整形外科手術で使用するための振動ラスプ
【課題】振動ラスプを提供する。
【解決手段】複雑な形状の関節窩又は寛骨臼構成要素の埋め込みの前の、骨の外科的準備のための振動ラスプが開示される。このような振動ラスプの使用のための外科的方法がまた開示される。
【解決手段】複雑な形状の関節窩又は寛骨臼構成要素の埋め込みの前の、骨の外科的準備のための振動ラスプが開示される。このような振動ラスプの使用のための外科的方法がまた開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
2010年11月30日に出願された、表題「Reciprocating Rasps for Use in an Orthopaedic Surgical Procedure」の同時係属米国特許出願公開番号第12/956,914号、及び2010年11月30日に出願された、表題「Reciprocating Rasps for Use in an Orthopaedic Surgical Procedure」の同時係属米国特許出願番号第12/956,881号が相互参照され、双方とも本出願と共通の譲受人に譲渡され、本明細書において参照として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は一般的に、整形外科用関節置換手術の実施に使用される整形外科用器具、より具体的には、整形外科用関節置換手術の実施に使用される振動ラスプに関連する。
【背景技術】
【0003】
患者の人生において、例えば、病気又は外傷の結果として患者に全肩関節置換手術を行う必要があり得る。全肩関節置換手術において、患者の上腕骨の自然頭部を置換するために、プロテーゼ頭部を有する上腕骨構成要素が使用される。上腕骨構成要素は典型的には、患者の上腕骨の骨髄管内に埋め込まれる細長い茎部を含む。このような全肩置換手術において、肩甲骨の自然関節窩表面は、表面再仕上げされるかないしは別の方法で、その上で上腕構成要素のプロテーゼヘッドが関節運動する軸受表面を提供する関節窩構成要素と置換される。
【0004】
上記に示唆されたように、肩関節置換手術の必要性は、複数の疾患のいずれかの存在により生じ得る。1つのこのような疾患は、例えば、肩甲上腕関節炎の結果による関節窩表面に近接する領域における、患者の肩甲骨の悪化である。このような疾患において、患者の肩甲骨の浸食は一般的に、関節窩表面の後方に観察される。このような肩甲骨の浸食は、従来的な関節窩構成要素での治療を不可能でないにしても困難なものにする。このような疾患を治療するために1つの方法は、一般的に強化関節窩構成要素として既知の、修正関節窩構成要素の使用による。強化関節窩構成要素は、対応する前方縁部よりも厚い後方縁部を有する。
【0005】
関節窩外科手術中に関節窩表面を調整するために、回転する球形又は円形リーマーなどの単純な外科用器具が使用される。これは、従来的な関節窩構成要素(すなわち、非強化関節窩構成要素)は典型的には、湾曲しているか又は平坦な、均一な裏側形状を有し、これが関節窩の準備を非常に単純にしているため、十分である。しかしながら、複雑な裏側形状を有する関節窩構成要素(例えば、強化関節窩構成要素)の使用は、骨の準備をより困難にする。外科医は、自らの裁量の技術による操作において、リーマー、鋸及びバリの組み合わせの使用を余儀なくされ、これは、これらの複雑な構成要素の埋め込みのための術中評価のために頻繁に中断される必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様により、強化関節窩構成要素は、構成要素の後方側面上のバットレスを含む。強化関節窩構成要素はまた、フィンを有するアンカーペグ及び複数の安定化ペグを含む。
【0007】
別の態様により、振動ラスプは、複雑な形状を有する強化関節窩構成要素の埋め込みのために必要な骨の外科的準備を可能にする。
【0008】
例示的な実施形態においては、強化関節窩の埋め込みの前の、患者の関節窩の外科的準備に使用するための振動外科用ラスプである。振動外科用ラスプは、振動ツールのチャックに固定されるように構成された取り付け頭部を含む。振動外科用ラスプはまた、取り付け頭部に固定される切削頭部を含む。切削頭部は、外科用ラスプの長手方向軸から後方に延びる切削表面を含む。切削表面は、患者の関節窩と接するように、規定の経路に沿って振動する際に、強化関節窩プロテーゼの形状と対応する形状に配置される、複数の切削歯を有する。
【0009】
外科用ラスプを振動させる切削頭部はまた、切削プレートの長手方向軸から前方に延びる深さ停止部を含み得る。
【0010】
ある実施形態において、想像線が、外科用ラスプの長手方向軸から、複数の切削歯のそれぞれの外側表面に沿って後方に延びる。想像線は外科用ラスプの長手方向軸と交差して、その間の交差角を画定する。交差角は30°〜90°である。より具体的な実施形態においては、交差角(θ)は30°〜89°であり、上位/下位方向に丸い表面を生成する。より具体的な実施形態において、交差角はおよそ75°である。ボールトタイプの修正関節窩構成要素の埋め込みに使用するためのラスプの場合、交差角は20°〜30°である。
【0011】
切削頭部の複数の切削歯は、上位切削歯及び上位切削歯に対して下位に位置付けられる下位切削歯を含み得る。上位切削歯の前方端部は、下位切削歯の前方端部と、第1距離だけ離間している。上位切削歯の後方端部は、下位切削歯の上位端部から、第1距離よりも短い第2距離だけ離間している。
【0012】
切削頭部の複数の切削歯は、複数の上位切削歯対して下位に位置付けられる複数の上位切削歯及び複数の下位切削歯を含み得る。上位切削歯は互いに平行に配置され、下位切削歯は互いに平行に配置される。上位切削歯及び下位切削歯は、互いに対して角度を成して外科用ラスプの長手方向軸から後方に延び、互いに対して集束する。
【0013】
実施形態において、切削頭部の複数の切削歯は患者の関節窩と接するように、規定の経路に沿って振動する際に、強化関節窩プロテーゼの後方バットレスの形状と対応する形状に配置され得る。
【0014】
別の態様により、強化関節窩プロテーゼの埋め込みの前の、患者の関節窩の外科的準備に使用するための、整形外科用器具アセンブリは、振動外科用ラスプを含む。振動外科用ラスプは、振動ツールのチャックに固定されるように構成された取り付け頭部及び取り付け頭部に固定された切削頭部を含む。切削頭部は、振動外科用ラスプの長手方向軸から後方に延びる切削表面を含み得る。切削表面は、患者の関節窩と接するように、規定の経路に沿って振動する際に、強化関節窩プロテーゼの形状と対応する形状に配置される、複数の切削歯を有する。整形外科用器具アセンブリはまた、操作中に振動外科用ラスプを案内するように構成されたガイド表面、及びガイド表面の反対側にあり患者の関節窩に固定されるように構成されたアンカー表面を有する、ラスプガイドを含む。
【0015】
振動外科用ラスプの切削頭部は、振動外科用ラスプの長手方向軸から前方に延びる深さ停止部を更に含み得る。ラスプガイドのガイド表面は、操作中に振動外科用ラスプの切削頭部の深さ停止部を案内するように構成される。
【0016】
一実施形態において、ラスプガイドのアンカー表面は、そこから垂直に延びるアンカーペグを含む。アンカーペグは、患者の関節窩に形成される穴の中に受容されるように構成される。
【0017】
実施形態において、ラスプガイドのガイド表面は凹状である。
【0018】
ラスプガイドのアンカー表面はまた、そこから垂直に延びる、複数の尖ったアンカーピンを含み得る。アンカーピンは患者の関節窩の骨組織内に駆動されるように構成される。
【0019】
一実施形態において、切削頭部の複数の切削歯は患者の関節窩と接するように、規定の経路に沿って振動する際に、強化関節窩プロテーゼの後方バットレスの形状と対応する形状に配置される。
【0020】
別の態様により、関節窩構成要素を患者の関節窩に外科的に埋め込む方法は、ラスプガイドを患者の関節窩に固定する工程と、関節窩構成要素を受容する形状の空洞を形成するように骨組織を研磨するために、ラスプガイド上で外科用ラスプを振動させる工程と、関節窩構成要素を空洞内に埋め込む工程とを含む。
【0021】
外科用ラスプは、切削頭部が固定された取り付け頭部を含み得る。取り付け頭部は、振動出力ツールに固定されてもよく、出力ツールは外科用ラスプの切削頭部を振動させるように操作される。
【0022】
外科用ラスプは、深さ停止部を有する切削頭部を含み得る。ラスプガイドは、患者の関節窩から外側に向くガイド表面を含み得る。外科用ラスプは、外科用ラスプの深さ停止部がラスプガイドのガイド表面に接触するまで、患者の関節窩の方に推進され得る。
【0023】
ある実施形態において、アンカー穴が患者の関節窩に掘られる。ラスプガイドは、そこから垂直に延びるアンカーペグを含み得る。ラスプガイドのアンカーペグは、掘ったアンカー穴に挿入される。
【0024】
ガイドピンが、患者の関節窩に挿入され得る。リーマーが次に、ガイドピン上に促進される。患者の関節窩は次に、関節窩構成要素を受容するように整形された空洞を形成するためにラスプガイド上で外科用ラスプを振動させる前に、リーマー仕上げされて、リーマー仕上げされた表面を生成する。
【0025】
カニューレを取り付けたドリルが、ガイドピン上で促進されてもよく、アンカー穴が患者の関節窩のリーマー仕上げされた表面に掘られる。ラスプガイドのアンカーペグはその後、掘ったアンカー穴に挿入される。
【0026】
関節窩構成要素は、バットレスを有する強化関節窩構成要素として実施され得る。外科用ラスプは、このような強化関節窩構成要素のバットレスを受容するような形状の空洞を形成するために骨組織を研磨するように、振動させられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
「発明を実施するための最良の形態」は特に以下の図面に関する。
【図1】強化関節窩構成要素の斜視図。
【図2】図1の強化関節窩構成要素の側面図。
【図3】図1の強化関節窩構成要素の側面図。
【図4】図1〜3の強化関節窩構成要素の埋め込みのための外科用手術で使用するために振動ラスプの斜視図。
【図5】図1〜3の強化関節窩構成要素の埋め込みのための外科用手術で使用するために振動ラスプの斜視図。
【図6】図4及び図5の振動ラスプの立面図。
【図7】図4及び図5の振動ラスプの立面図。
【図8】図4及び図5の振動ラスプの平面図。
【図9】矢印の方向で見た、図6の線9−9に沿って取った、図4及び図5の振動ラスプの断面図。
【図10】図1〜3の強化関節窩構成要素の埋め込みのための外科手術において、図4及び図5の振動ラスプと共に使用するためのラスプガイドの斜視図。
【図11】図1〜3の強化関節窩構成要素の埋め込みのための外科手術において、図4及び図5の振動ラスプと共に使用するためのラスプガイドの斜視図。
【図12】図10及び図11のラスプガイドの立面図。
【図13】図10及び図11のラスプガイドの立面図。
【図14】図10及び図11のラスプガイドの底部立面図。
【図15】図1〜図3の、強化関節窩構成要素の埋め込みの外科用手術中に、患者の関節窩に挿入されるガイドピンを示す、前方斜視図。
【図16】患者の関節窩をリーマー仕上げするために使用されるリーマーを示す、図15と同様の図。
【図17】患者の関節窩内にアンカー孔を掘るために使用される、ドリルを示す、図15と同様の図。
【図18】患者の関節窩に固定されるラスプガイドを示す、図15と同様の図。
【図19】患者の関節窩にやすりをかける間の図4〜6振動ラスプを示す、後方斜視図。
【図20】図4及び図5の振動ラスプで外科的に調整された後の、患者の関節窩を示す、図19と同様の図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の例示的実施形態を図面に例として示し、ここに詳しく述べる。ただし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明の趣旨並びに範囲に包含される全ての改変物、等価物、及び代替物を網羅することを意図するものであることが理解されるべきである。
【0029】
解剖学的参照を表す前側、後側、内側、外側、上、下等の用語は、本開示全体にて、本明細書に記載する整形的インプラントと、患者の天然の解剖学的構造との両方に関して使用され得る。これらの用語は、解剖学的構造の研究及び整形外科の分野の両方にて十分理解される意味を有する。明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的参照用語の使用は、特に言及しない限り、それらの十分理解された意味と一致することが意図される。
【0030】
図1〜3を参照し、強化眼窩構成要素10が示される。強化関節窩構成要素10は、その一端において凹状表面26を有する本体22を含む。本体22の凹状表面26は、自然又はプロテーゼ上腕骨頭部がそこに関節運動する、平滑な軸受表面を提供する。バットレス24は、本体22の、凹状表面26の反対側の前方内側表面32から、離れるように延びる。バットレス24の後方内側表面28は、前方/後方方向に実質的に平坦であり、上位/下位方向に丸くなっている(すなわち、凸状)。前方内側表面32は、全ての方向に丸くなっている(すなわち、凸状)が、所与の設計の必要性に適合するように、平坦な部分を含み得る。側部表面30は、後方内側表面28から前方内側表面32へと垂直に延びる。あるいは、側部表面30は、表面28及び表面32の両方に対して角度を有し得る。
【0031】
強化関節窩構成要素10はまた、アンカーペグ34を含む。アンカーペグ34は、前方内側表面32から垂直に延びる。アンカーペグ34は、患者の肩甲骨の関節窩表面に掘られるかないしは別の方法で形成される穴の中への挿入を促進する導入部として機能する、テーパ状頭部36を含む。関節窩構成要素10はまた、複数の安定化ペグ38を含む。ペグ38の1つが前方内側表面32から延び、別のペグ38が、バットレス24の後方内側表面28から延びる。3つの安定化ペグ38のうちの別のものが、前方内側表面32及びバットレス24の両方から延びる(すなわち、これはバットレス24及び前方内側表面32に跨る)。一般的に、安定化ペグ38は、アンカーペグ34よりも短い。更に、安定化ペグ38のいくつか(例えば、前方内側表面32から延びるもの)は、他のものよりも短いが、他の構成も使用され得る。安定化ペグ38は、患者の肩甲骨の関節窩表面に掘られるかないしは別の方法で形成される、複数の対応する孔の中に受容される。
【0032】
