ロートン(インダストリアル サービシズ)リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】P.G.LAWTON(INDUSTRIAL SERVICES)LIMITED
【Fターム(参考)】