本明細書において記載される例示される実施形態において、強化関節窩構成要素10は、モノリシック成形される構成要素として実施される。すなわち、本体22、アンカーペグ34及び安定化ペグ38は、ポリエチレンなどのポリマーを使用して一体成型される。好適なポリエチレンの一例は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)である。ポリマーに加え、強化関節窩構成要素10はセラミック、金属又は複合材料から作製され得る。これらの材料の例としては、アルミナ、ジルコニア及びアルミナ/ジルコニア複合体又は複合材料が挙げられる。
【0033】
アンカーペグ34は、複数の放射状フィン40を含む。フィン40は変形可能である。これは、アンカーペグ34が、患者の肩甲骨の関節窩表面内に掘られたアンカーボア内に適合することを可能にするが、アンカーペグ34の脱出又は「抜け落ち」に抵抗する。任意の数又は大きさの放射状フィン40がアンカーペグ34に含まれ得る。加えて、各フィン40は、同じ大きさの外径を有するものとして本明細書では記載されるが、他の構成の使用もまた想到されることが理解されるべきである。例えば、フィン40は、フィン40の各外径がアンカーペグ34の遠位端からアンカーペグ34の近位端にかけて漸増する(すなわち、アンカーペグ34の遠位端に位置付けられるリングが、アンカーペグ34の近位端の付近に位置付けられるリングに対して小さい直径を有する)テーパ状の構成で提供され得る。
【0034】
フィン40は、アンカーペグ34が患者の肩甲骨に掘られたアンカー穴に挿入される際に僅かに変形するように構成される。これはフィン40がアンカー穴内に促進される際に起こるが、これは、アンカー穴がアンカーペグ34のシャフトの直径よりは僅かに大きいが、フィン40の外径よりも小さい直径を有するように掘られ、それによってフィン40が穴内に「推進」されて掘られた穴の側壁と接触する際に、フィン40の変形を生じるためである。フィン40のこのような変形は、ねじのねじ山がこれが推進される材料からのねじの抜け落ちに抵抗を提供するのと丁度同じように、掘られたアンカー穴からのアンカーペグ34の抜け落ちに抵抗を提供することによって強化関節窩構成要素を肩甲骨に固定する。強化関節窩構成要素10の患者の肩甲骨への埋め込みの後、一定期間にわたり、骨組織又は他の種類の組織がフィン40の間の空間内に増殖し、それによって掘られた穴からのアンカーペグ34の抜け落ちに更なる抵抗を提供する。
【0035】
一度関節窩構成要素10が埋め込まれると、安定化ペグ38は、強化関節窩構成要素10の、肩甲骨に対する回転又は他の種類の移動を防止する。各安定化ペグ38の遠位端は、安定化ペグ38の、患者の肩甲骨の関節窩に掘られた各安定化穴への挿入を促進するための「導入部」として機能する円錐形先端部を有する。
【0036】
安定化ペグ38は、強化関節窩構成要素の所与の設計の必要性に適合する、本体22における任意の配置に構成され得る。加えて、強化関節窩構成要素の所与の設計の必要性に適合するように、任意の数の安定化ペグ38が使用され得ることが理解されるべきである。このようなバリエーションの例が同一所有者の米国特許番号第6,699,289号に示され、その全体が本明細書において参照として組み込まれる。
【0037】
ここで図4〜9を参照し、強化関節窩構成要素10と関連する複雑な形状の埋め込みを促進するための、患者の関節窩の外科的準備のために使用され得る、振動ラスプ50が示される。ラスプ50は、振動出力ツール100のチャック102(図7)内に適合する取り付け頭部52を含む。振動ラスプ50はまた、取り付けヘッド52の遠位端56に固定される切削ヘッド58を含む。以下で更に詳細に記載れるように、振動ラスプ50が患者の関節窩と接触して既定の経路に沿って振動する際に、切削ヘッド58の形状は、強化関節窩構成要素10のバットレス24の形状と対応する。振動ラスプ50の切削ヘッド58は、複数の切削歯60を含む。ラスプ50が促進されて、振動運動しながら患者の肩甲骨の関節窩表面と係合するとき、振動ラスプ50の切削歯60は肩甲骨の骨組織を研磨するかないしは別の方法で切削し、それによって強化関節窩構成要素10のバットレス24を受容するために必要な形状(すなわち、形)を有するノッチを徐々に生成する。切削歯60は本明細書では細長い、線形の切削歯として記載されるが、切削歯の他の実施形態も使用され得ることが理解されるべきである。例えば、切削歯60は、ダイアモンドナールタイプの切削歯として実施され得る。
【0038】
取付ヘッド52は、キーイングスロット62及び複数の駆動穴64を含む。振動出力ツール100のハブ102は、振動ラスプ50を振動出力ツール100(図7参照)に連結するためにキーイングスロット62及び駆動穴64内に受容される、戻り止め(図示されない)などの複数の機構を含む。取り付け頭部52は、特定の代表的な搭載構成(すなわち、キーイングスロット62及び駆動穴64を含む構成)を有するものとして本明細書では示されるが、ラスプ50が特定の種類の振動出力ツール100に連結されることを可能にするように、取り付けヘッド52の設計において使用するための、他の搭載構成が想到される。更に、取り付け頭部52は、同じラスプ50が複数の異なる振動出力ツール100に連結されることを可能にするために、「自在」搭載構成を有するものとして実施され得る。
【0039】
切削頭部58は、振動ラスプ50(図6参照)の長手方向軸68から後方に延びる切削表面66を含む。振動ラスプ50が患者の関節窩と接するように規定の経路に沿って振動するとき、切削頭部58の切削表面66は、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の形状を模倣する。すなわち、振動ラスプ50が、患者の関節窩と接するように規定の経路に沿って振動するとき、切削表面66は前方/後方方向に実質的に平坦であり、上位/下位方向に丸い(すなわち、凸状)の、やすりをかけた表面を生成する。切削表面66は、複数の切削歯60の外側表面によって画定される。図6に見られるように、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の形状を模倣するこのような形状を生成するために、切削表面66(すなわち、切削歯60の外側表面)は非垂直角で長手方向軸68から後方に離れるように延びる。換言すれば、図6及び図7に示されるように、切削表面66(すなわち、切削歯60の外側表面)は、前から後ろに(すなわち、前方−後方方向)見た際に、上方に角度を有するこれは図6に幾何学的に示され、想像線80が振動ラスプ50の長手方向軸68から、複数の切削歯60のそれぞれの外側表面に沿って(すなわち、切削表面66に沿って)後方に延びる。想像線80は、振動ラスプ50の長手方向軸68と交差して、その間に交差角(θ)を画定する。代表的な実施形態において、交差角(θ)は30°〜90°である。より具体的な実施形態においては、交差角(θ)は30°〜89°であり、上位/下位方向に丸い表面を生成する。より具体的な代表的な実施形態において、交差角(θ)はおよそ75°である。別の更に具体的な実施形態において、交差角(θ)はおよそ76.7°である。
【0040】
振動ラスプ50はまた、ボールトタイプ構成要素などの、修正構成要素の埋め込みのために、患者の関節窩を準備するためのツールとして実施され得る。特に、修正手術は、関節窩構成要素を置換するために行われ得る。このような修正手術において、以前に埋め込まれた関節窩構成要素が外科手術により取り除かれ、置換関節窩構成要素が、患者の関節窩に埋め込まれる。修正手術の後に、副顆頭板が損傷を受けているか、欠損している場合がある。修正手術はまた、肩甲骨の関節窩ボールトの海綿骨の欠陥(場合によっては非常に大きい)を生じることもある。欠損した骨を置換するために関節窩内に延びる(すなわち、「満たす」)、金属支持体を含む、ボールト−装填(すなわち、ボールト式)修正関節窩構成要素が開発されてきた。一般的に、ポリエチレン(例えば、UHMWPE)、又はセラミック若しくは金属などの他の材料から作製される軸受構成要素は、その後埋め込まれた金属支持体に固定されて、上腕骨構成要素の近位端(例えば、プロテーゼ頭部)がその上に関節運動する軸受表面を生成する。このようなボールトタイプの構成要素は、楔形の本体を形成する複数の傾斜した側壁を含む。ボールトタイプの修正関節窩構成要素の埋め込みに使用するためのラスプの場合、想像線80と振動ラスプ50の長手方向軸68との間の交差角(θ)は20°〜30°である。
【0041】
上記のように、振動ラスプ50が患者の関節窩と接するように規定の経路に沿って振動するとき、切削頭部58の切削表面66は、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の形状を模倣する。本明細書において記載される代表的な実施形態において、振動ツール100の振動幅(throw)は8°であり、すなわち、ラスプは中心から各方向に4°の経路に促進される。しかしながら、振動外科用ラスプ50の構成は、これが異なる振動ツール100によって生成される、任意の数の異なる振動幅に適合することを可能にする。
【0042】
図8の平面図に見られるように、ラスプの切削頭部58の切削歯60は、前−後(すなわち、前方−後方方向)に見た際に、互いに対して角度を成す。特に、切削歯60は、複数の上方切削歯82及び複数の下方切削歯84を含む。下方切削歯84は、上方切削歯82に対して下方に位置付けられる。本明細書において記載される例示的な実施形態において、各上方切削歯82は互いに平行であり、各下方切削歯84は同様に互いに平行である。上方切削歯82及び下方切削歯84は、互いに対して角度を成して振動ラスプの長手方向軸68から離れるように後方に延び、互いに対して集束する。これは図8に例示的に示され、所与の上方切削歯82の前方端部86は所与の下方切削歯84の前方端部88から、同じ上方切削歯82の後方端部90が、同じ下方切削歯84の後方端部92から離間する距離よりも大きな距離だけ離間している。換言すれば、所与の歯の対82、84の後方端部の間の距離は、同じ歯の対の後方端部の間の距離よりも短い。このような角度を有する構成は、切削歯82、84が、振動ラスプ50の動作中に取り除かれた骨組織を効果的に除去することを可能にする。
【0043】
ラスプ切削頭部58はまた、複数の非切削表面を有する。特に、実質的に平坦であり、平滑な前方側壁70は切削頭部58の前方端部72から上方に延びる。図6に示されるように、前方側壁70には切削歯が存在しない。後方側壁74は、切削表面66の後方端部76から、切削頭部58の裏側表面78へと上方に延びる。前方側壁70と同様に、後方側壁74及び裏側表面78にも切削歯は存在しない。
【0044】
図7に見られるように、振動外科用ラスプ50の切削表面66は、曲率半径R1を有する。図7に見られるように、切削表面の曲率半径の基準点は、キーイングスロット62の中心である。これは、ラスプ50が動作するときの振動の中心を表す。上記のように、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28は、上位/下位方向で丸くなっている(凸状)。図2に見られるように、バットレス24の後方内側表面28の丸い表面は曲率半径R2を有する。振動ラスプ50は、その切削表面66の曲率半径R1が、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2を近く模倣するように実施される。一実施形態において、ラスプの切削表面66の曲率半径R1の長さは、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さ±5mmである。より具体的な実施形態において、ラスプの切削表面66の曲率半径R1の長さは、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さ±3mmである。更により具体的な実施形態において、ラスプの切削表面66の曲率半径R1の長さは、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さと等しい。本明細書において記載される例示的な実施形態において、ラスプの切削表面66の曲率半径R1の長さ及び強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さは両方とも、32.97mmである。
【0045】
振動ラスプ50の切削頭部58はまた、深さ停止部96を含む。深さ停止部96は、切削表面66と反対方向に延びる。換言すれば、深さ停止部96は、振動ラスプ50の長手方向軸68から前方に延びる。以下でより詳細に記載されるように、深さ停止部96は、患者の関節窩のリーマー仕上げした表面に固定されたラスプガイド110の底に達し、後方関節窩表面が、前方関節窩表面に対して所望の深さになるように準備されることを確実にする。換言すれば、深さ停止部96は、外科的に準備された前方関節窩表面と後方関節窩表面との間の空間的な関係(すなわち、深さ)を生成し、これは関節窩構成要素のバットレス24の後方内側表面28とその前方内側表面32との間の距離に適合する。このような距離は、バットレス24の後方内側表面28から強化関節窩構成要素10の前方内側表面32まで垂直に延びる、側面30の高さによって画定される(図1〜3参照)。
【0046】
深さ停止部96は、複数の異なる構造として実施され得る。例えば、深さ停止部96は、患者の関節窩の前方表面に固定されたラスプガイド110上で底に達するように構成された、1つ以上のタブ、バー、フランジ、他の同様の構造として実施され得、切削頭部58の患者関節窩の後方表面内への更なる貫通を防止する。本明細書において記載される代表的な実施形態において、深さ停止部96は、ほぼ楕円形のバーを有し、その縁部はラスプ切削頭部58の前方側壁70に固定されている。
【0047】
本明細書に記載される例示的な実施形態において振動外科用ラスプ50は、モノリシックの構成要素として実施される。したがって、取り付け頭部52は、切削頭部58と一体成型される。振動外科用ラスプ50は、ステンレス鋼、コバルトクロム又はチタンなどの医療等級の金属から構成され得るが、他の金属又は合金も使用され得る。加えて、いくつかの実施形態においてポリアリルエーテルエーテルケトン(polyaryetheretherketone)(PEEK)などの剛性のポリマーもまた使用され得る。
【0048】
図10〜14を参照し、強化関節窩構成要素10の埋め込みの外科手術において、振動ラスプ50と共に使用するためのラスプガイド110が示される。ラスプガイド110は、その一端に凹状ガイド表面126を有する本体122を含む。本体122の凹状ガイド表面126は、その上で深さ停止部96が底に達する平滑なガイド表面を提供し、その後振動外科用ラスプ50の動作中に関節運動する。アンカー表面132は、本体122の凹状表面126に対して反対側に形成される。アンカー表面132は丸く(すなわち、凸状)、患者の関節窩に固定されるように構成される。
【0049】
ラスプガイド110はまた、アンカーペグ134を含む。アンカーペグ134は、アンカー表面132から垂直に延びる。アンカーペグ134は、患者の肩甲骨の関節窩表面に掘られるかないしは別の方法で形成される穴の中への挿入を促進する導入部として機能する、テーパ状頭部136を含む。本明細書に記載される例示的な実施形態において、ラスプガイド110のアンカーペグ134は、強化関節窩構成要素10のアンカーペグ34と共通の構成(例えば、長さ及び直径)を有する。ラスプガイド110はまた、複数の尖ったアンカーピン138を含む。アンカーピン138は、ラスプガイド110のアンカー表面132から離れる様に、垂直に延びる。アンカーピン138は、患者の関節窩内に駆動されて、ラスプガイド110を安定化させることができる(例えば、これがアンカーペグ134を中心に回転するのを防ぐ)。図13及び図14に見られるように、穴140はラスプガイド110の本体122を通じて延びる。別個のアンカーピン(図示されない)は、穴140を通じて挿入され、患者の関節窩内に駆動されて、ラスプガイド110を更に安定化させる。
【0050】
ラスプガイド110が患者の関節窩に固定される際、ラスプガイド110の後方縁部142は、関節窩の前方部分と後方部分との間の垂直方向の境界を画定する。したがって、ラスプガイド110は、準備された前方表面及び中央穴(すなわち、強化関節窩構成要素10のアンカーペグ34が挿入される穴)を保護する。以下でより詳細に記載されるように、振動ラスプ50でやすりをかけている間、切削頭部58は、ラスプガイド110の縁部142を前方で切削することを防がれ、それによって関節窩の中央に骨の壁部を生成し、これは強化関節窩構成要素10の内側表面の前方半体と後方半体との間の垂直なステップ(すなわち、強化関節窩構成要素10の側面30と対応する外科的に準備された表面)として機能する。
【0051】
図12に見られるように、ラスプガイド110のガイド表面126は、曲率半径R3を有する。上記のように、及び図2に見られるように、バットレス24の内側表面28の丸い表面は曲率半径R2を有する。ガイド11は、そのガイド表面126の曲率半径R3が、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2を近く模倣するように実施される。一実施形態において、ガイドのガイド表面126の曲率半径R3の長さは、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さ±5mmである。より具体的な実施形態において、ガイドのガイド表面126の曲率半径R3の長さは、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さ±3mmである。更により具体的な実施形態において、ガイドのガイド表面126の曲率半径R3の長さは、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さと等しい。本明細書において記載される例示的な実施形態において、ガイドのガイド表面126の曲率半径R3の長さ及び強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さは両方とも、32.97mmである。
【0052】
本明細書に記載される例示的な実施形態において振動外科用ラスプガイド110は、モノリシックの構成要素として実施される。したがって、本体122は、アンカーペグ134と一体形成される。振動外科用ラスプガイド110は、ステンレス鋼、コバルトクロム又はチタンなどの医療等級の金属から構成され得るが、他の金属又は合金も使用され得る。加えて、いくつかの実施形態においてポリアリルエーテルエーテルケトン(polyaryetheretherketone)(PEEK)などの剛性のポリマーもまた使用され得る。
【0053】
ここで図15〜20を参照し、強化関節窩構成要素10の埋め込みのために患者の関節窩184を外科的に準備するために振動ラスプ50が使用される、外科手術が示される。外科用手術は、手術前計画から始まり、とりわけ、ガントリが関節窩の平面及び肩甲骨の平面と垂直に位置付けられた、薄切り(1mm)軸方向CTスキャンが得られる。窩回転の測定において、中央赤道のすぐ下の単一の軸方向スライスが得られる。後方湾曲の修正がその後患者に対して個別化される。手術前計画が完成すると、関節窩へのアクセスを可能にするために、患者の軟組織が切開されて、後退させられる。骨関節窩の完全な(すなわち360°)の露出が典型的には達成される。
【0054】
図15に示されるように、ガイドピン186はその後、所望の度合いの後方湾曲の修正を可能にするような配向で、関節窩184の中央に挿入される。これは、複数の異なるピン配置装置の1つを使用して達成され得る。ガイドピン186は、その長さに沿った位置で刻みをいれられてもよく、挿入後にピン186の長さを調節するための、制御された破断を可能にする。具体的に手術の任意の時点において、ガイドピン186は、刻み印の真上にハンドルを、この刻み印の真下に針ドライバを配置し、ピン186を刻み印のところで曲げることによって、所望の長さまで短くすることができる。本明細書に記載される例示的な手術において、5.1〜7.6cm(2〜3インチ)のピン186が関節窩から横方向に突出する。
【0055】
採寸ピンガイド(図示されない)がその後、ガイドピン186の上に配置され得る。採寸ピンガイドは、患者の関節窩のための、最適な大きさの強化関節窩構成要素を決定するために使用される。典型的には、所望の大きさの強化関節窩構成要素が、骨表面の周囲に張り出すことなく、関節窩表面をできる限り被覆する。
【0056】
患者の関節窩184の前方表面188はその後、典型的な方法でリーマー仕上げされる。特に、図16に示されるように、球形のリーマー182がガイドピン186上で使用されて、関節窩の前方表面188をリーマー仕上げして、関節窩184の上位縁部(すなわち、12時方向)から関節窩184の下位縁部(すなわち、6時方向)まで、均等で凹状の表面を生成する。リーマー仕上げした表面190は、最終的な外科的に準備された表面であり、これは、埋め込まれる際に、強化関節窩構成要素10の前方内側表面32に接触する。使用される球形リーマー182が強化関節窩構成要素10の上位/下位寸法よりも小さい場合、前方関節窩の上位及び/下位側面上に少量の骨が残ることが理解されるべきである。この残った骨は、周辺リーマー(図示されない)で取り除かれる。残った骨を取り除くために、ハンドバリ(図示されない)がかわりに使用され得る。患者の前方関節窩184のリーマー仕上げされた表面190が図17に示される。
【0057】
深さゲージ(図示されない)がその後、ガイドピン186の上に配置され得る。深さゲージの裏面と準備された前方関節窩表面190との間の接触及び一致が決定される。接触及び一致が外科医の意にそぐわない場合、骨の更なる調整がその後行われ得る。深さゲージを通じて深さプローブ(図示されない)を挿入することにより、後方関節窩の欠損の最大深さが測定される。1つの例示的な器具において、深さゲージの後方半体に3つの穴が提供され、それによって3つの異なる位置及びこれらの対応する深さが評価され得る。ほとんどの場合、欠損の最大深さは関節窩の後方、上方四分円にある。このような評価は、埋め込み選択(すなわち、特定の大きさの強化関節窩構成要素10の選択)を可能にする。例えば、最大深さが3mm以下である場合、3mm強化(すなわち、3mm厚さのバットレス24)を有する強化関節窩構成要素10が必要とされる。測定される深さが3mm〜5mmである場合、5mm強化を有する強化関節窩構成要素10が必要とされる。測定される深さが5mm〜7mmである場合、7mm強化を有する強化関節窩構成要素10が必要とされる。本明細書において記載される例示的な手術において、測定される深さが7mm超である場合、患者の関節窩184の前方表面188から追加的な骨が取り除かれる必要があり得る。この例示的な場合において、取り除かれる追加的な骨の量は、最大欠陥−7mmに等しい。
【0058】
適切な大きさの後方準備ガイド(図示されない)はその後、これが準備された前方関節窩表面190にしっかりと、同心状に接触するようにガイドピン186の上に配置される。ガイドの後方ウィンドーは、強化関節窩構成要素10のバットレス24を受容するように準備された関節窩184の後方表面194の境界を画定し、これは無菌ペン、鋸歯又はボビーのいずれかでこれらの境界を形成するための型板として使用され得る。
【0059】
一度バットレス24の境界がマーキングされると、後方関節窩が外科的に準備される。最初に、図17に示されるように、選択された強化関節窩構成要素10のバットレス24のステップ高さに基づき、適切な長さの、カニューレを取り付けた中央ドリル180が、ガイドピン186上に挿入された。ドリルはその後、強化関節窩構成要素10のアンカーペグ34を受容するために、関節窩184を準備する(すなわち、掘る)ために使用された。ドリル180は、これが関節窩184のリーマー仕上げされた前方表面190の底に達するまで促進される。一度アンカーペグ34のための中央穴178が掘られると、ピンプラ又は他の器具(図示されない)が、ガイドピン186を把持し取り除くために使用された。
【0060】
図18に示されるように、適切な大きさのラスプガイド110はその後、関節窩184のリーマー仕上げした前方表面190に固定される。このようにするため、ラスプガイドのアンカーペグ134のテーパ状頭部136が、関節窩184のリーマー仕上げされた前方表面190に掘られた中央穴178に挿入される。ラスプガイド110はその後、外科用マレット(図示されない)又は他の器具で叩かれて、ラスプガイド110のアンカーピン138を患者の関節窩184内に駆動し、ラスプガイド110を安定化させる(例えば、これがアンカーペグ134を中心に回転するのを防ぐ)。任意により、追加的なアンカーピン176が穴140を通じて挿入され、患者の関節窩184内に駆動されて、ラスプガイド110を更に安定化させ得る。
【0061】
図18に見られるように、ラスプガイド110が患者の関節窩184に固定されるとき、ラスプガイド110の後方縁部142は、リーマー仕上げされた前方表面190とやすりをかけられる関節窩184の後方表面194との間の垂直方向の境界を画定する。したがって、ラスプガイド110は、準備された前方表面190及び中央穴178を保護する。本明細書において記載される例示的な実施形態において、ラスプガイドは、前方/後方方向で中央に合わされる。したがって、ガイドの前方142によって生成される垂直方向の境界は、関節窩184を、前方/後方方向で等しい大きさの半体へと分割する。以下で図19に関連して記載されるように、振動ラスプ50でやすりをかけている間、切削頭部58は、ラスプガイド110の縁部142を前方で切削することを防がれ、それによって関節窩184の中央に骨の壁部を生成し、これは強化関節窩構成要素10の内側表面の前方半体と後方半体との間の垂直なステップ(すなわち、強化関節窩構成要素10の側面30と対応する外科的に準備された表面)として機能する。
【0062】
選択される強化関節窩構成要素10のバットレス24に適合するような大きさの振動ラスプ50はその後、複数の異なる大きさのラスプ50から得られ、後方準備を完成させるために使用される。選択される振動ラスプ50の取り付け頭部52はその後、振動する出力ツール100(図7参照)のチャック102内に固定される。一度チャックで締められると、ラスプ50が関節窩184の後方部分に接触するように促進される。図19に示されるように、外科医はその後振動出力ツール100を活性化し、切削頭部58の切削表面66を関節窩184の後方表面194と接触するように促進する。ラスプ50が患者の関節窩184に向かって内側に促進される際、ラスプ50の振動運動が骨を研磨し、深さ停止部96の先頭表面94(図4〜7参照)がラスプガイド110の凹状ガイド表面126上で底に達するまで骨を取り除き続ける。外科医は、深さ停止部96が凹状ガイド表面126に載るようにし、それによってラスプガイド110を準備ガイドとして使用して、ラスプ50を振動させ続る。後方関節窩表面194は、前方関節窩表面190に対して所望の深さまで準備される。換言すれば、深さ停止部96は、外科的に準備される前方表面190と後方関節窩表面194との間の空間的な関係(すなわち、深さ)を生成し、これは、関節窩構成要素24の後方内側表面28とその前方内側表面32との間の距離と適合する。このような距離は、バットレスの後方内側表面28から強化関節窩構成要素10の前方内側表面32まで垂直に延びる、側面30の高さによって画定される(図1〜3参照)。ラスプ50の深さ停止部96が凹状ガイド表面126と接触し、それによってラスプガイド110をそのような方法で使用するとき、関節窩184の後方準備が完成する(すなわち、やすりをかけた前方関節窩表面198が完成した(図20参照))。
【0063】
単一のラスプ50でやすりをかけた後方関節窩表面198を完成させる代わりに、複数の異なる大きさのラスプ50が使用され得ることが理解されるべきである。特に、所望の最終的な大きさを生成するために、段階的により大きい大きさのラスプ50を、多く使用してもよい。例えば、最初のやすりかけは、比較的小さい切削頭部58を有するラスプ50で行われてもよい。その後、段階的に、より大きな切削頭部58を有する1つ以上の追加的なラスプ50を使用して、その後のやすりかけを行い、所望の最終的な大きさのより大きな空洞を形成してもよい。
【0064】
選択される強化関節窩構成要素10の内側表面を模倣するような大きさの骨準備評価装置(図示されない)がその後使用されて、骨表面の前方リーマー仕上げ及び後方やすりかけが、選択される強化関節窩構成要素10に適合するために十分であったかどうかを判定する。骨準備評価装置は一般的に、準備される関節窩表面との十分かつ同心状の接触を形成する。骨の高い部位により、骨準備評価装置を完全に配置することができない場合、インパクタ、タンプ又は他の機器が使用されて、準備される関節窩表面をより適合するものにし得る。骨準備評価装置の適合がその後、再び評価され得る。
【0065】
選択される強化関節窩構成要素10に対して特異的な周辺ドリルガイド(図示されない)が、その後、掘られた中央穴内に挿入される。安定化ペグ38のための穴がその後、ドリルガイドの補助により掘られる。
【0066】
インプラント試験品(図示されない)が、準備された関節窩184内に配置され、その適合が評価される。試験品の内側と準備された骨の表面との間の完全かつ同心状の接触が一般的に所望される。そうでない場合、前の骨準備工程の一部又は全部が繰り返され得る。この適合が適切である場合、試験品は取り除かれる。
【0067】
関節窩準備の間に回収されて細かく細片化された骨が使用されて、「骨ペースト」が生成される。この骨ペーストは、強化関節窩構成要素10のアンカーペグ34のフィン40の間に配置されて、組織の一体化を促進する。PMMA系骨セメントなどの、骨セメントが準備された関節窩184の周辺の穴の中に配置され(すなわち、安定化ペグ38のための穴)、指先で圧迫される。強化関節窩構成要素10がその後挿入され、関節窩インパクタ(図示されない)が使用されて、関節窩184の外辺部と完全に接触するまで、構成要素10を位置付ける。埋め込まれた構成要素10への圧力は、セメントが硬化するまで維持される。
【0068】
上記の外科用手術に対する修正が想到されることが理解されるべきである。例えば、一部の外科医は、ラスプガイド110を使用せずに、「自らの裁量で」やすりかけ手術を行うことを好む場合がある。このような場合、バットレス24の境界が一度マーキングされると、外科医は鋸歯又は他の外科用ツールを使用して、患者の関節窩184の中央線に、上位/下位方向にチャネルを形成する。このようなチャネルの深さは、鋸歯のエッチマークによって案内される。例えば、3mmの強化において、鋸歯は、3mmエッチマークが関節窩184の表面と同じ高さにくるまで、促進されるべきである。これは関節窩184の中央に骨の壁部を生成し、これは強化関節窩構成要素10の内側表面の前方半体と後方半体との間の垂直なステップ(すなわち、強化関節窩構成要素10の側面30と対応する外科的に準備された表面)として機能する。
【0069】
外科医はその後、外科的に準備された前方表面190をガイド表面として使用して、後方関節窩表面194にやすりをかけてよい。すなわち、外科医は、深さ停止部96が外科的に準備された前方表面190に載るようにして、それによってリーマー仕上げした前方関節窩表面190をガイド表面として使用して後方関節窩表面194にやすりをかけてもよい。
【0070】
以上、図面及び上記の説明文において本開示内容を詳細に図示、説明したが、こうした図示、説明はその性質上、例示的なものとみなすべきであって、限定的なものとみなすべきではなく、あくまで例示的実施形態を示し、説明したにすぎないのであって、本開示の趣旨の範囲に含まれる変更並びに改変は全て保護されることが望ましい点は理解されよう。
【0071】
例えば、本明細書において記載される振動ラスプ50は、他の種類の関節形成のために、骨構造を外科的に準備するために使用されてもよい。例えば、修正を加えた又は加えない振動ラスプ50が、腰部手術又は他の種類の関節手術に使用され得る。加えて、振動ラスプ50は、前方関節窩表面など、他の種類の関節窩を準備するために使用され得る。振動ラスプ50はまた、関節窩表面を整形するための、骨移植手術に使用されてもよい。
【0072】
本開示には、ここに述べた装置、システム、及び方法の様々な特徴に基づく複数の利点がある。本開示の装置、システム、及び方法の代替的実施形態は、ここで述べた特徴の全てを含むわけではないが、こうした利点の少なくとも一部から利益を享受するものである。当業者であれば、本発明の1つ以上の特徴を取り入れた、本開示の趣旨及び範囲に包含される装置、システム、及び方法の独自の実施を容易に考案し得るであろう。
【0073】
〔実施の態様〕
(1) 強化関節窩プロテーゼの埋め込み前の、患者の関節窩の外科的準備に使用するための振動外科用ラスプであって、前記振動外科用ラスプが、
振動ツールのチャックに固定されるように構成された取り付け頭部と、
前記取り付け頭部に固定された切削頭部であって、前記切削頭部が前記振動外科用ラスプの長手方向軸から後方に延びる切削表面を含み、前記切削表面が、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って振動する際に前記強化関節窩プロテーゼの形状と対応する形状に配置される、複数の切削歯を有する、切削頭部とを含む、振動外科用ラスプ。
(2) 前記切削頭部が、前記振動外科用ラスプの長手方向軸から前方に延びる深さ停止部を更に含む、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(3) 想像線が前記振動外科用ラスプの長手方向軸から、前記複数の切削歯のそれぞれの外側表面に沿って後方に延び、
前記想像線が前記振動外科用ラスプの長手方向軸と交差して、その間の交差角を画定し、
前記交差角が30°〜90°である、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(4) 前記交差角がおよそ75°である、実施態様3に記載の振動外科用ラスプ。
(5) 前記切削頭部の前記複数の切削歯が、上位切削歯及び前記上位切削歯に対して下位に位置付けられる下位切削歯を含み、
前記上位切削歯の前方端部が、前記下位切削歯の前方端部と第1距離だけ離間しており、
前記上位切削歯の後方端部が、前記下位切削歯の後方端部から前記第1距離よりも短い第2距離だけ離間している、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(6) 前記切削頭部の前記複数の切削歯が、複数の上位切削歯及び前記複数の上位切削歯に対して下位に位置付けられる複数の下位切削歯を含み、
前記複数の上位切削歯が互いに平行であるように配置され、かつ前記複数の下位切削歯が互いに平行であるように配置され、
前記複数の上位切削歯及び前記複数の下位切削歯が、互いに対して角度を成して前記外科用ラスプの長手方向軸から後方に延び、互いに対して集束する、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(7) 前記切削頭部の前記複数の切削歯が、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って振動する際に前記強化関節窩プロテーゼの後方バットレスの形状と対応する形状に配置される、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(8) 前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±5mmである、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(9) 前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±3mmである、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(10) 前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さと等しい、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
【0074】
(11) 強化関節窩プロテーゼの埋め込み前の、患者の関節窩の外科的準備において使用するための、整形外科用器具アセンブリであって、前記外科用器具アセンブリが、
振動外科用ラスプであって、
(i)振動ツールのチャックに取り付けられるように構成された取り付け頭部、及び
(ii)取り付け頭部に固定された切削頭部であって、前記切削頭部が、前記振動外科用ラスプの長手方向軸から後方に延びる切削表面を含み、前記切削表面が、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って振動する際に前記強化関節窩プロテーゼの形状と対応する形状に配置される、複数の切削歯を有する、切削頭部を含む、振動外科用ラスプと、
操作中に、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って、前記振動外科用ラスプを案内するように構成されたガイド表面、及び前記ガイド表面の反対側にあり、前記患者の前記関節窩に固定されるように構成されたアンカー表面を有するラスプガイドとを含む、整形外科用器具アセンブリ。
(12) 前記振動外科用ラスプの前記切削頭部が、前記振動外科用ラスプの長手方向軸から前方に延びる深さ停止部を更に含み、
前記ラスプガイドの前記ガイド表面が、操作中に前記振動外科用ラスプの前記切削頭部の深さ停止部を案内するように構成された、実施態様11に記載の整形外科用器具アセンブリ。
(13) 前記ラスプガイドの前記アンカー表面が、そこから垂直に延びるアンカーペグを含み、前記アンカーペグが、前記患者の前記関節窩内に形成された穴に受容されるように構成された、実施態様11に記載の整形外科用器具アセンブリ。
(14) 前記ラスプガイドの前記ガイド表面が凹状である、実施態様11に記載の整形外科用器具アセンブリ。
(15) 前記ラスプガイドの前記アンカー表面が、そこから垂直に延びる複数の尖ったアンカーピンを含み、前記アンカーピンが、前記患者の前記関節窩の骨組織内に打ち込まれるように構成された、実施態様11に記載の整形外科用器具アセンブリ。
(16) 前記切削頭部の前記複数の切削歯が、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って振動する際に前記強化関節窩プロテーゼの後方バットレスの形状と対応する形状に配置された、実施態様11に記載の整形外科用器具アセンブリ。
(17) 前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±5mmである、実施態様11に記載の振動外科用ラスプ。
(18) 前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±3mmである、実施態様11に記載の振動外科用ラスプ。
(19) 前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さと等しい、実施態様11に記載の振動外科用ラスプ。
(20) 前記ラスプガイドの前記ガイド表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±5mmである、実施態様11に記載の振動外科用ラスプ。
【0075】
(21) 前記ラスプガイドの前記ガイド表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±3mmである、実施態様11に記載の振動外科用ラスプ。
(22) 前記ラスプガイドの前記ガイド表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さに等しい、実施態様11に記載の振動外科用ラスプ。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
2010年11月30日に出願された、表題「Reciprocating Rasps for Use in an Orthopaedic Surgical Procedure」の同時係属米国特許出願公開番号第12/956,914号、及び2010年11月30日に出願された、表題「Reciprocating Rasps for Use in an Orthopaedic Surgical Procedure」の同時係属米国特許出願番号第12/956,881号が相互参照され、双方とも本出願と共通の譲受人に譲渡され、本明細書において参照として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は一般的に、整形外科用関節置換手術の実施に使用される整形外科用器具、より具体的には、整形外科用関節置換手術の実施に使用される振動ラスプに関連する。
【背景技術】
【0003】
患者の人生において、例えば、病気又は外傷の結果として患者に全肩関節置換手術を行う必要があり得る。全肩関節置換手術において、患者の上腕骨の自然頭部を置換するために、プロテーゼ頭部を有する上腕骨構成要素が使用される。上腕骨構成要素は典型的には、患者の上腕骨の骨髄管内に埋め込まれる細長い茎部を含む。このような全肩置換手術において、肩甲骨の自然関節窩表面は、表面再仕上げされるかないしは別の方法で、その上で上腕構成要素のプロテーゼヘッドが関節運動する軸受表面を提供する関節窩構成要素と置換される。
【0004】
上記に示唆されたように、肩関節置換手術の必要性は、複数の疾患のいずれかの存在により生じ得る。1つのこのような疾患は、例えば、肩甲上腕関節炎の結果による関節窩表面に近接する領域における、患者の肩甲骨の悪化である。このような疾患において、患者の肩甲骨の浸食は一般的に、関節窩表面の後方に観察される。このような肩甲骨の浸食は、従来的な関節窩構成要素での治療を不可能でないにしても困難なものにする。このような疾患を治療するために1つの方法は、一般的に強化関節窩構成要素として既知の、修正関節窩構成要素の使用による。強化関節窩構成要素は、対応する前方縁部よりも厚い後方縁部を有する。
【0005】
関節窩外科手術中に関節窩表面を調整するために、回転する球形又は円形リーマーなどの単純な外科用器具が使用される。これは、従来的な関節窩構成要素(すなわち、非強化関節窩構成要素)は典型的には、湾曲しているか又は平坦な、均一な裏側形状を有し、これが関節窩の準備を非常に単純にしているため、十分である。しかしながら、複雑な裏側形状を有する関節窩構成要素(例えば、強化関節窩構成要素)の使用は、骨の準備をより困難にする。外科医は、自らの裁量の技術による操作において、リーマー、鋸及びバリの組み合わせの使用を余儀なくされ、これは、これらの複雑な構成要素の埋め込みのための術中評価のために頻繁に中断される必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様により、強化関節窩構成要素は、構成要素の後方側面上のバットレスを含む。強化関節窩構成要素はまた、フィンを有するアンカーペグ及び複数の安定化ペグを含む。
【0007】
別の態様により、振動ラスプは、複雑な形状を有する強化関節窩構成要素の埋め込みのために必要な骨の外科的準備を可能にする。
【0008】
例示的な実施形態においては、強化関節窩の埋め込みの前の、患者の関節窩の外科的準備に使用するための振動外科用ラスプである。振動外科用ラスプは、振動ツールのチャックに固定されるように構成された取り付け頭部を含む。振動外科用ラスプはまた、取り付け頭部に固定される切削頭部を含む。切削頭部は、外科用ラスプの長手方向軸から後方に延びる切削表面を含む。切削表面は、患者の関節窩と接するように、規定の経路に沿って振動する際に、強化関節窩プロテーゼの形状と対応する形状に配置される、複数の切削歯を有する。
【0009】
外科用ラスプを振動させる切削頭部はまた、切削プレートの長手方向軸から前方に延びる深さ停止部を含み得る。
【0010】
ある実施形態において、想像線が、外科用ラスプの長手方向軸から、複数の切削歯のそれぞれの外側表面に沿って後方に延びる。想像線は外科用ラスプの長手方向軸と交差して、その間の交差角を画定する。交差角は30°〜90°である。より具体的な実施形態においては、交差角(θ)は30°〜89°であり、上位/下位方向に丸い表面を生成する。より具体的な実施形態において、交差角はおよそ75°である。ボールトタイプの修正関節窩構成要素の埋め込みに使用するためのラスプの場合、交差角は20°〜30°である。
【0011】
切削頭部の複数の切削歯は、上位切削歯及び上位切削歯に対して下位に位置付けられる下位切削歯を含み得る。上位切削歯の前方端部は、下位切削歯の前方端部と、第1距離だけ離間している。上位切削歯の後方端部は、下位切削歯の上位端部から、第1距離よりも短い第2距離だけ離間している。
【0012】
切削頭部の複数の切削歯は、複数の上位切削歯対して下位に位置付けられる複数の上位切削歯及び複数の下位切削歯を含み得る。上位切削歯は互いに平行に配置され、下位切削歯は互いに平行に配置される。上位切削歯及び下位切削歯は、互いに対して角度を成して外科用ラスプの長手方向軸から後方に延び、互いに対して集束する。
【0013】
実施形態において、切削頭部の複数の切削歯は患者の関節窩と接するように、規定の経路に沿って振動する際に、強化関節窩プロテーゼの後方バットレスの形状と対応する形状に配置され得る。
【0014】
別の態様により、強化関節窩プロテーゼの埋め込みの前の、患者の関節窩の外科的準備に使用するための、整形外科用器具アセンブリは、振動外科用ラスプを含む。振動外科用ラスプは、振動ツールのチャックに固定されるように構成された取り付け頭部及び取り付け頭部に固定された切削頭部を含む。切削頭部は、振動外科用ラスプの長手方向軸から後方に延びる切削表面を含み得る。切削表面は、患者の関節窩と接するように、規定の経路に沿って振動する際に、強化関節窩プロテーゼの形状と対応する形状に配置される、複数の切削歯を有する。整形外科用器具アセンブリはまた、操作中に振動外科用ラスプを案内するように構成されたガイド表面、及びガイド表面の反対側にあり患者の関節窩に固定されるように構成されたアンカー表面を有する、ラスプガイドを含む。
【0015】
振動外科用ラスプの切削頭部は、振動外科用ラスプの長手方向軸から前方に延びる深さ停止部を更に含み得る。ラスプガイドのガイド表面は、操作中に振動外科用ラスプの切削頭部の深さ停止部を案内するように構成される。
【0016】
一実施形態において、ラスプガイドのアンカー表面は、そこから垂直に延びるアンカーペグを含む。アンカーペグは、患者の関節窩に形成される穴の中に受容されるように構成される。
【0017】
実施形態において、ラスプガイドのガイド表面は凹状である。
【0018】
ラスプガイドのアンカー表面はまた、そこから垂直に延びる、複数の尖ったアンカーピンを含み得る。アンカーピンは患者の関節窩の骨組織内に駆動されるように構成される。
【0019】
一実施形態において、切削頭部の複数の切削歯は患者の関節窩と接するように、規定の経路に沿って振動する際に、強化関節窩プロテーゼの後方バットレスの形状と対応する形状に配置される。
【0020】
別の態様により、関節窩構成要素を患者の関節窩に外科的に埋め込む方法は、ラスプガイドを患者の関節窩に固定する工程と、関節窩構成要素を受容する形状の空洞を形成するように骨組織を研磨するために、ラスプガイド上で外科用ラスプを振動させる工程と、関節窩構成要素を空洞内に埋め込む工程とを含む。
【0021】
外科用ラスプは、切削頭部が固定された取り付け頭部を含み得る。取り付け頭部は、振動出力ツールに固定されてもよく、出力ツールは外科用ラスプの切削頭部を振動させるように操作される。
【0022】
外科用ラスプは、深さ停止部を有する切削頭部を含み得る。ラスプガイドは、患者の関節窩から外側に向くガイド表面を含み得る。外科用ラスプは、外科用ラスプの深さ停止部がラスプガイドのガイド表面に接触するまで、患者の関節窩の方に推進され得る。
【0023】
ある実施形態において、アンカー穴が患者の関節窩に掘られる。ラスプガイドは、そこから垂直に延びるアンカーペグを含み得る。ラスプガイドのアンカーペグは、掘ったアンカー穴に挿入される。
【0024】
ガイドピンが、患者の関節窩に挿入され得る。リーマーが次に、ガイドピン上に促進される。患者の関節窩は次に、関節窩構成要素を受容するように整形された空洞を形成するためにラスプガイド上で外科用ラスプを振動させる前に、リーマー仕上げされて、リーマー仕上げされた表面を生成する。
【0025】
カニューレを取り付けたドリルが、ガイドピン上で促進されてもよく、アンカー穴が患者の関節窩のリーマー仕上げされた表面に掘られる。ラスプガイドのアンカーペグはその後、掘ったアンカー穴に挿入される。
【0026】
関節窩構成要素は、バットレスを有する強化関節窩構成要素として実施され得る。外科用ラスプは、このような強化関節窩構成要素のバットレスを受容するような形状の空洞を形成するために骨組織を研磨するように、振動させられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
「発明を実施するための最良の形態」は特に以下の図面に関する。
【図1】強化関節窩構成要素の斜視図。
【図2】図1の強化関節窩構成要素の側面図。
【図3】図1の強化関節窩構成要素の側面図。
【図4】図1〜3の強化関節窩構成要素の埋め込みのための外科用手術で使用するために振動ラスプの斜視図。
【図5】図1〜3の強化関節窩構成要素の埋め込みのための外科用手術で使用するために振動ラスプの斜視図。
【図6】図4及び図5の振動ラスプの立面図。
【図7】図4及び図5の振動ラスプの立面図。
【図8】図4及び図5の振動ラスプの平面図。
【図9】矢印の方向で見た、図6の線9−9に沿って取った、図4及び図5の振動ラスプの断面図。
【図10】図1〜3の強化関節窩構成要素の埋め込みのための外科手術において、図4及び図5の振動ラスプと共に使用するためのラスプガイドの斜視図。
【図11】図1〜3の強化関節窩構成要素の埋め込みのための外科手術において、図4及び図5の振動ラスプと共に使用するためのラスプガイドの斜視図。
【図12】図10及び図11のラスプガイドの立面図。
【図13】図10及び図11のラスプガイドの立面図。
【図14】図10及び図11のラスプガイドの底部立面図。
【図15】図1〜図3の、強化関節窩構成要素の埋め込みの外科用手術中に、患者の関節窩に挿入されるガイドピンを示す、前方斜視図。
【図16】患者の関節窩をリーマー仕上げするために使用されるリーマーを示す、図15と同様の図。
【図17】患者の関節窩内にアンカー孔を掘るために使用される、ドリルを示す、図15と同様の図。
【図18】患者の関節窩に固定されるラスプガイドを示す、図15と同様の図。
【図19】患者の関節窩にやすりをかける間の図4〜6振動ラスプを示す、後方斜視図。
【図20】図4及び図5の振動ラスプで外科的に調整された後の、患者の関節窩を示す、図19と同様の図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の例示的実施形態を図面に例として示し、ここに詳しく述べる。ただし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明の趣旨並びに範囲に包含される全ての改変物、等価物、及び代替物を網羅することを意図するものであることが理解されるべきである。
【0029】
解剖学的参照を表す前側、後側、内側、外側、上、下等の用語は、本開示全体にて、本明細書に記載する整形的インプラントと、患者の天然の解剖学的構造との両方に関して使用され得る。これらの用語は、解剖学的構造の研究及び整形外科の分野の両方にて十分理解される意味を有する。明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的参照用語の使用は、特に言及しない限り、それらの十分理解された意味と一致することが意図される。
【0030】
図1〜3を参照し、強化眼窩構成要素10が示される。強化関節窩構成要素10は、その一端において凹状表面26を有する本体22を含む。本体22の凹状表面26は、自然又はプロテーゼ上腕骨頭部がそこに関節運動する、平滑な軸受表面を提供する。バットレス24は、本体22の、凹状表面26の反対側の前方内側表面32から、離れるように延びる。バットレス24の後方内側表面28は、前方/後方方向に実質的に平坦であり、上位/下位方向に丸くなっている(すなわち、凸状)。前方内側表面32は、全ての方向に丸くなっている(すなわち、凸状)が、所与の設計の必要性に適合するように、平坦な部分を含み得る。側部表面30は、後方内側表面28から前方内側表面32へと垂直に延びる。あるいは、側部表面30は、表面28及び表面32の両方に対して角度を有し得る。
【0031】
強化関節窩構成要素10はまた、アンカーペグ34を含む。アンカーペグ34は、前方内側表面32から垂直に延びる。アンカーペグ34は、患者の肩甲骨の関節窩表面に掘られるかないしは別の方法で形成される穴の中への挿入を促進する導入部として機能する、テーパ状頭部36を含む。関節窩構成要素10はまた、複数の安定化ペグ38を含む。ペグ38の1つが前方内側表面32から延び、別のペグ38が、バットレス24の後方内側表面28から延びる。3つの安定化ペグ38のうちの別のものが、前方内側表面32及びバットレス24の両方から延びる(すなわち、これはバットレス24及び前方内側表面32に跨る)。一般的に、安定化ペグ38は、アンカーペグ34よりも短い。更に、安定化ペグ38のいくつか(例えば、前方内側表面32から延びるもの)は、他のものよりも短いが、他の構成も使用され得る。安定化ペグ38は、患者の肩甲骨の関節窩表面に掘られるかないしは別の方法で形成される、複数の対応する孔の中に受容される。
【0032】
本明細書において記載される例示される実施形態において、強化関節窩構成要素10は、モノリシック成形される構成要素として実施される。すなわち、本体22、アンカーペグ34及び安定化ペグ38は、ポリエチレンなどのポリマーを使用して一体成型される。好適なポリエチレンの一例は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)である。ポリマーに加え、強化関節窩構成要素10はセラミック、金属又は複合材料から作製され得る。これらの材料の例としては、アルミナ、ジルコニア及びアルミナ/ジルコニア複合体又は複合材料が挙げられる。
【0033】
アンカーペグ34は、複数の放射状フィン40を含む。フィン40は変形可能である。これは、アンカーペグ34が、患者の肩甲骨の関節窩表面内に掘られたアンカーボア内に適合することを可能にするが、アンカーペグ34の脱出又は「抜け落ち」に抵抗する。任意の数又は大きさの放射状フィン40がアンカーペグ34に含まれ得る。加えて、各フィン40は、同じ大きさの外径を有するものとして本明細書では記載されるが、他の構成の使用もまた想到されることが理解されるべきである。例えば、フィン40は、フィン40の各外径がアンカーペグ34の遠位端からアンカーペグ34の近位端にかけて漸増する(すなわち、アンカーペグ34の遠位端に位置付けられるリングが、アンカーペグ34の近位端の付近に位置付けられるリングに対して小さい直径を有する)テーパ状の構成で提供され得る。
【0034】
フィン40は、アンカーペグ34が患者の肩甲骨に掘られたアンカー穴に挿入される際に僅かに変形するように構成される。これはフィン40がアンカー穴内に促進される際に起こるが、これは、アンカー穴がアンカーペグ34のシャフトの直径よりは僅かに大きいが、フィン40の外径よりも小さい直径を有するように掘られ、それによってフィン40が穴内に「推進」されて掘られた穴の側壁と接触する際に、フィン40の変形を生じるためである。フィン40のこのような変形は、ねじのねじ山がこれが推進される材料からのねじの抜け落ちに抵抗を提供するのと丁度同じように、掘られたアンカー穴からのアンカーペグ34の抜け落ちに抵抗を提供することによって強化関節窩構成要素を肩甲骨に固定する。強化関節窩構成要素10の患者の肩甲骨への埋め込みの後、一定期間にわたり、骨組織又は他の種類の組織がフィン40の間の空間内に増殖し、それによって掘られた穴からのアンカーペグ34の抜け落ちに更なる抵抗を提供する。
【0035】
一度関節窩構成要素10が埋め込まれると、安定化ペグ38は、強化関節窩構成要素10の、肩甲骨に対する回転又は他の種類の移動を防止する。各安定化ペグ38の遠位端は、安定化ペグ38の、患者の肩甲骨の関節窩に掘られた各安定化穴への挿入を促進するための「導入部」として機能する円錐形先端部を有する。
【0036】
安定化ペグ38は、強化関節窩構成要素の所与の設計の必要性に適合する、本体22における任意の配置に構成され得る。加えて、強化関節窩構成要素の所与の設計の必要性に適合するように、任意の数の安定化ペグ38が使用され得ることが理解されるべきである。このようなバリエーションの例が同一所有者の米国特許番号第6,699,289号に示され、その全体が本明細書において参照として組み込まれる。
【0037】
ここで図4〜9を参照し、強化関節窩構成要素10と関連する複雑な形状の埋め込みを促進するための、患者の関節窩の外科的準備のために使用され得る、振動ラスプ50が示される。ラスプ50は、振動出力ツール100のチャック102(図7)内に適合する取り付け頭部52を含む。振動ラスプ50はまた、取り付けヘッド52の遠位端56に固定される切削ヘッド58を含む。以下で更に詳細に記載れるように、振動ラスプ50が患者の関節窩と接触して既定の経路に沿って振動する際に、切削ヘッド58の形状は、強化関節窩構成要素10のバットレス24の形状と対応する。振動ラスプ50の切削ヘッド58は、複数の切削歯60を含む。ラスプ50が促進されて、振動運動しながら患者の肩甲骨の関節窩表面と係合するとき、振動ラスプ50の切削歯60は肩甲骨の骨組織を研磨するかないしは別の方法で切削し、それによって強化関節窩構成要素10のバットレス24を受容するために必要な形状(すなわち、形)を有するノッチを徐々に生成する。切削歯60は本明細書では細長い、線形の切削歯として記載されるが、切削歯の他の実施形態も使用され得ることが理解されるべきである。例えば、切削歯60は、ダイアモンドナールタイプの切削歯として実施され得る。
【0038】
取付ヘッド52は、キーイングスロット62及び複数の駆動穴64を含む。振動出力ツール100のハブ102は、振動ラスプ50を振動出力ツール100(図7参照)に連結するためにキーイングスロット62及び駆動穴64内に受容される、戻り止め(図示されない)などの複数の機構を含む。取り付け頭部52は、特定の代表的な搭載構成(すなわち、キーイングスロット62及び駆動穴64を含む構成)を有するものとして本明細書では示されるが、ラスプ50が特定の種類の振動出力ツール100に連結されることを可能にするように、取り付けヘッド52の設計において使用するための、他の搭載構成が想到される。更に、取り付け頭部52は、同じラスプ50が複数の異なる振動出力ツール100に連結されることを可能にするために、「自在」搭載構成を有するものとして実施され得る。
【0039】
切削頭部58は、振動ラスプ50(図6参照)の長手方向軸68から後方に延びる切削表面66を含む。振動ラスプ50が患者の関節窩と接するように規定の経路に沿って振動するとき、切削頭部58の切削表面66は、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の形状を模倣する。すなわち、振動ラスプ50が、患者の関節窩と接するように規定の経路に沿って振動するとき、切削表面66は前方/後方方向に実質的に平坦であり、上位/下位方向に丸い(すなわち、凸状)の、やすりをかけた表面を生成する。切削表面66は、複数の切削歯60の外側表面によって画定される。図6に見られるように、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の形状を模倣するこのような形状を生成するために、切削表面66(すなわち、切削歯60の外側表面)は非垂直角で長手方向軸68から後方に離れるように延びる。換言すれば、図6及び図7に示されるように、切削表面66(すなわち、切削歯60の外側表面)は、前から後ろに(すなわち、前方−後方方向)見た際に、上方に角度を有するこれは図6に幾何学的に示され、想像線80が振動ラスプ50の長手方向軸68から、複数の切削歯60のそれぞれの外側表面に沿って(すなわち、切削表面66に沿って)後方に延びる。想像線80は、振動ラスプ50の長手方向軸68と交差して、その間に交差角(θ)を画定する。代表的な実施形態において、交差角(θ)は30°〜90°である。より具体的な実施形態においては、交差角(θ)は30°〜89°であり、上位/下位方向に丸い表面を生成する。より具体的な代表的な実施形態において、交差角(θ)はおよそ75°である。別の更に具体的な実施形態において、交差角(θ)はおよそ76.7°である。
【0040】
振動ラスプ50はまた、ボールトタイプ構成要素などの、修正構成要素の埋め込みのために、患者の関節窩を準備するためのツールとして実施され得る。特に、修正手術は、関節窩構成要素を置換するために行われ得る。このような修正手術において、以前に埋め込まれた関節窩構成要素が外科手術により取り除かれ、置換関節窩構成要素が、患者の関節窩に埋め込まれる。修正手術の後に、副顆頭板が損傷を受けているか、欠損している場合がある。修正手術はまた、肩甲骨の関節窩ボールトの海綿骨の欠陥(場合によっては非常に大きい)を生じることもある。欠損した骨を置換するために関節窩内に延びる(すなわち、「満たす」)、金属支持体を含む、ボールト−装填(すなわち、ボールト式)修正関節窩構成要素が開発されてきた。一般的に、ポリエチレン(例えば、UHMWPE)、又はセラミック若しくは金属などの他の材料から作製される軸受構成要素は、その後埋め込まれた金属支持体に固定されて、上腕骨構成要素の近位端(例えば、プロテーゼ頭部)がその上に関節運動する軸受表面を生成する。このようなボールトタイプの構成要素は、楔形の本体を形成する複数の傾斜した側壁を含む。ボールトタイプの修正関節窩構成要素の埋め込みに使用するためのラスプの場合、想像線80と振動ラスプ50の長手方向軸68との間の交差角(θ)は20°〜30°である。
【0041】
上記のように、振動ラスプ50が患者の関節窩と接するように規定の経路に沿って振動するとき、切削頭部58の切削表面66は、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の形状を模倣する。本明細書において記載される代表的な実施形態において、振動ツール100の振動幅(throw)は8°であり、すなわち、ラスプは中心から各方向に4°の経路に促進される。しかしながら、振動外科用ラスプ50の構成は、これが異なる振動ツール100によって生成される、任意の数の異なる振動幅に適合することを可能にする。
【0042】
図8の平面図に見られるように、ラスプの切削頭部58の切削歯60は、前−後(すなわち、前方−後方方向)に見た際に、互いに対して角度を成す。特に、切削歯60は、複数の上方切削歯82及び複数の下方切削歯84を含む。下方切削歯84は、上方切削歯82に対して下方に位置付けられる。本明細書において記載される例示的な実施形態において、各上方切削歯82は互いに平行であり、各下方切削歯84は同様に互いに平行である。上方切削歯82及び下方切削歯84は、互いに対して角度を成して振動ラスプの長手方向軸68から離れるように後方に延び、互いに対して集束する。これは図8に例示的に示され、所与の上方切削歯82の前方端部86は所与の下方切削歯84の前方端部88から、同じ上方切削歯82の後方端部90が、同じ下方切削歯84の後方端部92から離間する距離よりも大きな距離だけ離間している。換言すれば、所与の歯の対82、84の後方端部の間の距離は、同じ歯の対の後方端部の間の距離よりも短い。このような角度を有する構成は、切削歯82、84が、振動ラスプ50の動作中に取り除かれた骨組織を効果的に除去することを可能にする。
【0043】
ラスプ切削頭部58はまた、複数の非切削表面を有する。特に、実質的に平坦であり、平滑な前方側壁70は切削頭部58の前方端部72から上方に延びる。図6に示されるように、前方側壁70には切削歯が存在しない。後方側壁74は、切削表面66の後方端部76から、切削頭部58の裏側表面78へと上方に延びる。前方側壁70と同様に、後方側壁74及び裏側表面78にも切削歯は存在しない。
【0044】
図7に見られるように、振動外科用ラスプ50の切削表面66は、曲率半径R1を有する。図7に見られるように、切削表面の曲率半径の基準点は、キーイングスロット62の中心である。これは、ラスプ50が動作するときの振動の中心を表す。上記のように、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28は、上位/下位方向で丸くなっている(凸状)。図2に見られるように、バットレス24の後方内側表面28の丸い表面は曲率半径R2を有する。振動ラスプ50は、その切削表面66の曲率半径R1が、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2を近く模倣するように実施される。一実施形態において、ラスプの切削表面66の曲率半径R1の長さは、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さ±5mmである。より具体的な実施形態において、ラスプの切削表面66の曲率半径R1の長さは、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さ±3mmである。更により具体的な実施形態において、ラスプの切削表面66の曲率半径R1の長さは、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さと等しい。本明細書において記載される例示的な実施形態において、ラスプの切削表面66の曲率半径R1の長さ及び強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さは両方とも、32.97mmである。
【0045】
振動ラスプ50の切削頭部58はまた、深さ停止部96を含む。深さ停止部96は、切削表面66と反対方向に延びる。換言すれば、深さ停止部96は、振動ラスプ50の長手方向軸68から前方に延びる。以下でより詳細に記載されるように、深さ停止部96は、患者の関節窩のリーマー仕上げした表面に固定されたラスプガイド110の底に達し、後方関節窩表面が、前方関節窩表面に対して所望の深さになるように準備されることを確実にする。換言すれば、深さ停止部96は、外科的に準備された前方関節窩表面と後方関節窩表面との間の空間的な関係(すなわち、深さ)を生成し、これは関節窩構成要素のバットレス24の後方内側表面28とその前方内側表面32との間の距離に適合する。このような距離は、バットレス24の後方内側表面28から強化関節窩構成要素10の前方内側表面32まで垂直に延びる、側面30の高さによって画定される(図1〜3参照)。
【0046】
深さ停止部96は、複数の異なる構造として実施され得る。例えば、深さ停止部96は、患者の関節窩の前方表面に固定されたラスプガイド110上で底に達するように構成された、1つ以上のタブ、バー、フランジ、他の同様の構造として実施され得、切削頭部58の患者関節窩の後方表面内への更なる貫通を防止する。本明細書において記載される代表的な実施形態において、深さ停止部96は、ほぼ楕円形のバーを有し、その縁部はラスプ切削頭部58の前方側壁70に固定されている。
【0047】
本明細書に記載される例示的な実施形態において振動外科用ラスプ50は、モノリシックの構成要素として実施される。したがって、取り付け頭部52は、切削頭部58と一体成型される。振動外科用ラスプ50は、ステンレス鋼、コバルトクロム又はチタンなどの医療等級の金属から構成され得るが、他の金属又は合金も使用され得る。加えて、いくつかの実施形態においてポリアリルエーテルエーテルケトン(polyaryetheretherketone)(PEEK)などの剛性のポリマーもまた使用され得る。
【0048】
図10〜14を参照し、強化関節窩構成要素10の埋め込みの外科手術において、振動ラスプ50と共に使用するためのラスプガイド110が示される。ラスプガイド110は、その一端に凹状ガイド表面126を有する本体122を含む。本体122の凹状ガイド表面126は、その上で深さ停止部96が底に達する平滑なガイド表面を提供し、その後振動外科用ラスプ50の動作中に関節運動する。アンカー表面132は、本体122の凹状表面126に対して反対側に形成される。アンカー表面132は丸く(すなわち、凸状)、患者の関節窩に固定されるように構成される。
【0049】
ラスプガイド110はまた、アンカーペグ134を含む。アンカーペグ134は、アンカー表面132から垂直に延びる。アンカーペグ134は、患者の肩甲骨の関節窩表面に掘られるかないしは別の方法で形成される穴の中への挿入を促進する導入部として機能する、テーパ状頭部136を含む。本明細書に記載される例示的な実施形態において、ラスプガイド110のアンカーペグ134は、強化関節窩構成要素10のアンカーペグ34と共通の構成(例えば、長さ及び直径)を有する。ラスプガイド110はまた、複数の尖ったアンカーピン138を含む。アンカーピン138は、ラスプガイド110のアンカー表面132から離れる様に、垂直に延びる。アンカーピン138は、患者の関節窩内に駆動されて、ラスプガイド110を安定化させることができる(例えば、これがアンカーペグ134を中心に回転するのを防ぐ)。図13及び図14に見られるように、穴140はラスプガイド110の本体122を通じて延びる。別個のアンカーピン(図示されない)は、穴140を通じて挿入され、患者の関節窩内に駆動されて、ラスプガイド110を更に安定化させる。
【0050】
ラスプガイド110が患者の関節窩に固定される際、ラスプガイド110の後方縁部142は、関節窩の前方部分と後方部分との間の垂直方向の境界を画定する。したがって、ラスプガイド110は、準備された前方表面及び中央穴(すなわち、強化関節窩構成要素10のアンカーペグ34が挿入される穴)を保護する。以下でより詳細に記載されるように、振動ラスプ50でやすりをかけている間、切削頭部58は、ラスプガイド110の縁部142を前方で切削することを防がれ、それによって関節窩の中央に骨の壁部を生成し、これは強化関節窩構成要素10の内側表面の前方半体と後方半体との間の垂直なステップ(すなわち、強化関節窩構成要素10の側面30と対応する外科的に準備された表面)として機能する。
【0051】
図12に見られるように、ラスプガイド110のガイド表面126は、曲率半径R3を有する。上記のように、及び図2に見られるように、バットレス24の内側表面28の丸い表面は曲率半径R2を有する。ガイド11は、そのガイド表面126の曲率半径R3が、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2を近く模倣するように実施される。一実施形態において、ガイドのガイド表面126の曲率半径R3の長さは、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さ±5mmである。より具体的な実施形態において、ガイドのガイド表面126の曲率半径R3の長さは、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さ±3mmである。更により具体的な実施形態において、ガイドのガイド表面126の曲率半径R3の長さは、強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さと等しい。本明細書において記載される例示的な実施形態において、ガイドのガイド表面126の曲率半径R3の長さ及び強化関節窩構成要素10のバットレス24の後方内側表面28の曲率半径R2の長さは両方とも、32.97mmである。
【0052】
本明細書に記載される例示的な実施形態において振動外科用ラスプガイド110は、モノリシックの構成要素として実施される。したがって、本体122は、アンカーペグ134と一体形成される。振動外科用ラスプガイド110は、ステンレス鋼、コバルトクロム又はチタンなどの医療等級の金属から構成され得るが、他の金属又は合金も使用され得る。加えて、いくつかの実施形態においてポリアリルエーテルエーテルケトン(polyaryetheretherketone)(PEEK)などの剛性のポリマーもまた使用され得る。
【0053】
ここで図15〜20を参照し、強化関節窩構成要素10の埋め込みのために患者の関節窩184を外科的に準備するために振動ラスプ50が使用される、外科手術が示される。外科用手術は、手術前計画から始まり、とりわけ、ガントリが関節窩の平面及び肩甲骨の平面と垂直に位置付けられた、薄切り(1mm)軸方向CTスキャンが得られる。窩回転の測定において、中央赤道のすぐ下の単一の軸方向スライスが得られる。後方湾曲の修正がその後患者に対して個別化される。手術前計画が完成すると、関節窩へのアクセスを可能にするために、患者の軟組織が切開されて、後退させられる。骨関節窩の完全な(すなわち360°)の露出が典型的には達成される。
【0054】
図15に示されるように、ガイドピン186はその後、所望の度合いの後方湾曲の修正を可能にするような配向で、関節窩184の中央に挿入される。これは、複数の異なるピン配置装置の1つを使用して達成され得る。ガイドピン186は、その長さに沿った位置で刻みをいれられてもよく、挿入後にピン186の長さを調節するための、制御された破断を可能にする。具体的に手術の任意の時点において、ガイドピン186は、刻み印の真上にハンドルを、この刻み印の真下に針ドライバを配置し、ピン186を刻み印のところで曲げることによって、所望の長さまで短くすることができる。本明細書に記載される例示的な手術において、5.1〜7.6cm(2〜3インチ)のピン186が関節窩から横方向に突出する。
【0055】
採寸ピンガイド(図示されない)がその後、ガイドピン186の上に配置され得る。採寸ピンガイドは、患者の関節窩のための、最適な大きさの強化関節窩構成要素を決定するために使用される。典型的には、所望の大きさの強化関節窩構成要素が、骨表面の周囲に張り出すことなく、関節窩表面をできる限り被覆する。
【0056】
患者の関節窩184の前方表面188はその後、典型的な方法でリーマー仕上げされる。特に、図16に示されるように、球形のリーマー182がガイドピン186上で使用されて、関節窩の前方表面188をリーマー仕上げして、関節窩184の上位縁部(すなわち、12時方向)から関節窩184の下位縁部(すなわち、6時方向)まで、均等で凹状の表面を生成する。リーマー仕上げした表面190は、最終的な外科的に準備された表面であり、これは、埋め込まれる際に、強化関節窩構成要素10の前方内側表面32に接触する。使用される球形リーマー182が強化関節窩構成要素10の上位/下位寸法よりも小さい場合、前方関節窩の上位及び/下位側面上に少量の骨が残ることが理解されるべきである。この残った骨は、周辺リーマー(図示されない)で取り除かれる。残った骨を取り除くために、ハンドバリ(図示されない)がかわりに使用され得る。患者の前方関節窩184のリーマー仕上げされた表面190が図17に示される。
【0057】
深さゲージ(図示されない)がその後、ガイドピン186の上に配置され得る。深さゲージの裏面と準備された前方関節窩表面190との間の接触及び一致が決定される。接触及び一致が外科医の意にそぐわない場合、骨の更なる調整がその後行われ得る。深さゲージを通じて深さプローブ(図示されない)を挿入することにより、後方関節窩の欠損の最大深さが測定される。1つの例示的な器具において、深さゲージの後方半体に3つの穴が提供され、それによって3つの異なる位置及びこれらの対応する深さが評価され得る。ほとんどの場合、欠損の最大深さは関節窩の後方、上方四分円にある。このような評価は、埋め込み選択(すなわち、特定の大きさの強化関節窩構成要素10の選択)を可能にする。例えば、最大深さが3mm以下である場合、3mm強化(すなわち、3mm厚さのバットレス24)を有する強化関節窩構成要素10が必要とされる。測定される深さが3mm〜5mmである場合、5mm強化を有する強化関節窩構成要素10が必要とされる。測定される深さが5mm〜7mmである場合、7mm強化を有する強化関節窩構成要素10が必要とされる。本明細書において記載される例示的な手術において、測定される深さが7mm超である場合、患者の関節窩184の前方表面188から追加的な骨が取り除かれる必要があり得る。この例示的な場合において、取り除かれる追加的な骨の量は、最大欠陥−7mmに等しい。
【0058】
適切な大きさの後方準備ガイド(図示されない)はその後、これが準備された前方関節窩表面190にしっかりと、同心状に接触するようにガイドピン186の上に配置される。ガイドの後方ウィンドーは、強化関節窩構成要素10のバットレス24を受容するように準備された関節窩184の後方表面194の境界を画定し、これは無菌ペン、鋸歯又はボビーのいずれかでこれらの境界を形成するための型板として使用され得る。
【0059】
一度バットレス24の境界がマーキングされると、後方関節窩が外科的に準備される。最初に、図17に示されるように、選択された強化関節窩構成要素10のバットレス24のステップ高さに基づき、適切な長さの、カニューレを取り付けた中央ドリル180が、ガイドピン186上に挿入された。ドリルはその後、強化関節窩構成要素10のアンカーペグ34を受容するために、関節窩184を準備する(すなわち、掘る)ために使用された。ドリル180は、これが関節窩184のリーマー仕上げされた前方表面190の底に達するまで促進される。一度アンカーペグ34のための中央穴178が掘られると、ピンプラ又は他の器具(図示されない)が、ガイドピン186を把持し取り除くために使用された。
【0060】
図18に示されるように、適切な大きさのラスプガイド110はその後、関節窩184のリーマー仕上げした前方表面190に固定される。このようにするため、ラスプガイドのアンカーペグ134のテーパ状頭部136が、関節窩184のリーマー仕上げされた前方表面190に掘られた中央穴178に挿入される。ラスプガイド110はその後、外科用マレット(図示されない)又は他の器具で叩かれて、ラスプガイド110のアンカーピン138を患者の関節窩184内に駆動し、ラスプガイド110を安定化させる(例えば、これがアンカーペグ134を中心に回転するのを防ぐ)。任意により、追加的なアンカーピン176が穴140を通じて挿入され、患者の関節窩184内に駆動されて、ラスプガイド110を更に安定化させ得る。
【0061】
図18に見られるように、ラスプガイド110が患者の関節窩184に固定されるとき、ラスプガイド110の後方縁部142は、リーマー仕上げされた前方表面190とやすりをかけられる関節窩184の後方表面194との間の垂直方向の境界を画定する。したがって、ラスプガイド110は、準備された前方表面190及び中央穴178を保護する。本明細書において記載される例示的な実施形態において、ラスプガイドは、前方/後方方向で中央に合わされる。したがって、ガイドの前方142によって生成される垂直方向の境界は、関節窩184を、前方/後方方向で等しい大きさの半体へと分割する。以下で図19に関連して記載されるように、振動ラスプ50でやすりをかけている間、切削頭部58は、ラスプガイド110の縁部142を前方で切削することを防がれ、それによって関節窩184の中央に骨の壁部を生成し、これは強化関節窩構成要素10の内側表面の前方半体と後方半体との間の垂直なステップ(すなわち、強化関節窩構成要素10の側面30と対応する外科的に準備された表面)として機能する。
【0062】
選択される強化関節窩構成要素10のバットレス24に適合するような大きさの振動ラスプ50はその後、複数の異なる大きさのラスプ50から得られ、後方準備を完成させるために使用される。選択される振動ラスプ50の取り付け頭部52はその後、振動する出力ツール100(図7参照)のチャック102内に固定される。一度チャックで締められると、ラスプ50が関節窩184の後方部分に接触するように促進される。図19に示されるように、外科医はその後振動出力ツール100を活性化し、切削頭部58の切削表面66を関節窩184の後方表面194と接触するように促進する。ラスプ50が患者の関節窩184に向かって内側に促進される際、ラスプ50の振動運動が骨を研磨し、深さ停止部96の先頭表面94(図4〜7参照)がラスプガイド110の凹状ガイド表面126上で底に達するまで骨を取り除き続ける。外科医は、深さ停止部96が凹状ガイド表面126に載るようにし、それによってラスプガイド110を準備ガイドとして使用して、ラスプ50を振動させ続る。後方関節窩表面194は、前方関節窩表面190に対して所望の深さまで準備される。換言すれば、深さ停止部96は、外科的に準備される前方表面190と後方関節窩表面194との間の空間的な関係(すなわち、深さ)を生成し、これは、関節窩構成要素24の後方内側表面28とその前方内側表面32との間の距離と適合する。このような距離は、バットレスの後方内側表面28から強化関節窩構成要素10の前方内側表面32まで垂直に延びる、側面30の高さによって画定される(図1〜3参照)。ラスプ50の深さ停止部96が凹状ガイド表面126と接触し、それによってラスプガイド110をそのような方法で使用するとき、関節窩184の後方準備が完成する(すなわち、やすりをかけた前方関節窩表面198が完成した(図20参照))。
【0063】
単一のラスプ50でやすりをかけた後方関節窩表面198を完成させる代わりに、複数の異なる大きさのラスプ50が使用され得ることが理解されるべきである。特に、所望の最終的な大きさを生成するために、段階的により大きい大きさのラスプ50を、多く使用してもよい。例えば、最初のやすりかけは、比較的小さい切削頭部58を有するラスプ50で行われてもよい。その後、段階的に、より大きな切削頭部58を有する1つ以上の追加的なラスプ50を使用して、その後のやすりかけを行い、所望の最終的な大きさのより大きな空洞を形成してもよい。
【0064】
選択される強化関節窩構成要素10の内側表面を模倣するような大きさの骨準備評価装置(図示されない)がその後使用されて、骨表面の前方リーマー仕上げ及び後方やすりかけが、選択される強化関節窩構成要素10に適合するために十分であったかどうかを判定する。骨準備評価装置は一般的に、準備される関節窩表面との十分かつ同心状の接触を形成する。骨の高い部位により、骨準備評価装置を完全に配置することができない場合、インパクタ、タンプ又は他の機器が使用されて、準備される関節窩表面をより適合するものにし得る。骨準備評価装置の適合がその後、再び評価され得る。
【0065】
選択される強化関節窩構成要素10に対して特異的な周辺ドリルガイド(図示されない)が、その後、掘られた中央穴内に挿入される。安定化ペグ38のための穴がその後、ドリルガイドの補助により掘られる。
【0066】
インプラント試験品(図示されない)が、準備された関節窩184内に配置され、その適合が評価される。試験品の内側と準備された骨の表面との間の完全かつ同心状の接触が一般的に所望される。そうでない場合、前の骨準備工程の一部又は全部が繰り返され得る。この適合が適切である場合、試験品は取り除かれる。
【0067】
関節窩準備の間に回収されて細かく細片化された骨が使用されて、「骨ペースト」が生成される。この骨ペーストは、強化関節窩構成要素10のアンカーペグ34のフィン40の間に配置されて、組織の一体化を促進する。PMMA系骨セメントなどの、骨セメントが準備された関節窩184の周辺の穴の中に配置され(すなわち、安定化ペグ38のための穴)、指先で圧迫される。強化関節窩構成要素10がその後挿入され、関節窩インパクタ(図示されない)が使用されて、関節窩184の外辺部と完全に接触するまで、構成要素10を位置付ける。埋め込まれた構成要素10への圧力は、セメントが硬化するまで維持される。
【0068】
上記の外科用手術に対する修正が想到されることが理解されるべきである。例えば、一部の外科医は、ラスプガイド110を使用せずに、「自らの裁量で」やすりかけ手術を行うことを好む場合がある。このような場合、バットレス24の境界が一度マーキングされると、外科医は鋸歯又は他の外科用ツールを使用して、患者の関節窩184の中央線に、上位/下位方向にチャネルを形成する。このようなチャネルの深さは、鋸歯のエッチマークによって案内される。例えば、3mmの強化において、鋸歯は、3mmエッチマークが関節窩184の表面と同じ高さにくるまで、促進されるべきである。これは関節窩184の中央に骨の壁部を生成し、これは強化関節窩構成要素10の内側表面の前方半体と後方半体との間の垂直なステップ(すなわち、強化関節窩構成要素10の側面30と対応する外科的に準備された表面)として機能する。
【0069】
外科医はその後、外科的に準備された前方表面190をガイド表面として使用して、後方関節窩表面194にやすりをかけてよい。すなわち、外科医は、深さ停止部96が外科的に準備された前方表面190に載るようにして、それによってリーマー仕上げした前方関節窩表面190をガイド表面として使用して後方関節窩表面194にやすりをかけてもよい。
【0070】
以上、図面及び上記の説明文において本開示内容を詳細に図示、説明したが、こうした図示、説明はその性質上、例示的なものとみなすべきであって、限定的なものとみなすべきではなく、あくまで例示的実施形態を示し、説明したにすぎないのであって、本開示の趣旨の範囲に含まれる変更並びに改変は全て保護されることが望ましい点は理解されよう。
【0071】
例えば、本明細書において記載される振動ラスプ50は、他の種類の関節形成のために、骨構造を外科的に準備するために使用されてもよい。例えば、修正を加えた又は加えない振動ラスプ50が、腰部手術又は他の種類の関節手術に使用され得る。加えて、振動ラスプ50は、前方関節窩表面など、他の種類の関節窩を準備するために使用され得る。振動ラスプ50はまた、関節窩表面を整形するための、骨移植手術に使用されてもよい。
【0072】
本開示には、ここに述べた装置、システム、及び方法の様々な特徴に基づく複数の利点がある。本開示の装置、システム、及び方法の代替的実施形態は、ここで述べた特徴の全てを含むわけではないが、こうした利点の少なくとも一部から利益を享受するものである。当業者であれば、本発明の1つ以上の特徴を取り入れた、本開示の趣旨及び範囲に包含される装置、システム、及び方法の独自の実施を容易に考案し得るであろう。
【0073】
〔実施の態様〕
(1) 強化関節窩プロテーゼの埋め込み前の、患者の関節窩の外科的準備に使用するための振動外科用ラスプであって、前記振動外科用ラスプが、
振動ツールのチャックに固定されるように構成された取り付け頭部と、
前記取り付け頭部に固定された切削頭部であって、前記切削頭部が前記振動外科用ラスプの長手方向軸から後方に延びる切削表面を含み、前記切削表面が、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って振動する際に前記強化関節窩プロテーゼの形状と対応する形状に配置される、複数の切削歯を有する、切削頭部とを含む、振動外科用ラスプ。
(2) 前記切削頭部が、前記振動外科用ラスプの長手方向軸から前方に延びる深さ停止部を更に含む、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(3) 想像線が前記振動外科用ラスプの長手方向軸から、前記複数の切削歯のそれぞれの外側表面に沿って後方に延び、
前記想像線が前記振動外科用ラスプの長手方向軸と交差して、その間の交差角を画定し、
前記交差角が30°〜90°である、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(4) 前記交差角がおよそ75°である、実施態様3に記載の振動外科用ラスプ。
(5) 前記切削頭部の前記複数の切削歯が、上位切削歯及び前記上位切削歯に対して下位に位置付けられる下位切削歯を含み、
前記上位切削歯の前方端部が、前記下位切削歯の前方端部と第1距離だけ離間しており、
前記上位切削歯の後方端部が、前記下位切削歯の後方端部から前記第1距離よりも短い第2距離だけ離間している、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(6) 前記切削頭部の前記複数の切削歯が、複数の上位切削歯及び前記複数の上位切削歯に対して下位に位置付けられる複数の下位切削歯を含み、
前記複数の上位切削歯が互いに平行であるように配置され、かつ前記複数の下位切削歯が互いに平行であるように配置され、
前記複数の上位切削歯及び前記複数の下位切削歯が、互いに対して角度を成して前記外科用ラスプの長手方向軸から後方に延び、互いに対して集束する、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(7) 前記切削頭部の前記複数の切削歯が、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って振動する際に前記強化関節窩プロテーゼの後方バットレスの形状と対応する形状に配置される、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(8) 前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±5mmである、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(9) 前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±3mmである、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
(10) 前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さと等しい、実施態様1に記載の振動外科用ラスプ。
【0074】
(11) 強化関節窩プロテーゼの埋め込み前の、患者の関節窩の外科的準備において使用するための、整形外科用器具アセンブリであって、前記外科用器具アセンブリが、
振動外科用ラスプであって、
(i)振動ツールのチャックに取り付けられるように構成された取り付け頭部、及び
(ii)取り付け頭部に固定された切削頭部であって、前記切削頭部が、前記振動外科用ラスプの長手方向軸から後方に延びる切削表面を含み、前記切削表面が、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って振動する際に前記強化関節窩プロテーゼの形状と対応する形状に配置される、複数の切削歯を有する、切削頭部を含む、振動外科用ラスプと、
操作中に、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って、前記振動外科用ラスプを案内するように構成されたガイド表面、及び前記ガイド表面の反対側にあり、前記患者の前記関節窩に固定されるように構成されたアンカー表面を有するラスプガイドとを含む、整形外科用器具アセンブリ。
(12) 前記振動外科用ラスプの前記切削頭部が、前記振動外科用ラスプの長手方向軸から前方に延びる深さ停止部を更に含み、
前記ラスプガイドの前記ガイド表面が、操作中に前記振動外科用ラスプの前記切削頭部の深さ停止部を案内するように構成された、実施態様11に記載の整形外科用器具アセンブリ。
(13) 前記ラスプガイドの前記アンカー表面が、そこから垂直に延びるアンカーペグを含み、前記アンカーペグが、前記患者の前記関節窩内に形成された穴に受容されるように構成された、実施態様11に記載の整形外科用器具アセンブリ。
(14) 前記ラスプガイドの前記ガイド表面が凹状である、実施態様11に記載の整形外科用器具アセンブリ。
(15) 前記ラスプガイドの前記アンカー表面が、そこから垂直に延びる複数の尖ったアンカーピンを含み、前記アンカーピンが、前記患者の前記関節窩の骨組織内に打ち込まれるように構成された、実施態様11に記載の整形外科用器具アセンブリ。
(16) 前記切削頭部の前記複数の切削歯が、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って振動する際に前記強化関節窩プロテーゼの後方バットレスの形状と対応する形状に配置された、実施態様11に記載の整形外科用器具アセンブリ。
(17) 前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±5mmである、実施態様11に記載の振動外科用ラスプ。
(18) 前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±3mmである、実施態様11に記載の振動外科用ラスプ。
(19) 前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さと等しい、実施態様11に記載の振動外科用ラスプ。
(20) 前記ラスプガイドの前記ガイド表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±5mmである、実施態様11に記載の振動外科用ラスプ。
【0075】
(21) 前記ラスプガイドの前記ガイド表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±3mmである、実施態様11に記載の振動外科用ラスプ。
(22) 前記ラスプガイドの前記ガイド表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さに等しい、実施態様11に記載の振動外科用ラスプ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化関節窩プロテーゼの埋め込み前の、患者の関節窩の外科的準備に使用するための振動外科用ラスプであって、前記振動外科用ラスプが、
振動ツールのチャックに固定されるように構成された取り付け頭部と、
前記取り付け頭部に固定された切削頭部であって、前記切削頭部が前記振動外科用ラスプの長手方向軸から後方に延びる切削表面を含み、前記切削表面が、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って振動する際に前記強化関節窩プロテーゼの形状と対応する形状に配置される、複数の切削歯を有する、切削頭部とを含む、振動外科用ラスプ。
【請求項2】
前記切削頭部が、前記振動外科用ラスプの長手方向軸から前方に延びる深さ停止部を更に含む、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項3】
想像線が前記振動外科用ラスプの長手方向軸から、前記複数の切削歯のそれぞれの外側表面に沿って後方に延び、
前記想像線が前記振動外科用ラスプの長手方向軸と交差して、その間の交差角を画定し、
前記交差角が30°〜90°である、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項4】
前記交差角がおよそ75°である、請求項3に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項5】
前記切削頭部の前記複数の切削歯が、上位切削歯及び前記上位切削歯に対して下位に位置付けられる下位切削歯を含み、
前記上位切削歯の前方端部が、前記下位切削歯の前方端部と第1距離だけ離間しており、
前記上位切削歯の後方端部が、前記下位切削歯の後方端部から前記第1距離よりも短い第2距離だけ離間している、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項6】
前記切削頭部の前記複数の切削歯が、複数の上位切削歯及び前記複数の上位切削歯に対して下位に位置付けられる複数の下位切削歯を含み、
前記複数の上位切削歯が互いに平行であるように配置され、かつ前記複数の下位切削歯が互いに平行であるように配置され、
前記複数の上位切削歯及び前記複数の下位切削歯が、互いに対して角度を成して前記外科用ラスプの長手方向軸から後方に延び、互いに対して集束する、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項7】
前記切削頭部の前記複数の切削歯が、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って振動する際に前記強化関節窩プロテーゼの後方バットレスの形状と対応する形状に配置される、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項8】
前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±5mmである、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項9】
前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±3mmである、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項10】
前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さと等しい、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項1】
強化関節窩プロテーゼの埋め込み前の、患者の関節窩の外科的準備に使用するための振動外科用ラスプであって、前記振動外科用ラスプが、
振動ツールのチャックに固定されるように構成された取り付け頭部と、
前記取り付け頭部に固定された切削頭部であって、前記切削頭部が前記振動外科用ラスプの長手方向軸から後方に延びる切削表面を含み、前記切削表面が、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って振動する際に前記強化関節窩プロテーゼの形状と対応する形状に配置される、複数の切削歯を有する、切削頭部とを含む、振動外科用ラスプ。
【請求項2】
前記切削頭部が、前記振動外科用ラスプの長手方向軸から前方に延びる深さ停止部を更に含む、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項3】
想像線が前記振動外科用ラスプの長手方向軸から、前記複数の切削歯のそれぞれの外側表面に沿って後方に延び、
前記想像線が前記振動外科用ラスプの長手方向軸と交差して、その間の交差角を画定し、
前記交差角が30°〜90°である、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項4】
前記交差角がおよそ75°である、請求項3に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項5】
前記切削頭部の前記複数の切削歯が、上位切削歯及び前記上位切削歯に対して下位に位置付けられる下位切削歯を含み、
前記上位切削歯の前方端部が、前記下位切削歯の前方端部と第1距離だけ離間しており、
前記上位切削歯の後方端部が、前記下位切削歯の後方端部から前記第1距離よりも短い第2距離だけ離間している、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項6】
前記切削頭部の前記複数の切削歯が、複数の上位切削歯及び前記複数の上位切削歯に対して下位に位置付けられる複数の下位切削歯を含み、
前記複数の上位切削歯が互いに平行であるように配置され、かつ前記複数の下位切削歯が互いに平行であるように配置され、
前記複数の上位切削歯及び前記複数の下位切削歯が、互いに対して角度を成して前記外科用ラスプの長手方向軸から後方に延び、互いに対して集束する、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項7】
前記切削頭部の前記複数の切削歯が、前記患者の前記関節窩と接するように規定の経路に沿って振動する際に前記強化関節窩プロテーゼの後方バットレスの形状と対応する形状に配置される、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項8】
前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±5mmである、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項9】
前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さ±3mmである、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【請求項10】
前記切削頭部の前記切削表面の曲率半径の長さが、前記強化関節窩構成要素のバットレスの丸い後方内側表面の曲率半径の長さと等しい、請求項1に記載の振動外科用ラスプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−157698(P2012−157698A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−15026(P2012−15026)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−15026(P2012−15026)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】
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